説明

洗車方法及び洗車機

【課題】ドアミラーの形状にかかわらず、洗車時の側面ブラシによる破損を防止する。
【解決手段】自動車と洗車機本体の相対移動に伴い、側面ブラシ4がドアミラー位置に到達すると、側面ブラシ4をドアミラーDMが畳まれる方向に回転させてドアミラーをブラッシング洗浄し、この洗浄中に側面ブラシ4が前後方向に所定値以上傾斜したらドアミラーへの引っ掛けを検出してブラシ4の回転方向を逆転させて側面ブラシ4の引っ掛けを解く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側面ブラシによるドアミラーの破損を防止する洗車方法及び洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドアミラーの破損対策として、特許文献1が提案されている。特許文献1は、図10(a)に示すように、畳んだドアミラーDMが側面ブラシSBの回転により起こされないように、側面ブラシSBを車体側面に対し車体の前面側よりブラシが接触する方向、つまりドアミラーDMを畳む方向に回転させるようにしている。
【0003】
ところが、畳んだ状態であっても車体から大きく張り出してしまう大型のドアミラーの場合、側面ブラシSBをドアミラーDMに対して畳む方向に回転させると、図10(b)に示すように、ドアミラーDMの基端部に引っ掛かりドアミラーDMを破損させてしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−58421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ドアミラーの形状にかかわらず、側面ブラシによる破損を防止する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために本発明は、自動車と洗車機本体の相対移動に伴い、側面ブラシがドアミラー位置に到達すると、側面ブラシをドアミラーの畳まれる方向に回転させてドアミラーをブラッシング洗浄し、この洗浄中に側面ブラシが前後方向に所定値以上傾斜したらドアミラーへの引っ掛けを検出してブラシの回転方向を逆転させて側面ブラシの引っ掛けを解くようにした。
【0007】
ドアミラーの洗浄しているときは、ドアミラー以外の車体を洗浄しているときよりも小さい傾斜角度で引っ掛けを検出し、側面ブラシがドアミラーの引っ掛けを検出して回転を逆転させた場合は、以後の工程で側面ブラシによるドアミラー位置での洗浄を行わないようにする。
【0008】
また、自動車と洗車機本体の相対移動に伴い、自動車の側面をブラッシング洗浄する側面ブラシと、側面ブラシを正逆転する回転駆動手段と、側面ブラシの前後方向の傾斜角度により車体への引っ掛けを検出する引掛検出手段と、洗浄する自動車の形状を検出する車形検出手段と、車形検出手段で検出した自動車の形状からドアミラー位置を推定するドアミラー推定手段と、ドアミラー推定手段で設定したドアミラー位置で回転駆動手段を制御する制御手段とを備えた洗車機において、制御手段は、相対移動に伴い側面ブラシがドアミラー位置に到達すると、回転駆動手段で側面ブラシをドアミラーが畳まれる方向に回転させてドアミラーをブラッシング洗浄し、この洗浄中に引掛検出手段で側面ブラシの引っ掛けを検出すると側面ブラシの回転方向を逆転するようにした。
【0009】
引掛検出手段は、側面ブラシが前後方向に所定値以上傾斜したら車体への引っ掛けを検出し、ドアミラーを洗浄しているときの所定値をドアミラー以外の車体を洗浄しているときの所定値よりも低く設定し、制御手段は、側面ブラシがドアミラーに引っ掛かったことを検出すると、以後の工程で側面ブラシによるドアミラー位置での洗浄を行わないものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の洗車機によれば、側面ブラシでドアミラーを洗浄するとき、側面ブラシをドアミラーの畳む方向に回転させ、この洗浄中に側面ブラシが傾斜姿勢になるとドアミラーに引っ掛かったことを検知して側面ブラシの回転を逆転して引っ掛けを解除するようにしたので、大型のドアミラーを破損させることがない。
【0011】
また、ドアミラーを洗浄するときの引っ掛け検出の判断基準を高くしたので、ドアミラーの引っ掛けを厳密に捉えて対処することができる。更に、ドアミラーへの引っ掛けを検出して引っ掛け解除の動作を実行した後は、ドアミラーが起こされている可能性を考慮して、以後側面ブラシによるドアミラーの洗浄を行わないようにしたので、仮に1往行目の洗浄でドアミラーが起こされても1復行以降に起きたドアミラーを破損することがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の洗車機を示す説明図である。
【図2】側面ブラシの平面図である。
【図3】側面ブラシの正面図である。
【図4】側面ブラシの側面図である。
【図5】制御系を説明するブロック図である。
【図6】ドアミラー位置の検出方法を示す説明図である。
【図7】側面ブラシの動作を示す説明図である。
【図8】ドアミラー周辺の側面ブラシの動作を示す説明図である。
【図9】ドアミラーの引っ掛け状態を示す説明図である。
【図10】従来のドアミラー周辺の洗浄方法を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施態様について図面を基に説明する。図1は洗車機の正面図である。
洗車機本体1は左右一対のレール2,2上を往復走行し、レール2,2間に停車される自動車を跨ぐように移動する。3・4・4は洗車機本体1に設けられる洗車処理装置としての回転ブラシで、3は車体面に沿って昇降動作し主に車体上面を洗浄する上面ブラシ、4・4は車体面に沿って開閉動作し車体の側面および前後面を洗浄する左右一対の側面ブラシである。5・6・6は洗車機本体1に設けられ洗浄後の車体の乾燥をはかる洗車処理装置としてのブロワノズルで、5は車体面に沿って昇降動作する上面ブロワノズル、6・6は車体面に沿って出没動作する左右一対の側面ブロワノズルである。8は洗車機本体1のブラシ3・4・4よりも前方に位置して設けられ本体1の走行に伴い自動車の側方から見た形状を読み取る車形検出装置、9・9は本体1を走行させるモータ、10はモータ9の出力軸に取り付けられ洗車機本体1が単位距離走行する毎にパルス出力するエンコーダである。
【0014】
車形検出装置8は、洗車機本体1の前側方に自動車を幅方向に挾むようにして、上下に複数の発光素子を配列した発光ユニット8Aと、上下に複数の受光素子を配列した受光ユニット8Bを対向させ、発・受光素子間で授受される光信号が自動車Aの車体によって遮られたのを検知して車両検出するもので、本体1の走行に伴いロータリーエンコーダ9からパルス出力される毎に、発光ユニット8Aの発光素子を上から順に発光させ、これと同期して受光ユニット8Bの発光素子と対向した受光素子での受光レベルを順に取得していく。
【0015】
洗車する自動車を、洗車機本体1の前方より自動車を進入させ、本体1手前で停車させ、この状態で洗車機本体を往復走行させて洗車を行う。例えば1往復で洗車する場合は、まず洗車機本体1を前方へ往行走行させ、車形検出装置8で読み取った車体形状に合わせてブラシ3・4・4を制御し車体面のブラッシング洗浄を行い、続いて洗車機を復行走行させブロワノズル5,6,6から車体に空気を吹き付けて車体面の乾燥をはかる。もちろん、この1往復の洗車以外にも洗車機を2往復・3往復させて様々なニーズに応じた洗車動作をさせることができる。尚、各ブロワノズル5,6,6を各ブラシ3,4,4よりも後方に配置し、ブラシとの間に車体上面に沿って昇降するシャッターを設けて隔離することで、片道単位での洗車も可能となる。
【0016】
図2〜4は側面ブラシ4の構造を示す説明図であり、図2は平面から見た状態、図4は正面から見た状態、図5は側面から見た状態を示している。
左右一対の側面ブラシ4・4は、それぞれ本体1内の後方上部に左右に渡って水平に横架されたガイドレール11に挟持するキャリア12と、該キャリア12から吊下される回転軸13と、該回転軸13の周囲に植毛される布製又は樹脂製のブラシ体14とから構成される。この側面ブラシ4・4は、開閉装置15によってガイドレール11上を走行し左右別々に開閉可能にされ、回転駆動装置16によって正逆自在に回転駆動される。また、左右揺動装置17及び前後揺動装置18を介して左右方向及び前後方向に揺動自在にされる。
【0017】
開閉装置15は、側面ブラシ4を左右別々に開閉するものであり、図2に示すように、ブラシ開閉用モータ15aと、一端がキャリア12に接続され、他端がスプロケット15bを介して開閉用モータ15aの駆動軸に懸架されたチェーン15cと、モータの駆動軸先端に接続されるブラシ走行位置検出用のエンコーダ15dとから構成される。
【0018】
回転駆動装置16は、側面ブラシを回転駆動するもので、キャリア12に設けた正逆可能なブラシ回転用モータ16aと、このモータ16aの駆動軸に取り付けた小プーリ・回転軸13の先端に取り付けた大プーリ・各プーリを繋ぐベルトを備えた連係装置16bとから構成される。
【0019】
左右揺動装置17は、側面ブラシ4を垂直姿勢から下端が外側に開く位置まで揺動させるもので、図3に示すように、キャリア12の上面において回転軸13の上端を連結固定する支持板17aと、該支持板17aを一方向に揺動支持する支軸17bと、支持板17aが所定量θ1傾いた位置でスイッチングする第1近接スイッチ17cと、支持板17aが所定量θ2(>θ1)傾いた位置でスイッチングする第2近接スイッチ17dとから構成される。
【0020】
前後揺動装置18は、側面ブラシ4が垂直姿勢になる状態から本体1の前後に所定量傾くまでの範囲でガイドレール16を揺動させるもので、図4に示すように、ガイドレール11先端の上部に連結するアーム18aと、該アーム18aに連結されてアームの前方で伸縮する第1シリンダ18bと、アームの後方で伸縮する第2シリンダ18cと、第1シリンダ18bのロッド先端をスライド支持するスライド板18dと、第2シリンダ18cのロッド先端を本体に固定する固定軸18eと、一端がスライド板18dに連結され、他端がアーム18aを貫通して自由端となるワイヤ18fと、該ワイヤ18fのスライド板18dとアーム18a間に設けられる第1スプリング18gと、アーム18aと自由端間に設けられる第2スプリング18hと、ガイドレール11先端の下部に連結するスイッチ板18iと、ガイドレール11の揺動に伴いスイッチ板18iが所定量θ3傾く位置でスイッチングする第1近接スイッチ18jと、スイッチ板18iが所定量θ4傾く位置でスイッチングする第2近接スイッチ18kとから構成される。
【0021】
図5は制御系を説明するブロック図である。
20は洗車制御部で、車形検出装置8・ロータリーエンコーダ10から得られる信号に基づき自動車の各種データを検出し、この各種データにより洗車駆動部21を介してブラシ,ブロワノズル等の洗車処理装置を作動させる。22は操作部で、洗車内容の選択や洗車の開始入力を行う他、操作する人に対し表示や音声で注意事項や操作手順等を案内出力するものである。操作部22は、通常は洗車機本体1前面に設けられるが、運転者が乗車したままドライブスルー形式で洗車を行う場合等には、操作部22を本体1と別体とし洗車エリアの入口に設置されることになる。
【0022】
洗車制御部20は、車形検出部23,基準点検出部24,ドアミラー位置推定部25,データ記憶部26,引掛検出部27,制御部28を備えている。
車形検出部23は、本体1が単位距離走行する毎にロータリーエンコーダ10から発信されるパルス信号をカウントして得られる本体1の走行位置と、ロータリーエンコーダ10から発信されるパルス信号をトリガに車形検出装置8で取り込まれる車形データとをテーブル化し、側方から見た車体の輪郭を検出する。基準点検出部24は、車形検出部23で検出した車体輪郭から車体の特徴点(車体前端・ボンネットとフロントガラスの境界・ルーフ前端・ルーフ後端・車体後端)を検出する。ドアミラー位置推定部25は、基準点検出部24で設定した基準点からドアミラー位置を推定する。データ記憶部26は、車形検出部23で検出される車形データ、基準点検出部24で検出される特徴点、ドアミラー位置推定部25で推定される制御点を記憶する。引掛検出部27は、前後揺動装置18の揺動度合いをスイッチ18j,18kから検知して車体への引っ掛けを判定する。制御部28は、データ記憶部26に記憶された各種データと操作部22からの要求に基づいて洗車処理装置を制御する。
【0023】
続いて、このように構成する実施態様における洗車動作について説明する。
洗車制御部20では、車形検出装置8で自動車の形状を読み取る車形検出工程と、読み取った車体形状に合わせてブラシ3・4・4を制御し車体面をブラッシングするブラシ工程と、洗車機を走行させ車体形状に合わせてブロワノズル5,6,6を制御し車体に空気を吹き付ける乾燥工程とを洗車内容に応じて組み合わせて実行する。尚、車形検出工程は、本体1の第1往行時にブラシ工程と同時進行させてもよい。
【0024】
車形検出工程では、車形検出部23で洗車する自動車の車形データを検出するとともに、この車形データを基に、基準点検出部24で車体の特徴点を検出し、この車体の特徴点からドアミラー位置推定部25でドアミラー位置を推定して、側面ブラシ4・4の制御に必要な制御点Ld1,Ld2を設定する。
【0025】
洗車する自動車が普通車の場合、図6(a)に示すように、車形検出部23で検出した車体データから、基準点検出部24で車体のボンネットとフロントガラスの境界点bfを抽出し、抽出した境界点bf付近にドアミラーがあると仮定して、ドアミラー位置推定部25でその境界点bfから車体後方に所定距離d1離れた位置をドアミラー起点DM-sとして設定し、そのドアミラー起点DM-sからドアミラーの厚みを加味した所定距離d2離れた位置をドアミラー終点DM-eとして設定する。制御点Ld1,Ld2は、設定されたドアミラー起点DM-sとドアミラー終点DM-eを基に設定されるもので、制御点Ld1は、ドアミラー起点DM-sから側面ブラシ4・4の大きさを考慮して自動車の前方に所定距離d3離れた位置に設定され、制御点Ld2は、ドアミラー終点DM-eから側面ブラシ4・4の大きさを考慮して自動車の後方に所定距離d4離れた位置に設定される。
【0026】
洗車する自動車が1BOXタイプのワゴン車のように、境界点bfが抽出できない車両の場合は、図6(b)に示すように、車形検出装置8で検出した車形データから、基準点検出部24で車体前端csとルーフ前端rsを抽出し、その中点cp付近にドアミラーがあると仮定して、ドアミラー位置推定部25で上記と同様の手順によりドアミラーの起点DM-sとドアミラー終点DM-e、更には制御点Ld1,Ld2を設定する。
【0027】
さて、ブラシ工程では、車形検出工程で読み取った車体輪郭、基準点に合わせてブラシ3・4・4を制御し車体面をブラッシングするものであり、ここでは本発明の特徴的構成となる、側面ブラシ4・4の動作について図7を用いて説明する。
【0028】
洗浄が開始すると、車形検出装置8で検出した自動車Aの前面に対して左右の側面ブラシ4・4を閉じた状態でアプローチし、前面に達したら本体1の走行を一旦停止して側面ブラシ4・4をそれぞれ車体内側から外側に接触する方向に回転させながら左右に開いていき、車体前面の洗浄を行う。尚、車体前面にカスタムミラー等が装備されている場合には、前後揺動装置18を作動して側面ブラシ4・4を後傾にし、装備品を避けた状態で装備品がある位置の車体下側を洗浄する。
【0029】
側面ブラシ4・4が左右に開くと、側面ブラシ4・4を停止させて、本体1の走行を再開する。本体1が所定距離走行後、側面ブラシ4・4を車体に対して後側から接触する方向に回転させて、上方が自動車A側に傾倒したハの字姿勢になるように車体側面に押し付け、本体1を走行させて車体の側面洗浄が行われる。前述したように、車体変化により、傾きに変化が生じた場合は、開閉装置15によりブラシを接離させて、ブラシの揺動角θをθ1<θ<θ2の範囲に保つようにしている。
【0030】
側面ブラシ4・4が制御点Ld1に達すると、側面ブラシ4・4を車体に対して前側から接触する方向の回転に切り替えて、ドアミラー周辺の洗浄が行われる。これにより、側面ブラシ4・4がドアミラーの畳む方向に作用することでドアミラーを起こすことが防止される。
【0031】
ここで、畳んだ状態で車体の側部に大きく張り出すような大型のドアミラーの場合、図8(a)のように、側面ブラシ4・4がドアミラーの基端部に引っ掛かりドアミラーを跳ね上げて破損する危険が高くなる。そこで、側面ブラシ4・4が基端部に引っ掛かったことを検知して、図8(b)のように、側面ブラシ4・4を車体に対して後側から接触する方向の回転に切り替える。
【0032】
側面ブラシ4・4がドアミラーに引っ掛かると、図9に示すように、本体1の走行に間に合わず側面ブラシ4・4が前傾姿勢となる。この前傾姿勢が、前後揺動装置18の第1近接スイッチ18jにより検出されると、側面ブラシ4・4がドアミラーに引っ掛かったことを検知し、側面ブラシの回転を逆転して引っ掛けを解除する。
【0033】
側面ブラシ4・4が制御点Ld2に達すると、側面ブラシ4・4を車体に対して後側から接触する方向の回転に切り替えて、上方が自動車A側に傾倒したハの字姿勢になるように車体側面に押し付け、以後の車体側面の洗浄が行われる。
【0034】
側面ブラシ4・4が車体の後端に達すると、側面ブラシ4・4は車体への押し付けがなくなるので、ハの字型の姿勢から垂直姿勢に戻りながら車体後面のコーナ部に沿って車体後面に回り込み、その後側面ブラシ4・4を左右に閉じて車体後面の洗浄が行われ、1往行のブラシ工程が終了となる。
【0035】
尚、ドアミラー範囲(制御点Ld1〜Ld2)以外の車体側面を洗浄している間、前後揺動装置18の第2近接スイッチ18kが入ると、車体への過接触と判断して側面ブラシの回転を停止する安全機能が働く。すなわち、ドアミラー範囲では側面ブラシの傾斜角度を厳しく監視し、それ以外の範囲では緩く監視して車体の状態に合わせた洗浄が行えるようにしている。
【0036】
このように側面ブラシ4・4で車体側面のドアミラー範囲(制御点Ld1から制御点Ld2までの範囲)を洗浄するとき、側面ブラシをドアミラーの畳む方向に回転させるようにしたので、ドアミラーを起こして破損させることがない。また、この範囲を洗浄している間、側面ブラシ4・4が傾斜姿勢になるとドアミラーに引っ掛かったことを検知して側面ブラシの回転を逆転して引っ掛けを解除するようにしたので、大型のドアミラーを破損させることがない。
【0037】
1往行におけるドアミラー周辺の洗浄時に、前後揺動装置18の第1近接スイッチ18jでドアミラーの引っ掛けが検知されると、ドアミラーが起きている可能性があることを考慮して、1復行以降のブラシ工程では、ドアミラーの洗浄が行われない。つまり、制御点Ld1からLd2の間、側面ブラシ4・4を退避位置に回避する。
【0038】
本発明は以上の構成されるものであるが、ドアミラーを検出する手段としては様々な方法が考えられる。例えば、本出願人が特願平8−128429号で提案しているように、反射光電スイッチ・CCDカメラ・PSD距離センサいずれかの手段により自動車側面の輪郭を検出する構成を本発明に採用すると、ドアミラーをより確実に検出することが可能となる。また、側面ブラシ4・4を揺動する構成も様々な方法が考えられ、シリンダ以外にモータを使用したものでも良い。
【符号の説明】
【0039】
1 洗車機本体
4・4 側面ブラシ
8 車形検出装置
15 開閉装置
16 回転駆動装置
17 左右揺動装置
18 前後揺動装置
20 洗車制御部
23 車形検出部
24 基準点検出部
25 ドアミラー位置推定部
26 データ記憶部
27 引掛検出部
28 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車と洗車機本体の相対移動に伴い、側面ブラシがドアミラー位置に到達すると、側面ブラシをドアミラーが畳まれる方向に回転させてドアミラーをブラッシング洗浄し、この洗浄中に側面ブラシが前後方向に所定値以上傾斜したらドアミラーへの引っ掛けを検出してブラシの回転方向を逆転させて側面ブラシの引っ掛けを解くことを特徴とする洗車方法。
【請求項2】
ドアミラーを洗浄しているときの前記所定値をドアミラー以外の車体を洗浄しているときよりも小さくすることを特徴とする上記請求項1記載の洗車方法。
【請求項3】
側面ブラシがドアミラーに引っ掛かったことを検出すると、以後の工程で側面ブラシによるドアミラー位置での洗浄を行わないことを特徴とする上記請求項1又は2記載の洗車方法。
【請求項4】
自動車と洗車機本体の相対移動に伴い、自動車の側面をブラッシング洗浄する側面ブラシと、側面ブラシを正逆転する回転駆動手段と、側面ブラシの前後方向の傾斜角度により車体への引っ掛けを検出する引掛検出手段と、洗浄する自動車の形状を検出する車形検出手段と、該車形検出手段で検出した自動車の形状からドアミラー位置を推定するドアミラー推定手段と、該ドアミラー推定手段で設定したドアミラー位置で回転駆動手段を制御する制御手段とを備えた洗車機において、
該制御手段は、相対移動に伴い側面ブラシがドアミラー位置に到達すると、回転駆動手段で側面ブラシをドアミラーが畳まれる方向に回転させてドアミラーをブラッシング洗浄し、該洗浄中に引掛検出手段で側面ブラシの引っ掛けを検出すると側面ブラシの回転方向を逆転することを特徴とする洗車機。
【請求項5】
前記引掛検出手段は、側面ブラシが前後方向に所定値以上傾斜したら車体への引っ掛けを検出し、ドアミラーを洗浄しているときの所定値をドアミラー以外の車体を洗浄しているときの所定値よりも低く設定することを特徴とする上記請求項4記載の洗車機。
【請求項6】
前記制御手段は、側面ブラシがドアミラーに引っ掛かったことを検出すると、以後の工程で側面ブラシによるドアミラー位置での洗浄を行わないことを特徴とする上記請求項4又は5記載の洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−57106(P2011−57106A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209880(P2009−209880)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】