説明

洗車機用ブラシ

【課題】1種類のブラシ単体を準備するだけで、洗い残しの生じない均一状の洗車を行える洗車機用ブラシを提供する。
【解決手段】軸体10と、2つ折りのブラシ体20からなり、ブラシ体が折り部21を介して、軸体の周方向の複数箇所でかつ軸心方向Sの複数箇所に取り付けられた洗車機用ブラシ1である。ブラシ体は折り部を中にして、一方辺部24と他方辺部25を軸心方向において変位させて2つ折りされている。各ブラシ体は、一方辺部と他方辺部との一部を重合させた状態で2つ折りでき、上段のブラシ体における非重合部と下段のブラシ体における非重合部とを重合させた状態で配置できる。ブラシ体を軸体の周方向で千鳥状とすることなく相並べる配列としながらも、軸心方向で相接するブラシ体同士を隙間が生じることなく配置できる。被洗浄車両への接触時に、ブラシ体間に隙間が生じることを防止でき、洗い残しの生じない均一な洗車を行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車機に組み込まれ、被洗浄車両の上面や側面などを洗浄するのに使用される洗車機用ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとしては、次のような構成が提供されている。すなわち、回転体は、外周の周方向に沿って一定の角度間隔をなす複数位置に、軸方向に沿うブラシ取付部を備えており、これらブラシ取付部の取付溝には、その底部で回転体の軸方向に沿って一定ピッチをなす複数位置に取付孔が設けられている。ブラシ片は、長手方向の中央部で折曲げることで、この中央折曲げ部を取付基部とするU字状をなしている。そしてブラシ片は、取付基部に形成した孔に挿通されるリベットをブラシ取付部の取付孔に刺通して、取付基部をブラシ取付部にリベット止めすることにより、回転体の外周に多数が固定され、以て洗車用ブラシを構成している。
【0003】
その際に洗車用ブラシは、回転体の周方向で相隣るブラシ取付部に設ける取付孔の位置を半ピッチずらして千鳥状に配列することで、ブラシ取付部に固定されるブラシ片同士を周方向で相並べる配列に比して、車体の突起形状、突起物との接触により、回転体の軸方向で相接するブラシ片同士が割れることを防止し、洗浄ムラが生ずることを回避している(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−62483号公報(第4−5頁、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来構成によると、周方向で1つ置きのブラシ片の配列は、軸方向の両端部分において半ピッチ分の空所(ブラシ片の不在箇所)が生じ、以て所期の洗車に不均一部分が生じることになる。これに対しては、軸方向の両端部分に、半ピッチ分に相当する短幅のブラシ片を配列すればよいが、この場合には、1ピッチに相当する幅のブラシ片の他に、半ピッチ分に相当する短幅のブラシ片を準備しなければならず、すなわち2種類のブラシ片を準備しなければならず、以て組付け作業工数の増加、在庫管理の複雑化、製作装置(たとえばスポンジ抜き型の製作)の増加(製作工程の追加)などの問題がある。
【0005】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、1種類のブラシ単体を準備するだけで、洗い残しの生じない均一な洗車を行える洗車機用ブラシを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の洗車機用ブラシは、軸体と、2つ折りのブラシ体とからなり、ブラシ体が折り部を介して、軸体の周方向の複数箇所でかつ軸心方向の複数箇所に取り付けられた洗車機用ブラシであって、前記ブラシ体は折り部を中にして、一方辺部と他方辺部とを軸心方向において変位させて2つ折りされていることを特徴としたものである。
【0007】
したがって請求項1の発明によると、各ブラシ体は、一方辺部と他方辺部との一部を重合させた状態で2つ折りし得、そして、上段のブラシ体における非重合部と下段のブラシ体における非重合部とを重合させた状態で配置し得る。これによりブラシ体を軸体の周方向で、千鳥状とすることなく相並べる配列としながらも、軸体の軸心方向で相接するブラシ体同士を隙間が生じることなく配置し得、以てブラシ体は、1種類(標準サイズ)を準備するだけでよいことになる。また洗車使用時には、回転により拡がったブラシ体を被洗浄車両に接触させるのであるが、このときブラシ体群を、軸体の軸心方向で相接するブラシ体同士を隙間が生じることなく配置し得ることで、被洗浄車両への接触時に、ブラシ体間に隙間が生じることなく均一な洗車を行える。
【0008】
また本発明の請求項2記載の洗車機用ブラシは、上記した請求項1記載の構成において、軸体に取り付ける前のブラシ体は、中央部分に折り部が存在し、一方辺部と他方辺部とが折り部に対して所定の角度で同方向に傾斜するとともに、両辺部の外縁は折り部に平行状として形成されていることを特徴としたものである。
【0009】
したがって請求項2の発明によると、外縁部分の被洗浄車両への接触を均一として、洗い残しの生じない均一な洗車を、より好適に行える。
そして本発明の請求項3記載の洗車機用ブラシは、上記した請求項1または2記載の構成において、軸体の周方向の複数箇所には軸心方向に沿った嵌合部が形成され、ブラシ体は、その折り部に前記嵌合部内で摺動自在な被嵌合体が取り付けられるとともに、この被嵌合体を中にして、一方辺部の外縁と他方辺部の外縁とを軸心方向において変位させて2つ折りされていることを特徴としたものである。
【0010】
したがって請求項3の発明によると、洗車機用ブラシは、被嵌合体を嵌合部に嵌合させながら、ブラシ体を軸体の周方向の複数箇所にそれぞれ複数配置することで組み立て得、また逆操作によってブラシ体の取り外し除去を行える。
【0011】
さらに本発明の請求項4記載の洗車機用ブラシは、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成において、ブラシ体がスポンジにより形成されていることを特徴としたものである。
【0012】
したがって請求項4の発明によると、ブラシ体は、たとえばスポンジ抜き型を使用した打ち抜きなどにより、平板状に容易に製作し得る。
【発明の効果】
【0013】
上記した本発明の請求項1によると、各ブラシ体は、一方辺部と他方辺部との一部を重合させた状態で2つ折りでき、そして、上段のブラシ体における非重合部と下段のブラシ体における非重合部とを重合させた状態で配置できる。これによりブラシ体を軸体の周方向で、千鳥状とすることなく相並べる配列としながらも、軸体の軸心方向で相接するブラシ体同士を隙間が生じることなく配置でき、以てブラシ体は、1種類(標準サイズ)を準備するだけでよいことから、組付け作業工数や在庫管理を簡素化できるとともに、製作装置を単純化できる。また洗車使用時には、回転により拡がったブラシ体を被洗浄車両に接触させるのであるが、このときブラシ体群を、軸体の軸心方向で相接するブラシ体同士を隙間が生じることなく配置できることで、被洗浄車両への接触時に、ブラシ体間に隙間が生じることを防止できて、洗い残し(洗浄ムラ)の生じない均一な洗車を行うことができ、以て所期の洗車を常に好適に行うことができる。
【0014】
また上記した本発明の請求項2によると、外縁部分の被洗浄車両への接触を均一にできて、洗い残しの生じない均一な洗車を、より好適に行うことができる。
そして上記した本発明の請求項3によると、洗車機用ブラシは、被嵌合体を嵌合部に嵌合させながら、ブラシ体を軸体の周方向の複数箇所にそれぞれ複数配置することで組み立てることができ、以て全段に亘っての組み立作業は、簡単にして迅速に行うことができる。また逆操作によってブラシ体の取り外し除去を行うことができ、以て特定のブラシ体や全てのブラシ体の補修、取り換えを迅速に容易に行うことができる。
【0015】
さらに上記した本発明の請求項4によると、ブラシ体は、たとえばスポンジ抜き型を使用した打ち抜きなどにより、平板状に容易に製作できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を、図1〜図8に基づいて説明する。
図1、図3、図5〜図7に示すように、アルミニウム(金属の一例)の押し出しにより形成される軸体10はパイプ状であって、その外周で周方向の複数箇所(実施の形態1では12箇所)には軸心方向(軸体軸心の方向)Sに沿った嵌合部11が形成されている。これら嵌合部11は、周方向で一対の突条部12と、これら突条部12間に形成される軸心側で幅広状の嵌合凹部13とにより形成されている。そして嵌合部11は、3個を1グループとし、グループ間に幅広嵌合凹部14が位置される状態で4グループが周方向に形成されている。なお、幅広嵌合凹部14における軸心方向Sの両端部分には連結用丸孔15が形成されている。
【0017】
図2に示すように、ブラシ体20はスポンジ製であって、たとえばスポンジ抜き型を使用した打ち抜きなどにより、平板状に容易に製作されている。その際に、軸体10に取り付ける前のブラシ体20は、中央部分に長方形状でかつ所定上下長さLの折り部21が存在し、この折り部21に一方折り線22を介して連なる一方辺部24と、他方折り線23を介して連なる他方辺部25とを有している。その際に両辺部24,25は、折り部21の非折り縁(上下端縁)21a,21bに対して上縁24a,25aと下縁24b,25bとが所定の角度θで同方向に傾斜するとともに、その外縁(外端)24c,25cが折り部21の折り線22,23に平行状として形成されている。
【0018】
そしてブラシ体20には、図1、図3〜図5に示すように、その折り部21に前記嵌合部11内で摺動自在な被嵌合体31が取り付けられる。すなわち被嵌合体31は、折り部21の所定上下長さ(ブラシ体20の幅)Lに相当する長さのレール状であって、前記嵌合凹部13に嵌合して軸体10の軸心方向にのみ摺動自在な被嵌合部32と、嵌合凹部13に対して突出された取り付け部33と、この取り付け部33の部分に形成された凹溝部(スリット部)34とからなり、全体を合成樹脂により一体成形することで、取り付け部33の部分を弾性変形自在として形成されている。
【0019】
そしてブラシ体20は、その折り部21を凹溝部34に対して、弾性に抗して押し込んだ(圧入させた)のち、加熱によって溶着させるなどすることで、取り付け部33を介して被嵌合体31が取り付けられる。その際にブラシ体20には、折り部21の折り線22,23が凹溝部34の入口縁線に沿った状態で被嵌合体31が取り付けられる。これによりブラシ体20には、被嵌合体31を中にして、一方辺部24の外縁24cと他方辺部25の外縁25cとを軸心方向Sにおいて変位させて2つ折りした状態で、被嵌合体31が取り付けられる。
【0020】
このようなブラシ体20は、前記被嵌合体31を介して、前記軸体10の周方向の複数箇所でかつ軸心方向Sの複数箇所に取り付けられる。すなわち図1、図3、図6、図7に示すように、軸体10には上部抜け止め部材5Aと下部抜け止め部材5Bとが着脱自在に設けられている。ここで、上部抜け止め部材5Aと下部抜け止め部材5Bとは同様な構成であって、軸体10に密状で外嵌自在なリング板体6と、このリング板体6の内周側でかつ周方向の4箇所に設けられた被連結体7とからなる。この被連結体7は前記幅広嵌合凹部14に嵌合自在であり、そして連結用丸孔15に連通自在な連結用丸孔8が形成されている。
【0021】
前記ブラシ体20を軸体10に取り付けるに際し、まず下部抜け止め部材5Bの各被連結体7を幅広嵌合凹部14の下部に嵌合させ、そして連結用丸孔8から連結用丸孔15へと連結具(ボルトなど)9を作用させる。これにより図1に示すように、幅広嵌合凹部14群の下端外側にリング板体6を外嵌位置させた状態で、軸体10の下部に下部抜け止め部材5Bを連結固定し得る。この状態で、各嵌合凹部13に対して被嵌合体31を上端開放部から差し込み嵌合させ、下方へと摺動させて取り付け部33の下端をリング板体6に当接させることで、2つ折りのブラシ体20を、その折り部21を介して、軸体10の周方向の複数箇所に取り付け得る。その際にブラシ体20は、折り部21を中にして、一方辺部24と他方辺部25とを軸体10の軸心方向Sにおいて変位させて2つ折りした状態となる。
【0022】
そして各嵌合凹部13に対して、次(2段目)の被嵌合体31を上端開放部から差し込み嵌合して下方へと摺動させ、その下端を下位(1段目)の被嵌合体31の上端に当接させ、これを繰り返すことで、2つ折りのブラシ体20を、その折り部21を介して、軸体10の周方向の複数箇所でかつ軸心方向Sの複数箇所(複数段)に取り付け得る。
【0023】
このようにして所定数(所定段数)の取り付けを行ったのち、上部抜け止め部材5Aの各被連結体7を幅広嵌合凹部14の上部に嵌合させ、そして連結用丸孔8から連結用丸孔15へと連結具9を作用させる。これにより、幅広嵌合凹部14群の上端外側にリング板体6を外嵌位置させた状態で、すなわち、最上段の被嵌合体31群における取り付け部33の上端にリング板体6を当接状とした状態で、軸体10の上部に上部抜け止め部材5Aを連結固定し得る。
【0024】
これにより図6、図7に示すように、前記ブラシ体20は、軸体10に取り付けられた折り部21を中にして、一方辺部24と他方辺部25とを軸心方向(上下方向)Sにおいて変位させ、すなわち、一方辺部24を上位としかつ他方辺部25を下位として軸心方向Sにおいて変位させることになり、以て折り部21に平行状として形成されている外縁24c,25c側の部分を見たとき、一方辺部24の下半分と他方辺部25の上半分とが重合(一部が重合)される状態で2つ折りされることになる。そして、上段のブラシ体20における他方辺部25の下半分(非重合部)と、下段のブラシ体20における一方辺部24の上半分(非重合部)とが重合される状態で2つ折りされている。
【0025】
このようにして、ブラシ体20群を軸体10に取り付けたサイドブラシ(洗車機用ブラシの一例)1を形成し得る。ここで図6、図7はサイドブラシ1を示しているが、後述するトップブラシやロッカーブラシの場合は、軸体の長さなどに対応して、ブラシ体20の長さを変えたり配置数を変えることで、同様にして形成し得る。
【0026】
上述したようにサイドブラシ1は、軸体10の下部(一端)に下部抜け止め部材5Bを連結固定させ、そしてブラシ体20を、その被嵌合体31を嵌合部11に嵌合させながら複数配置させたのち、軸体10の上部(他端)に上部抜け止め部材5Aを連結固定させることで組み立て得、以て全段に亘っての組み立作業は、簡単にして迅速に行える。また逆操作によってブラシ体20の取り外し除去を行え、以て特定のブラシ体20や全てのブラシ体20の補修、取り換えを迅速に容易に行える。
【0027】
さらに、一方辺部24と他方辺部25とを軸心方向Sにおいて変位させて、上段のブラシ体20における他方辺部25の下半分と下段のブラシ体20における一方辺部24の上半分とを重合させることで、折り部21、すなわち被嵌合体31を軸体10の周方向で、千鳥状とすることなく相並べる配列としながらも、軸体10の軸心方向Sで相接するブラシ体20同士を隙間が生じることなく配置し得る。これによりブラシ体20は、被嵌合体31を含めて1種類(標準サイズ)を準備するだけでよいことから、組付け作業工数や在庫管理を簡素化できるとともに、製作装置(たとえばスポンジ抜き型の製作)を単純化できる。
【0028】
図8に示すように、洗車機40における門形の洗車機本体41には、洗浄手段、ブラッシング手段、乾燥手段などが組み込まれている。すなわち洗車機本体41は、複数個の輪体42を介して、床58側の床面58a上に敷設された左右一対(左右複数)の洗車機用レール56上に載置されており、走行駆動装置(図示せず。)の作動により前後方向の一定経路上で往復移動(往復走行)するように構成されている。洗車機本体41には、被洗浄車両(普通乗用車など)60の洗浄手段の一例として、第1洗浄水ノズル43と、第1洗剤ノズル44と、第2洗浄水ノズル45と、撥水コート剤ノズル46と、第2洗剤ノズル47と、ワックスノズル48とが、前部から後部に亘って、この順で配設されている。ここで各ノズル43〜48は、たとえばアーチ状に構成されている。
【0029】
そして洗車機本体41には、被洗浄車両60のブラッシング手段の一例として、前記サイドブラシ1やトップブラシ(洗車機用ブラシの一例)2やロッカーブラシ(洗車機用ブラシの一例)3が配設されている。さらに洗車機本体41には、被洗浄車両60の乾燥手段の一例として、昇降自在なトップノズル51、左右一対のサイドノズル52、ならびにトップノズル51にダクトホースを介して接続された左右一対のトップ側ブロワ装置53、サイドノズル52にダクトホースを介して接続された左右一対のサイド側ブロワ装置54が設けられる。
【0030】
次に洗車作業を説明する。すなわち洗車を行うに際して、まず被洗浄車両60を停車させた状態で運転者または作業者が操作パネルを操作し、以て希望する一つの洗車コース(洗浄条件)を設定する。この状態で洗車スタートスイッチをオン操作することで、洗車機本体41を往復走行させながら、回転により拡がった各ブラシ1,2,3の接近離間動、洗浄水ノズル43,45を介しての水(洗浄水)の供給、洗剤ノズル44,47を介しての希釈した洗剤の供給、撥水コート剤ノズル46を介しての希釈した撥水コート剤の供給、ワックスノズル48を介しての希釈したワックスの供給、ならびに各ノズル51,52からの風の噴出(吹き付け)、などを適宜に組合せて作動させ、以て被洗浄車両60に対する所期の洗浄工程と乾燥工程とを行えることになる。
【0031】
このような洗車作業時に、各ブラシ1,2,3における回転により拡がったブラシ体20の外縁24c,25c側の部分を被洗浄車両60に接触させるのであるが、このときブラシ体20群を、軸体10の軸心方向Sで相接するブラシ体20同士を隙間が生じることなく配置できることで、被洗浄車両60への接触時に、ブラシ体20間に隙間が生じることを防止できて、洗い残し(洗浄ムラ)の生じない均一な洗車を行うことができ、以て所期の洗車を常に好適に行うことができる。さらに外縁24c,25cが軸心方向Sに対して平行状に形成されていることで、これら外縁24c,25c部分の被洗浄車両60への接触を均一にできて、洗い残しの生じない均一な洗車を、より好適に行うことができる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2を、図9、図10に基づいて説明する。
【0032】
図9に示すように、ブラシ体70はスポンジ製であって、スポンジ抜き型を使用した打ち抜きなどにより、長方形の平板状に容易に製作されている。その際に、軸体10に取り付ける前のブラシ体70は、中央部分に長方形状でかつ長さ方向に対して傾斜した折り部71が存在し、この折り部71に一方傾斜折り線72を介して連なる一方辺部74と、他方傾斜折り線73を介して連なる他方辺部75とを有している。その際に両辺部74,75は、折り部71の非折り縁(上下端縁)71a,71bに対して上縁74a,75aと下縁74b,75bとが直線状になるとともに、その外縁(外端)74c,75cに対して両傾斜折り線72,73が所定の傾斜角度θで同方向に傾斜する状態として形成されている。
【0033】
そして図10に示すように、上述した実施の形態1と同様にして、ブラシ体70の折り部71には、嵌合部11内で摺動自在な被嵌合体31が取り付けられ、またブラシ体70は、前記被嵌合体31を介して、軸体10の周方向の複数箇所でかつ軸心方向Sの複数箇所に取り付けられる。
【0034】
このようにして形成したサイドブラシ(洗車機用ブラシの一例)1Aは、一方辺部74と他方辺部75とを軸心方向Sにおいて変位させて、上段のブラシ体70における他方辺部75の下半分と下段のブラシ体70における一方辺部74の上半分とを重合させることで、折り部71、すなわち被嵌合体31を軸体10の周方向で、千鳥状とすることなく相並べる配列としながらも、軸体10の軸心方向Sで相接するブラシ体70同士を隙間が生じることなく配置し得る。これによりブラシ体70は、被嵌合体31を含めて1種類(標準サイズ)を準備するだけでよいことから、組付け作業工数や在庫管理を簡素化できるとともに、製作装置(たとえばスポンジ抜き型の製作)を単純化できる。なお、このとき外縁74c,75cは、軸心方向Sに対して傾斜状に位置される。
【0035】
そして洗車作業時に、サイドブラシ1Aにおける回転により拡がったブラシ体70の外縁74c,75c側の部分を被洗浄車両60に接触させるのであるが、このときブラシ体70群を、軸体10の軸心方向Sで相接するブラシ体70同士を隙間が生じることなく配置できることで、被洗浄車両60への接触時に、ブラシ体70間に隙間が生じることを防止できて、洗い残し(洗浄ムラ)の生じない均一な洗車を行うことができ、以て所期の洗車を常に好適に行うことができる。
【0036】
上記した実施の形態1,2では、ブラシ体20,70に被嵌合体31が取り付けられ、この被嵌合体31を介して軸体10側に配置する形式が示されているが、これはブラシ体20,70の折り部21,71を軸体10に直接に取り付ける形式などであってもよい。
【0037】
上記した実施の形態1,2では、ブラシ体20,70に被嵌合体31が加熱溶着により取り付けられた形式が示されているが、これは固定具(ピンやボルトなど)により取り付けられる形式などであってもよい。
【0038】
上記した実施の形態1、2において、所定の角度θや所定の傾斜角度θは任意に設定されるものであり、この場合に、角度折りを考慮したスポンジ抜き型が使用される。
上記した実施の形態1,2では、ブラシ体20,70がスポンジにより形成された形式が示されているが、これは織布や不織布など布のみからなる一枚もののブラシ体や、スポンジと布とを重ね合わせたブラシ体を使用した形式などであってもよい。
【0039】
上記した実施の形態1、2では、軸体10に対して上部抜け止め部材5Aと下部抜け止め部材5Bとが着脱自在に設けられた形式が示されているが、これら抜け止め部材5A,5Bの着脱は一端のみでもよく、この場合に他端には、外方への移動を阻止する阻止構造が一体的に設けられる。
【0040】
上記した実施の形態1、2では、軸体10の嵌合部11に嵌合された被嵌合体31を固定していないが、これら被嵌合体31の一部または全部を固定具(ピンなど)により軸体10に固定した形式などであってもよい。
【0041】
上記した実施の形態1、2では、ブラシ体20を、その被嵌合体31を嵌合部11に嵌合させながら軸体10に複数配置させるに際し、周方向で複数の各嵌合部11に対して被嵌合体31を同じ向きで嵌合させて、ブラシ体20群の2つ折り変位方向を同方向とした形式が示されているが、これは隣接した1つ置きの嵌合部11に対して、被嵌合体31を上下逆向きで嵌合させて、ブラシ体20群の2つ折り変位方向を、隣接間で逆方向とした形式などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、洗車機用ブラシの組み立て時の斜視図である。
【図2】同洗車機用ブラシにおけるブラシ体の正面図である。
【図3】同洗車機用ブラシにおける軸体の要部の平面図である。
【図4】同洗車機用ブラシにおけるブラシ体の斜視図である。
【図5】同洗車機用ブラシの要部の平面図である。
【図6】同洗車機用ブラシの縦断正面図である。
【図7】同洗車機用ブラシの平面図である。
【図8】同洗車機用ブラシを組み込んだ洗車機の側面図である。
【図9】本発明の実施の形態2を示し、洗車機用ブラシにおけるブラシ体の正面図である。
【図10】同洗車機用ブラシの縦断正面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 サイドブラシ(洗車機用ブラシ)
1A サイドブラシ(洗車機用ブラシ)
2 トップブラシ(洗車機用ブラシ)
3 ロッカーブラシ(洗車機用ブラシ)
5A 上部抜け止め部材
5B 下部抜け止め部材
10 軸体
11 嵌合部
13 嵌合凹部
14 幅広嵌合凹部
20 ブラシ体
21 折り部
21a 非折り縁
21b 非折り縁
22 一方折り線
23 他方折り線
24 一方辺部
24a 上縁
24b 下縁
24c 外縁
25 他方辺部
25a 上縁
25b 下縁
25c 外縁
31 被嵌合体
32 被嵌合部
33 取り付け部
34 凹溝部
40 洗車機
41 洗車機本体
56 洗車機用レール
60 被洗浄車両
70 ブラシ体
71 折り部
71a 非折り縁
71b 非折り縁
72 一方傾斜折り線
73 他方傾斜折り線
74 一方辺部
74a 上縁
74b 下縁
74c 外縁
75 他方辺部
75a 上縁
75b 下縁
75c 外縁
θ 所定の角度
θ 所定の傾斜角度
L 所定上下長さ
S 軸体10の軸心方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、2つ折りのブラシ体とからなり、ブラシ体が折り部を介して、軸体の周方向の複数箇所でかつ軸心方向の複数箇所に取り付けられた洗車機用ブラシであって、前記ブラシ体は折り部を中にして、一方辺部と他方辺部とを軸心方向において変位させて2つ折りされていることを特徴とする洗車機用ブラシ。
【請求項2】
軸体に取り付ける前のブラシ体は、中央部分に折り部が存在し、一方辺部と他方辺部とが折り部に対して所定の角度で同方向に傾斜するとともに、両辺部の外縁は折り部に平行状として形成されていることを特徴とする請求項1記載の洗車機用ブラシ。
【請求項3】
軸体の周方向の複数箇所には軸心方向に沿った嵌合部が形成され、ブラシ体は、その折り部に前記嵌合部内で摺動自在な被嵌合体が取り付けられるとともに、この被嵌合体を中にして、一方辺部の外縁と他方辺部の外縁とを軸心方向において変位させて2つ折りされていることを特徴とする請求項1または2記載の洗車機用ブラシ。
【請求項4】
ブラシ体がスポンジにより形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗車機用ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−290637(P2008−290637A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139813(P2007−139813)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】