説明

洗車機用洗浄ブラシのブラシ片、洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機

【課題】安価で、洗浄部材の交換が容易な洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を提供する。
【解決手段】端部にかつ長手方向に複数の挿入部2aが連設された基端部材2と、一側に複数の凸片3aを有する洗浄部材3からなり、凸片3aを挿入部2aに順に編み込んで、基端部材2と洗浄部材3とを接合する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片1において、挿入部2aの幅寸法を、凸片3aの幅寸法より小さく設定したもので、洗浄部材3の基端部材2への接合が、凸片3aを挿入部2aに順に編み込むだけで完了するので、洗浄部材3の交換作業が極めて容易で、しかも、洗浄ブラシ(図示せず)ごと交換する必要が無いので、コストダウンが図れる。また、挿入部2aの幅寸法が凸片3aの幅寸法より小さいので、挿入部2aと凸片3aとの間の摩擦力が大きくなるので、基端部材2は洗浄部材3を確実に保持することになり、洗車中に、洗浄部材3が基端部材2から脱落することが無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車機用洗浄ブラシのブラシ片、洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片として、発泡合成樹脂片と、その発泡合成樹脂片の延在端に縫製又は熱溶着などによって固着された不織布片から構成されたもの(例えば、特許文献1参照)や、軸体側ブラシ部材と、前記軸体側ブラシの端部に縫製、接着、溶着、編み込みなどの方法で固着された洗浄側ブラシ部材で構成されたもの(例えば、特許文献2参照)がある。
【0003】
また、長方形形状に形成され、端部に複数の切込み部を有する合成樹脂発泡体と、長方形すだれ形状で複数の編み込み片を有する洗浄部材からなり、前記編み込み片を、前記切込み部に交互に差し込んだ後、その編み込み片を折り返し、再び、それを切り込み部に差し込んで、洗浄部材を合成樹脂発泡体に接合して、洗浄部材が合成樹脂発泡体から容易に抜けないようにしたものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−62484号公報
【特許文献2】特開2008−73061号公報
【特許文献3】特開2007−260371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1や2に記載されたような従来の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の構成では、車体の洗浄時に、車体の表面に接する不織布片や、洗浄側ブラシ部材が痛んだり、汚れた場合、いずれも発泡合成樹脂片や軸体側ブラシ部材に縫製などの手段で固着されているので、ブラシ片ごと交換する必要があり、この為、作業が大掛かりになり、メンナンス費用も高価になるといった課題があった。
【0006】
また、上記特許文献3に記載されたような従来の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の構成の場合、洗浄部材が汚れたり、痛んだ場合は、その洗浄部材のみの交換は可能だが、切り込み部に編み込み片を交互に差し込んだ後、折り返して再び切り込み部へ戻して編み込むため、洗浄部材の合成樹脂発泡体への接合作業、洗浄部材を交換する際の交換作業が非常に面倒で、しかも時間がかかるという課題があった。さらに、1つの切り込み部に複数の編み込み片を差し込んだり、一つの切り込み部に、編み込み片を複数回差し込んだりするので、切り込み部が破損しやすい、という課題もあった。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、メンテナンス費用が安価で、しかもメンテナンスも容易な洗車機用洗浄ブラシのブラシ片、洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、洗車機用洗浄ブラシに取着されると共に、端部にかつ長手方向に複数の挿入部が連設された基端部材と、一側に複数の凸片を有する洗浄部材からなり、前記複数の凸片のそれぞれを前記挿入部に順に編み込んで、前記基端部材と前記洗浄部材とを接合するようにした洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記挿入部の幅寸法を、前記凸片の幅寸法より小さく設定したもので、洗浄部材の基端部材への接合が、複数の凸片のそれぞれを挿入部に順に編み込むだけで完了するので、接合作業はもちろん、洗浄部材に汚れが付着したり、劣化したりする事により、洗浄性能が低下した場合の洗浄部材の交換作業も極めて容易で、しかも、洗車機用洗浄ブラシごと交換する必要が無いので、コストダウンを図ることができる。また、挿入部の幅寸法が凸片の幅寸法より小さく、しかも、凸片のそれぞれが挿入部に順に編み込まれているので、一旦挿入部に挿入した凸片を折り返して再び挿入部に差し込むなどの複雑でしかも余分な作業をしなくても、基端部材は洗浄部材を確実に保持するので、洗車中に、洗浄部材が基端部材から脱落することが無い。
【0009】
また、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、洗車機用洗浄ブラシに取着されると共に、端部にかつ長手方向に複数の挿入部が連設された基端部材と、一側に複数の凸片を有する洗浄部材からなり、前記複数の凸片のそれぞれを前記挿入部に順に編み込んで、前記基端部材と前記洗浄部材とを接合するようにした洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記凸片の端末部同士を結合したもので、洗浄部材の基端部材への接合が、複数の凸片のそれぞれを挿入部に順に編みこんだ後、その凸片の端末部を結合するだけで、簡単に完了する。また、洗浄部材に汚れが付着したり、劣化したりする事により、洗浄性能が低下した場合、凸片の端末部の結合を解くだけで、洗浄部材を基端部材からはずせるので、洗浄部材の交換作業も極めて容易である。また、凸片の端末部同士が結合されているので、洗浄部材が基端部材に確実に保持され、洗車中に、洗浄部材が基端部材から脱落することも無い。
【0010】
また、本発明の洗車機用洗浄ブラシは、洗車機に回転自在に取着される軸体と、前記軸体の外周に設けられた請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片からなるもので、洗車の作業現場で、洗浄部材の交換が容易に、かつ簡単にできるので、メンテナンスの容易な洗車機用洗浄ブラシを提供することができる。
【0011】
また、本発明の洗車機は、洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄された車を乾燥する乾燥手段と、請求項5に記載の洗車機用洗浄ブラシを備えたもので、洗車の作業現場で、洗浄部材の交換が容易に、かつ簡単にできるので、メンテナンスの容易な洗車機を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、安価な構成で洗浄部材の交換が容易なもので、メンテナンスの容易な洗車機用洗浄ブラシや洗車機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)本発明の第1の実施例における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の分解斜視図、(b)同ブラシ片の端部の断面図、(c)折り線に沿って折り合わされた同ブラシ片の斜視図
【図2】(a)同ブラシ片を組み込んだ洗車機用洗浄ブラシの斜視図、(b)同洗車機用洗浄ブラシの側面図
【図3】(a)本発明の第2の実施例における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の分解斜視図、(b)同ブラシ片を組み込んだ洗車機用洗浄ブラシの部分斜視図
【図4】(a)同ブラシ片の基端部材の他の例を示す端部の平面図、(b)本発明の第2の実施例の他の例を示す平面図、(c)本発明の第2の実施例の他の例を示す平面図、(d)同ブラシ片の基端部材の他の例を示す端部の平面図
【図5】(a)本発明の第3の実施例における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の一方の端部の平面図、(b)同ブラシ片の凸片の平面図、(c)同ブラシ片の凸片の他の例を示す平面図
【図6】本発明の第4の実施例における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の一方の端部の平面図
【図7】本発明の第5の実施例における洗車機の正面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、洗車機用洗浄ブラシに取着されると共に、端部にかつ長手方向に複数の挿入部が連設された基端部材と、一側に複数の凸片を有する洗浄部材からなり、前記複数の凸片のそれぞれを前記挿入部に順に編み込んで、前記基端部材と前記洗浄部材とを接合するようにした洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記挿入部の幅寸法を、前記凸片の幅寸法より小さく設定したもので、洗浄部材の基端部材への接合が、複数の凸片のそれぞれを挿入部に順に編み込むだけで完了するので、接合作業はもちろん、洗浄部材に汚れが付着したり、劣化したりする事により、洗浄性能が低下した場合の洗浄部材の交換作業も極めて容易で、しかも、洗車機用洗浄ブラシごと交換する必要が無いので、コストダウンを図ることができる。また、挿入部の幅寸法が凸片の幅寸法より小さく、しかも、凸片のそれぞれが挿入部に順に編み込まれているので、一旦挿入部に挿入した凸片を折り返して再び挿入部に差し込むなどの複雑でしかも余分な作業をしなくても、基端部材は洗浄部材を確実に保持するので、洗車中に、洗浄部材が基端部材から脱落することが無い。
【0015】
第2の発明は、特に、第1の発明の挿入部の形状を、波形などの異形状としたもので、挿入部の凸片に接する縁の長さが長くなるので、凸片の挿入部に対する抵抗力が増え、洗浄部材が基端部材から一層脱落し難くなる。
【0016】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の凸片の少なくとも一方の側面に、挿入部で保持される保持部を形成したもので、例えば、保持部の形状を、その部分が挿入部に食い込むようにすれば、凸片が挿入部に挿入された後の、引っ張り力に対する凸片の抜け力が更に増し、洗車時の凸片の外れをより確実に防止することができる。
【0017】
第4の発明は、洗車機用洗浄ブラシに取着されると共に、端部にかつ長手方向に複数の挿入部が連設された基端部材と、一側に複数の凸片を有する洗浄部材からなり、前記複数の凸片のそれぞれを前記挿入部に順に編み込んで、前記基端部材と前記洗浄部材とを接合するようにした洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記凸片の端末部同士を結合したもので、洗浄部材の基端部材への接合が、複数の凸片のそれぞれを挿入部に順に編みこんだ後、その凸片の端末部を結合するだけで、簡単に完了する。また、洗浄部材に汚れが付着したり、劣化したりする事により、洗浄性能が低下した場合、凸片の端末部の結合を解くだけで、洗浄部材を基端部材からはずせるので、洗浄部材の交換作業も極めて容易である。また、凸片の端末部同士が結合されているので、洗浄部材が基端部材に確実に保持され、洗車中に、洗浄部材が基端部材から脱落することも無い。
【0018】
第5の発明に係る洗車機用洗浄ブラシは、洗車機に回転自在に取着される軸体と、前記軸体の外周に設けられた請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片からなるもので、洗車の作業現場で、洗浄部材の交換が容易に、かつ簡単にできるので、メンテナンスの容易な洗車機用洗浄ブラシを提供することができる。
【0019】
第6の発明に係る洗車機は、洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄された車を乾燥する乾燥手段と、請求項5に記載の洗車機用洗浄ブラシを備えたもので、洗車の作業現場で、洗浄部材の交換が容易に、かつ簡単にできるので、メンテナンスの容易な洗車機を提供することができる。
【0020】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
図1(a)は、本発明の第1の実施例における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の分解斜視図、図1(b)は、同ブラシ片の端部の断面図、図1(c)は、折り線に沿って折り合わされた同ブラシ片の斜視図、図2(a)は、同ブラシ片を組み込んだ洗車機用洗浄ブラシの斜視図、図2(b)は、同洗車機用洗浄ブラシの側面図である。
【0022】
図1において、本実施例における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片1(以下「ブラシ片1」という)は、合成樹脂発泡体や合成樹脂板などからなると共にシート状で、両端に、かつ長手方向に複数のスリット状の挿入部2aが連設された基端部材2と、不織布、織布、編物、人工皮革などからなると共に、シート状で、かつ一側に複数の凸片3aを有する一対の洗浄部材3から構成されている。
【0023】
本実施例では、各挿入部2aの幅寸法(W1)を、前記凸片3aの幅寸法(W2)より小さく設定している。
【0024】
洗浄部材3の基端部材2への取り付けは、以下のようにして行われる。
【0025】
まず、一方の洗浄部材3の各凸片3aを、基端部材2の挿入部2aに順に編みこむようにして挿入する(矢印参照)。また、本実施例では、各凸片3aの長さは、各凸片3aが各挿入部2aに完全に挿入されたとき、図1(b)に示すように、各凸片3aの端末部が、最後の挿入部2aより若干飛び出すように設定されている。
【0026】
同様に、他方の洗浄部材3の各凸片3aを、基端部材2の他方の端部に設けた挿入部2aに順に編みこんで、洗浄部材3を基端部材2に取り付ける。
【0027】
次に、図1(c)に示すように、折り線4が形成され断面が略M字状になるように、ブラシ片1を折り合わせて、ブラシ片1は完成する。なお、5は、ブラシ片1を後述の洗車機用洗浄ブラシに取り付けるための取付孔で、折り合わせたブラシ片1の中央部をトムソン型等により、打ち抜いて形成される。
【0028】
次に、図2を用いて、上記洗浄部材1が取り付けられる洗車機用洗浄ブラシについて説明する。
【0029】
洗車機用洗浄ブラシ7(以下「洗浄ブラシ7」という)は、アルミニウム等の金属材料からなると共に洗車機(図示せず)に回転自在に取着される略円筒形状の軸体8と、前記軸体8の外周の4箇所に一体に、かつ等分に設けられた溝部8aと、前記溝部8aのそれぞれの長手方向に順に取り付けられる複数のブラシ片1から構成されている。
【0030】
各ブラシ片1の溝部8aへの取り付けは、断面が略M字状になるように折り重ねたブラシ片1を、長手方向の中央で半分に折り曲げ、その折った部分を溝部8aに差込み、取付孔5を通したネジ又はリベット(図示せず)を使って軸体8に固定することで完了する。
【0031】
本実施例におけるブラシ片1は、以上のように構成されているので、洗浄部材3の基端部材2への接合が、複数の凸片3aのそれぞれを挿入部2aに順に編み込むだけで完了するので、接合作業はもちろん、洗浄部材3に汚れが付着したり、劣化したりする事により、洗浄性能が低下した場合の洗浄部材3の交換作業も極めて容易で、しかも、洗浄ブラシ7ごと交換する必要が無いので、コストダウンを図ることができる。また、挿入部2aの幅寸法が凸片3aの幅寸法より小さく、しかも、凸片3aのそれぞれが挿入部2aに順に編み込まれているので、従来のような、一旦挿入部2aに挿入した凸片3aを折り返して再び挿入部2aに差し込むなどの複雑でしかも余分な作業をしなくても、凸片3aとスリット状の挿入部2aとの間の摩擦力で、基端部材2は洗浄部材3を確実に保持するので、洗車中に、洗浄部材3が基端部材2から脱落することが無い。
【0032】
また、上記ブラシ片1を、洗浄ブラシ7に用いることで、洗車の作業現場で、洗浄部材3の交換が容易に、かつ簡単にできるので、メンテナンスの容易な洗浄ブラシ7を提供することができることは言うまでも無い。
【実施例2】
【0033】
図3(a)は、本発明の第2の実施例における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の分解斜視図、図3(b)は、同ブラシ片を組み込んだ洗車機用洗浄ブラシの部分斜視図である。なお、上記第1の実施例における洗浄ブラシと同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0034】
上記第1の実施例における洗浄ブラシ7においては、軸体8の1本の溝部8aに、折り重ねたブラシ片1を複数挿入して構成したが、本実施例では、一つのブラシ片を各溝部8aに取り付けるようにしたものである。
【0035】
具体的には、本実施例におけるブラシ片10は、図3(a)に示すように、合成樹脂発泡体や合成樹脂板などからなると共にシート状で、両端に、かつ長手方向に複数のスリット状の挿入部11aを有し、幅寸法が、洗車機用洗浄ブラシ14(以下「洗浄ブラシ14」という)の軸体8の溝部8aの長さと略同一の基端部材11と、不織布、織布、編物、人工皮革などからなると共に、シート状で、かつ一側に複数の凸片12aを有する一対の洗浄部材12から構成されているものである。
【0036】
洗浄部材12の基端部材11への取り付け方は、上記第1の実施例と同じで、一方の洗浄部材12の各凸片12aを、基端部材11の一端に連設した挿入部11aに順に編み込むように差し込み、他方の洗浄部材12の凸片12aも同様に基端部材11の他端に設けた挿入部11aに編み込むようにして差し込んで完成させる。
【0037】
次に、一つのブラシ片10の長手方向の中央で折り曲げ、その折曲げた部分を、洗浄ブラシ14の軸体8の溝部8aに挿入し、ブラシ片10の折り曲げた部分に設けた取付孔(図示せず)を通して、リベットやネジ(図示せず)などで固定するようにしたものである。なお、各挿入部11aの幅寸法(W1)は、上記第1の実施例同様に、凸片12aの幅寸法(W2)より小さく設定している。
【0038】
以上のように構成された本実施例におけるブラシ片10によれば、上記第1の実施例同様、洗浄部材12の基端部材11への取り付け、取り外しが容易で、しかも、洗浄部材12は、基端部材11に確実に保持されるので、洗車中に洗浄部材12が基端部材11から抜けて外れることも無い。
【0039】
また、上記ブラシ片10を、軸体8に取り付けるときは、一つの溝部8aに一つのブラシ片10を取り付けるだけなので、取り付け作業が極めて容易になり、洗車機用洗浄ブラシ14の製造コストを低減することができる。
【0040】
なお、上記第1、第2の実施例では、各洗浄部材3(12)は、8本(又は3本)の凸片3a(12a)を備えているが、この凸片3a(12a)の本数を増やせば、多少ブラシ片1(10)の組み立て工数は増えるが、基端部材2(11)の洗浄部材3(12)を保持する摩擦力が大きくなるので、洗浄部材3(12)が基端部材2(11)からより抜け難くなることは、言うまでもない。
【0041】
また、基端部材2(11)の材質は、前記以外にも、化繊、編物、本革、不織布、織布、人工皮革、人造皮革、合成皮革、熱可塑性エラストマー等を採用することもできる。
【0042】
また、上記第1及び第2の実施例では、挿入部2a、11aの形状をスリット状としたが、図4(a)に示すように挿入部2a、11aの形状を、波形、山形などの異形状としても良い。そうすることにより、挿入部2a、11aの凸片3a、12aに接する縁の長さが長くなるので、凸片3a、12aの挿入部2a、11aに対する抵抗力が増え、洗浄部材3、12が基端部材2、11から一層脱落し難くなるものである。
【0043】
また、図4(b)に示すように洗浄部材3(12)の端部3c(12c)の幅(W3)を広くする事もできる。そうすることにより、洗浄部材3、12が基端部材2、11から脱落する事を防止できる。端部3c(12c)は溶着したり、樹脂を充填させて固着させたり、テープ状部材(図示せず)を端部3c(12c)の表面に貼る事等により、硬くする事もできる。そうすることにより、より一層、脱落が防止できる。
【0044】
また、図4(c)に示すように、洗浄部材3(12)の端部3c(12c)にスリット状の挿入部3d(12d)を形成し、そのスリット状の挿入部3d(12d)に対して、基端部材2、11の略V字型の挿入部2a、11aを差し込む事もできる。そうすることにより、洗浄部材3(12)が脱落する力が加わる方向にたいしてスリット状の挿入部3d(12d)が抜け止めになる為、より一層、脱落が防止できる。
【0045】
また、図4(d)に示すように挿入部2a、11aの形状を角孔状の挿入部2b(11b)、あるいは長孔状の挿入部2c(11c)とする事もできる。そうすることにより、スリット状の挿入部に比べて、よりスムーズかつ迅速に、洗浄部材3、12を基端部材2、11に差し込む事ができ、洗浄部材3、12の交換時間を短縮できる。
【0046】
さらにまた、挿入部2a、11aの形状を、直径が凸片3a、12aの幅寸法より小さい円形状でも良い。そうすることにより、凸片3a、12aの挿入部2a、11aに対する抵抗力が増え、洗浄部材3、12が基端部材2、11から一層脱落し難くなるものである。
【実施例3】
【0047】
図5(a)は、本発明の第3の実施例における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の一方の端部の平面図、図5(b)は、同ブラシ片の凸片の平面図である。なお、上記第1、第2の実施例における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片と同一部分には同一符号を付して、説明を省略する。
【0048】
図5(a)、(b)において、本実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片31(以下「ブラシ片31」という)は、合成樹脂発泡体や合成樹脂板などからなると共にシート状で、両端に、かつ長手方向に複数のスリット状の挿入部32aが連設された基端部材32と、不織布、織布、編物、人工皮革などからなると共に、シート状で、かつ一側に複数の凸片33aを有する一対の洗浄部材33から構成されている。
【0049】
凸片33aの両側には、鋸歯状でかつ外方に突出した保持部34aが形成され、その両側の保持部34aの根元間の距離L1は、挿入部32aの幅寸法W1とほぼ同じ寸法になるように形成されると共に、その形状は、凸片33aを挿入部32aに挿入した後、その凸片33aを抜く方向に引っ張ったときに、挿入部32aの両端が保持部34aの根元に食い込むように形成されている。
【0050】
以上のように構成された本実施例におけるブラシ片31の組み立て及び作用は、以下の通りである。
【0051】
上記第1、第2の実施例と同様に、洗浄部材33を、基端部材32に取り付けるときは、洗浄部材33の各凸片33aを、挿入部32aに編み込むように挿入するわけだが、鋸歯状の保持部34aは、凸片33aを抜く方向に引っ張ったときに挿入部32aが保持部34aの根元部に食い込むように形成されているので、逆に、凸片33aを挿入部32aに挿入するときは、さほど抵抗無く挿入することができる。そして、凸片33aに引っ張るような力が作用したときは、上記のように、挿入部32aが保持部34aの根元部に食い込むので、容易に抜けることは無い。
【0052】
以上のように、本実施例におけるブラシ片31は、凸片33aの挿入部32aへの挿入が容易で、しかも挿入後は、引っ張り力に対する凸片33aの抜け力が更に増すので、洗車時の凸片33aの外れをより確実に防止することができる。
【0053】
なお、上記実施例では、保持部34aを鋸歯状に形成したが、図5(c)に示すように、保持部34bを、凸片33aの両側に形成されると共に、凸片33aの先端に向かうに従って内方に傾斜した複数の切込みで形成しても良い。この場合は、両側の切り込みの先端間の寸法L2を挿入部32aの幅寸法W1と略同一になるように設定しておけば、上記同様、凸片33aの挿入が容易で、しかも抜け難いブラシ片31を提供することが出来ることは言うまでも無い。
【0054】
また、上記実施例では、保持部34a、34bを凸片33aの両側に設けたが、凸片33aの片側のみに設けても良い。この場合は、寸法L1は、凸片33aの片側に設けた保持部34aの根元と凸片33aの反対側の側面との間の寸法とし、寸法L2は、凸片33aの片側に設けた保持部34bを形成する切り込みの先端と凸片33aの反対側の側面との間の寸法とすることは言うまでも無い。
【実施例4】
【0055】
図6は、本発明の第4の実施例における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片の一方の端部の平面図である。なお、上記実施例における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片と同一部分には同一符号を付して、説明を省略する。
【0056】
本実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片16(以下「ブラシ片16」という)は、合成樹脂発泡体や合成樹脂板などからなると共にシート状で、両端に、かつ長手方向に複数の挿入部17aが連設された基端部材17と、不織布、織布、編物、人工皮革などからなると共に、シート状で、かつ一側に複数の凸片18aを有する一対の洗浄部材18から構成され、まず、一方の洗浄部材18の各凸片18aを、基端部材17の挿入部17aに順に編みこむようにして挿入し、隣り合う凸片18の端末部を、図に示すように結んだり、或いは、クリップ(図示せず)で挟んだり、一方にボタンを他方にホックなどを付けて脱着自在の方法で、或いは接着、溶着、縫合などの手段で結合するようにしたものである。他方の洗浄部材18も同様にして、基端部材17の他端に取り付ける。
【0057】
以上のように、本実施例におけるブラシ片16においては、洗浄部材18の隣り合う2つの凸片18aの端末部が結合されているので、洗車中に、洗浄部材18が基端部材17から外れることはない。また、本実施例では、洗浄部材18の隣り合う2つの凸片18aの端末部を結合して抜けないようにしているので、挿入部17aを、凸片18aより小さくする必要が無くなり、逆に挿入部17aを凸片18aより少し大きくして、洗浄部材18を基端部材17に取り付ける際に、凸片18aの挿入部17aへの挿入を容易にすることができる。
【0058】
又、洗浄部材18の交換が必要になって、それを基端部材17から外す時は、凸片18aの端末部同士が結わえられている場合は、その結び目を解き、クリップを使用しているときは、そのクリップを外して、脱着自在の結合手段の場合は、互いの係合を外して、或いは、接着、溶着、縫合などの手段で結合されている場合は、その端末部をはさみ等で切るだけで、簡単に分離し、洗浄部材18を基端部材17から外すことができるものである。
【0059】
すなわち、本実施例におけるブラシ片16は、洗浄部材18の基端部材17への取り付け、取り外しが極めて容易であると共に、洗浄部材18が洗車中に、基端部材17から抜けるのを確実に防止できるものである。
【0060】
また、図6に示すように、スリット状の挿入部17aを基端部材17の長手方向にたいして斜めに形成すれば、抜け止め方向にたいして、力の加わる角度が変化する事になり、より、洗浄部材18が洗車中に、基端部材17からずれたり、抜けるのを確実に防止できるものである。
【0061】
また、上記実施例では、洗浄部材18の凸片18aの端末部同士を結合するようにしたが、洗浄部材18の凸片18aの端末部と基端部材17のいずれか一方に係止部(図示せず)を、他方に前記係止部が着脱自在に係止される被係止部(図示せず)を設けるようにすれば、洗浄部材18の交換が容易であると共に、洗浄部材18を基端部材17に確実に取り付けることができ、洗車中に、洗浄部材18が基端部材17からはずれることは無い。
【実施例5】
【0062】
図7は、本発明の第5の実施例における洗車機の正面図である。なお、上記実施例における洗車機用洗浄ブラシのブラシ片、洗車機用洗浄ブラシと同一部品には同一符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図7において、本実施の形態における洗車機20は、上記実施の形態で述べた洗車機用洗浄ブラシ7(又は、14)を複数備えると共に、前記洗車機用洗浄ブラシ7(又は、14)の軸体8を回転駆動する駆動源21と、車体(図示せず)の被洗浄面に対し、洗浄剤、及び洗浄水等の液体を散布する一連のノズル22と、乾燥手段である乾燥機23を備えている。
【0064】
上記の如く構成された本実施例における洗車機20の動作、作用は下記の通りである。
【0065】
スイッチ24を操作して洗車機20の運転を開始すると、それぞれ対応する駆動源21により複数の洗車機用洗浄ブラシ7(又は、14)が回転し、同時にノズル22より洗浄剤や洗浄水等が車体の被洗浄面に噴射され、被洗浄面が洗車機用洗浄ブラシ7(又は、14)のブラシ片1(又は、10、16)により擦られながら洗浄されていく。
【0066】
車体の洗浄が終えると、すすぎ工程に入り、ノズル22から噴射されるすすぎ用の液体で車体がすすがれ、次の乾燥工程で、乾燥機23により、車体の被洗浄面が乾燥され、全工程が終了する。
【0067】
以上のように、本実施例における洗車機20は、洗浄部材3(又は、12、18)の交換の容易なブラシ片1(又は、10、16)を使用しているので、洗車の作業現場で、洗浄部材3(又は、12、18)の交換が容易に、かつ簡単にできる、メンテナンスの容易な洗車機20を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、安価な構成で洗浄部材の交換が容易なもので、メンテナンスの容易な洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機を提供することができる。
【符号の説明】
【0069】
1、10、16、31 洗車機用洗浄ブラシのブラシ片(ブラシ片)
2、11、17、32 基端部材
2a、11a、17a、32a 挿入部
3、12、18、33 洗浄部材
3a、12a、18a、33a 凸片
7、14 洗車機用洗浄ブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗車機用洗浄ブラシに取着されると共に、端部にかつ長手方向に複数の挿入部が連設された基端部材と、一側に複数の凸片を有する洗浄部材からなり、前記複数の凸片のそれぞれを前記挿入部に順に編み込んで、前記基端部材と前記洗浄部材とを接合するようにした洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記挿入部の幅寸法を、前記凸片の幅寸法より小さく設定したことを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項2】
挿入部の形状を、波形などの異形状としたことを特徴とする請求項1に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項3】
凸片の少なくとも一方の側面に、挿入部で保持される保持部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項4】
洗車機用洗浄ブラシに取着されると共に、端部にかつ長手方向に複数の挿入部が連設された基端部材と、一側に複数の凸片を有する洗浄部材からなり、前記複数の凸片のそれぞれを前記挿入部に順に編み込んで、前記基端部材と前記洗浄部材とを接合するようにした洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記凸片の端末部同士を結合したことを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項5】
洗車機に回転自在に取着される軸体と、前記軸体の外周に設けられた請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片からなる洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項6】
洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄された車を乾燥する乾燥手段と、請求項5に記載の洗車機用洗浄ブラシを備えた洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−183854(P2011−183854A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48514(P2010−48514)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】