説明

洗車機

【課題】 本発明の課題は、側面ブラシを自動車に最適な状態で接触させ、浮き上がりや過接触を防止する洗車機を提供するものである。
【解決手段】 自動車の側面をブラッシング洗浄する左右一対の側面ブラシ4・4と、側面ブラシ4・4を左右方向に移動する開閉装置14と、側面ブラシ4・4を自動車の幅方向に揺動する揺動装置15と、側面ブラシ4・4の揺動角度を検出する揺動角度センサ18と、揺動角度センサ18で検出される揺動角を所定角度に保持するよう開閉装置14を制御する洗車制御部25と、自動車の上面高さを検出する車形検出装置7とを備えた洗車機において、洗車制御部25は、車形検出装置7で検出される自動車の車高に応じて制御する揺動角度θ1〜θ3を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の側面に対して接離自在のサイドブラシを備えた洗車機において、サイドブラシを自動車側面の形状に倣って接触するよう揺動自在にした洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、特許文献1が知られている。この洗車機は、側面ブラシを開閉する開閉機構と、側面ブラシを垂直方向に対し自動車の左右方向に揺動する揺動機構とを備え、側面ブラシを洗浄する自動車の側面に押し付けて所定角度傾斜した姿勢でブラッシング洗浄している。この洗車機には、側面ブラシの傾斜角度を検出する手段として、側面ブラシが第1の所定角度傾斜した位置でスイッチングする第1近接スイッチと、第2の所定角度傾斜した位置でスイッチングする第2近接スイッチとを備え、第1近接スイッチがオンになるまで側面ブラシを車体に接近させるとともに、第2近接スイッチがオンになると側面ブラシを車体から離間させるようにして洗浄が行われる。
【0003】
このような洗車機の場合、側面ブラシは、洗浄する車体部位や車種に関係なく、第1近接スイッチで与えられる第1の所定角度と、第2近接スイッチで与えられる第2の所定角度との範囲に傾斜した状態で保持されることになる。しかしながら、自動車の車高に応じて洗浄に最適な傾斜角度は異なるため、固定した傾斜角度では洗い残しや過接触の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−79455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、側面ブラシを自動車に最適な状態で接触させ、浮き上がりや過接触を防止する洗車機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するため本発明は、自動車の側面をブラッシング洗浄する左右一対の側面ブラシと、側面ブラシを左右方向に移動する開閉手段と、側面ブラシを自動車の幅方向に揺動する揺動手段と、該側面ブラシの揺動角度を検出する揺動角検出手段と、揺動角検出手段で検出される揺動角を所定角度に保持するよう開閉手段を制御する制御手段と、自動車の上面高さを検出する車高検出手段とを備えた洗車機において、前記制御手段は、車高検出手段で検出される自動車の車高に応じて制御する揺動角度を設定するようにしたものである。
【0007】
また、制御手段は、側面ブラシの素材によって制御する揺動角度の設定を調整するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗浄する自動車の高さに応じて側面ブラシを傾斜保持する揺動角度を設定することで、自動車の側面各位に対して最適な状態で接触させることができ、浮き上がりによる洗い残しや過接触による破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の洗車機を示す正面図である。
【図2】同洗車機の側面図である。
【図3】側面ブラシ4の正面図である。
【図4】側面ブラシ4の側面図である。
【図5】制御系を示すブロック図である。
【図6】車体側面における側面ブラシの制御角度を示す説明図である。
【図7】車高毎の側面洗浄を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施態様について図面を基に説明する。図1は本発明の洗車機を示す正面図、図2は同洗車機の側面図である。
1は洗車機本体で、左右一対のレール2,2上を往復走行し、レール2,2間に停車される自動車を跨ぐように移動する。3,4・4は洗車機本体1に設けられる洗車処理装置としての回転ブラシで、3は車体面に沿って昇降動作し主に車体上面を洗浄する上面ブラシ、4・4は車体面に沿って開閉動作し車体の側面および前後面を洗浄する左右一対の側面ブラシである。5,6・6は洗車機本体1に設けられ洗浄後の車体の乾燥をはかる洗車処理装置としてのブロワノズルで、5は車体面に沿って昇降動作する上面ノズル、6・6は車体面に沿って出没動作する左右一対の側面ノズルである。
【0011】
7は洗車機本体1の前方に配置され本体1の走行に伴い自動車の上面位置を読み取る車形検出装置、8は洗車機本体1が単位距離走行する毎にパルス出力するエンコーダ、9,9は洗車機本体1を走行させる走行モータである。車形検出装置7は、自動車を幅方向に挾むようにして上下に複数の発光素子を配列した発光部7aと受光素子を配列した受光部7bを対向させ、発光部7aと受光部7bの対となる発光素子・受光素子間で形成される光軸が自動車の車体によって遮られたのを検知して車両を検出し、車体の上面位置を検知するものである。
【0012】
図3,4は側面ブラシ4の構造を示す説明図である。尚、図面では一方の側面ブラシ4のみを図示している。
側面ブラシ4は、洗車機本体1内の後方上部に水平に横架されたガイドレール10に挟持するキャリア11と、該キャリア11から吊下される回転軸12と、該回転軸12の周囲に植毛される布製又は樹脂製のブラシ体13とから構成され、開閉装置14を介してガイドレール10上を走行し左右別々に開閉可能にされるとともに、左右揺動装置15を介して左右方向に揺動自在にされる。キャリア11には、正逆可能なブラシ回転モータ16が取り付けられており、プーリ、ベルト等からなる連係装置17を介して回転軸12と連係され、ブラシ体13を正転・逆転させる。また、キャリア11の上面に揺動角度センサ18が取り付けられており、左右揺動装置15で揺動する角度を検出される。
【0013】
開閉装置14は、側面ブラシ4を左右に開閉するものであり、キャリア11の両側面に先端が接続されスプロケット19,19間に懸架されたチェーン20と、一方のスプロケット20を回転駆動する開閉用モータ21と、モータの駆動軸先端に接続されるブラシ走行位置検出用のエンコーダ22とから構成される。
【0014】
左右揺動装置15は、側面ブラシ4を垂直位置から下方が外側に開く位置に揺動させるもので、キャリア11の上面において回転軸12の上端を連結固定する支持板23と、該支持板23を一方向に揺動支持する支軸24とから構成される。
【0015】
自動車の側面洗浄は、左右の側面ブラシ4を車体に押し付けて、車体側面の形状に適した角度に傾斜させた状態で行われる。この傾斜角度は、車高や車体部位に応じて設定されるもので、揺動角度センサ18で揺動角度を検出しながら開閉装置14を駆動して所定角度範囲に保持されることになる。
【0016】
図5は実施態様の制御系を示すブロック図である。
25は洗車制御部で、車形検出装置7と、走行エンコーダ8と、開閉装置14の開閉エンコーダ22・22と、揺動角度センサ18と、洗車駆動部26と、操作部27が接続されている。洗車駆動部26は、本体走行モータ9と、側面ブラシ4の回転モータ21と、開閉装置14の開閉モータ19が接続される他、上面ブラシ3、ブロワノズル5,6・6の駆動系が接続され、洗車制御部25で検出した自動車の上面形状・側面位置・端面位置に基づいて本体1・上面ブラシ3・側面ブラシ4・ブロワノズル5,6・6を駆動するものである。操作部27は、洗車内容の選択や洗車の開始入力を行う他、操作する人に対し表示や音声で注意事項や操作手順等を案内出力するものであり、通常は洗車機本体1前面に設けられるが、運転者が乗車したままドライブスルー形式で洗車を行う場合等には、本体1と別体とし洗車エリアの入口に設置されることになる。
【0017】
洗車制御部25は、走行エンコーダ8からの情報に基づいて洗車機本体1の走行位置を検出する走行位置検出部28と、車形検出装置7と走行エンコーダ8からの情報に基づいて自動車の上面形状を検出する車形検出部29と、開閉装置14のエンコーダ22・22と揺動角度センサ18からの情報に基づいて自動車の側面位置を検出する側面位置検出部30と、各種データを記憶するデータ記憶部31を備えている。
【0018】
走行位置検出部28は、走行モータ9の駆動に伴い本体1が単位距離走行する毎にエンコーダ8が出力するパルス信号をカウントすることで本体1の走行位置を検知する。車形検出部29は、車形検出装置7の発光部7aに信号出力して発光素子を上から順に発光させ、これと同期して受光部7bにおける受光素子での受光レベルを取得して車体の上面位置を検知し、この上面位置を本体1の単位距離走行毎に蓄積して、上面輪郭データを形成する。側面位置検出部30は、開閉装置14の開閉モータ19の駆動に伴いエンコーダ22・22が出力するパルス信号をカウントしていき、揺動角度センサ18で側面ブラシ4が所定角度揺動したことを検出した時点のパルス数で車体側面までの距離を検知する。
【0019】
このように構成する洗車機では、まず洗車する自動車を洗車機本体1の前方より進入させ、洗車機本体1の車形検出装置7よりも手前に設定される停車位置に停車させる。尚、停車位置は図示しないタイヤ検知板やビームセンサ等の公知の停車検知手段によって与えられる。操作部27で洗車コース(ここでは1往復洗車)を選択して洗車をスタートさせると、洗車機本体1の1往行が開始され、先行する車形検出装置7で自動車の上面輪郭を読み取り、検出した上面輪郭に沿って後行するブラシ3・4・4を制御して車体面のブラッシング洗浄が行われる。続く本体1の1復行では、検出した上面輪郭に沿ってブロワノズル5,6・6を制御して車体面のブロワ乾燥が行われる。
【0020】
さて、洗車機本体1の1往行に伴う側面ブラシ4・4の動作について説明する。
側面ブラシ4・4は、車形検出装置7で検出する自動車の前端に対し、左右のブラシを閉じた状態でアプローチしていく。車形検出装置7が自動車の前端を検出してから、本体1が車形検出装置7と側面ブラシ4・4との距離S分走行すると、側面ブラシ4・4が自動車の前端に達したと判断し、洗車機本体1の往行を一旦停止させて左右の側面ブラシ4・4を回転させながら左右に開いていき、自動車の前面洗浄が行われる。
【0021】
側面ブラシ4・4が左右に開くと、洗車機本体1の往行を再開するとともに、側面ブラシ4・4を閉じて車体側面に押し付けていき、左右の側面ブラシ4・4がハの字姿勢になるように傾斜させて車体の側面洗浄が行われる。側面洗浄は、揺動角度センサ18で検出される揺動角度が制御角度θ±αに保持されるように、開閉装置14が制御される。
【0022】
ここで、制御角度θは、図6に示すように、車形検出装置7で検出される上面高さに応じて適宜設定される。すなわち、地上高H1までは、制御角度をθ1に設定し、地上高H2までは、制御角度をθ2(<θ1)に設定し、それ以上の高さは制御角度をθ3(<θ2)に設定される。すなわち、車高が低い車体側面では、ブラシの接触面積が小さく、揺動作動点が低くなるので、ブラシの揺動角度を大きく設定してブラシへの押付力を高める。また、車高の高い車体側面では、ブラシの接触面積が大きく、揺動作動点が高くなるので、ブラシの揺動角度を小さくして、車体側面に均一に作用するようにしている。
【0023】
これにより、普通車のボンネット部等の低車高部を洗浄するときには、図7(a)に示すように、揺動角度を制御角度θ1±αに保持するように開閉装置14を制御し、普通車のキャビン部等の中車高部を洗浄するときには、図7(b)に示すように、揺動角度を制御角度θ2±αに保持するように開閉装置14を制御し、ワンボックス車のキャビン部等の高車高部を洗浄するときには、図7(c)に示すように、揺動角度が制御角度θ3±αに保持されるように開閉装置14を制御するのである。ここで±αとは、側面ブラシが開閉するときの一時的な反動や車体に接触したときの回転反力を捉えて開閉装置14が頻繁に作動するのを防ぐために設定される許容変化角度で、通常1.5°程度に設定されている。
【0024】
車形検出装置7が自動車の後端を検出し、本体1が車形検出装置7と側面ブラシ4・4との距離S分走行すると、再び洗車機本体1の往行を一旦停止し、側面ブラシ4・4を閉じていき、そこから更に左右に開いていくことで行われる。その後、本体1を走行停止位置まで走行させて停止し、1往行のブラシ工程が終了となる。
【0025】
ここでは1往復でブラッシングとブローを実行する洗車コースを例示しているので、復行時にはブロワノズル5,6,6から送風して車体の水滴を除去する乾燥工程が行われる。このとき、側面ブロワノズル6・6を車体側面に進退自在に設けておけば、側面ブラシ4による車体側面のブラッシングを行った際、側面位置検出部30で車体側面距離が検出されるので、このデータを基に側面ブロワノズル6・6を車体側面に進退させることができる。
【0026】
以上のように上記実施態様は、洗浄する自動車の高さに応じて、制御する側面ブラシの揺動角度を変え、車体に対する側面ブラシの接触度合いを各位で均一化し、洗い残しや過接触を防止するようにしたものである。尚、側面ブラシ4・4のブラシ体13に使用される素材によって、側面ブラシ4の制御角度の設定を選択するようになっている。すなわち、ブラシ体の素材がスポンジである場合と布である場合とでは、揺動角度センサで検出される揺動角度が同じであっても車体への接触度合いが若干変化するので、スポンジブラシ用の制御角度データと布ブラシ用の制御角度データを記憶しておき、使用するブラシ体によって選択するようにしている。
【0027】
上記実施態様では門型洗車機に実施した例を示したが、コンベア式洗車機においても、洗車機本体の走行制御をコンベアによる自動車の搬送制御に代えて実施することにより、容易に実施可能である。また、ブラシやブロワのレイアウトが変えて、ドライブスルー方式の洗車機に応用することも可能である。また、1往復の洗車以外にも洗車機を2往復・3往復させて様々なニーズに応じた洗車動作をさせることができる。また、各ブロワノズル5,6,6を各ブラシ3,4,4よりも後方に配置し、ブラシとの間に車体上面に沿って昇降するシャッターを設けて隔離することで、片道単位での洗車も可能となる。
【符号の説明】
【0028】
1 洗車機本体
4・4 側面ブラシ
7 車形検出装置
14 開閉装置
15 左右揺動装置
40 洗車制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の側面をブラッシング洗浄する左右一対の側面ブラシと、側面ブラシを左右方向に移動する開閉手段と、側面ブラシを自動車の幅方向に揺動する揺動手段と、該側面ブラシの揺動角度を検出する揺動角検出手段と、揺動角検出手段で検出される揺動角を所定角度に保持するよう開閉手段を制御する制御手段と、自動車の上面高さを検出する車高検出手段とを備えた洗車機において、
前記制御手段は、前記車高検出手段で検出される自動車の車高に応じて制御する揺動角度を設定することを特徴とする洗車機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate