説明

洗車機

【課題】被洗浄車両の洗浄中、被洗浄車両の中にいるユーザに対して圧迫感や恐怖感を解消するとともに、被洗浄車両の洗浄への開始も短くし、使い易く、利便性の高い洗車機を提供する。
【解決手段】被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、前記被洗浄車両の洗車を行う洗車機であって、前記被洗浄車両の上面を洗浄するトップブラシを備え、前記被洗浄車両の中央部P3から前端部P4へ向かって前記トップブラシを移動して洗浄する第1の洗浄工程Q34と、前記被洗浄車両の中央部P3から後端部P5へ向かって前記トップブラシを移動して洗浄する第2の洗浄工程Q35と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給油所などに設置されている洗車機は、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、被洗浄車両に貯液タンクに貯留された液剤や洗浄水を噴霧して洗車を行う構成とされている。また、セルフサービスの場合には、ユーザが被洗浄車両の中で待機しながら、液剤や洗浄水を噴霧しながらブラッシングして洗浄することや、洗浄後に風を吹き付けて乾燥することが行われている。
【0003】
上記のような洗車を行う際、ユーザは被洗浄車両の中で待機している。そして、被洗浄車両のフロントガラスを洗浄する際、ユーザの目の前に近づく方向にトップブラシが通って洗浄するため、ユーザへ圧迫感や恐怖感を与えるという問題がある。
【0004】
そこで、被洗浄車両の洗浄中、被洗浄車両の中にいるユーザに対して、被洗浄車両の後ろから洗浄し、ユーザの目の前から近づかないように洗浄することで、圧迫感や恐怖感を軽減する洗車機が開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−329806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献では、洗車機を前進させて、ビームセンサー(センサー部材)の前において、洗浄手段を停止させてから車形全体を検出する。その後、洗車機を後進させて、被洗浄車両の後方から洗車工程が実行される。このような動作の場合、必ず最初にビームセンサー10を用いて洗浄手段を停止させてから車形を検出する工程が必要となり、洗車が始まるまでにユーザを待たせてしまうという問題がある。また、被洗浄車両の車種や装備品の有無によっては、ビームセンサー10の数を多くしなければならないことがある。さらに、被洗浄車両の装備品の有無によっては、ビームセンサーがうまく認識せず、洗車工程開始までの時間をさらに要するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明が斯かる問題点を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、被洗浄車両の洗浄中、被洗浄車両の中にいるユーザに対して圧迫感や恐怖感を解消するとともに、被洗浄車両の洗浄への開始も短くし、使い易く、利便性の高い洗車機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、前記被洗浄車両の洗車を行う洗車機であって、前記被洗浄車両の上面を洗浄するトップブラシを備え、前記被洗浄車両の中央部から前端部へ向かって前記トップブラシを移動して洗浄する第1の洗浄工程と、前記被洗浄車両の中央部から後端部へ向かって前記トップブラシを移動して洗浄する第2の洗浄工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成によると、洗車機には前記被洗浄車両の上面を洗浄するトップブラシを備える。そして、前記被洗浄車両の中央部から前端部へ向かって前記トップブラシを移動して洗浄する第1の洗浄工程と、前記被洗浄車両の中央部から後端部へ向かって前記トップブラシを移動して洗浄する第2の洗浄工程とに分けて洗浄する。
【0010】
このような前記トップブラシを制御することで、ユーザが被洗浄車両の中で待機していても、被洗浄車両のフロントガラスを洗浄する際、ユーザの頭上から被洗浄車両の前端部へと移動し、ユーザの目の前に近づく方向にトップブラシが通って洗浄しないため、圧迫感や恐怖感を与えない。また、前記被洗浄車両の中央部から前端部へ向かって前記トップブラシを移動して洗浄する第1の洗浄工程の後に、前記被洗浄車両の中央部から後端部へ向かって前記トップブラシを移動して洗浄する第2の洗浄工程によって洗浄される。洗浄を開始する前に、センサによって被洗浄車両全体の検知を行う必要が無いため、被洗浄車両の洗浄への開始も短くなる。このため、使い易く、利便性の高い洗車機を提供することができる。
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、前記第1の洗浄工程は、前記トップブラシと前記被洗浄車両とが接触する洗浄開始位置から前記被洗浄車両の前端部へ向かって洗浄し、前記第2の洗浄工程は、前記洗浄開始位置から前記被洗浄車両の後端部へ向かって洗浄し、前記第1の洗浄工程の前に、前記被洗浄車両の斜め上前方の待機位置から、前記トップブラシを前記被洗浄車両の中央部上方へ移動し、前記中央部上方から下方の前記洗浄開始位置へと移動する第1の洗浄体移動工程を設け、前記第1の洗浄工程と前記第2の洗浄工程との間に、前記被洗浄車両の前端部から前記待機位置へと移動する第2洗浄体移動工程と、前記第1の洗浄体移動工程と、を設けたことを特徴とする。
【0012】
この構成によると、前記被洗浄車両の斜め上前方の待機位置から、前記トップブラシを前記被洗浄車両の中央部上方へ移動し、前記中央部上方から下方の前記洗浄開始位置へと移動する第1の洗浄体移動工程がある。その後には、前記トップブラシと前記被洗浄車両とが接触する洗浄開始位置から前記被洗浄車両の前端部へ向かって洗浄する前記第1の洗浄工程がある。前記第1の洗浄工程の後は、前記被洗浄車両の前端部から待機位置へと移動する第2の洗浄体移動工程があり、その後、再度前記第1の洗浄体移動工程がある。そして、前記洗浄開始位置から前記被洗浄車両の後端部へ向かって洗浄する前記第2の洗浄工程がある。
【0013】
このように前記トップブラシの移動を制御することで、ユーザが被洗浄車両の中で待機していても、被洗浄車両のフロントガラスを洗浄する際、ユーザの頭上から被洗浄車両の前端部へと移動する。ユーザの目の前に近づく方向にトップブラシが通って洗浄しないため、圧迫感や恐怖感を与えない。また、洗浄前に、センサによって被洗浄車両の全体の検知も必要としないため、被洗浄車両の洗浄の開始も短くなる。このため、使い易く、利便性の高い洗車機を提供することができる。
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、前記第1の洗浄工程と前記第2の洗浄工程とを含む安心洗浄工程に加えて、さらに前記被洗浄車両の前端部から後端部へ向かって直線的に洗浄する直線的洗浄工程を備え、ユーザの所定の操作により前記安心洗浄工程と前記直線的洗浄工程とを選択可能としたことを特徴とする。
【0015】
この構成によると、ユーザの用途に応じた洗浄方法が選択でき、使い易く、利便性の高い洗車機を提供することができる。
【0016】
尚、ここでいうユーザ(使用者と同義)とは、洗車機WAを操作することのできる全ての人のことを指すものである。つまり、自動車のユーザという意味に限定されるものではなく、洗車事業者(例えばガソリンスタンドの店員等)や、自動車ディーラ、洗車機メーカ、自動車用部品販売業者などを含むものである。
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、前記被洗浄車両の乾燥を行う洗車機であって、前記被洗浄車両の上面を乾燥するトップ送風部を備え、前記被洗浄車両の中央部から前端部へ向かって前記トップ送風部を移動して乾燥する第1の乾燥工程と、前記被洗浄車両の中央部から後端部へ向かって前記トップ送風部を移動して乾燥する第2の乾燥工程と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この構成によると、洗車機には前記被洗浄車両の上面を乾燥するトップ送風部を備える。そして、前記被洗浄車両の中央部から前端部へ向かって前記トップ送風部を移動して乾燥する第1の乾燥工程と、前記被洗浄車両の中央部から後端部へ向かって前記トップ送風部を移動して乾燥する第2の乾燥工程とに分けて乾燥する。
【0019】
このように前記トップ送風部を制御することで、ユーザが被洗浄車両の中で待機していても、被洗浄車両のフロントガラスを乾燥する際、ユーザの頭上から被洗浄車両の前端部へと移動し、ユーザの目の前に近づく方向にトップ送風部が通って乾燥しないため、圧迫感や恐怖感を与えない。また、前記被洗浄車両の中央部から前端部へ向かって前記トップ送風部を移動して乾燥する第1の乾燥工程の後に、前記被洗浄車両の中央部から後端部へ向かって前記トップ送風部を移動して乾燥する第2の乾燥工程によって乾燥される。このため、使い易く、利便性の高い洗車機を提供することができる。
【0020】
上記目的を達成するために本発明は、前記第1の乾燥工程は、前記トップ送風部と前記被洗浄車両とが近接する乾燥開始位置から前記被洗浄車両の前端部へ向かって乾燥し、前記第2の乾燥工程は、前記乾燥開始位置から前記被洗浄車両の後端部へ向かって乾燥し、前記第1の乾燥工程の前に、前記被洗浄車両の斜め上前方の待機位置から、前記トップ送風部を前記被洗浄車両の中央部上方へ移動し、前記中央部上方から下方の前記乾燥開始位置へと移動する第1の乾燥体移動工程を設け、前記第1の乾燥工程と前記第2の乾燥工程との間に、前記被洗浄車両の前端部から前記待機位置へと移動する第2の乾燥体移動工程と、前記第1の乾燥体移動工程と、を設けたことを特徴とする。
【0021】
このように前記トップ送風部の移動を制御することで、ユーザが被洗浄車両の中で待機していても、被洗浄車両のフロントガラスを乾燥する際、ユーザの頭上から被洗浄車両の前端部へと移動する。ユーザの目の前に近づく方向にトップ送風部が通って乾燥しないため、圧迫感や恐怖感を与えない。このため、使い易く、利便性の高い洗車機を提供することができる。
【0022】
上記目的を達成するために本発明は、前記第1の乾燥工程と前記第2の乾燥工程とを含む安心乾燥工程に加えて、さらに前記被洗浄車両の前端部から後端部へ向かって直線的に乾燥する直線的乾燥工程を備え、ユーザの所定の操作により前記安心乾燥工程と前記直線的乾燥工程とを選択可能としたことを特徴とする。
【0023】
この構成によると、ユーザの用途に応じた乾燥方法が選択でき、使い易く、利便性の高い洗車機を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、被洗浄車両の洗浄中、被洗浄車両の中にいるユーザに対して圧迫感や恐怖感を解消するとともに、被洗浄車両の洗浄への開始も短くし、使い易く、利便性の高い洗車機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】洗車機一台の全体構成を示す側面図である。
【図2】洗車機一台の全体構成を示す正面図である。
【図3】操作パネルを示す図である。
【図4】本発明に係る洗車機の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る洗車機の洗浄工程を示す図である。
【図6】本発明に係る洗車機の洗浄工程を示す図である。
【図7】本発明に係る洗車機の乾燥工程を示す図である。
【図8】本発明に係る洗車機の乾燥工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
給油所などに設置されている洗車機は、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、被洗浄車両に貯液タンクに貯留された液剤や洗浄水を噴射して洗車を行う構成とされている。また、液剤や洗浄水を噴射しながらブラッシングして洗浄することや、洗浄後に乾燥用空気を吹き付けて乾燥することが行われている。
【0027】
洗浄工程においては、先ず、洗浄水を用いて汚れを落とし、次いでシャンプーなどの液剤を用いて洗浄し、さらに洗浄水を用いて水洗いする。この洗浄工程の後で、各送風ノズルから送風して乾燥する乾燥工程が行われる。また、必要に応じてワックスや撥水コートなどの液剤塗布工程を適宜組み合わせて洗車を行う。このように、洗車の際に用いる液剤としては、各種のシャンプーやワックスやコート類が用いられており、それぞれ専用の貯液タンクに貯留され、タンク内に挿入されたチューブを介して、洗車工程の処理に応じて噴射され消費される。また、複数の洗車モードから所望のモードを選択し、使用する液剤の種類を選択して所定の洗車モードに設定する操作パネルやリモートパネルを備えている。操作パネルは洗車機本体に配設しているが、リモートパネルは洗車機本体から離れた位置に設置して、このリモートパネルと操作パネルとを電気的に接続して、リモートパネルに設定された洗車モードにより、洗車機を駆動可能にしている。
【0028】
一例として、図1及び図2を用いて説明する。この洗車機WAは、複数のブラシを備える洗浄部材と、ブロワと複数の送風ノズルを備える乾燥部材とを装着し、被洗浄車両CAを跨ぐように門型とされる洗車機本体1を備えた構成であり、被洗浄車両CAと洗車機本体1を前後方向に相対移動させながら、複数の貯液タンクに貯留された液剤をそれぞれ水により希釈して前記被洗浄車両CAへ噴霧して、前記被洗浄車両CAの洗車を行う。
【0029】
洗車機本体1が、車輪3を介してレール2上に沿って走行移動する構成とし、被洗浄車両CAを、該被洗浄車両CAを跨ぐ門型とされる洗車機の左右一対のレール間の所定の位置に停車して、洗車機本体1に設置する操作パネル(操作部と同義)7やリモートパネル7Aから、所望の洗車モードを設定し、スタートボタンを操作して、洗車操作を開始する。
【0030】
門型の洗車機本体1は、被洗浄車両CAを洗浄するブラシとして、例えば、被洗浄車両CAの上面を洗浄するトップブラシ4と、被洗浄車両CAの両側面と前後面を洗浄する左右一対のサイドブラシ5と、被洗浄車両CAの両側面下部を洗浄する左右一対のロッカーブラシ6を備えている。トップブラシ4は、ブラシ軸(不図示)と該ブラシ軸に取付けられたブラシ毛、あるいは布(織布、編布および不織布が該当する)から作られ、図示しない支持装置を介して昇降自在で回転可能に支持されている。
【0031】
また、ブラッシングの際に使用する洗浄水や各種液剤を噴霧する各種ノズルや各種液剤を貯液する貯液タンクを備えている。各種液剤を貯液する複数の貯液タンクは、洗車機本体1に設けられるタンク収納部50に収納されており、電磁式の開閉弁と副給水ホースを備える分配配管部51を介して各ノズルに分配している。液剤を噴霧するノズルとしては、例えば、第一浄水ノズル11、第一洗剤ノズル12、第二浄水ノズル13、撥水コートノズル14、第二洗剤ノズル15、ワックスノズル16などが配設されている。
【0032】
また、乾燥のために、ブロワ20と該ブロワ20からの送風を吹き付ける昇降自在なトップ送風ノズル(トップ送風部)21と左右一対のサイド送風ノズル22を備えている。
また、洗車機本体1に配設する操作パネル7を介して、洗車機WAの駆動条件を設定し、設定された条件に基づいて洗車機WAを駆動する構成としている。
【0033】
洗車機本体1に配設する操作パネル7、もしくは、洗車機本体1から離れた位置に設置するリモートパネル7Aを介して、洗車機WAの駆動条件を設定し、設定された条件に基づいて洗車機WAを駆動する構成としている。
【0034】
8は、被洗浄車両CAの有無および車高を検知するセンサであって、例えば、光電センサや超音波を利用したソニックセンサが好適に用いられる。ボンネット高さ検知センサ8に替えて透過式光電センサからなる車形検出センサ(不図示)を用いることもできる。この場合には、洗車機本体の一方の側部の上下方向に投光器を併設し、これらの投光器に対向する他方の側部の上下方向に受光器を併設することで、洗浄位置に進入してくる被洗浄車両CAの車形およびボンネット高さを検知する。
【0035】
操作パネル7やリモートパネル7Aには、水洗いモードや、洗剤を用いた洗浄モードや、ワックスを塗布するワックスモードや、撥水剤をコートする撥水モードなどの各種洗車モードを選択する選択ボタンや、ブラシの回転数を制御するブラシ回転スイッチや、スタート・ストップボタンなどが設けられている。
【0036】
また、洗車機本体1を、洗浄部材を備えた洗浄機本体と乾燥部材を備えた乾燥機本体との別体として、それぞれが、被洗浄車両CAを跨ぐように門型とされ、被洗浄車両CAと洗浄機本体と乾燥機本体とを前後方向に相対移動させながら、被洗浄車両CAの洗車を行う構成の洗車機も知られている。この構成であっても、各種ブラシと各種ノズルを備え、操作パネル7もしくはリモートパネル7Aを備えていることは同じである。
【0037】
上記した洗車機WAにおいては、一台の洗車機に一台の操作パネル7が配設された1:1構成とされていて、洗車の際には、車種に適応した洗車モードや使用者が所望する洗車モードに設定する必要がある。そのために、操作パネル7に、ユーザ(使用者と同義)もしくは洗車スタッフが所定の洗車モードを選択して設定している。
【0038】
図3は洗車動作などを設定する操作パネル(操作部)7の一部である。操作パネル7からユーザは洗車機WAの洗車モードなどを設定することができる。
【0039】
操作パネル7の正面側には、返却レバー、コイン投入口、紙幣投入口(不図示)を設けている。また、音声出力を行うスピーカ(不図示)が設けられており、洗車モードの設定操作の内容や手順を案内する音声ガイド、もしくは、注意事項などの音声ガイドを出力可能としている。
【0040】
また、操作パネル7には、投入された金額を表示する金額表示部70、各種の洗車モードに対応する設定ボタン71が設けられている。設定ボタン71には、例えば、シャンプーを行うボタン、ワックス掛けを行うボタン、撥水コートを行うボタン、第2(高級)シャンプー、第2(高級)ワックス、第2(高級)撥水コートや特殊なコートを行う選択ボタンを設ける構成としている。
【0041】
さらに、操作パネル7には、装備品設定ボタン72を備える。装備品設定ボタン72として、例えば、該当装備品なしボタン、フロントガードありボタン、フェンダーポールありボタン、ドアミラーありボタン、リヤワイパーありボタンなどが設けられている。
【0042】
また、通常の洗浄を行う通常洗車コースボタン73と、被洗浄車両CAの中にいるユーザに対して圧迫感や恐怖感を解消する洗浄を行う安心洗浄コースボタン74と、を備える。つまり、通常洗車コースボタン73を押下すれば、図6に示すように被洗浄車両CAの前端部P4から後端部P5へ向かって直線的に洗浄する直線的洗浄工程を選択できる。一方、安心洗浄コースボタン74を押下すれば、図5に示すように、被洗浄車両CAの中央部P3から前端部P4へ向かってトップブラシ4を移動して洗浄する第1の洗浄工程Q34と、被洗浄車両CAの中央部P3から後端部P5へ向かってトップブラシ4を移動して洗浄する第2の洗浄工程Q35と、を備えた安心洗浄工程を選択できる。直線的洗浄工程と安心洗浄工程の動作については後述する。
【0043】
以上のように第1の洗浄工程Q34と第2の洗浄工程Q35とを含む安心洗浄工程に加えて、さらに被洗浄車両の前端部P4から後端部P5へ向かって直線的に洗浄する直線的洗浄工程を備え、ユーザの所定の操作により前記安心洗浄工程と前記直線的洗浄工程とを選択可能としている。このため、使い易く、利便性の高い洗車機を提供することができる。
【0044】
また、通常の乾燥を行う通常乾燥コースボタン75と被洗浄車両CAの中にいるユーザに対して圧迫感や恐怖感を解消する乾燥を行う安心乾燥コースボタン76と、を備える。つまり、通常乾燥コースボタン75押下すれば、通常洗車コースボタン73を押下したのと同様、図8に示すように、被洗浄車両CAの前端部PP4から後端部PP5へ向かって直線的に乾燥する直線的乾燥工程を選択できる。一方、安心乾燥コースボタン76を押下すれば、安心洗浄コースボタン74を押下したのと同様、図7に示すように、被洗浄車両CAの中央部PP3から前端部PP4へ向かって、トップ送風ノズル(トップ送風部と同義)21を移動して乾燥する第1の乾燥工程QQ34と、被洗浄車両CAの中央部PP3から後端部PP5へ向かってトップ送風ノズル21を移動して乾燥する第2の乾燥工程QQ35と、を備えた安心乾燥工程を選択できる。
【0045】
以上のように、安心乾燥工程と、直線的乾燥工程と、を備え、ユーザの操作部7の押下操作により安心洗乾燥程と直線的乾燥工程とを選択可能としている。このため、使い易く、利便性の高い洗車機を提供することができる。
【0046】
また、洗車開始ボタン77や、洗車開始後に洗車を停止するストップボタン77を操作パネル7に備えている。上記のボタンの配置は一例であって、各種動作の設定を行い、共通のスタートボタンによって開始してもよい。
【0047】
次に図4に示すフローチャートを用いて、操作パネル7による操作によって洗車機本体1の洗車動作について説明する。
【0048】
ステップS1では、被洗浄車両CAが洗車機本体1へ進入して洗浄位置へ停車する。
【0049】
ステップS2では、ユーザが操作パネル(操作部)7から洗浄や乾燥などの所定の操作を行う。この際、洗浄の設定の場合、例えば、報知部(不図示)から「通常洗浄コースと安心洗浄コースがあります。安心洗浄コースは通常洗浄コースに比べて、洗浄による圧迫感や恐怖感を軽減できる洗浄コースです。一方、通常洗浄コースはこれまでの洗浄方法で、安心洗浄コースより早く洗浄できます。」等の洗浄としてのアナウンスが報知されてもよい。
【0050】
さらに、例えば、報知部(不図示)から「通常乾燥コースと安心乾燥コースがあります。安心乾燥コースは通常乾燥コースに比べて、乾燥による圧迫感や恐怖感を軽減できる乾燥コースです。一方、通常乾燥コースはこれまでの乾燥方法で、安心乾燥コースより早く乾燥できます。」等の乾燥としてのアナウンスが報知されてもよい。
【0051】
ステップS3では、洗車機本体1は被洗浄車両CAの洗浄を開始する。
【0052】
ステップS4では、ユーザが安心洗浄工程を選択したか否かが判断される。安心洗浄工程は、ユーザが安心洗浄コースボタン74を選択した場合に実施される洗浄工程である。一方、通常洗浄コースボタン73を選択した場合には、直線的洗浄工程が実施される。
【0053】
ステップS5では、安心洗浄工程が実施される。安心洗浄工程について図5を用いてさらに説明する。トップブラシ4は、まず第1の洗浄体移動工程Q123として、被洗浄車両CAの斜め上前方の待機位置P1から、トップブラシ4を被洗浄車両CAの中央部上方P2へ移動し、前記中央部上方P2から下方の洗浄開始位置P3へと移動する。中央部上方P2や洗浄開始位置P3はセンサ8や車形検出センサなどの所定のセンサによって検出する。
【0054】
次に、前記第1の洗浄工程Q34が始まり、具体的には、トップブラシ4と被洗浄車両CAとが接触する洗浄開始位置P3から被洗浄車両CAの前端部P4へ向かって洗浄する。このように、被洗浄車両CAの中にいるユーザに対して、後ろから洗浄するのでトップブラシ4による圧迫感や恐怖感を解消することができる。
【0055】
次に、第2の洗浄体移動工程Q41として、被洗浄車両CAの前端部P4から待機位置P1へと移動するとともに、その後、再度第1の洗浄体移動工程Q123のように移動する。即ち、被洗浄車両CAの斜め上前方の待機位置P1から、トップブラシ4を被洗浄車両CAの中央部上方P2へ移動し、前記中央部上方P2から下方の洗浄開始位置P3へと移動する。
【0056】
次に、第2の洗浄工程Q35として、洗浄開始位置P3から前記被洗浄車両CAの後端部P5へ向かって洗浄する。その後は、トップブラシ4は待機位置P1へ配置される。このように、被洗浄車両CAの中にいるユーザに対して、ユーザの目の前から近づかず、後ろから洗浄するのでトップブラシ4による圧迫感や恐怖感を解消することができる。また、洗浄を前端部P4と後端部P5へと分けて行い、被洗浄車両CAの全ての車形を検知する必要はないため、被洗浄車両CAの洗浄への開始も短くし、使い易く、利便性の高い洗車機を提供できる。
【0057】
ステップS6では、直線的洗浄工程が実施される。図6を用いて直線的洗浄工程を説明する。トップブラシ4は、待機位置P1から被洗浄車両CAの前端部P4へと移動する。そして、前端部P4から後端部P5へと被洗浄車両CAの表面にそって、直線的に洗浄を行う。このようにトップブラシ4は、被洗浄車両CAの前端部P4から洗浄するのでトップブラシ4による圧迫感や恐怖感を解消できないが、洗浄及び移動工程が単純なため、安心洗浄工程に比べて早期に洗浄を終了することができる。
【0058】
ステップS7では、洗浄を終了する。上記のように、前記第1の洗浄工程Q34と前記第2の洗浄工程Q35とを含む安心洗浄工程と、前記被洗浄車両CAの前端部P4から後端部P5へ向かって直線的に洗浄する直線的洗浄工程と、を備え、ユーザの所定の操作により前記安心洗浄工程と前記直線的洗浄工程とを選択可能としたため、ユーザの用途に応じた洗浄方法が選択でき、使い易く、利便性の高い洗車機を提供することができる。
【0059】
ステップS8からは、乾燥工程が開始する。ステップS1〜S7では洗浄工程について説明したが、ステップS8〜S12については乾燥工程について説明する。洗浄工程同様に乾燥工程においても、ユーザが被洗浄車両CAの中で待機しているため、被洗浄車両CAのフロントガラスなどを乾燥する際、ユーザの頭上から被洗浄車両の前端部PP4へと移動する。このため、ユーザの目の前に近づく方向にトップ送風ノズルが通って乾燥しないため、圧迫感や恐怖感を与えない。そこで、本発明では、被洗浄車両CAの乾燥中、被洗浄車両CAの中にいるユーザに対して圧迫感や恐怖感を解消することができる。
【0060】
洗浄工程の場合はトップブラシ4がユーザに対して圧迫感や恐怖感を与えることになったが、乾燥工程においては、トップ送風ノズル(トップ送風部)21がユーザに対して圧迫感や恐怖感を与えることになる。このため、適宜省略して以下説明する。
【0061】
ステップS9では、ユーザが安心乾燥工程を選択したか否かが判断される。安心乾燥工程は、ユーザが安心乾燥コースボタン76を選択した場合に実施される乾燥工程である。一方、通常乾燥コースボタン75を選択した場合には、直線的乾燥工程が実施される。
【0062】
ステップS10では、安心乾燥工程が実施される。安心乾燥工程について図7を用いてさらに説明する。トップ送風ノズル21は、まず第1の乾燥体移動工程QQ123として、被洗浄車両CAの斜め上前方の待機位置PP1から、トップ送風ノズル21を被洗浄車両CAの中央部上方PP2へ移動し、前記中央部上方PP2から下方の乾燥開始位置PP3へと移動する。
【0063】
次に、前記第1の乾燥工程QQ34が始まり、具体的には、トップ送風ノズル21と被洗浄車両CAとが近接する乾燥開始位置PP3から被洗浄車両CAの前端部PP4へ向かって乾燥する。このように、被洗浄車両CAの中にいるユーザに対して、ユーザの目の前から近づかず、後ろから乾燥するのでトップ送風ノズル21による圧迫感や恐怖感を解消することができる。
【0064】
次に、第2の乾燥体移動工程QQ41として、被洗浄車両CAの前端部PP4から待機位置PP1へと移動する。その後、再度第1の乾燥体移動工程QQ123として移動する。即ち、被洗浄車両CAの斜め上前方の待機位置PP1から、トップ送風ノズル21を被洗浄車両CAの中央部上方PP2へ移動し、前記中央部上方PP2から下方の乾燥開始位置PP3へと移動する。
【0065】
次に、第2の乾燥工程QQ35として、乾燥開始位置PP3から前記被洗浄車両CAの後端部PP5へ向かって乾燥する。その後は、トップ送風ノズル21は待機位置PP1へ配置される。このように、被洗浄車両CAの中にいるユーザに対して、後ろから乾燥するのでトップ送風ノズル21による圧迫感や恐怖感を解消することができる。このため、使い易く、利便性の高い洗車機を提供できる。
【0066】
ステップS11では、直線的乾燥工程が実施される。図8を用いて直線的乾燥工程を説明する。トップ送風ノズル21は、待機位置PP1から被洗浄車両CAの前端部PP4へと移動する。そして、前端部PP4から後端部PP5へと被洗浄車両CAの表面にそって、直線的に乾燥を行う。このようにトップ送風ノズル21は、被洗浄車両CAの前端部PP4から乾燥するのでトップ送風ノズル21による圧迫感や恐怖感を解消できないが、乾燥及び移動工程が単純なため、安心乾燥工程に比べて早期に乾燥を終了することができる。
【0067】
ステップS12では、乾燥工程を終了する。
【0068】
以上よりフローチャートによる説明を終了する。
【0069】
上記の通り、被洗浄車両CAと洗車機本体1を前後方向に相対移動させながら、前記被洗浄車両の洗車を行う洗車機WAであって、前記被洗浄車両CAの上面を洗浄するトップブラシ4を備え、前記被洗浄車両CAの中央部P3から前端部P4へ向かって前記トップブラシ4を移動して洗浄する第1の洗浄工程Q34と、前記被洗浄車両CAの中央部P3から後端部P5へ向かって前記トップブラシ4を移動して洗浄する第2の洗浄工程Q35と、を備えた。
【0070】
このため、被洗浄車両CAの洗浄中、被洗浄車両CAの中にいるユーザに対して圧迫感や恐怖感を解消するとともに、被洗浄車両CAの洗浄への開始も短くし、使い易く、利便性の高い洗車機を提供できる。
【0071】
なお、上記した洗車機WAの構成はいずれも例示であり、洗車の種類に対応して種々の構成の採用が可能である。また、本発明の適用対象は洗車目的に限られるものではなく一般の各種洗浄装置においても採用が可能である。
【0072】
例えば直線的洗浄工程や直線的乾燥工程は前端部から後端部への動作だったが、直線的な工程であればよく、後端部から前端部であってもよい。
【0073】
またトップ送風部21はトップ送風ノズルに限定するものではなく、洗浄の後にユーザの目の前から向かって来て、恐怖感や圧迫感を与えるように送風される部材であればよい。
【符号の説明】
【0074】
1 洗車機本体
2 レール
3 車輪
4 トップブラシ
5 サイドブラシ
6 ロッカーブラシ
7 操作パネル
8 センサ
20 ブロワ
21 トップ送風部(トップ送風ノズル)
70 金額表示部
71 設定ボタン
72 装備品設定ボタン
73 通常洗浄コースボタン
74 安心洗浄コースボタン
75 通常乾燥コースボタン
76 安心乾燥コースボタン
77 洗車開始ボタン
78 ストップボタン
CA 被洗浄車両
WA 洗車機
Q34 第1の洗浄工程
Q35 第2の洗浄工程
Q123 第1の洗浄体移動工程
Q41 第2の洗浄体移動工程
QQ34 第1の乾燥工程
QQ35 第2の乾燥工程
QQ123 第1の乾燥体移動工程
QQ41 第2の乾燥体移動工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、前記被洗浄車両の洗車を行う洗車機であって、
前記被洗浄車両の上面を洗浄するトップブラシを備え、
前記被洗浄車両の中央部から前端部へ向かって前記トップブラシを移動して洗浄する第1の洗浄工程と、
前記被洗浄車両の中央部から後端部へ向かって前記トップブラシを移動して洗浄する第2の洗浄工程と、
を備えたことを特徴とする洗車機。
【請求項2】
前記第1の洗浄工程は、前記トップブラシと前記被洗浄車両とが接触する洗浄開始位置から前記被洗浄車両の前端部へ向かって洗浄し、
前記第2の洗浄工程は、前記洗浄開始位置から前記被洗浄車両の後端部へ向かって洗浄し、
前記第1の洗浄工程の前に、前記被洗浄車両の斜め上前方の待機位置から、前記トップブラシを前記被洗浄車両の中央部上方へ移動し、前記中央部上方から下方の前記洗浄開始位置へと移動する第1の洗浄体移動工程を設け、
前記第1の洗浄工程と前記第2の洗浄工程との間に、前記被洗浄車両の前端部から前記待機位置へと移動する第2洗浄体移動工程と、前記第1の洗浄体移動工程と、を設けたことを特徴とする請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記第1の洗浄工程と前記第2の洗浄工程とを含む安心洗浄工程に加えて、さらに前記被洗浄車両の前端部から後端部へ向かって直線的に洗浄する直線的洗浄工程を備え、
ユーザの所定の操作により前記安心洗浄工程と前記直線的洗浄工程とを選択可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の洗車機。
【請求項4】
被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、前記被洗浄車両の乾燥を行う洗車機であって、
前記被洗浄車両の上面を乾燥するトップ送風部を備え、
前記被洗浄車両の中央部から前端部へ向かって前記トップ送風部を移動して乾燥する第1の乾燥工程と、
前記被洗浄車両の中央部から後端部へ向かって前記トップ送風部を移動して乾燥する第2の乾燥工程と、
を備えたことを特徴とする洗車機。
【請求項5】
前記第1の乾燥工程は、前記トップ送風部と前記被洗浄車両とが近接する乾燥開始位置から前記被洗浄車両の前端部へ向かって乾燥し、
前記第2の乾燥工程は、前記乾燥開始位置から前記被洗浄車両の後端部へ向かって乾燥し、
前記第1の乾燥工程の前に、前記被洗浄車両の斜め上前方の待機位置から、前記トップ送風部を前記被洗浄車両の中央部上方へ移動し、前記中央部上方から下方の前記乾燥開始位置へと移動する第1の乾燥体移動工程を設け、
前記第1の乾燥工程と前記第2の乾燥工程との間に、前記被洗浄車両の前端部から前記待機位置へと移動する第2の乾燥体移動工程と、前記第1の乾燥体移動工程と、を設けたことを特徴とする請求項1に記載の洗車機。
【請求項6】
前記第1の乾燥工程と前記第2の乾燥工程とを含む安心乾燥工程に加えて、さらに前記被洗浄車両の前端部から後端部へ向かって直線的に乾燥する直線的乾燥工程を備え、
ユーザの所定の操作により前記安心乾燥工程と前記直線的乾燥工程とを選択可能としたことを特徴とする請求項4又は5に記載の洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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