説明

洗車装置

【課題】自動車が入場してくる度合いに応じて表示内容を切り替え、的確に停車位置に停車させる案内を行うことができる洗車装置を提供する。
【解決手段】洗車受付装置13に設けられる車体検出センサ16と、自動車の入場を促すガイド表示を行う表示器17と、洗車受付装置13での洗車受付が完了してから車体検出センサ16で自動車が検出されている間、表示器1に自動車の入場を促す表示を行い、車体検出センサ16で自動車が検出されなくなると自動車の入場速度を抑制する表示に切り替えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車受付を行った後、利用者が洗車スペースに自動車を乗り入れて洗車サービスを受ける洗車装置に関し、特に自動車を乗り入れる際の案内を的確に行えるようにした洗車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、出願人は特許文献1を提案している。特許文献1の洗車装置は、洗車スペースの入場口に設けた洗車受付装置で洗車受付を行い、利用者自らが自動車を洗車スペースに乗り入れて洗車サービスを受けた後、洗車機後方へ退出する、いわゆるドライブスルー形式にレイアウトされている。このため、慣れない利用者でも戸惑うことなく入場・退場が行えるよう表示器が装備されており、文字や図形等を用いて案内を行い、表示内容を可変しながら円滑で安全な洗車サービスを提供している。
【0003】
表示器では、洗車受付を完了してから自動車を所定の停車位置に停止させるまで「前進」、停車位置に停止すると「停止」、停車位置を通り過ぎたら「後進」、洗車が終了してから自動車の退出を確認するまで「前進」といった案内表示が行われる他、「洗車中です。停車したままでお待ちください。」といったメッセージ表示、洗車動作の進行状況表示、その他広告情報表示等が行われる。
【0004】
さて、この洗車装置では、洗車機本体の前端部に前後2対で光電スイッチを設け、前側の光電スイッチで車体検出し、後側の光電スイッチで車体検出していない状態を停車位置として設定している。利用者は、表示器の案内を頼りに自動車を前進させていき、停車位置に停車させることになるが、この間表示器では自動車の入場位置や入場速度に関係なく、「前進」表示しかされないため、停車位置に到達した時点で「停止」表示に切り替わったとしても対応しきれず、停止タイミングを逸してオーバーランするといったことが発生していた。
【特許文献1】特開2004−1598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、自動車が入場してくる度合いに応じて表示内容を切り替え、的確に停車位置に停車させる案内を行うことができる洗車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、洗車スペース内の所定位置に停車した自動車に対して洗車サービスを与える洗車機本体と、洗車スペース外に設置されて洗車料金や洗車内容の選択入力等を受け付ける洗車受付装置とを備え、洗車受付装置で洗車の受付をした後に洗車スペースに自動車を乗り入れて洗車機本体による洗車サービスを受ける洗車装置において、洗車受付装置に設けられる車体検出手段と、洗車スペースに乗り入れる自動車から視認される位置に設けられ自動車の入場を促すガイド表示を行う表示手段と、洗車受付装置での洗車受付が完了してから車体検出手段で自動車が検出されている間、表示手段に自動車の入場を促す表示を行い、車体検出手段で自動車が検出されなくなると自動車の入場速度を抑制する表示に切り替える制御手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗車機への入場の際に、停車位置に近づいたら表示内容を切り替えて停車しやすい案内表示を行うので、停止タイミングを逃して停車位置をオーバーランすることが減少する。よって、入場処理が円滑なものとなり、洗車処理の効率を向上させることができる。
【実施例】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
図1は実施例の平面説明図、図2は同側面説明図である。1は洗車スペース内に設けられる洗車機本体で、門型に形成され正逆転可能なモータ2の駆動により、床面に敷設されたレール3・3上を往復走行し、このレール3・3間に停車された自動車の車体を洗浄・乾燥するものである。洗車機本体1は、通常レール3・3で与えられる走行範囲の後端部に待機し、この位置から洗車を開始する。洗車を受ける自動車Aは、レール3・3で与えられる本体1走行範囲の前方から進入し、所定の停車位置に停車して洗車を受け、洗車が終了すると同走行範囲後方へ退場する。すなわち、自動車は前進走行して進入し、洗車後は同じく前進走行して退場するもので、洗車機利用客が自動車に乗ったまま洗車を受けて通り抜ける、いわゆるドライブスルー形式による洗車を可能にしている。
【0009】
洗車機本体1には、洗浄ブラシ4・5・5,ブロワノズル6・7・7をはじめ、散水ノズル,液剤タンク(図示しない)等が備えられ、走行に伴って水,洗剤,ワックス等を散布しながらブラッシングする洗浄作業やブロワノズルより空気を吹き付ける乾燥作業を行う。洗浄ブラシは、本体1前側に位置し車体上面に沿って昇降し同上面をブラッシングする上面ブラシ4と、上面ブラシ4の後方に位置し車体に対して接離(開閉)動作し車体の前後面および側面をブラッシングする左右一対の側面ブラシ5・5とからなる。また、ブロワノズルは、各ブラシ4・5・5の後方にあって、車体上面に沿って昇降し同上面に空気を吹き付けて乾燥をはかる上面ブロワノズル6と、この上面ブロワノズル6より更に本体1後方に位置し車体側面に空気を吹き付けて乾燥をはかる左右一対の側面ブロワノズル7・7とからなる。
【0010】
8は本体1のブラシより前側の前縁部に設けられ自動車の車形を読み取る車形検出装置で、複数の発光素子を上下に配列させた発光部8aと、これに対応して複数の受光素子を上下に配列した受光部8bとを対向させてあり、洗車機本体1の走行に伴い両者間で光信号の授受を行い、これにより車体の上面位置を検出し自動車の側面形状(輪郭)を読み込むものである。9・10は車体検出手段としての光電スイッチで、本体1前端部にあり車形検出装置8と前後して2対設けられており、自動車の入場時に、前側の光電スイッチ9で車体検出し、且つ後側の光電スイッチ10が車体検出していない位置で、自動車を停止させるよう位置設定されている。11は本体1後端部にある車体検出手段としての光電スイッチで、自動車が本体1内より退出するのを検出する。12は本体1後面に設けられ本体1後方の所定範囲にある物体を検出する物体検出器で、照射した赤外光の反射波を検知して物体検出するいわゆるエリアセンサからなり、本体1が後退する際にその進行方向に退出する車両や人等がいないか確認するものである。
【0011】
13は洗車スペース手前の入場口に設置される洗車受付装置で、前面に備えられる受付操作パネル14により洗車料金や洗車内容の選択入力等を行うものである。15は洗車受付装置13と洗車スペースの間に設置されるゲート装置で、駐車場などで公知のポールを回動して入場口を開閉させるタイプのものであり、洗車スペースに対する自動車の進入を禁止/許可する。16は洗車受付装置13に設けられる自動車検知センサで、反射型の赤外線センサからなり、洗車受付装置13の前に自動車が入車したことを検出する。尚、自動車検知センサー16は、反射型の赤外線センサに限定されず、洗車受付装置13に自動車の入出したことを検出できれば良く、反射型の超音波センサや発光部と受光部を自動車を挟んで位置した透過型のビームセンサ等でも代用できる。17は洗車を受ける自動車の運転者に各種指示や情報を提供する表示器で、LEDをマトリクス状に配列した電光表示装置からなり、洗車受付時には自動車の入場を誘導し、洗車中には洗車動作の進行状況やその他の広告情報を表示し、洗車終了時には自動車の退場を案内する。
【0012】
図3は本実施例の制御系を示すブロック図である。
20は洗車機1に内蔵される制御ボード、21は洗車受付装置13に内蔵される受付制御ボードで、いずれもマイクロコンピュータを備えており、両ボードはシリアル伝送用のケーブル22で接続されている。制御ボード20は、本体走行モータ2、洗浄ブラシ4・5・5、ブロワノズル6・7・7、車形検出装置8、光電スイッチ9・10・11、物体検出器12、表示器17を接続しており、ケーブル22を介して受付制御ボード21より伝送される洗車要求信号に基づき、接続される各要素の動作を制御する。受付制御ボード21は、受付操作パネル14、ゲート装置15、自動車検知センサ16を接続しており、自動車検知センサ16で自動車が接近したことを検知すると、受付操作パネル14からの洗車料金やメニュー選択を受付可能とし、受け付けた内容に基づいて制御ボード20へ洗車要求信号を出力するとともに、ゲート装置15を制御する。
【0013】
受付操作パネル14は、現金やプリペイドカードにより洗車料金を受け付ける料金受付部23と、車種・洗車コース等の洗車メニューを選択するメニューキー24と、自動車の突起物を指定する突起物キー25と、指定した洗車メニューを決定する決定キー26と、指定した洗車メニューを取り消す取消キー27と、受付操作パネル14における操作案内や洗車スペースへの入場案内等を音声で行う音声ガイド部28とを備えている。
【0014】
表示器17は、2本の平行アーム29,30によって回動自在に支持された表示パネル31と、リンクアーム32を介してアーム29を揺動するシリンダ33から構成され、洗車受付時及び洗車時にはアーム29を回動させて表示パネル31を自動車退出路に突出する状態(図3中実線)にして、洗車中の自動車の運転席から視認され易い位置に置き、洗車後の自動車退場の際にはアーム29を回動させて表示パネル31を自動車退出路から退避する状態(図3中点線)にする。これによって、実施例装置を使用する洗車場がどのようなレイアウトであっても、効果的に実施できるものである。尚、洗車後に自動車が側方へ退場するレイアウトであれば、本体1後方の所定位置に固定設置しておけば良い。
【0015】
以下、このように構成する本実施例の動作について説明する。
図4は実施例の洗車時の動作を説明するフローチャート図である。通常、洗車受付装置13において、自動車検知センサ16による自動車の検出待ち状態となっている(1)。この状態から洗車受付装置13に自動車が入車したことを検出すると、音声ガイド部28から「いらっしゃいませ ご希望の洗車メニューを選択してください」といった音声アナウンスを出力し(2)、洗車受付装置13が洗車受付可能な状態となる(3)。ここから洗車受付装置13の受付操作パネル14で希望する洗車メニュー等を受け付けると、ゲート装置15を開放して(4)洗車スペースへの入場を許可するとともに、表示器17に「前進してください」といった入場を促す案内を表示し、同時に音声ガイド部28から同旨の音声アナウンスを出力する(5)。
【0016】
利用者が表示器17の案内に従って、洗車スペースの後端に待機する洗車機本体1に向けて自動車を乗り入れて行き、洗車受付装置13の自動車検知センサ16が自動車を検知しなくなると(6)、今度は表示器17に「ゆっくり前進してください」といった案内を表示する(7)。これは、自動車が停車位置に近づくため、入場速度を制限させることでスムーズに停車位置に停車させるための案内である。
【0017】
自動車が更に入場し、光電スイッチ9・10で自動車が停車位置に停車されたこと、すなわち光電スイッチ9が車体検出・光電スイッチ10が車体非検出の状態になったことを検出すると(8)、ゲート装置を15を閉じて(9)洗車スペースへの入場を禁止するともに、表示器17に「停止してください」といった停止を促す表示を行う(10)。
【0018】
こうして、停止を促す表示に従い自動車が停止位置に所定時間T1留まることを確認できれば(11)、表示器17に「洗車を開始します 停車したままでお待ちください」といった洗車開始の案内を表示し(12)、洗車受付装置13で選択した洗車メニューに沿って洗車が実行される(13)。尚、ステップ(11)で所定時間経過する前に、自動車が停止位置から移動されると、それが光電スイッチ9・10がともに車体検出となる行き過ぎ状態であれば(14)、表示器17に「バックしてください」といった後進を促す表示をし(15)、ステップ(8)に戻り、それが光電スイッチ9・10がともに車体非検出となる戻り状態であれば(16)、ステップ(7)に戻って、表示器17に「ゆっくり前進してください」といった前進を促す表示をする。
【0019】
洗車が開始すると、本体1が往行を開始し、まず先行する光電スイッチ8で自動車の車形認識を行いながら、後行する上面ブラシ4と側面ブラシ5・5を制御して検出した自動車の形状に沿うように車体に作用させてブラッシングを行う。この後、洗車機本体1の復行に伴い、再度ブラッシング洗浄を行った後、本体1の再往行で上面ブロワノズル6と側面ブロワノズル7・7により空気を噴射させつつ同ノズルを車体に接近させて乾燥を行う。こうして、洗車機本体1が自動車の後端側に位置して洗車は終了となる。
【0020】
洗車が終了すると、表示器17に「洗車が終了しました。前進で退場してください」といった退場を促す表示を行う(17)。この後自動車が退場して、光電スイッチ11が非検出となれば(18)、一定時間T2だけ待った後(19)、表示器17に「洗車機が後退します。ご注意ください」といった注意喚起を促す表示をし(20)、洗車機本体1を後退して洗車機本体1を開始位置へ復帰させるよう処理する(21)。
【0021】
洗車機本体1の後退中に光電スイッチ11または物体検出器12が検出状態となれば、洗車機本体1の走行を停止し、「洗車機が後退します。ご注意ください」といった表示を出力する。検出状態であった光電スイッチ11または物体検出器12が非検出となれば、引き続き洗車機本体1を後退し、洗車機本体1がレール2・2後端の開始位置まで復帰すれば、本体1の走行を停止する。こうして、洗車機の後退に際しては人や自動車と接触しないよう安全をはかりながら後退し、開始位置に戻るとリタンして、次の洗車を待ち受ける状態になる。
【0022】
尚、表示器17が可動式のものであれば、表示器17は図4のステップ(3)のタイミングで退出路側へ突出し、洗車が終了すると表示器17は退出路より退避するといった動作をさせれば良い。
【0023】
この実施例は以上のように構成されるが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。この実施例では、ブラシ装置を備えブラッシング洗浄するタイプの洗車機に実施した例を示すが、ブラシ装置を備えず車体を高圧スプレー等で洗浄するタイプの洗車機にも同様に実施することができる。また、車体検出手段として光電スイッチを使用しているが、車体検出できるセンサーであれば何を使用しても良く、また車形検出装置8で車体検出手段を兼ねるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の洗車装置を示す平面説明図である。
【図2】同洗車装置の側面説明図である。
【図3】実施例の制御系を示すブロック図である。
【図4】実施例の洗車時の動作を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0025】
1 洗車機本体
13 洗車受付装置
16 車体検出センサ
17 表示器
20 制御ボード
21 受付制御ボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗車スペース内の所定位置に停車した自動車に対して洗車サービスを与える洗車機本体と、洗車スペース外に設置されて洗車料金や洗車内容の選択入力等を受け付ける洗車受付装置とを備え、洗車受付装置で洗車の受付をした後に洗車スペースに自動車を乗り入れて洗車機本体による洗車サービスを受ける洗車装置において、
前記洗車受付装置に設けられる車体検出手段と、洗車スペースに乗り入れる自動車から視認される位置に設けられ自動車の入場を促すガイド表示を行う表示手段と、洗車受付装置での洗車受付が完了してから車体検出手段で自動車が検出されている間、表示手段に自動車の入場を促す表示を行い、車体検出手段で自動車が検出されなくなると自動車の入場速度を抑制する表示に切り替える制御手段とを備えたことを特徴とする洗車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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