説明

洗車機における安全装置

【課題】 本発明の課題は、1つの検知スイッチで複数箇所の接触検出が行えるようにした洗車機の安全装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 門型フレーム1の脚部1a内側に沿って垂設され上端を回動自在に支持された第1検知バー11と、門型フレーム1の脚部1a外側に沿って垂設され上端を回動自在に支持された第2検知バー12と、第1検知バー11と第2検知バー12の下端同士を連結する第3検知バー13と、該第3検知バー13の略中心部に連設される従動プレート14と、該従動プレート14が所定量変位すると作動する検知スイッチ15とで構成する安全装置を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や人との接触を検知して門型フレームの走行を停止する洗車機における安全装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車を跨ぐように門型状に形成されたフレーム内に、自動車の上面を洗浄する上面ブラシ、側面を洗浄する側面ブラシ、上面を乾燥する上面ノズル、側面を乾燥する側面ノズル、洗浄水を噴射する散水ノズル等の洗車処理装置を装備し、このフレームと自動車との相対移動に伴い、自動車の車体面に対して洗浄・乾燥を施す洗車機が知られている。このような洗車機には、フレームが自動車や人に接触したことを検知してフレームと自動車との相対移動を停止する安全装置が備えられている。
【0003】
こうした安全装置として、特許文献1に示されるように、フレームの内側で自動車との接触を検知するもの、特許文献2に示されるように、フレームと壁面との隙間に人が挟まれたことを検知するもの、特許文献3に示されるように、フレームの前面(もしくは後面)で自動車や人との接触を検知するものが知られており、特にサービスマンが常駐しないセルフ洗車場に設置される洗車機には安全面を重視して全ての安全装置が装備されている場合が多い。
【0004】
さて、このように安全装置を複数設置する場合、それぞれの安全装置が独立して接触を検知する検出スイッチが必要であった。これにより、多いものでは本体フレームの外周四隅・内周四隅・左右前後面の計12箇所の検出スイッチが必要となり、コストアップや故障の原因となっていた。
【特許文献1】特開2007-62545号公報
【特許文献2】特公平1−29746号公報
【特許文献3】特開平8−58535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、1つの検知スイッチで複数箇所の接触検出が行えるようにした洗車機の安全装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するため本発明は、門型フレームと自動車とを相対移動させて、門型フレーム内に備えた洗車処理装置により自動車の洗浄・乾燥を図る洗車機において、門型フレームの脚部内側に沿って垂設され上端を回動自在に支持された第1検知バーと、門型フレームの脚部外側に沿って垂設され上端を回動自在に支持された第2検知バーと、前記第1検知バーと第2検知バーの下端同士を連結する第3検知バーと、該第3検知バーの略中心部に連設される従動プレートと、該従動プレートが所定量変位すると作動する検知スイッチとで構成する安全装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、門型フレームの内側・外側・前後に自動車や人などが接触したことを検知するスイッチを1つにでき、装置の簡略化とコストダウンが図られる。
【実施例】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を基に説明する。図1は実施例の安全装置を装備した洗車機の正面図、図2は平面図、図3は側面図である。
1は門型フレームで、床面に敷設した左右一対のレール2,2上を往復走行し、このレール2,2間に停車される自動車を跨ぐように移動する。3,4,4は回転ブラシで、3は車体面に沿って昇降動作し主に車体上面を洗浄する上面ブラシ、4,4は車体面に沿って開閉動作し車体の側面および前後面を洗浄する左右一対の側面ブラシである。5,6,6はブロワノズルで、5は車体面に沿って昇降動作する上面ブロワノズル、6,6は車体面に沿って出没動作する左右一対の側面ブロワノズルである。7は門型フレーム1の前方に位置して設けられ、門型フレーム1の走行に伴い自動車の側方からの形状(シルエット)を読み取る車形検出装置、8は門型フレーム1が単位距離走行する毎にパルス出力するエンコーダ、9は門型フレーム1を走行させるモータ、10は自動車や人等が門型フレーム1に接触したことを検知して門型フレーム1の走行を停止する安全装置である。
【0009】
図4は安全装置10の構成を示す説明図である。
安全装置10は、門型フレーム脚部1aの前後左右に設けられ、脚部内側の上下方向に沿って吊設される第1検知バー11と、脚部外側の上下方向に沿って吊設される第2検知バー12と、第1検知バー11の下端と第2検知バー12の下端を連係し脚部前方(もしくは後方)の幅方向に架設される第3検知バー13と、第3検知バー13の幅中心から脚部1aに向かって延出する従動プレート14と、従動プレート14の変位に対応してスイッチングする検知スイッチ15とから構成されている。
【0010】
第1検知バー11と第2検知バー12は、門型フレーム脚部1aを挟んで内側と外側に設けられ、第1検知バー11で主に自動車車体との接触を検知し、第2検知バー12で主に人や障害物との接触を検知する。各検知バー11,12は、洗車可能なあらゆるタイプの自動車に対応した検知範囲をカバーできるだけの長手寸法を有し、上端を門型フレーム1に取り付けたブラケット16,16にゴムブッシュ17,17を介して回動自在に吊設されている。また、各検知バー11,12は、平面視で門型フレーム脚部1aの前側(もしくは後側)になる位置、つまり自動車や人が門型フレーム1に接触するよりも先に反応する位置に吊下されており、通常時はゴムブッシュ17,17によって風に煽られない程度にブラケット16,16から垂下した状態に保持され、自動車や人との接触によりブラケット16,16を支点にして回動変位するものである。
【0011】
第3検知バー13は、両端に第1検知バー11と第2検知バー12の下端が遊嵌される挿通部材18,18を設け、第1検知バー11と第2検知バー12の下端同士を連結して、門型フレーム脚部1aの前側(もしくは後側)に略水平に設置される。従動プレート14は、第3検知バー13と一体的に設けられ、門型フレーム脚部1a内に設けた支軸19が貫通する長孔20と、検知スイッチ15の検知棒21が貫通する挿通孔22を開口している。また、従動プレート14は、左右側方からバネ23,23によって中立位置NPに付勢されており、この従動プレート14に連係する第1〜3検知バーの変位によって支軸19を中心にバネ23,23に抗して変位する。検知スイッチ15は、この従動プレート14の変位を検知棒21で検知し、門型フレーム1を停止する。
【0012】
図5は実施例の制御系を説明するブロック図である。
24は門型フレーム1に内蔵される制御ボードで、ブラシ3・4・4、ブロワ5・6・6、車形検出装置7、エンコーダ8、走行モータ9、安全装置10を接続しており、車形検出装置7・エンコーダ8から得た自動車の位置,形状,装備等に関する情報に基づき、ブラシ,ブロワノズル等の洗車処理装置を作動させ、自動車の位置,形状,装備等に合わせて洗車を行うとともに、安全装置10からの信号に基づき走行モータ9を停止させる。
【0013】
続いて、実施例の洗車時の動作について説明する。
自動車をフレーム1の前方より進入させ、所定の停車位置に乗り入れたら希望する洗車コースを選んでスタートさせる。洗車コースとして、1往復洗車を選ぶと、フレーム1が往行を開始し、車形検出装置7で自動車の形状を検出する車形検出と、この検出した形状に合わせてブラシ3・4・4を制御しシャンプー剤を塗布しながら車体面をブラッシング洗浄するシャンプー洗車が行われる。次に、フレーム1が復行を開始し、ブロワノズル5,6,6から車体に空気を吹き付けて車体面をブローする乾燥が行われる。尚、この1往復洗車以外にも洗車機を2往復・3往復させて様々なニーズに応じた洗車動作をさせることができる。
【0014】
さて、フレーム1が自動車を跨いで走行するとき、自動車が洗車機で洗車できない車幅であったり、曲がった状態で停車されたりすると、自動車側面が第1検知バー11に接触する。すると、図6(a)に示すように、第1検知バー11がフレーム内側に回転し、連係する第3検知バー13を通じて従動プレート14が支軸19を支点に回転して検知スイッチ15を作動する。検知スイッチ15が作動すると、制御ボード24で走行モータ9を停止し、洗車を中断する。これにより、自動車がフレーム1に接触して損傷するのを未然に防ぐことができる。
【0015】
また、フレーム1の走行に伴い、壁面とフレーム1との間に人や障害物が存在する場合には、第2検知バー12に接触する。すると、図6(b)に示すように、第2検知バー12がフレーム外側に回転し、連係する第3検知バー13を通じて従動プレート14が支軸19を支点に回転して検知スイッチ15を作動する。検知スイッチ15が作動すると、制御ボード24で走行モータ9を停止し、洗車を中断する。これにより、壁とフレームとの間に人が挟まって怪我することを未然に防ぐことができる。
【0016】
更に、フレームの前後に人や障害物が存在する場合には、第3検知バーに接触する。すると、図6(c)に示すように、第3検知バー13がフレーム内に押し込まれ、従動プレート14が支軸19を貫通した長孔20に沿ってスライドして検知スイッチ15を作動する。
【0017】
第1検知バー11への接触は、自動車側面から突出しているドアミラーである可能性が高いが、このドアミラーの取り付け高さ位置は車種によって異なっている。本実施例の検知バー11では、洗車機で洗車できる車種であれば、どの高さ位置にあるドアミラーでも検知することができる。また、第1検知バー11及び第2検知バー12は、上端を支点として回動し下端を第3検知バー13の挿通部材18に遊嵌しているので、作動抵抗が小さくなり自重での待機位置への復帰が確実に行え、撓みによる検出遅れもなく、良好な応答性が得られる。
【0018】
本実施例の安全装置は、以上に構成されるものであるが、フレーム内に装備される洗車処理装置の種類・配置等は特に限定されるものではない。また、フレームと自動車をそれぞれ移動させるタイプの洗車装置や固定設置したフレーム内に自動車をコンベアで搬送させるタイプの洗車装置でも良い。尚、この場合、フレームとコンベアに挟まれるのを防止する接触センサを上記安全装置に連係するようにしても良い。更に、特開平8-310354号に開示されたレール上の障害物検出センサを上記安全装置に連係するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例の安全装置を装備した洗車機を示す正面図である。
【図2】同洗車機の平面図である。
【図3】同洗車機の側面図である。
【図4】安全装置10の構成を示す説明図である。
【図5】制御系を説明するブロック図である。
【図6】各検知バーの検出状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 洗車機本体
9 走行モータ
10 安全装置
11 第1検知バー
12 第2検知バー
13 第3検知バー
14 従動プレート
15 検知スイッチ
24 制御ボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
門型フレームと自動車とを相対移動させて、門型フレーム内に備えた洗車処理装置により自動車の洗浄・乾燥を図る洗車機において、
前記門型フレームの脚部内側に沿って垂設され上端を回動自在に支持された第1検知バーと、門型フレームの脚部外側に沿って垂設され上端を回動自在に支持された第2検知バーと、前記第1検知バーと第2検知バーの下端同士を連結する第3検知バーと、該第3検知バーの略中心部に連設される従動プレートと、該従動プレートが所定量変位すると作動する検知スイッチとを備えたことを特徴とする洗車機における安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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