説明

洗濯機

【課題】洗濯脱水槽とパルセータとを一体的に高速で回転させることで洗濯物の脱水を行う洗濯機では、回転軸周りに洗濯物の片寄りによる重量のアンバランスがあると、洗濯脱水槽が大きく振動し、これに伴い外槽も大きく揺動して異常騒音や破損などの原因となる。本発明は、このような洗濯物の片寄りによる重量のアンバランスを電気的に検知する新規な方式を提供する。
【解決手段】モータの回転速度を低速上位目標回転速度へ上昇するときの所定時間ごとの回転速度の差による値と、所定の閾値との比較により、洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1検知手段と、低速上位目標回転速度を維持するためのデューティ比の減少と基準デューティ比減少との差と、閾値との比較によって洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2検知手段とで縦揺れの異常振動を検知し、高速回転でデューティ比の変化を見て、基準デューティ比により閾値を切り替え、モータの停止制御をする第3検知手段で、高速回転での横揺れの異常振動を検知。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯機に関し、特に、上面が開口した洗濯脱水槽を垂直又は傾斜した軸を中心に回転可能に備える縦型の洗濯機に好適な洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な縦型の全自動洗濯機では、有底円筒形状の外槽が振動吸収用の吊棒により懸垂支持され、その外槽の内側に、同じく有底円筒形状で周囲に多数の脱水孔を穿孔した洗濯脱水槽が垂直又は傾斜した軸を中心に回転自在に配設され、その槽の内底部には撹拌用のパルセータ(撹拌翼)が回転自在に設けられている(例えば特許文献1、特許文献4など参照)。
【0003】
こうした洗濯機では、洗濯脱水槽とパルセータとを一体的に高速で回転させることで洗濯物の脱水を行うが、その際に回転軸周りに洗濯物の片寄りによる重量のアンバランスがあると、洗濯脱水槽が大きく振動し、これに伴い外槽も大きく揺動して異常騒音や破損などの原因となる。
【0004】
そこで、従来では、このような洗濯物の片寄りによる重量のアンバランスを機械的に検知する方式と電気的に検知する方式があり、通常、この両方が併用されている。この機械的検知方式としては、従来一般に、外槽の異常な振動を検知するために外槽と外箱との間の空隙に振動検知レバーを設け、外槽がこの振動検知レバーに接触するとスイッチが作動して洗濯脱水槽の回転を停止し、洗濯脱水槽内に給水を行ってパルセータを回転駆動することですすぎを行うことによりアンバランスの修正を行うことが行われている。
【0005】
しかしながら、このように機械的検知方式の場合、洗濯脱水槽の回転速度を上げる途中や高速脱水回転中に、主として、洗濯脱水槽が大きな揺れを生じた場合、その大きな揺れを検知するために設けたものであり、その検知に基づき洗濯脱水槽の回転を停止させる制御となる。しかし、機械的検知方式では検知できない上下振動や、高速回転での機械的検知方式では検知できない異常振動については、より確実に且つより迅速に異常振動を検知するために、従来、電気的に洗濯脱水槽の振動に対応した現象を検知することで、アンバランスを検知する方式が併用されている。
【0006】
この電気的に検知する方式としては、アンバランスが大きいと洗濯脱水槽の回転速度のむらが大きくなることから、モータが設定した定常の高速脱水回転速度(例えば、1200rpm)に到達した時点で、インバータ駆動によるモータ制御のPWM信号のデューティ比の変動を検知する方式(例えば特許文献1または特許文献3参照)、或いは、モータの回転速度の変化量を検知する方式(例えば特許文献2参照)が知られている。
【0007】
しかしながら、特許文献2のように、モータの回転速度や加速度は、モータに付設したホール素子などにより生成されるパルス信号に基づき検出されるが、様々な外乱要因や製品のばらつきなどにより、アンバランス状態(異常振動)であると検知する虞がある。具体的には、洗濯脱水槽の回転速度を上昇させる過程で洗濯機の共振点を通過するため洗濯脱水槽に振動や振れが生じると、その影響で回転むらが生じてこれをアンバランス状態であると検知する場合がある。また、モータの磁石やホール素子の取り付け位置のばらつき、或いはモータのロータの面振れ精度など、機械的精度が低い場合に、正常回転中であっても回転むらが生じていると判断してアンバランスと検知する場合がある。
【0008】
また、特許文献1または特許文献3のように、モータの回転速度が設定した定常の目標高速脱水回転速度(例えば、800rpm)に維持されている状態で、PWM信号のデューティ比の変動によりアンバランスを検知しようとする場合、アンバランスが大きいと回転速度が定常の目標高速脱水回転速度に到達したとき、アンバランス検知を実行するよりも前に大きな振動が発生してしまうおそれがある。
【0009】
このように、アンバランスが大きい場合には、目標高速脱水回転速度に到達してアンバランス検知を実行するよりも前に大きな振動が発生してしまうおそれがある点に鑑み、モータの回転速度が目標高速脱水回転速度に維持される前の段階、即ち、異常振動が発生する前に未然にアンバランスを検知することにより、洗濯脱水槽の回転初期に発生する異常振動を未然に防止する技術がある(例えば特許文献4参照)。
【0010】
この特許文献4の技術は、モータの回転速度を120rpmから240rpmまで立ち上げる際の加速運転中に、加速開始から5秒経過後にモータをインバータ制御するためのPWM信号のデューティ比を取得してこれを基準値とする。それから、所定時間間隔でデューティ比を取得し、基準値との差異を積算してその積算値が予め決めた範囲を越えた場合には、偏心が大きいと判断して脱水を中止してすすぎ運転を行う。このように、モータの回転速度が上昇中に、即ち洗濯脱水槽の回転速度が上昇中に判定する方式であるため、加速開始から10秒以内に基準値との差異の積算値が所定範囲に収まっていれば、偏心は小さいと判断し目標高速脱水回転速度により脱水を遂行するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平4−314496号公報
【特許文献2】特開2002−028393号公報
【特許文献3】特開2000−325695号公報
【特許文献4】特開2008−035925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が対象とする全自動洗濯機、即ち、上記のように、有底円筒形状の外槽が振動吸収用の吊棒により懸垂支持され、その外槽の内側に、同じく有底円筒形状で周囲に多数の脱水孔を穿孔した洗濯脱水槽が垂直又は傾斜した軸を中心に回転自在に配設され、その槽の内底部には撹拌用のパルセータ(撹拌翼)が回転自在に設けられている縦型の全自動洗濯機では、洗濯脱水槽に入れた洗濯物(負荷ともいう)に偏りが生じた状態、即ち、偏芯荷重状態において脱水運転が行なわれた場合は、脱水運転の初期の低速運転領域で生じる横揺れ共振点を通過し、回転数の増加に伴って縦揺れ共振点を通過し、設定した目標高速脱水回転速度に近づくに連れて横揺れ共振点に至り、異常振動状態となることが判明している。
【0013】
本発明は、このような点に鑑み、脱水運転初期に生じる横揺れは、従来同様に上記のような機械的検知方式による検知、即ち、上記のように振動により外槽が振動検知レバーに接触しスイッチが作動することにより、洗濯脱水槽の回転を停止する制御方式で対処するが、次いで生じる縦揺れについては、モータの回転速度を利用した縦揺れ前兆の検知(これを第1検知とする)と、インバータ駆動によるモータ制御のPWM信号のデューティ比を利用した縦揺れ前兆の検知(これを第2検知とする)を採用することによって、洗濯脱水槽に入れた洗濯物(負荷ともいう)の偏りによって生じる異常振動の前兆を事前にキャッチし、迅速且つ精度よく異常振動を防止して、洗濯機が異常振動によって故障しないように早期に停止するなどの対処ができるようにするものである。
【0014】
本発明は、更に、設定した定常の高速脱水回転速度に近づくに連れて生じる横揺れについての検知(これを第3検知とする)を採用することにより、脱水運転初期から定常の高速脱水回転速度に至る過程において、洗濯脱水槽に入れた洗濯物(負荷ともいう)の偏りによって生じる異常振動の前兆を事前にキャッチすることにより、迅速且つ精度よく異常振動を防止して、洗濯機が異常振動によって故障しないように早期に停止するなどの対処ができるようにする技術も提供する。
【0015】
また、洗濯脱水槽に入れた洗濯物(負荷ともいう)が少量の場合や、毛布のように多量の水を含んだ洗濯物(負荷ともいう)の場合には、従来方式では検知し難かったが、本発明は、これらの場合でも的確に、洗濯脱水槽に入れた洗濯物(負荷ともいう)の偏りによって生じる異常振動の前兆を事前にキャッチすることにより、迅速且つ精度よく異常振動を防止して、洗濯機が異常振動によって故障しないように早期に停止するなどの対処ができるようにする技術も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
脱水運転初期に生じる横揺れは、振動により前記外槽が振動検知レバーに接触しスイッチが作動することにより、前記洗濯脱水槽の回転を停止する制御方式とし、次いで生じる縦揺れについては、前記モータの回転数を利用して縦揺れ前兆検知(これを第1検知とする)をし、前記モータ制御のPWM信号のデューティ比を利用した縦揺れ前兆検知(これを第2検知とする)をする。
更に、前記目標高速脱水回転速度に近づくに連れて生じる横揺れは、モータの高速回転状態でモータ制御のPWM信号のデューティ比をそのときの条件に補正した補正デューティ比の変化を見て、高速回転状態に入る前に得た基準デューティ比により切り替えた閾値と、補正デューティ比とを比較して、異常検知を判定する横揺れ前兆検知(これを第3検知という)を行なう。
このように、脱水運転初期から目標高速脱水回転速度に至る過程において、洗濯脱水槽に入れた洗濯物(負荷ともいう)の偏りによって生じる異常振動の前兆を事前にキャッチすることにより、迅速且つ精度よく異常振動を防止して、洗濯機が異常振動によって故障しないように早期に停止するなどの対処ができるようにする技術である。
【0017】
第1発明は、外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを所定の低速下位目標回転速度から所定の低速上位目標回転速度まで一定加速するように前記目標高速脱水回転速度よりも低い領域に設定された第1の一定加速領域において、
前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇するときの所定時間ごとの回転速度の差による値と、所定の閾値との比較により、前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1検知手段を備え、前記第1検知手段で前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
第2発明は、外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを一定の目標回転速度で運転する定速回転領域を設け、前記一定の目標回転速度を維持するためのデューティ比の減少と基準デューティ比減少との差と、閾値との比較によって前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2検知手段を備え、前記第2検知手段で前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
第3発明は、外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを所定の低速下位目標回転速度から所定の低速上位目標回転速度まで一定加速するように前記目標高速脱水回転速度よりも低い領域に設定された第1の一定加速領域において、
前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇するときの所定時間ごとの回転速度の差による値と、所定の閾値との比較により、前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1検知手段と、
前記低速上位目標回転速度を維持するためのデューティ比の減少と基準デューティ比減少との差と、閾値との比較によって前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2検知手段と、を備え、
前記第1検知手段及び第2検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
第4発明は、外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを所定の低速下位目標回転速度から所定の低速上位目標回転速度まで一定加速するように前記目標高速脱水回転速度よりも低い領域に設定された第1の一定加速領域において、
前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇させる指令値と実際の回転速度の上昇値とのずれを算出する第1差算出手段と、
前記第1差算出手段による値と所定の閾値との比較により、前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1アンバランス判定手段とを備えた第1検知手段と、
前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を基準デューティ比とする基準値設定手段と、前記基準値設定手段による基準デューティ比の設定後に前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を逐次取得し、この取得したデューティ比と基準デューティ比減少関数との差を算出する第2差算出手段と、前記第2差算出手段による差と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2アンバランス判定手段とを備えた第2検知手段と、
前記第1検知手段及び第2検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
第5発明は、外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを所定の低速下位目標回転速度から所定の低速上位目標回転速度まで一定加速するように前記高速脱水回転速度よりも低い領域に設定された第1の一定加速領域において、前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇させる指令値に対する加速度の変化を算出する第1算出手段と、前記第1差算出手段による算出値と所定の閾値との比較により、前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1アンバランス判定手段とを備えた第1検知手段と、
前記中位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を基準デューティ比とする基準値設定手段と、前記基準値設定手段による基準デューティ比の設定後に前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を逐次取得し、この取得したデューティ比と基準デューティ比減少関数(基準デューティ比が時間の経過と共に減少する値として定めた設定値)との差を算出する第2差算出手段と、前記第2差算出手段による差と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2アンバランス判定手段とを備えた第2検知手段と、
前記第1検知手段及び第2検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
第6発明は、外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを所定の低速下位目標回転速度から所定の低速上位目標回転速度まで一定加速するように前記目標高速脱水回転速度よりも低い領域に設定された第1の一定加速領域において、前記洗濯脱水槽の縦揺れを検知する第1検知手段と、前記判定時間後の前記モータの所定回転速度のもとで前記洗濯脱水槽の縦揺れを検知する第2検知手段を備え、
前記第1検知手段は、前記判定時間において前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇するときの所定間隔で検知した回転速度の上昇値(差)の複数の積算値を算出する第1差算出手段と、
前記モータの回転数の差の複数値の積算値を算出する手段と、前記積算値と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1アンバランス判定手段を備え、
前記第2検知手段は、前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を基準デューティ比とする基準値設定手段と、前記基準値設定手段による基準デューティ比の設定後に前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を逐次取得し、この取得したデューティ比と基準デューティ比減少関数(基準デューティ比が時間の経過と共に減少する値として定めた設定値)との差を算出する第2差算出手段と、前記第2差算出手段による差と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2アンバランス判定手段を備え、
前記第1検知手段及び第2検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
第7発明は、外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを所定の低速下位目標回転速度から所定の低速上位目標回転速度まで一定加速するように前記目標高速脱水回転速度よりも低い領域に設定された第1の一定加速領域において、前記洗濯脱水槽の縦揺れを検知する第1検知手段と、前記判定時間後の前記モータの所定回転速度のもとで前記洗濯脱水槽の縦揺れを検知する第2検知手段を備え、
前記第1検知手段は、前記判定時間において前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇するときの所定間隔で検知した回転速度の上昇値(差)を算出する第1差算出手段と、
前記上昇値(差)と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1アンバランス判定手段を備え、
前記第2検知手段は、前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を基準デューティ比とする基準値設定手段と、前記基準値設定手段による基準デューティ比の設定後に前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を逐次取得し、この取得したデューティ比と基準デューティ比減少関数(基準デューティ比が時間の経過と共に減少する値として定めた設定値)との差を算出する第2差算出手段と、前記第2差算出手段による差と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2アンバランス判定手段を備え、
前記第1検知手段及び第2検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
第8発明は、第3発明乃至第7発明のいずれかにおいて、洗濯機の動作モードを選択する操作部を備え、前記操作部において毛布コースが選択されている場合、前記第1検知手段及び第2検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記制御手段によるモータ停止制御状態が連続して所定回数に達したか否かの連続状態判定手段を備え、前記連続状態判定手段による判定が、連続して所定回数に達した判定でないときは再度前記第1検知手段から検知動作を再開し、連続して所定回数に達した判定の場合は、前記洗濯脱水槽へ所定の注水をした後、アンバランスを自動解消するためのすすぎ工程を行なうことを特徴とする。
【0025】
第9発明は、外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
振動の影響を受け難い中速回転速度と前記洗濯脱水槽の負荷量によって略決まる補正デューティ比(α値)を基準デューティ比とし、高速回転速度においてα値によって変化する閾値(回転速度とこの基準デューティ比との関数)を基準デューティ比の測定で決定し、補正デューティ比が閾値以上または超えたとき前記モータを停止制御するか、前記補正デューティ比が閾値以上または超えたときの回転速度により、脱水工程を続けるための回転速度の変更をする第3検知手段を備え、前記第3検知手段で前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
第10発明は、第1発明乃至第8発明のいずれかにおいて、振動の影響を受け難い中速回転速度と前記洗濯脱水槽の負荷量によって略決まる補正デューティ比(α値)を基準デューティ比とし、高速回転速度においてα値によって変化する閾値(回転速度とこの基準デューティ比との関数)を基準デューティ比の測定で決定し、補正デューティ比が閾値以上または超えたとき前記モータを停止制御するか、前記補正デューティ比が閾値以上または超えたときの回転速度により、脱水工程を続けるための回転速度の変更をする第3検知手段を備え、前記第1検知手段、第2検知手段、及び第3検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
第11発明は、第1発明乃至第8発明、及び第10発明のいずれかにおいて、前記インバータ回路の直流電源電圧は、商用電源電圧から整流しコンデンサに充電した直流電圧であり、前記第2検知手段による検知後から前記目標高速脱水回転速度に達するまでの高速回転領域に第2の一定加速領域が設定され、前記第2の一定加速領域において前記PWM信号のデューティ比を逐次取得するデューティ比取得手段と、この逐次取得したデューティ比を前記直流電圧が所定の定常状態から低下した状態にあるとき前記所定の定常状態での前記直流電源電圧に相当するよう補正した第2の補正デューティ比とする補正手段と、この第2の補正デューティ比と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第3アンバランス判定手段とを備えた第3検知手段を備え、
前記第1検知手段、第2検知手段、及び第3検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0028】
第12発明は、第1発明乃至第8発明、第10発明及び第11発明のいずれかにおいて、前記モータを前記低速下位目標回転速度から前記低速上位目標回転速度までの一定加速は、前記インバータ回路によって前記モータがフル加速度状態で一定加速される状態であることを特徴とする。
【0029】
第13発明は、第1発明乃至第8発明、及び第10発明乃至第12発明のいずれかにおいて、前記第1検知手段による検知が、前記判定時間中の前記低速下位目標回転速度から前記低速上位目標回転速度までの間に、洗濯機の共振点が存在することを特徴とする。
【0030】
第14発明は、第4発明乃至第8発明、及び第10発明乃至第13発明のいずれかにおいて、前記第2差算出手段での差の算出を、前記洗濯脱水槽内の負荷量によって変化させることを特徴とする。
【0031】
第15発明は、第4発明乃至第8発明のいずれかにおいて、前記インバータ回路の直流電源電圧は、商用電源電圧から整流しコンデンサに充電した直流電圧であって、前記直流電圧が所定の定常状態から低下した状態にあるとき、前記基準デューティ比及び前記取得したデューティ比のうち、少なくとも前記基準デューティ比を、前記所定の定常状態での前記直流電源電圧に相当するよう補正した補正デューティ比とすることを特徴とする。
【0032】
第16発明は、第4発明乃至第8発明、及び第15発明のいずれかにおいて、前記基準デューティ比及び前記補正デューティ比は、それぞれ所定時間間隔にて取得した値の平均値とし、前記取得したデューティ比は、それぞれ所定時間間隔にて取得した値の中間値としたことを特徴とする。
【0033】
第17発明は、第15発明または第16発明において、前記第2検知手段は、前記補正デューティ比が一定値以上で、且つ前記洗濯脱水槽内の洗濯物の量が一定値以下の場合のみ行なわれることを特徴とする。
【0034】
第18発明は、第15発明または第16発明において、前記第2検知手段は、前記洗濯脱水槽内の洗濯物の量が測定できない場合は、前記補正デューティ比が一定値以上である場合のみ行なわれることを特徴とする。
【0035】
第19発明は、第1発明乃至第8発明、及び第10発明乃至第18発明のいずれかにおいて、脱水工程に際し前記モータが前記低位回転速度に維持された状態から、前記第1検知手段による検知が行われることを特徴とする。
【0036】
第20発明は、第11発明乃至第14発明のいずれかにおいて、前記第3アンバランス判定手段は、前記第2の補正デューティ比の所定時間ごとに取得した最新のものの複数の積算値と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明では、低速回転では、第1検知手段及び第2検知手段により縦振動を検知し、高速回転においては第3検知手段により横振動を検知することができるため、これらの単独またはこれらの組み合わせによって、脱水運転初期から目標高速脱水回転速度に至る過程において、洗濯脱水槽に入れた洗濯物(負荷ともいう)の偏りによって生じる異常振動の前兆を事前にキャッチすることにより、迅速且つ精度よく異常振動を防止して、洗濯機が異常振動によって故障しないように早期に停止するなどの対処ができる。
【0038】
また本発明では、前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇するときの所定時間ごとの回転速度の差による値と、所定の閾値との比較により、前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1検知手段と、前記低速上位目標回転速度を維持するためのデューティ比の減少と基準デューティ比減少との差と、閾値との比較によって前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2検知手段とで縦揺れの異常振動を検知するため、低速回転での異常縦振動の検知が良好となる。
【0039】
また本発明では、異常振動の検知として、デューティ比と閾値との比較に、電源電圧による補正デューティ比と基準デューティ比を設けることで、負荷量や制御回路や洗濯機のバラツキに影響なく検知動作が達成できる。
【0040】
また本発明では、高速回転での横揺れの異常振動の第3検知手段として、高速回転でデューティ比の変化を見て、基準デューティ比により閾値を切り替え、モータの停止制御をしているため、高速回転での横揺れの速やかな異常検知が行なえるものとなる。
【0041】
また本発明では、高速回転での横揺れの異常振動の検知として、高速回転でデューティ比の変化を見て、基準デューティ比により閾値を切り替え、目標高速脱水回転速度を切り替えて脱水工程を継続するため、予定の脱水を終了することができる。
【0042】
また本発明では、低速回転での縦揺れの異常振動の検知として、回転速度の差の積算値を採用し、また高速回転での横揺れの異常振動の検知として、補正デューティ比の積算値を採用するため、制御回路のプログラム内の誤差による影響をなくして検知ができるものとなる。
【0043】
また本発明では、洗濯脱水槽内の洗濯物が毛布のように多量に水を含んでいる場合の異常検知も良好に行えるものであり、異常検知によるモータの停止が連続して所定回数に達した場合は、洗濯脱水槽へ所定の注水をした後、アンバランスを自動解消するためのすすぎ工程を行なうことにより、アンバランスを自動解消できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る洗濯機の全体構成を示す要部縦断側面図である。
【図2】本発明に係る洗濯機の駆動機構部を一部断面で示す構成図である。
【図3】本発明に係る洗濯機の電気制御回路構成図である。
【図4】本発明に係る洗濯機の操作パネル部の平面図である。
【図5】本発明に係る洗濯機の脱水工程における振動検知シーケンスを示す図である。
【図6】本発明に係る洗濯機の脱水工程における低速領域での第1検知及び第2検知のフローチャートである。
【図7】本発明に係る第1検知のフローチャートである。
【図8】本発明に係る第1検知シーケンスの詳細図である。
【図9】本発明に係る第2検知のフローチャートである。
【図10】本発明に係る第2検知シーケンスの詳細図である。
【図11】本発明に係る洗濯機の脱水工程における高速領域での第3検知のフローチャートである。
【図12】本発明に係る第3検知の回転速度600〜699rpmにおけるフローチャートである。
【図13】本発明に係る第3検知の回転速度700〜目標回転速度におけるフローチャートである。
【図14】本発明に係る第3検知における偏芯積算値と閾値との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した高速脱水回転速度に至る過程において、洗濯脱水槽に入れた洗濯物(負荷ともいう)の偏りによって生じる異常振動の前兆を事前にキャッチすることにより、迅速且つ精度よく異常振動を防止して、洗濯機が異常振動によって故障しないように早期に停止するなどの対処ができるようにする技術である。
【0046】
このため、本発明では、脱水運転初期に生じる横揺れは、振動により前記外槽が振動検知レバーに接触しスイッチが作動することにより、前記洗濯脱水槽の回転を停止する機械的検知方式で検知するが、更に回転速度が上昇したときの振動検知については、この機械的検知方式で検知できない振動があり、この検知として、低速回転時の縦振動と、高速回転時の横振動は、モータの回転速度を制御する制御部のプログラムによる電気的検知方式にて検知する方式を採用している。
【0047】
この電気的検知方式として、脱水工程における低速回転速度状態での縦揺れによる異常振動を、モータの回転速度の変化を検知して、異常振動のときはモータを停止するように縦揺れ前兆検知(これを第1検知という)をし、更に、モータの低速回転状態でモータ制御のPWM信号のデューティ比の変化を検知して、異常振動のときはモータを停止するように縦揺れ前兆検知(これを第2検知という)を行なう。更にモータの高速回転状態では、モータの高速回転状態でモータ制御のPWM信号のデューティ比をそのときの条件に補正した補正デューティ比の変化を見て、高速回転状態に入る前に得た基準デューティ比により切り替えた閾値と、補正デューティ比とを比較して、異常検知を判定する横揺れ前兆検知(これを第3検知という)を行なうものである。
【0048】
一般の洗濯機では、機械的検知方式を採用し、これに更に何らかの電気的振動検知方式を採用しており、本発明の洗濯機も、機械的検知方式を採用すると共に、これに更に特定の電気的振動検知方式を採用するものである。この本発明の特定の電気的振動検知方式は、後述する上記第1検知、第2検知、第3検知を包含するが、これらを全て備えることを必須とするのではなく、例えば、第1検知及び第2検知を備えたもの、また第1検知及び第3検知を備えたもの、また第2検知及び第3検知を備えたもの、更に第1検知、第2検知、第3検知を備えたもの、などこれらの選択的組み合わせによって異常振動を検知する構成とすることができる。
以下、本発明の実施例を記載する。
【実施例1】
【0049】
以下、本発明に係る洗濯機の実施例を図に基づき説明する。本発明に係る洗濯機SWは、上面に洗濯物投入口2が形成された外箱1の内部には、合成樹脂製の有底円筒形状の外槽4が吊棒5A及びコイルバネを含むダンパ機構5Bで構成したサスペンション5(図1では前後に各1本ずつが見えているが実際には前後に各2本ずつ存在する)により揺動自在に吊り下げ支持されており、これにより外槽4の振動が外箱1に伝わることを防止している。洗濯物投入口2は起立時に2つ折り可能な上蓋3Aにより開閉自在となっている。外槽4の内部には、周壁に多数の通水孔7を有する洗濯脱水槽6がその底壁下面の中央に固定された略垂直に延伸する槽軸8を中心に回転自在に軸支されている。洗濯脱水槽6の内底部には洗濯物を撹拌するためのパルセータ(本発明における撹拌体)9が槽軸8の内側に嵌挿された翼軸10を中心に回転自在に設けられている。外槽4の上面開口4Kは、上面開口4Kの周囲を巡るカバー4Bを備え、カバー4Bの開口が内蓋3Bによって開閉自在である。外槽4は低コスト化のためにポリプロピレン樹脂で作製されている。また、洗濯脱水槽6は、強度確保と防錆のためにステンレススチール製である。
【0050】
外槽4の底部には、上記洗濯脱水槽6及びパルセータ9を駆動する駆動機構11が設けられている。この駆動機構11は、槽軸8及び翼軸10と同軸的に設けられたDCブラシレスモータであるモータ12と、該モータ12の回転駆動力を翼軸10のみに伝えるか、翼軸10と槽軸8の両方に伝えるかを切り替えるクラッチ機構13と、モータ12の回転駆動力を翼軸10のみに伝える際に回転速度を所定の減速比で減速する減速機構14と、を含む。クラッチ機構13は外槽4の底面下に取り付けられたトルクモータ16の動作により、パルセータ9のみが一方向又は両方向に回転可能なように槽軸8と翼軸10とを切り離す、或いは、洗濯脱水槽6とパルセータ9とが一体に一方向に回転可能なように槽軸8と翼軸10とを接続させる。また、槽軸8と翼軸10とが切り離されるときには、槽軸8の回転はバンドブレーキ機構(本発明における機械式のブレーキ機構に相当)15により制止される。
【0051】
外槽4の上部後方には、内部に収容した洗剤等を投入するための洗剤容器及び柔軟仕上げ剤容器を備えた注水口部17が設けられている。外箱1の上面後部には外部の水道栓等にホースを介して接続される給水口18が設けられ、給水口18に接続される給水19は給水バルブ20を介して注水口部17に接続されている。給水バルブ20が開放されると、水道栓から供給される水道水が給水管19を通して注水口部17に流れ込み、カバー4Bを貫通して配置した注水口部17の出口17Dから、下方の外槽4内に向けて水が吐き出される。洗剤容器内の所定個所に予め洗剤を収容しておくことにより、外槽4内に吐き出される水に洗剤を混入させることができ、これにより洗剤の自動投入が可能である。なお、この洗濯機では、洗濯脱水槽6内への他の給水手段として風呂水ポンプ48が設けられているが、ここでは説明を省略する。
【0052】
注水口部17に隣接して、または注水口部17のケース内に、洗濯脱水槽6内で洗濯が終わった洗濯物を乾燥工程にて乾燥させるための乾燥ユニットKSが設けられている。乾燥ユニットKSは、ケース内にシロッコファンFAと電気ヒータHTを備え、シロッコファンFAの運転によって、外槽4と洗濯脱水槽6との間の空気をカバー4Bを貫通して配置した吸い込み口INから吸い込み、電気ヒータHTで加熱した温風を、カバー4Bを貫通して配置した出口UTから洗濯脱水槽6内へ送り込み、この温風が通水孔7を通って外槽4と洗濯脱水槽6との間へ流出し、再び吸い込み口INから吸い込まれるルートの空気循環が行なわれる。電気ヒータHTで加熱した温風の温度は、サーミスタ45にて検出し、後述の主制御部40によって、乾燥工程での温風温度が所定温度になるように電気ヒータHTの通電を制御する。
【0053】
外槽4の底部には排水口21が設けられ、排水口21に接続された排水管22の管路は排水バルブ23により開閉される。この排水バルブ23の開閉動作は上記クラッチ機構13の動作(つまりトルクモータ16の動作)と連動しており、パルセータ9が洗濯脱水槽6と切り離されて単独で回転可能な状態(洗濯脱水槽6はバンドブレーキ機構15により回転が拘束されている)では排水バルブ23は閉鎖し、パルセータ9と洗濯脱水槽6とが一体回転可能な状態では排水バルブ23は開放する。
【0054】
洗濯脱水槽6の内壁面には上下端に開口を有する循環水路26が形成されており、パルセータ9の下方の洗濯脱水槽6の底壁面には通水口27が設けられている。外槽4内に適宜量の水が貯留した状態でパルセータ9が回転駆動されると、パルセータ9の裏面に設けられた裏羽根のポンプ作用により、通水口27を通して洗濯脱水槽6底壁と外槽4底壁との間の水が洗濯脱水槽6内へと吸い上げられ、循環水路26の下端開口へと送り込まれる。その水は循環水路26内を上昇し、その上部に設けられている糸屑フィルタ28を経て洗濯脱水槽6内へと吐き出される。これによって、水中に浮遊している糸屑やゴミなどが捕集される。
【0055】
また、外槽4と外箱1との間の空隙には後述する振動検知スイッチ47に接続された振動検知レバー(本発明における振動検知手段に相当)29が設置され、外槽4が異常に大きく揺動したときに機械的にこの揺動を検知できるようになっている。更に、図示しないが外槽4の底部にはエアトラップが形成され、エアトラップに接続されたエアホースの他端は後述する水位センサ46に接続されている。これにより、洗濯脱水槽6内に貯留された水の水位が検知可能となっている。また、外箱1の上面の前部側には操作パネル30が設けられ、その下方には各種の電気部品が搭載された電気基板を含む回路ユニット31が配置されている。
【0056】
駆動機構11の構成について、図2により詳しく説明する。外槽4の底部に取り付けられる金属製のモータ取付台50には、下方に開口した上部軸受ケース51が一体に設けられ、上部軸受ケース51の下方には上方に開口した下部軸受ケース52がモータ取付台50に固定されている。上部軸受ケース51内の上部には上部ベアリング53及びオイルシール54が設けられ、これらを介して、槽軸8は水密且つ回転自在に指示されている。槽軸8の下端の外側には、上部歯車ケース55と下部歯車ケース56とから成る歯車ケースが固定されており、この歯車ケースの内部には、上記減速機構として機能する歯車機構57が収容されている。歯車機構57は、下端にモータ12のロータ122が固定された駆動軸58を介して与えられる駆動力を所定の減速比で減速して翼軸10に伝えるためのものである。下部軸受ケース52内の下部には下部ベアリング59が設けられ、これを介して歯車ケースは回転自在に指示されている。つまり、槽軸8、上部歯車ケース55及び下部歯車ケース56は一体に、上部ベアリング53及び下部ベアリング59により回転自在に支持されている。
【0057】
モータ12は、所謂アウタロータ型のモータであり、ステータ121と、ステータ121を取り囲むように外周側に配置されたロータ122と、下部軸受ケース52の下部に固定され、ステータ121を保持するとともにクラッチ機構13を内包するステータ固定台123とで構成されている。駆動軸58が固定されたロータ122は有底扁平円筒形状を有しており、その周壁の内方にステータ121に対向するように回転方向に沿って複数の磁石124が配置されている。また、ステータ固定台123の天面裏側の複数個所(図2では1個所のみが現れているの)には、ロータ122の磁石124の磁力を検知してロータ122の回転位置を検出するホール素子125が取り付けられている。
【0058】
クラッチ機構13は駆動軸58の下端部に設けられ、その外径が下部歯車ケース56の下端部の外径とほぼ同じであるクラッチホイール60と、クラッチホイール60から下部歯車ケース56の下端部にかけてその外周に巻回されたクラッチスプリング61と、クラッチスプリング61の周囲に設けられ、クラッチスプリング61の下側の端部が係着されたツメ車62と、このツメ車62に係合・離脱するツメ部63が先端に設けられたクラッチレバー64とを含む。クラッチレバー64は垂直に延伸するクラッチ軸65を中心に回転自在に支持され、コイルスプリング66によってツメ部63がツメ車62に係合する方向に付勢されている。
【0059】
バンドブレーキ機構15は、ブレーキドラム面である上部歯車ケース55の外周面に巻回されたブレーキバンド67と、ブレーキバンド67を締めたり緩めたりするためのブレーキレバー68とを含む。ブレーキレバー68は、クラッチレバー64の上方位置で、クラッチレバー64と同様にクラッチ軸65に回転自在に支持されている。ブレーキレバー68及びクラッチレバー64は図示しない連結部材やワイヤによりトルクモータ16に接続されており、トルクモータ16に連動して動作する。
【0060】
駆動源であるトルクモータ16に通電がされていない状態では、クラッチレバー64のツメ部63がツメ車62に係合されている。このため、クラッチスプリング61の下端側が拡開方向に変位しており、クラッチホイール60と下部歯車ケース56下端部とは結合されていない。したがって、モータ12の回転駆動力は槽軸8には伝わらず、翼軸10のみに伝わる状態となる。また、このときブレーキレバー68によりブレーキバンド67は締められており、バンドブレーキ機構15の制動力により上部歯車ケース55つまり洗濯脱水槽6は固定された状態になる。
【0061】
上記状態では、モータ12の回転駆動力は駆動軸58から歯車機構57、つまり減速機構14を経て翼軸10に伝わるため、洗濯脱水槽6は回転せずにパルセータ9のみがモータ12の回転速度よりも所定の減速比だけ減速された回転速度で同方向に回転駆動される。こうした回転駆動は、洗濯脱水槽6内に水を貯留した洗い運転やすすぎ運転等の際に利用される。
【0062】
トルクモータ16に通電がされると、トルクモータ16が動作して図示しないワイヤを巻き取り、これによってクラッチレバー64がコイルスプリング66による付勢方向に抗する方向に回動し、ツメ部63がツメ車62から離脱する。これにより、クラッチスプリング61の変位は解除され、クラッチスプリング61の締め付けによってクラッチホイール60と下部歯車ケース56下端部とが結合される。したがって、モータ12の回転駆動力が、槽軸8と翼軸10との両方に直接伝わる状態となる。また、クラッチレバー64が回動すると、図示しない連結部材を介してブレーキレバー68も回動しブレーキバンド67が緩む。これにより、バンドブレーキ機構15による制動力が解除されて、洗濯脱水槽6の固定が解除され、自由に回転できる状態となる。
【0063】
上記状態では、モータ12の回転駆動力は駆動軸58から下部歯車ケース56、上部歯車ケース55、槽軸8に伝わり、また上部歯車ケース55から歯車機構57を経て直接翼軸10にも伝わるため、洗濯脱水槽6とパルセータ9とは一体的に、モータ12と同じ回転速度、回転方向に回転駆動される。こうした回転駆動は脱水工程等の際に利用される。
【0064】
次に、本実施例の洗濯機の電気系の構成について図3により説明する。図3は本発明に係る洗濯機SWの電気制御回路構成図である。
【0065】
制御の中心には、CPU、RAM、ROM、タイマなどを含んで構成される主制御部(本発明におけるアンバランス検知手段、運転制御手段、負荷量推定手段、各判定手段、演算手段に相当)40が据えられている。主制御部40には、コース選択キーやスタートキー等の複数の操作キーを備える操作部43からキー信号が、サーミスタ45から電気ヒータHTで加熱した温風の温度信号が、水位センサ46から外槽4の内部に貯留された水の水位に応じた水位検知信号が、振動検知スイッチ47から外槽4の大きな揺動を検知したときに発せられる振動検知信号が、それぞれ入力される。主制御部40は、負荷駆動部41を介して、給水バルブ20の開閉動作と、風呂水ポンプ48の動作と、トルクモータ16の動作を制御する。上述したようにトルクモータ16により、クラッチ機構13の連結・離脱動作と、バンドブレーキ機構15による洗濯脱水槽6の制動・解除と、排水バルブ23の開閉動作とが達成される。さらにまた、主制御部40は、操作部43のキー入力の受付状態や洗濯の進行状況などを表示部44に表示させるとともに、使用者の注意を喚起するために必要に応じてブザー(本発明における異常報知手段)49を鳴動させる。
【0066】
また、モータ12を駆動するためにインバータ回路70を備える。インバータ回路70は、交流電力を直流電力に変換する交流直流変換回路71、直流電流を周期的にスイッチングしてモータ12に3相交流電流を供給する複数のスイッチング素子A〜Fを含むスイッチング回路72、後述するPWM信号を電力駆動して各スイッチング素子A〜Fに与える駆動部(駆動回路)73を含み、さらに主制御部40と相互に通信を行いつつスイッチング回路72の各スイッチング素子A〜Fをオン・オフするためのPWM信号を出力するモータ制御部(本発明における駆動制御手段に相当)74、上記ホール素子125を含みモータ12の回転に同期したパルス信号を生成する回転検出回路(本発明における速度検知手段に相当する)75と、を備える。インバータ回路70、駆動制御手段に相当するモータ制御部74、及び速度検知手段に相当する回転検出回路は、モータ12によって洗濯脱水槽6を低速から高速まで回転させるための回転駆動手段を構成する。
【0067】
駆動制御手段であるモータ制御部74は、速度検知手段である回転検出回路75により検知された回転速度と、電流検出回路77により検出したモータ電流とに基づいて、インバータ回路70に供給するPWM信号のデューティ比を決める。このPWM信号のデューティ比は、PWM信号の各パルスのオン/オフ1周期内でのオン(信号レベル「H」)時間の割合であり、このデューティ比を調整することによりモータ12に与える駆動電力を制御する。したがって、デューティ比を大きく(つまり100%に近く)すればモータ12のトルクは大きくなり、デューティ比を小さく(つまり0%に近く)すれば、モータ12のトルクは小さくなる。交流直流変換回路71は、商用交流電源ACを全波整流にて直流変換する整流回路ADと、この変換された直流を平滑するコンデンサC1、C2からなり、商用交流電源ACが100ボルトの場合、略280ボルトの直流電圧がスイッチング回路72の電源電圧としてラインL1、L2間に印加される。
【0068】
図4は操作パネル30を示す平面図であり、操作パネル30には、操作部43の操作キーとして、電源キー301、スタート及び一時停止キー302、洗濯コースのコース選択キー303、手動コース設定キー304、水量設定キー305、風呂水利用設定キー306、予約設定キー307などが設けられている。また、コース選択キー303で選択された洗濯コースの内容を表示する12個のLEDから成るコース表示器群308、手動コース設定キー304でそれぞれ設定された各行程の運転時間を表示する4個のLEDから成る設定内容表示器群309、水量設定キー305で選択された水量を表示する5個のLEDから成る水量表示器群310、運転の残り時間や予約設定キー307で設定された予約時間などを表示する数値表示器311などが設けられている。
【0069】
電源オフ状態であるときに使用者が電源キー301を押すと、操作パネル30上の全ての表示器(LED)が左端(つまり水量表示器群310)から右に移動するように順番に点灯してゆく。全ての表示器が1回点灯するため、もし表示器の故障や断線等により表示器が点灯しない場合に、使用者はこれを認識することができる。特に異常状態を報知する表示器が備えられている場合、その表示器が故障で点灯しないと異常状態を報知できなくなるが、上記電源投入時の点灯確認で故障の有無を確認することができる。なお、全ての表示器が一通り点灯した後には、予め決められた初期表示の表示器のみが点灯する。
【0070】
洗濯工程(洗い工程及びすすぎ工程)の開始において、排水バルブ23を閉じ、上記のように給水バルブ20が開放され、水道栓から水道水が洗濯脱水槽6へ給水され、外槽4と洗濯脱水槽6内に一定量の水が溜められる。洗い運転では、洗濯脱水槽6は回転せずにパルセータ9のみが、モータ12により正逆回転によって洗濯脱水槽6内の衣類などの洗濯物が所定時間洗濯された後、排水バルブ23を開いて外槽4と洗濯脱水槽6内の水が排水管22から排水される。この排水の後、モータ12により洗濯脱水槽6とパルセータ9が所定時間同時回転して、洗濯物の脱水を行う脱水運転(脱水工程)に入る。この脱水運転の後、すすぎ運転を行う。すすぎ運転は、再び排水バルブ33を閉じて、上記同様の給水によって洗濯水槽3に一定量の水を溜め、モータ6により洗濯脱水槽6は回転せずパルセータ9が正逆回転して、この水によって洗濯物のすすぎを所定時間行った後、排水バルブ33を開いて洗濯脱水槽6のすすぎ水が排水管22から排水され、その後、クラッチ機構13が動作し、モータ12により洗濯脱水槽6とパルセータ9が同時回転して洗濯物の脱水運転を行う。このすすぎ運転と脱水運転(脱水工程)は、通常複数回行なわれる。乾燥ユニットKSは、このようにすすぎ運転と脱水運転を複数回行なった後、乾燥機能(乾燥工程)を行うために備えられている。なお、上記給水によって、洗濯脱水槽6へ供給された水の水位が所定水位よりも高い場合は、オーバーフロー口から排水管22へ排出される構成となっている。
【0071】
次に、本実施例の洗濯機SWの特徴の1つである脱水工程における制御動作について、図5〜図14に従って説明する。洗濯機SWは、洗濯脱水槽6内での洗濯またはすすぎ工程が終わった後、脱水工程に入る。脱水工程では、モータ12の回転速度が設定した高速脱水回転速度に向けて上昇制御される。図5は本発明に係る洗濯機の脱水工程における振動検知シーケンスを示す図である。図5及びその他の図において、本発明の第1検知手段による第1検知を検知1として示し、第2検知手段による第2検知を検知2として示し、第3検知手段による第3検知を検知3として示している。
【0072】
脱水工程の開始時点では排水バルブ23は開放され、外槽4内の水は機外に排出されているものとする。この状態で脱水工程が開始されると、主制御部40は、まず、トルクモータ16をオンしてクラッチ機構13を切り替え、洗濯脱水槽6とパルセータ9とを一体的に回転可能な状態とした後、モータ12へ通電を行ってモータ12を起動させる。即ち、主制御部40は、停止状態にある洗濯脱水槽6とパルセータ9とを一体的に回転駆動するために、インバータ回路70に指示するPWMデューティ比を初期値として例えば18/255に設定する。これにより、このPWMデューティ比に応じた駆動電流がモータ12に供給される。
【0073】
これにより洗濯脱水槽6とパルセータ9とは一体に回転し始め(図6のステップS1)、主制御部40はモータ12のロータ122の回転に伴って出力される回転パルス信号をホール素子125によりモニタし、回転パルス信号が得られたか否かのモータロック判定ステップで判定し、回転パルス信号が得られない場合、即ちモータ12がロックしていると判定された状態では、PWMデューティ比を例えば4/255だけ増加させる。この増加量は、ホール素子125により得られた回転パルス信号から導出された回転速度と電流検出回路77より得られた電圧信号から導出されたモータ電流値を基にして決定される。そして、その状態で0.15秒が経過するまで待機し、洗濯脱水槽6が回転し始めるまでは、例えば0.15秒毎に4/255ずつPWMデューティ比を増加し、それによってモータ12のトルクは段階的に増加する。これを繰り返し、モータ12への通電開始から所定時間(例えば2秒)経過したとき、前記モータロック判定ステップで回転パルス信号が得られない場合には、モータ12がロックしていると判断し、主制御部40は、モータ12を停止状態に制御する。
【0074】
一方、前記モータロック判定ステップで回転パルス信号が得られた場合、即ちモータ12がロックしていないと判定されると、主制御部40は、モータ12の回転速度が所定の低速下位目標回転速度として設定した120rpmに到達したか否かを判定し、まだ120rpmに到達していなければPWMデューティ比を1/255だけ増加させる。そして、その状態で0.3秒が経過するまで待機し、再びモータ12の回転速度が120rpmに到達したか否かを判定するようにフローが循環する。このため、モータ12が回転し始めてからその回転速度が120rpmに到達するまでは、0.3秒毎に1/255ずつPWMデューティ比は増加され、それによってモータ12のトルクは徐々に増加し、図5に直線的に示すように、フル加速度(実施例では60rpm/s)よりも小さい加速度30rpm/sで加速される。そして、モータ12が120rpmに達したとき、主制御部40は、PWMデューティ比の値を固定した制御とし、モータ12が低速下位目標回転速度120rpmに維持される(図6のステップS2)。この低速下位目標回転速度は、洗濯機SWの共振点(通常、有底円筒形状の外槽4内で洗濯脱水槽6が回転する全自動洗濯機では、200〜250rpm程度であるが、本実施例では200rpmとする)よりも低い回転速度であり、本実施例では120rpmに設定されている。
【0075】
脱水運転初期に生じる横揺れは、上記のように、振動により外槽4が振動検知レバー29に接触し、振動検知スイッチ47が作動することにより、主制御部40はモータ12の回転を停止するように制御する機械的検知方式としている。なお、この機械的検知方式によるアンバランス判定は、脱水運転中に亘って行われる状態である。
【0076】
そして、この機械的検知方式によって異常振動が検出されないときは、モータ12の回転速度が更に上昇し、次いで生じる縦揺れについては、脱水工程における縦揺れでの異常振動を、モータ12の低速回転状態でモータ12の回転速度の変化を検知して、異常振動のときはモータ12を停止するように縦揺れ前兆検知(これを第1検知という)を行い、更に、モータ12の低速回転状態でモータ12の制御のPWM信号のデューティ比の変化を検知して、異常振動のときはモータ12を停止するように縦揺れ前兆検知(これを第2検知という)を行なう。低速回転での縦揺れが生じた場合、外槽4を吊り下げ支持した吊棒5A及びコイルバネを含むダンパ機構5Bのコイルバネが、密着状態となることから、第1検知及び第2検知は、別名、低速底付き検知1及び低速底付き検知2とも称する。
【0077】
本発明では、120rpmに到達するまでは、この機械的検知方式によってアンバランス判定が行われるようにし、その後、目標高速脱水回転速度(実施例では800rpmとする)に達するまでは、後述の第1検知(第1検知動作)、第2検知(第2検知動作)及び第3検知(第3検知動作)を順次行うようにしている。
【0078】
主制御部40は、主制御部40に備えたROM(メモリ)に記憶した動作プログラムにしたがって、主制御部40に備えたCPU(中央演算ユニット)によって種々の動作を実行するものであり、それによって、以下に記載する第1検知(第1検知動作)、第2検知(第2検知動作)及び第3検知(第3検知動作)において、本発明における各手段として実行される構成である。
【0079】
(第1検知手段の動作、以下、第1検知動作という)
第1検知動作は、モータ12が所定の低速下位目標回転速度である120rpmに維持された安定状態から実行される。第1検知動作は、目標高速脱水回転速度(実施例では800rpmとする)よりも十分低い低速領域であり、且つ洗濯機SWの共振点(実施例では200rpm)を挟んだ低速下位回転速度(実施例では120rpm)から所定の低速上位中位目標回転速度(実施例では240rpm)までの第1の一定加速領域において、モータ12の回転速度を所定の低速上位目標回転速度240rpmへ上昇させる指令値と、実際の回転速度の上昇値とのずれを算出する第1差算出手段と、この第1差算出手段によるずれと所定の閾値との比較により、洗濯脱水槽6のアンバランスの有無を判定する第1アンバランス判定手段である第1検知手段を備える。
【0080】
また、第1検知手段は、モータ12の回転速度を低速上位目標回転速度(実施例では240rpm)へ上昇するときの所定時間ごとの回転速度の差による値と、所定の閾値との比較により、洗濯脱水槽6のアンバランスの有無を判定する構成とすることもできる。以下、この構成を具体的に説明する。
【0081】
具体的には、モータ12の回転速度を低速下位低位回転速度120rpmから所定の低速上位目標回転速度240rpmへ向けて、時間の経過と共に略一定に回転速度が上昇する一定加速を行なう(図6のステップS3)。この一定加速はインバータ回路70によってモータ12がフル加速度(実施例では60rpm/s)でもって一定加速される状態とする。低速下位回転速度120rpmから低速上位目標回転速度240rpmまで回転速度が上昇する間に洗濯物の水は脱水されるが、肌着などの通常の洗濯物では、回転速度が低いため急激に大量に脱水される状態ではないため、外槽4の底部の排水口21から排水仕切れずに外槽4の底部に大量の水が溜まって、洗濯脱水槽6の回転の抵抗となることはなく、洗濯脱水槽6のアンバランスの有無の判定が良好となる。
【0082】
低速下位回転速度120rpmから低速上位目標回転速度240rpmへ向けた一定加速が開始され(図6のステップS3)、第1検知動作が開始される。この第1検知動作は、図7に示すフローで行なわれる。即ち、ステップS3で低速下位回転速度120rpmから低速上位目標回転速度240rpmへ向けた一定加速が開始され(図7のステップS3)、タイマがスタートし(図7のステップS31)、カウンタがスタートし(図7のステップS32)、所定時間(ここでは0.3秒)経過したか否かを判定し(図7のステップS33)、0.3秒経過したときカウンタを初期化する(図7のステップS34)。次の図7のステップS35では、モータ12の回転速度V1、V2、V3、V4・・・・の所定の積算を行なうが、まだモータ12の回転速度は検出されていない。モータ12の回転速度は、ホール素子125によりモニタされつつ、回転検出回路75によって所定時間(ここでは0.3秒)ごとにモータ12の回転速度V1、V2、V3、V4・・・・が検出される。
【0083】
そして、図7のステップS36において、タイマのスタートから所定時間(ここでは3.6秒)経過したか否かが判定され、3.6秒経過していないときは図7のステップS37に進み、モータ12の回転速度が170rpm〜205rpmかが判定される。その間0.3秒ごとのモータ12の回転速度V1、V2、V3、V4・・・・を得つつ、図7のステップS35では、隣り合う回転速度の差分、即ち、V2−V1=S1、V3−V2=S2、V4−V3=S3、V5−V4=S4・・・・を演算する。これが、モータ12の実際の回転速度の上昇値を算出する第1差算出手段である。なお、第1差算出手段では、この回転速度の差分のうち最新からの複数の積算値、即ち、実施例では3つの積算値として、W1=S1+S2+S3、W2=S2+S3+S4、W3=S3+S4+S5、W4=S4+S5+S6・・・・を演算している。これは回転速度の差分を積算することにより、測定した回転速度の差分の誤差や、主制御部40の動作プログラムによる誤差を減少できる効果を得るためである。
【0084】
モータ12の回転速度が170rpm〜205rpmではない場合は、図7のステップS32へ戻るが、モータ12の回転速度が170rpm〜205rpmの場合は、図7のステップS38へ移行し、W1、W2、W3、W4、・・・・のそれぞれが所定の閾値(ここでは17としている)と比較される。洗濯脱水槽6の洗濯物に片寄りが大きくて偏芯荷重が大きい場合は、モータ12のスムースな加速が得られないため、偏芯荷重が小さい場合に比して、隣り合う回転速度の差分のS1、S2、S3、S4、S5・・・・が小さくなり、図8の点線のように回転速度の上昇が遅くなる。したがってW1、W2、W3、W4、・・・・も小さくなるため、この閾値との比較において、W1、W2、W3、W4、・・・・のいずれかがこの閾値以下またはこの閾値未満のとき、脱水工程における縦揺れでの異常振動であることが検出されたこととなり、直ちに、モータ12を停止すべく主制御部40が動作し、ブレーキを掛けて洗濯脱水槽6の回転を止める(図7のステップS39)。これが、前記第1差算出手段による回転速度の上昇変化と所定の閾値との比較により、洗濯脱水槽6のアンバランスの有無を判定する第1アンバランス判定手段である。
【0085】
このようにモータ12を停止状態とする異常検知となったときは、洗濯脱水槽6の洗濯物のアンバランス状態を修正するために、主制御部40の動作によって自動的に洗濯脱水槽6へ所定の注水をした後、アンバランスを自動解消するためのアンバランスすすぎ工程を行なう。このアンバランスすすぎ工程は、主制御部40のプログラム設定による通常の複数回のすすぎ工程か1回のすすぎ工程かいずれかが開始される。そしてすすぎ工程が終了した後、自動的に排水し、停止状態のモータ12を運転再開して、最初から脱水工程を開始し、上記同様の検知動作を行なうようにすることができる。
【0086】
一方、W1、W2、W3、W4、・・・・のいずれかがこの閾値以上またはこの閾値を越えている場合は、偏芯荷重が小さい場合であり、図8の実線のように回転速度の上昇が直線的に速い状態である。この場合は、図7のステップS32へ移行し、上記の第1差算出手段による動作が順次行なわれるが、この動作は、図7のステップS36においてタイマースタートから3.6秒経っているか否かが常にチェックされており、3.6秒の間で異常振動が検出されなければ、3.6秒以上になったとき、この一連の第1検知動作は終了し(図7のステップS40)、図9の第2検知のフローチャートへ移行する。
【0087】
上記のように第1検知動作は、図8に示すように、目標高速脱水回転速度(実施例では800rpm)よりも低い所定の領域において、タイマのスタートから所定時間である3.6秒が判定時間であり、この期間は、モータ12の回転速度が120rpmから240rpmへ一定加速される期間である。そして、この期間のうち洗濯機SWの共振点(ここでは200rpmとしている)を挟んだ170rpmから205rpmの間が、0.3秒ごとのモータ12の回転速度V1、V2、V3、V4・・・・を得る判定速度期間である。このように判定時間内の洗濯機SWの共振点を挟んだ一部分を判定速度期間とすることにより、モータ12の回転速度が120rpmから240rpmへ加速される間の安定加速領域での異常振動の判定ができることとなる。また、回転速度の上昇が遅いときは、0.3秒ごとの回転速度や加速度の差が小さく精度の高い検知とならないため、モータ12を低速下位回転速度120rpmから低速上位目標回転速度240rpmまでの一定加速は、インバータ回路70によってモータ12がフル加速度状態で一定加速される状態としており、実施例ではフル加速度は、60rpm/sとしている。
【0088】
なお、他の方式として、W1、W2、W3、W4、・・・・の場合よりも精度は低下するが、図7のステップS38では、S1、S2、S3、S4・・・・のそれぞれが所定の閾値と比較され、この比較において、S1、S2、S3、S4・・・・のいずれかがこの閾値以下またはこの閾値未満のとき、脱水工程における縦揺れでの異常振動であると検出し、直ちに、モータ12を停止すべく主制御部40が動作する(図7のステップS39)ようにしてもよい。
【0089】
また、前記第1差算出手段は、回転速度の上昇変化ではなく加速度の変化を所定時間ごとに算出し、所定時間ごとのその絶対値と所定の閾値との比較により、異常振動であるか否かを判定するようにしてもよい。この場合、洗濯脱水槽6の洗濯物に片寄りが大きくて偏芯荷重が大きい場合は、モータ12のスムースな加速が得られないため、偏芯荷重が小さい場合に比して、所定時間ごとの加速度の変化が大きくなる。このため、この所定時間ごとの加速度の変化と閾値との比較において、加速度の変化が閾値以上またはこの閾値を越えた場合は、脱水工程における縦揺れでの異常振動であることが検出されたこととなり、直ちに、モータ12を停止すべく主制御部40が動作する(図7のステップS39)ようにしてもよい。
【0090】
更に、洗濯脱水槽6の洗濯物に片寄りが大きくて偏芯荷重が大きい場合は、スムースな加速が得られないため、偏芯荷重が小さい場合に比して、インバータ回路70に指示するPWMデューティ比で定める回転速度に比して、実際にホール素子125によりモニタされつつ回転検出回路75によって所定時間(ここでは0.3秒)ごとに検出したモータ12の回転速度V1、V2、V3、V4・・・・が遅くなり、両者間にズレが生じる。このため、前記第1差算出手段は、モータ12の回転速度を上昇させるための指令値、即ち、インバータ回路70に指示するPWMデューティ比で定める値と、実際にホール素子125によりモニタされつつ回転検出回路75によって所定時間(ここでは0.3秒)ごとに検出したモータ12の回転速度V1、V2、V3、V4・・・・との比較により、そのズレのいずれかが閾値以上または閾値を超えたら、脱水工程における縦揺れでの異常振動であることと検出し、直ちに、モータ12を停止すべく主制御部40が動作する(図7のステップS39)ようにしてもよい。
【0091】
第1検知動作は、上記のように、モータ12の回転速度を上昇させるための指令値と実際の回転速度の上昇値とのズレを計測して、そのズレが閾値を超えたとき(図7のステップS38)モータ12を停止する(図7のステップS39)。これに替わる他の方式として、所定の低速回転速度領域において、モータ12の回転速度を上昇させるための指令値に対して、加速度の変化を計測し、この加速度の絶対値がある所定値以下であればモータ12を停止するか、加速度の変化量がある所定値以上であればモータ12を停止するようにすることもできる。この場合、加速度は、インバータ回路70に指示するPWMデューティ比で定めるフル加速度状態とする。これは、加速度が低い場合は、異常振動状態と正常状態との差がでにくいためである。
【0092】
また回転速度の積算値を用いることで、主制御部40のプログラムの誤差を吸収できるものとなる。
【0093】
(第2検知手段の動作、以下、第2検知動作という)
上記の第1検知動作が終了し(図7のステップS40)、図9の第2検知のフローチャートへ移行する(図9のステップS40)。上記のように、第1検知動作を行うための3.6秒の判定時間では、モータ12の回転速度が120rpmから240rpmへ一定加速され、図8の実線のように回転速度の上昇が直線的に速い状態である。この場合、インバータ回路70に指示するPWMデューティ比によって、モータ12の回転速度を120rpmから240rpmへ加速するが、240rpmに達した時点で、インバータ回路70に指示するPWMデューティ比は、240rpmの定速回転を維持するためのPWMデューティ比よりも大きくなってしまい、PWMデューティ比を変更しても回転速度は直ちに240rpmへ落ち着かず、図8に示すように、若干オーバーシュートが生じる。モータ12の回転速度を120rpmから240rpmへ加速し始めてから3.6秒後の時点で、基準デューティ比d0を取得する(図9のステップS41)。上記の3.6秒の判定時間が終了する時点は、オーバーシュートする寸前の時点としており、これによって、3.6秒の判定時間中、バラツキのない安定した異常検知が行なえるものとなる。
【0094】
なお、オーバーシュートをさせない状態で目標回転速度の240rpmに落ち着かそうとすれば、この目標回転速度に近づいた状態から徐々に加速を弱める必要が生じ、このように加速を弱める場合は、その範囲での異常検知にバラツキが生じる。しかし本発明では、オーバーシュートをさせることにより、目標回転速度に近づいた状態でも加速を弱める必要がなく、このような検知のバラツキが生じず、安定した検知結果を得ることができる。
【0095】
この基準デューティ比d0は、低速上位の目標回転速度240rpmと負荷量(洗濯脱水槽6内の水分を含んだ洗濯物の重量)によって略決まる最高デューティ比であり、第2検知動作は、これを基準としてその中位目標回転速度である240rpmの一定回転速度を維持するために、時間的にPWMデューティ比がどのように減少してゆくかを計測し、その計測値と予め定めた基準デューティ比減少関数(時間とPWMデューティ比との関数)との比較によって、その差が所定の閾値以上または超過の場合にモータ12を停止するように制御するものである。
【0096】
これは、洗濯脱水槽6の洗濯物に片寄りが大きくて偏芯荷重が大きいほど、モータ12の回転速度を240rpmに維持するためのPWMデューティ比が大きく、また洗濯脱水槽6の洗濯物に片寄りが小さくて偏芯荷重が小さいほど、モータ12の回転速度を240rpmに維持するためのPWMデューティ比が小さいため、これを利用することにより、洗濯脱水槽6の偏芯荷重による振動の程度を判定することができる。
【0097】
しかし、負荷量が少量の場合は、低速上位の目標回転速度240rpmに達してからの慣性力が小さく、また加速に大きなパワーが必要ないため、縦振動が起こり難く、デューティ比の減少が小さいため誤検知となる虞がある。このような誤検知防止のために、前記基準デューティ比減少関数を負荷量によって変化させることができる。
【0098】
また、インバータ回路70は、正規の電源状態の場合は、交流直流変換回路71のコンデンサC1、C2に充電された直流電圧(略280ボルトの直流電圧)を正規の電源電圧としてインバータ回路70が動作するが、商用交流電源ACが100ボルトから低下した場合は、この電源電圧が低下しインバータ回路70の動作点が移動して正確なPWMデューティ比による判定ができなくなる。また、モータ12に掛かる負荷(洗濯脱水槽6及びその中の洗濯物、更にはモータ12の軸受けのオイルシール部の抵抗等)に応じて、モータ12の加速運転時にコンデンサC1、C2に充電された電荷が消費されて、前記直流電圧(略280ボルトの直流電圧)の電圧降下が生じ、これによってインバータ回路70の動作点が移動して正確なPWMデューティ比による判定ができなくなる。これらに対処するために、電源電圧検出回路76によって常時直流電源電圧を検出し、図9のステップS41で基準デューティ比d0を取得する時点の正規の直流電源電圧(略280ボルトの直流電圧)相当のデューティ比に補正した補正デューティ比を採用して、洗濯脱水槽6の偏芯荷重による振動の程度を判定するようにしている。このため、基準デューティ比d0は、それを取得する時点の直流電源電圧に応じて補正した補正基準デューティ比d0とする。
【0099】
このように補正基準デューティ比d0を採用することにより、モータ12に掛かる負荷(洗濯脱水槽6及びその中の洗濯物、更にはモータ12の軸受けのオイルシール部の抵抗等)が影響しても、基準デューティ比d0は、それを取得する時点の直流電源電圧に応じて補正した補正基準デューティ比d0としているため、検知のバラツキに影響しない。
【0100】
なお、基準デューティ比d0の取得後、通常は短時間(後述の8.1秒)では電源電圧の変動はないと考えられるため、その短時間(後述の8.1秒)中に所定時間(0.3秒)ごとに取得するデューティ比を補正する必要はないと考えられる。しかし、正確を期すためには、この所定時間(0.3秒)ごとに取得するデューティ比も同様に補正してもよい。
【0101】
以下、上記の第1検知動作が終了し(図7のステップS40)、図9の第2検知のフローチャートへ移行した状態(図9のステップS40)から説明する。モータ12の回転速度を120rpmから240rpmへ加速し始めてから3.6秒で第1検知動作が終了し(図7のステップS40)、この時点で基準デューティ比d0を取得し(図9のステップS41)、タイマースタートし(図9のステップS42)、カウンタがスタートし(図9のステップS43)、所定時間(ここでは0.3秒)経過したか否かを判定し(図9のステップS44)、0.3秒経過したときカウンタを初期化する(図9のステップS45)。次の図9のステップS46では、その時点におけるインバータ回路70に指示するPWMデューティ比dnを取得する。このPWMデューティ比dnは、所定時間間隔である4ms(4ミリ秒)ごとに更新されるPWMデューティ比を3回連続測定し、その中間値とする。これによって適正なPWMデューティ比dnを得ることができる。そしてステップS47では、タイマースタート時点から0.3秒ごとに、その時点のデューティ比dnと比較デューティ比Xとの差(dn×100−100)を演算する。比較デューティ比Xは、X=(d0×100)−(23×3×T)で演算され、T=t÷0.3である。実施例では検知開始がT=7からと設定しているため、タイマの時間t=8.1秒の間に、0.3秒ごとにこのデューティ比dnと比較デューティ比Xとの差(dn×100−100)を演算することとなる。また、この演算式の数字は、実施例で採用したインバータ回路70によって定まる数値であり、設計されたインバータ回路70ごとに定まる数値である。このように設定される比較デューティ比Xは、時間とPWMデューティ比との関数であるため、基準デューティ比減少関数と称することができる。
【0102】
そして、図9のステップS48では、タイマースタート(図9のステップS42)から所定時間(ここでは8.1秒)経過したか否かが判定され、8.1秒経過しておれば第2検知動作は終了(図9のステップS54)となるが、8.1秒経過していないときは図9のステップS49に進み、水位検知データが一定値以下か否かが判定される。
【0103】
上記のように、図示しないが外槽4の底部にはエアトラップが形成され、エアトラップに接続された略垂直に延びたエアホースの他端は水位センサ46に接続されている。これにより、洗濯脱水槽6内に貯留された水の水位(外槽4内の水位と同じ)の上昇によってエアホース内の空気圧が上昇するため、この空気圧を水位センサ46が検出する仕組みである。このため、水位検知データは、水位センサ46の検出に基づく値である。
【0104】
図9のステップS49において、水位検知データが一定値を超えている場合は、第2検知動作は終了(図9のステップS54)となるが、水位検知データが一定値以下の場合は図9のステップS50に進み、上記した基準デューティ比d0を補正した補正基準デューティ比d0が一定値以上か否かが判定される。もし、図9のステップS48から図9のステップS49へ移行したとき、水位検知データが未測定の場合は図9のステップS49をパスして図9のステップS50へ移行する。図9のステップS50において補正基準デューティ比d0が一定値未満であれば、第2検知動作は終了(図9のステップS54)となるが、補正基準デューティ比d0が一定値以上であれば、図9のステップS51に進み、Tが7以上か否かが判定される。Tが7に達していないときは、図9のステップS43へ戻り、上記のステップ動作が順次行われる。ここで、Tが7以上であれば、図9のステップS52に進み、dn×100−X≧閾値Cの演算を行う。閾値C=32×Tとしている。ここで、この演算が成立すれば、図9のステップS52に進み、モータ12を停止するように制御するが、この演算が成立しなければ、図9のステップS43へ戻り、上記のステップ動作が順次行われる。
【0105】
このように、水位検知データが一定値以下であって、基準デューティ比d0を補正した補正基準デューティ比d0が一定値以上の場合にのみ、第2検知動作を行うこととなる。また、上記の動作で分かるように、第2検知動作での判定時間は、図10に示すように、8.1秒である。
【0106】
上記のように、第2検知動作における時間の経過に対するPWMデューティ比の変化は、図10に示すように、洗濯脱水槽6の洗濯物に片寄りが大きくて偏芯荷重が大きいほど、モータ12の回転速度を240rpmに維持するためのPWMデューティ比が大きく、また洗濯脱水槽6の洗濯物に片寄りが小さくて偏芯荷重が小さいほど、モータ12の回転速度を240rpmに維持するためのPWMデューティ比が小さいことが判明するため、図9のステップS52における閾値との比較演算によって、閾値C以上のときは、洗濯脱水槽6の偏芯荷重による振動の程度が大きいと判定し、モータ12を停止することができる。
【0107】
このようにモータ12を停止状態とする異常検知となったときは、洗濯脱水槽6の洗濯物のアンバランス状態を修正するために、主制御部40の動作によって自動的に洗濯脱水槽6へ所定の注水をした後、アンバランスを自動解消するためのアンバランスすすぎ工程を行なう。このアンバランスすすぎ工程は、主制御部40のプログラム設定による通常の複数回のすすぎ工程か1回のすすぎ工程かいずれかが開始される。そしてすすぎ工程が終了した後、自動的に排水し、停止状態のモータ12を運転再開して、最初から脱水工程を開始し、上記同様の検知動作を行なうようにすることができる。
【0108】
上記のように、第2検知動作では、図9のステップS48において、タイマースタート(図9のステップS42)から所定時間(ここでは8.1秒)経過したか否かが判定され、8.1秒経過しておれば第2検知動作は終了(図9のステップS54)となるが、8.1秒経過していないときは図9のステップS49に進み、順次ステップS52への動作が行なわれるが、図9のステップS48において、8.1秒経過していないという判定によって、ステップS53へ移行してモータ12を停止するようにすることもできる。このようにステップS49からステップS52を省略する場合は、洗濯脱水槽6内の負荷量を考慮した判定ではなく、また商用交流電源ACの電圧が変動した状態を考慮した判定ではなくなる。これに対して、上記のように、ステップS48〜ステップS52を設けることによって、水位検知データによって洗濯脱水槽6内の負荷量を測定し、それによる判定を行なう共に、商用交流電源ACの電圧が変動した場合にも、判定動作が正確に行なえるように補正した値によって判定するようにしているため、洗濯脱水槽6のアンバランスの有無の判定が良好となる。
【0109】
洗濯脱水槽6の洗濯物が毛布のように水分を多量に吸収するようなものである場合は、モータ12を停止状態とする異常検知となったときは、所定回数(実施例では3回)までは、アンバランスすすぎ工程を行なわず、直ちに自動的に脱水工程が再スタート(再立上げという)させることにより、多量脱水した水による洗濯脱水槽6の回転抵抗が起因したものによる異常検知か否かの判定ができるようにしている。
【0110】
このため、第1検知動作において、洗濯脱水槽6の偏芯荷重による振動の程度が大きいと判定(異常検知)し、モータ12を停止したとき(図7のステップS39)、または第2検知動作において、洗濯脱水槽6の偏芯荷重による振動の程度が大きいと判定し、モータ12を停止したとき(図9のステップS53)、図6に示すように、次のステップS55において、毛布コースか否かが判定される。肌着などのように吸収する水の量が少ないものでは、第1検知動作または第2検知動作の実行によって脱水される水は、外槽4の底部の排水口21から十分排水できるため、外槽4の底部に溜まって洗濯脱水槽6の回転の抵抗となる虞はないが、洗濯脱水槽6の洗濯物が毛布のように水分を多量に吸収するようなものである場合は、第1検知動作または第2検知動作の実行によって毛布内の水も脱水され、この水が大量である場合は外槽4の底部の排水口21からの排水しきれずに外槽4の底部に溜まって、洗濯脱水槽6の回転の抵抗となる。このため、第1検知動作または第2検知動作においてモータ12停止となった状態が、この外槽4の底部に溜まった水が影響したものか否かが判定されていないので、図6のステップS55において、それを判定するものである。
【0111】
図6のステップS55は、洗濯脱水槽6の洗濯物が毛布のように水分を多量に吸収するようなものであるかを判定するステップであり、代表として毛布を取り上げて毛布コースと表示したが、これに限定されるものではない。実施例では、ステップS55において毛布コースか否かを判定するとして説明する。毛布コースは、操作パネル30の操作部43の一つである洗濯コースを選択するコース選択キー303を操作して、毛布を選択した状態であり、その毛布を選択した情報が主制御部40に入力される。
【0112】
図6のステップS55において、毛布コースか否かが判定される。ここで毛布コースが選択されていないと判断されれば、図6のステップS56のアンバランス修正に移行し、洗濯脱水槽6の洗濯物のアンバランス状態を自動的に修正する。一方、ステップS55において、毛布コースが選択されていると判断されれば、図6のステップS57へ移行し、ここでモータ12の停止が連続して所定回数以上(実施例では3回以上)か否かが判断される。ここで、所定回数以上(実施例では3回以上)でないと判断されれば、図6のステップS58の再立上ステップに移行し、停止状態のモータ12は主制御部40の動作によってアンバランスすすぎ工程を行なわず、直ちに自動的に脱水工程が再スタート(再立上という)し、上記のように第1検知動作、第2検知動作へ順次移行する動作を再開させる。一方、ステップS57において、モータ12停止が連続して所定回数以上(実施例では3回以上)であると判断されれば、洗濯脱水槽6の洗濯物のアンバランス状態を自動的に修正するために、アンバランス修正のステップである図6のステップS59へ移行する。上記のアンバランス修正は、主制御部40の動作によって、自動的に洗濯脱水槽6へ所定の注水をした後、アンバランスを自動解消するためのアンバランスすすぎ工程を行なう。このアンバランスすすぎ工程は、主制御部40のプログラム設定による通常の複数回のすすぎ工程か1回のすすぎ工程かいずれかが開始される。そしてすすぎ工程が終了した後、自動的に排水し、停止状態のモータ12を運転再開して、最初から脱水工程を開始し、上記同様の検知動作を行なうようにするものである。
【0113】
このように、洗濯脱水槽6の洗濯物が毛布のように水分を多量に吸収するようなものであるかを判定するステップを設けることによって、第1検知動作または第2検知動作において、モータ12停止の原因が、毛布のようなものから脱水された水が、外槽4の底部の排水口21からの排水しきれずに外槽4の底部に溜まって、それが洗濯脱水槽6の回転の抵抗となっていることによる異常振動検知状態か否かが判定でき、判定制度が向上したものとなる。モータ12の停止は、主制御部40によってモータ12を停止制御し、且つブレーキを掛けて洗濯脱水槽6の回転を止める動作となる。
【0114】
このようにモータ12を停止状態とする異常検知が連続した場合には、洗濯脱水槽6の洗濯物のアンバランス状態を修正するために、主制御部40の動作によって自動的に洗濯脱水槽6へ所定の注水をした後、アンバランスを自動解消するためのアンバランスすすぎ工程を行なう。このアンバランスすすぎ工程は、主制御部40のプログラム設定による通常の複数回のすすぎ工程か1回のすすぎ工程かいずれかが開始される。そしてすすぎ工程が終了した後、自動的に排水し、停止状態のモータ12を運転再開して、最初から脱水工程を開始し、上記同様の検知動作を行なうようにすることができる。
【0115】
このように、第1検知動作では、回転速度の差を利用して即座に異常検知することに適し、また、第2検知動作では、PWMデューティ比によって即座に異常検知することに適する。更に、第1検知動作及び第2検知動作では、洗濯脱水槽6の洗濯物が毛布のように水分を多量に吸収するようなものであるかの判定に適する。
【0116】
また、毛布コースの場合は、異常検知が働いたときは、自動的に直ちにモータ12を止め、アンバランスすすぎをせずにて再立ち上げ、即ち脱水工程を再度行なう。そして、異常検知が複数回(実施例では3回)連続した場合は、自動的にアンバランスの修正を行なうために、洗濯脱水槽6へ注水してアンバランスすすぎを行なった後、脱水工程を再度行なう。このため、通常の脱水工程を行なっている間の最初の異常検知では、再立ち上げ、即ち再度脱水工程を行なうことにより、洗濯脱水槽6の洗濯物の偏芯によるものか、または毛布のような洗濯物から脱水した多量の水が、洗濯脱水槽6の回転の抵抗になっているものかを再確認できる。そして、再度異常検知が働いたときは、洗濯脱水槽6の洗濯物の偏芯によるものと判断して、洗濯脱水槽6へ注水してすすぎを行なうことによりアンバランス(洗濯物の偏芯)を解消した後、脱水工程を再度行なうことにより、所期の脱水を達成できるものとなる。
【0117】
また、低速検知である第1検知動作または第2検知動作を行なうために、低速での加速度をフル加速度状態で運転するように工夫しているため、振動検知時点で差が出ることとなり、検知精度が向上するものとなる。
【0118】
また、第2検知動作では、上記のように、低速上位目標回転速度240rpmと洗濯脱水槽6の負荷量によって略決まる最高デューティ比を計測し、これを基準デューティ比とし、この低速上位目標回転速度240rpmを維持するためにデューティ比がどのように減少してゆくかを計測し、比較デューティ比減少関数、即ち、基準デューティ比減少関数(時間とデューティ比の関数)と比較し(図9のステップS47)、その差が所定の閾値以上であれば(図9のステップ52)モータ12を停止する(図9のステップ53)。
しかし、洗濯脱水槽6の負荷量が小さい場合は、低速上位目標回転速度240rpmに達してからの慣性力が小さいこと、及び低速上位目標回転速度240rpmに向けての加速に大きなパワーが必要ないため、デューティ比の減少が小さく現れる。従って、基準デューティ比減少関数を洗濯脱水槽6の負荷量によって変化させるか、または縦振動が起こり難い少量負荷時には、補正した最高デューティ比と負荷量を示す水位検出データで検出して、誤検知を防止すればよい。
【0119】
また、第2検知動作では、基準デューティ比を採用しているため、様々な負荷(洗濯脱水槽6の洗濯物等)での異常振動に対応できる。更に、補正デューティ比を採用しているため、電気回路のバラツキ、電源電圧の変動、洗濯脱水槽6の機械的バラツキ、洗濯脱水槽6を回転するモータ12の軸受けのオイルシール部の抵抗等による検知の誤差に対応できる。従って、デューティ比と閾値との比較において、電源電圧による補正デューティ比と基準デューティ比を用いることで、負荷量や制御回路や洗濯機本体のバラツキに影響なく、異常振動の検知ができるものとなる。
更に、負荷(洗濯脱水槽6の洗濯物)が毛布のように多量の水を含んだために異常振動検知となった可能性があるときは、状況に応じて即脱水工程の再立ち上げ(再始動)を行なうことにより、毛布のように多量の水を含んだための異常振動検知であったか否かの再判定が可能となる。
【0120】
(第3検知手段の動作、以下、第3検知動作という)
第1検知動作及び第2検知動作は、モータ12の目標高速脱水回転速度(実施例では800rpm)よりもかなり低い低速回転領域での異常振動検知である。異常検知をこの第1検知動作及び第2検知動作にて終了してもよいが、更に正確な異常検知を行なうために、本発明では、以下に説明する第3検知動作を設けている。
【0121】
この第3検知動作は、洗濯脱水槽6を回転駆動するためのモータ12を駆動制御するスイッチング素子を含むインバータ回路70に供給するPWM信号のデューティ比によってモータ12の回転速度を制御するようにし、目標高速脱水回転速度(実施例では800rpm)に近づく高速回転状態で生じる横揺れは、モータ12の高速回転状態でPWM信号のデューティ比をそのときの条件に補正した補正デューティ比とし、その補正デューティ比の変化を見て、高速回転状態に入る前に得た基準デューティ比により切り替えた閾値と補正デューティ比とを比較して、異常検知を判定する横揺れ検知手段によるものである。
【0122】
このように、第3検知動作は、目標高速脱水回転速度(実施例では800rpm)に近い高速回転領域での横振動に対する異常検知であり、高速回転で補正デューティ比の変化を見て、基準デューティ比により閾値を切り替え、モータ12の停止で異常振動を防止する。このため、振動の影響を受け難い中速回転速度(目標高速脱水回転速度800rpmの略半分の回転速度で実施例では400rpm)と洗濯脱水槽6の負荷量によって略決まる補正デューティ比(α値)を基準デューティ比とし、高速回転速度においてα値によって変化する閾値(回転速度とこの基準デューティ比との関数)を基準デューティ比の測定で決定し、補正デューティ比が閾値以上または超えたときモータ12を停止制御するか、補正デューティ比が閾値以上または超えたときの回転速度により、脱水工程を続けるための回転速度の変更をするようにしている。
【0123】
また、第3検知手段は、目標高速脱水回転速度に近づく高速回転領域に一定加速領域が設定され、この一定加速領域においてPWM信号のデューティ比を逐次取得するデューティ比取得手段と、この逐次取得したデューティ比を前記直流電源電圧が所定の定常状態(実施例では略280ボルトの直流電圧)から低下した状態にあるとき、前記所定の定常状態での直流電源電圧に相当するよう補正した第2の補正デューティ比とする補正手段と、この第2の補正デューティ比と所定の閾値との比較により洗濯脱水槽6のアンバランスの有無を判定する第3アンバランス判定手段を備える。
【0124】
前記第3アンバランス判定手段は、前記逐次取得したデューティ比を取得する時点の回転速度よりも低い前記第2の一定加速領域の所定回転速度(実施例では400rpm)において、所定時間間隔(実施例では4ms)ごとに取得した複数の第2の補正デューティ比の平均値を第2基準デューティ比(α値)とし、この第2基準デューティ比(α値)の変化に基づいて算出した閾値(回転速度と第2基準デューティ比の関数)と、前記第2基準デューティ比(α値)との比較により、洗濯脱水槽6のアンバランスの有無を判定する。
以下、具体的に説明する。
【0125】
上記の第2検知動作はモータ12の回転速度を240rpmに維持する状態で行われるが、第2検知動作が終了した(図9のステップS54)後、図5に示すようにモータ12の回転速度を240rpmに維持した脱水運転が所定時間(数秒間)継続された後、モータ12の回転速度を240rpmから目標高速脱水回転速度(実施例では800rpm)へ向けて加速しつつ、図11乃至図14に示すように第3検知動作を実行する。具体的には、モータ12の回転速度を中位回転速度240rpmから所定の目標高速脱水回転速度(実施例では800rpm)へ向けて、時間の経過と共に略一定に回転速度が上昇する一定加速を行なう。
【0126】
この一定加速はインバータ回路70によってモータ12がフル加速度(実施例では60rpm/s)でもって一定加速される状態よりも低い加速度(実施例では30rpm/s)でもって一定加速される状態とする。これは第2検知動作が終了した時点では、まだ洗濯脱水槽6内の洗濯物の量や種類によっては十分多量の水を含んでいるため、ここで高加速度でもって回転速度を上昇させれば、この洗濯物の水が大量に脱水される状態となり、この脱水された水が外槽4の底部の排水口21から排水しきれずに外槽4の底部に大量の水が溜まって、洗濯脱水槽6の回転の抵抗となる。これを防止し、洗濯物から脱水された水が外槽4の底部の排水口21から排水し切れて、洗濯脱水槽6の回転の抵抗とならない状態とするために、実施例では、フル加速の60rpm/sではなく、その半分程度の30rpm/sで一定加速するように設定している。
【0127】
以下、図11乃至図14に基づいて高速偏芯検知動作である第3検知手段の動作を説明する。図11のステップS60において、モータ12の回転速度を240rpmから目標高速脱水回転速度(実施例では800rpm)へ向けて加速し、目標高速脱水回転速度(実施例では800rpm)に達する手前の所定の第1回転速度(実施例では400rpm)に達したときから基準デューティ比としてのα値を取得する(図11のステップS61)。この場合、400rpmに達したときまたは超えたときから、所定時間間隔として4ms(4ミリ秒)ごとにPWM信号のデューティ比を取得するが、この取得したそれぞれのデューティ比を補正し、この補正したデューティ比を最新から遡る5個の平均値をα値とするものである。この場合の基準デューティ比(α値)は、第2検知動作において記載した基準デューティ比d0を補正基準デューティ比d0とした場合と同様に、電源電圧検出回路76によって常時電源電圧を検出し、4ms(4ミリ秒)ごとに取得する時点のデューティ比を正規の電源電圧(略280ボルトの直流電圧)相当のデューティ比に補正したデューティ比を採用している。
【0128】
第3検知手段の動作は、目標高速脱水回転速度(実施例では800rpm)に達するまでの間に、前記第1回転速度(実施例では400rpm)に達したときから更に上昇した第1高速回転領域(実施例では600rpm〜699rpm)での第3検知動作の1(実施例では検知3−1と表示)と、更に上昇した第2高速回転領域(実施例では700rpm〜目標高速脱水回転速度の800rpm)での第3検知動作の2(実施例では検知3−2と表示)を行なう構成である。
【0129】
図12に第1高速回転領域(実施例では600rpm〜699rpm)での高速偏芯検知動作(実施例では検知3−1と表示)の流れを示している。図12において、第3検知動作の1(検知3−1)では、前記第1回転速度(実施例では400rpm)に達したときから更に加速されて600rpmに到達したとき(図12のステップS62)、カウンタがスタートし(図12のステップS63)、所定時間(ここでは0.3秒)経過したか否かを判定し(図12のステップS64)、0.3秒経過したときカウンタを初期化する(図12のステップS65)。次の図12のステップS66では、その時点におけるモータ12の回転速度(図12では回転数と表示)と、インバータ回路70に指示するPWMデューティ比の補正デューティ比dnnとを取得する。モータ12の回転速度は回転検出回路75により取得する。
【0130】
この補正デューティ比dnnは、その時点から4ms(4ミリ秒)ごとにPWM信号のデューティ比を取得するが、この取得したデューティ比を補正したものである。この補正デューティ比dnnは、前記α値の場合と同様に、電源電圧検出回路76によって常時電源電圧を検出し、4ms(4ミリ秒)ごとに取得する時点のデューティ比を正規の電源電圧(略280ボルトの直流電圧)相当のデューティ比に補正した補正デューティ比を採用する。このように補正デューティ比を採用することにより、モータ12に掛かる負荷(洗濯脱水槽6及びその中の洗濯物、更にはモータ12の軸受けのオイルシール部の抵抗等)が影響しても補正デューティ比は、それを取得する時点の電源電圧に応じて補正した補正デューティ比としているため、検知のバラツキに影響しない。
【0131】
そして、図12のステップS67において閾値を決定する。この閾値は、(その時点の回転速度)×a+bで演算される。このa及びbは、前記α値によって決定された値であり、α値に応じて変化する。次いで図12のステップS68において、取得した補正デューティ比dnnの最新から遡る5個の積算値を演算する。そして図12のステップS69では、モータ12の回転速度と所定回転数(検知3−2の開始回転速度の700rpm)が比較され、700rpm以上であれば図12のステップS72へ移行して検知動作を継続する。一方、モータ12の回転速度が700rpmに達していなければ、図12のステップS70へ移行し、ステップS68で演算した5個の補正デューティ比dnnの積算値とステップS67で決定した閾値が比較され、5個の補正デューティ比dnnの積算値が閾値未満であれば、図12のステップS63へ戻り、再びカウンタがスタートして、上記ステップの動作を繰り返す。そして、ステップS70において、この5個の補正デューティ比dnnの積算値が閾値以上であれば、図12のステップS71へ移行して、主制御部40によってモータ12を停止制御しブレーキを掛けて洗濯脱水槽6の回転を止める。
【0132】
このようにモータ12を停止状態とする異常検知となったときは、洗濯脱水槽6の洗濯物のアンバランス状態を修正するために、主制御部40の動作によって自動的に洗濯脱水槽6へ所定の注水をした後、アンバランスを自動解消するためのアンバランスすすぎ工程を行なう。このアンバランスすすぎ工程は、主制御部40のプログラム設定による通常の複数回のすすぎ工程か1回のすすぎ工程かいずれかが開始される。そしてすすぎ工程が終了した後、自動的に排水し、停止状態のモータ12を運転再開して、最初から脱水工程を開始し、上記同様の検知動作を行なうようにすることができる。
【0133】
上記では、図12のステップS71へ移行して、主制御部40によってモータ12を停止状態とする異常検知となったときは、1回のモータ12の停止制御判定(異常検知)によって上記アンバランスすすぎ工程を行なった後、自動的に排水し、停止状態のモータ12を運転再開して、最初から脱水工程を開始し、上記同様の検知動作を行なうようにしているが、これに替えた方式として、図11に示すように、次のステップS711においてモータ12の停止制御が連続して所定の複数回あった場合(実施例では連続2回)は、図11のステップS712へ移行して、上述のようなアンバランス修正を行なうためのアンバランスすすぎ工程を実行する。また、モータ12の停止制御判定(異常検知)が所定の複数回に満たない場合(実施例では1回の場合)には、図11のステップS713へ移行して、上記のアンバランスすすぎ工程を行なわず、自動的に停止状態のモータ12を運転再開して、最初から脱水工程を開始し(これを再立上という)、上記同様の検知動作を行なうようにしている。
【0134】
上記のように、図12のステップS72へ移行して検知動作を継続する状態となれば、図13のフローへ移行し、第3検知動作の2(実施例では検知3−2と表示)が行なわれる。即ち、図12のステップS72と同じ図13のステップS72では、モータ12の回転速度が700rpmに達した状態であり、カウンタがスタートし(図13のステップS73)、所定時間(ここでは0.3秒)経過したか否かを判定し(図13のステップS74)、0.3秒経過したときカウンタを初期化する(図13のステップS75)。次の図13のステップS76では、図12のステップS66における補正デューティ比dnnの取得と同様の方法にて、その時点におけるモータ12の回転速度(図13では回転数と表示)と、インバータ回路70に指示するPWMデューティ比の補正デューティ比dnnとを取得する。
【0135】
そして、図13のステップS77において閾値を決定する。この閾値は、(その時点の回転速度)×a+bで演算される。このa及びbは、前記α値によって決定された値であり、α値に応じて変化する。次いで図13のステップS78において、取得した補正デューティ比dnnの最新から遡る5個の積算値を演算する。そして図13のステップS79では、モータ12の回転速度と目標高速脱水回転速度の800rpmが比較され、800rpmに達しておれば図13のステップS80へ移行し、目標高速脱水回転速度の800rpmで脱水運転を継続する。また、モータ12の回転速度が目標高速脱水回転速度の800rpmに達していなければ、図13のステップS81へ移行する。ステップS81では、ステップS78で演算した5個の補正デューティ比dnnの積算値と、ステップS77で決定した閾値が比較され、5個の補正デューティ比dnnの積算値が閾値未満であれば、図13のステップS73へ戻り、再びカウンタがスタートして、上記ステップの動作を繰り返す。そして、ステップS81において、この5個の補正デューティ比dnnの積算値が1回でも閾値以上であればまたは閾値を超えれば、検知が働いた状態である。この検知が働いた場合は、図13のステップS82へ移行して、その検知が働いた時点のモータ12の回転速度(検知回転速度、ステップS82では検知回転数と表示)が700rpm以上で750rpm未満であるかが判定され、モータ12の回転速度がこの範囲内であれば、目標高速脱水回転速度の800rpmを下位目標回転速度の700rpmになるように、主制御部40によってPWMデューティ比を変更して減速制御する(図13のステップS83)。また、図13のステップS82において、モータ12の回転速度がこの範囲外であれば、目標高速脱水回転速度の800rpmを上位目標回転速度の750rpmになるように、主制御部40によってPWMデューティ比を変更して減速制御する(図13のステップS84)。
【0136】
図13のステップS83またはステップS84のいずれの場合も、ステップS85において検知回転速度(Lrpmとする)を回転検出回路75により取得する。次いで、図13のステップS83またはステップS84での減速制御によって生じたオーバーシュートの最高回転速度(Krpmとする)を測定する(図13のステップS86)。このオーバーシュートは、減速状態にあるが洗濯脱水槽6の遠心力により減速開始時の回転速度より回転速度が上昇することを意味し、最高回転速度(Krpm)は、オーバーシュートの部分で、ある一定時間連続して最高回転速度が更新されなくなったときに確定する回転速度である。
【0137】
オーバーシュートをさせない状態で目標回転速度に落ち着かそうとすれば、目標回転速度に近づいた状態から徐々に加速を弱める必要が生じ、このように加速を弱める場合は、その範囲での異常検知にバラツキが生じる。しかし本発明では、オーバーシュートをさせることにより、目標回転速度に近づいた状態でも加速を弱める必要がなく、このような検知のバラツキが生じず、安定した検知結果を得ることができる。
【0138】
そして図13のステップS87において、K>L+30を演算し、KがL+30より大きい場合は、L+30rpmを目標回転数としてモータ12を運転して、脱水運転を継続する(図13のステップS89)。この場合、1の桁は切り捨てた制御とする。一方、KがL+30より小さい場合は、Krpmを目標回転数としてモータ12を運転して、脱水運転を継続する(図13のステップS88)。この場合、1の桁は切り捨てた制御とする。なお、L+30の式の30の数値は、洗濯機SWの異常振動が大きくなる時点のモータ12の回転速度を定めるための数値である。
【0139】
図14には、第3検知動作の1(検知3−1)において決定した閾値と、5個の補正デューティ比dnnの積算値との関係が、回転速度(図では回転数)との関係でどのように変化するかを示す。
【0140】
このように、第3検知手段によって、補正デューティ比が閾値以上または超えたとき前記モータを停止制御するか、前記補正デューティ比が閾値以上または超えたときの回転速度により、脱水工程を続けるための回転速度の変更をするため、高速回転における横振動の検知状況に応じて、モータを停止するか、脱水工程を続けるかの制御ができる。
【0141】
また第3検知手段によって、洗濯脱水槽内の洗濯物が多量に水を含んでいる場合に異常検知となった可能性がある場合を考慮して、状況に応じて再立ち上げを考慮している。このため、最初の異常検知では脱水工程の再立ち上げによって、洗濯物が多量に水を含んでいる場合に異常検知となったか否かを見極めることができるものとなっている。具体的には、第3検知動作の1(検知3−1)では、異常検知が働いたときは、自動的に直ちにモータ12を止め、アンバランスすすぎをせずにて再立ち上げ、即ち脱水工程を再度行なう。そして、異常検知が複数回(実施例では2回)連続した場合は、自動的にアンバランスの修正を行なうために、洗濯脱水槽6へ注水してアンバランスすすぎを行なった後、脱水工程を再度行なう。このため、通常の脱水工程を行なっている間の最初の異常検知では、再立ち上げ、即ち再度脱水工程を行なうことにより、洗濯脱水槽6の洗濯物の偏芯によるものか、または毛布のような洗濯物から脱水した多量の水が、洗濯脱水槽6の回転の抵抗になっているものかを再確認できる。そして、再度異常検知が働いたときは、洗濯脱水槽6の洗濯物の偏芯によるものと判断して、洗濯脱水槽6へ注水してすすぎを行なうことによりアンバランス(洗濯物の偏芯)を解消した後、脱水工程を再度行なうことにより、所期の脱水を達成できるものとなる。
【0142】
また第3検知動作の2(検知3−2)では、目標高速脱水回転速度の800rpmとした場合、振動検知が働いた時点で、800rpmよりも低い高速回転速度で運転を継続することにより、脱水工程を終了することができる。
【0143】
また、第3検知動作の1(検知3−1)及び第3検知動作の2(検知3−2)では、α値で基準を設けることにより、検知のバラツキを押えている。即ち、電源電圧のバラツキは、基準のα値自体がデューティ比であるため積算値もバラツキが生じること、また、洗濯脱水槽6の洗濯物の量(負荷量)や洗濯機自体の個体差(もーた12のオイルシールのバラツキ等)によって、検知誤差が生じるが、本発明では、α値によって閾値を変えることによって対応し、補正デューティ比を採用することにより、モータ12に掛かる負荷(洗濯脱水槽6及びその中の洗濯物の量、更には洗濯機自体の個体差であるモータ12の軸受けのオイルシール部の抵抗等)が影響しても補正デューティ比は、それを取得する時点の電源電圧に応じて補正した補正デューティ比としているため、検知のバラツキに影響しない効果が得られる。
【0144】
また、脱水工程での横揺れによる異常振動を、高速回転(実施例では600rpm〜800rpm)で補正デューティ比の変化を見て基準デューティ比により閾値を切り替え、モータ12の停止によって異常振動による障害を防止している。このため、ある脱水回転速度(振動の影響を受け難い中速回転速度400rpm)と洗濯脱水槽6の負荷量によって略決まる補正デューティ比(α値)を基準デューティ比とし、これによって変化する閾値(回転速度とこの基準デューティ比との関数)を基準デューティ比の測定で決定し、補正デューティ比が閾値を超えた回転速度により、次工程を変化させている。
このように、α値を基準デューティ比とすることにより、検知のバラツキを抑制している。即ち、電源電圧検出回路76によって検出する電源電圧のバラツキは、α値自体が基準デューティ比であるため、積算値もバラツクことと、モータ12に掛かる負荷量(洗濯脱水槽6及びその中の洗濯物、更にはモータ12の軸受けのオイルシール部の抵抗等)の違いに対しては、α値によって閾値を変えることによって抑制している。
【0145】
また、高速検知では、オーバーシュートする状態をつくっているため、安定した検知を行なうことができ、様々な回転速度に対応できる検知となる。更に、高速検知では、700rpm以上になった場合、異常検知となっても目標高速脱水回転速度の800rpmに到達するまで常に検知動作をしているため、10rpm単位で細かく目標回転速度の切り替えができるものとなり、検知精度が向上する。
【0146】
また、第3検知動作では、基準デューティ比を採用しているため、様々な負荷(洗濯脱水槽6の洗濯物)での異常振動に対応できる。更に、補正デューティ比を採用しているため、電気回路のバラツキ、電源電圧の変動、洗濯脱水槽6の機械的バラツキ、洗濯脱水槽6を回転するモータ12の軸受けのオイルシール部の抵抗等による検知の誤差に対応できる。
【0147】
また、上記第1検知動作乃至第3検知動作において、基準デューティ比及び補正デューティ比は、それぞれ所定時間間隔にて取得した値の平均値とし、取得したデューティ比は、それぞれ所定時間間隔にて取得した値の中間値とすることにより、検知の精度の向上となる。
【0148】
なお、洗濯機SWの周囲温度が高い場合や、洗濯脱水槽6内で洗濯が終わった洗濯物を乾燥工程にて乾燥させるための乾燥ユニットKSが設けられている場合、合成樹脂製の外槽4が温められて振動の共振点が下がり、特に高速回転での異常検知に誤差が生じ、第3検知動作に誤差を生じる場合がある。これに対処するために、脱水工程の開始前に、外槽4が温められることに起因する温度を検出し、その温度が所定の高温(例えば30℃)以上であれば、目標高速脱水回転速度の800rpmを例えば750rpmのように下げる補正をする。また、上記のように、ある脱水回転速度(振動の影響を受け難い中速回転速度400rpm)と洗濯脱水槽6の負荷量によって略決まる補正デューティ比(α値)を基準デューティ比としているが、このα値を求めた時点で、所定の高温(例えば30℃)以上であれば、閾値をそれに応じて補正する。これによって、第3検知手段における異常振動検知が正確に行なえるようになる。
【0149】
この場合の所定の高温(例えば30℃)以上であるか否かの検出は、外槽4の温度を間接的に検出するための方式として、洗濯機SWの周囲温度か洗濯機SWの内部温度を検出するように設けたサーミスタで検知し、主制御部40によって、上記のような目標高速脱水回転速度の補正や閾値の補正をするようにすればよい。一方、乾燥ユニットKSが設けられている場合は、電気ヒータHTで加熱した温風の温度を検出するサーミスタ45が設けられているため、このサーミスタ45によって、乾燥ユニットKSが動作しない非乾燥動作状態においては、このサーミスタ45で検出した温度は略外槽4の周囲温度であり、また乾燥ユニットKSの動作状態においては、外槽4が加温状態となるため、このサーミスタ45の温度検出に基づき、主制御部40によって、上記のような目標高速脱水回転速度の補正や閾値の補正をするようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明に係る洗濯機は、回転軸が垂直及び若干斜めに傾いた状態であって、上面開口の縦型ドラムのものにおいて効果があるが、洗濯機の構成には限定されない。このため、洗濯、すすぎ、脱水を行なうものであれば、乾燥工程や除菌工程等のようなその他の機能を備えた洗濯機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0151】
1…外箱
2…洗濯物投入口
3…上蓋
4…外槽
5…吊棒
6…洗濯脱水槽
7…通水孔
8…槽軸
9…パルセータ
10…翼軸
11…駆動機構
12…モータ
121…ステータ
122…ロータ
123…ステータ固定台
124…磁石
125…ホール素子
13…クラッチ機構
14…減速機構
15…バンドブレーキ機構
16…トルクモータ
17…注水口部
18…給水口
19…給水管
20…給水バルブ
21…排水口
22…排水管
23…排水バルブ
29…振動検知レバー
30…操作パネル
301…電源キー
302…スタートキー
303…コース選択キー
304…手動コース設定キー
305…水量設定キー
306…風呂水利用設定キー
307…予約設定キー
308…コース表示器群
309…設定内容表示器群
310…水量表示器群
311…数値表示器
31…回路ユニット
40…主制御部
41…負荷駆動部
43…操作部
44…表示部
45…サーミスタ
46…水位センサ
47…振動検知スイッチ
48…風呂水ポンプ
49…ブザー
50…モータ取付台
51…上部軸受ケース
52…下部軸受ケース
53…上部ベアリング
54…オイルシール
55…上部歯車ケース
56…下部歯車ケース
57…歯車機構
58…駆動軸
59…下部ベアリング
60…クラッチホイール
61…クラッチスプリング
62…ツメ車
63…ツメ部
64…クラッチレバー
65…クラッチ軸
66…コイルスプリング
67…ブレーキバンド
68…ブレーキレバー
70…インバータ回路
71…交流直流変換回路
72…スイッチング回路
73…駆動部
74…モータ制御部
75…回転検出器
76…電源電圧検出回路
77…電流検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを所定の低速下位目標回転速度から所定の低速上位目標回転速度まで一定加速するように前記目標高速脱水回転速度よりも低い領域に設定された第1の一定加速領域において、
前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇するときの所定時間ごとの回転速度の差による値と、所定の閾値との比較により、前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1検知手段を備え、前記第1検知手段で前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを一定の目標回転速度で運転する定速回転領域を設け、前記一定の目標回転速度を維持するためのデューティ比の減少と基準デューティ比減少との差と、閾値との比較によって前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2検知手段を備え、前記第2検知手段で前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを所定の低速下位目標回転速度から所定の低速上位目標回転速度まで一定加速するように前記目標高速脱水回転速度よりも低い領域に設定された第1の一定加速領域において、
前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇するときの所定時間ごとの回転速度の差による値と、所定の閾値との比較により、前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1検知手段と、
前記低速上位目標回転速度を維持するためのデューティ比の減少と基準デューティ比減少との差と、閾値との比較によって前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2検知手段と、を備え、
前記第1検知手段及び第2検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを所定の低速下位目標回転速度から所定の低速上位目標回転速度まで一定加速するように前記目標高速脱水回転速度よりも低い領域に設定された第1の一定加速領域において、
前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇させる指令値と実際の回転速度の上昇値とのずれを算出する第1差算出手段と、
前記第1差算出手段による値と所定の閾値との比較により、前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1アンバランス判定手段とを備えた第1検知手段と、
前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を基準デューティ比とする基準値設定手段と、前記基準値設定手段による基準デューティ比の設定後に前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を逐次取得し、この取得したデューティ比と基準デューティ比減少関数(基準デューティ比が時間の経過と共に減少する値として定めた設定値)との差を算出する第2差算出手段と、前記第2差算出手段による差と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2アンバランス判定手段とを備えた第2検知手段と、
前記第1検知手段及び第2検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを所定の低速下位目標回転速度から所定の低速上位目標回転速度まで一定加速するように前記高速脱水回転速度よりも低い領域に設定された第1の一定加速領域において、前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇させる指令値に対する加速度の変化を算出する第1算出手段と、前記第1差算出手段による算出値と所定の閾値との比較により、前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1アンバランス判定手段とを備えた第1検知手段と、
前記中位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を基準デューティ比とする基準値設定手段と、前記基準値設定手段による基準デューティ比の設定後に前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を逐次取得し、この取得したデューティ比と基準デューティ比減少関数(基準デューティ比が時間の経過と共に減少する値として定めた設定値)との差を算出する第2差算出手段と、前記第2差算出手段による差と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2アンバランス判定手段とを備えた第2検知手段と、
前記第1検知手段及び第2検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項6】
外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、該洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを所定の低速下位目標回転速度から所定の低速上位目標回転速度まで一定加速するように前記目標高速脱水回転速度よりも低い領域に設定された第1の一定加速領域において、前記洗濯脱水槽の縦揺れを検知する第1検知手段と、前記判定時間後の前記モータの所定回転速度のもとで前記洗濯脱水槽の縦揺れを検知する第2検知手段を備え、
前記第1検知手段は、前記判定時間において前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇するときの所定間隔で検知した回転速度の上昇値(差)の複数の積算値を算出する第1差算出手段と、
前記モータの回転数の差の複数値の積算値を算出する手段と、前記積算値と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1アンバランス判定手段を備え、
前記第2検知手段は、前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を基準デューティ比とする基準値設定手段と、前記基準値設定手段による基準デューティ比の設定後に前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を逐次取得し、この取得したデューティ比と基準デューティ比減少関数(基準デューティ比が時間の経過と共に減少する値として定めた設定値)との差を算出する第2差算出手段と、前記第2差算出手段による差と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2アンバランス判定手段を備え、
前記第1検知手段及び第2検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項7】
外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、該洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
前記モータを所定の低速下位目標回転速度から所定の低速上位目標回転速度まで一定加速するように前記目標高速脱水回転速度よりも低い領域に設定された第1の一定加速領域において、前記洗濯脱水槽の縦揺れを検知する第1検知手段と、前記判定時間後の前記モータの所定回転速度のもとで前記洗濯脱水槽の縦揺れを検知する第2検知手段を備え、
前記第1検知手段は、前記判定時間において前記モータの回転速度を前記低速上位目標回転速度へ上昇するときの所定間隔で検知した回転速度の上昇値(差)を算出する第1差算出手段と、
前記上昇値(差)と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第1アンバランス判定手段を備え、
前記第2検知手段は、前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を基準デューティ比とする基準値設定手段と、前記基準値設定手段による基準デューティ比の設定後に前記低速上位目標回転速度のもとで前記PWM信号のデューティ比を逐次取得し、この取得したデューティ比と基準デューティ比減少関数(基準デューティ比が時間の経過と共に減少する値として定めた設定値)との差を算出する第2差算出手段と、前記第2差算出手段による差と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第2アンバランス判定手段を備え、
前記第1検知手段及び第2検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項8】
洗濯機の動作モードを選択する操作部を備え、前記操作部において毛布コースが選択されている場合、前記第1検知手段及び第2検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記制御手段によるモータ停止制御状態が連続して所定回数に達したか否かの連続状態判定手段を備え、前記連続状態判定手段による判定が、連続して所定回数に達した判定でないときは再度前記第1検知手段から検知動作を再開し、連続して所定回数に達した判定にてモータ停止状態とすることを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項9】
外槽内に回転軸を中心に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽を回転駆動するためのモータ、周期的にスイッチングすることで前記モータを駆動するスイッチング素子を含むインバータ回路、及び前記モータの回転速度を検知する速度検知手段と、前記速度検知手段により検知された回転速度とモータ電流に基づいて前記インバータ回路に供給するPWM信号のデューティ比を決める駆動制御手段と、を具備し、前記洗濯脱水槽を高速で回転させることで前記洗濯脱水槽内の洗濯物の脱水を行う洗濯機において、
脱水に際し回転軸周りの洗濯物の片寄りに起因する前記洗濯脱水槽のアンバランスを検知するために、前記モータの回転速度が設定した目標高速脱水回転速度に向けて上昇制御するとき、
振動の影響を受け難い中速回転速度と前記洗濯脱水槽の負荷量によって略決まる補正デューティ比(α値)を基準デューティ比とし、高速回転速度においてα値によって変化する閾値(回転速度とこの基準デューティ比との関数)を基準デューティ比の測定で決定し、補正デューティ比が閾値以上または超えたとき前記モータを停止制御するか、前記補正デューティ比が閾値以上または超えたときの回転速度により、脱水工程を続けるための回転速度の変更をする第3検知手段を備え、前記第3検知手段で前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項10】
振動の影響を受け難い中速回転速度と前記洗濯脱水槽の負荷量によって略決まる補正デューティ比(α値)を基準デューティ比とし、高速回転速度においてα値によって変化する閾値(回転速度とこの基準デューティ比との関数)を基準デューティ比の測定で決定し、補正デューティ比が閾値以上または超えたとき前記モータを停止制御するか、前記補正デューティ比が閾値以上または超えたときの回転速度により、脱水工程を続けるための回転速度の変更をする第3検知手段を備え、前記第1検知手段、第2検知手段、及び第3検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項11】
前記インバータ回路の直流電源電圧は、商用電源電圧から整流しコンデンサに充電した直流電圧であり、前記第2検知手段による検知後から前記目標高速脱水回転速度に達するまでの高速回転領域に第2の一定加速領域が設定され、前記第2の一定加速領域において前記PWM信号のデューティ比を逐次取得するデューティ比取得手段と、この逐次取得したデューティ比を前記直流電圧が所定の定常状態から低下した状態にあるとき前記所定の定常状態での前記直流電源電圧に相当するよう補正した第2の補正デューティ比とする補正手段と、この第2の補正デューティ比と所定の閾値との比較により前記洗濯脱水槽のアンバランスの有無を判定する第3アンバランス判定手段とを備えた第3検知手段を備え、
前記第1検知手段、第2検知手段、及び第3検知手段のいずれかで前記洗濯脱水槽のアンバランスが検知されたとき、前記モータを停止制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至8、及び請求項10のいずれかに記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−240040(P2011−240040A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116459(P2010−116459)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(308012668)三洋アクア株式会社 (37)
【Fターム(参考)】