説明

洗車機の液滴吹飛ばし除去装置

【課題】洗車機の液滴吹飛ばし除去装置において、ノズルの吹出口から吹出される空気の車両の表面に対する流速及び直進吹出性を強くし、車両の表面の液滴及び汚れの吹飛ばし除去性能を向上すること。
【解決手段】洗車機の液滴吹飛ばし除去装置において、ノズル31Aの空気吹出方向に平行をなすように配置される多数のストレート状流路71を並置してなる吹出ガイド70が、ノズル31Aの吹出口51の全域に設置され、ノズル31Aのプレナムチャンバー50から吹出ガイド70の各ストレート状流路71に流入した空気が該流路により絞られて増速され、かつ直進吹出性を付与された各流線束となって車両の表面に直に吹付けられるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗車機の液滴吹飛ばし除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗車機の液滴吹飛ばし除去装置として、特許文献1に記載の如く、ブロワが送風する空気をノズルのプレナムチャンバー経由でその吹出口から該ノズルに対して相対移動している車両の上面又は側面に吹付け、車両の上面又は側面の液滴及び汚れを車両に対するノズルの移動方向に削ぎ落とすように吹飛ばし除去するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-237932
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、ノズルの吹出口が車両の上面幅又は側面高さと同等以上の長さ範囲に及ぶ広幅スリット状をなすものとされている。このため、ノズルの広幅スリット状吹出口から吹出される空気は、吹出口の全域に渡って拡散されたほぼ一様流となり、車両の表面に衝突する流速及び直進吹出性が弱く、車両の表面の液滴及び汚れを強力に削ぎ落とすことに困難があって液滴吹飛ばし除去性能の向上に困難があった。
【0005】
本発明の課題は、洗車機の液滴吹飛ばし除去装置において、ノズルの吹出口から吹出される空気の車両の表面に対する流速及び直進吹出性を強くし、車両の表面の液滴及び汚れの吹飛ばし除去性能を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ブロワが送風する空気をノズルのプレナムチャンバー経由でその吹出口から該ノズルに対して相対移動している車両の表面に吹付け、車両の表面の液滴及び汚れを車両に対するノズルの移動方向に吹飛ばし除去する洗車機の液滴吹飛ばし除去装置において、ノズルの空気吹出方向に平行をなすように配置される多数のストレート状流路を並置してなる吹出ガイドが、ノズルの吹出口の全域に設置され、ノズルのプレナムチャンバーから吹出ガイドの各ストレート状流路に流入した空気が該流路により絞られて増速され、かつ直進吹出性を付与された各流線束となって車両の表面に直に吹付けられるようにしたものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記ノズルが前記プレナムチャンバーの空洞部に絞り部を介して前記吹出口を接続してなり、プレナムチャンバーの空気が絞り部により絞られて増速され、この空気が吹出ガイドの各ストレート状流路により更に絞られて増速され、かつ直進吹出性を付与された各流線束となって車両の表面に直に吹付けられるようにしたものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記吹出ガイドの各ストレート状流路の断面が矩形とされ、矩形の一辺を4〜10mm、他の辺を6〜14mmとし、各ストレート状流路の流路長を30〜100mmとし、吹出ガイドの相隣るストレート状流路間の肉厚を0.3〜1.0mmとするようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
(請求項1)
(a)洗車機の液滴吹飛ばし除去装置において、ノズルの空気吹出方向に平行をなすように配置される多数のストレート状流路を並置してなる吹出ガイドが、ノズルの吹出口の全域に設置され、ノズルのプレナムチャンバーから吹出ガイドの各ストレート状流路に流入した空気が該流路により絞られて増速され、かつ直進吹出性を付与された各流線束となって車両の表面に直に吹付けられる。従って、ノズルの吹出口から吹出される空気は、吹出口の全域に渡って細分化された各ストレート状流路で増速され、かつ直進吹出性を付与された各独立の流線束となる。即ち、車両とノズルが相対移動し、ノズルから吹出される空気が車両の表面に衝突して車両の表面の液滴及び汚れを車両に対するノズルの移動方向に削ぎ落とすように吹飛ばし除去するとき、空気の各流線束は高速なストレート棒状になって車両の表面に衝突しつつ、車両とノズルとの相対移動方向のノズル進み方向に移動して、車両の表面の液滴及び汚れをそのノズル進み方向に削ぎ落とすように強力に吹飛ばし除去する。車両の表面に対する流速及び直進吹出性を強くし、車両の表面の液滴及び汚れの吹飛ばし除去性能を向上するものになる。
【0010】
(請求項2)
(b)前述(a)において、前記ノズルが前記プレナムチャンバーの空洞部に絞り部を介して前記吹出口を接続してなり、プレナムチャンバーの空気が絞り部により絞られて増速され、この空気が吹出ガイドの各ストレート状流路により更に絞られて増速され、かつ直進吹出性を付与された各流線束となって車両の表面に直に吹付けられるものとした。従って、ノズルの吹出口から吹出される空気は、プレナムチャンバーの絞り部で増速された後、各ストレート状流路で一層増速され、かつ直進吹出性を付与された各独立の流線束となる。即ち、空気の各流線束は車両の表面に対する流速及び直進吹出性を一層強くし、車両の表面の液滴の吹飛ばし性能を一層向上するものになる。
【0011】
(請求項3)
(c)前述(a)、(b)の前記吹出ガイドの各ストレート状流路の断面が矩形とされ、矩形の一辺を4〜10mm、他の辺を6〜14mmとし、各ストレート状流路の流路長を30〜100mmとし、吹出ガイドの相隣るストレート状流路間の肉厚を0.3〜1.0mmとすることにより、前述(a)、(b)を確実に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は洗車機を示す正面図である。
【図2】図2はトップノズルを示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図3】図3は図2の要部断面図である。
【図4】図4は図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図5はサイドノズルを示し、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図6】図6は吹出ガイドを示す斜視図である。
【図7】図7は吹出ガイドの変形例を示す斜視図である。
【図8】図8は吹出ガイドのストレート状流路を示す模式図である。
【図9】図9は本発明による液滴除去原理を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す洗車機10は、車両1を跨いでその車両1の前後方向に相対移動する門型フレーム100を備え、この門型フレーム100に設けた洗浄装置20と液滴吹飛ばし除去装置30により車両1の洗浄と液滴吹飛ばし除去を行なう。
【0014】
本実施例において、門型フレーム100は、左右のレール11に車輪12を介して載り、走行モータ(不図示)により車輪12を走行回転させることにて、車両1の前後方向に移動する。
【0015】
洗浄装置20は、車両上面洗浄装置21、車両側面洗浄装置22を有する。洗浄装置20は、門型フレーム100に設けた不図示の洗浄液ノズルから吐出される水、洗剤、コート剤等の洗浄液(ワックスタンク23A、洗剤タンク23B、コート剤タンク23C)を車両1の上面、左右両側面に散布しつつ、車両上面洗浄装置21のトップブラシ21A、車両側面洗浄装置22のサイドブラシ22Aにより車両1の上面、左右両側面をブラッシング洗浄する。
【0016】
トップブラシ21Aは門型フレーム100に設けた左右のガイドレール(不図示)に昇降可能に支持され、トップブラシ回転モータ(不図示)により回転されつつ、トップブラシ昇降装置(不図示)により車両1の上面に対し昇降される。
【0017】
サイドブラシ22Aは門型フレーム100に設けたガイドレール(不図示)に左右に進退動可能に吊下げ支持され、サイドブラシ回転モータ(不図示)により回転されつつ、サイドブラシ移動シリンダ(不図示)により車両1の左右側面に対し接近/離隔移動される。
【0018】
液滴吹飛ばし除去装置30は、車両上面液滴吹飛ばし除去装置31、車両側面液滴吹飛ばし除去装置32を有する。液滴吹飛ばし除去装置30は、門型フレーム100に設けた左右のブロワ33が送風する液滴吹飛ばし用空気をダクトホース33A、33Bにより車両上面液滴吹飛ばし除去装置31のトップノズル31A、車両側面液滴吹飛ばし除去装置32にサイドノズル32Aにより車両1の上面、左右両側面に吹出して車両1の表面の液滴を吹飛ばし除去する。
【0019】
トップノズル31Aは門型フレーム100に設けた左右のガイドレール(不図示)に昇降可能に支持され、トップノズル昇降モータ(不図示)により車両1の上面に対し昇降される。
【0020】
サイドノズル32Aは門型フレーム100に設けたガイドレール(不図示)に左右に進退動可能に支持され、サイドノズル移動シリンダ(不図示)により車両1の左右側面に対し接近/離隔移動される。
【0021】
洗車機10は、制御装置40、走行位置検出器、車形検出器を有する。走行位置検出器は走行モータの出力軸に設けたロータリエンコーダ等により構成され、門型フレーム100のレール11上における現在位置を検出する。車形検出器は門型フレーム100の左右の両側のそれぞれに設けられて相対する投光センサの群と受光センサの群等により構成され、車両1の車形を検出する。制御装置40は、マイクロコンピュータを備え、洗車受付装置で受付けた洗車メニューに応じて、門型フレーム100に設置してある前述の洗浄装置20、液滴吹飛ばし除去装置30の各出力機器をそれぞれ所定のタイミングで駆動して洗車を開始するとともに、走行位置検出器や車形検出器の検出結果を参照して上述の出力機器の作動を車形に応じて制御し、車両1の車体及び装着品の洗車を行なう。
【0022】
以下、液滴吹飛ばし除去装置30について詳述する。
車両上面液滴吹飛ばし除去装置31のトップノズル31Aは、図2に示す如く、ブロワ33が送風する空気をノズル31Aのプレナムチャンバー50経由でその吹出口51から車両1の上面に吹付けて車両1の上面の液滴を吹飛ばし除去する。このとき、ノズル31Aは車両1の上方を左右水平方向に延在され、両端の水平支軸まわりに揺動自在とされ、門型フレーム100とともに車両1の上面に対し相対移動するとき、吹出口51から吹出される空気が車両1の上面に対し一定の吹付角度θ(図9)をなして車両1の上面に衝突するように吹付けられる。車両1の上面に対する空気の吹付角度θは、例えば70度〜90度、好適には85度程度の鋭角とされる。これにより、ノズル31Aの吹出口51から車両1の上面に吹付けられた空気は、車両1の上面の液滴及び汚れを車両1に対するノズル31Aの移動方向の進み方向に向けて削ぎ落とすように吹飛ばし除去するものになる。
【0023】
プレナムチャンバー50及び吹出口51の全幅w(吹出口51の後述する吹出幅)は車両1の上面幅と同等以上の長さ範囲に及ぶものとされる。プレナムチャンバー50は2本のダクトホース33Aが上部の幅方向2位置に接続される空洞部50Aと、空洞部50Aに吹出口51を接続する絞り部50Bとを有する。ノズル31Aの空気吹出方向(L1方向)に沿う縦断面視で、空洞部50Aは空気吹出方向に一定の断面をなし、絞り部50Bは空気吹出方向に向けて断面を漸次縮小する。従って、プレナムチャンバー50はダクトホース33Aから送給された空気を空洞部50Aの全幅範囲に可及的に均等に行き渡らせた後、空洞部50Aの幅方向の各部から吹出口51に向かう空気を絞り部50Bによって絞って増速するものになる。
【0024】
車両側面液滴吹飛ばし除去装置32のサイドノズル32Aは、図5に示す如く、ブロワ33が送風する空気をノズル32Aのプレナムチャンバー60経由でその吹出口61から車両1の側面に吹付けて車両1の側面の液滴を吹飛ばし除去する。このとき、ノズル32Aは車両1の側方を鉛直方向に延在され、両端の鉛直支軸まわりに揺動自在とされ、門型フレーム100とともに車両1の側面に対し相対移動するとき、吹出口61から吹出される空気が車両1の側面に対し一定の吹付角度θをなして車両1の側面に衝突するように吹付けられる。車両1の側面に対する空気の吹付角度θは、例えば70度〜90度、好適には85度程度の鋭角とされる。これにより、ノズル32Aの吹出口61から車両1の側面に吹付けられた空気は、車両1の側面の液滴及び汚れを車両1に対するノズル32Aの移動方向の進み方向に向けて削ぎ落とすように吹飛ばし除去するものになる。
【0025】
プレナムチャンバー60及び吹出口61の全高(吹出口61の吹出幅)は車両1の側面高さと同等以上の長さ範囲に及ぶものとされる。プレナムチャンバー60はダクトホース33Bが上部に接続される空洞部60Aと、空洞部60Aに吹出口61を接続する絞り部60Bとを有する。ノズル32Aの空気吹出方向(L2方向)に沿う横断面視で、空洞部60Aは空気吹出方向に一定の断面をなし、絞り部60Bは空気吹出方向に向けて断面を漸次縮小する。従って、プレナムチャンバー60はダクトホース33Bから送給された空気を空洞部60Bの全高さ範囲に可及的に均等に行き渡らせた後、空洞部60Aの高さ方向の各部から吹出口61に向かう空気を絞り部60Bにより絞って増速するものになる。
【0026】
しかるに、車両上面液滴吹飛ばし除去装置31のトップノズル31A(車両側面液滴吹飛ばし除去装置32のサイドノズル32Aも同じ)にあっては、図3、図4に示す如く、ノズル31Aの空気吹出方向に平行をなすように配置される多数のストレート状流路71を並置してなる吹出ガイド70を、ノズル31Aの吹出口51(又はノズル32Aの吹出口61)の全域に設置している。
【0027】
吹出ガイド70は、ノズル31Aの吹出口51(ノズル32Aの吹出口61)の全幅wに及ぶ広幅スリットに圧入等により挿着固定される、例えばポリプロピレン又はポリカーボネイト等の全幅w、全高hのプラスチック成形体からなり、吹出口51の吹出厚みfに沿う方向に1個以上、かつ吹出口51の吹出幅wに沿う方向に多数個の、流路断面を矩形(円形等でも可)とする貫通状のストレート状流路71を並置している。本実施例では、吹出ガイド70は、図6に示す如く、吹出口51の吹出厚みfに沿う方向に3個のストレート状流路71を並置し、吹出口51の吹出幅wに沿う方向に多数個のストレート状流路71を並置している。尚、吹出ガイド70は、図7に示す如く、吹出口51の吹出厚みfに沿う方向に唯1個のストレート状流路71を配置するものでも良い。
【0028】
吹出ガイド70は、ノズル31Aの吹出口51(又はノズル32Aの吹出口61)に挿着固定されるプラスチック成形体であり、そのプラスチック成形体の断面(外寸w×f)内に格子状をなす厚みtの隔壁72を設け、各隔壁72により矩形の一辺の長さa、他辺の長さb、流路長hのストレート状流路71を区画して形成するものになる。従って、吹出ガイド70に設けられる全ストレート状流路71の合計流路面積は、吹出口51の最小断面積(吹出ガイド70の断面積と同じw×f)から全隔壁72の合計断面積を差し引いた小断面積に絞られる。よって、プレナムチャンバー50の空洞部50A(又はプレナムチャンバー60の空洞部60A)の空気が絞り部50B(又は絞り部61B)により絞られて増速された後、この空気は吹出ガイド70の各ストレート状流路71に流入して更にその断面a×bにおいて絞られて増速されるとともに、各ストレート状流路71により細分化され、かつ各ストレート状流路71の流路長hにおいてノズル31A(又はノズル31B)の空気吹出方向にガイドされる各ストレートな流線束となって直進吹出性を付与される。
【0029】
これにより、車両上面液滴吹飛ばし除去装置31のトップノズル31A(又は車両側面液滴吹飛ばし除去装置32のサイドノズル32A)にあっては、洗浄装置20の車両上面洗浄装置21(又は車両側面洗浄装置22)による車両1のブラッシング洗浄後に、ブロワ33が送風する空気をノズル31Aのプレナムチャンバー50(又はノズル32Aのプレナムチャンバー60)経由でその吹出口51(吹出口61)から車両1の表面に吹付け、洗浄液ノズルが車両1の表面に散布した液滴を吹飛ばし除去する車両1の液滴吹飛ばし除去工程で、以下の如く動作する。即ち、ノズル31Aのプレナムチャンバー50の空洞部50A(又はノズル32Aのプレナムチャンバー60の空洞部60A)に送給された空気が絞り部50B(又は絞り部60B)により絞られて増速され、この空気が吹出ガイド70のストレート状流路71に流入するものになる。各ストレート状流路71に流入した空気は該流路71により更に絞られて増速され、かつノズル31A(又はノズル32A)の空気吹出方向に沿う直進吹出性を付与された各流線束となって吹出され、車両1の表面に前述の吹付角度θで直に吹付けられる。吹出ガイド70の各ストレート状流路71から車両1の表面に吹付けられる各流線束Pは、図9に示す如く、車両1の表面の液滴及び汚れRを車両1に対するノズル31Aの移動方向の進み方向(移動距離m)に削ぎ落とすように吹飛ばし除去する。
【0030】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)洗車機10の液滴吹飛ばし除去装置30において、ノズル31A(又は32A)の空気吹出方向に平行をなすように配置される多数のストレート状流路71を並置してなる吹出ガイド70が、ノズル31A(又は32A)の吹出口51(又は61)の全域に設置され、ノズル31A(又は32A)のプレナムチャンバー50(又は60)から吹出ガイド70の各ストレート状流路71に流入した空気が該流路により絞られて増速され、かつ直進吹出性を付与された各流線束となって車両1の表面に直に吹付けられる。従って、ノズル31A(又は32A)の吹出口51(又は61)から吹出される空気は、吹出口51(又は61)の全域に渡って細分化された各ストレート状流路71で増速され、かつ直進吹出性を付与された各独立の流線束となる。即ち、車両1とノズル31A(又は32A)が相対移動し、ノズル31A(又は32A)から吹出される空気が車両1の表面に衝突して車両1の表面の液滴及び汚れを車両1に対するノズル31A(又は32A)の移動方向に削ぎ落とすように吹飛ばし除去するとき、空気の各流線束は高速なストレート棒状になって車両1の表面に鋭角の吹付角度θをなして衝突しつつ、車両1とノズル31A(又は32A)との相対移動方向のノズル進み方向に移動して、車両1の表面の液滴及び汚れをそのノズル進み方向に削ぎ落とすように強力に吹飛ばし除去する。車両1の表面に対する流速及び直進吹出性を強くし、車両1の表面の液滴及び汚れの吹飛ばし除去性能を向上するものになる。
【0031】
(b)前述(a)において、前記ノズル31A(又は32A)が前記プレナムチャンバー50(又は60)の空洞部50A(又は60A)に絞り部50B(又は60B)を介して前記吹出口51(又は61)を接続してなり、プレナムチャンバー50(又は60)の空気が絞り部50B(又は60B)により絞られて増速され、この空気が吹出ガイド70の各ストレート状流路71により更に絞られて増速され、かつ直進吹出性を付与された各流線束となって車両1の表面に直に吹付けられるものとした。従って、ノズル31A(又は32A)の吹出口51(又は61)から吹出される空気は、プレナムチャンバー50(又は60)の絞り部50B(又は60B)で増速された後、各ストレート状流路71で一層増速され、かつ直進吹出性を付与された各独立の流線束となる。即ち、空気の各流線束は車両1の表面に対する流速及び直進吹出性を一層強くし、車両1の表面の液滴の吹飛ばし除去性能を一層向上するものになる。
【0032】
尚、本発明者の実験によれば、吹出ガイド70をポリプロピレン成形体(商品名:住化プラスチック株式会社のスミパネル又はサンプライ)により形成し、ストレート状流路71の矩形の一辺aを4mm、他辺bを6mm、隔壁厚みtを0.5mmとし(図8(A))、ストレート状流路71の矩形の一辺aは8mm、他辺bを10mm、隔壁厚みtを0.5mmとし(図8(B))、又はストレート状流路71の矩形の一辺aを10mm、他辺bを14mm、隔壁厚みtを0.5mmとする(図8(C))とともに(tは0.3〜1.0mmの範囲内にあれば可)、ストレート状流路71の流路長hを50mm(hは30〜100mmの範囲内であれば可)とするとき、上述(a)、(b)を確実に実現できる。
【0033】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、洗車機の液滴吹飛ばし除去装置において、ノズルの空気吹出方向に平行をなすように配置される多数のストレート状流路を並置してなる吹出ガイドが、ノズルの吹出口の全域に配置されてなることにより、ノズルの吹出口から吹出される空気の車両の表面に対する流速及び直進吹出性を強くし、車両の表面の液滴及び汚れの吹飛ばし除去性能を向上することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 車両
10 洗車機
30、31、32 液滴吹飛ばし除去装置
31A、32A ノズル
33 ブロワ
50、60 プレナムチャンバー
50A、60A 空洞部
50B、60B 絞り部
51、61 吹出口
70 吹出ガイド
71 ストレート状流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロワが送風する空気をノズルのプレナムチャンバー経由でその吹出口から該ノズルに対して相対移動している車両の表面に吹付け、車両の表面の液滴及び汚れを車両に対するノズルの移動方向に吹飛ばし除去する洗車機の液滴吹飛ばし除去装置において、
ノズルの空気吹出方向に平行をなすように配置される多数のストレート状流路を並置してなる吹出ガイドが、ノズルの吹出口の全域に設置され、
ノズルのプレナムチャンバーから吹出ガイドの各ストレート状流路に流入した空気が該流路により絞られて増速され、かつ直進吹出性を付与された各流線束となって車両の表面に直に吹付けられることを特徴とする洗車機の液滴吹飛ばし除去装置。
【請求項2】
前記ノズルが前記プレナムチャンバーの空洞部に絞り部を介して前記吹出口を接続してなり、プレナムチャンバーの空気が絞り部により絞られて増速され、この空気が吹出ガイドの各ストレート状流路により更に絞られて増速され、かつ直進吹出性を付与された各流線束となって車両の表面に直に吹付けられる請求項1に記載の洗車機の液滴吹飛ばし除去装置。
【請求項3】
前記吹出ガイドの各ストレート状流路の断面が矩形とされ、矩形の一辺を4〜10mm、他の辺を6〜14mmとし、各ストレート状流路の流路長を30〜100mmとし、吹出ガイドの相隣るストレート状流路間の肉厚を0.3〜1.0mmとする請求項1又は2に記載の洗車機の液滴吹飛ばし除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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