洗車機用洗浄ブラシのブラシ片
【課題】縫製穴が形成される事により、被洗浄面からブラシ片に、衝撃力、引張力、加圧力等が加わった時に、ブラシ片の強度、あるいは耐久性が劣化する事が無いと共に、脱落したり、解けた縫製糸等が、被洗浄面に絡み付いてしまう事が無く、被洗浄面に傷、打痕等を付けてしまう事が無く、高い洗浄性を有すると共に、洗い残しが無く、かつ、安価で、高い耐久性を有する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を提供する。
【解決手段】自動車洗浄用あるいは車両洗浄用の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片において、前記洗浄ブラシのブラシ片は複数のブラシ部材により形成されてあると共に、前記複数のブラシ部材は互いに溶着により接合された接合部を介して一体的に形成されてあるものである。
【解決手段】自動車洗浄用あるいは車両洗浄用の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片において、前記洗浄ブラシのブラシ片は複数のブラシ部材により形成されてあると共に、前記複数のブラシ部材は互いに溶着により接合された接合部を介して一体的に形成されてあるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされ、材質については、合成樹脂繊維、布、フィルム状樹脂組成物、独立気泡発泡体等を使用したブラシ片からなる各種の洗浄ブラシが提案されてある。また、ブラシ片の製造に縫製を使用した技術として、例えば、回転体に着脱自在に取り付けられ、車体に接触させて回転させることにより該車体の表面を処理するようにした、車体表面処理装置における処理体であって、矩形状の処理体素材を折本状に折り畳み、その折り目を保持するように、その折り目に沿って処理体素材を縫い付け、その折り目が前記回転体の径方向を向くように、前記回転体に取り付けられるように構成したことを特徴とする、車体表面処理装置における処理体が、車体表面処理装置における処理体として、特開2000−127921号公報に開示されてある。
【0003】
また、ブラシ片の製造に溶着を使用した技術として、例えば、被洗浄面に付着した塵埃を清掃する為の洗浄ブラシにおいて、前記洗浄ブラシは基部、ブラシ片及び帯状体より構成されてあり、前記基部は前記ブラシ片及び前記帯状体を重ね合わせて折り込んだ後、前記ブラシ片及び前記帯状体を一体的に溶着させて形成されてあることを特徴とする洗浄ブラシが、洗浄ブラシとして、特開2003−339441号公報に開示されてある。
【0004】
【特許文献1】 特開2000−127921号公報
【特許文献2】 特開2003−339441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、例えば、上記の如くの各種の特徴を有する技術が開示されてあるが、上記の特開2000−127921号公報に開示の如く、ブラシ片の製造に縫製を使用した技術については、縫い付けたブラシ片には、縫製穴が形成される為、被洗浄面から、ブラシ片に加わる衝撃力、引張力、加圧力等により、ブラシ片の強度、あるいは耐久性が劣化するという課題を有していた。また、縫製糸等が脱落した場合、あるいは解けた場合には、縫製糸等が、被洗浄面に絡み付いてしまう事があるという課題も有していた。また、上記の特開2003−339441号公報に開示の如く、ブラシ片の製造に溶着を使用した技術については、ブラシ片及び帯状体を重ね合わせて折り込んだ後ブラシ片及び帯状体を一体的に溶着させた基部が形成されてある為、基部を、被洗浄面に接触させた場合には、基部が、被洗浄面に傷、打痕等を付けてしまう事があるという課題を有していた。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、縫製穴が形成される事により、被洗浄面からブラシ片に、衝撃力、引張力、加圧力等が加わった時に、ブラシ片の強度、あるいは耐久性が劣化する事が無いと共に、脱落したり、解けた縫製糸等が、被洗浄面に絡み付いてしまう事が無く、被洗浄面に傷、打痕等を付けてしまう事が無く、高い洗浄性を有すると共に、洗い残しが無く、かつ、安価で、高い耐久性を有する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、次のように構成したものである。
(1)自動車洗浄用あるいは車両洗浄用の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片において、前記洗浄ブラシのブラシ片は複数のブラシ部材により形成されてあると共に、前記複数のブラシ部材は互いに溶着により接合された接合部を介して一体的に形成されてあるものである。
【0008】
(2)上記(1)記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記複数のブラシ部材は異なる材質により形成されてあるものである。
【0009】
(3)上記(1)あるいは(2)記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記接合部は、前記複数のブラシ部材の間に接着層が形成されてあるものである。
【0010】
(4)上記(1)から(3)記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記溶着は熱、超音波、高周波、あるいは振動により溶着されてあるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、次に示すような効果を得ることができる。なお、説明にあたっては、請求項の番号と同じ番号を付して説明する。
【0012】
(1)ブラシ片を複数のブラシ部材のみの構成により形成する事ができる。その為、ブラシ片は、複数のブラシ部材の溶着時における押込み深さ、加圧力、加熱能力、加熱時間、冷却能力、冷却時間、ホーンの形状、ホーンの材質、溶着箇所の数量、配置等の各種条件を、簡易に設定する事により、使用目的に応じた、最適な溶着強度、風合い等を有するブラシ片を、製作する事ができる。また、ブラシ片は、発生した摩擦熱によりブラシ部材の上面が変形する為、凹部が形成されると共に、複数のブラシ部材が溶着されて、接合部が形成されてある為、接合部が、被洗浄面に傷、打痕等を付ける事が無い。
【0013】
また、ブラシ片を構成する複数のブラシ部材の接合に縫製する方法を採用した場合、あるいは止め金具を使用する方法を採用した場合の如く、縫製糸、あるいは止め金具を使用する必要が無く、ブラシ片を安価に製作できる。また、ブラシ片は、複数のブラシ部材を、溶着により接合する事により、一体的に形成されてある為、ブラシ片を構成する複数のブラシ部材の接合に縫製する方法を採用した場合、あるいは止め金具を使用する方法を採用した場合に比べて、ブラシ片を、迅速に製作できる。また、ブラシ片は、複数のブラシ部材の接合に縫製する方法を採用していない為、縫い付けた複数のブラシ部材には、縫製穴が形成される事が無い。その為、被洗浄面から、ブラシ片に形成されてある縫製穴に、衝撃力、引張力、加圧力等が加わる事によるブラシ片の強度、あるいは耐久性の劣化が発生するという事が無い。また、縫製糸が使用されていない為、縫製糸等が脱落した場合、あるいは解けた場合に、縫製糸等の被洗浄面にたいする絡み付きが、発生する事が無い。また、ブラシ片は、複数のブラシ部材の接合に止め金具を使用する方法を採用していない為、止め金具が被洗浄面に接触する事による、被洗浄面の傷、打痕等が発生する事が無い。
【0014】
(1)他の実施の形態として、平板状に形成された複数のブラシ部材により形成されてあると共に、一方のブラシ部材が、他方のブラシ部材にて挟み込まれて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部を有する接合部を介して、一体的に形成されてあり、一方のブラシ部材の端部には、複数のスリットが形成されてあるブラシ片を使用した場合においては、一方のブラシ部材が、他方のブラシ部材にて挟み込まれた後、溶着により接合されてある為、同じ材質の他方のブラシ部材にて、挟み込んで溶着することができる。その為、一方のブラシ部材、及び他方のブラシ部材が、互いに溶着にて接合されてある場合に比べて、より高強度の溶着をすることができ、高い溶着強度を有するブラシ片を製作する事ができる。また、ブラシ片は、両端部に複数のスリットが形成されてある為、スリットが形成されてないブラシ片を使用した場合に比べて、より高い洗浄力を発揮できる。
【0015】
(1)他の実施の形態として、平板状に形成された複数のブラシ部材により形成されてあると共に、複数のブラシ部材が、互いに、溶着により接合された平板状の凹部を有する接合部を介して、一体的に形成されてあるブラシ片を使用した場合においては、平板状の凹部を有する接合部にて溶着されてある為、概円柱形状の凹部を有する接合部にて溶着した場合に比べて、より広い溶着面積を確保できる。その為、より高強度の溶着をすることができ、高い溶着強度を有するブラシ片を製作する事ができる。
【0016】
(1)他の実施の形態として、平板状に形成された複数のブラシ部材により形成されてあると共に、複数のブラシ部材が、重ね合わされて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部を有する接合部を介して、一体的に形成されてあるブラシ片を使用した場合においては、複数のブラシ部材を、重ね合わせた後、溶着により接合されてある為、高い耐衝撃力、耐引張力、耐加圧力等を有する事ができる。その為、耐久性の高いブラシ片を製作する事ができる。
【0017】
(1)他の実施の形態として、平板状に形成された複数のブラシ部材により形成されてあり、一方のブラシ部材、及び他方のブラシ部材が、互いの端部にて当接されて形成されてあると共に、前記以外のブラシ部材にて挟み込まれて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部を有する接合部を介して、一体的に形成されてあるブラシ片を使用した場合においては、一方のブラシ部材、及び他方のブラシ部材の材質が、互いに溶着不可能な場合、あるいは極めて溶着困難な場合であっても、一方のブラシ部材、及び他方のブラシ部材を溶着させる事無く、当接させる事により、一体的に形成されたブラシ片を製作する事ができる。
【0018】
(1)他の実施の形態として、平板状に形成された複数のブラシ部材により形成されてあると共に、複数のブラシ部材が、互いに、溶着により接合された平板状の凹部を有する接合部を介して、一体的に形成されてあると共に、端部が折りこまれた後、平板状の凹部を有する接合部にて、溶着により接合されてあるブラシ片を使用した場合においては、複数のブラシ部材の端部の強度を、高く設定できる。その為、耐久性の高いブラシ片を製作する事ができる。
【0019】
(1)他の実施の形態として、平板状に形成された複数のブラシ部材により形成されてあり、複数のブラシ部材が、互いの端部にて当接されて形成されてあり、当接された端部に、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部を有する接合部が形成されてあると共に、接合部を介して、一体的に形成されてあるブラシ片を使用した場合においては、複数のブラシ部材を、重ね合わせる必要が無い。その為、ブラシ片は、使用目的に応じて、厚みを極めて薄く設定する事ができる。
【0020】
(2)ブラシ片は、一方のブラシ部材の材質に、一般的に、人工皮革と呼ばれる、不織布、及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体にて形成された材質が使用されてあり、他方のブラシ部材の材質に、合成樹脂発泡体が使用されてある為、被洗浄面にたいして、異なる洗浄性を有する前記の2つの材質を、接触させる事ができる。その為、ブラシ片は、人工皮革が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い洗浄性、高い耐久性、及び合成樹脂発泡体が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い耐久性、価格の低さを有する事ができる。また、ブラシ片を、他方のブラシ部材の長手方向の中央部にて、折り込んだ後、台座に組付けて使用した場合においては、ブラシ片は、被洗浄面にたいして、一方のブラシ部材が接触した後、他方のブラシ部材が接触する構成となる為、被洗浄面にたいするブラシ片の押込み深さを、設定する事により、使用目的に応じた、最適な洗浄性を設定する事ができる。また、材料の価格が、人工皮革よりも安価な合成樹脂発泡体を使用した場合においては、一方のブラシ部材、及び他方のブラシ部材の材質に人工皮革を使用した場合に比べて、ブラシ片の価格を、安価にする事ができる。
【0021】
(2)他の実施の形態として、一方のブラシ部材の材質に、人工皮革が、使用されてあり、他方のブラシ部材の材質に、布の一種である不織布が使用されてあるブラシ片を使用した場合においては、ブラシ片は、被洗浄面にたいして、異なる洗浄性を有する前記の2つの材質を接触させる事ができる。その為、ブラシ片は、人工皮革が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い洗浄性、高い耐久性、及び不織布が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い洗浄性、価格の低さを有する事ができる。
【0022】
(3)ブラシ片は、複数のブラシ部材が、接着層を挟み込むようにして、溶着により接合されてある。その為、ブラシ片は、ブラシ片が複数のブラシ部材を溶着のみにより接合された場合に比べて、より高強度の溶着をする事ができ、より強い耐衝撃力、耐引張力、耐加圧力等の高い溶着強度を有する事ができる。また、接着層の材質として、ホットメルト接着剤を使用した場合においては、ブラシ片は、ホットメルト接着剤の接着強度を設定することにより、使用目的に応じて、所定の弾性を有すると共に、最適の接着強度を有する接合部を、形成することができる。その為、ブラシ片は、被洗浄面に、さまざまな強さで汚れ等が付着している場合であっても、洗い残しが無く、高い洗浄性を発揮できると共に、極めて高い耐久性を有することができる。また、フィルム状に形成されてあるホットメルト接着剤を使用した場合においては、ブラシ片は、極めて簡易、かつ迅速に、接着剥れ等が発生することの無い、適切な接合部を形成することができると共に、極めて高い耐久性を有することができる。
【0023】
(4)ブラシ片は、ブラシ部材の上面に概格子角柱形状の凹部を有して溶着により接合部が形成されてある。その為、ブラシ片の接合部を、概格子角柱形状の凹部を有して、連続的、かつ広い範囲の面を、溶着にて形成する事ができる。また、溶着の方法として、コテ式の熱溶着を使用した場合においては、風合いが美しい溶着をする事ができると共に、シート状、あるいはフィルム状のブラシ部材にたいして、好適に溶着をする事ができる。また、インパルス式の熱溶着を使用した場合においては、溶着時にのみ通電する事ができる為、電力の消費量を削減する事ができる。また、熱板式の熱溶着を使用した場合においては、ブラシ部材の材質が限定される事無く、好適に溶着をする事ができる。また、熱風式の熱溶着を使用した場合においては、ブラシ部材の形状が曲線形状であっても、好適に溶着をする事ができる。また、超音波溶着を使用した場合においては、ブラシ部材が異なる材質、あるいは多層構造の場合であっても、好適に溶着をする事ができる。また、摩擦熱による溶着の為、接合部の過度な温度上昇が無く、溶着によるブラシ部材の材質の劣化を防止できる。また、高周波溶着を使用した場合においては、溶着する部分のみを短時間にて内部加熱できる為、風合いが美しい溶着をする事ができる。さらにまた、振動溶着を使用した場合においては、複数のブラシ部材を高い溶着強度、及び高い気密性にて溶着する必要がある場合においても、好適に溶着をする事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
縫製穴が形成される事により、被洗浄面からブラシ片に、衝撃力、引張力、加圧力等が加わった時に、ブラシ片の強度、あるいは耐久性が劣化する事が無いと共に、脱落したり、解けた縫製糸等が、被洗浄面に絡み付いてしまう事が無く、被洗浄面に傷、打痕等を付けてしまう事が無く、高い洗浄性を有すると共に、洗い残しが無く、かつ、安価で、高い耐久性を有する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を提供するという目的を、自動車洗浄用あるいは車両洗浄用の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片において、前記洗浄ブラシのブラシ片は、複数のブラシ部材が溶着により接合されて形成されてある構成において実現した。
【実施例1】
【0025】
図1から図11にて実施例1を示す。図1は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図1において、1はブラシ片、2、3はブラシ部材、4は接合部、5は凹部である。図2は、図1の接合部の拡大断面図である。図3は、図1の接合部を製作する状態を示す拡大断面図である。図3において、6はホーン、7は基台である。図4は、図1のブラシ片を使用した洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。図4において、8は洗車機用洗浄ブラシ、9は台座、10は止め金具、60はチャンネルブラシである。図5は、図1のブラシ片を使用した他の洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。図5において、17は溝部、18は洗車機用洗浄ブラシ、19は台座、20は止め金具である。図6は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図6において、11はブラシ片、12、13はブラシ部材、14は接合部、15は凹部、30はスリットである。図7は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図7において、21はブラシ片、22、23はブラシ部材、24は接合部、25は凹部である。図8は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図8において、31はブラシ片、32、33はブラシ部材、34は接合部、35は凹部である。図9は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図9において、41はブラシ片、42、43、46はブラシ部材、44、47は接合部、45、48は凹部である。図10は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図10において、51はブラシ片、52、53はブラシ部材、54は接合部、55は凹部である。図11は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図11において、61はブラシ片、62、63はブラシ部材、64は接合部、65は凹部である。
【0026】
洗車機用洗浄ブラシのブラシ片1は、図1の如く、平板状に形成されたブラシ部材2、及びブラシ部材3により形成されてあると共に、ブラシ部材2、及びブラシ部材3は、互いに接合部4を介して、一体的に形成されてある。また、接合部4は、溶着により接合されてあり、図1、及び図2の如く、ブラシ部材2の上面には、概円柱形状の凹部5が形成されてある。また、接合部4とは、ブラシ部材2、及びブラシ部材3が、溶着する事により接合された部分を示す。
【0027】
次に、図3にて、ブラシ片1の接合部4を製作する方法について説明する。まず、基台7の上面に、平板状に形成されたブラシ部材2、及びブラシ部材3を、重ね合わせる。次に、図3の如く、重ね合わされたブラシ部材2、及びブラシ部材3にたいして、超音波振動をしているホーン6を上部から押付ける。この時、ホーン6から発生した超音波振動により摩擦熱が発生する。発生した摩擦熱により、ブラシ部材2の上面が変形する為、凹部5が形成されると共に、ブラシ部材2、及びブラシ部材3が溶着されて、接合部4が形成される。前記の如くの溶着方法は、一般的には、超音波溶着と呼ばれている。
【0028】
次に、ブラシ片1を使用した実施例の洗車機用洗浄ブラシ8を説明する。洗車機用洗浄ブラシ8は、図4の如く、台座9、チャンネルブラシ60、及び止め金具10より構成されてある。台座9は、略円筒形状からなり、外周の両端部には、止め金具10が組みつけられて形成されてある。チャンネルブラシ60は、ブラシ片1を、芯線、及び概U字断面を有する帯状体にて、ブラシ部材3の長手方向の中央部にて、挟みつけて折り込んだ後、台座9の外周の周りに捩りを加えて螺旋状に形成されてあり、止め金具10にて固定されてある。
【0029】
また、ブラシ片1を使用した他の実施例の洗車機用洗浄ブラシ18を説明する。洗車機用洗浄ブラシ18は、図5の如く、ブラシ片1、台座19、及び止め金具20より構成されてある。台座19は、略円筒形状からなり、外周部には、溝部17が形成されてあり、ブラシ片1が、止め金具20にて、溝部17の内部に、ブラシ部材3の長手方向の中央部にて、挟み込まれる事により、着脱可能に、組みつけられて形成されてある。
【0030】
溶着とは、一般的には、溶接、あるいは高温で加熱して接着させる事である。また、熱可塑性のフィルム、平板状のシート等の被加熱物の場合は、前記被加熱物を、熱によって溶かし、加圧と冷却をする事により接着させる事である。また、溶着は、融着、熱接着、ヒートシールと呼ばれる事もある。また、溶着には、熱溶着、超音波溶着、高周波溶着、振動溶着等の溶着方法がある。また、ブラシ片1を構成するブラシ部材の材質は、合成樹脂繊維、布、フィルム、独立気泡発泡体等の材質を、使用目的に応じて使用する事ができる。また、前記の材質を、適時、組み合わせる事により使用する事ができる。また、接合部が形成される時に発生する凹部の形状は、ホーンの断面形状を設定する事により、上記の如くの概円柱形状以外にも、例えば、概角柱形状、概波形柱形状等、任意に設定できる。また、溶着は、押込み深さ、加圧力、加熱能力、加熱時間、冷却能力、冷却時間、ホーンの形状、ホーンの材質、溶着箇所の数量、配置等の各種条件により、使用目的に応じて、所定の溶着強度、あるいは風合いを設定する事ができる。
【0031】
実施例1の洗車機用洗浄ブラシに使用されてあるブラシ片1は、上記の如くの構成となっているので、ブラシ片1を、ブラシ部材2、及びブラシ部材3のみの構成により形成する事ができる。その為、ブラシ片1は、ブラシ部材2、及びブラシ部材3の溶着時における押込み深さ、加圧力、加熱能力、加熱時間、冷却能力、冷却時間、ホーンの形状、ホーンの材質、溶着箇所の数量、配置等の各種条件を、簡易に設定する事により、使用目的に応じた、最適な溶着強度、風合い等を有するブラシ片1を、製作する事ができる。また、ブラシ片1は、発生した摩擦熱によりブラシ部材2の上面が変形する為、凹部5が形成されると共に、ブラシ部材2、及びブラシ部材3が溶着されて、接合部4が形成されてある為、接合部4が、被洗浄面に傷、打痕等を付ける事が無い。
【0032】
また、ブラシ片1を構成するブラシ部材2、及びブラシ部材3の接合に縫製する方法を採用した場合、あるいは止め金具を使用する方法を採用した場合の如く、縫製糸、あるいは止め金具を使用する必要が無く、ブラシ片1を、安価に製作できる。また、ブラシ片1は、ブラシ部材2、及びブラシ部材3を、溶着により接合する事により、一体的に形成されてある為、ブラシ片1を構成するブラシ部材2、及びブラシ部材3の接合に縫製する方法を採用した場合、あるいは止め金具を使用する方法を採用した場合に比べて、ブラシ片1を、迅速に製作できる。また、ブラシ片1は、ブラシ部材2、及びブラシ部材3の接合に縫製する方法を採用していない為、縫い付けたブラシ部材2、及びブラシ部材3には、縫製穴が形成される事が無い。その為、被洗浄面から、ブラシ片1に形成されてある縫製穴に、衝撃力、引張力、加圧力等が加わる事によるブラシ片1の強度、あるいは耐久性の劣化が、発生するという事が無い。また、縫製糸が使用されていない為、縫製糸等が脱落した場合、あるいは解けた場合に、縫製糸等の被洗浄面にたいする絡み付きが発生する事が無い。また、ブラシ片1は、ブラシ部材2、及びブラシ部材3の接合に止め金具を使用する方法を採用していない為、止め金具が被洗浄面に接触する事による、被洗浄面の傷、打痕等が発生する事が無い。
【0033】
実施例1の洗車機用洗浄ブラシに使用されてあるブラシ片1は、上記の如くの構成となっているが、接合部4の形成状態については、溶着により接合されてあれば、使用目的に応じて、例えば、概円柱形状以外の他の形状の凹部が形成されてある形成状態、あるいは凹部が形成されて無い形成状態等、適時、設定する事ができる。また、ブラシ部材の形状についても、上記の如くの平板状以外にも、例えば、線状、糸状、フィルム状等、適時、設定する事ができる。さらにまた、ブラシ部材の材質についても、合成樹脂繊維、布、フィルム、独立気泡発泡体等、適時、設定する事ができる。
【0034】
次に、図6から図11にて、実施例1の他の実施の形態のブラシ片を説明する。図6のブラシ片11は、平板状に形成されたブラシ部材12、及びブラシ部材13により形成されてあると共に、ブラシ部材12は、ブラシ部材13にて挟み込まれて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部5を有する接合部14を介して、一体的に形成されてある。また、ブラシ部材12の端部には、複数のスリット30が形成されてある。図7のブラシ片21は、平板状に形成されたブラシ部材22、及びブラシ部材23により形成されてあると共に、ブラシ部材22、及びブラシ部材23は、互いに、溶着により接合された平板状の凹部25を有する接合部24を介して、一体的に形成されてある。図8のブラシ片31は、平板状に形成されたブラシ部材32、及びブラシ部材33により形成されてあると共に、ブラシ部材32、及びブラシ部材33は重ね合わされて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部35を有する接合部34を介して、一体的に形成されてある。図9のブラシ片41は、平板状に形成されたブラシ部材42、ブラシ部材43、及びブラシ部材46により形成されてあり、ブラシ部材42、及びブラシ部材43は、互いの端部にて当接されて形成されてあると共に、ブラシ部材46にて挟み込まれて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部45を有する接合部44、及び凹部48を有する接合部47を介して、一体的に形成されてある。図10のブラシ片51は、平板状に形成されたブラシ部材52、及びブラシ部材53により形成されてあると共に、ブラシ部材52、及びブラシ部材53は、互いに、溶着により接合された平板状の凹部55を有する接合部54を介して、一体的に形成されてあると共に、端部は、折りこまれた後、平板状の凹部55を有する接合部54にて、溶着により接合されてある。図11のブラシ片61は、平板状に形成されたブラシ部材62、及びブラシ部材63により形成されてあり、ブラシ部材62、及びブラシ部材63は、互いの端部にて当接されて形成されてあると共に、当接された端部に、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部65を有する接合部64が形成されてあり、接合部64を介して、一体的に形成されてある。
【0035】
実施例1の他の実施の形態のブラシ片は、上記の如くの構成となっているので、図6のブラシ片11を使用した場合においては、ブラシ部材12が、ブラシ部材13にて挟み込まれた後、溶着により接合されてある為、同じ材質のブラシ部材13にて、挟み込んで溶着することができる。その為、前記図1のブラシ片1の如く、複数のブラシ部材を、互いに溶着にて接合されてある場合に比べて、より高強度の溶着をすることができ、高い溶着強度を有するブラシ片11を、製作する事ができる。また、ブラシ片11は、両端部に複数のスリット30が形成されてある為、スリットが形成されてないブラシ片を使用した場合に比べて、より高い洗浄力を発揮できる。また、図7のブラシ片21を使用した場合においては、平板状の凹部25を有する接合部24にて溶着されてある為、概円柱形状の凹部を有する接合部にて溶着した場合に比べて、より広い溶着面積を確保できる。その為、より高強度の溶着をすることができ、高い溶着強度を有するブラシ片21を、製作する事ができる。また、図8のブラシ片31を使用した場合においては、複数のブラシ部材を、重ね合わせた後、溶着により接合されてある為、高い耐衝撃力、耐引張力、耐加圧力等を有する事ができる。その為、耐久性の高いブラシ片31を、製作する事ができる。また、図9のブラシ片41を使用した場合においては、ブラシ部材42、及びブラシ部材43が互いの端部にて当接されて形成されてあると共に、ブラシ部材46にて挟み込まれて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部45を有する接合部44、及び凹部48を有する接合部47を介して、一体的に形成されてある。その為、ブラシ部材42、及びブラシ部材43の材質が、互いに溶着不可能な場合、あるいは極めて溶着困難な場合であっても、ブラシ部材42、及びブラシ部材43を溶着させる事無く、当接させる事により、一体的に形成されたブラシ片41を製作できる。また、図10のブラシ片51を使用した場合においては、ブラシ部材52、及びブラシ部材53が、互いに、溶着により接合された平板状の凹部55を有する接合部54を介して、一体的に形成されてあると共に、端部が折りこまれた後、平板状の凹部55を有する接合部54にて、溶着により接合されてある為、ブラシ部材52、及びブラシ部材53の端部の強度を、高く設定できる。その為、耐久性の高いブラシ片51を、製作する事ができる。また、図11のブラシ片61を使用した場合においては、ブラシ部材62、及びブラシ部材63が、互いの端部を当接した後、溶着により接合されてある為、ブラシ部材62、及びブラシ部材63を重ね合わせる必要が無い。その為、ブラシ片61は、使用目的に応じて、厚みを極めて薄く設定する事ができる。
【実施例2】
【0036】
図12、及び図13にて実施例2を示す。図12は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図12において、71はブラシ片、72、73はブラシ部材、74は接合部、75は凹部である。図13は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図13において、81はブラシ片、82、83はブラシ部材、84は接合部、85は凹部である。
【0037】
洗車機用洗浄ブラシのブラシ片71は、図12の如く、平板状に形成されたブラシ部材72、及びブラシ部材73により形成されてあると共に、ブラシ部材72、及びブラシ部材73は、互いに接合部74を介して、一体的に形成されてある。また、接合部74は、溶着により接合されてあり、ブラシ部材72の上面には、概円柱形状の凹部75が形成されてある。また、ブラシ部材72の材質には、不織布、及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体にて形成された材質が使用されてある。前記の材質は、一般的には、人工皮革と呼ばれている。また、ブラシ部材73の材質には、合成樹脂発泡体が使用されてある。
【0038】
実施例2の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片71は、上記の如くの、構成となっているので、ブラシ片71は、ブラシ部材72の材質には、人工皮革が使用されてあり、ブラシ部材73の材質には、合成樹脂発泡体が使用されてある為、被洗浄面にたいして、異なる洗浄性を有する前記の2つの材質を、接触させる事ができる。その為、ブラシ片71は、人工皮革が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い洗浄性、高い耐久性、及び合成樹脂発泡体が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い耐久性、価格の低さを、有する事ができる。また、ブラシ片71を、ブラシ部材73の長手方向の中央部にて、折り込んだ後、台座に組付けて使用した場合においては、ブラシ片71は、被洗浄面にたいして、ブラシ部材72が接触した後、ブラシ部材73が接触する構成となる為、被洗浄面にたいするブラシ片71の押込み深さを、設定する事により、使用目的に応じた、最適な洗浄性を設定する事ができる。また、材料の価格が、人工皮革よりも安価な合成樹脂発泡体を使用した場合においては、ブラシ部材72、及びブラシ部材73の材質に人工皮革を使用した場合に比べて、ブラシ片71の価格を、安価にする事ができる。
【0039】
実施例2の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片71は、上記の如くの構成となっているが、ブラシ部材に使用する材質については、上記以外にも、使用目的に応じて、合成樹脂繊維、布、フィルム状樹脂組成物、独立気泡発泡体等を、適時、設定できる。なお、前記の各種材質は、それぞれの特徴を有している為、使用目的に応じて、適時、組合わせて設定する事により、最適のブラシ片を製作する事ができる。例えば、合成樹脂繊維は洗浄性が極めて良好で、洗い残しが少ないが、被洗浄面に傷を付けやすく、洗浄時の音が大きいという特徴を有している。布は不織布、織布、人工皮革等の種類があり、不織布は、被洗浄面に柔らかく接触する為、被洗浄面に傷を付けにくく、洗浄性が良好だが、洗い残しが有り、耐久性が低く、低価格であるという特徴を有している。織布は、被洗浄面に傷を付けにくく、洗浄性が良好だが、洗い残しが有り、耐久性が低く、高価格であるという特徴を有している。人工皮革は、被洗浄面に傷を付けにくく、洗浄性が良好であり、耐久性が高く、高価格であるという特徴を有している。フィルム状樹脂組成物は、洗浄時の音が小さく、被洗浄面に傷を付けにくく、かつ洗浄性が良好だが、毛腰が弱く、耐久性が低いという特徴を有している。合成樹脂発泡体は、耐久性が良好で、被洗浄面に傷を付けにくいが、洗浄性が低く、洗浄時の音が大きいという特徴を有している。
【0040】
次に、図13にて、実施例2の他の実施の形態のブラシ片を説明する。図13のブラシ片81は、平板状に形成されたブラシ部材82、及びブラシ部材83により形成されてあると共に、ブラシ部材82、及びブラシ部材83は、互いに接合部84を介して、一体的に形成されてある。また、接合部84は、溶着により接合されてあり、ブラシ部材82の上面には、概円柱形状の凹部85が形成されてある。また、ブラシ部材82の材質には、不織布、及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体にて形成された材質が使用されてある。前記の材質は、一般的には、人工皮革と呼ばれている。また、ブラシ部材83の材質には、布の一種である不織布が使用されてある。
【0041】
実施例2の他の実施の形態のブラシ片81は、上記の如くの構成となっているので、ブラシ片81は、ブラシ部材82の材質には、人工皮革が使用されてあり、ブラシ部材83の材質には、不織布が使用されてある為、被洗浄面にたいして、異なる洗浄性を有する前記の2つの材質を、接触させる事ができる。その為、ブラシ片81は、人工皮革が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い洗浄性、高い耐久性、及び不織布が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い洗浄性、価格の低さを、有する事ができる。
【実施例3】
【0042】
図14から図15にて実施例3を示す。図14は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図14において、91はブラシ片、92、93はブラシ部材、94は接合部、95は凹部、96は接着層である。図15は、図14の接合部の拡大断面図である。
【0043】
洗車機用洗浄ブラシのブラシ片91は、図14の如く、平板状に形成されたブラシ部材92、及びブラシ部材93により形成されてあると共に、ブラシ部材92、及びブラシ部材93は、互いに接合部94を介して、一体的に形成されてある。また、接合部94は、溶着により接合されてあり、ブラシ部材92の上面には、概円柱形状の凹部95が形成されてある。また、接合部94は、図15の如く、ブラシ部材92、及びブラシ部材93の間に接着層96が形成されてある。また、接着層96の材質としては、ホットメルト接着剤、シアノアクリレート系接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、嫌気性接着剤等、適時、選定する事ができる。また、ホットメルト接着剤は、フィルム状、液状、ゲル状等に形成されてある。
【0044】
次に、ブラシ片91の接合部94を製作する方法について説明する。まず、接着層96を挟み込むようにして、平板状に形成されたブラシ部材92、及びブラシ部材93を、重ね合わせる。次に、重ね合わされたブラシ部材92、及びブラシ部材93にたいして、超音波振動をしているホーンを上部から押付けて、超音波溶着をする。この時、ブラシ部材92の上面が変形する事により凹部95が形成されると共に、接着層96を挟み込むようにして、ブラシ部材92、及びブラシ部材93が溶着されて、接合部94が形成される。
【0045】
実施例3の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片91は、上記の如くの、構成となっているので、ブラシ片91は、ブラシ部材92、及びブラシ部材93が、接着層96を挟み込むようにして、溶着により接合されてある。その為、ブラシ片91は、ブラシ片が複数のブラシ部材を溶着のみにより接合された場合に比べて、より高強度の溶着をすることができ、より強い耐衝撃力、耐引張力、耐加圧力等の高い溶着強度を有する事ができる。また、接着層96の材質として、ホットメルト接着剤を使用した場合においては、ブラシ片91は、ホットメルト接着剤の接着強度を設定することにより、使用目的に応じて、所定の弾性を有すると共に、最適の接着強度を有する接合部94を、形成することができる。その為、ブラシ片91は、被洗浄面に、さまざまな強さで汚れ等が付着している場合であっても、洗い残しが無く、高い洗浄性を発揮できると共に、極めて高い耐久性を有することができる。また、フィルム状に形成されてあるホットメルト接着剤を使用した場合においては、ブラシ片91は、極めて簡易、かつ迅速に、接着剥れ等が発生することの無い、適切な接合部94を形成することができると共に、極めて高い耐久性を有することができる。
【実施例4】
【0046】
図16から図17にて実施例4を示す。図16は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図16において、101はブラシ片、102、103はブラシ部材、104は接合部、105は凹部である。図17は、図16の接合部を製作する状態を示す拡大断面図である。図17において、16はホーン、27はロータリードラムである。
【0047】
洗車機用洗浄ブラシのブラシ片101は、図16の如く、平板状に形成されたブラシ部材102、及びブラシ部材103により形成されてあると共に、ブラシ部材102、及びブラシ部材103は、互いに接合部104を介して、一体的に形成されてある。また、接合部104は、溶着により接合されてあり、ブラシ部材102の上面には、概格子角柱形状の凹部105が形成されてある。
【0048】
次に、図17にて、ブラシ片101に形成されてある接合部104の製作方法について説明する。まず、ホーン16、及びロータリードラム27の隙間に、重ね合わされたブラシ部材2、及びブラシ部材3を、挿入させる。この時、ホーン16は、超音波振動をしていると共に、ロータリードラム27は、回転している為、ホーン16から発生した摩擦熱により、ブラシ部材102の表面が、ロータリードラム27の外周形状に沿って変形する為、概格子角柱形状の凹部105が形成されると共に、ブラシ部材102、及びブラシ部材103が溶着されて、接合部104が形成される。前記の如くの溶着方法は、一般的には、超音波溶着と呼ばれている。
【0049】
また、溶着は、熱、超音波、高周波、あるいは振動により溶着されてある方法を、使用目的に応じて、適時、選定して使用できる。前記の方法は、一般的には、熱溶着、超音波溶着、高周波溶着、あるいは振動溶着と呼ばれている。次に、前記の溶着方法について説明する。まず、熱溶着とは、被加熱物の外部に設けられた熱源から発生する熱の伝導により加熱して溶着する方法であり、2枚の被加熱物の間に、加熱板を挿入して加熱後、ローラーの加圧により溶着するコテ式、被加熱物にたいしてヒーター線等にて加圧する事により瞬間的に大電流を通電して発熱させて、被加熱物を加熱する事により溶着するインパルス式、被加熱物を上下から挟み込んで加熱する事により溶着する熱板式、2枚の被加熱物の間に、熱風を吹きつけて加熱させた後、ローラーの加圧により溶着する熱風式等の方法がある。また、超音波溶着とは、ホーンと呼ばれる共鳴体から発生する超音波振動を、被加熱物に伝える事により、摩擦熱を発生させて溶着する方法である。また、高周波溶着とは、高周波誘電加熱法と呼ばれる、高周波の電界作用により分子や原子レベルの電位的な運動により被加熱物を発熱させる方法を使用して、溶着する方法である。さらにまた、振動溶着とは、被加熱物の溶着させたい面に、圧力と往復運動により振動を加えて溶着する方法である。
【0050】
実施例4の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片101は、上記の如くの構成となっているので、ブラシ片101は、ブラシ部材102の上面に概格子角柱形状の凹部105を有して溶着により接合部104が形成されてある。その為、ブラシ片101の接合部104を、概格子角柱形状の凹部105を有して、連続的、かつ広い範囲の面を、溶着にて形成する事ができる。また、溶着の方法として、コテ式の熱溶着を使用した場合においては、風合いが美しい溶着をする事ができると共に、シート状、あるいはフィルム状のブラシ部材にたいして、好適に溶着をする事ができる。また、インパルス式の熱溶着を使用した場合においては、溶着時にのみ通電する事ができる為、電力の消費量を削減する事ができる。また、熱板式の熱溶着を使用した場合においては、ブラシ部材の材質が限定される事無く、好適に溶着をする事ができる。また、熱風式の熱溶着を使用した場合においては、ブラシ部材の形状が曲線形状であっても、好適に溶着をする事ができる。また、超音波溶着を使用した場合においては、ブラシ部材が異なる材質、あるいは多層構造の場合であっても、好適に溶着をする事ができる。また、摩擦熱による溶着の為、接合部の過度な温度上昇が無く、溶着によるブラシ部材の材質の劣化を防止できる。また、高周波溶着を使用した場合においては、溶着する部分のみを短時間にて内部加熱できる為、風合いが美しい溶着をする事ができる。さらにまた、振動溶着を使用した場合においては、複数のブラシ部材を高い溶着強度、及び高い気密性にて溶着する必要がある場合においても、好適に溶着をする事ができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、主に、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載する洗浄ブラシのブラシ片として使用する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図2】 図1の接合部の拡大断面図である。
【図3】 図1の接合部を製作する状態を示す拡大断面図である。
【図4】 図1のブラシ片を使用した洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。
【図5】 図1のブラシ片を使用した他の洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。
【図6】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図7】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図8】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図9】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図10】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図11】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図12】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図13】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図14】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図15】 図14の接合部の拡大断面図である。
【図16】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図17】 図16の接合部を製作する状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1、11、21、31、41、51、61、71、81、91、101 ブラシ片
2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102 ブラシ部材
3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103 ブラシ部材
4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104 接合部
5、15、25、35、45、48、55、65、75、85、95、105 凹部
6、16 ホーン 7 基台 8、18 洗車機用洗浄ブラシ 9、19 台座
10、20 止め金具 17 溝部 27 ロータリードラム 30 スリット
46 ブラシ部材 47 接合部 60 チャンネルブラシ
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされ、材質については、合成樹脂繊維、布、フィルム状樹脂組成物、独立気泡発泡体等を使用したブラシ片からなる各種の洗浄ブラシが提案されてある。また、ブラシ片の製造に縫製を使用した技術として、例えば、回転体に着脱自在に取り付けられ、車体に接触させて回転させることにより該車体の表面を処理するようにした、車体表面処理装置における処理体であって、矩形状の処理体素材を折本状に折り畳み、その折り目を保持するように、その折り目に沿って処理体素材を縫い付け、その折り目が前記回転体の径方向を向くように、前記回転体に取り付けられるように構成したことを特徴とする、車体表面処理装置における処理体が、車体表面処理装置における処理体として、特開2000−127921号公報に開示されてある。
【0003】
また、ブラシ片の製造に溶着を使用した技術として、例えば、被洗浄面に付着した塵埃を清掃する為の洗浄ブラシにおいて、前記洗浄ブラシは基部、ブラシ片及び帯状体より構成されてあり、前記基部は前記ブラシ片及び前記帯状体を重ね合わせて折り込んだ後、前記ブラシ片及び前記帯状体を一体的に溶着させて形成されてあることを特徴とする洗浄ブラシが、洗浄ブラシとして、特開2003−339441号公報に開示されてある。
【0004】
【特許文献1】 特開2000−127921号公報
【特許文献2】 特開2003−339441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、例えば、上記の如くの各種の特徴を有する技術が開示されてあるが、上記の特開2000−127921号公報に開示の如く、ブラシ片の製造に縫製を使用した技術については、縫い付けたブラシ片には、縫製穴が形成される為、被洗浄面から、ブラシ片に加わる衝撃力、引張力、加圧力等により、ブラシ片の強度、あるいは耐久性が劣化するという課題を有していた。また、縫製糸等が脱落した場合、あるいは解けた場合には、縫製糸等が、被洗浄面に絡み付いてしまう事があるという課題も有していた。また、上記の特開2003−339441号公報に開示の如く、ブラシ片の製造に溶着を使用した技術については、ブラシ片及び帯状体を重ね合わせて折り込んだ後ブラシ片及び帯状体を一体的に溶着させた基部が形成されてある為、基部を、被洗浄面に接触させた場合には、基部が、被洗浄面に傷、打痕等を付けてしまう事があるという課題を有していた。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、縫製穴が形成される事により、被洗浄面からブラシ片に、衝撃力、引張力、加圧力等が加わった時に、ブラシ片の強度、あるいは耐久性が劣化する事が無いと共に、脱落したり、解けた縫製糸等が、被洗浄面に絡み付いてしまう事が無く、被洗浄面に傷、打痕等を付けてしまう事が無く、高い洗浄性を有すると共に、洗い残しが無く、かつ、安価で、高い耐久性を有する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、次のように構成したものである。
(1)自動車洗浄用あるいは車両洗浄用の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片において、前記洗浄ブラシのブラシ片は複数のブラシ部材により形成されてあると共に、前記複数のブラシ部材は互いに溶着により接合された接合部を介して一体的に形成されてあるものである。
【0008】
(2)上記(1)記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記複数のブラシ部材は異なる材質により形成されてあるものである。
【0009】
(3)上記(1)あるいは(2)記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記接合部は、前記複数のブラシ部材の間に接着層が形成されてあるものである。
【0010】
(4)上記(1)から(3)記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記溶着は熱、超音波、高周波、あるいは振動により溶着されてあるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、次に示すような効果を得ることができる。なお、説明にあたっては、請求項の番号と同じ番号を付して説明する。
【0012】
(1)ブラシ片を複数のブラシ部材のみの構成により形成する事ができる。その為、ブラシ片は、複数のブラシ部材の溶着時における押込み深さ、加圧力、加熱能力、加熱時間、冷却能力、冷却時間、ホーンの形状、ホーンの材質、溶着箇所の数量、配置等の各種条件を、簡易に設定する事により、使用目的に応じた、最適な溶着強度、風合い等を有するブラシ片を、製作する事ができる。また、ブラシ片は、発生した摩擦熱によりブラシ部材の上面が変形する為、凹部が形成されると共に、複数のブラシ部材が溶着されて、接合部が形成されてある為、接合部が、被洗浄面に傷、打痕等を付ける事が無い。
【0013】
また、ブラシ片を構成する複数のブラシ部材の接合に縫製する方法を採用した場合、あるいは止め金具を使用する方法を採用した場合の如く、縫製糸、あるいは止め金具を使用する必要が無く、ブラシ片を安価に製作できる。また、ブラシ片は、複数のブラシ部材を、溶着により接合する事により、一体的に形成されてある為、ブラシ片を構成する複数のブラシ部材の接合に縫製する方法を採用した場合、あるいは止め金具を使用する方法を採用した場合に比べて、ブラシ片を、迅速に製作できる。また、ブラシ片は、複数のブラシ部材の接合に縫製する方法を採用していない為、縫い付けた複数のブラシ部材には、縫製穴が形成される事が無い。その為、被洗浄面から、ブラシ片に形成されてある縫製穴に、衝撃力、引張力、加圧力等が加わる事によるブラシ片の強度、あるいは耐久性の劣化が発生するという事が無い。また、縫製糸が使用されていない為、縫製糸等が脱落した場合、あるいは解けた場合に、縫製糸等の被洗浄面にたいする絡み付きが、発生する事が無い。また、ブラシ片は、複数のブラシ部材の接合に止め金具を使用する方法を採用していない為、止め金具が被洗浄面に接触する事による、被洗浄面の傷、打痕等が発生する事が無い。
【0014】
(1)他の実施の形態として、平板状に形成された複数のブラシ部材により形成されてあると共に、一方のブラシ部材が、他方のブラシ部材にて挟み込まれて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部を有する接合部を介して、一体的に形成されてあり、一方のブラシ部材の端部には、複数のスリットが形成されてあるブラシ片を使用した場合においては、一方のブラシ部材が、他方のブラシ部材にて挟み込まれた後、溶着により接合されてある為、同じ材質の他方のブラシ部材にて、挟み込んで溶着することができる。その為、一方のブラシ部材、及び他方のブラシ部材が、互いに溶着にて接合されてある場合に比べて、より高強度の溶着をすることができ、高い溶着強度を有するブラシ片を製作する事ができる。また、ブラシ片は、両端部に複数のスリットが形成されてある為、スリットが形成されてないブラシ片を使用した場合に比べて、より高い洗浄力を発揮できる。
【0015】
(1)他の実施の形態として、平板状に形成された複数のブラシ部材により形成されてあると共に、複数のブラシ部材が、互いに、溶着により接合された平板状の凹部を有する接合部を介して、一体的に形成されてあるブラシ片を使用した場合においては、平板状の凹部を有する接合部にて溶着されてある為、概円柱形状の凹部を有する接合部にて溶着した場合に比べて、より広い溶着面積を確保できる。その為、より高強度の溶着をすることができ、高い溶着強度を有するブラシ片を製作する事ができる。
【0016】
(1)他の実施の形態として、平板状に形成された複数のブラシ部材により形成されてあると共に、複数のブラシ部材が、重ね合わされて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部を有する接合部を介して、一体的に形成されてあるブラシ片を使用した場合においては、複数のブラシ部材を、重ね合わせた後、溶着により接合されてある為、高い耐衝撃力、耐引張力、耐加圧力等を有する事ができる。その為、耐久性の高いブラシ片を製作する事ができる。
【0017】
(1)他の実施の形態として、平板状に形成された複数のブラシ部材により形成されてあり、一方のブラシ部材、及び他方のブラシ部材が、互いの端部にて当接されて形成されてあると共に、前記以外のブラシ部材にて挟み込まれて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部を有する接合部を介して、一体的に形成されてあるブラシ片を使用した場合においては、一方のブラシ部材、及び他方のブラシ部材の材質が、互いに溶着不可能な場合、あるいは極めて溶着困難な場合であっても、一方のブラシ部材、及び他方のブラシ部材を溶着させる事無く、当接させる事により、一体的に形成されたブラシ片を製作する事ができる。
【0018】
(1)他の実施の形態として、平板状に形成された複数のブラシ部材により形成されてあると共に、複数のブラシ部材が、互いに、溶着により接合された平板状の凹部を有する接合部を介して、一体的に形成されてあると共に、端部が折りこまれた後、平板状の凹部を有する接合部にて、溶着により接合されてあるブラシ片を使用した場合においては、複数のブラシ部材の端部の強度を、高く設定できる。その為、耐久性の高いブラシ片を製作する事ができる。
【0019】
(1)他の実施の形態として、平板状に形成された複数のブラシ部材により形成されてあり、複数のブラシ部材が、互いの端部にて当接されて形成されてあり、当接された端部に、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部を有する接合部が形成されてあると共に、接合部を介して、一体的に形成されてあるブラシ片を使用した場合においては、複数のブラシ部材を、重ね合わせる必要が無い。その為、ブラシ片は、使用目的に応じて、厚みを極めて薄く設定する事ができる。
【0020】
(2)ブラシ片は、一方のブラシ部材の材質に、一般的に、人工皮革と呼ばれる、不織布、及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体にて形成された材質が使用されてあり、他方のブラシ部材の材質に、合成樹脂発泡体が使用されてある為、被洗浄面にたいして、異なる洗浄性を有する前記の2つの材質を、接触させる事ができる。その為、ブラシ片は、人工皮革が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い洗浄性、高い耐久性、及び合成樹脂発泡体が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い耐久性、価格の低さを有する事ができる。また、ブラシ片を、他方のブラシ部材の長手方向の中央部にて、折り込んだ後、台座に組付けて使用した場合においては、ブラシ片は、被洗浄面にたいして、一方のブラシ部材が接触した後、他方のブラシ部材が接触する構成となる為、被洗浄面にたいするブラシ片の押込み深さを、設定する事により、使用目的に応じた、最適な洗浄性を設定する事ができる。また、材料の価格が、人工皮革よりも安価な合成樹脂発泡体を使用した場合においては、一方のブラシ部材、及び他方のブラシ部材の材質に人工皮革を使用した場合に比べて、ブラシ片の価格を、安価にする事ができる。
【0021】
(2)他の実施の形態として、一方のブラシ部材の材質に、人工皮革が、使用されてあり、他方のブラシ部材の材質に、布の一種である不織布が使用されてあるブラシ片を使用した場合においては、ブラシ片は、被洗浄面にたいして、異なる洗浄性を有する前記の2つの材質を接触させる事ができる。その為、ブラシ片は、人工皮革が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い洗浄性、高い耐久性、及び不織布が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い洗浄性、価格の低さを有する事ができる。
【0022】
(3)ブラシ片は、複数のブラシ部材が、接着層を挟み込むようにして、溶着により接合されてある。その為、ブラシ片は、ブラシ片が複数のブラシ部材を溶着のみにより接合された場合に比べて、より高強度の溶着をする事ができ、より強い耐衝撃力、耐引張力、耐加圧力等の高い溶着強度を有する事ができる。また、接着層の材質として、ホットメルト接着剤を使用した場合においては、ブラシ片は、ホットメルト接着剤の接着強度を設定することにより、使用目的に応じて、所定の弾性を有すると共に、最適の接着強度を有する接合部を、形成することができる。その為、ブラシ片は、被洗浄面に、さまざまな強さで汚れ等が付着している場合であっても、洗い残しが無く、高い洗浄性を発揮できると共に、極めて高い耐久性を有することができる。また、フィルム状に形成されてあるホットメルト接着剤を使用した場合においては、ブラシ片は、極めて簡易、かつ迅速に、接着剥れ等が発生することの無い、適切な接合部を形成することができると共に、極めて高い耐久性を有することができる。
【0023】
(4)ブラシ片は、ブラシ部材の上面に概格子角柱形状の凹部を有して溶着により接合部が形成されてある。その為、ブラシ片の接合部を、概格子角柱形状の凹部を有して、連続的、かつ広い範囲の面を、溶着にて形成する事ができる。また、溶着の方法として、コテ式の熱溶着を使用した場合においては、風合いが美しい溶着をする事ができると共に、シート状、あるいはフィルム状のブラシ部材にたいして、好適に溶着をする事ができる。また、インパルス式の熱溶着を使用した場合においては、溶着時にのみ通電する事ができる為、電力の消費量を削減する事ができる。また、熱板式の熱溶着を使用した場合においては、ブラシ部材の材質が限定される事無く、好適に溶着をする事ができる。また、熱風式の熱溶着を使用した場合においては、ブラシ部材の形状が曲線形状であっても、好適に溶着をする事ができる。また、超音波溶着を使用した場合においては、ブラシ部材が異なる材質、あるいは多層構造の場合であっても、好適に溶着をする事ができる。また、摩擦熱による溶着の為、接合部の過度な温度上昇が無く、溶着によるブラシ部材の材質の劣化を防止できる。また、高周波溶着を使用した場合においては、溶着する部分のみを短時間にて内部加熱できる為、風合いが美しい溶着をする事ができる。さらにまた、振動溶着を使用した場合においては、複数のブラシ部材を高い溶着強度、及び高い気密性にて溶着する必要がある場合においても、好適に溶着をする事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
縫製穴が形成される事により、被洗浄面からブラシ片に、衝撃力、引張力、加圧力等が加わった時に、ブラシ片の強度、あるいは耐久性が劣化する事が無いと共に、脱落したり、解けた縫製糸等が、被洗浄面に絡み付いてしまう事が無く、被洗浄面に傷、打痕等を付けてしまう事が無く、高い洗浄性を有すると共に、洗い残しが無く、かつ、安価で、高い耐久性を有する洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を提供するという目的を、自動車洗浄用あるいは車両洗浄用の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片において、前記洗浄ブラシのブラシ片は、複数のブラシ部材が溶着により接合されて形成されてある構成において実現した。
【実施例1】
【0025】
図1から図11にて実施例1を示す。図1は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図1において、1はブラシ片、2、3はブラシ部材、4は接合部、5は凹部である。図2は、図1の接合部の拡大断面図である。図3は、図1の接合部を製作する状態を示す拡大断面図である。図3において、6はホーン、7は基台である。図4は、図1のブラシ片を使用した洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。図4において、8は洗車機用洗浄ブラシ、9は台座、10は止め金具、60はチャンネルブラシである。図5は、図1のブラシ片を使用した他の洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。図5において、17は溝部、18は洗車機用洗浄ブラシ、19は台座、20は止め金具である。図6は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図6において、11はブラシ片、12、13はブラシ部材、14は接合部、15は凹部、30はスリットである。図7は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図7において、21はブラシ片、22、23はブラシ部材、24は接合部、25は凹部である。図8は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図8において、31はブラシ片、32、33はブラシ部材、34は接合部、35は凹部である。図9は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図9において、41はブラシ片、42、43、46はブラシ部材、44、47は接合部、45、48は凹部である。図10は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図10において、51はブラシ片、52、53はブラシ部材、54は接合部、55は凹部である。図11は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図11において、61はブラシ片、62、63はブラシ部材、64は接合部、65は凹部である。
【0026】
洗車機用洗浄ブラシのブラシ片1は、図1の如く、平板状に形成されたブラシ部材2、及びブラシ部材3により形成されてあると共に、ブラシ部材2、及びブラシ部材3は、互いに接合部4を介して、一体的に形成されてある。また、接合部4は、溶着により接合されてあり、図1、及び図2の如く、ブラシ部材2の上面には、概円柱形状の凹部5が形成されてある。また、接合部4とは、ブラシ部材2、及びブラシ部材3が、溶着する事により接合された部分を示す。
【0027】
次に、図3にて、ブラシ片1の接合部4を製作する方法について説明する。まず、基台7の上面に、平板状に形成されたブラシ部材2、及びブラシ部材3を、重ね合わせる。次に、図3の如く、重ね合わされたブラシ部材2、及びブラシ部材3にたいして、超音波振動をしているホーン6を上部から押付ける。この時、ホーン6から発生した超音波振動により摩擦熱が発生する。発生した摩擦熱により、ブラシ部材2の上面が変形する為、凹部5が形成されると共に、ブラシ部材2、及びブラシ部材3が溶着されて、接合部4が形成される。前記の如くの溶着方法は、一般的には、超音波溶着と呼ばれている。
【0028】
次に、ブラシ片1を使用した実施例の洗車機用洗浄ブラシ8を説明する。洗車機用洗浄ブラシ8は、図4の如く、台座9、チャンネルブラシ60、及び止め金具10より構成されてある。台座9は、略円筒形状からなり、外周の両端部には、止め金具10が組みつけられて形成されてある。チャンネルブラシ60は、ブラシ片1を、芯線、及び概U字断面を有する帯状体にて、ブラシ部材3の長手方向の中央部にて、挟みつけて折り込んだ後、台座9の外周の周りに捩りを加えて螺旋状に形成されてあり、止め金具10にて固定されてある。
【0029】
また、ブラシ片1を使用した他の実施例の洗車機用洗浄ブラシ18を説明する。洗車機用洗浄ブラシ18は、図5の如く、ブラシ片1、台座19、及び止め金具20より構成されてある。台座19は、略円筒形状からなり、外周部には、溝部17が形成されてあり、ブラシ片1が、止め金具20にて、溝部17の内部に、ブラシ部材3の長手方向の中央部にて、挟み込まれる事により、着脱可能に、組みつけられて形成されてある。
【0030】
溶着とは、一般的には、溶接、あるいは高温で加熱して接着させる事である。また、熱可塑性のフィルム、平板状のシート等の被加熱物の場合は、前記被加熱物を、熱によって溶かし、加圧と冷却をする事により接着させる事である。また、溶着は、融着、熱接着、ヒートシールと呼ばれる事もある。また、溶着には、熱溶着、超音波溶着、高周波溶着、振動溶着等の溶着方法がある。また、ブラシ片1を構成するブラシ部材の材質は、合成樹脂繊維、布、フィルム、独立気泡発泡体等の材質を、使用目的に応じて使用する事ができる。また、前記の材質を、適時、組み合わせる事により使用する事ができる。また、接合部が形成される時に発生する凹部の形状は、ホーンの断面形状を設定する事により、上記の如くの概円柱形状以外にも、例えば、概角柱形状、概波形柱形状等、任意に設定できる。また、溶着は、押込み深さ、加圧力、加熱能力、加熱時間、冷却能力、冷却時間、ホーンの形状、ホーンの材質、溶着箇所の数量、配置等の各種条件により、使用目的に応じて、所定の溶着強度、あるいは風合いを設定する事ができる。
【0031】
実施例1の洗車機用洗浄ブラシに使用されてあるブラシ片1は、上記の如くの構成となっているので、ブラシ片1を、ブラシ部材2、及びブラシ部材3のみの構成により形成する事ができる。その為、ブラシ片1は、ブラシ部材2、及びブラシ部材3の溶着時における押込み深さ、加圧力、加熱能力、加熱時間、冷却能力、冷却時間、ホーンの形状、ホーンの材質、溶着箇所の数量、配置等の各種条件を、簡易に設定する事により、使用目的に応じた、最適な溶着強度、風合い等を有するブラシ片1を、製作する事ができる。また、ブラシ片1は、発生した摩擦熱によりブラシ部材2の上面が変形する為、凹部5が形成されると共に、ブラシ部材2、及びブラシ部材3が溶着されて、接合部4が形成されてある為、接合部4が、被洗浄面に傷、打痕等を付ける事が無い。
【0032】
また、ブラシ片1を構成するブラシ部材2、及びブラシ部材3の接合に縫製する方法を採用した場合、あるいは止め金具を使用する方法を採用した場合の如く、縫製糸、あるいは止め金具を使用する必要が無く、ブラシ片1を、安価に製作できる。また、ブラシ片1は、ブラシ部材2、及びブラシ部材3を、溶着により接合する事により、一体的に形成されてある為、ブラシ片1を構成するブラシ部材2、及びブラシ部材3の接合に縫製する方法を採用した場合、あるいは止め金具を使用する方法を採用した場合に比べて、ブラシ片1を、迅速に製作できる。また、ブラシ片1は、ブラシ部材2、及びブラシ部材3の接合に縫製する方法を採用していない為、縫い付けたブラシ部材2、及びブラシ部材3には、縫製穴が形成される事が無い。その為、被洗浄面から、ブラシ片1に形成されてある縫製穴に、衝撃力、引張力、加圧力等が加わる事によるブラシ片1の強度、あるいは耐久性の劣化が、発生するという事が無い。また、縫製糸が使用されていない為、縫製糸等が脱落した場合、あるいは解けた場合に、縫製糸等の被洗浄面にたいする絡み付きが発生する事が無い。また、ブラシ片1は、ブラシ部材2、及びブラシ部材3の接合に止め金具を使用する方法を採用していない為、止め金具が被洗浄面に接触する事による、被洗浄面の傷、打痕等が発生する事が無い。
【0033】
実施例1の洗車機用洗浄ブラシに使用されてあるブラシ片1は、上記の如くの構成となっているが、接合部4の形成状態については、溶着により接合されてあれば、使用目的に応じて、例えば、概円柱形状以外の他の形状の凹部が形成されてある形成状態、あるいは凹部が形成されて無い形成状態等、適時、設定する事ができる。また、ブラシ部材の形状についても、上記の如くの平板状以外にも、例えば、線状、糸状、フィルム状等、適時、設定する事ができる。さらにまた、ブラシ部材の材質についても、合成樹脂繊維、布、フィルム、独立気泡発泡体等、適時、設定する事ができる。
【0034】
次に、図6から図11にて、実施例1の他の実施の形態のブラシ片を説明する。図6のブラシ片11は、平板状に形成されたブラシ部材12、及びブラシ部材13により形成されてあると共に、ブラシ部材12は、ブラシ部材13にて挟み込まれて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部5を有する接合部14を介して、一体的に形成されてある。また、ブラシ部材12の端部には、複数のスリット30が形成されてある。図7のブラシ片21は、平板状に形成されたブラシ部材22、及びブラシ部材23により形成されてあると共に、ブラシ部材22、及びブラシ部材23は、互いに、溶着により接合された平板状の凹部25を有する接合部24を介して、一体的に形成されてある。図8のブラシ片31は、平板状に形成されたブラシ部材32、及びブラシ部材33により形成されてあると共に、ブラシ部材32、及びブラシ部材33は重ね合わされて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部35を有する接合部34を介して、一体的に形成されてある。図9のブラシ片41は、平板状に形成されたブラシ部材42、ブラシ部材43、及びブラシ部材46により形成されてあり、ブラシ部材42、及びブラシ部材43は、互いの端部にて当接されて形成されてあると共に、ブラシ部材46にて挟み込まれて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部45を有する接合部44、及び凹部48を有する接合部47を介して、一体的に形成されてある。図10のブラシ片51は、平板状に形成されたブラシ部材52、及びブラシ部材53により形成されてあると共に、ブラシ部材52、及びブラシ部材53は、互いに、溶着により接合された平板状の凹部55を有する接合部54を介して、一体的に形成されてあると共に、端部は、折りこまれた後、平板状の凹部55を有する接合部54にて、溶着により接合されてある。図11のブラシ片61は、平板状に形成されたブラシ部材62、及びブラシ部材63により形成されてあり、ブラシ部材62、及びブラシ部材63は、互いの端部にて当接されて形成されてあると共に、当接された端部に、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部65を有する接合部64が形成されてあり、接合部64を介して、一体的に形成されてある。
【0035】
実施例1の他の実施の形態のブラシ片は、上記の如くの構成となっているので、図6のブラシ片11を使用した場合においては、ブラシ部材12が、ブラシ部材13にて挟み込まれた後、溶着により接合されてある為、同じ材質のブラシ部材13にて、挟み込んで溶着することができる。その為、前記図1のブラシ片1の如く、複数のブラシ部材を、互いに溶着にて接合されてある場合に比べて、より高強度の溶着をすることができ、高い溶着強度を有するブラシ片11を、製作する事ができる。また、ブラシ片11は、両端部に複数のスリット30が形成されてある為、スリットが形成されてないブラシ片を使用した場合に比べて、より高い洗浄力を発揮できる。また、図7のブラシ片21を使用した場合においては、平板状の凹部25を有する接合部24にて溶着されてある為、概円柱形状の凹部を有する接合部にて溶着した場合に比べて、より広い溶着面積を確保できる。その為、より高強度の溶着をすることができ、高い溶着強度を有するブラシ片21を、製作する事ができる。また、図8のブラシ片31を使用した場合においては、複数のブラシ部材を、重ね合わせた後、溶着により接合されてある為、高い耐衝撃力、耐引張力、耐加圧力等を有する事ができる。その為、耐久性の高いブラシ片31を、製作する事ができる。また、図9のブラシ片41を使用した場合においては、ブラシ部材42、及びブラシ部材43が互いの端部にて当接されて形成されてあると共に、ブラシ部材46にて挟み込まれて形成されてあり、互いに、溶着により接合された概円柱形状の凹部45を有する接合部44、及び凹部48を有する接合部47を介して、一体的に形成されてある。その為、ブラシ部材42、及びブラシ部材43の材質が、互いに溶着不可能な場合、あるいは極めて溶着困難な場合であっても、ブラシ部材42、及びブラシ部材43を溶着させる事無く、当接させる事により、一体的に形成されたブラシ片41を製作できる。また、図10のブラシ片51を使用した場合においては、ブラシ部材52、及びブラシ部材53が、互いに、溶着により接合された平板状の凹部55を有する接合部54を介して、一体的に形成されてあると共に、端部が折りこまれた後、平板状の凹部55を有する接合部54にて、溶着により接合されてある為、ブラシ部材52、及びブラシ部材53の端部の強度を、高く設定できる。その為、耐久性の高いブラシ片51を、製作する事ができる。また、図11のブラシ片61を使用した場合においては、ブラシ部材62、及びブラシ部材63が、互いの端部を当接した後、溶着により接合されてある為、ブラシ部材62、及びブラシ部材63を重ね合わせる必要が無い。その為、ブラシ片61は、使用目的に応じて、厚みを極めて薄く設定する事ができる。
【実施例2】
【0036】
図12、及び図13にて実施例2を示す。図12は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図12において、71はブラシ片、72、73はブラシ部材、74は接合部、75は凹部である。図13は、本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図13において、81はブラシ片、82、83はブラシ部材、84は接合部、85は凹部である。
【0037】
洗車機用洗浄ブラシのブラシ片71は、図12の如く、平板状に形成されたブラシ部材72、及びブラシ部材73により形成されてあると共に、ブラシ部材72、及びブラシ部材73は、互いに接合部74を介して、一体的に形成されてある。また、接合部74は、溶着により接合されてあり、ブラシ部材72の上面には、概円柱形状の凹部75が形成されてある。また、ブラシ部材72の材質には、不織布、及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体にて形成された材質が使用されてある。前記の材質は、一般的には、人工皮革と呼ばれている。また、ブラシ部材73の材質には、合成樹脂発泡体が使用されてある。
【0038】
実施例2の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片71は、上記の如くの、構成となっているので、ブラシ片71は、ブラシ部材72の材質には、人工皮革が使用されてあり、ブラシ部材73の材質には、合成樹脂発泡体が使用されてある為、被洗浄面にたいして、異なる洗浄性を有する前記の2つの材質を、接触させる事ができる。その為、ブラシ片71は、人工皮革が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い洗浄性、高い耐久性、及び合成樹脂発泡体が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い耐久性、価格の低さを、有する事ができる。また、ブラシ片71を、ブラシ部材73の長手方向の中央部にて、折り込んだ後、台座に組付けて使用した場合においては、ブラシ片71は、被洗浄面にたいして、ブラシ部材72が接触した後、ブラシ部材73が接触する構成となる為、被洗浄面にたいするブラシ片71の押込み深さを、設定する事により、使用目的に応じた、最適な洗浄性を設定する事ができる。また、材料の価格が、人工皮革よりも安価な合成樹脂発泡体を使用した場合においては、ブラシ部材72、及びブラシ部材73の材質に人工皮革を使用した場合に比べて、ブラシ片71の価格を、安価にする事ができる。
【0039】
実施例2の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片71は、上記の如くの構成となっているが、ブラシ部材に使用する材質については、上記以外にも、使用目的に応じて、合成樹脂繊維、布、フィルム状樹脂組成物、独立気泡発泡体等を、適時、設定できる。なお、前記の各種材質は、それぞれの特徴を有している為、使用目的に応じて、適時、組合わせて設定する事により、最適のブラシ片を製作する事ができる。例えば、合成樹脂繊維は洗浄性が極めて良好で、洗い残しが少ないが、被洗浄面に傷を付けやすく、洗浄時の音が大きいという特徴を有している。布は不織布、織布、人工皮革等の種類があり、不織布は、被洗浄面に柔らかく接触する為、被洗浄面に傷を付けにくく、洗浄性が良好だが、洗い残しが有り、耐久性が低く、低価格であるという特徴を有している。織布は、被洗浄面に傷を付けにくく、洗浄性が良好だが、洗い残しが有り、耐久性が低く、高価格であるという特徴を有している。人工皮革は、被洗浄面に傷を付けにくく、洗浄性が良好であり、耐久性が高く、高価格であるという特徴を有している。フィルム状樹脂組成物は、洗浄時の音が小さく、被洗浄面に傷を付けにくく、かつ洗浄性が良好だが、毛腰が弱く、耐久性が低いという特徴を有している。合成樹脂発泡体は、耐久性が良好で、被洗浄面に傷を付けにくいが、洗浄性が低く、洗浄時の音が大きいという特徴を有している。
【0040】
次に、図13にて、実施例2の他の実施の形態のブラシ片を説明する。図13のブラシ片81は、平板状に形成されたブラシ部材82、及びブラシ部材83により形成されてあると共に、ブラシ部材82、及びブラシ部材83は、互いに接合部84を介して、一体的に形成されてある。また、接合部84は、溶着により接合されてあり、ブラシ部材82の上面には、概円柱形状の凹部85が形成されてある。また、ブラシ部材82の材質には、不織布、及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体にて形成された材質が使用されてある。前記の材質は、一般的には、人工皮革と呼ばれている。また、ブラシ部材83の材質には、布の一種である不織布が使用されてある。
【0041】
実施例2の他の実施の形態のブラシ片81は、上記の如くの構成となっているので、ブラシ片81は、ブラシ部材82の材質には、人工皮革が使用されてあり、ブラシ部材83の材質には、不織布が使用されてある為、被洗浄面にたいして、異なる洗浄性を有する前記の2つの材質を、接触させる事ができる。その為、ブラシ片81は、人工皮革が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い洗浄性、高い耐久性、及び不織布が有する特徴である、被洗浄面にたいする傷の付けにくさ、高い洗浄性、価格の低さを、有する事ができる。
【実施例3】
【0042】
図14から図15にて実施例3を示す。図14は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図14において、91はブラシ片、92、93はブラシ部材、94は接合部、95は凹部、96は接着層である。図15は、図14の接合部の拡大断面図である。
【0043】
洗車機用洗浄ブラシのブラシ片91は、図14の如く、平板状に形成されたブラシ部材92、及びブラシ部材93により形成されてあると共に、ブラシ部材92、及びブラシ部材93は、互いに接合部94を介して、一体的に形成されてある。また、接合部94は、溶着により接合されてあり、ブラシ部材92の上面には、概円柱形状の凹部95が形成されてある。また、接合部94は、図15の如く、ブラシ部材92、及びブラシ部材93の間に接着層96が形成されてある。また、接着層96の材質としては、ホットメルト接着剤、シアノアクリレート系接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、嫌気性接着剤等、適時、選定する事ができる。また、ホットメルト接着剤は、フィルム状、液状、ゲル状等に形成されてある。
【0044】
次に、ブラシ片91の接合部94を製作する方法について説明する。まず、接着層96を挟み込むようにして、平板状に形成されたブラシ部材92、及びブラシ部材93を、重ね合わせる。次に、重ね合わされたブラシ部材92、及びブラシ部材93にたいして、超音波振動をしているホーンを上部から押付けて、超音波溶着をする。この時、ブラシ部材92の上面が変形する事により凹部95が形成されると共に、接着層96を挟み込むようにして、ブラシ部材92、及びブラシ部材93が溶着されて、接合部94が形成される。
【0045】
実施例3の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片91は、上記の如くの、構成となっているので、ブラシ片91は、ブラシ部材92、及びブラシ部材93が、接着層96を挟み込むようにして、溶着により接合されてある。その為、ブラシ片91は、ブラシ片が複数のブラシ部材を溶着のみにより接合された場合に比べて、より高強度の溶着をすることができ、より強い耐衝撃力、耐引張力、耐加圧力等の高い溶着強度を有する事ができる。また、接着層96の材質として、ホットメルト接着剤を使用した場合においては、ブラシ片91は、ホットメルト接着剤の接着強度を設定することにより、使用目的に応じて、所定の弾性を有すると共に、最適の接着強度を有する接合部94を、形成することができる。その為、ブラシ片91は、被洗浄面に、さまざまな強さで汚れ等が付着している場合であっても、洗い残しが無く、高い洗浄性を発揮できると共に、極めて高い耐久性を有することができる。また、フィルム状に形成されてあるホットメルト接着剤を使用した場合においては、ブラシ片91は、極めて簡易、かつ迅速に、接着剥れ等が発生することの無い、適切な接合部94を形成することができると共に、極めて高い耐久性を有することができる。
【実施例4】
【0046】
図16から図17にて実施例4を示す。図16は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。図16において、101はブラシ片、102、103はブラシ部材、104は接合部、105は凹部である。図17は、図16の接合部を製作する状態を示す拡大断面図である。図17において、16はホーン、27はロータリードラムである。
【0047】
洗車機用洗浄ブラシのブラシ片101は、図16の如く、平板状に形成されたブラシ部材102、及びブラシ部材103により形成されてあると共に、ブラシ部材102、及びブラシ部材103は、互いに接合部104を介して、一体的に形成されてある。また、接合部104は、溶着により接合されてあり、ブラシ部材102の上面には、概格子角柱形状の凹部105が形成されてある。
【0048】
次に、図17にて、ブラシ片101に形成されてある接合部104の製作方法について説明する。まず、ホーン16、及びロータリードラム27の隙間に、重ね合わされたブラシ部材2、及びブラシ部材3を、挿入させる。この時、ホーン16は、超音波振動をしていると共に、ロータリードラム27は、回転している為、ホーン16から発生した摩擦熱により、ブラシ部材102の表面が、ロータリードラム27の外周形状に沿って変形する為、概格子角柱形状の凹部105が形成されると共に、ブラシ部材102、及びブラシ部材103が溶着されて、接合部104が形成される。前記の如くの溶着方法は、一般的には、超音波溶着と呼ばれている。
【0049】
また、溶着は、熱、超音波、高周波、あるいは振動により溶着されてある方法を、使用目的に応じて、適時、選定して使用できる。前記の方法は、一般的には、熱溶着、超音波溶着、高周波溶着、あるいは振動溶着と呼ばれている。次に、前記の溶着方法について説明する。まず、熱溶着とは、被加熱物の外部に設けられた熱源から発生する熱の伝導により加熱して溶着する方法であり、2枚の被加熱物の間に、加熱板を挿入して加熱後、ローラーの加圧により溶着するコテ式、被加熱物にたいしてヒーター線等にて加圧する事により瞬間的に大電流を通電して発熱させて、被加熱物を加熱する事により溶着するインパルス式、被加熱物を上下から挟み込んで加熱する事により溶着する熱板式、2枚の被加熱物の間に、熱風を吹きつけて加熱させた後、ローラーの加圧により溶着する熱風式等の方法がある。また、超音波溶着とは、ホーンと呼ばれる共鳴体から発生する超音波振動を、被加熱物に伝える事により、摩擦熱を発生させて溶着する方法である。また、高周波溶着とは、高周波誘電加熱法と呼ばれる、高周波の電界作用により分子や原子レベルの電位的な運動により被加熱物を発熱させる方法を使用して、溶着する方法である。さらにまた、振動溶着とは、被加熱物の溶着させたい面に、圧力と往復運動により振動を加えて溶着する方法である。
【0050】
実施例4の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片101は、上記の如くの構成となっているので、ブラシ片101は、ブラシ部材102の上面に概格子角柱形状の凹部105を有して溶着により接合部104が形成されてある。その為、ブラシ片101の接合部104を、概格子角柱形状の凹部105を有して、連続的、かつ広い範囲の面を、溶着にて形成する事ができる。また、溶着の方法として、コテ式の熱溶着を使用した場合においては、風合いが美しい溶着をする事ができると共に、シート状、あるいはフィルム状のブラシ部材にたいして、好適に溶着をする事ができる。また、インパルス式の熱溶着を使用した場合においては、溶着時にのみ通電する事ができる為、電力の消費量を削減する事ができる。また、熱板式の熱溶着を使用した場合においては、ブラシ部材の材質が限定される事無く、好適に溶着をする事ができる。また、熱風式の熱溶着を使用した場合においては、ブラシ部材の形状が曲線形状であっても、好適に溶着をする事ができる。また、超音波溶着を使用した場合においては、ブラシ部材が異なる材質、あるいは多層構造の場合であっても、好適に溶着をする事ができる。また、摩擦熱による溶着の為、接合部の過度な温度上昇が無く、溶着によるブラシ部材の材質の劣化を防止できる。また、高周波溶着を使用した場合においては、溶着する部分のみを短時間にて内部加熱できる為、風合いが美しい溶着をする事ができる。さらにまた、振動溶着を使用した場合においては、複数のブラシ部材を高い溶着強度、及び高い気密性にて溶着する必要がある場合においても、好適に溶着をする事ができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片は、主に、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載する洗浄ブラシのブラシ片として使用する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図2】 図1の接合部の拡大断面図である。
【図3】 図1の接合部を製作する状態を示す拡大断面図である。
【図4】 図1のブラシ片を使用した洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。
【図5】 図1のブラシ片を使用した他の洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。
【図6】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図7】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図8】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図9】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図10】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図11】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図12】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図13】 本発明の他の実施の形態の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図14】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図15】 図14の接合部の拡大断面図である。
【図16】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図である。
【図17】 図16の接合部を製作する状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1、11、21、31、41、51、61、71、81、91、101 ブラシ片
2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102 ブラシ部材
3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103 ブラシ部材
4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104 接合部
5、15、25、35、45、48、55、65、75、85、95、105 凹部
6、16 ホーン 7 基台 8、18 洗車機用洗浄ブラシ 9、19 台座
10、20 止め金具 17 溝部 27 ロータリードラム 30 スリット
46 ブラシ部材 47 接合部 60 チャンネルブラシ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車洗浄用あるいは車両洗浄用の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片において、前記洗浄ブラシのブラシ片は複数のブラシ部材により形成されてあると共に、前記複数のブラシ部材は互いに溶着により接合された接合部を介して一体的に形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記複数のブラシ部材は異なる材質により形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項3】
請求項1あるいは2記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記接合部は、前記複数のブラシ部材の間に接着層が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項4】
請求項1から3記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記溶着は熱、超音波、高周波、あるいは振動により溶着されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項1】
自動車洗浄用あるいは車両洗浄用の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片において、前記洗浄ブラシのブラシ片は複数のブラシ部材により形成されてあると共に、前記複数のブラシ部材は互いに溶着により接合された接合部を介して一体的に形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記複数のブラシ部材は異なる材質により形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項3】
請求項1あるいは2記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記接合部は、前記複数のブラシ部材の間に接着層が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【請求項4】
請求項1から3記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ片において、前記溶着は熱、超音波、高周波、あるいは振動により溶着されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ片。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−158927(P2006−158927A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382406(P2004−382406)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】
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