説明

洗落し式水洗便器

【課題】所定の大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後に便器の溜水へ洗浄水を追加することにより、次回の便器洗浄が溜水が不足して洗浄性能が低下した状態で行われることを防ぐことができる洗落し式水洗便器を提供する。
【解決手段】本発明の洗落し式水洗便器1は、底面12aに形成された排水口12bを開閉する排水装置14及び給水装置16を備えた洗浄水タンク12と、ボウル部2と、排水トラップ管路6と、この排水トラップ管路の近傍で且つボウル部下方に形成された溜水部11と、ボウル部に洗浄水タンクからの洗浄水を吐水する吐水部10a,10bと、洗浄水タンクから導水路への洗浄水の給水を制御する制御装置18と、を有し、この制御装置は、大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように吐水部から溜水部へ洗浄水を追加することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗落し式水洗便器に係わり、特に、少なくとも所定の大小の2種類の洗浄水量の洗浄水を切り替えて供給することにより汚物を洗い落す洗落し式水洗便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、サイホン作用を生じさせない大便器として、洗落し式便器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このように従来の洗落し式便器は、水の落差による流水作用で汚物を押し流す方式で構造がシンプルであり、かつ安価であることに加えて、サイホン作用を生じさせないため、便器洗浄に用いられる洗浄水の量が少なくて済むという利点を有する。したがって、従来から便器に要請されている洗浄水の節水のニーズにも合致したものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−234374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の洗落し式便器においては、便器の内部構造の一部である排水ソケットや排水管の形態によっては、洗浄水量を最も多く使用し水勢の強い便器の大洗浄中に、しばしば便器の溜水部においてサイホン作用を発生させてしまうことがある。 また、従来の洗落し式便器においては、このようなサイホン作用が発生した便器の大洗浄後に溜水部の溜水に洗浄水を追加する手段を備えていないため、次回の大洗浄を行う際に溜水部の溜水が不足した状態で洗浄が行われてしまうという問題がある。さらに、このような溜水部の溜水不足が生じた状態で次回の大洗浄が行われると、この溜水の不足分だけ、次回の大洗浄中に行われる溜水部の水位上昇が遅れることになり、洗浄性能を低下させてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、所定の大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後に便器の溜水へ洗浄水を追加することにより、次回の便器洗浄が溜水が不足して洗浄性能が低下した状態で行われることを防ぐことができる洗落し式水洗便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、洗浄水給水源から少なくとも大洗浄水量と小洗浄水量の洗浄水を切り替えて供給することにより汚物を洗い落す洗落し式水洗便器であって、ボウル形状のボウル部と、このボウル部の下方にその入口が接続され汚物を排出する排水トラップ管路と、この排水トラップ管路の近傍で且つ上記ボウル部下方に形成された溜水部と、上記ボウル部に上記洗浄水給水源からの洗浄水を吐水する吐水部と、上記吐水部からの洗浄水の吐水量を制御する制御手段と、を有し、上記制御手段は、大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、上記溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように上記吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、万一、洗浄水給水源からの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄中に溜水部や排水トラップ管路においてサイホン作用が生じ、溜水部の溜水不足が生じてしまったとしても、制御手段が、洗浄水給水源からの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように吐水部から溜水部へ洗浄水を追加することができるため、溜水部の溜水が不足して洗浄性能が低下した状態で次回の便器洗浄が行われることを防ぐことができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、上記制御手段は、上記洗浄水給水源からの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、さらに所定時間経過させた後に上記溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように上記吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加する。
このように構成された本発明においては、制御手段が、洗浄水給水源からの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、さらに所定時間経過させた後に溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように吐水部から溜水部へ洗浄水を追加することができるため、この追加した洗浄水が、この洗浄水を追加する前に大洗浄水量の便器洗浄の洗浄水の勢いによって汚物と共に排出されてしまうことを防ぐことができる。この結果、洗浄水給水源からの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、さらに所定時間経過させた後に吐水部から溜水部への洗浄水の追加供給を安定して行うことができるため、便器洗浄後に便器洗浄の洗浄水の勢いによって汚物と共に排出されてしまう無駄水を抑制することができ、万一、洗浄水給水源からの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄中に溜水部や排水トラップ管路においてサイホン作用が生じても、吐水部から溜水部へのより少ない追加洗浄水量によって、溜水部の溜水不足を防ぐことができる。
【0008】
また、本発明は、少なくとも大洗浄水量と小洗浄水量の洗浄水を切り替えて供給することにより汚物を洗い落す洗落し式水洗便器であって、洗浄水を貯留するタンク、このタンク内へ洗浄水を給水する給水弁、及び、このタンクの底面に形成された排水口を開閉する排水弁を備えた洗浄水タンクと、ボウル形状のボウル部と、このボウル部の下方にその入口が接続され汚物を排出する排水トラップ管路と、この排水トラップ管路の近傍で且つ上記ボウル部下方に形成された溜水部と、上記ボウル部に上記洗浄水タンクからの洗浄水を吐水する吐水部と、上記吐水部からの洗浄水の吐水量を制御する制御手段と、を有し、上記制御手段は、大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、上記溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように上記吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、万一、洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄中に溜水部や排水トラップ管路においてサイホン作用が生じ、溜水部の溜水不足が生じてしまったとしても、制御手段が、洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように吐水部から溜水部へ洗浄水を追加することができるため、溜水部の溜水が不足して洗浄性能が低下した状態で次回の便器洗浄が行われることを防ぐことができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記制御手段は、上記洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、さらに所定時間経過させた後に上記溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように上記吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加する。
このように構成された本発明においては、制御手段が、洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、さらに所定時間経過させた後に溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように吐水部から溜水部へ洗浄水を追加することができるため、この追加した洗浄水が、洗浄水を追加する前に大洗浄水量の便器洗浄の洗浄水の勢いによって汚物と共に排出されてしまうことを防ぐことができる。この結果、洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、さらに所定時間経過させた後に吐水部から溜水部への洗浄水の追加供給を安定して行うことができるため、便器洗浄後に便器洗浄の洗浄水の勢いによって汚物と共に排出されてしまう無駄水を抑制することができ、万一、洗浄水タンクからの所定の大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄中に溜水部や排水トラップ管路においてサイホン作用が生じても、吐水部から溜水部へのより少ない追加洗浄水量によって、溜水部の溜水不足を防ぐことができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記制御手段は、上記洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、上記洗浄水タンク内の洗浄水量のすべてが排出される前に上記洗浄水タンクの上記排水弁を閉じ、所定時間経過させた後に再び上記排水弁を開き、上記溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように上記吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加する。
このように構成された本発明においては、制御手段が、洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、洗浄水タンク内の洗浄水量のすべてが排出される前に洗浄水タンクの排水弁を閉じ、所定時間経過させた後に再び排水弁を開き、溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加することができる。したがって、排水弁の開閉の動作やタイミングを単純に制御するだけで、溜水部へ洗浄水を追加する他の手段を設ける必要がないため、洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄中に溜水部や排水トラップ管路においてサイホン作用が生じても、簡易な構成によって、溜水部の溜水不足を防ぐことができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記制御手段は、上記洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われて上記洗浄水タンク内の洗浄水量のすべてが排出された後、上記洗浄水タンクの排水弁を開いた状態で上記洗浄水タンクの給水弁を開き、上記溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように上記吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加する。
このように構成された本発明においては、制御手段が、洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われて洗浄水タンク内の洗浄水量のすべてが排出された後、洗浄水タンクの排水弁を開いた状態で上記洗浄水タンクの給水弁を開き、溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように吐水部から溜水部へ洗浄水を追加することができる。したがって、洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われて洗浄水タンク内の洗浄水量のすべてが排出された後に洗浄水タンクの排水弁を開いた状態で給水弁から溜水部へ供給された洗浄水のすべてについて、溜水部の溜水不足を防ぐ追加洗浄水として利用することができる。この結果、洗浄水タンクから洗浄水導水路を経て溜水部への洗浄水の追加供給を安定して行うことができ、万一、洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄中に溜水部や排水トラップ管路においてサイホン作用が生じても、溜水部の溜水不足を確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の洗落し式水洗便器によれば、所定の大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後に便器の溜水へ洗浄水を追加することにより、次回の便器洗浄が溜水が不足して洗浄性能が低下した状態で行われることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態による洗落し式水洗便器の概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による洗落し式水洗便器の洗浄水タンクの内部構造を概略的に示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態による洗落し式水洗便器の動作を示すタイムチャートである。
【図4】(i)〜(iv)は本発明の第1実施形態による洗落し式水洗便器の動作を示す概略図である。
【図5】本発明の第2実施形態による洗落し式水洗便器の動作を示すタイムチャートである。
【図6】(i)〜(iv)は本発明の第2実施形態による洗落し式水洗便器の動作を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面により、本発明の第1実施形態による排水装置を説明する。
まず、図1により、本発明の第1実施形態による洗落し式水洗便器の一例を説明する。
図1は本実施形態による洗落し式水洗便器の概略断面図である。
図1に示すように、符号1は洗落し式水洗便器を示し、この洗落し式水洗便器1の上部の前方側には、ボウル部2が形成され、後方側の上部には導水路4が、導水路4の下方にはボウル部2と連通する排水トラップ管路6が、それぞれ形成されている。
【0015】
水洗便器1のボウル部2の上縁部にはオーバーハング形状のリム8が形成され、このリム8に導水路4から洗浄水が供給される1つ又は2つの吐水口10aが形成され、洗浄水が旋回しながら下降してボウル部2を洗浄できるようになっている。また、ボウル部2の中心下部には、導水路4から洗浄水が供給される吐水口10bが形成され、この吐水口10bから洗浄水が溜水に上下方向の旋回流を生じさせるようになっている。
また、排水トラップ管路6の近傍で且つボウル部2の下方には溜水により溜水部11が形成されている。なお、図1においては、溜水部11の溜水面W0を一点鎖線で示している。この溜水部11の下方には、上述した排水トラップ管路6の入口6aが開口し、この入口6aから上昇路6bが後方に延びている。この上昇路6bには下降路6cが連続し、下降路6cの下端は排水ソケット(図示せず)を介して床下の排出管(図示せず)に接続されている。
【0016】
水洗便器1の導水路4の上方には、外部の給水源(図示せず)に接続されて水洗便器1に供給する洗浄水を貯留する洗浄水タンク12が設けられている。この洗浄水タンク12の底部12aには、水洗便器1の導水路4と連通し洗浄水タンク12内の洗浄水が排水される排水口12bが形成されている。この洗浄水タンク12の内部には、以下に説明する種々の機器が設けられている。
【0017】
つぎに、図2により、洗浄水タンク12に設けられた種々の機器について説明する。
図2は本発明の第1実施形態による洗落し式水洗便器の洗浄水タンクの内部構造を概略的に示すブロック図である。
なお、図2においては、洗浄水タンク12内の満水時の水位(最高水位)をWL1で示し、洗浄水タンク12内の排水時の最低水位をWL2で示している。
【0018】
図2に示すように、洗浄水タンク12内には、排水装置14、給水装置16、制御装置18、水位センサ20が設けられている。
まず、給水装置16は、給水管22、給水バルブ24、及び、給水口26を備えている。
給水管22は、第1の給水管22aと第2の給水管22bを備えており、第1の給水管22aの上流側端部は、給水バルブ24に接続され、第1の給水管22aの下流側端部は、定流量弁(図示せず)等を経て外部の水道等の給水源(図示せず)に接続されている。
また、第2の給水管22bの上流側端部は、洗浄水タンク12内に向けて差し向けられた給水口26に接続され、第2の給水管22bの下流側端部は、給水バルブ24に接続されている。
【0019】
給水バルブ24は、電磁バルブからなり、洗浄水タンク12内の水位を検知するフロートスイッチからなる水位センサ20の水位検知情報に基づいて制御装置18からの指令により給水バルブ24の開閉動作が制御され、給水装置16の給水口26から洗浄水タンク12内への洗浄水の給水又は止水が切り替えられるようになっている。
【0020】
つぎに、排水装置14は、オーバーフロー管28及び排水バルブ30を備えている。
オーバーフロー管28は、洗浄水タンク12の排水口12bと対向する下端部の下端開口部28aから上方に位置する上端開口部28bにかけてほぼ円筒状に延びている管部材である。そして、洗浄水タンク12内の洗浄水の水位が満水時の水位WL1を超えてさらに水位WOFまで上昇し、オーバーフロー管28の上端開口部28bの高さ位置を上回ってオーバーフローした際には、このオーバーフローした洗浄水がオーバーフロー管28の上端開口部28bから下端開口部28aを経て洗浄水タンク12の排水口12bから水洗便器1側に排水されるようになっている。
【0021】
さらに、オーバーフロー管28は、上端開口部28bから上方に突出する操作レバー取付部28cを備え、オーバーフロー管28を上下動させるための制御装置18の一部であるフック状の操作レバー18aがオーバーフロー管28の操作レバー取付部28cに取り付けられている。
【0022】
ここで、制御装置18は、操作レバー18a、回転軸18b、及び、回転駆動装置18cを備えており、回転駆動装置18cは、回転軸18bを回転させるためのモータ等の駆動装置であり、洗浄水タンク12の上方外側に配置されている。
また、回転軸18bは、その基端部が回転駆動装置18cに保持され、この基端部から洗浄水タンク12内の先端部にかけてほぼ水平に延びている。
さらに、回転軸18bの先端部には操作レバー18aが固定されており、回転駆動装置18cの駆動により所定の回転角度の範囲内で回転軸18bと操作レバー18aが一体に回転し、また、操作レバー18aの回転方向に応じてオーバーフロー管28が上昇又は下降するようになっている。
【0023】
また、本実施形態の排水装置14においては、回転駆動装置18cの作動が開始することにより、排水装置14が作動して排水口12bを開放し、洗浄水タンク12内の洗浄水が排水口12bから水洗便器1に排水されるようになっている。この排水装置14による洗浄水タンク12から水洗便器1への洗浄水の排水動作の開始については、水洗便器1に設けられている便器使用者を検知する人体検知センサ(図示せず)からの信号、或いは、水洗便器1の洗浄操作を指令する操作ボタン(図示せず)を便器使用者が操作した信号が制御装置18に送られて回転駆動装置18cの作動が開始することにより行わるようになっている。
【0024】
また、排水装置14の排水バルブ30は、オーバーフロー管28の下端部の外周に沿って固着された円環状のシール部材であり、オーバーフロー管28が洗浄水タンク12内で最低位置まで下降した際、オーバーフロー管28の下端部と共に洗浄水タンク12の排水口12bを密閉する排水弁として機能することができるようになっている。
さらに、排水バルブ30は、オーバーフロー管28の下端部に固定されているため、操作レバー18aの回転方向に応じてオーバーフロー管28と一体的に上昇又は下降するようになっている。
【0025】
また、制御装置18は、洗浄水タンク12内の水位を検知するフロートスイッチからなる水位センサ20の水位検知情報に基づいて、給水バルブ24の開閉動作を制御するようになっている。
さらに、制御装置18は、水洗便器1に設けられている便器使用者を検知する人体検知センサ(図示せず)からの信号、或いは、洗浄水タンク12から少なくとも所定の大小の2種類の洗浄水量の洗浄水による洗浄モード(例えば、大洗浄モード、又は、小洗浄モード)のいずれかに切り替えて水洗便器1の洗浄操作を指令する洗浄操作ボタン(図示せず)を便器使用者が操作した信号に基づいて回転駆動装置18cの駆動を制御することにより回転軸18bと操作レバー18aの回転を制御すると共に、オーバーフロー管28と排水バルブ30の上下方向の位置や排水バルブ30が上昇して洗浄水タンク12の排水口12bを開放している開弁時間を制御することにより、洗浄水タンク12の排水口12bから水洗便器1側に排水される洗浄水量を制御するようになっている。
なお、本実施形態では、所定の大小2種類の洗浄水量の洗浄水による洗浄モードを備えた制御装置にて説明しているが、大小2種類の洗浄水量の他にさらに洗浄水の少ない小洗浄を追加して3種類の洗浄モードを備えても、さらに複数の洗浄モードを備えても良い。
【0026】
つぎに、図2〜図4を参照し、本発明の第1実施形態による洗落し式水洗便器の動作(作用)を説明する。
ここで、図3は本実施形態による洗落し式水洗便器の動作を示すタイムチャートであり、図4の(i)〜(iv)は本発明の第1実施形態による洗落し式水洗便器の動作を示す概略図である。なお、図3において、横軸は時間を示し、縦軸は上から洗浄操作ボタン、排水バルブ、給水バルブ、及び、フロートスイッチの動作をそれぞれ示している。
【0027】
図2〜図4に示すように、便器使用者が洗落し式水洗便器1を使用後、図3の時刻t1において洗浄水タンク12から水洗便器1への洗浄水の排水装置14による排水動作を開始する際、水洗便器1に設けられている便器使用者を検知した人体検知センサ(図示せず)からの信号が制御装置18に送られるか、或いは、便器使用者が洗浄操作ボタン(図示せず)を操作し、洗浄水タンク12から少なくとも所定の大小の2種類の洗浄水量の洗浄水による洗浄モード(例えば、大洗浄モード、又は、小洗浄モード)のいずれかに切り替え、例えば、便器使用者が大洗浄モードによる操作を指令すると、この信号が制御装置18に送られ、時刻t2において回転駆動装置18cの作動が開始する。
また、特に、図3の時刻t1〜t2までの間では、図4(i)に示すように、給水バルブ24及び排水バルブ30が共に閉弁し、洗浄水タンク12内の水位はWL1(満水)となっている。
【0028】
そして、図3の時刻t2において、回転駆動装置18cが作動すると、回転軸18bと共に操作レバー18aが所定方向に回転し、この操作レバー18aに取り付けられているオーバーフロー管28の操作レバー取付部28cが引き上げられ、オーバーフロー管28と排水バルブ30が上昇し、洗浄水タンク12の排水口12bを開放する(図4の(ii)参照)。
【0029】
排水バルブ30が洗浄水タンク12の排水口12bを開放している図3の時刻t2から時刻t3までの間、洗浄水タンク12の排水口12bから洗浄水が水洗便器1の導水路4に排水され、この導水路4内の洗浄水が洗落し式水洗便器1の各吐水口10a,10bから溜水部11内に吐水され、洗落し式水洗便器1の大洗浄モードによる洗浄が行われる。そして、溜水部11内の汚物は、導水路4から溜水部11への洗浄水の落差による流水作用により、排水トラップ管路6の入口6aから上昇路6b及び下降路6cに押し流され、最終的には、排水ソケット(図示せず)を介して床下の排出管(図示せず)から排出される。
【0030】
図3の時刻t2で排水装置14の排水が開始されてから時刻t3にかけて、洗浄水タンク12内の水位が満水時の水位WL1から次第に減少すると、排水装置14のオーバーフロー管28と排水バルブ30下降する。
そして、時刻t3において、洗浄水タンク12内の洗浄水の水位が、ほぼ空の状態の水位WL2よりも所定距離上方の所定水位WL3に達すると、制御装置18が回転駆動装置18cの作動が停止し、排水バルブ30が洗浄水タンク12の排水口12bを一旦閉鎖する(図4の(iii)参照)。
また、洗浄水タンク12の排水口12bが閉鎖されている時刻t3においては、図4の(iii)に示すように、洗浄水タンク12内には、所定水位WL3に相当する所定量の洗浄水が残存しており、洗浄開始前の洗浄水タンク12内の水位WL1に相当する洗浄水量のすべてが、洗浄水タンク12の排水口12bから排水されているわけではない。
【0031】
つぎに、図3の時刻t3から所定時間経過した時刻t4に達すると、再び、回転駆動装置18cが作動し、オーバーフロー管28と排水バルブ30が上昇し、洗浄水タンク12の排水口12bを再び開放する(図4の(iv)参照)。
そして、図3の時刻t4から所定時間経過した時刻t5では、時刻t3において洗浄水タンク12内に残存している所定水位WL3に相当する所定量の洗浄水のすべてが洗浄水タンク12の排水口12bから完全に排水されて、洗浄水タンク12内の洗浄水の水位がほぼ空の状態の水位WL2になる。このとき、水洗便器1の溜水部11は、溜水面W0に相当するほぼ一定の溜水量となっており、次回の大洗浄モードによる便器洗浄が可能な状態となっている。
また、図3の時刻t4から時刻t5までの間においては、図3の時刻t2から時刻t3までの間に比べて短時間であり、この時刻t4から時刻t5の間に洗浄水タンク12の排水口12bから洗浄水が洗落し式水洗便器1の導水路4に排水される洗浄水量も時刻t2から時刻t3の間に比べると少ない。しかしながら、図3の時刻t2から時刻t3までの間の大洗浄モードによる洗浄中に、洗落し式水洗便器1の溜水部11で意に反してサイホン作用が生じ、このサイホン作用により、溜水部11の溜水の一部が排水トラップ管路6から排出されてしまっても、次回の大洗浄モードによる便器洗浄を十分に行うことができるように、図3の時刻t4から時刻t5までの間に洗落し式水洗便器1の溜水部11の溜水の不足を補うには十分な洗浄水量が追加される。
【0032】
また、図3の時刻t5では、制御装置18が回転駆動装置18cの作動が再び停止し、排水バルブ30が洗浄水タンク12の排水口12bを再び閉鎖すると同時に、給水バルブ24を開弁させる。そして、給水装置16の給水口26から洗浄水タンク12内への洗浄水の給水が行われ、再び洗浄水タンク12内の水位が次第に上昇する。
【0033】
つぎに、図3の時刻t6において、フロートスイッチである水位センサ20が、洗浄水タンク12内の水位が満水時の水位WL1に達していることを検知し、フロートスイッチがオンすると、この検知信号が水位センサ20から制御装置18に送られ、図3の時刻t7において、給水バルブ24が閉弁し、給水装置16の給水口26から洗浄水タンク12内への洗浄水の給水が停止される。
【0034】
上述した本発明の第1実施形態による洗落し式水洗便器1によれば、制御装置18が、図3の時刻t2から時刻t3までの間において洗浄水タンク12から大洗浄モードの所定の大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、時刻t3で一旦排水バルブ30を閉弁して、時刻t3から時刻t4までの所定時間経過後、溜水部11の溜水量がほぼ一定に保持されるように、時刻t4から時刻t5までの間において洗浄水タンク12から洗落し式水洗便器1の導水路4を経て溜水部11へ洗浄水を追加することができる。この結果、時刻t4から時刻t5までの間において溜水部11に追加した洗浄水が、洗浄水を追加する前(時刻t2から時刻t3までの間)に大洗浄モードの所定の大洗浄水量の便器洗浄の洗浄水の勢いによって汚物と共に排出されてしまうことを防ぐことができる。また、洗浄水タンク12からの大洗浄モードの所定の大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、溜水部11の溜水量がほぼ一定に保持されるように時刻t3から時刻t4までの所定の時間間隔を空けて洗浄水タンク12から導水路4を経て溜水部11への洗浄水の追加供給を安定して行うことができるため、便器洗浄後に溜水部11へ追加する無駄水を抑制することができ、万一、洗浄水タンク12からの大洗浄モードの所定の大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄中に溜水部11や排水トラップ管路6においてサイホン作用が生じたとしても、時刻t4から時刻t5までの間において、より少ない追加洗浄水量によって、溜水部11の溜水不足を防ぐことができる。
【0035】
また、本実施形態による洗落し式水洗便器1によれば、制御装置18が、図3の時刻t2から時刻t3までの間において洗浄水タンク12から大洗浄モードの所定の大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、洗浄水タンク12内の洗浄水量のすべてが排出される前(洗浄水タンク12内の水位がWL2に達する前)の時刻t3において、洗浄水タンク12の排水装置14の排水バルブ30を閉じ、時刻t4まで所定の時間間隔を空けて再び排水バルブ30を開き、洗浄水タンク12の排水口12bから洗落し式水洗便器1の導水路4を経て溜水部11へ洗浄水を追加するように制御することができる。したがって、制御装置18が、排水装置14の排水バルブ30の開閉の動作やタイミングを単純に制御するだけで、溜水部11へ洗浄水を追加する他の手段を設ける必要がないため、時刻t2から時刻t3までの間において洗浄水タンク12から大洗浄モードの所定の大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄中に溜水部11や排水トラップ管路6においてサイホン作用が生じたとしても、簡易な構成によって溜水部11の溜水に洗浄水を追加することができ、溜水部11の溜水不足を防ぐことができる。
【0036】
つぎに、図5及び図6を参照して、本発明の第2実施形態による洗落し式水洗便器を説明する。
ここで、図5は本発明の第2実施形態による洗落し式水洗便器の動作を示すタイムチャートであり、図6の(i)〜(iv)は本発明の第2実施形態による洗落し式水洗便器の動作を示す概略図である。なお、図5及び図6において、上述した本発明の第1実施形態による洗落し式水洗便器の部分と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0037】
図5及び図6に示すように、本実施形態の洗落し式水洗便器においては、制御装置18が制御する排水装置14の排水バルブ30と給水装置16の給水バルブ24の各々の開閉の動作及びタイミングが上述した第1実施形態による洗落し式水洗便器のものと異なっている。
より具体的には、図5及び図6に示すように、便器使用者が本実施形態による洗落し式水洗便器を使用後、図5の時刻t11において洗浄水タンク12から水洗便器への洗浄水の排水装置14による排水動作を開始する際、便器使用者を検知した人体検知センサ(図示せず)からの信号が制御装置18に送られるか、或いは、便器使用者が洗浄操作ボタン(図示せず)を操作し、便器使用者が大洗浄モードによる操作を指令すると、この信号が制御装置18に送られ、時刻t12において回転駆動装置18cの作動が開始する。
また、特に、図5の時刻t11〜t12までの間では、図6(i)に示すように、給水バルブ24及び排水バルブ30が共に閉弁し、洗浄水タンク12内の水位はWL1(満水)となっている。
【0038】
そして、図5の時刻t12において、回転駆動装置18cが作動すると、回転軸18bと共に操作レバー18aが所定方向に回転し、この操作レバー18aに取り付けられているオーバーフロー管28の操作レバー取付部28cが引き上げられ、オーバーフロー管28と排水バルブ30が上昇し、洗浄水タンク12の排水口12bを開放する(図6の(ii)参照)。
【0039】
排水バルブ30が洗浄水タンク12の排水口12bを開放している図5の時刻t12から時刻t13までの間、洗浄水タンク12の排水口12bから洗浄水が水洗便器1の導水路4に排水され、この導水路4内の洗浄水が洗落し式水洗便器1の各吐水口10a,10bから溜水部11内に吐水され、洗落し式水洗便器の大洗浄モードによる洗浄が行われる。そして、溜水部11内の汚物は、導水路4から溜水部11への洗浄水の落差による流水作用により、排水トラップ管路6の入口6aから上昇路6b及び下降路6cに押し流され、最終的には、排水ソケット(図示せず)を介して床下の排出管(図示せず)から排出される。
また、図5の時刻t12から時刻t13までの間、洗浄水タンク12内の洗浄水のすべてが洗浄水タンク12の排水口12bから完全に排水されて、洗浄水タンク12内の洗浄水の水位がほぼ空の状態の水位WL2になる(図6の(ii)参照)。
【0040】
つぎに、時刻t13において、制御装置18が給水バルブ24を開弁させ、そして、時刻t14において、制御装置18が排水バルブ30を閉弁させる。
また、図5の時刻t13から時刻t14までの間においては、給水バルブ24と排水バルブ30が共に開弁した状態となっており、給水装置16の給水口26から洗浄水タンク12内への洗浄水の給水が行われると同時に、この洗浄水タンク12内に給水された洗浄水が洗浄水タンク12内に貯水されることなく、そのまま洗浄水タンク12の排水口12bから洗浄水が水洗便器の導水路4に排水され、この導水路4内の洗浄水が洗落し式水洗便器1の各吐水口10a,10bから溜水部11内の溜水に吐水される(図6の(iii)参照)。
【0041】
また、図5の時刻t13から時刻t14までの間においては、図5の時刻t12から時刻t13までの間に比べて長時間となっており、給水装置16の給水口26から洗浄水タンク12へ少量ずつ時間をかけて給水された洗浄水が洗浄水タンク12の排水口12bを経て水洗便器の導水路4へ供給されるようになっている。
ここで、図5の時刻t12から時刻t13までの間の大洗浄モードによる洗浄中に、洗落し式水洗便器の溜水部11で意に反してサイホン作用が生じ、このサイホン作用により、溜水部11の溜水の一部が排水トラップ管路6から排出されてしまっても、次回の大洗浄モードによる便器洗浄を十分に行うことができるように、図5の時刻t13から時刻t14までの間に洗落し式水洗便器の溜水部11の溜水の不足を補うには十分な洗浄水量が給水装置16の給水口26から洗浄水タンク12の排水口12bを経て水洗便器の導水路4へ供給され、この導水路4内の洗浄水が洗落し式水洗便器1の各吐水口10a,10bから溜水部11内の溜水に追加される。そして、水洗便器の溜水部11は、溜水面W0に相当するほぼ一定の溜水量となっており、次回の大洗浄モードによる便器洗浄が可能な状態となる。
【0042】
つぎに、図5の時刻t14において、排水装置14の排水バルブ30が洗浄水タンク12の排水口12bを閉鎖すると、洗浄水タンク12内の水位が次第に上昇する(図6の(iv)参照)。
そして、図5の時刻t15において、フロートスイッチである水位センサ20が、洗浄水タンク12内の水位が満水時の水位WL1に達していることを検知し、フロートスイッチがオンすると、この検知信号が水位センサ20から制御装置18に送られ、図3の時刻t16において、給水バルブ24が閉弁し、給水装置16の給水口26から洗浄水タンク12内への洗浄水の給水が停止される。
【0043】
上述した本発明の第2実施形態による洗落し式水洗便器によれば、制御装置18が、図5の時刻t12から時刻t13までの間、洗浄水タンク12内の洗浄水のすべてが洗浄水タンク12の排水口12bから完全に排水されて、洗浄水タンク12内の洗浄水の水位がほぼ空の状態の水位WL2になって洗落し式水洗便器の大洗浄モードによる洗浄が行われ、溜水部11の溜水量がほぼ一定に保持されるように、時刻t13において洗浄水タンク12内の洗浄水量のすべてが排出されると共に、排水装置14の排水バルブ30を開弁して洗浄水タンク12の排水口12bを開放させた状態で給水装置16の給水バルブ24を開弁し、洗浄水タンク12の排水口12bから洗落し式水洗便器の導水路4を経て溜水部11へ洗浄水を追加するように制御することができる。したがって、時刻t13から時刻t14までの間において洗浄水タンク12内の洗浄水量のすべてが排出された後に給水装置16の給水バルブ24を開いた状態で、給水装置16の給水口26から洗浄水タンク12の排水口12bを経て洗落し式水洗便器の導水路溜水部11へ供給された洗浄水のすべてについて、溜水部11の溜水不足を防ぐ追加洗浄水として利用することができる。この結果、洗浄水タンク12から洗落し式水洗便器の導水路4を経て溜水部11への洗浄水の追加供給を安定して行うことができ、万一、洗浄水タンク12からの所定の大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄中に洗落し式水洗便器の溜水部11や排水トラップ管路6においてサイホン作用が生じても、溜水部11の溜水不足を確実に防ぐことができる。
【0044】
なお、上述した本発明の第2実施形態による洗落し式水洗便器においては、時刻t13において給水バルブ24を開弁し、時刻t13から時刻t14までの間の区間において洗落し式水洗便器の溜水部11の溜水の不足を補う洗浄水の追加給水を行った後、時刻t14の前に給水バルブ24を一旦閉弁し、その後の時刻t14で排水バルブ30を閉弁し、時刻t14から時刻t15までの間の区間において、再び給水バルブ24を開弁して洗浄水タンク12内への貯水を行ってもよい。
【0045】
また、上述した本発明の第1及び第2実施形態の洗落し式水洗便器においては、洗浄水給水手段の一例として洗浄水タンク12から少なくとも所定の大小の2種類の洗浄水量の洗浄水を切り替えて供給することによりボウル2内の汚物を洗い落すことができるような形態について説明したが、このような形態に限定されず、洗浄水給水手段として洗浄水タンクを用いる代わりに、外部の給水源と洗落し式水洗便器1を直接的に接続し、洗落し式水洗便器1に給水する洗浄水量を調整するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 洗落し式水洗便器
2 ボウル部
4 導水路
6 排水トラップ管路
6a 排水トラップ管路の入口
6b 排水トラップ管路の上昇路
6c 排水トラップ管路の下降路
8 リム
10a,10b 吐水口
11 溜水部
12 洗浄水タンク
12a 洗浄水タンクの底部
12b 排水口
14 排水装置
16 給水装置
18 制御装置
18a 操作レバー
18b 回転軸
18c 回転駆動装置
20 水位センサ
22 給水管
24 給水バルブ
26 給水口
28 オーバーフロー管
28a オーバーフロー管の下端開口部
28b オーバーフロー管の上端開口部
28c オーバーフロー管の操作レバー取付部
30 排水バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水給水源から少なくとも大洗浄水量と小洗浄水量の洗浄水を切り替えて供給することにより汚物を洗い落す洗落し式水洗便器であって、
ボウル形状のボウル部と、
このボウル部の下方にその入口が接続され汚物を排出する排水トラップ管路と、
この排水トラップ管路の近傍で且つ上記ボウル部下方に形成された溜水部と、
上記ボウル部に上記洗浄水給水源からの洗浄水を吐水する吐水部と、
上記吐水部からの洗浄水の吐水量を制御する制御手段と、を有し、
上記制御手段は、大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、上記溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように上記吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加することを特徴とする洗落し式水洗便器。
【請求項2】
上記制御手段は、上記洗浄水給水源からの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、さらに所定時間経過させた後に上記溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように上記吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加する請求項1記載の洗落し式水洗便器。
【請求項3】
少なくとも大洗浄水量と小洗浄水量の洗浄水を切り替えて供給することにより汚物を洗い落す洗落し式水洗便器であって、
洗浄水を貯留するタンク、このタンク内へ洗浄水を給水する給水弁、及び、このタンクの底面に形成された排水口を開閉する排水弁を備えた洗浄水タンクと、
ボウル形状のボウル部と、
このボウル部の下方にその入口が接続され汚物を排出する排水トラップ管路と、
この排水トラップ管路の近傍で且つ上記ボウル部下方に形成された溜水部と、
上記ボウル部に上記洗浄水タンクからの洗浄水を吐水する吐水部と、
上記吐水部からの洗浄水の吐水量を制御する制御手段と、を有し、
上記制御手段は、大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、上記溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように上記吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加することを特徴とする洗落し式水洗便器。
【請求項4】
上記制御手段は、上記洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、さらに所定時間経過させた後に上記溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように上記吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加する請求項3記載の洗落し式水洗便器。
【請求項5】
上記制御手段は、上記洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われた後、上記洗浄水タンク内の洗浄水量のすべてが排出される前に上記洗浄水タンクの上記排水弁を閉じ、所定時間経過させた後に再び上記排水弁を開き、上記溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように上記吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加する請求項4記載の洗落し式水洗便器。
【請求項6】
上記制御手段は、上記洗浄水タンクからの大洗浄水量の洗浄水による便器洗浄が行われて上記洗浄水タンク内の洗浄水量のすべてが排出された後、上記洗浄水タンクの排水弁を開いた状態で上記洗浄水タンクの給水弁を開き、上記溜水部の溜水量がほぼ一定に保持されるように上記吐水部から上記溜水部へ洗浄水を追加する請求項4記載の洗落し式水洗便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−74689(P2011−74689A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228570(P2009−228570)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】