説明

洗濯機

【課題】回転槽内に収容された洗濯物を早期に湿らせることができると共に、回転槽内の必要な所に水を供給することができる洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機1の水槽3内に回転槽4を設け、給水源から供給される水を回転槽4内に供給する第1の給水手段20及び第2の給水手段21を設ける。給水源から供給される水は、第1の給水手段20によって注水ケース23を介して回転槽4内に下方向(矢印A方向)へ放出され、第2の給水手段21によって注水ケースを介さずに回転槽4の回転中心の方向(矢印B方向)へ放出され、回転槽4内に供給される。この第1の給水手段20及び第2の給水手段21を制御装置15で独立に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転槽に水を供給する給水手段を備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、洗濯機の回転槽には、水道等の給水源からの水が1個の給水弁及び注水ケース(洗剤ボックス)を通って供給されている。即ち、一般的な洗濯機は、給水源からの水が回転槽内に1方向から供給される構成である。しかし、この構成では、回転槽内に供給される水が常に回転槽の同じ所に供給されるので、回転槽内に収容された洗濯物全体を早期に湿らせることは難しい。
【0003】
そのため、例えば特許文献1の洗濯機では、回転槽の上端部全周から水を回転槽内に供給するようにしている。この洗濯機は、具体的には、給水弁及び注水ケースを通って供給される水を受ける水受部と、水受部に連なって回転槽の上縁の全周に延びる水路とを有している。又、水路の下面には、複数の注水孔が形成されている。この構成により、給水源からの水は、給水弁及び注水ケースを通った後に水受部で受けられ、更に水路に沿って回転槽の上縁の全周に広がり、回転槽の上縁の水路の注水孔から回転槽内に供給され、回転槽内に収容された洗濯物全体を早期に湿らせることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−285686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の洗濯機では、給水源からの水は、回転槽の上縁の水路の注水孔から回転槽内に供給されるので、回転槽の外周付近にある洗濯物には供給されるが、回転槽の中心部にある洗濯物には供給され難い。又、一般に、注水ケースは大気に開放されているので、給水源から供給される水の圧力は低下してしまう。更には、特許文献1の洗濯機では、注水ケースから供給される水が大気に開放された水受部で受けられる構成であるので、水受部でも水の圧力は低下してしまう。そのため、特許文献1の洗濯機では、水路に形成した注水孔から勢いよく水を放出させることができず、回転槽の中心部にある洗濯物を湿らせることは難しい。
【0006】
又、特許文献1の水路は、回転槽の上縁の全周につながって設けられているので、水路に供給された水は、注水孔から均一に回転槽内に供給される。そのため、洗い行程及びすすぎ行程中に、回転槽内の必要な所のみに水を供給することができず、洗い、すすぎを適量な水量で効率よく行うことができない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転槽内に収容された洗濯物を早期に湿らせることができると共に、回転槽内の必要な所に水を供給することができる洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の洗濯機は、水槽と、脱水孔を有し前記水槽内に回転可能に設けられた有底円筒状をなす回転槽と、給水源から供給される水を前記回転槽内に互いに異なる方向へ供給する複数の給水手段と、洗い行程、すすぎ行程及び脱水行程を実行するように洗濯機負荷を制御すると共に、前記複数の給水手段を独立に制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の洗濯機によれば、複数の給水手段が給水源から供給される水を回転槽内に互いに異なる方向へ供給するので、回転槽内に収容された洗濯物は複数の方向から供給される水で湿らさられる。これにより、洗濯物全体を早期に湿らせることができる。
又、複数の給水手段を独立に制御する構成であるので、洗い行程及びすすぎ行程中に、回転槽内の必要な所に水を供給することができ、洗い、すすぎを適量な水量で効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す洗濯機全体の縦断側面図
【図2】図1に示した洗濯機のトップカバーの後部を示す平面図
【図3】電気的な概略構成を示すブロック図
【図4】洗濯機負荷の動作を示すタイムチャート
【図5】本発明の第2の実施形態を示す図4相当図
【図6】本発明の第3の実施形態を示す図4相当図
【図7】本発明の第4の実施形態を示す図4相当図
【図8】本発明の第5の実施形態を示す図4相当図
【図9】本発明の第6の実施形態を示す図4相当図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態について図1から図4を参照して説明する。
図1に、洗濯機1の全体構造を示す。尚、図1において左方を洗濯機1の前方とする。図1に示すように、洗濯機1の外箱2内には、水槽3が図示しない弾性支持部材により弾性支持されている。水槽3内には、衣類が収容される回転槽4が回転可能に設けられている。回転槽4の側面には、多数の脱水孔5が形成されている。回転槽4の上端部には、回転槽4の回転時のバランスを維持するためのバランスリング6が設けられている。回転槽4の内側の底部には、パルセータ7が回転可能に設けられ、水槽3の外側の底面には、モータ8及びクラッチ機構部9が設けられている。モータ8は、回転槽4及びパルセータ7を回転させる駆動源であり、回転槽4及びパルセータ7にクラッチ機構部9を介して接続されている。クラッチ機構部9は、例えば、特開2000−279692号公報に記載されている周知のものであり、モータ8の駆動力を回転槽4及びパルセータ7の一方又は両方に伝達するように切り換える作用をする。
【0012】
水槽3の底面には、水槽3に残留した洗濯水を排出する導出管10が接続されている。この導出管10には、電磁弁からなる排水弁11を介して排水管12が接続されている。排水管12の端部は、洗濯機1の外部に向けて開口しており、水槽3内の洗濯水が排出可能となっている。
【0013】
外箱2の上端部には、トップカバー13が設けられている。トップカバー13の前面部の外側には、操作パネル14が設けられ、トップカバー13の前面部の内部には、制御手段たる制御装置15が設けられている。制御装置15は、詳しくは後述するが、洗濯モードに応じて洗濯機1の洗濯機負荷を制御するものである。トップカバー13の中央部には、折畳まれることにより開放可能な外蓋16が設けられている。又、水槽3の上端の周縁部には、水槽カバー17が設けられている。この水槽カバー17の内周部で回転槽4に相当する領域には、上方へ回動されて開かれる内蓋18が設けられている。
【0014】
トップカバー13の後部には、図2にも示すように、水道等の給水源から供給される水を回転槽4内に供給する複数の給水手段、この場合、第1の給水手段20及び第2の給水手段21の2つが設けられている。
【0015】
第1の給水手段20は、給水ユニット22(図2参照)、注水ケース23及び第1の水路管24を有している。給水ユニット22は、例えば三連式の電磁弁であり、この場合、第1の電磁弁25A、第2の電磁弁25B及び第3の電磁弁25C(図2及び図3参照)を有している。更に給水ユニット22は、これらの電磁弁25A,25B,25Cに給水源からの水を供給するための給水接続口26を有している。この給水接続口26には、水道の蛇口に接続されたホース(図示せず)が取り付けられる。
【0016】
注水ケース23は、上面が開放されて大気に開放された箱状をなしている。注水ケース23内は、図2に示すように仕切り板23Aによって2つの部屋23B,23Cに仕切られている。注水ケース23の部屋23Bには洗剤が収容され、部屋23Cには柔軟剤が収容される。又、給水ユニット22の第1の電磁弁25Aの出口22Aは、注水ケース23の部屋23Bに接続され、給水ユニット22の第2の電磁弁25Bの出口22Bは、注水ケース23の部屋23Cに接続されている。更に、部屋23Bの下面には孔23Dが形成され、部屋23Cの下面には孔23Eが形成されている。注水ケース23の孔23D及び孔23Eの下方には図示しない一つの部屋が設けられ、この部屋の下面に図示しない排水孔が形成されている。
【0017】
第1の水路管24は、蛇腹状をなし、上下に延びる方向で配置されている。この第1の水路管24は、上端部が上述した注水ケース23の下面に形成された排水孔に連通して設けられ、下端部が水槽カバー17に形成された図示しない孔に連通して設けられている。この第1の水路管24の下端部が連通する水槽カバー17に形成された図示しない孔は、回転槽4の上方に形成されている。
【0018】
この構成により、給水源から第1の給水手段20に供給された水のうち第1の電磁弁25Aに供給された水は、注水ケース23の部屋23Bに流れ込み孔23Dから下方の図示しない部屋に排出される。又、給水源から第1の給水手段20に供給された水のうち第2の電磁弁25Bに供給された水は、注水ケース23の部屋23Cに流れ込み孔23Eから下方の図示しない部屋に排出される。そして、孔23D及び孔23Eから下方に排出されて図示しない部屋に排出された水は、共通の排水孔から第1の水路管24を介して回転槽4内に下方向(図1中の矢印A方向)へ放出され、回転槽4内に供給される。
【0019】
第2の給水手段21は、給水ユニット22及び第2の水路管27を有している。第2の水路管27は、例えばホースで構成され、上端部が給水ユニット22の第3の電磁弁25Cの出口22Cに連通して設けられ、下端部が水槽カバー17に形成された図示しない孔に連通して設けられている。この水槽カバー17に形成された第2の水路管27の下端部が連通する孔は、回転槽4の上方に形成されている。第2の水路管27は、下端部の先端にノズル28が設けられている。ノズル28は、第1の給水手段20の第1の水路管24の水の供給方向すなわち下方向と異なる方向、この場合、回転槽4の回転中心の方向(図1及び図2中の矢印B方向)へ水を供給するように設けられている。この構成により、給水源から供給された水は、注水ケースを介さずに、給水ユニット22の第3の電磁弁25C、第2の水路管27及びノズル28を介して回転槽4内に下方向と異なる方向、この場合、回転槽4の回転中心の方向側の延長線上に位置する回転槽4の側面に供給される。尚、ノズル28の幅方向を広げることにより、広い範囲にわたって水を供給する構成としても良い。
【0020】
トップカバー13内の注水ケース23の近傍には、風呂水を水槽3に供給するための風呂水用のポンプ31が設けられている。風呂水用のポンプ31は、図示しないホースによって風呂水が貯えられた給水源とつながるようになっている。又、注水ケース23と風呂水用のポンプ31とは、図2に示すように風呂水ホース32及び呼び水ホース33の2本のホースによってつながっている。風呂水ホース32は、風呂水が貯えられた給水源からの風呂水を注水ケース23の部屋23Bに送るためのものである。呼び水ホース33は、風呂水用のポンプ31が空運転しないように、注水ケース23の部屋23Bから風呂水用のポンプ31に給水源からの水を供給するためものである。
【0021】
図3は、洗濯機1の電気的な概略構成を示すブロック図である。制御装置15は、例えばマイクロコンピュータからなっている。この制御装置15には、水槽3内の水位を検知するように設けた水位センサ34からの水位検知信号、操作パネル14に設けられた操作部14Aからの操作信号等が入力されるようになっている。更に、制御装置15は、モータ8の回転数を検知するように設けられた回転センサ35からの回転数検知信号が入力されるようになっている。
【0022】
制御装置15及び回転センサ35は、回転槽4内に収容された洗濯物の重量を検知する重量検知手段と、回転槽4内の洗濯物の有無を検知する洗濯物検知手段を構成する。具体的には、制御装置15は、モータ8を駆動してパルセータ7を回転させ、そのときの回転センサ35の回転数の大きさと、制御装置15が予め有しているデータに基づき、回転槽4内に収容された洗濯物の重量を判断する。回転槽4内に収容された洗濯物の量(重量)が多い場合には、回転センサ35が検出する回転数が低く、洗濯物の量(重量)が少ない場合には、回転センサ35が検出する回転数が高くなる。
【0023】
制御装置15は、上述の重量検知を行うと共に、洗濯機1の作動全般(例えば、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程)の各種運転コースを実行させる制御を行う。この場合、制御装置15は、駆動回路36を介して各種洗濯機負荷たるモータ8、クラッチ機構部9、排水弁11、給水ユニット22の第1の電磁弁25A、第2の電磁弁25B、第3の電磁弁25C及び風呂水用のポンプ31等を制御すると共に、操作パネル14に設けられた表示部14Bに各種の表示を行う。
【0024】
次に上記構成の作用について図4を参照して説明する。図4は、洗い行程、すすぎ行程及び脱水行程中の洗濯機負荷のタイムチャートを示している。尚、洗い行程前に回転槽4内に洗濯物を収容すると共に、注水ケース23の部屋23Bに洗剤を投入し、部屋23Cに柔軟剤を投入しておく。又、給水源は水道とする。
【0025】
洗い行程では、重量検知、給水及び洗いが行われる。重量検知では、制御装置15は、モータ8によりパルセータ7のみを回転させ、そのときの回転センサ35の回転数の大きさと、制御装置15が予め有したデータに基づき、洗濯物の重量を判断する。
【0026】
次に、制御装置15は、検出した重量に基づき、給水水位を決定し、回転槽4の回転を停止させた状態で給水を開始する。この給水において、制御装置15は、まず、排水弁11を閉塞した状態で、第1の給水手段20の第1の電磁弁25A及び第2の給水手段21の第3の電磁弁25Cを開放して、回転槽4内に所定量の水が溜まるまで給水を実行する。このとき、第1の給水手段20及び第2の給水手段21は、給水源からの水を回転槽4内の互いに異なる方向(図1中の矢印A方向及び矢印B方向)へ供給するので、回転槽4内に収容された洗濯物は複数の方向から供給される水で湿らせられる。又、第1の給水手段20から供給される水は、注水ケース23を通っているので大気に開放されて圧力が低下され、且つ注水ケース23の部屋23Bに収容された洗剤と混ざって回転槽4に供給される。一方、第2の給水手段21から供給される水は、注水ケースを通っていないので大気に開放されておらず、水道から供給される高い圧力で回転槽4に供給される。又、この給水時には、回転槽4の回転が停止されているので、第2の給水手段21から供給される水を、定めた方向(矢印B方向)に効率よく供給することができる。
【0027】
回転槽4に所定量の水が溜まると、制御装置15は、モータ8によりパルセータ7を正逆回転させると共に、必要に応じて第1の電磁弁25A及び第3の電磁弁25Cを適宜開放させる。これにより、回転槽4内に収容された洗濯物の洗いが行われる。
【0028】
制御装置15は、洗い行程が終了すると、すすぎ行程を実行する。すすぎ行程では、排水、第1の脱水、シャワーすすぎ、第2の脱水、給水及びためすすぎが行われる。制御装置15は、まずパルセータ7の回転を停止させ、排水弁11を開放させて、回転槽4内の水を導出管10及び排水管12から機外へ排水する。
【0029】
次に、制御装置15は、回転槽4を高速回転させて、回転槽4内にある洗濯物に浸み込んだ洗濯水を遠心力で脱水孔5から水槽3内に移動させ、水槽3内に移動した水を排水させる第1の脱水を実行する。このとき、回転槽4内にある多くの洗濯物は、回転槽4の回転による遠心力で、回転槽4の側面に張り付いた状態となる。
【0030】
次に、制御装置15は、排水弁11を開放させた状態で回転槽4を回転させながら、第3の電磁弁25Cを開放させて第2の給水手段21のみを用いて給水してシャワーすすぎを実行する。このとき、第2の給水手段21からの水は回転槽4内の側面にも供給されるので、第1の脱水によって回転槽4の側面に張り付いている洗濯物はこの第2の給水手段21から供給される水によって十分に剥がされる。
【0031】
次に、制御装置15は、排水弁11を開放し且つ第3の電磁弁25Cを閉塞した状態で、回転槽4を高速回転させることで、第2の脱水を実行する。次に、制御装置15は、回転槽4の回転を停止させて、排水弁11を閉塞し、第3の電磁弁25Cを開放させた後に第1の電磁弁25Aを開放させて、給水を実行する。その後、制御装置15は、パルセータ7を回転させ、第1の電磁弁25A及び第3の電磁弁25Cを閉塞し、第2の電磁弁25Bを所定時間開放させて注水ケース23の部屋23Cに収容された柔軟剤を回転槽4に供給して、ためすすぎを実行する。
【0032】
制御装置15は、すすぎ行程が終了すると、脱水行程を実行する。脱水行程では、排水及び脱水が行われる。制御装置15は、回転槽4及びパルセータ7の回転を停止させ、排水弁11を開放させて排水を実行する。次に、制御装置15は、排水弁11を開放させた状態で回転槽4を高速回転させて脱水を実行する。
脱水行程が終了することにより、洗濯の運転コースは終了する。
【0033】
本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
第1の給水手段20及び第2の給水手段21は、給水源からの水を回転槽4内の互いに異なる方向へ供給するので、回転槽4内に収容された洗濯物は複数の方向から供給される水で湿らせられる。これにより、洗濯物全体を早期に湿らせることができる。
【0034】
又、第1の給水手段20の第1の電磁弁25A、第2の電磁弁25B及び第2の給水手段21の第3の電磁弁25Cを独立に制御する構成であるので、洗い行程、すすぎ行程及び脱水行程時に、回転槽4内の必要な所に水を供給することができ、洗い、すすぎを適切な水量で効率よく行うことができ、給水源として水道を用いた場合に水道代を低減することができる。
【0035】
第1の給水手段20は、水源から供給される水を注水ケース23を介して回転槽4内に供給し、第2の給水手段21は、給水源から供給される水を注水ケース23を介さずに回転槽4内に供給するので、異なる圧力で回転槽4内に水を供給することができる。これにより、洗濯物の量や洗濯の運転コースに合わせて給水パターンを変更することができる。
【0036】
シャワーすすぎ時は、第3の電磁弁25Cのみを開放して、第2の給水手段21から回転槽4内に給水源からの水を供給するようにしたので、第2の給水手段21から回転槽4の側面に水が供給されるようになる。これにより、すすぎ行程中の第1の脱水時に回転槽4の側面に張り付いた洗濯物を十分に剥がすことができる。よって、回転槽4の側面から剥がされた洗濯物は水と接する表面積が増し、その後のすすぎ及び脱水を効率よく行うことができる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態を図5を参照して説明する。尚、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第2の実施形態では、図5に示すように、制御装置15は、洗い行程時の洗いにおけるパルセータ7の正逆回転の時間が異なるように、本実施形態ではパルセータ7の正転時間を長くするようにパルセータ7の回転を制御している。又、制御装置15は、パルセータ7の回転時間が長い回転方向のとき、本実施形態では正転のときに、必要に応じて、第1の電磁弁25A及び第3の電磁弁25Cを開放して給水を行うようにしている。
【0038】
このように、洗い行程時の洗いにパルセータ7の正逆回転の時間の割合を変えることにより、洗濯物を十分に動かすことができ、洗濯物の撹拌を十分に行うことができる。又、パルセータ7の回転時間が長い回転方向のときに第1の電磁弁25A及び第3の電磁弁25Cを開放して給水を行うことにより、洗濯物を効率的に湿らせることができる。
【0039】
次に、本発明の第3の実施形態を図6を参照して説明する。尚、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第3の実施形態では、図6に示すように、すすぎ行程中の第2の脱水後の給水後に、第1の実施形態のためすすぎの代わりに注水すすぎを行うようにしている。注水すすぎとは、水槽3内に水を溜め、且つ水槽3内に給水しながらすすぎを行うことである。この注水すすぎを有するすすぎ行程では、制御装置15は、すすぎ行程中の給水初期に第3の電磁弁25Cのみを開放して第2の給水手段21のみから給水し、水槽3に所定量の水が溜まった後或いは給水が所定時間経過した後に第1の電磁弁25Aも開放して、第1の給水手段20及び第2の給水手段21の両方を用いて給水する制御を実行するようにしている。そして、制御装置15は、水位センサ34による水槽3内の水位を検出し、水槽3内の水位が溢水水位に達したと判断した後に、第1の電磁弁25Aのみを開放して第1の給水手段20のみを用いて給水を実行するようにしている。
【0040】
このように、すすぎ行程中の給水初期に第2の給水手段21のみを用いて給水することにより、すすぎ行程中の第1の脱水時に回転槽4の側面に張り付いた洗濯物を十分に剥がすことができる。よって、回転槽4の側面から剥がされた洗濯物は水と接する表面積が増し、すすぎ及び脱水を効率よく行うことができる。
水槽3に所定量の水が溜まった後或いは給水が所定時間経過した後は、第1の給水手段20及び第2の給水手段21の両方を用いて給水するようにしたので、水槽3内に水を早期に溜めることができる。
【0041】
次に、本発明の第4の実施形態を図7を参照して説明する。尚、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第4の実施形態では、図7に示すように、制御装置15が風呂水用のポンプ31の駆動を制御して給水を実行するようにしている。具体的には、制御装置15は、洗い行程中の給水時に、第3の電磁弁25Cを開放させて第2の給水手段21から回転槽4に水を供給すると共に、風呂水用のポンプ31を駆動して風呂水を注水ケース23の部屋23Bに供給して第1の給水手段20の第1の水路管24から回転槽4内に供給するようにしている。
【0042】
洗い行程中の洗い時には、制御装置15は、パルセータ7の正転時に適宜、第1の電磁弁25A及び第3の電磁弁25Cを開放すると共に風呂水用のポンプ31を駆動して、給水源からの水を第1の給水手段20及び第2の給水手段21から回転槽4に供給すると共に、風呂水を第1の給水手段20の第1の水路管24から回転槽4に供給するように制御している。
【0043】
このように、洗い行程中の給水時に、水道水等の給水源からの水以外に風呂水を用いるようにしたので、給水に用いる水をすべて水道水とした場合に比べて水道代を低減することができる。そして、給水源からの水を第2の給水手段21から回転槽4に供給すると共に、風呂水用のポンプ31を介して第1の給水手段20の第1の水路管24から回転槽4に供給するようにしたので、給水源からの水及び風呂水は、回転槽4に異なる方向から供給される。これにより、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
次に、本発明の第5の実施形態を図8を参照して説明する。尚、上記第4の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第5の実施形態では、図8に示すように、洗い行程中の給水時において、風呂水用のポンプ31を用いて回転槽4内へ給水する際に、給水初期は風呂水用のポンプ31及び第2の給水手段21を用いて給水し、その後は風呂水用のポンプ31のみを用いて給水するようにしている。具体的には、制御装置15は、洗い行程中の給水時に第3の電磁弁25Cを開放させて第2の給水手段21から回転槽4に水を供給すると共に、風呂水用のポンプ31を駆動して風呂水を注水ケース23の部屋23Bに供給して、風呂水を第1の給水手段20の第1の水路管24から回転槽4内に供給するようにしている。そして、水槽3に所定量の水が溜まった後或いは給水が所定時間経過した後には、制御装置15は、第3の電磁弁25Cを閉塞させて、風呂水のみで給水を行うようにしている。その後の洗い以降は、第4の実施形態と同様の行程が行われる。
【0045】
このように、洗い時の給水初期には、給水源からの水を第2の給水手段21から回転槽4に供給すると共に、風呂水用のポンプ31を介して第1の給水手段20の第1の水路管24から回転槽4に供給し、その後は風呂水のみで給水するようにしたので、水道代を低減することができると共に、第4の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
次に、本発明の第6の実施形態を図9を参照して説明する。尚、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第6の実施形態は、洗濯物の量が少ない場合に適用したものであり、図9に示すように、すすぎ行程中の給水時に第1の給水手段20又は第2の給水手段21のいずれか一方、この場合第2の給水手段21からのみで給水を行うようにしている。具体的には、回転センサ35の信号に基づいた重量検知において、制御装置15は、洗濯物が予め決められた基準の量よりも少ないと判断した場合、すすぎ行程中の給水時に第3の電磁弁25Cのみを開放させて第2の給水手段21のみで給水を行うように制御している。
【0047】
洗濯物の量が少ない場合のすすぎ行程では、洗濯物は回転槽4の底面側に溜まり易い。この場合、第2の給水手段21が回転槽4の回転中心の方向へ水を供給するように設けられているので、第2の給水手段21のみで洗濯物を十分に湿らせることができる。
【0048】
尚、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されず、次のような変形、拡張が可能である。
第2の給水手段21の第2の水路管27に設けられるノズル28を、水槽カバー17の下面に回転可能に取り付け、第2の給水手段21から放出される水の方向を変更できるようにしても良い。
第6の実施形態において、図9に示すようにすすぎ行程中のシャワーすすぎ及び第2の脱水の工程を省略しているが、第6の実施形態でもシャワーすすぎ及び第2の脱水を実行しても良い。
【0049】
第1〜第6の実施形態に示すタイムチャートは、一例に過ぎず、適宜、パルセータ7の正逆回転方向及び回転の有無、回転槽4の回転の有無、第1の電磁弁25Aの開放と閉塞の有無、第2の電磁弁25Bの開放と閉塞の有無、第3の電磁弁25Cの開放と閉塞の有無、排水弁11の開放と閉塞の有無、風呂水用のポンプ31の駆動及び停止を変更することができる。又、すすぎ行程では、シャワーすすぎ、注水すすぎ、ためすすぎを適宜組み合わせ、或いは省略することができる。
その他、本発明は縦軸型の自動洗濯機に限らず、ドラム式の洗濯乾燥機等にも適用でき、更には、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0050】
図面中、3は水槽、4は回転槽、5は脱水孔、15は制御装置(制御手段)、20は第1の給水手段、21は第2の給水手段、23は注水ケース、31はポンプを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
脱水孔を有し前記水槽内に回転可能に設けられた有底円筒状をなす回転槽と、
給水源から供給される水を前記回転槽内に互いに異なる方向へ供給する複数の給水手段と、
洗い行程、すすぎ行程及び脱水行程を実行するように洗濯機負荷を制御すると共に、前記複数の給水手段を独立に制御する制御手段とを備えていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記複数の給水手段は、前記給水源から供給される水を注水ケースを介して前記回転槽内に供給する第1の給水手段と、前記給水源から供給される水を前記注水ケースを介さずに前記回転槽内に供給する第2の給水手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御手段は、洗い行程後の脱水終了後に前記回転槽を回転させながら前記給水手段から給水してすすぎを行うシャワーすすぎ時に、前記第2の給水手段のみを用いて給水することを特徴とする請求項2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記水槽内に水を溜め、且つ前記給水手段から給水しながらすすぎを行う注水すすぎ時に、給水初期は前記第2の給水手段のみを用いて給水し、その後は前記第1の給水手段及び前記第2の給水手段の両方を用いて給水し、前記水槽内の水位が溢水水位に達した後は前記第1の給水手段のみを用いて給水することを特徴とする請求項2又は3記載の洗濯機。
【請求項5】
風呂水を前記注水ケースを介して前記回転槽内へ供給するポンプを備え、
前記制御手段は、前記ポンプを用いて前記回転槽内へ給水する際に、給水初期は前記ポンプと前記第2の給水手段を用いて給水し、その後は前記ポンプのみを用いて給水することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−268842(P2010−268842A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120897(P2009−120897)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】