説明

洗車機用ブラシ

【課題】被洗浄車両の表面への接触時における折れ曲がりを防止した洗車機用ブラシを提供する。
【解決手段】布製のブラシ単体1を折り畳み状にするとともに、その折り目5,6を放射状方向として基部側1Aを軸体10に取り付けた。ブラシ単体の先部側1Bは、各折り目の先部側近くの部分を起点Xとし、折り目に対して次第に離れる方向に傾斜して先端に至る傾斜線Y上で除去した。洗車作業時には、回転により拡がったブラシ単体の先部側となる部分を被洗浄車両に接触させる。このとき、被洗浄車両に接触させる先部側の一部除去によって(ブラシ先端の角部のカットによって)、折り目の遊端は角部を形成しない状態にでき、これにより被洗浄車両の表面への接触時における先部側の折れ曲がりを防止でき、以てブラシ単体、すなわち洗車機用ブラシの破損を抑制できるとともに、所期の洗車を常に好適に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車機に組み込まれ、被洗浄車両の上面や側面などを洗浄するのに使用される洗車機用ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の洗車機用ブラシとしては、次のような構成が提供されている。すなわち、織布や不織布など布のみからなる一枚もののブラシ単体は、その中央部に中央貫通部を有せしめて円盤状に形成され、そしてブラシ単体の中央貫通部の周辺部分で周方向の複数箇所(12箇所)には固定用孔が形成されている。このブラシ単体は、中央貫通部の周辺部分を介して周方向で複数個(4個)の被嵌合体に固定される。その際に固定は、周辺部分を周方向で折畳み、この折畳み部分を介して行われる。そして、折畳み部分の内側に被嵌合体における本体部分の外面が当てがわれ、固定用孔群に固定用孔を連通させた状態で、これら固定用孔間に亘ってリベットを打ち込むことで、複数個の被嵌合体間にブラシ単体が固定される。
【0003】
組み立ては、軸体の一端に固定装置を固定し、ブラシ単体に固定した被嵌合体群を、嵌合部に対して他端から嵌合し軸心方向に摺動して、軸体に対してブラシ単体を外嵌して固定装置に当接させる。このような外嵌、摺動の繰り返しで、ブラシ単体を軸心方向に順次積層して配置し、軸体の他端に固定装置を固定することで行える。そして洗車機用ブラシは、軸体の外周に設けたブラシ単体群を自動車の上面や側面に接触させて、自動車の表面を洗浄し得る(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−28460号公報(第1,3頁、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来構成によると、ブラシ単体の外端部、すなわち自動車の表面に接触させる先端部分には、折畳みによる山部と谷部との遊端によって角部が形成されており、これら角部により、自動車表面への接触時に折れ曲がりが発生し、以てブラシ単体の破損の要因になっている。
【0005】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、被洗浄車両の表面への接触時における折れ曲がりを防止し得る洗車機用ブラシを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の洗車機用ブラシは、布製のブラシ単体を折り畳み状にするとともに、その折り目を放射状方向として基部側を軸体に取り付け、ブラシ単体の先部側は、各折り目の先部側近くの部分を起点とし、折り目に対して次第に離れる方向に傾斜して先端に至る傾斜線上で除去したことを特徴としたものである。
【0007】
したがって請求項1の発明によると、洗車機用ブラシは、折り畳み状のブラシ単体を、その基部側を軸体に取り付けることで組み立て得、そして洗車機用ブラシは、洗車機に組み込んで洗車に使用し得る。その際に洗車作業時には、回転により拡がったブラシ単体の先部側となる部分を被洗浄車両に接触させる。このとき、被洗浄車両に接触させる先部側の一部除去によって、折り目の遊端は角部を形成しない状態にし得、これにより被洗浄車両の表面への接触時における先部側の折れ曲がりを防止し得る。
【0008】
また本発明の請求項2記載の洗車機用ブラシは、上記した請求項1記載の構成において、リング板形状に形成した布製のブラシ単体を使用し、このブラシ単体を円方向で折り畳み状にするとともに、その折り目を放射状方向として基部側を、軸体の周方向複数箇所に配置して取り付けたことを特徴としたものである。
【0009】
したがって請求項2の発明によると、ブラシ単体は、原反の布を所定寸法でリング板形状に裁断することで形成し得、そしてブラシ単体は、軸体に対して周方向複数箇所に順次に積層状として配置し得る。
【0010】
そして本発明の請求項3記載の洗車機用ブラシは、上記した請求項1記載の構成において、長方形状に形成した布製のブラシ単体を使用し、このブラシ単体を長さ方向で波状に折り畳んだのち、幅方向の中央部分を折り曲げて基部を形成し、前記波状の折り畳みによる折り目を放射状方向として、基部を軸体に取り付けたことを特徴としたものである。
【0011】
したがって請求項3の発明によると、ブラシ単体は、原反の布を所定寸法で長方形状に裁断することで形成し得、そしてブラシ単体は、軸体に対して周方向複数箇所に順次に積層状として配置し得る。
【0012】
さらに本発明の請求項4記載の洗車機用ブラシは、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成において、ブラシ単体の基部側となる部分を被嵌合体に固定し、軸体の外面で周方向の複数箇所に軸体軸心に沿った方向の嵌合部を形成して、これら嵌合部に対して前記被嵌合体を摺動自在に嵌合させることで、ブラシ単体を軸体軸心に沿った方向に積層状として配置し、軸体軸心に沿った方向の少なくとも一端に位置した被嵌合体の外方への移動を阻止する固定装置を、軸体に着脱自在に設けたことを特徴としたものである。
【0013】
したがって請求項4の発明によると、長さ方向の基部側となる部分を被嵌合体に固定したブラシ単体を軸体に組み立てるに、まず被嵌合体を、軸体の嵌合部に対して端部から嵌合させるとともに、嵌合部の案内により軸体軸心に沿った方向に摺動させることで、軸体に対してブラシ単体を配置し得る。このような嵌合、摺動の繰り返しにより、被嵌合体を順次当接させながら、ブラシ単体を軸体軸心に沿った方向に順次積層状として配置し得る。そして所定数(所定段)の配置を行ったのち軸体の端部に固定装置を固定させることにより、ブラシ単体群を軸体側に固定し得、以て洗車機用ブラシを形成し得る。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明の請求項1によると、洗車機用ブラシは、折り畳み状のブラシ単体を、その基部側を軸体に取り付けることで容易に組み立てることができ、そして洗車機用ブラシは、洗車機に組み込んで洗車に使用できる。その際に洗車作業時には、回転により拡がったブラシ単体の先部側となる部分を被洗浄車両に接触させる。このとき、被洗浄車両に接触させる先部側の一部除去によって(ブラシ先端の角部のカットによって)、折り目の遊端は角部を形成しない状態にでき、これにより被洗浄車両の表面への接触時における先部側の折れ曲がりを防止でき、以てブラシ単体、すなわち洗車機用ブラシの破損を抑制できるとともに、所期の洗車を常に好適に行うことができる。さらに耐久性の向上により、ブラシ単体の交換期間(交換時期)を長く(延命)できて、作業性や経済性で有利となる。
【0015】
また上記した本発明の請求項2によると、ブラシ単体は、原反の布を所定寸法でリング板形状に裁断することで容易に形成でき、そしてブラシ単体は、軸体に対して外嵌させながら順次に積層状として配置できる。
【0016】
そして上記した本発明の請求項3によると、ブラシ単体は、原反の布を所定寸法で長方形状に裁断することで容易に形成でき、そしてブラシ単体は、軸体に対して周方向複数箇所に順次に積層状として配置できる。
【0017】
さらに上記した本発明の請求項4によると、長さ方向の基部側となる部分を被嵌合体に固定したブラシ単体を軸体に組み立てるに、まず被嵌合体を、軸体の嵌合部に対して端部から嵌合させるとともに、嵌合部の案内により軸体軸心に沿った方向に摺動させることで、軸体に対してブラシ単体を配置できる。このような嵌合、摺動の繰り返しにより、被嵌合体を順次当接させながら、ブラシ単体を軸体軸心に沿った方向に順次積層状として配置でき、そして所定数(所定段)の配置を行ったのち軸体の端部に固定装置を固定することにより、ブラシ単体群を軸体側に固定でき、以て洗車機用ブラシを簡単にして迅速に形成できる。また逆操作によってブラシ単体の取り外し除去を行うことができ、以て特定のブラシ単体や全てのブラシ単体の補修、取り換えを迅速に容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を、図1〜図9に基づいて説明する。
図1、図5〜図8に示すように、アルミニウム(金属の一例)の押し出しにより形成される軸体10はパイプ状であって、その外周で周方向の複数箇所(実施の形態1では8箇所)には軸体軸心10aに沿った方向の嵌合部11が形成されている。これら嵌合部11は、周方向で一対の突条部12と、これら突条部12に対して周方向の外側位置から外方へ突出されたのち相対向側に連出される一対の係止部13により形成される。そして突条部12の外面と軸体10の外面と係止部13の内面とによって嵌合凹部14が形成される。さらに軸体10の両端で両突条部12間の部分には、連結用丸孔15が形成されている。
【0019】
図2に示すように、織布や不織布など布のみからなる一枚もののブラシ単体1は、その中央部に中央貫通部2を有せしめてリング板形状に形成され、そしてブラシ単体1の中央貫通部2の周辺部分(基部側)1Aで円方向(周方向)Zの複数箇所には固定用孔3が形成されている。また、ブラシ単体1の外周辺部分(先部側)1Bで周方向の複数箇所には、すなわち固定用孔2間の中央部分に対向される位置で放射状方向の位置には、それぞれV字状のカット部(詳細は後述する。)4が形成されている。
【0020】
そしてブラシ単体1は、図3に示すように、たとえば加熱プレス装置によるプレス成形などによって、隣接した固定用孔3間に山折り目(折り目)5と谷折り目(折り目)6とが交互に位置されるように、円方向Zで折り畳み状に成形されている。このとき、山折り目5や谷折り目6は放射状方向に形成され、その外周辺部分(先部側)1Bにおいて、カット部4のV字状の底部に至るようにして成形されている。
【0021】
図1、図5〜図8に示すように、前記ブラシ単体1は、中央貫通部2の周辺部分1Aを介して円方向Zの複数個(実施の形態1では8個)の被嵌合体20に固定される。この被嵌合体20は樹脂により正方形の板状に一体形成され、その際に中央で長方形状の本体部分21の両側には、内方へ突出されたのち相反する方向側に連出される一対の被係止部22が形成されている。そして本体部分21には固定用孔23が形成されている。
【0022】
このように形成された被嵌合体20に前記ブラシ単体1が固定されるのであるが、この固定は、周辺部分1Aを円方向Zで折畳み、この折畳み部分1Cを介して行われる。すなわち、実施の形態1においてブラシ単体1は6回折り畳まれ、7層状の折畳み部分1Cが円方向Zの8箇所に形成される。その際に折畳みは、折畳み部分1Cの円方向Zの中央部分で、それぞれ7個の固定用孔3が連通される状態で行われる。そして折畳み部分1Cの内側に被嵌合体20における本体部分21の外面が当てがわれ、固定用孔3群に固定用孔23を連通させた状態で、これら固定用孔3,23間に亘ってリベット24を打ち込むことで、折畳み部分1Cのそれぞれが被嵌合体20に固定され、以て被嵌合体20群にブラシ単体1が固定される。
【0023】
このようにしてブラシ単体1が固定された被嵌合体20は、前記軸体10の嵌合部11に対して軸体軸心10aに沿った方向に摺動自在に嵌合される。すなわち被嵌合体20は、その両被係止部22を両係止部13に係合させることで、軸体10の端部から嵌合されるとともに、嵌合部11に案内されて軸体軸心10aに沿った方向に摺動自在とされ、以て軸体10に対してブラシ単体1が外嵌されるとともに、軸体軸心10aに沿った方向に積層状として配置される。その際にリング板形状のブラシ単体1は、円方向Zで折り畳み状にされるとともに、その山折り目5と谷折り目6が軸体軸心10aに対して放射状方向とされて、周辺部分1Aの円方向Zでの複数箇所が軸体10に取り付けられることになる。そしてブラシ単体1の外周辺部分1Bは、V字状のカット部4によって、山折り目5や谷折り目6の先部側の近くの部分を起点Xとし、山折り目5や谷折り目6に対して次第に離れる方向に傾斜して先端1Dに至る傾斜線Y上で切断除去された状態になる。
【0024】
図1、図5、図6、図8に示すように、軸体軸心10aに沿った方向の両端に位置した被嵌合体20の両端外方への移動を阻止する固定装置30が、軸体10側に着脱自在に設けられる。すなわち固定装置30の本体は、樹脂により正方形の板状に形成された当て部材31からなり、この当て部材31は、軸体10の嵌合部11における両突状部12間の外面に当接される。さらに当て部材31には、軸体軸心10aに沿った方向に長い連結用長孔32が形成され、この連結用長孔32は前記軸体10の連結用丸孔15に連通自在に形成される。そして、この当て部材31を軸体10に固定させる固定具33が設けられ、この固定具33は、連結用長孔32から連結用丸孔15に通されるボルト34と、軸体10内に位置されかつボルト34が螺合されるナット35などから構成される。
【0025】
以下に、上記した実施の形態1における作用を説明する。
軸体10はアルミニウム(金属の一例)の押し出しにより形成されることから、その外周で周方向の複数箇所の嵌合部11を含めて形成(製作)は容易に精度よく行え、そして金属により十分な強度を確保し得る。また被嵌合体20や当て部材31は、樹脂により容易に精度よく形成し得る。さらにブラシ単体1は、図2に示すように、原反の布を所定寸法でリング板形状に裁断し、その周辺部分1Aで円方向Zの多数箇所に固定用孔3を形成するとともに、外周辺部分1Bで円方向Zの多数箇所にV字状のカット部4を形成した状態で、図3に示すように、プレス成形などによって、隣接した固定用孔3間に山折り目5と谷折り目6とが交互に位置されるように、円方向Zで折り畳み状に成形することで、容易に形成でき、そして図4に示すように、周辺部分1Aが曲げ成形される。
【0026】
このように形成されたブラシ単体1は、円方向Zの8箇所が、それぞれ6回、密状に折り畳まれて7層状の折畳み部分1Cに形成され、そして折畳み部分1Cの内側に被嵌合体20の本体部分21を当てがい、折畳み部分1Cで連通状態にある7個の固定用孔3群に固定用孔23を連通させた状態で、これら固定用孔3,23間に亘ってリベット24を打ち込むことで、図5に示すように、8個の被嵌合体20間に整然と精度よく固定される。このとき、折畳み部分1C間に非折畳み部が位置されて、折畳み部分1C間の無理な引っ張り力が開放されている。
【0027】
このように構成されたブラシ単体1などを軸体10に組み立てるに、まず軸体10の下端で周方向の8箇所に当て部材31を固定させる。これは図1、図6、図8に示すように、当て部材31を、軸体10の嵌合部11における両突状部12間の外面に当接させて、その連結用長孔32を連結用丸孔15に連通させたのち、孔32,15間に固定具33を作用させることで行える。次いで、一枚のブラシ単体1に固定した周方向で8個の被嵌合体20を、その両被係止部22を両係止部13に係合させることで、軸体10の上端から嵌合させるとともに、嵌合部11の案内により軸体軸心10aに沿った方向に摺動させ、以て軸体10に対してブラシ単体1を外嵌させる。そしてブラシ単体1側を下端側へと摺動させ、前記当て部材31に当接させる。このような外嵌、摺動の繰り返しにより、下端側の被嵌合体20に上端側の被嵌合体20を当接させながら、ブラシ単体1を軸体軸心10aに沿った方向に順次に積層状として配置させる。
【0028】
そして所定数(所定段)の配置を行ったのち軸体10の上端に、前記下端の当て部材31とは逆向きとして、前述と同様の作用により当て部材31を固定させる。これによりブラシ単体1群を、被嵌合体20群を介して、両端の固定装置30により挟持して固定させることになり、以て図8に示すようにサイドブラシ(洗車機用ブラシの一例)37を形成し得る。ここで図8はサイドブラシ37を示しているが、後述するトップブラシやロッカーブラシの場合は、ブラシ単体1の幅寸法を変えたり配置数を変えることで、同様にして形成し得る。
【0029】
上述したようにサイドブラシ37は、下端(少なくとも一側)に固定装置30を固定させ、そしてブラシ単体1を、その被嵌合体20を嵌合部11に嵌合させながら複数配置させたのち、上端(少なくとも一側)に固定装置30を固定させることで組み立て得、以て全段に亘っての組み立て作業は、簡単にして迅速に行える。また逆操作によってブラシ単体1の取り外し除去を行え、以て特定のブラシ単体1や全てのブラシ単体1の補修、取り換えを迅速に容易に行える。
【0030】
さらに固定装置30による固定操作部が少ないことから、軸体10に対するブラシ単体1の取り付けは、軸体10の強度を低下させることなく行える。そして、一枚もののブラシ単体1を積層することから、取り付けは、周方向で整然と揃えて行えるとともに、ブラシ単体1は容易に製作し得る。さらに被嵌合体20によって、ブラシ単体1間に一定のスペースを確保し得、これにより保水率を向上し得る。しかもブラシ単体1は、周辺部分1Aを折り畳むことで、周辺部分1Aを除く大部分が上下で隙間のある積層状となり、これにより上下方向のボリュームアップと保水率の向上とを図り得る。
【0031】
図9に示すように、洗車機40における門形の洗車機本体41には、洗浄手段、ブラッシング手段、乾燥手段などが組み込まれている。すなわち洗車機本体41は、複数個の輪体42を介して、床58側の床面58a上に敷設された左右一対(左右複数)の洗車機用レール装置56上に載置されており、走行駆動装置(図示せず。)の作動により前後方向の一定経路上で往復移動(往復走行)するように構成されている。洗車機本体41には、被洗浄車両(普通乗用車など)60の洗浄手段の一例として、第1洗浄水ノズル43と、第1洗剤ノズル44と、第2洗浄水ノズル45と、撥水コート剤ノズル46と、第2洗剤ノズル47と、ワックスノズル48とが、前部から後部に亘って、この順で配設されている。ここで各ノズル43〜48は、たとえばアーチ状に構成されている。
【0032】
そして洗車機本体41には、被洗浄車両60のブラッシング手段の一例として、前記サイドブラシ37やトップブラシ(洗車機用ブラシの一例)38やロッカーブラシ(洗車機用ブラシの一例)39が配設されている。さらに洗車機本体41には、被洗浄車両60の乾燥手段の一例として、昇降自在なトップノズル51、左右一対のサイドノズル52、ならびにトップノズル51にダクトホースを介して接続された左右一対のトップ側ブロワ装置53、サイドノズル52にダクトホースを介して接続された左右一対のサイド側ブロワ装置54が設けられる。
【0033】
次に洗車作業を説明する。すなわち洗車を行うに際して、まず被洗浄車両60を停車させた状態で運転者または作業者が操作パネルを操作し、以て希望する一つの洗車コース(洗浄条件)を設定する。この状態で洗車スタートスイッチをオン操作することで、洗車機本体41を往復走行させながら、回転により拡がった各ブラシ37,38,39の接近離間動、洗浄水ノズル43,45を介しての水(洗浄水)の供給、洗剤ノズル44,47を介しての希釈した洗剤の供給、撥水コート剤ノズル46を介しての希釈した撥水コート剤の供給、ワックスノズル48を介しての希釈したワックスの供給、ならびに各ノズル51,52からの風の噴出(吹き付け)、などを適宜に組合せて作動させ、以て被洗浄車両60に対する所期の洗浄工程と乾燥工程とを行えることになる。
【0034】
このような洗車作業時に、回転により拡がった各ブラシ37,38,39の外周辺部分1Bを被洗浄車両60に接触させる。このとき、被洗浄車両60に接触させる外周辺部分1Bを、各折り目5,6の外周辺部分1B近くの部分を起点Xとし、折り目5,6に対して次第に離れる方向に傾斜して先端1Dに至る傾斜線Y上で除去(カット)したことで、折り目5,6の遊端に角部を形成しない状態にでき、これにより被洗浄車両60の表面への接触時における外周辺部分1Bの折れ曲がりを防止でき、以てブラシ単体1、すなわち各ブラシ37,38,39の破損を減少できるとともに、所期の洗車を常に好適に行うことができる。さらに耐久性の向上により、ブラシ単体1の交換期間(交換時期)を長く(延命)できて、作業性や経済性で有利となる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2を、図10〜図12に基づいて説明する。
【0035】
図11(a)に示すように、織布や不織布など布のみからなる一枚もののブラシ単体71は長方形状に形成され、そして基部側(幅方向Wの中央部分)71Aで長さ方向Lの多数箇所(実施の形態2では8箇所)には固定用孔72が形成されている。また、ブラシ単体71の先部側(幅方向Wの両側部分)71Bで長さ方向Lの複数箇所(実施の形態2では7箇所)には、すなわち固定用孔72間の中央部分に対向される位置には、それぞれV字状のカット部74が形成されるとともに、長さ方向Lの両端箇所には、それぞれ傾斜状のカット部74aが形成されている。
【0036】
そしてブラシ単体71は、図11(b)(c)に示すように、たとえば加熱プレス装置によるプレス成形などによって、隣接した固定用孔72間に山折り目(折り目)75と谷折り目(折り目)76とが交互に位置されるように、折り畳み状に成形されている。このとき、山折り目75や谷折り目76は先部側71Bにおいて、V字状のカット部74のV字状底部に至るようにして成形されている。このブラシ単体71は、図10、図12に示すように、その固定用孔72群が位置される基部側(中央部分)71Aが密状に圧縮されるとともに、この基部側71Aを中心として折り曲げられて重合折り曲げ部78が形成され、そして重合折り曲げ部78に被嵌合体20が固定されている。
【0037】
すなわちブラシ単体71の基部側における密状の圧縮は、8個の固定用孔72が連通される状態で行われる。そして重合折り曲げ部78の円弧外面側に被嵌合体20における本体部分21の外面が当てがわれ、固定用孔72群に固定用孔23を連通させた状態で、これら固定用孔72,23間に亘ってリベット24を打ち込むことで、被嵌合体20に重合折り曲げ部78が固定される。
【0038】
このようにしてブラシ単体71が固定された被嵌合体20は、軸体10の嵌合部11に対して軸体軸心10aに沿った方向に摺動自在に嵌合され、以て軸体10に対してブラシ単体71が取り付けられるとともに、軸体軸心10aに沿った方向に積層状として配置される。その際に中折れ状態のブラシ単体71は、長さ方向Lで折り畳み状にされるとともに、その山折り目75と谷折り目76が軸体軸心10aに対して放射状方向とされて、基部側71Aである重合折り曲げ部78が軸体10に取り付けられることになる。そしてブラシ単体71の先部側71Bは、V字状のカット部74などによって、山折り目75や谷折り目76の先部側71Bの近くの部分を起点Xとし、山折り目75や谷折り目76に対して次第に離れる方向に傾斜して先端71Dに至る傾斜線Y上で切断除去された状態になる。
【0039】
以下に、上記した実施の形態2における作用を説明する。
ブラシ単体71は、図11(a)に示すように、原反の布を所定寸法で長方形状に裁断し、その基部側(中央部分)71Aで長さ方向Lの多数箇所に固定用孔72を形成し、そして先部側71Bで長さ方向Lの多数箇所にV字状のカット部74を形成するとともに、長さ方向Lの両端箇所に傾斜状のカット部74aを形成した状態で、図11(b)(c)に示すように、プレス成形などによって、隣接した固定用孔72間に山折り目75と谷折り目76とが交互に位置されるように、折り畳み状に成形することで、容易に形成し得る。
【0040】
このように形成されたブラシ単体71は、図10、図12に示すように、その固定用孔72群が位置される基部側(中央部分)71Aが密状に圧縮されるとともに、この基部側71Aを中心として折り曲げられて重合折り曲げ部78が形成され、そして重合折り曲げ部78の円弧外面側に被嵌合体20の本体部分21を当てがい、重合折り曲げ部78で連通状態にある8個の固定用孔72群に固定用孔23を連通させた状態で、これら固定用孔72,23間に亘ってリベット24を打ち込むことで、被嵌合体20に整然と精度よく固定される。
【0041】
このように構成されたブラシ単体71などを軸体10に組み立てるに、まず軸体10の下端で周方向の4箇所に当て部材31を固定させる。次いで、一枚のブラシ単体71に固定した被嵌合体20を、その両被係止部22を、1つの嵌合凹部14を形成する両係止部13に係合させることで、軸体10の上端から嵌合させるとともに、嵌合部11の案内により軸体軸心10aに沿った方向に摺動させ、以て軸体10に対してブラシ単体71を配置させる。そしてブラシ単体71側を下端側へと摺動させ、当て部材31に当接させる。このような係合(配置)、摺動の繰り返しにより、下端側の被嵌合体20に上端側の被嵌合体20を当接させながら、ブラシ単体71を軸体軸心10aに沿った方向に順次に積層状として配置させる。
【0042】
そして軸体10に対して、周方向ならびに軸体軸心10aに沿った方向にそれぞれ所定数(所定箇所、所定段)の配置を行ったのち、軸体10の上端に、前記下端の当て部材31とは逆向きとして、前述と同様の作用により当て部材31を固定させる。これによりブラシ単体71群を、被嵌合体20群を介して、両端の固定装置30により挟持して固定させることになり、以てサイドブラシ37を形成し得る。
【0043】
上述したようにサイドブラシ37は、下端(少なくとも一側)に固定装置30を固定させ、そしてブラシ単体71を、その被嵌合体20を嵌合部11に嵌合させながら、周方向ならびに上下方向に複数配置させたのち、上端(少なくとも一側)に固定装置30を固定させることで組み立て得、以て全段に亘っての組み立て作業は、簡単にして迅速に行える。また逆操作によってブラシ単体71の取り外し除去を行え、以て特定のブラシ単体71や全てのブラシ単体71の補修、取り換えを迅速に容易に行える。
【0044】
さらに固定装置30による固定操作部が少ないことから、軸体10に対するブラシ単体71の取り付けは、軸体10の強度を低下させることなく行える。そして被嵌合体20によって、ブラシ単体71間に一定のスペースを確保し得、これにより保水率を向上し得る。しかもブラシ単体71は、基部側71Aを折り畳むことで、基部側71Aを除く大部分が上下で隙間のある積層状となり、これにより上下方向のボリュームアップと保水率の向上とを図り得る。
【0045】
洗車作業時に、回転により拡がった各ブラシ37,38,39の先部側71Bとなる部分を被洗浄車両60に接触させる。このとき、被洗浄車両60に接触させる先部側71Bを、各折り目75,76の先部側71B近くの部分を起点Xとし、折り目75,76に対して次第に離れる方向に傾斜して先端71Dに至る傾斜線Y上で除去(カット)したことで、折り目75,76の遊端に角部を形成しない状態にでき、これにより被洗浄車両60の表面への接触時における先部側71Bの折れ曲がりを防止でき、以てブラシ単体71、すなわち各ブラシ37,38,39の破損を減少できるとともに、所期の洗車を常に好適に行うことができる。さらに耐久性の向上により、ブラシ単体71の交換期間(交換時期)を長く(延命)できて、作業性や経済性で有利となる。
【0046】
上記した実施の形態1のブラシ単体1としては、リング板形状に形成され、そして外周辺部分1Bで円方向Zの多数箇所にV字状のカット部4が形成された形式が示され、また実施の形態2のブラシ単体71としては、長方形状に形成され、そして先部側71Bで長さ方向Lの多数箇所にV字状のカット部74が形成されるとともに、長さ方向Lの両端箇所に傾斜状のカット部74aが形成された形式が示されているが、これらV字状のカット部4,74などは軸体10に組み込んだ後に、人為的、機械的に切断除去する形式などであってもよい。
【0047】
上記した実施の形態1、2では、ブラシ単体1の折畳み部分1Cやブラシ単体71の重合折り曲げ部78に被嵌合体20を固定し、この被嵌合体20を介して軸体10側に配置しているが、これはブラシ単体1,71を軸体10側に直接に配置した形式などであってもよい。
【0048】
上記した実施の形態1、2では、軸体10の両端に対して固定装置30がそれぞれ着脱自在に設けられているが、この固定装置30の着脱は一端のみでもよく、この場合に他端には、外方への移動を阻止する阻止構造が一体的に設けられる。
【0049】
上記した実施の形態1、2では、軸体10に外嵌した被嵌合体20を固定していないが、これら被嵌合体20の一部または全部を固定具により軸体10に固定してもよい。
上記した実施の形態1、2では、被嵌合体20を順次積層状としているが、これは被嵌合体20間に、たとえば軸体10に外嵌するスペーサを介在させ、被嵌合体20とスペーサとを交互に積層状としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、洗車機用ブラシの下端部分の一部切り欠き斜視図である。
【図2】同洗車機用ブラシに使用するブラシ単体で、(a)は扁平状態での平面図、(b)は扁平状態での要部の平面図である。
【図3】同洗車機用ブラシに使用するブラシ単体で、(a)は折り畳み状態での平面図、(b)は折り畳み状態での正面図、(c)は折り畳み状態での要部の平面図である。
【図4】同洗車機用ブラシに使用するブラシ単体で、(a)は基部側を曲げ成形した状態での斜視図、(b)は基部側を曲げ成形した状態での要部の斜視図である。
【図5】同洗車機用ブラシの分解斜視図である。
【図6】同洗車機用ブラシの下端部分の一部切り欠き正面図である。
【図7】同洗車機用ブラシの要部の一部切り欠き平面図である。
【図8】同洗車機用ブラシの正面図である。
【図9】同洗車機用ブラシを組み込んだ洗車機の側面図である。
【図10】本発明の実施の形態2を示し、洗車機用ブラシの下端部分の一部切り欠き斜視図である。
【図11】同洗車機用ブラシに使用するブラシ単体で、(a)は扁平状態での平面図、(b)は折り畳み状態での平面図、(c)は折り畳み状態での斜視図である。
【図12】同洗車機用ブラシの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ブラシ単体
1A 周辺部分(基部側)
1B 外周辺部分(先部側)
1C 折畳み部分
1D 先端
2 中央貫通部
5 山折り目(折り目)
6 谷折り目(折り目)
10 軸体
10a 軸体軸心
11 嵌合部
14 嵌合凹部
20 被嵌合体
21 本体部分
30 固定装置
31 当て部材
37 サイドブラシ(洗車機用ブラシ)
38 トップブラシ(洗車機用ブラシ)
39 ロッカーブラシ(洗車機用ブラシ)
40 洗車機
41 洗車機本体
60 被洗浄車両
71 ブラシ単体
71A 基部側
71B 先部側
71D 先端
74 V字状のカット部
74a 傾斜状のカット部
75 山折り目(折り目)
76 谷折り目(折り目)
78 重合折り曲げ部
Z 円方向
X 起点
Y 傾斜線
L 長さ方向
W 幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布製のブラシ単体を折り畳み状にするとともに、その折り目を放射状方向として基部側を軸体に取り付け、ブラシ単体の先部側は、各折り目の先部側近くの部分を起点とし、折り目に対して次第に離れる方向に傾斜して先端に至る傾斜線上で除去したことを特徴とする洗車機用ブラシ。
【請求項2】
リング板形状に形成した布製のブラシ単体を使用し、このブラシ単体を円方向で折り畳み状にするとともに、その折り目を放射状方向として基部側を、軸体の周方向複数箇所に配置して取り付けたことを特徴とする請求項1記載の洗車機用ブラシ。
【請求項3】
長方形状に形成した布製のブラシ単体を使用し、このブラシ単体を長さ方向で波状に折り畳んだのち、幅方向の中央部分を折り曲げて基部を形成し、前記波状の折り畳みによる折り目を放射状方向として、基部を軸体に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の洗車機用ブラシ。
【請求項4】
ブラシ単体の基部側となる部分を被嵌合体に固定し、軸体の外面で周方向の複数箇所に軸体軸心に沿った方向の嵌合部を形成して、これら嵌合部に対して前記被嵌合体を摺動自在に嵌合させることで、ブラシ単体を軸体軸心に沿った方向に積層状として配置し、軸体軸心に沿った方向の少なくとも一端に位置した被嵌合体の外方への移動を阻止する固定装置を、軸体に着脱自在に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗車機用ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−46023(P2009−46023A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214210(P2007−214210)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】