洗車用ブラシ
【課題】洗車後に、ブラシ材が凍りついた場合に、迅速に解凍し得る洗車用ブラシを提供する。
【解決手段】洗車機に設けられて、温風により加熱される支持軸体およびこの支持軸体の外周に取り付けられるブラシ材２４からなる洗車用ブラシであって、上記ブラシ材２４として、布製のシート状部材に熱伝導性線材３１を所定間隔でもって配置したものを、扇子状に折り畳むことにより構成したもの。
【解決手段】洗車機に設けられて、温風により加熱される支持軸体およびこの支持軸体の外周に取り付けられるブラシ材２４からなる洗車用ブラシであって、上記ブラシ材２４として、布製のシート状部材に熱伝導性線材３１を所定間隔でもって配置したものを、扇子状に折り畳むことにより構成したもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、洗車機における洗車用ブラシに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、洗車機における洗車用ブラシとしては、例えば回転される支持軸体の周囲に、円筒状にブラシが取り付けられたものが用いられており、またこのブラシは、組立て上および交換などを考慮して、支持軸体の軸心方向で、複数に分割されている。そして、この分割された分割ブラシは、支持軸体に外嵌し得る穴部が設けられたリング部材と、このリング部材の外周に所定間隔おきに形成された保持溝に保持される複数のブラシ材とから構成されるとともに、リング部材の外周複数箇所に形成された保持溝内に、扇形状に所定幅でもって折り畳まれた布製のものが用いられていた（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開平０８−５６７５０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかし、上記ブラシ材の素材としては、布製のシート状部材が用いられており、つまり縦繊維と横繊維とで編み上げたものが用いられて、撥水性と吸水性とが考慮されていた。
ところで、この洗車用ブラシは、四季を通じて同じ生地を使用しているため、冬季に−５度以下となるような寒冷地域では、洗車後にブラシ材に残った水分が凍結して洗車することができない状態になってしまう。
【０００４】
このため、−５度以下となるような寒冷地域では、洗車が行われていないときに凍結したブラシの解凍が行われていたが、その解凍作業に時間を要するという問題があった。
そこで、本発明は、例えば洗車後に、ブラシ材が凍りついた場合に、迅速に解凍し得る洗車用ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記課題を解決するため、本発明の請求項１に係る洗車用ブラシは、洗車機に設けられて、支持軸体およびこの支持軸体の外周に取り付けられるブラシ材からなる洗車用ブラシであって、
上記ブラシ材として、天然繊維または合成繊維により形成されたシート状部材を用いるとともに、このシート状部材に熱伝導性線材を配置したものである。
【０００６】
また、請求項２に係る洗車用ブラシは、洗車機に設けられて、温風またはヒータにより加熱される支持軸体およびこの支持軸体の外周に取り付けられるブラシ材からなる洗車用ブラシであって、
上記ブラシ材として、天然繊維または合成繊維により形成されたシート状部材を用いるとともに、このシート状部材に熱伝導性線材を配置したものである。
【０００７】
また、請求項３に係る洗車用ブラシは、請求項１または２に記載の洗車用ブラシにおいて、熱伝導性線材をシート状部材に、縫い付け若しくは貼り付けた、またはサンドイッチ形式にて保持させたものである。
【０００８】
また、請求項４に係る洗車用ブラシは、請求項１または２に記載の洗車用ブラシにおいて、熱伝導性線材として繊維を用いるとともにこの熱伝導性繊維をシート状部材に編み合わせることにより、当該熱伝導性線材をシート状部材に配置するようにしたものである。
【０００９】
また、請求項５に係る洗車用ブラシは、請求項１乃至４のいずれかに記載の洗車用ブラシにおいて、シート状部材を扇子状に折り畳んだものである。
また、請求項６に係る洗車用ブラシは、請求項１乃至５のいずれかに記載の洗車用ブラシにおいて、熱伝導性線材を所定間隔おきに配置したものである。
【００１０】
また、請求項７に係る洗車用ブラシは、請求項４に記載の洗車用ブラシにおいて、熱伝導性線材を、シート状部材の、少なくとも、山部または谷部に沿って線状に配置したものである。
【００１１】
さらに、請求項８に係る洗車用ブラシは、請求項１乃至７のいずれかに記載の洗車用ブラシにおいて、熱伝導性線材として炭素繊維を用いたものである。
【発明の効果】
【００１２】
上記各洗車用ブラシの構成によると、ブラシ材に熱伝導性線材を配置したので、例えば支持軸体が加熱された場合に、その熱が熱伝導性線材を介してブラシ材全体に伝わるため、たとえブラシ材が凍りついたとしても、早く溶かすことができ、したがって洗車作業を迅速に開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
［実施の形態］
以下、本発明の実施の形態に係る洗車用ブラシを図面に基づき説明する。
まず、洗車機の概略構成を図１に基づき簡単に説明しておく。
【００１４】
この洗車機には、正面視が門型形状のフレーム本体（洗車機本体でもある）１の上部に、車両Ｃの上面を洗浄するためのトップブラシ２が設けられるとともに、フレーム本体１の両側部には、車両Ｃの側面を洗浄するためのサイドブラシ３が設けられ、さらに両側部の下方には、タイヤなどを洗浄するためのロッカーブラシ４が設けられている。なお、以下、これら各ブラシ２〜４を、洗車用ブラシ１１と称して説明する。
【００１５】
この洗車用ブラシ１１は、図２に示すように、回転される支持軸体１２に円筒状のブラシ１３が取り付けられたものであり、さらにこのブラシ１３は、組立て上および交換などを考慮して、支持軸体１２の軸心方向で、複数に分割して取り付けられている。以下、この分割された分割ブラシ１３′について説明する。
【００１６】
すなわち、図３に示すように、この分割ブラシ１３′は、支持軸体１２に外嵌し得る穴部２２が設けられたリング部材２１と、このリング部材２１の外周に所定間隔おき（所定角度おき）に形成された複数の保持溝２３にそれぞれ保持されるブラシ材２４とから構成されている。なお、図３においては、ブラシ材２４は一つだけ図示しているが、勿論、外周全体に亘って複数配置される。
【００１７】
上記支持軸体１２は中空状にされるとともにその穴部１２ａに高温の温風が供給されるように構成されている。具体的には、フレーム本体１側に、高温の温風発生機（図示せず）が設けられるとともに、この温風発生機で発生された温風がダクト、配管などを介して支持軸体１２の穴部１２ａ内に供給されるように構成されている。なお、この温風は、作業者の操作により、待機状態の洗車機においてブラシ材２４が凍りついた場合に、上記支持軸体１２に供給される。
【００１８】
そして、上記ブラシ材２４は、図４および図５に示すように、例えば矩形状の布（天然繊維により編まれたもの）を所定幅Ｂで交互に（ジグザク状に）折り畳んだものを、その真ん中を中心にして同一平面内で折り畳み、扇子状（扇型ともいえる）にしたものである。
【００１９】
また、このブラシ材２４のリング部材２１への取り付けは、下記のように行われる。
すなわち、保持溝２３は、円形の穴部２３ａと、この穴部２３ａに接続されるとともに当該穴部２３ａの内径よりも狭い幅の溝部２３ｂとから構成されており、ブラシ材２４の当該保持溝２３への取り付けに際しては、ブラシ材２４の折り畳み部分が溝部２３ｂおよび穴部２３ａ内に挿入されるとともに、当該ブラシ材２４が外れるのを防止するために、穴部２３ａ内に芯材として円柱状の係止部材２５が挿入される。
【００２０】
さらに、この布製のブラシ材２４の適当位置、例えば折り畳んだ山部２４ａまたは谷部２４ｂに沿って、熱伝導性線材３１が配置されている。具体的に説明すれば、図５に示すように、矩形状の布製のシート状部材Ｓに、所定間隔おきでもって、熱伝導性線材３１が直線状に配置されている。例えば、この熱伝導性線材３１の部分が、丁度、折り畳んだ際に、その山部２４ａおよび／または谷部２４ｂに沿うとともにそれぞれ山部２４ａおよび／または谷部２４ｂに位置するようにされている。
【００２１】
また、熱伝導性線材３１の配置面としては、折り畳んだ際に、他のブラシ材および洗浄車両の車体と接触しないように内面側に位置するのが好ましいため、図５の破線にて示すように、山部２４ａでは裏側に配置され、谷部２４ｂでは、実線で示すように、表側に配置される（勿論、いずれかの面に、纏めて配置してもよい）。なお、熱伝導性線材３１を山部２４ａおよび谷部２４ｂに配置することにより、少なくとも、洗浄車両に接触する部分の解凍が確実に行われる。
【００２２】
この熱伝導性線材３１は、炭素繊維例えばカーボンナノチューブなどにより構成されている。
そして、上記熱伝導性線材３１を布製のブラシ材２４に取り付ける方法としては、一枚の布の一方の表面（例えば、裏面）に当該熱伝導性線材３１を配置した後、この熱伝導性線材３１よりも、少なくとも、一回り大きい布（ブラシ材と同一の布でもよく、または異なる材質の布であってもよい）でもって、当該熱伝導性線材３１を覆い挟み込むように、縫い付けてもまたは接着剤などで貼り付けてもよい。勿論、二枚の布の間に熱伝導性線材３１を配置するサンドイッチ形式でもよい。この場合、熱伝導性線材３１の配置面については、表裏の区別をする必要がなくなる。
【００２３】
そして、特に、この熱伝導性線材３１を配置する際には、少なくとも、どこかの部分（端部または中間部）が支持軸体１２に接近するように設けられる。
例えば、シート状部材Ｓの略全長に亘って熱伝導性線材３１を配置するとともにジグザグ状に折り畳んだものを、さらに中央を折ることにより扇子状にするのが望ましい。このようにすることにより、支持軸体１２に直接取り付けられたリング部材２１の内側（保持溝）に熱伝導性線材３１の一部が配置されることになり、支持軸体１２に伝わった熱がリング部材２１を介して熱伝導性線材３１に最も良く伝えることができるからである。より具体的には、ブラシ材２４を保持する保持溝２３ａが、リング部材２１の穴部２２の内面に接近するように形成される。また、場合によっては、保持溝２３ａの一部を穴部２２に連通させて、ブラシ材２４の一部が支持軸体１２に、直接、接触させるようにしてもよい。
【００２４】
勿論、少なくとも、支持軸体１２およびリング部材２１の材質としては、熱伝導率が良い鋼板などの金属が用いられている。
上記構成に係る洗車用ブラシを有する洗車機により洗車が行われて洗車作業が終了すると、洗車機本体は所定の退避位置に戻り停止されて待機状態となる。
【００２５】
この待機時に外気温度が零度以下である場合には、当然に、ブラシ材２４に残っている水分が凍りつくことになる。
そして、この状態で、洗車作業を開始する際には、まず、フレーム本体１に設けられた温風発生機が駆動されて、支持軸体１２の穴部１２ａに高温の温風が供給される。すると、支持軸体１２が加熱され、その熱がリング部材２１を介して、ブラシ材２４に配置された熱伝導性線材３１に伝わり、ブラシ材２４全体を暖めることになる。すなわち、凍りついたブラシ材２４が短時間で溶かされることになり、従来のようにブラシ材の外側から温風を吹き付けて溶かす場合に比べて、洗車作業を迅速に開始することができる。
【００２６】
ところで、上記実施の形態においては、熱伝導性線材を、扇子状に折り畳んだ、山部または谷部にくるように配置したが、山部と谷部との間の中間平面部２４ｃ（図５に示す）に配置してもよく、またはシート状部材の平面上に、その折り目と平行に、所定間隔おきでもって直線状に熱伝導性線材を配置し、そしてこのシート状部材を所定幅でもって折り畳むようにしてもよい（この場合、山部または谷部に熱伝導性線材が位置するとは限らない）。
【００２７】
また、上記実施の形態においては、ブラシ材の材料として、通常の布（所謂、天然繊維を編んだもの）を用いたが、例えばナイロンなどの合成繊維を編んだものを用いてもよい。
【００２８】
また、上記実施の形態においては、熱伝導性線材をシート状部材の表面に配置するように説明したが、例えばこの熱伝導性線材を構成する繊維そのものを、シート状部材に編み合わせるようにしてもよい。この場合、熱伝導性繊維そのものを全体的に編み合わせるようにしてもよく、また所定幅でもって且つ所定間隔おきに編み合わせるようにしてもよい。
【００２９】
また、上記実施の形態においては、ブラシ材として、シート状部材を折り畳んだものとして説明したが、このような形状に限定されるものではなく、例えば折り畳まないもの、例えば支持軸体の軸心に直交する平面内に配置される平面状のもの、つまり環状シート部材にでも適用することができる。
【００３０】
さらに、上記実施の形態においては、支持軸体を加熱するのに、その穴部に温風を供給するようにしたが、例えば支持軸体にヒータ（電熱線）を埋め込むようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】本発明の実施の形態に係る洗車用ブラシを用いた洗車機の概略構造を示す側面図である。
【図２】本発明の実施の形態に係る洗車用ブラシの斜視図である。
【図３】同洗車用ブラシの分割ブラシを示す斜視図である。
【図４】同分割ブラシの要部斜視図である。
【図５】同分割ブラシを構成するシート状部材を示す平面図である。
【符号の説明】
【００３２】
１ フレーム本体
１１ 洗車用ブラシ
１２ 支持軸体
１２ａ 穴部
１３ ブラシ
１３′ 分割ブラシ
２１ リング部材
２３ 保持溝
２４ ブラシ材
２４ａ 山部
２４ｂ 谷部
２４ｃ 中間平面部
３１ 熱伝導性線材
【技術分野】
【０００１】
本発明は、洗車機における洗車用ブラシに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、洗車機における洗車用ブラシとしては、例えば回転される支持軸体の周囲に、円筒状にブラシが取り付けられたものが用いられており、またこのブラシは、組立て上および交換などを考慮して、支持軸体の軸心方向で、複数に分割されている。そして、この分割された分割ブラシは、支持軸体に外嵌し得る穴部が設けられたリング部材と、このリング部材の外周に所定間隔おきに形成された保持溝に保持される複数のブラシ材とから構成されるとともに、リング部材の外周複数箇所に形成された保持溝内に、扇形状に所定幅でもって折り畳まれた布製のものが用いられていた（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開平０８−５６７５０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかし、上記ブラシ材の素材としては、布製のシート状部材が用いられており、つまり縦繊維と横繊維とで編み上げたものが用いられて、撥水性と吸水性とが考慮されていた。
ところで、この洗車用ブラシは、四季を通じて同じ生地を使用しているため、冬季に−５度以下となるような寒冷地域では、洗車後にブラシ材に残った水分が凍結して洗車することができない状態になってしまう。
【０００４】
このため、−５度以下となるような寒冷地域では、洗車が行われていないときに凍結したブラシの解凍が行われていたが、その解凍作業に時間を要するという問題があった。
そこで、本発明は、例えば洗車後に、ブラシ材が凍りついた場合に、迅速に解凍し得る洗車用ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記課題を解決するため、本発明の請求項１に係る洗車用ブラシは、洗車機に設けられて、支持軸体およびこの支持軸体の外周に取り付けられるブラシ材からなる洗車用ブラシであって、
上記ブラシ材として、天然繊維または合成繊維により形成されたシート状部材を用いるとともに、このシート状部材に熱伝導性線材を配置したものである。
【０００６】
また、請求項２に係る洗車用ブラシは、洗車機に設けられて、温風またはヒータにより加熱される支持軸体およびこの支持軸体の外周に取り付けられるブラシ材からなる洗車用ブラシであって、
上記ブラシ材として、天然繊維または合成繊維により形成されたシート状部材を用いるとともに、このシート状部材に熱伝導性線材を配置したものである。
【０００７】
また、請求項３に係る洗車用ブラシは、請求項１または２に記載の洗車用ブラシにおいて、熱伝導性線材をシート状部材に、縫い付け若しくは貼り付けた、またはサンドイッチ形式にて保持させたものである。
【０００８】
また、請求項４に係る洗車用ブラシは、請求項１または２に記載の洗車用ブラシにおいて、熱伝導性線材として繊維を用いるとともにこの熱伝導性繊維をシート状部材に編み合わせることにより、当該熱伝導性線材をシート状部材に配置するようにしたものである。
【０００９】
また、請求項５に係る洗車用ブラシは、請求項１乃至４のいずれかに記載の洗車用ブラシにおいて、シート状部材を扇子状に折り畳んだものである。
また、請求項６に係る洗車用ブラシは、請求項１乃至５のいずれかに記載の洗車用ブラシにおいて、熱伝導性線材を所定間隔おきに配置したものである。
【００１０】
また、請求項７に係る洗車用ブラシは、請求項４に記載の洗車用ブラシにおいて、熱伝導性線材を、シート状部材の、少なくとも、山部または谷部に沿って線状に配置したものである。
【００１１】
さらに、請求項８に係る洗車用ブラシは、請求項１乃至７のいずれかに記載の洗車用ブラシにおいて、熱伝導性線材として炭素繊維を用いたものである。
【発明の効果】
【００１２】
上記各洗車用ブラシの構成によると、ブラシ材に熱伝導性線材を配置したので、例えば支持軸体が加熱された場合に、その熱が熱伝導性線材を介してブラシ材全体に伝わるため、たとえブラシ材が凍りついたとしても、早く溶かすことができ、したがって洗車作業を迅速に開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
［実施の形態］
以下、本発明の実施の形態に係る洗車用ブラシを図面に基づき説明する。
まず、洗車機の概略構成を図１に基づき簡単に説明しておく。
【００１４】
この洗車機には、正面視が門型形状のフレーム本体（洗車機本体でもある）１の上部に、車両Ｃの上面を洗浄するためのトップブラシ２が設けられるとともに、フレーム本体１の両側部には、車両Ｃの側面を洗浄するためのサイドブラシ３が設けられ、さらに両側部の下方には、タイヤなどを洗浄するためのロッカーブラシ４が設けられている。なお、以下、これら各ブラシ２〜４を、洗車用ブラシ１１と称して説明する。
【００１５】
この洗車用ブラシ１１は、図２に示すように、回転される支持軸体１２に円筒状のブラシ１３が取り付けられたものであり、さらにこのブラシ１３は、組立て上および交換などを考慮して、支持軸体１２の軸心方向で、複数に分割して取り付けられている。以下、この分割された分割ブラシ１３′について説明する。
【００１６】
すなわち、図３に示すように、この分割ブラシ１３′は、支持軸体１２に外嵌し得る穴部２２が設けられたリング部材２１と、このリング部材２１の外周に所定間隔おき（所定角度おき）に形成された複数の保持溝２３にそれぞれ保持されるブラシ材２４とから構成されている。なお、図３においては、ブラシ材２４は一つだけ図示しているが、勿論、外周全体に亘って複数配置される。
【００１７】
上記支持軸体１２は中空状にされるとともにその穴部１２ａに高温の温風が供給されるように構成されている。具体的には、フレーム本体１側に、高温の温風発生機（図示せず）が設けられるとともに、この温風発生機で発生された温風がダクト、配管などを介して支持軸体１２の穴部１２ａ内に供給されるように構成されている。なお、この温風は、作業者の操作により、待機状態の洗車機においてブラシ材２４が凍りついた場合に、上記支持軸体１２に供給される。
【００１８】
そして、上記ブラシ材２４は、図４および図５に示すように、例えば矩形状の布（天然繊維により編まれたもの）を所定幅Ｂで交互に（ジグザク状に）折り畳んだものを、その真ん中を中心にして同一平面内で折り畳み、扇子状（扇型ともいえる）にしたものである。
【００１９】
また、このブラシ材２４のリング部材２１への取り付けは、下記のように行われる。
すなわち、保持溝２３は、円形の穴部２３ａと、この穴部２３ａに接続されるとともに当該穴部２３ａの内径よりも狭い幅の溝部２３ｂとから構成されており、ブラシ材２４の当該保持溝２３への取り付けに際しては、ブラシ材２４の折り畳み部分が溝部２３ｂおよび穴部２３ａ内に挿入されるとともに、当該ブラシ材２４が外れるのを防止するために、穴部２３ａ内に芯材として円柱状の係止部材２５が挿入される。
【００２０】
さらに、この布製のブラシ材２４の適当位置、例えば折り畳んだ山部２４ａまたは谷部２４ｂに沿って、熱伝導性線材３１が配置されている。具体的に説明すれば、図５に示すように、矩形状の布製のシート状部材Ｓに、所定間隔おきでもって、熱伝導性線材３１が直線状に配置されている。例えば、この熱伝導性線材３１の部分が、丁度、折り畳んだ際に、その山部２４ａおよび／または谷部２４ｂに沿うとともにそれぞれ山部２４ａおよび／または谷部２４ｂに位置するようにされている。
【００２１】
また、熱伝導性線材３１の配置面としては、折り畳んだ際に、他のブラシ材および洗浄車両の車体と接触しないように内面側に位置するのが好ましいため、図５の破線にて示すように、山部２４ａでは裏側に配置され、谷部２４ｂでは、実線で示すように、表側に配置される（勿論、いずれかの面に、纏めて配置してもよい）。なお、熱伝導性線材３１を山部２４ａおよび谷部２４ｂに配置することにより、少なくとも、洗浄車両に接触する部分の解凍が確実に行われる。
【００２２】
この熱伝導性線材３１は、炭素繊維例えばカーボンナノチューブなどにより構成されている。
そして、上記熱伝導性線材３１を布製のブラシ材２４に取り付ける方法としては、一枚の布の一方の表面（例えば、裏面）に当該熱伝導性線材３１を配置した後、この熱伝導性線材３１よりも、少なくとも、一回り大きい布（ブラシ材と同一の布でもよく、または異なる材質の布であってもよい）でもって、当該熱伝導性線材３１を覆い挟み込むように、縫い付けてもまたは接着剤などで貼り付けてもよい。勿論、二枚の布の間に熱伝導性線材３１を配置するサンドイッチ形式でもよい。この場合、熱伝導性線材３１の配置面については、表裏の区別をする必要がなくなる。
【００２３】
そして、特に、この熱伝導性線材３１を配置する際には、少なくとも、どこかの部分（端部または中間部）が支持軸体１２に接近するように設けられる。
例えば、シート状部材Ｓの略全長に亘って熱伝導性線材３１を配置するとともにジグザグ状に折り畳んだものを、さらに中央を折ることにより扇子状にするのが望ましい。このようにすることにより、支持軸体１２に直接取り付けられたリング部材２１の内側（保持溝）に熱伝導性線材３１の一部が配置されることになり、支持軸体１２に伝わった熱がリング部材２１を介して熱伝導性線材３１に最も良く伝えることができるからである。より具体的には、ブラシ材２４を保持する保持溝２３ａが、リング部材２１の穴部２２の内面に接近するように形成される。また、場合によっては、保持溝２３ａの一部を穴部２２に連通させて、ブラシ材２４の一部が支持軸体１２に、直接、接触させるようにしてもよい。
【００２４】
勿論、少なくとも、支持軸体１２およびリング部材２１の材質としては、熱伝導率が良い鋼板などの金属が用いられている。
上記構成に係る洗車用ブラシを有する洗車機により洗車が行われて洗車作業が終了すると、洗車機本体は所定の退避位置に戻り停止されて待機状態となる。
【００２５】
この待機時に外気温度が零度以下である場合には、当然に、ブラシ材２４に残っている水分が凍りつくことになる。
そして、この状態で、洗車作業を開始する際には、まず、フレーム本体１に設けられた温風発生機が駆動されて、支持軸体１２の穴部１２ａに高温の温風が供給される。すると、支持軸体１２が加熱され、その熱がリング部材２１を介して、ブラシ材２４に配置された熱伝導性線材３１に伝わり、ブラシ材２４全体を暖めることになる。すなわち、凍りついたブラシ材２４が短時間で溶かされることになり、従来のようにブラシ材の外側から温風を吹き付けて溶かす場合に比べて、洗車作業を迅速に開始することができる。
【００２６】
ところで、上記実施の形態においては、熱伝導性線材を、扇子状に折り畳んだ、山部または谷部にくるように配置したが、山部と谷部との間の中間平面部２４ｃ（図５に示す）に配置してもよく、またはシート状部材の平面上に、その折り目と平行に、所定間隔おきでもって直線状に熱伝導性線材を配置し、そしてこのシート状部材を所定幅でもって折り畳むようにしてもよい（この場合、山部または谷部に熱伝導性線材が位置するとは限らない）。
【００２７】
また、上記実施の形態においては、ブラシ材の材料として、通常の布（所謂、天然繊維を編んだもの）を用いたが、例えばナイロンなどの合成繊維を編んだものを用いてもよい。
【００２８】
また、上記実施の形態においては、熱伝導性線材をシート状部材の表面に配置するように説明したが、例えばこの熱伝導性線材を構成する繊維そのものを、シート状部材に編み合わせるようにしてもよい。この場合、熱伝導性繊維そのものを全体的に編み合わせるようにしてもよく、また所定幅でもって且つ所定間隔おきに編み合わせるようにしてもよい。
【００２９】
また、上記実施の形態においては、ブラシ材として、シート状部材を折り畳んだものとして説明したが、このような形状に限定されるものではなく、例えば折り畳まないもの、例えば支持軸体の軸心に直交する平面内に配置される平面状のもの、つまり環状シート部材にでも適用することができる。
【００３０】
さらに、上記実施の形態においては、支持軸体を加熱するのに、その穴部に温風を供給するようにしたが、例えば支持軸体にヒータ（電熱線）を埋め込むようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】本発明の実施の形態に係る洗車用ブラシを用いた洗車機の概略構造を示す側面図である。
【図２】本発明の実施の形態に係る洗車用ブラシの斜視図である。
【図３】同洗車用ブラシの分割ブラシを示す斜視図である。
【図４】同分割ブラシの要部斜視図である。
【図５】同分割ブラシを構成するシート状部材を示す平面図である。
【符号の説明】
【００３２】
１ フレーム本体
１１ 洗車用ブラシ
１２ 支持軸体
１２ａ 穴部
１３ ブラシ
１３′ 分割ブラシ
２１ リング部材
２３ 保持溝
２４ ブラシ材
２４ａ 山部
２４ｂ 谷部
２４ｃ 中間平面部
３１ 熱伝導性線材
【特許請求の範囲】
【請求項１】
洗車機に設けられて、支持軸体およびこの支持軸体の外周に取り付けられるブラシ材からなる洗車用ブラシであって、
上記ブラシ材として、天然繊維または合成繊維により形成されたシート状部材を用いるとともに、このシート状部材に熱伝導性線材を配置したことを特徴とする洗車用ブラシ。
【請求項２】
洗車機に設けられて、温風またはヒータにより加熱される支持軸体およびこの支持軸体の外周に取り付けられるブラシ材からなる洗車用ブラシであって、
上記ブラシ材として、天然繊維または合成繊維により形成されたシート状部材を用いるとともに、このシート状部材に熱伝導性線材を配置したことを特徴とする洗車用ブラシ。
【請求項３】
熱伝導性線材をシート状部材に、縫い付け若しくは貼り付けた、またはサンドイッチ形式にて保持させたことを特徴とする請求項１または２に記載の洗車用ブラシ。
【請求項４】
熱伝導性線材として繊維を用いるとともにこの熱伝導性繊維をシート状部材に編み合わせることにより、当該熱伝導性線材をシート状部材に配置するようにしたことを特徴とする請求項１または２に記載の洗車用ブラシ。
【請求項５】
シート状部材を扇子状に折り畳んだことを特徴とする請求項１乃至４のいずれか一項に記載の洗車用ブラシ。
【請求項６】
熱伝導性線材を所定間隔おきに配置したことを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一項に記載の洗車用ブラシ。
【請求項７】
熱伝導性線材を、シート状部材の、少なくとも、山部または谷部に沿って配置したことを特徴とする請求項４に記載の洗車用ブラシ。
【請求項８】
熱伝導性線材として炭素繊維を用いたことを特徴とする請求項１乃至７のいずれか一項に記載の洗車用ブラシ。
【請求項１】
洗車機に設けられて、支持軸体およびこの支持軸体の外周に取り付けられるブラシ材からなる洗車用ブラシであって、
上記ブラシ材として、天然繊維または合成繊維により形成されたシート状部材を用いるとともに、このシート状部材に熱伝導性線材を配置したことを特徴とする洗車用ブラシ。
【請求項２】
洗車機に設けられて、温風またはヒータにより加熱される支持軸体およびこの支持軸体の外周に取り付けられるブラシ材からなる洗車用ブラシであって、
上記ブラシ材として、天然繊維または合成繊維により形成されたシート状部材を用いるとともに、このシート状部材に熱伝導性線材を配置したことを特徴とする洗車用ブラシ。
【請求項３】
熱伝導性線材をシート状部材に、縫い付け若しくは貼り付けた、またはサンドイッチ形式にて保持させたことを特徴とする請求項１または２に記載の洗車用ブラシ。
【請求項４】
熱伝導性線材として繊維を用いるとともにこの熱伝導性繊維をシート状部材に編み合わせることにより、当該熱伝導性線材をシート状部材に配置するようにしたことを特徴とする請求項１または２に記載の洗車用ブラシ。
【請求項５】
シート状部材を扇子状に折り畳んだことを特徴とする請求項１乃至４のいずれか一項に記載の洗車用ブラシ。
【請求項６】
熱伝導性線材を所定間隔おきに配置したことを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一項に記載の洗車用ブラシ。
【請求項７】
熱伝導性線材を、シート状部材の、少なくとも、山部または谷部に沿って配置したことを特徴とする請求項４に記載の洗車用ブラシ。
【請求項８】
熱伝導性線材として炭素繊維を用いたことを特徴とする請求項１乃至７のいずれか一項に記載の洗車用ブラシ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００８−２９６８４８（Ｐ２００８−２９６８４８Ａ）
【公開日】平成２０年１２月１１日（２００８．１２．１１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１４７５６９（Ｐ２００７−１４７５６９）
【出願日】平成１９年６月４日（２００７．６．４）
【出願人】（０００００３６４３）株式会社ダイフク (1,209)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１２月１１日（２００８．１２．１１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年６月４日（２００７．６．４）
【出願人】（０００００３６４３）株式会社ダイフク (1,209)
【Ｆターム（参考）】
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