説明

洗濯機

【課題】布傷みを極力少なくでき、しかも洗濯の自動化が可能な洗濯機を提供する。
【解決手段】筒状部材14の内部に、多数本の凹凸部材17を設ける。筒状部材14の内部に洗濯物を収容した状態で、水循環手段40により洗濯物に水を供給すると共に、モータ28〜30にて第1〜第3のワイヤ25〜27を適宜動かして筒状部材14のシート16(周壁部)を径方向に狭めたり広げたりすることにより、筒状部材14内の洗濯物を変形させて洗濯を行なうようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯物の洗濯方法を改良した洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機としては、パルセータ式のものやドラム式のものが一般的である。このうちパルセータ式のものは、軸方向が縦方向の洗濯槽内に水及び洗濯物を収容した状態で、洗濯槽内底部のパルセータを回転させることにより渦巻状の水流を形成し、これにより洗濯物を洗濯する構成となっている。また、ドラム式のものは、軸方向がほぼ水平方向に向くドラム内に水及び洗濯物を収容した状態で、ドラムを低速で回転させ、ドラム内のバッフルで洗濯物を持ち上げた後、落下させることを繰り返すことにより、洗濯物を洗濯する構成となっている。
【0003】
しかしながら、パルセータ式のものでは、渦巻状の水流で洗濯するものであるので、布絡みが発生しやすく、また、洗濯物がパルセータに近寄った場合には、洗濯物に強い力が部分的にかかることになり、布傷みが生じやすいものであった。また、ドラム式のものでは、洗濯物を持ち上げて落下させて洗うという、いわゆるたたき洗いであり、また、ドラム回転時に洗濯物はドラムの内面との擦れがあり、やはり布傷みが発生しやすいものであった。
【0004】
一方、特許文献1には、洗濯水を貯留する筐体内に、複数の孔を有する箱体をスプリング上に配設すると共に、この箱体内に複数の孔を有する押圧板を配設し、箱体と押圧板との間に洗濯物を収容した状態で、押圧板を人手により押し下げた後、その押し下げ力を解除することに伴いスプリングのばね力により箱体及び押圧板が押し上げられ、これを繰り返すことにより洗濯物を洗濯するようにしたものが開示されている。
【特許文献1】特開平8−280978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1のものでは、押圧板と箱体との間で押し洗いする構成であるから、パルセータ式のものやドラム式のものに比べて洗濯物の布傷みを少なくすることができるが、まだ十分とはいえないものであった。また、洗濯物を洗濯する際に押圧板を押し下げることを人手により行なうものであるため、洗濯の自動化ができず、面倒なものであるという欠点もある。
【0006】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、布傷みを極力少なくでき、しかも洗濯の自動化が可能な洗濯機を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の洗濯機は、水受け部と、筒状をなすと共に内周部に多数の凸部及び凹部を有し、前記水受け部の内部に軸方向が縦方向となるように配設されると共に内部に洗濯物を収容可能な筒状部材と、この筒状部材の外周部に掛けられた条部材と、この条部材を動かすことにより前記筒状部材の周壁部を径方向に狭めたり広げたりする駆動手段と、前記水受け部内に水を供給する給水手段と、ポンプを有し、前記水受け部内の水を前記筒状部材の上部へ導いて循環させる水循環手段と、前記水受け部内の水を外部へ排出する排水手段とを備え、前記筒状部材の内部に洗濯物を収容した状態で、前記水循環手段により前記洗濯物に水を供給すると共に、前記駆動手段にて前記条部材を動かして前記筒状部材の周壁部を径方向に狭めたり広げたりすることにより、前記筒状部材内の洗濯物を変形させて洗濯を行なうようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、筒状部材の外周に掛けられた条部材を駆動手段にて動かして筒状部材の周壁部を径方向に狭めたり広げたりすることにより、筒状部材内の洗濯物の洗濯を行なう構成であるから、いわば手で揉むような洗い方となり、パルセータ式のものやドラム式のものに比べて、布傷みを極力少ない状態で洗濯できる。しかも、条部材を駆動手段にて動かすものであるから、洗濯の自動化も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
まず図2には、洗濯機1の外観が示されている。洗濯機1の外箱2は矩形箱状をなしていて、上面に洗濯物投入口(図示せず)を開閉する洗濯蓋3が設けられていると共に、上面側部に、操作部4などを備えた操作パネル5が設けられている。操作パネル5の下側には、マイクロコンピュータを備えた制御装置6(制御手段に相当)が設けられている。外箱2の前面下部には、取出し口7を開閉する取出し口用蓋8が設けられている。そして、外箱2の内部に、図1に示すような機構部9が配設されている。
【0010】
図1において、機構部9の下部には、矩形の容器状をなす水溜め槽10(水受け部に相当)が配置されている。水溜め槽10の内部には、4本の支柱11が立設されていて、これら支柱11の下部に、矩形状をなす下部支持板12が固定状態に設けられている。下部支持板12には円形の開口部13が形成されている。下部支持板12上には、ほぼ円筒状をなす筒状部材14が、その軸方向を縦方向に向けた状態で設けられている。この筒状部材14の下部開口部が、支持板12の開口部13に連通している。
【0011】
この筒状部材14は、図3及び図4に示すように、円筒状をなすように加工されたシリコン製のシート16の内周部に、上下方向に延びる凹凸部材17を複数本設けて構成されている。シート16は、筒状部材14の周壁部を構成している。各凹凸部材17は、シート16に例えば接着により取り付けられている。筒状部材14の上下両端部は、金属製のリング部材18により補強されている。筒状部材14の上端部は、前記支柱11の上部に設けられた上部支持板19に支持されている。
【0012】
凹凸部材17は、図5にも示すように、先端部に複数の突片20aを有する凸部20を、上下方向に複数段有していて、各凸部20間に凹部21を形成した構成となっている。各凸部20には中空部22が形成され、また、各凸部20は、先端部が斜め下向きとなるように形成されている。上記下部支持板12の下側には、図1に示すように、取出し口7側に向けて下降傾斜した洗濯物受け部材23が設けられている。この洗濯物受け部材23は、格子状に形成されている。
【0013】
筒状部材14の外周部には、複数本、この場合第1、第2及び第3の3本のワイヤ25,26,27(条部材に相当)が掛けられている。これら第1〜第3のワイヤ25〜27は、上下方向に3段となるように配置されていて、それぞれの両端部が、巻取り用のモータ28,29,30に接続されている。各モータ28〜30は、水溜め槽10の外側に立設された一対の支柱31に、上下方向に3段となるように配置されている。
【0014】
ここで、第1〜第3の各ワイヤ25〜27は、対応するモータ28,29,30を巻取り方向に回転させることにより、一端部がモータに巻き取られることに伴い、上記筒状部材14の周壁部であるシート16を径方向に狭めるように動かされる。また、第1〜第3の各ワイヤ25〜27は、対応するモータ28,29,30を巻取り方向とは反対の送り出し方向に回転させることにより、巻き取られた分が送り出されることに伴い、筒状部材14の周壁部であるシート16を径方向に広げるように動かされる。各モータ28〜30は、条部材としての第1〜第3のワイヤ25〜27を動かすことにより、筒状部材14の周壁部を径方向に狭めたり広げたりする駆動手段を構成している。
【0015】
上記水溜め槽10の周りには、給水弁33と、排水弁34と、循環用のポンプ35とが設けられている。このうち、給水弁33は、図示しない水道に接続された給水ホース36を介して水を水溜め槽10内に供給するためのものである。排水弁33は、水溜め槽10内の水を排水ホース37を介して排出するためのものである。循環用のポンプ35には循環用ホース38の一端部が接続されていて、この循環用ホース38の他端部は、上記筒状部材14の上部開口部14aに臨んでいる。ポンプ35が駆動されると、水溜め槽10内の水が吸込口35aから吸い込まれ、その水が循環用ホース38から筒状部材14内に供給される構成となっている。筒状部材14内に供給された水は、筒状部材14内に収容された洗濯物39(図6参照)に供給され、最終的に下部支持板12の開口部13から水溜め槽10内に戻される。ここで、ポンプ35と循環用ホース38は、水循環手段40を構成している。
【0016】
なお、上記制御装置6は、制御プログラムを有していて、操作部4の操作に基づき、モータ28〜30、給水弁33、排水弁34、ポンプ35などの制御を行う機能を有している。
【0017】
次に上記構成の作用を説明する。
洗濯を行う場合には、使用者は、まず洗濯蓋3を開けて洗濯物39及び洗剤を筒状部材14内に投入する。そして、洗濯蓋3を閉じた状態で操作パネル5の操作部4を操作すると、洗濯運転が開始される。洗濯運転では、まず給水行程が行われる。給水行程では、排水弁34を閉じた状態で、給水弁33を開放することにより、水溜め槽10内に水を供給して貯留する。水溜め槽10内に水が所定量貯留されたら、給水を停止し、洗濯行程に移行する。
【0018】
洗濯行程については、図6も参照して説明する。まず、3本のワイヤ25〜27のうち最下段の第3のワイヤ27に対応するモータ30を巻取り方向に駆動することにより、第3のワイヤ27にて筒状部材14のシート16を狭めた状態とし、モータ30はその状態を保持する(図6(a)参照)。そして、ポンプ35を駆動させると共に、第1及び第2のワイヤ25,26に対応するモータ28,29を駆動させる。このうち、ポンプ35が駆動すると、水溜め槽10内の水が循環用ホース38を介して筒状部材14内の洗濯物39に掛けられ、洗濯物39にしみ込むようになる。ポンプ35は、連続的に駆動してもよいし、間欠的に駆動しても良い。
【0019】
モータ28,29を巻取り方向に駆動させると、第1及び第2のワイヤ25,26が筒状部材14のシート16を狭める状態となり、また、モータ28,29を巻取り方向とは反対の送り出し方向へ駆動させると、第1及び第2のワイヤ25,26による狭める力が解放され、筒状部材14のシート16が広がって元の状態に戻るようになる(図6(b),(c)参照)。このとき、第1及び第2のワイヤ25,26により筒状部材14のシート16を狭めた状態とすることにより、洗濯物39が押されて変形し、洗濯物39が絞られるようになる。また、第1及び第2のワイヤ25,26による狭める力が解放されると、洗濯物39が水(洗濯液)を吸い込むようになる。
【0020】
モータ28,29にてこの動作(第1及び第2のワイヤ25,26により筒状部材14のシート16を狭めたり広げたりする動作)を繰り返すことにより、洗濯物39がもみ洗いされ、汚れが落とされる。このとき、洗濯物39の表面は、筒状部材14内の凹凸部材17における凸部20の各突片20aに接触して押されるが、洗濯物39の表面を擦り続けるなどの洗濯物39を傷める力の働きは、常に洗濯物より相対的に早い速度で動き続けるパルセータ式のものやドラム式のものと比較して、非常に小さい。このため、洗濯物39の布傷みを少なくしながらも、良好に洗濯することができる。また、各凸部20間に凹部21が形成されているので、各凸部20が撓みやすくなる。さらに、各凸部20は斜め下向きになっているので、洗濯物39は下側へ送られる力を受けるが、最下段の第3のワイヤ27が狭められているので、それより下へは送られない。
【0021】
上記洗濯行程が所定時間行なわれたら、ポンプ35の駆動を停止した状態で、排水行程を行う。排水行程では、排水弁34を開放することにより、水溜め槽10内の水を排水ホース37を介して外部へ排出する。そして、脱水行程を行なう。脱水行程では、モータ28,29を巻取り方向に駆動し、第1及び第2のワイヤ25,26により筒状部材14のシート16を狭めて洗濯物39を絞ることによって行なう。
【0022】
脱水行程が終了したら、再度給水行程を行い、水溜め槽10内に所定量の水を貯留する。次にすすぎ行程を行う。このすすぎ行程は、洗剤を使用しない以外は、上記洗濯行程と同様な動作となる。すなわち、第3のワイヤ27にて筒状部材14のシート16を狭めた状態にて、水循環手段40のポンプ35を駆動させて洗濯物39に水を掛けると共に、第1及び第2のワイヤ25,26に対応するモータ28,29を駆動させて、第1及び第2のワイヤ25,26により筒状部材14のシート16を径方向に狭めたり広げたりする。このすすぎ行程により、筒状部材14内の洗濯物39のすすぎが行われる。
【0023】
すすぎ行程が所定時間行なわれたら、ポンプ35の駆動を停止した状態で、排水行程を行った後、最終脱水行程を行なう。なお、コースによっては、すすぎ行程を2回行う。
最終脱水が終わったら、排出行程を行なう。排出行程では、第3のワイヤ27に対応するモータ30を巻取り方向とは反対方向へ駆動して、第3のワイヤ27を広げる方向に動かし、筒状部材14のシート16を径方向に広げる。この状態で、第1〜第3のワイヤ25〜27に対応する各モータ28〜30を適宜動かすことにより、洗濯物39を下方へ送り出す(図7の(a)〜(c)参照)。このようにすることで、洗濯物39は下部支持板12の開口部13から洗濯物受け部材23上に落下して受けられる。洗濯物39を取出す場合には、取出し口用蓋8を開放して取り出す。
【0024】
上記した第1の実施形態によれば、筒状部材14の内部に洗濯物39を収容した状態で、水循環手段40により洗濯物39に水を供給すると共に、筒状部材14の外周に掛けられた第1〜第3のワイヤ25〜27をそれぞれモータ28〜30にて適宜動かして、筒状部材14の周壁部(シート16)を径方向に狭めたり広げたりすることにより、筒状部材14内の洗濯物39の洗濯を行なう構成であるから、いわば手で揉むような洗い方となり、パルセータ式のものやドラム式のものに比べて、布傷みを極力少ない状態で良好に洗濯できる。しかも、モータ28〜30で第1〜第3のワイヤ25〜27を動かすことにより筒状部材14内の洗濯物30を洗濯するものであるから、洗濯の自動化が可能である。さらに、筒状部材14内の凸部20が斜め下を向いていて、第1〜第3のワイヤ25〜27を適宜動かすことにより、筒状部材14内の洗濯物30を自動的に下の方へ送り出すことができる特徴もある。
【0025】
また、上記した実施形態によれば、洗濯用の駆動手段を構成するモータ28〜30としては、第1〜第3のワイヤ25〜27を巻き取ったり、送り出したりできればよいため、パルセータ及び洗濯槽兼脱水槽、あるいはドラムを回転させるモータに比べて、小型のものでよく、洗濯機全体をコンパクトにできる。
【0026】
図8及び図9は本発明の第2の実施形態を示すもので、この第2の実施形態は上記した第1の実施形態とは次の点が異なっている。
すなわち、筒状部材14の上端部付近である上方部分に、洗濯物保持部45が配設されている。この洗濯物保持部45は、内部が仕切り部46により複数、この場合4個の収容部47a〜47dに仕切られていて、各収容部47a〜47dの下面は開口している。洗濯物保持部45の下面には中間板48が配置されていて、この中間板48は、筒状部材14の上面開口部14aに対応する部位には開口部49が形成されているが、他の部分では上記収容部の下面開口部を塞いでいる。洗濯物保持部45は、中間板48の上において回転可能に配置されていて、モータ50によりベルト51を介して回転される構成となっている。この場合、循環用ホース38の先端部は、筒状部材14の上端部と、中間板48との間に配置されている。
【0027】
ここで、収容部47aの下面開口部が、中間板48の開口部49と連通している場合には、収容部47aに投入された洗濯物39は、開口部49を通して筒状部材14内に落下して収容される。そして、他の収容部47b,47c,47dの下面開口は中間板48によって閉鎖されているので、それら収容部47b,47c,47dに投入された洗濯物39は、そこに一時保持される。
【0028】
最初に投入された洗濯物39に対して第1の実施形態で述べたような一連の洗濯運転(洗濯行程、脱水行程、すすぎ行程、最終脱水行程、排出行程など)を行う。これが終了したら、モータ50によりベルト51を介して洗濯物保持部45を約90度回動させ、収容部47bの下面開口部が中間板48の開口部49と連通するようにする。すると、その収容部47bに保持されていた洗濯物39が開口部49を通して筒状部材14内に落下して収容される。そして、その2番目の洗濯物39に対しても、第1の実施形態で述べたような一連の洗濯運転を行なう。収容部47cに保持された3番目の洗濯物39、収容部47dに保持された4番目の洗濯物39に対しても同様に洗濯運転を行なうことで、4個の洗濯物39を1個ずつ順に洗濯をすることができる。
【0029】
上記した第2の実施形態においては、洗濯物保持部45に複数の洗濯物39を保持させておき、その洗濯物保持部45をモータ50により回動させて洗濯物39を順次筒状部材14に投入するようにすることで、複数個の洗濯物39を連続的に洗濯することができる。
【0030】
図10〜図12は本発明の第3の実施形態を示したものであり、この第3の実施形態は上記した第1の実施形態とは次の点が異なっている。
図10において、筒状部材14の上端部を支持する上部支持板19の下面に、筒状部材14を囲繞するようにタグ情報読み取り装置55(タグ情報読み取り手段に相当)を設けている。つまり、タグ情報読み取り装置55は、筒状部材14の上端部付近に設けられている。このタグ情報読み取り装置55は、洗濯物39に設けられたRFIDタグ56の情報を読み取るためのもので、アンテナと送受信機とを備えていて、前記制御装置6に電気的に接続している。RFIDタグ56には、対応する洗濯物39の布質などの情報が記録されている。
【0031】
洗濯運転の開始に伴い、RFIDタグ56が設けられた洗濯物39が筒状部材14に投入されると、制御装置6は、図11の布質検出ルーチンをスタートする。まず、タグ情報読み取り装置55により、洗濯物39に設けられたRFIDタグ56の布質情報を読み取る(ステップS1)。そして、その情報に基づき、洗濯物39の布質が、綿か、羊毛か、それ以外かを判定し(ステップS2,S3)、メインルーチンへ戻る。
【0032】
制御装置6は、布質の判定結果に基づき、洗濯行程における第1及び第2のワイヤ25,26を動かすモータ28,29の動作を制御する(図12参照)。具体的には、布質が綿であると判定された場合には、第1及び第2のワイヤ25,26による絞り動作が5秒、絞り解放動作が2秒ということを繰り返すように、モータ28,29を制御する。羊毛であると判定された場合には、第1及び第2のワイヤ25,26による絞り動作が2秒、絞り解放動作が10秒ということを繰り返すように、モータ28,29を制御する。そして、綿でも羊毛でもないと判定された場合には、第1及び第2のワイヤ25,26による絞り動作が3秒、絞り解放動作が3秒ということを繰り返すように、モータ28,29を制御する。
【0033】
このように洗濯物39の布質を判定し、その判定結果に基づき洗濯行程における第1及び第2のワイヤ25,26の動きを変えることにより、布質に適した洗濯を行なうことができ、特に羊毛のように布傷みが発生しやすい洗濯物39の布傷みを一層少なくすることができる。
【0034】
図13及び図14は本発明の第4の実施形態を示したものであり、この第4の実施形態は、特に筒状部材14を機構部9(ひいては水溜め槽10)に対して取り外し可能な構成としたところが上記した第1の実施形態とは異なっている。なお、図13、図14においては、筒状部材14内の凹凸部材17は省略して示している。
【0035】
図13において、下部支持板12には、開口部13の周囲に嵌合凹部60(図14参照)を形成していて、筒状部材14の下端部を、その嵌合凹部60に対して上方から嵌合する構成としている。筒状部材14の上端部には、リング部材18を包囲して外周部に突出するように上部保持部61が設けられている。上部支持板62の開口部63は、筒状部材14の下端部が容易に通過できるようにシート16の外周よりやや大きめに形成されている。その開口部63の周りには段状の受け部64が形成されていて、その受け部64に、筒状部材14の上部保持部61が受けられる構成となっている。上部支持板62の上面側には押え板65が配置されている。この押え板65は、一端部がヒンジ部66を介して上部支持板62に回動可能に連結されていて、上下方向に回動可能となっている。押え板65には、筒状部材14の上面開口部14aに対応する開口部67が形成されている。
【0036】
モータ28〜30と対向するように配置された支柱11には、第1〜第3のワイヤ25〜27に対応してばね68が取り付けられていて、各ばね68の一端部が、第1〜第3のワイヤ25〜27に連結されている。これら各ばね68は、対応するワイヤ25〜28を引き出す方向のばね力を有している。
【0037】
図13は筒状部材14が機構部9に装着された状態が示されており、この状態では、筒状部材14の下端部が下部支持板12の嵌合凹部60に嵌合すると共に、上部保持部61が上部支持板62の受け部64に受けられた状態となっている。また、押え板65は閉鎖位置にあり、この押え板65における開口部67の周囲部により、上部保持部61を上方から覆った状態となっている。
【0038】
この図13の状態から筒状部材14を取り外す場合には、図14に示すように、まず押え板65を上方へ回動させて開放位置に位置させる。この状態で、上部保持部61を持って筒状部材14を持ち上げることにより、筒状部材14を機構部9から取り外すことができる。このとき、第1〜第3のワイヤ25〜27は、それぞればね68により引き出し方向に引き出された状態となっているので、筒状部材14は、それらワイヤ25〜27に邪魔されることなく引き上げることができる。
【0039】
なお、筒状部材14を再度装着する場合には、押え板65を開放位置に位置させた状態で、筒状部材14を持ってこれの下端部を、上部支持板62の開口部63、第1〜第3のワイヤ25〜27内に順に挿入した後、下部支持板12の嵌合凹部60に嵌合させると共に、上部保持部61を受け部64に受け保持させる。このときも、第1〜第3のワイヤ25〜27は、それぞればね68により引き出し方向に引き出された状態となっているので、筒状部材14は、それらワイヤ25〜27内に容易に挿入することができる。この後、押え板65を閉鎖位置に位置させればよい。
【0040】
本発明は、上記した各実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
ワイヤ25〜27の本数は3本に限られず、2本、あるいは4本以上でもよい。
条部材としては、ワイヤに限らず、ワイヤよりも幅が広い帯状部材でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す機構部の斜視図
【図2】洗濯機全体の外観斜視図
【図3】筒状部材部分の縦断面図
【図4】筒状部材部分の平面図
【図5】凹凸部材の部分拡大斜視図
【図6】(a)〜(c)は洗濯動作を説明する図
【図7】(a)〜(c)は送り出し動作を説明する図
【図8】本発明の第2の実施形態を示す筒状部材の上部部分の縦断断面図
【図9】洗濯物保持部部分の分解斜視図
【図10】本発明の第3の実施形態を示す筒状部材の上部部分の縦断断面図
【図11】布質検出ルーチンを示すフローチャート
【図12】布質と第1、第2のワイヤの動作との関係を示す図
【図13】本発明の第4の実施形態を示すもので、筒状部材の装着状態での縦断面図
【図14】筒状部材を取り出す状態での縦断面図
【符号の説明】
【0042】
図面中、1は洗濯機、6は制御装置(制御手段)、7は取出し口、9は機構部、10は水溜め槽(水受け部)、12は下部支持板、14は筒状部材、16はシート(周壁部)、17は凹凸部材、20は凸部、21は凹部、23は洗濯物受け部材、25,26,27は第1、第2、第3のワイヤ(条部材)、28,29,30はモータ(駆動手段)、33は給水弁(給水手段)、34は排水弁(排水手段)、35はポンプ、39は洗濯物、40は水循環手段、45は洗濯物保持部、47a〜47dは収容部、55はタグ情報読み取り装置(タグ情報読み取り手段)、56はRFIDタグを示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水受け部と、
筒状をなすと共に内周部に多数の凸部及び凹部を有し、前記水受け部の内部に軸方向が縦方向となるように配設されると共に内部に洗濯物を収容可能な筒状部材と、
この筒状部材の外周部に掛けられた条部材と、
この条部材を動かすことにより前記筒状部材の周壁部を径方向に狭めたり広げたりする駆動手段と、
前記水受け部内に水を供給する給水手段と、
ポンプを有し、前記水受け部内の水を前記筒状部材の上部へ導いて循環させる水循環手段と、
前記水受け部内の水を外部へ排出する排水手段とを備え、
前記筒状部材の内部に洗濯物を収容した状態で、前記水循環手段により前記洗濯物に水を供給すると共に、前記駆動手段にて前記条部材を動かして前記筒状部材の周壁部を径方向に狭めたり広げたりすることにより、前記筒状部材内の洗濯物を変形させて洗濯を行なうようにすることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
条部材は複数本あり、これら複数本の条部材を駆動手段により適宜動かすことによって洗濯動作を行なうことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
筒状部材の上端部付近に、洗濯物を一時的に保持する洗濯物保持部を有することを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。
【請求項4】
筒状部材の上端部付近に設けられ、前記筒状部材に投入される洗濯物に設けられたRFIDタグの情報を読み取るタグ情報読み取り手段と、このタグ情報読み取り手段の読み取った情報に基づき駆動手段による条部材の動きを変える制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項5】
筒状部材は、水受け部に対して取り外しが可能な構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洗濯機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−130062(P2007−130062A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323541(P2005−323541)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】