洗面化粧台
【課題】洗面ボウルのオーバーフロー機能を損なうことなく、洗面ボウルのデッキ部を物置スペースとして有効に使うことができる洗面化粧台を提供する。
【解決手段】底面に形成された排水口3aと、側面に形成されたオーバーフロー孔部6とを有する洗面ボウル3と、排水口3aに着脱自在に取り付けられる排水栓8と、を備えた洗面化粧台において、排水栓8には、排水栓8をオーバーフロー孔部6に装着するための装着部が設けられ、排水栓8をオーバーフロー孔部6に装着した場合に、洗面ボウル3の水をオーバーフロー孔部6に流出させることが可能な通水路を備えた。
【解決手段】底面に形成された排水口3aと、側面に形成されたオーバーフロー孔部6とを有する洗面ボウル3と、排水口3aに着脱自在に取り付けられる排水栓8と、を備えた洗面化粧台において、排水栓8には、排水栓8をオーバーフロー孔部6に装着するための装着部が設けられ、排水栓8をオーバーフロー孔部6に装着した場合に、洗面ボウル3の水をオーバーフロー孔部6に流出させることが可能な通水路を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面ボウルの排水口を塞いで、水を貯めて使用することが可能な洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面化粧台は、従来より、手洗い、洗顔、洗濯といった作業を行う際に、洗面ボウルの排水口を塞ぐ排水栓を有していた。この排水栓は、玉鎖によって洗面ボウルに繋がれることが多かった。ところが、排水栓を使わないときは、洗面ボウルの水栓周辺のデッキ部上に置くしかなく、デッキ部が狭くなってしまった。
排水口を止水しない場合の排水栓の扱いを工夫した洗面化粧台が、文献1〜3のように提案されている。
文献1(実開昭57−85987号公報)は、排水栓を洗面器の周縁上面に載置するものだが、これでは、洗面ボウルのデッキ部が狭くなってしまい、洗面ボウル周囲の物置きスペースが狭くなってしまうという問題があった。
文献2(実開昭52−111250号公報)は、止水栓(排水栓)を水槽の側部に設けた溢水装置に保持させるものだが、止水栓を装着すると溢水口が塞がれてしまい、水槽から水が溢れ出てしまい、オーバーフロー機能が十分に機能しないという問題がある。
文献3(特開2002−153389号公報)は、排水栓に鎖で接続された錘の重さで排水栓を持ち上げて鎖をオーバーフロー流路に納める構造であるが、排水栓をしっかり排水口に差し込まないと勝手に栓が抜けてしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57−85987号公報
【特許文献2】実開昭52−111250号公報
【特許文献3】特開2002−153389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解消するために、洗面ボウルのオーバーフロー機能を損なうことなく、洗面ボウルのデッキ部を物置スペースとして有効に使うことができる洗面化粧台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、本発明は、底面に形成された排水口と、側面に形成されたオーバーフロー孔部とを有する洗面ボウルと、前記排水口を止水することが可能な排水栓と、を備えた洗面化粧台において、前記排水栓には、当該排水栓を前記オーバーフロー孔部に装着するための装着部が設けられ、前記排水栓を前記オーバーフロー孔部に装着した場合に、前記洗面ボウルの水を前記オーバーフロー孔部に流出させることが可能な通水路を備えたことを特徴とする。
【0006】
これによれば、排水口を止水する排水栓を使わない時は、排水栓をオーバーフロー孔部に装着して保持することができる。そのため、排水栓を洗面ボウルのデッキ部に置く必要がなくなり、デッキ部を物置スペースとして広く使うことができる。また、排水栓をオーバーフロー孔部に装着した場合でも、洗面ボウルの水は通水路を介して流出することができるので、オーバーフロー機能を損なうことがない。よって、排水口が詰まった場合でも、洗面ボウルから水が溢れることがなく、安全である。また、オーバーフロー孔部を利用して排水栓を保持することにより、排水栓の保持のために洗面化粧台に特別な加工をする必要がなく、コストアップを避けることができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、前記排水栓は、前記排水口に栓をする栓体と、前記栓体に対して下方に延びて前記装着部が形成された脚部と、を有し、前記脚部は、弾性変形可能な複数本の脚片を有し、前記複数本の脚片同士の間を前記通水路とすると共に前記脚片の端部に前記装着部を形成してなり、前記オーバーフロー孔部は、前記脚片の弾性変形を利用して装着された前記装着部を拘束可能な係止突起を有する。
これによれば、排水栓の脚片の弾性変形を利用して排水栓をオーバーフロー孔部に簡単に装着することができる。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、前記排水栓の複数本の脚片は、前記栓体の下面において同心円上に形成されてなり、前記オーバーフロー孔部の係止突起は前記同心円とほぼ同径の円形状に形成される。
これによれば、排水栓の脚片は同心円上に沿って形成され、オーバーフロー孔部の係止突起も円形状に形成されているので、排水栓の向きを気にすることなく、簡単にオーバーフロー孔部に装着することができる。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、排水栓は排水口を封止する栓体を有し、装着部は排水栓の栓体の裏側に設けられ、さらに、オーバーフロー孔部は、排水栓をオーバーフロー孔部に装着した場合に、栓体とオーバーフロー孔部の隙間に通水路が形成されるように、装着部を保持する排水栓保持部を有する。
これによれば、オーバーフロー孔部に通水路を形成することなく、排水栓をオーバーフロー孔部に装着した状態でも、排水栓とオーバーフロー孔部との間から確実にオーバーフロー孔部へと排水することができる。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、排水栓は、排水口を封止する栓体と、この栓体に対して垂直方向に延びて装着部が形成された脚部と、を有し、さらに、オーバーフロー孔部は、通水路が形成された装着部を保持する排水栓保持部を有する。
これによれば、排水栓に通水路を形成しなくても、排水栓をオーバーフロー孔部に取り付けた状態であっても、確実にオーバーフロー孔部へと排水することができる。
【0011】
さらに、また、本発明において、好ましくは、前記オーバーフロー孔部は、前記洗面ボウルの表面側に設けられて、端部に外向きに形成された外フランジを有するフランジ部材を備え、前記フランジ部材は、前記オーバーフロー孔部の裏側に設けられたオーバーフロー管路に前記洗面ボウルを挟んで螺合されてなり、一端が前記排水栓に連結された玉鎖の他端が連結されたリング状の玉鎖留め金具を、前記フランジ部材と洗面ボウルの間に挟んで固定する。
これによれば、排水栓を洗面ボウルに繋ぐ玉鎖を、オーバーフロー孔部に固定しているので、洗面ボウルのデッキ部に玉鎖を置く必要がなくなる。そのため、従来のゴム栓式の排水栓や、ポップアップ式排水栓と比較しても、洗面ボウルのデッキ部を物置スペースとして、より広く使うことができる。さらに、オーバーフロー孔部を利用して玉鎖を固定しているため、玉鎖を固定するための部材を新たに設ける必要がなく、コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、洗面ボウルのオーバーフロー機能を損なうことなく、洗面ボウルのデッキ部を物置スペースとして有効に使うことができる洗面化粧台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の洗面化粧台の全体斜視図である。
【図2】本発明の洗面化粧台における洗面ボウルの斜視図である。
【図3】洗面ボウルの部分拡大図である。
【図4】洗面ボウルを、排水口とオーバーフロー孔部を含む線で切断した縦断面図である。
【図5】オーバーフロー孔部の分解図である。
【図6】オーバーフロー孔部のフランジ部材を示す図で、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。
【図7】排水栓を示す図で、(a)は上面図、(b)は(a)のX−X断面図である。
【図8】洗面ボウルのオーバーフロー孔部に排水栓を装着した状態を示す斜視図である。
【図9】排水栓を装着した状態のオーバーフロー孔部を示す断面図である。
【図10】オーバーフロー孔部に排水栓を装着する前後の状態を示すオーバーフロー孔部の拡大斜視図であり、(a)は排水栓装着前、(b)は排水栓装着後の状態を示す。
【図11】本発明の第2実施形態による洗面化粧台の排水栓を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態による洗面化粧台のフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図13】第2実施形態による洗面化粧台において、排水栓により排水口を止水した様子を示す鉛直断面図である。
【図14】第2実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態による洗面化粧台の排水栓を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図16】第3実施形態による洗面化粧台において、排水栓により排水口を止水した様子を示す鉛直断面図である。
【図17】第3実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。
【図18】本発明の第4実施形態による洗面化粧台の排水栓を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図19】本発明の第4実施形態による洗面化粧台のフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図20】第4実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。
【図21】本発明の第5実施形態による洗面化粧台の排水栓を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図22】本発明の第5実施形態による洗面化粧台のフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図23】第5実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。
【図24】本発明の第6実施形態による洗面化粧台の排水栓を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図25】本発明の第6実施形態による洗面化粧台のフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図26】第6実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。
【図27】本発明の第7実施形態による洗面化粧台の排水栓を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図28】本発明の第7実施形態による洗面化粧台のフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図29】第7実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による洗面化粧台を説明する。
図1は本発明の洗面化粧台を示す斜視図であり、図2は洗面化粧台における洗面ボウルの斜視図であり、図3はこの洗面ボウルの部分拡大図である。
【0015】
洗面化粧台1は、床上に置かれるキャビネット2と、その上部に設置される洗面ボウル3と、洗面ボウル3に吐水する水栓4とを備えている。また、洗面ボウル3の上方には、ミラーキャビネット5が設置されている。
【0016】
図2及び図3に示すように、洗面ボウル3は、排水口3aを有するボウル部3bと、水栓4を取り付けるための取付孔3cが形成されたデッキ部3dと、を有している。このデッキ部3dは、物置スペースとして利用することができる。例えば、洗顔、手洗い、洗髪、洗濯、等、洗面化粧台で作業する際に使用する備品を置いたり、メガネやアクセサリー類の一時置き場所として利用することができる。
また、洗面ボウル3は、ボウル部3bに水を溜めるときに水が溢れないように水を排出するオーバーフロー孔部6を備えている。また、洗面ボウル3は、ボウル部3bの右奥側面を後方に膨らませた排水領域3eを有している。この排水領域3eの底面に排水口3aが形成され、排水領域3eの側面にオーバーフロー孔部6が設けられている。
【0017】
また、洗面ボウル3は、髪の毛等の異物を捕集するヘアキャッチャー7と、排水口3aを止水可能な排水栓8が設置されている。ヘアキャッチャー7は排水口3aに対して着脱可能に設置されていて、排水口3aから取り外して貯まった異物を取り除くことができる。排水栓8は、オーバーフロー孔部6に対して着脱可能に設置されていて、ボウル部3bに水を溜めるときに排水口3aに装着して、排水口3aを止水することができる。
【0018】
図4は、洗面ボウルを排水口とオーバーフロー孔部を含む線で切断した縦断面図である。
図に示すように、排水口3aに排水栓8を装着すると、オーバーフロー孔部6の位置までボウル部3bに水を溜めることができる。そして、ボウル部3bの水位がオーバーフロー孔部6を超えると、オーバーフロー孔部6からオーバーフロー管路9を通って排水管10に水が排出されるので、ボウル部3bから水が溢れることはない。
【0019】
次に、オーバーフロー孔部6について説明する。
図5はオーバーフロー孔部の分解図であり、図6(a)はオーバーフロー孔部を構成するフランジ部材を示す斜視図、図6(b)はフランジ部材の縦断面図である。
【0020】
図5に示すように、オーバーフロー孔部6は、ボウル部3bの排水領域3eの側面に形成された開口3fを挟んで、ボウル部3bの外側に設置されるオーバーフロー管路9に対して、ボウル部3bの内側からねじ込まれる円筒状のフランジ部材10によって構成されている。
【0021】
フランジ部材10は、例えば、ポリアセタール(POM)によって成形され、図6に示すように、外周面に雄ネジ10aが形成された円筒10bの端部に、ボウル部3bの側面に当設する外フランジ10cが形成されている。また、外フランジ10cには、外フランジ10cの表面との間に隙間10dを有する係止突起10eが形成されている。この係止突起10eは、フランジ部材10と同軸の円形状となっている。
【0022】
そして、オーバーフロー管路9の端部には雌ネジ9aが形成されている。フランジ部材10は、ボウル部3bの外側に円環状のパッキン11を、ボウル部3bの内側にはリング状の玉鎖留め金具12を、それぞれ挟んで、オーバーフロー管路9の雌ネジ9aにねじ込まれて固定されている。また、玉鎖留め金具12玉鎖留め金具12の下端部に、排水栓8が連結された玉鎖13が固定されている。
【0023】
なお、図6に示すように、洗面ボウル3の排水領域3eの側面は、外側に開くように傾斜しているため、オーバーフロー孔部6の端部も上向きに傾いている。
【0024】
次に、排水栓8について説明する。
図7(a)は排水栓を示す上面図、図7(b)は図7(a)のX−X断面図である。
図7に示すように、排水栓8は、周囲にシール部8aを有する栓体8bと、栓体8bの上面に形成された玉鎖連結部8cと、栓体8bの下面に栓体8bの下方に向けて延びるように形成された脚部8dと、脚部8dの先端に形成された装着部8eとを有している。このうち、少なくとも脚部8dは、弾性変形可能な樹脂材料(例えば、軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC))によって形成されている。
【0025】
脚部8dは、栓体8bの下面において同心円上に、そして所定間隔をあけて形成された4本の脚片8fで構成されている。この脚片8fが形成される同心円は、前述したオーバーフロー孔部6のフランジ部材10に形成された円形状の係止突起10eとほぼ同じ径を有する。なお、本実施形態においては、脚片8fの先端の内側に突部を形成して、この突部をオーバーフロー孔部6への装着部8eとしているが、装着部8eには必ずしも突部は必要ではない。突部がない場合でも、前述したようにオーバーフロー孔部6の端部は上向きに傾いているので、排水栓8を装着しても落下しにくくなっている。
【0026】
次に、排水口3aに装着されていないときの排水栓8の保持方法について説明する。
図8は洗面ボウルのオーバーフロー孔部に排水栓を装着した状態を示す斜視図であり、図9は排水栓を装着した状態のオーバーフロー孔部を示す断面図である。
排水栓8は、常時は、ボウル部3bの側面に形成されたオーバーフロー孔部6に装着されて保持される。
【0027】
図8に示すように、排水栓8の4本の脚片8fが、オーバーフロー孔部6のフランジ部材10に装着される。より具体的には、排水栓8の4本の脚片8fの先端に形成された突部(装着部)8eが、フランジ部材10の外フランジ10cと係止突起10eの間に設けられた隙間10dに嵌め込まれている。脚片8fは弾性変形可能であるので、排水栓8を装着する際には、脚片8fが弾性変形によって外側に広がって突部(装着部)8eが係止突起10eを乗り越えて隙間10dに嵌め込まれるので、装着作業は簡単である。
【0028】
また、フランジ部材10及び係止突起10eは、円形状である。そして、係止突起10eは、排水栓8の4本の脚片8fが並ぶ同心円とほぼ同じ径とされている。そのため、排水栓8をオーバーフロー孔部6に装着するにあたり、排水栓8の向きを気にすることなく装着することができるので、装着作業をより簡単に行うことができる。
【0029】
そして、図9に示すように、排水栓8がフランジ部材10に装着された状態において、排水栓8の栓体8bとフランジ部材10との間、すなわち、排水栓8の4本の脚片8f同士の間が、通水可能な通水路14となっている。このため、排水栓8をオーバーフロー孔部6に装着した場合でも、オーバーフロー孔部6は止水されることなく、通水路14を介して水を排出することが可能である。
【0030】
図10はオーバーフロー孔部に排水栓を装着する前後の状態を示すオーバーフロー孔部の拡大斜視図であり、(a)は排水栓装着前、(b)は排水栓装着後を示す。
オーバーフロー孔部6は、図10(a)に示すように、ボウル部3bの排水領域3eの側面に丸い穴が開いたように構成されている。そのオーバーフロー孔部6に排水栓8を装着すると、図10(b)に示すように、オーバーフロー孔部6は排水栓8によって隠され、オーバーフロー孔部6からオーバーフロー管路9に物が入り込んで排水管に流出することがない。
【0031】
さて、洗面ボウル3に水を溜める時には、排水栓8を排水口3aに被せて排水口3aを止水する。そして、溜まった水を排水する時には、玉鎖13を持ち上げて排水口3aから排水栓8を外す。その後、排水栓8の周縁部あるいは玉鎖連結部8cを手で持って、オーバーフロー孔部6に排水栓8を装着するのである。
【0032】
以上説明したように、本発明の実施形態における洗面化粧台は、排水口を塞ぐ排水栓を使わない時は、排水栓をオーバーフロー孔部に装着して保持するようになっている。そのため、排水栓を洗面ボウルのデッキ部に置く必要がなくなり、デッキ部を物置スペースとして広く使うことができる。
【0033】
また、排水栓を洗面ボウルに繋ぐ玉鎖を、オーバーフロー孔部に固定しているので、洗面ボウルのデッキ部から玉鎖を置く必要がなくなる。そのため、従来のゴム栓式の排水栓や、ポップアップ式排水栓と比較しても、洗面ボウルのデッキ部を物置スペースとして、より広く使うことができる。
【0034】
さらに、また、排水栓をオーバーフロー孔部に装着した場合でも、洗面ボウルの水は通水路を介して流出するので、オーバーフロー機能を損なうことがない。よって、排水口が詰まった場合でも、洗面ボウルから水が溢れることがなく、安全である。
【0035】
また、排水栓の脚片の弾性変形を利用して排水栓をオーバーフロー孔部に簡単に装着することができる。さらには、排水栓の脚片は同心円上に沿って形成され、オーバーフロー孔部の係止突起も円形状に形成されているので、排水栓の向きを気にすることなく、簡単にオーバーフロー孔部に装着することができる。
【0036】
さらに、排水栓をオーバーフロー孔部に装着すると、オーバーフロー孔部が排水栓で隠れるので、オーバーフロー孔部からオーバーフロー管路に小さな物が入り込んで排水管に流出することがない。
【0037】
以下、本発明の第2実施形態による洗面化粧台について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成要素については、図中同じ符号を用いて説明を省略する。本実施形態では、排水栓及びフランジ部材として第1実施形態と異なるものを用いている。
【0038】
図11及び図12は、それぞれ本発明の第2実施形態による洗面化粧台の排水栓18及びフランジ部材20を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。図11に示すように、排水栓18は、周囲にシール部18aを有する円板状の栓体18bと、栓体18bの上面に形成された玉鎖連結部18cと、栓体18bの下面から突出する円筒状の脚部18dとを有する。脚部18dは、半径が栓体18bに比べて小さい円筒状に形成され、周方向に間隔をあけて複数の(本実施形態では4つの)矩形状の開口18eが形成されている。本実施形態では、この脚部18dが、排水栓18をオーバーフロー孔部6に取り付けられたフランジ部材に装着するための装着部として機能する。
【0039】
図12に示すように、本実施形態のフランジ部材20は、外周面に雄ネジ20aが形成された円筒部20bの上縁部に外フランジ20cが形成されてなる。円筒部20bの内周面には、周方向に間隔をあけて複数の(本実施形態では4つの)係止突起20dが形成されている。この係止突起20dの外フランジ20c側の端部は、円筒部20bの外フランジ20c側の縁から所定の間隔をあけた位置で終端している。この係止突起20dの終端する位置は、後述するように、フランジ部材20に排水栓18を装着したときに、排水栓18の栓体18bとフランジ部材20の外フランジ20cとの間に隙間が形成されるように決定されている。
【0040】
図13は、第2実施形態による洗面化粧台において、排水栓18により排水口3aを止水した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態では、円弧状断面を有する洗面ボウル3bの内周面に排水栓18の周囲のシール部18aが密着することにより、排水口3aを止水することができる。
【0041】
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、排水栓18は、排水口3aに装着していない場合には、オーバーフロー孔部6に装着されて保持される。図14は、第2実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部6に排水栓18を装着した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、第1実施形態と同様に、フランジ部材20は、円筒部20bを、リング状の玉鎖止め金具12と、円環状のパッキン11と、に挿入した状態で、円筒部20bの外周に形成された雄ネジ20aをオーバーフロー管路9の端部に形成された雌ネジ9bに螺合させることにより、オーバーフロー管路9に取り付けられている。なお、図示しないが、第1実施形態と同様に、玉鎖止め金具12には、排水栓18の玉鎖連結部18cに一端が連結された玉鎖の他端が固定されている。また、後述する第3乃至第7実施形態についても同様である。
【0042】
図14に示すように、本実施形態において、オーバーフロー孔部6に排水栓18を装着する場合には、排水栓18の脚部18dをオーバーフロー管路9に取り付けたフランジ部材20の円筒部20b内に挿入する。この際、排水栓18の脚部18dの先端が、フランジ部材20の円筒部20b内に形成された係止突起20dと係合することにより、排水栓18の栓体18bとフランジ部材20の外フランジ20cとの間に隙間が形成された状態で排水栓18が保持される。これにより、オーバーフロー孔部6に排水栓18を装着した状態であっても、排水栓18の栓体18bとフランジ部材20の外フランジ20cとの間の隙間から排水栓18の円筒部18dに形成された開口18eを通る通水路が形成され、この通水路を介してオーバーフロー管路9へ水を排出することができる。
本実施形態によれば、上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0043】
以下、本発明の第3実施形態による洗面化粧台について説明する。なお、本実施形態において、第1及び第2実施形態と同様の構成要素については、図中同じ符号を用いて説明を省略する。本実施形態では、排水栓として第1及び第2実施形態と異なるものを用い、フランジ部材として第2実施形態と同様のものを用いている。
【0044】
図15は、本発明の第3実施形態による洗面化粧台の排水栓38を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。同図に示すように、排水栓38は、円錐台状のゴム製の栓体部38aと、栓体部38aの断面積が大きい側の面(以下、上面という)に形成された玉鎖連結部38cを有する。栓体部38aには、周方向に所定の間隔をあけて複数の切り欠き38b(本実施形態では3つ)が形成されており、この切り欠き38bは、栓体部38aの断面積が小さい側の面(以下、下面という)から延び、上面の手間で終端している。なお、本実施形態では、栓体部38aが排水栓38をオーバーフロー孔部6に取り付けられたフランジ部材に装着するための装着部として機能する。
【0045】
栓体部38aは、洗面化粧台の排水口に嵌め込めるように、その上面が排水口の孔の径よりもわずかに大きくなるように形成されており、また、切り欠き38bは、後述するようにフランジ部材20内に挿入した際に、その一部が洗面ボウル内まで達するような長さに形成されている。
【0046】
図16は、第3実施形態による洗面化粧台において、排水栓38により排水口3aを止水した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態では、排水口3a内にゴム製の栓体部38bを挿入することにより、栓体部38bの上部が排水口3aの縁と密着し、これにより、排水口3aを封止することができる。
【0047】
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、排水栓38は、排水口3aに装着していない場合には、オーバーフロー孔部6に装着されて保持される。図17は、第3実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部6に排水栓38を装着した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態において、オーバーフロー孔部6に排水栓38を装着する場合には、排水栓38の栓体部38aをオーバーフロー管路9に取り付けたフランジ部材20の円筒部20b内に挿入する。この際、排水栓38の栓体部38aの先端が、フランジ部材20の円筒部20b内に形成された係止突起20dと係合するため、栓体部38aに形成された切り欠き38bが洗顔ボウル内に現われた状態で排水栓38が保持されることになる。これにより、オーバーフロー孔部6に排水栓を装着した状態であっても、排水栓38の切り欠き部38bを通る通水路が形成され、この通水路を介してオーバーフロー管路9へ水を排出することができる。
本実施形態によれば、上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0048】
以下、本発明の第4実施形態による洗面化粧台について説明する。なお、本実施形態において、第1乃至第3実施形態と同様の構成要素については、図中同じ符号を用いて説明を省略する。本実施形態では、排水栓及びフランジ部材として第1乃至第3実施形態と異なるものを用いている。
【0049】
図18及び図19は、それぞれ本発明の第4実施形態による洗面化粧台の排水栓58及びフランジ部材60を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。図18に示すように、本実施形態の排水栓58は、周囲にシール部58aを有する円板状の栓体58bと、栓体58bの上面に形成された玉鎖連結部58cと、栓体58bの下面に形成された複数の脚部58dと、栓体58bの下面中心に形成され、下面に開放する嵌合穴58eを有する突出部58fとを有する。
【0050】
脚部58dは、栓体58bの下面に、栓体58bと同心、かつ、栓体58bに比べて小径の円周上に周方向に間隔をあけて形成され、栓体58bの下方に向けて突出している。脚部58dは下方に向かって幅が小さく半径方向の厚さが小さくなるようなテーパーが形成されており、後述するように、排水栓58をフランジ部材60に装着した際に、脚部58dの先端が外フランジ60cと当接するような長さを有している。
【0051】
突出部58fは円柱状に形成されており、下面中央に形成された嵌合穴58eは、後述するように、フランジ部材60の突出部60fを挿入可能なような形状に形成されている。
なお、本実施形態では、嵌合穴58eを有する突出部58fが排水栓58をオーバーフロー孔部6に取り付けられたフランジ部材に装着するための装着部として機能する。
【0052】
図20に示すように、本実施形態のフランジ部材60は、外周面に雄ネジ60aが形成された円筒部60bと、円筒部60bの縁部に形成された外フランジ60cと、円筒部60bの内周面から中心に向けて延びる複数のアーム部60dと、アーム部60dにより支持された円錐形の基部60eと、基部60eの先端に接続され、円筒部60bの外フランジ60c側の縁から突出する突出部60fとを有する。突出部60fの外フランジ60c側の縁からの突出長さは、後述するように排水栓58の嵌合穴58eをフランジ部材60の突出部60fに嵌合させた際に、フランジ部材60の外フランジ60cと、排水栓60の栓体58bとの間に隙間が形成されるような長さとなっている。
【0053】
図示は省略するが、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、円弧状断面を有する洗面ボウルの内周面に排水栓58の周囲のシール部58aが密着することにより、排水口を止水することができる。
【0054】
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、排水栓58は、排水口に装着していない場合には、オーバーフロー孔部6に装着されて保持される。図20は、第4実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部6に排水栓58を装着した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態において、オーバーフロー孔部6に排水栓58を装着する場合には、フランジ部材60の突出部60fが排水栓58の裏面の円柱部58fに形成された嵌合穴58eに挿入されるように、排水栓58を装着する。この際、排水栓58の栓体58bと、フランジ部材60の外フランジ60cとの間に空隙が形成されるが、排水栓58の脚部58dがフランジ部材60の外フランジ60cに当接することにより、排水栓58のぐらつきを防止できる。
【0055】
このように排水栓58をオーバーフロー孔部6に装着した状態において、排水栓58の栓体58bと、フランジ部材60の外フランジ60cとの隙間における排水栓58の脚部58dの間の部分を通り、さらに、フランジ部材60のアーム部60d間を通る通水路が形成され、この通水路を介してオーバーフロー管路9へ水を排出することができる。
【0056】
本実施形態によっても、上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、本実施形態によれば、フランジ部材60の突出部60fに、排水栓58の嵌合穴58eを嵌め込む構成としたため、フランジ部材60の突出部60fが排水栓58の取付け位置の目印となるため、排水栓58の取付けを容易に行うことができる。
【0057】
以下、本発明の第5実施形態による洗面化粧台について説明する。なお、本実施形態において、第1乃至第4実施形態と同様の構成要素については、図中同じ符号を用いて説明を省略する。本実施形態では、排水栓及びフランジ部材として第1乃至第4実施形態と異なるものを用いている。
【0058】
図21及び図22は、それぞれ本発明の第5実施形態による洗面化粧台の排水栓78及びフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
図21に示すように、本実施形態の排水栓78は、周囲にシール部78aを有する円板状の栓体78bと、栓体78bの上面に形成された玉鎖連結部78cと、栓体78bの下面に栓体78bの下方に向けて延びるように形成された脚部78dと、脚部78dの先端に排水栓の中心に向かって形成された爪部78eとを有している。このうち、少なくとも脚部78dは、弾性変形可能な樹脂材料(例えば、軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC))によって形成されている。また、脚部78dは栓体78bの下面に円周状に設けられており、この円周は、後述するオーバーフロー孔部6のフランジ部材80に形成された円形状の上面板80eと略同じ半径を有する。なお、本実施形態では、爪部78eが排水栓78をオーバーフロー孔部6に取り付けられたフランジ部材に装着するための装着部として機能する。
【0059】
図22に示すように、本実施形態のフランジ部材80は、外周面に雄ネジ80aが形成された円筒部80bと、円筒部80bの縁部に形成された外フランジ80cと、外フランジ80cの上面に周方向に間隔をあけて立設された複数の支持部80dと、支持部80dにより外フランジ80cと隙間をあけて支持された円板状の上面板80eとを有する。上面板80eの外周面には全周に亘って係合溝80fが形成されており、この係合溝80fの幅は排水栓78の脚部78dの先端の爪部78eの厚さと略等しい。また、外フランジ80c、支持部80d、及び上面板80eにより囲まれた部分には、円筒部80bの内部と連通する開口80gが画成される。
【0060】
図示は省略するが、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、円弧状断面を有する洗面ボウルの内周面に排水栓78の周囲のシール部78aが密着することにより、排水口を止水することができる。
【0061】
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、排水栓78は、排水口に装着していない場合には、オーバーフロー孔部6に装着されて保持される。図21は、第5実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部6に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態において、オーバーフロー孔部6に排水栓78を装着する場合には、排水栓78の脚部78dの先端の爪部78eを、フランジ部材80の上面板80eの外周に形成された係合溝80fに嵌め込めばよい。なお、上記のように脚部78dは、弾性変形可能な樹脂材料により形成されているため、容易に排水栓78の爪部78eをフランジ部材80の係合溝80fに嵌め込むことができる。これにより排水栓78がフランジ部材80に保持される。
【0062】
このように排水栓78をオーバーフロー孔部6に装着した状態において、フランジ部材の上面板80eと外フランジ80cとの間に形成された開口80gを通る通水路が形成され、この通水路を介してオーバーフロー管路9へ水を排出することができる。
本発明によっても、上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
以下、本発明の第6実施形態による洗面化粧台について説明する。なお、本実施形態において、第1乃至第5実施形態と同様の構成要素については、図中同じ符号を用いて説明を省略する。本実施形態では、排水栓及びフランジ部材として第1乃至第5実施形態と異なるものを用いている。
【0064】
図24及び図25は、それぞれ本発明の第6実施形態による洗面化粧台の排水栓及びフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
図24に示すように、本実施形態の排水栓98は、周囲にシール部98aを有する円板状の栓体98bと、栓体98bの上面に形成された玉鎖連結部98cと、栓体98bの下面に栓体98bの下方に向けて延びるように形成された脚部98dと、脚部98dの先端に外側に向かって形成された爪部98eとを有している。このうち、少なくとも脚部98dは、弾性変形可能な樹脂材料(例えば、軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC))によって形成されている。
【0065】
脚部98dは、栓体98bと同心円上に所定間隔をあけて設けられている。この脚部98dが形成される同心円は、後述するオーバーフロー孔部6のフランジ部材10のフランジ面に形成された中心開口と略等しい径を有する。脚部98dは、後述するように、フランジ部材100に排水栓98を装着した際に、フランジ部材100のフランジ面と、排水栓98の栓体98bとの間に水が流通可能な隙間が形成されるような長さを有する。なお、本実施形態では、爪部98eが排水栓98をオーバーフロー孔部6に取り付けられたフランジ部材100に装着するための装着部として機能する。
【0066】
図25に示すように、本実施形態のフランジ部材100は、外周面に雄ネジ100aが形成された円筒部100bと、円筒部100bの一方の端部に接続された円板状のフランジ面100cと、を有する。
フランジ面100cの中央には円形の中心開口100dが形成されており、この中心開口100dの内周面には全周に亘って係合溝100eが形成されている。この係合溝100eは、幅が排水栓98の爪部98eの厚さと略等しくなるように形成されている。また、フランジ面100cの中心開口100dの周囲には、複数の円弧状の周辺開口100fが形成されている。
【0067】
図示は省略するが、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、円弧状断面を有する洗面ボウルの内周面に排水栓98の周囲のシール部98aが密着することにより、排水口を止水することができる。
【0068】
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、排水栓98は、排水口に装着していない場合には、オーバーフロー孔部6に装着されて保持される。
図26は、第6実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部6に排水栓98を装着した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態において、オーバーフロー孔部6に排水栓98を装着する場合には、排水栓98の爪部98eを、フランジ部材100のフランジ面100cの中心開口100dの内周面に形成された係合溝100eに嵌め込めばよい。なお、上記のように脚部98dは、弾性変形可能な樹脂材料により形成されているため、容易に排水栓98の爪部98eをフランジ部材100cの係合溝100eに嵌め込むことができる。これにより排水栓98がフランジ部材100に保持される。
【0069】
このように排水栓98をオーバーフロー孔部6に装着した状態において、フランジ部材100のフランジ面100cと、排水栓98の栓体98bとの間に隙間が形成されているため、この隙間を通り、さらに、フランジ部材100のフランジ面100cに形成された中心開口100d及び周辺開口100eを通る通水路が形成され、この通水路を介して中心開口100dや周辺開口100fからオーバーフロー管路9へ水を排出することができる。
本発明によっても、上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0070】
以下、本発明の第7実施形態による洗面化粧台について説明する。なお、本実施形態において、第1乃至第6実施形態と同様の構成要素については、図中同じ符号を用いて説明を省略する。本実施形態では、排水栓及びフランジ部材として第1乃至第6実施形態と異なるものを用いている。図27及び図28は、それぞれ本発明の第7実施形態による洗面化粧台の排水栓及びフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【0071】
図27に示すように、本実施形態の排水栓118は、円板状の栓体118aと、栓体118aの上面に形成された玉鎖連結部118bと、栓体118aの下面に下方に向けて延びるように形成された円筒部118cと、円筒部118cの外周に取り付けられた円環状のシール部材118dと、円筒部118cの下面から下方に向けて延びる複数の脚部118eと、脚部118eの先端から中心に向かって突出する爪部118fと、栓体118aの下面の中央に設けられた円筒状の突出部118gと、を有する。このうち、少なくとも脚部8dは、弾性変形可能な樹脂材料(例えば、軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC))によって形成されている。
【0072】
円筒部118cには外周全周に亘って溝が形成されており、シール部材118dは内縁部がこの溝に嵌め込まれることにより、円筒部118cに取り付けられている。
脚部118eは、後述するように、フランジ部材に排水栓118を装着した状態において、円筒部118cの下端の縁と、フランジ部材の外フランジとの間に隙間が形成されるような長さを有する。
なお、本実施形態では、爪部118eが排水栓118をオーバーフロー孔部6に取り付けられたフランジ部材に装着するための装着部として機能する。
【0073】
図28に示すように、本実施形態のフランジ部材は、外周面に雄ネジ120aが形成された円筒部120bと、円筒部120bの一方の端部に接続された外フランジ120cと、外フランジ120cの内周に沿って設けられた小円筒部120dとを有する。
小円筒部120dの外周には全周に亘って係合溝120eが形成されており、この係合溝120eは幅が排水栓118の爪部118fの厚さと略等しくなるように形成されている。
【0074】
図示は省略するが、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、円弧状断面を有する洗面ボウルの内周面に排水栓118のシール部材118dの外周縁が密着することにより、排水口を止水することができる。
【0075】
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、排水栓は、排水口に装着していない場合には、オーバーフロー孔に装着されて保持される。図29は、第7実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部6に排水栓118を装着した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態において、オーバーフロー孔部6に排水栓118を装着する場合には、排水栓118の爪部118fを、フランジ部材120の小円筒部120dの外周面に形成された係合溝120eに嵌め込めばよい。なお、上記のように脚部8dは、弾性変形可能な樹脂材料により形成されているため、容易に排水栓118の爪部118fをフランジ部材120の係合溝120eに嵌め込むことができる。そして、これにより排水栓118がフランジ部材120に保持される。
【0076】
このように排水栓118をオーバーフロー孔部6に装着した状態において、フランジ部材120の外フランジ120cと、排水栓118の円筒部118cの下縁の間に隙間が形成されているため、この間の隙間を通る通水路が形成され、この通水路を介してオーバーフロー管路9へ水を排出することができる。
本発明によっても、上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0077】
1 洗面化粧台
2 キャビネット
3 洗面ボウル
3a 排水口
3b ボウル部
3d デッキ部
3e 排水領域
4 水栓
5 ミラーキャビネット
6 オーバーフロー孔部
7 ヘアキャッチャー
8,18,38,58,78,98,118 排水栓
8b,18b,38a,58b,78b,98b,118b 栓体
8d,18d,58d,78d,98d,118d 脚部
8e 装着部(突部)
8f 脚片
9 オーバーフロー管路
10 フランジ部材
10c 外フランジ
10e 係止突起
11 パッキン
12 玉鎖留め金具
13 玉鎖
14 通水路
58e 嵌合穴
58f 突出部
78e、98e、118e 爪部
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面ボウルの排水口を塞いで、水を貯めて使用することが可能な洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面化粧台は、従来より、手洗い、洗顔、洗濯といった作業を行う際に、洗面ボウルの排水口を塞ぐ排水栓を有していた。この排水栓は、玉鎖によって洗面ボウルに繋がれることが多かった。ところが、排水栓を使わないときは、洗面ボウルの水栓周辺のデッキ部上に置くしかなく、デッキ部が狭くなってしまった。
排水口を止水しない場合の排水栓の扱いを工夫した洗面化粧台が、文献1〜3のように提案されている。
文献1(実開昭57−85987号公報)は、排水栓を洗面器の周縁上面に載置するものだが、これでは、洗面ボウルのデッキ部が狭くなってしまい、洗面ボウル周囲の物置きスペースが狭くなってしまうという問題があった。
文献2(実開昭52−111250号公報)は、止水栓(排水栓)を水槽の側部に設けた溢水装置に保持させるものだが、止水栓を装着すると溢水口が塞がれてしまい、水槽から水が溢れ出てしまい、オーバーフロー機能が十分に機能しないという問題がある。
文献3(特開2002−153389号公報)は、排水栓に鎖で接続された錘の重さで排水栓を持ち上げて鎖をオーバーフロー流路に納める構造であるが、排水栓をしっかり排水口に差し込まないと勝手に栓が抜けてしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57−85987号公報
【特許文献2】実開昭52−111250号公報
【特許文献3】特開2002−153389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解消するために、洗面ボウルのオーバーフロー機能を損なうことなく、洗面ボウルのデッキ部を物置スペースとして有効に使うことができる洗面化粧台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、本発明は、底面に形成された排水口と、側面に形成されたオーバーフロー孔部とを有する洗面ボウルと、前記排水口を止水することが可能な排水栓と、を備えた洗面化粧台において、前記排水栓には、当該排水栓を前記オーバーフロー孔部に装着するための装着部が設けられ、前記排水栓を前記オーバーフロー孔部に装着した場合に、前記洗面ボウルの水を前記オーバーフロー孔部に流出させることが可能な通水路を備えたことを特徴とする。
【0006】
これによれば、排水口を止水する排水栓を使わない時は、排水栓をオーバーフロー孔部に装着して保持することができる。そのため、排水栓を洗面ボウルのデッキ部に置く必要がなくなり、デッキ部を物置スペースとして広く使うことができる。また、排水栓をオーバーフロー孔部に装着した場合でも、洗面ボウルの水は通水路を介して流出することができるので、オーバーフロー機能を損なうことがない。よって、排水口が詰まった場合でも、洗面ボウルから水が溢れることがなく、安全である。また、オーバーフロー孔部を利用して排水栓を保持することにより、排水栓の保持のために洗面化粧台に特別な加工をする必要がなく、コストアップを避けることができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、前記排水栓は、前記排水口に栓をする栓体と、前記栓体に対して下方に延びて前記装着部が形成された脚部と、を有し、前記脚部は、弾性変形可能な複数本の脚片を有し、前記複数本の脚片同士の間を前記通水路とすると共に前記脚片の端部に前記装着部を形成してなり、前記オーバーフロー孔部は、前記脚片の弾性変形を利用して装着された前記装着部を拘束可能な係止突起を有する。
これによれば、排水栓の脚片の弾性変形を利用して排水栓をオーバーフロー孔部に簡単に装着することができる。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、前記排水栓の複数本の脚片は、前記栓体の下面において同心円上に形成されてなり、前記オーバーフロー孔部の係止突起は前記同心円とほぼ同径の円形状に形成される。
これによれば、排水栓の脚片は同心円上に沿って形成され、オーバーフロー孔部の係止突起も円形状に形成されているので、排水栓の向きを気にすることなく、簡単にオーバーフロー孔部に装着することができる。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、排水栓は排水口を封止する栓体を有し、装着部は排水栓の栓体の裏側に設けられ、さらに、オーバーフロー孔部は、排水栓をオーバーフロー孔部に装着した場合に、栓体とオーバーフロー孔部の隙間に通水路が形成されるように、装着部を保持する排水栓保持部を有する。
これによれば、オーバーフロー孔部に通水路を形成することなく、排水栓をオーバーフロー孔部に装着した状態でも、排水栓とオーバーフロー孔部との間から確実にオーバーフロー孔部へと排水することができる。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、排水栓は、排水口を封止する栓体と、この栓体に対して垂直方向に延びて装着部が形成された脚部と、を有し、さらに、オーバーフロー孔部は、通水路が形成された装着部を保持する排水栓保持部を有する。
これによれば、排水栓に通水路を形成しなくても、排水栓をオーバーフロー孔部に取り付けた状態であっても、確実にオーバーフロー孔部へと排水することができる。
【0011】
さらに、また、本発明において、好ましくは、前記オーバーフロー孔部は、前記洗面ボウルの表面側に設けられて、端部に外向きに形成された外フランジを有するフランジ部材を備え、前記フランジ部材は、前記オーバーフロー孔部の裏側に設けられたオーバーフロー管路に前記洗面ボウルを挟んで螺合されてなり、一端が前記排水栓に連結された玉鎖の他端が連結されたリング状の玉鎖留め金具を、前記フランジ部材と洗面ボウルの間に挟んで固定する。
これによれば、排水栓を洗面ボウルに繋ぐ玉鎖を、オーバーフロー孔部に固定しているので、洗面ボウルのデッキ部に玉鎖を置く必要がなくなる。そのため、従来のゴム栓式の排水栓や、ポップアップ式排水栓と比較しても、洗面ボウルのデッキ部を物置スペースとして、より広く使うことができる。さらに、オーバーフロー孔部を利用して玉鎖を固定しているため、玉鎖を固定するための部材を新たに設ける必要がなく、コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、洗面ボウルのオーバーフロー機能を損なうことなく、洗面ボウルのデッキ部を物置スペースとして有効に使うことができる洗面化粧台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の洗面化粧台の全体斜視図である。
【図2】本発明の洗面化粧台における洗面ボウルの斜視図である。
【図3】洗面ボウルの部分拡大図である。
【図4】洗面ボウルを、排水口とオーバーフロー孔部を含む線で切断した縦断面図である。
【図5】オーバーフロー孔部の分解図である。
【図6】オーバーフロー孔部のフランジ部材を示す図で、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。
【図7】排水栓を示す図で、(a)は上面図、(b)は(a)のX−X断面図である。
【図8】洗面ボウルのオーバーフロー孔部に排水栓を装着した状態を示す斜視図である。
【図9】排水栓を装着した状態のオーバーフロー孔部を示す断面図である。
【図10】オーバーフロー孔部に排水栓を装着する前後の状態を示すオーバーフロー孔部の拡大斜視図であり、(a)は排水栓装着前、(b)は排水栓装着後の状態を示す。
【図11】本発明の第2実施形態による洗面化粧台の排水栓を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態による洗面化粧台のフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図13】第2実施形態による洗面化粧台において、排水栓により排水口を止水した様子を示す鉛直断面図である。
【図14】第2実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態による洗面化粧台の排水栓を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図16】第3実施形態による洗面化粧台において、排水栓により排水口を止水した様子を示す鉛直断面図である。
【図17】第3実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。
【図18】本発明の第4実施形態による洗面化粧台の排水栓を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図19】本発明の第4実施形態による洗面化粧台のフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図20】第4実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。
【図21】本発明の第5実施形態による洗面化粧台の排水栓を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図22】本発明の第5実施形態による洗面化粧台のフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図23】第5実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。
【図24】本発明の第6実施形態による洗面化粧台の排水栓を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図25】本発明の第6実施形態による洗面化粧台のフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図26】第6実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。
【図27】本発明の第7実施形態による洗面化粧台の排水栓を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図28】本発明の第7実施形態による洗面化粧台のフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【図29】第7実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による洗面化粧台を説明する。
図1は本発明の洗面化粧台を示す斜視図であり、図2は洗面化粧台における洗面ボウルの斜視図であり、図3はこの洗面ボウルの部分拡大図である。
【0015】
洗面化粧台1は、床上に置かれるキャビネット2と、その上部に設置される洗面ボウル3と、洗面ボウル3に吐水する水栓4とを備えている。また、洗面ボウル3の上方には、ミラーキャビネット5が設置されている。
【0016】
図2及び図3に示すように、洗面ボウル3は、排水口3aを有するボウル部3bと、水栓4を取り付けるための取付孔3cが形成されたデッキ部3dと、を有している。このデッキ部3dは、物置スペースとして利用することができる。例えば、洗顔、手洗い、洗髪、洗濯、等、洗面化粧台で作業する際に使用する備品を置いたり、メガネやアクセサリー類の一時置き場所として利用することができる。
また、洗面ボウル3は、ボウル部3bに水を溜めるときに水が溢れないように水を排出するオーバーフロー孔部6を備えている。また、洗面ボウル3は、ボウル部3bの右奥側面を後方に膨らませた排水領域3eを有している。この排水領域3eの底面に排水口3aが形成され、排水領域3eの側面にオーバーフロー孔部6が設けられている。
【0017】
また、洗面ボウル3は、髪の毛等の異物を捕集するヘアキャッチャー7と、排水口3aを止水可能な排水栓8が設置されている。ヘアキャッチャー7は排水口3aに対して着脱可能に設置されていて、排水口3aから取り外して貯まった異物を取り除くことができる。排水栓8は、オーバーフロー孔部6に対して着脱可能に設置されていて、ボウル部3bに水を溜めるときに排水口3aに装着して、排水口3aを止水することができる。
【0018】
図4は、洗面ボウルを排水口とオーバーフロー孔部を含む線で切断した縦断面図である。
図に示すように、排水口3aに排水栓8を装着すると、オーバーフロー孔部6の位置までボウル部3bに水を溜めることができる。そして、ボウル部3bの水位がオーバーフロー孔部6を超えると、オーバーフロー孔部6からオーバーフロー管路9を通って排水管10に水が排出されるので、ボウル部3bから水が溢れることはない。
【0019】
次に、オーバーフロー孔部6について説明する。
図5はオーバーフロー孔部の分解図であり、図6(a)はオーバーフロー孔部を構成するフランジ部材を示す斜視図、図6(b)はフランジ部材の縦断面図である。
【0020】
図5に示すように、オーバーフロー孔部6は、ボウル部3bの排水領域3eの側面に形成された開口3fを挟んで、ボウル部3bの外側に設置されるオーバーフロー管路9に対して、ボウル部3bの内側からねじ込まれる円筒状のフランジ部材10によって構成されている。
【0021】
フランジ部材10は、例えば、ポリアセタール(POM)によって成形され、図6に示すように、外周面に雄ネジ10aが形成された円筒10bの端部に、ボウル部3bの側面に当設する外フランジ10cが形成されている。また、外フランジ10cには、外フランジ10cの表面との間に隙間10dを有する係止突起10eが形成されている。この係止突起10eは、フランジ部材10と同軸の円形状となっている。
【0022】
そして、オーバーフロー管路9の端部には雌ネジ9aが形成されている。フランジ部材10は、ボウル部3bの外側に円環状のパッキン11を、ボウル部3bの内側にはリング状の玉鎖留め金具12を、それぞれ挟んで、オーバーフロー管路9の雌ネジ9aにねじ込まれて固定されている。また、玉鎖留め金具12玉鎖留め金具12の下端部に、排水栓8が連結された玉鎖13が固定されている。
【0023】
なお、図6に示すように、洗面ボウル3の排水領域3eの側面は、外側に開くように傾斜しているため、オーバーフロー孔部6の端部も上向きに傾いている。
【0024】
次に、排水栓8について説明する。
図7(a)は排水栓を示す上面図、図7(b)は図7(a)のX−X断面図である。
図7に示すように、排水栓8は、周囲にシール部8aを有する栓体8bと、栓体8bの上面に形成された玉鎖連結部8cと、栓体8bの下面に栓体8bの下方に向けて延びるように形成された脚部8dと、脚部8dの先端に形成された装着部8eとを有している。このうち、少なくとも脚部8dは、弾性変形可能な樹脂材料(例えば、軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC))によって形成されている。
【0025】
脚部8dは、栓体8bの下面において同心円上に、そして所定間隔をあけて形成された4本の脚片8fで構成されている。この脚片8fが形成される同心円は、前述したオーバーフロー孔部6のフランジ部材10に形成された円形状の係止突起10eとほぼ同じ径を有する。なお、本実施形態においては、脚片8fの先端の内側に突部を形成して、この突部をオーバーフロー孔部6への装着部8eとしているが、装着部8eには必ずしも突部は必要ではない。突部がない場合でも、前述したようにオーバーフロー孔部6の端部は上向きに傾いているので、排水栓8を装着しても落下しにくくなっている。
【0026】
次に、排水口3aに装着されていないときの排水栓8の保持方法について説明する。
図8は洗面ボウルのオーバーフロー孔部に排水栓を装着した状態を示す斜視図であり、図9は排水栓を装着した状態のオーバーフロー孔部を示す断面図である。
排水栓8は、常時は、ボウル部3bの側面に形成されたオーバーフロー孔部6に装着されて保持される。
【0027】
図8に示すように、排水栓8の4本の脚片8fが、オーバーフロー孔部6のフランジ部材10に装着される。より具体的には、排水栓8の4本の脚片8fの先端に形成された突部(装着部)8eが、フランジ部材10の外フランジ10cと係止突起10eの間に設けられた隙間10dに嵌め込まれている。脚片8fは弾性変形可能であるので、排水栓8を装着する際には、脚片8fが弾性変形によって外側に広がって突部(装着部)8eが係止突起10eを乗り越えて隙間10dに嵌め込まれるので、装着作業は簡単である。
【0028】
また、フランジ部材10及び係止突起10eは、円形状である。そして、係止突起10eは、排水栓8の4本の脚片8fが並ぶ同心円とほぼ同じ径とされている。そのため、排水栓8をオーバーフロー孔部6に装着するにあたり、排水栓8の向きを気にすることなく装着することができるので、装着作業をより簡単に行うことができる。
【0029】
そして、図9に示すように、排水栓8がフランジ部材10に装着された状態において、排水栓8の栓体8bとフランジ部材10との間、すなわち、排水栓8の4本の脚片8f同士の間が、通水可能な通水路14となっている。このため、排水栓8をオーバーフロー孔部6に装着した場合でも、オーバーフロー孔部6は止水されることなく、通水路14を介して水を排出することが可能である。
【0030】
図10はオーバーフロー孔部に排水栓を装着する前後の状態を示すオーバーフロー孔部の拡大斜視図であり、(a)は排水栓装着前、(b)は排水栓装着後を示す。
オーバーフロー孔部6は、図10(a)に示すように、ボウル部3bの排水領域3eの側面に丸い穴が開いたように構成されている。そのオーバーフロー孔部6に排水栓8を装着すると、図10(b)に示すように、オーバーフロー孔部6は排水栓8によって隠され、オーバーフロー孔部6からオーバーフロー管路9に物が入り込んで排水管に流出することがない。
【0031】
さて、洗面ボウル3に水を溜める時には、排水栓8を排水口3aに被せて排水口3aを止水する。そして、溜まった水を排水する時には、玉鎖13を持ち上げて排水口3aから排水栓8を外す。その後、排水栓8の周縁部あるいは玉鎖連結部8cを手で持って、オーバーフロー孔部6に排水栓8を装着するのである。
【0032】
以上説明したように、本発明の実施形態における洗面化粧台は、排水口を塞ぐ排水栓を使わない時は、排水栓をオーバーフロー孔部に装着して保持するようになっている。そのため、排水栓を洗面ボウルのデッキ部に置く必要がなくなり、デッキ部を物置スペースとして広く使うことができる。
【0033】
また、排水栓を洗面ボウルに繋ぐ玉鎖を、オーバーフロー孔部に固定しているので、洗面ボウルのデッキ部から玉鎖を置く必要がなくなる。そのため、従来のゴム栓式の排水栓や、ポップアップ式排水栓と比較しても、洗面ボウルのデッキ部を物置スペースとして、より広く使うことができる。
【0034】
さらに、また、排水栓をオーバーフロー孔部に装着した場合でも、洗面ボウルの水は通水路を介して流出するので、オーバーフロー機能を損なうことがない。よって、排水口が詰まった場合でも、洗面ボウルから水が溢れることがなく、安全である。
【0035】
また、排水栓の脚片の弾性変形を利用して排水栓をオーバーフロー孔部に簡単に装着することができる。さらには、排水栓の脚片は同心円上に沿って形成され、オーバーフロー孔部の係止突起も円形状に形成されているので、排水栓の向きを気にすることなく、簡単にオーバーフロー孔部に装着することができる。
【0036】
さらに、排水栓をオーバーフロー孔部に装着すると、オーバーフロー孔部が排水栓で隠れるので、オーバーフロー孔部からオーバーフロー管路に小さな物が入り込んで排水管に流出することがない。
【0037】
以下、本発明の第2実施形態による洗面化粧台について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成要素については、図中同じ符号を用いて説明を省略する。本実施形態では、排水栓及びフランジ部材として第1実施形態と異なるものを用いている。
【0038】
図11及び図12は、それぞれ本発明の第2実施形態による洗面化粧台の排水栓18及びフランジ部材20を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。図11に示すように、排水栓18は、周囲にシール部18aを有する円板状の栓体18bと、栓体18bの上面に形成された玉鎖連結部18cと、栓体18bの下面から突出する円筒状の脚部18dとを有する。脚部18dは、半径が栓体18bに比べて小さい円筒状に形成され、周方向に間隔をあけて複数の(本実施形態では4つの)矩形状の開口18eが形成されている。本実施形態では、この脚部18dが、排水栓18をオーバーフロー孔部6に取り付けられたフランジ部材に装着するための装着部として機能する。
【0039】
図12に示すように、本実施形態のフランジ部材20は、外周面に雄ネジ20aが形成された円筒部20bの上縁部に外フランジ20cが形成されてなる。円筒部20bの内周面には、周方向に間隔をあけて複数の(本実施形態では4つの)係止突起20dが形成されている。この係止突起20dの外フランジ20c側の端部は、円筒部20bの外フランジ20c側の縁から所定の間隔をあけた位置で終端している。この係止突起20dの終端する位置は、後述するように、フランジ部材20に排水栓18を装着したときに、排水栓18の栓体18bとフランジ部材20の外フランジ20cとの間に隙間が形成されるように決定されている。
【0040】
図13は、第2実施形態による洗面化粧台において、排水栓18により排水口3aを止水した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態では、円弧状断面を有する洗面ボウル3bの内周面に排水栓18の周囲のシール部18aが密着することにより、排水口3aを止水することができる。
【0041】
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、排水栓18は、排水口3aに装着していない場合には、オーバーフロー孔部6に装着されて保持される。図14は、第2実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部6に排水栓18を装着した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、第1実施形態と同様に、フランジ部材20は、円筒部20bを、リング状の玉鎖止め金具12と、円環状のパッキン11と、に挿入した状態で、円筒部20bの外周に形成された雄ネジ20aをオーバーフロー管路9の端部に形成された雌ネジ9bに螺合させることにより、オーバーフロー管路9に取り付けられている。なお、図示しないが、第1実施形態と同様に、玉鎖止め金具12には、排水栓18の玉鎖連結部18cに一端が連結された玉鎖の他端が固定されている。また、後述する第3乃至第7実施形態についても同様である。
【0042】
図14に示すように、本実施形態において、オーバーフロー孔部6に排水栓18を装着する場合には、排水栓18の脚部18dをオーバーフロー管路9に取り付けたフランジ部材20の円筒部20b内に挿入する。この際、排水栓18の脚部18dの先端が、フランジ部材20の円筒部20b内に形成された係止突起20dと係合することにより、排水栓18の栓体18bとフランジ部材20の外フランジ20cとの間に隙間が形成された状態で排水栓18が保持される。これにより、オーバーフロー孔部6に排水栓18を装着した状態であっても、排水栓18の栓体18bとフランジ部材20の外フランジ20cとの間の隙間から排水栓18の円筒部18dに形成された開口18eを通る通水路が形成され、この通水路を介してオーバーフロー管路9へ水を排出することができる。
本実施形態によれば、上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0043】
以下、本発明の第3実施形態による洗面化粧台について説明する。なお、本実施形態において、第1及び第2実施形態と同様の構成要素については、図中同じ符号を用いて説明を省略する。本実施形態では、排水栓として第1及び第2実施形態と異なるものを用い、フランジ部材として第2実施形態と同様のものを用いている。
【0044】
図15は、本発明の第3実施形態による洗面化粧台の排水栓38を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。同図に示すように、排水栓38は、円錐台状のゴム製の栓体部38aと、栓体部38aの断面積が大きい側の面(以下、上面という)に形成された玉鎖連結部38cを有する。栓体部38aには、周方向に所定の間隔をあけて複数の切り欠き38b(本実施形態では3つ)が形成されており、この切り欠き38bは、栓体部38aの断面積が小さい側の面(以下、下面という)から延び、上面の手間で終端している。なお、本実施形態では、栓体部38aが排水栓38をオーバーフロー孔部6に取り付けられたフランジ部材に装着するための装着部として機能する。
【0045】
栓体部38aは、洗面化粧台の排水口に嵌め込めるように、その上面が排水口の孔の径よりもわずかに大きくなるように形成されており、また、切り欠き38bは、後述するようにフランジ部材20内に挿入した際に、その一部が洗面ボウル内まで達するような長さに形成されている。
【0046】
図16は、第3実施形態による洗面化粧台において、排水栓38により排水口3aを止水した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態では、排水口3a内にゴム製の栓体部38bを挿入することにより、栓体部38bの上部が排水口3aの縁と密着し、これにより、排水口3aを封止することができる。
【0047】
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、排水栓38は、排水口3aに装着していない場合には、オーバーフロー孔部6に装着されて保持される。図17は、第3実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部6に排水栓38を装着した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態において、オーバーフロー孔部6に排水栓38を装着する場合には、排水栓38の栓体部38aをオーバーフロー管路9に取り付けたフランジ部材20の円筒部20b内に挿入する。この際、排水栓38の栓体部38aの先端が、フランジ部材20の円筒部20b内に形成された係止突起20dと係合するため、栓体部38aに形成された切り欠き38bが洗顔ボウル内に現われた状態で排水栓38が保持されることになる。これにより、オーバーフロー孔部6に排水栓を装着した状態であっても、排水栓38の切り欠き部38bを通る通水路が形成され、この通水路を介してオーバーフロー管路9へ水を排出することができる。
本実施形態によれば、上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0048】
以下、本発明の第4実施形態による洗面化粧台について説明する。なお、本実施形態において、第1乃至第3実施形態と同様の構成要素については、図中同じ符号を用いて説明を省略する。本実施形態では、排水栓及びフランジ部材として第1乃至第3実施形態と異なるものを用いている。
【0049】
図18及び図19は、それぞれ本発明の第4実施形態による洗面化粧台の排水栓58及びフランジ部材60を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。図18に示すように、本実施形態の排水栓58は、周囲にシール部58aを有する円板状の栓体58bと、栓体58bの上面に形成された玉鎖連結部58cと、栓体58bの下面に形成された複数の脚部58dと、栓体58bの下面中心に形成され、下面に開放する嵌合穴58eを有する突出部58fとを有する。
【0050】
脚部58dは、栓体58bの下面に、栓体58bと同心、かつ、栓体58bに比べて小径の円周上に周方向に間隔をあけて形成され、栓体58bの下方に向けて突出している。脚部58dは下方に向かって幅が小さく半径方向の厚さが小さくなるようなテーパーが形成されており、後述するように、排水栓58をフランジ部材60に装着した際に、脚部58dの先端が外フランジ60cと当接するような長さを有している。
【0051】
突出部58fは円柱状に形成されており、下面中央に形成された嵌合穴58eは、後述するように、フランジ部材60の突出部60fを挿入可能なような形状に形成されている。
なお、本実施形態では、嵌合穴58eを有する突出部58fが排水栓58をオーバーフロー孔部6に取り付けられたフランジ部材に装着するための装着部として機能する。
【0052】
図20に示すように、本実施形態のフランジ部材60は、外周面に雄ネジ60aが形成された円筒部60bと、円筒部60bの縁部に形成された外フランジ60cと、円筒部60bの内周面から中心に向けて延びる複数のアーム部60dと、アーム部60dにより支持された円錐形の基部60eと、基部60eの先端に接続され、円筒部60bの外フランジ60c側の縁から突出する突出部60fとを有する。突出部60fの外フランジ60c側の縁からの突出長さは、後述するように排水栓58の嵌合穴58eをフランジ部材60の突出部60fに嵌合させた際に、フランジ部材60の外フランジ60cと、排水栓60の栓体58bとの間に隙間が形成されるような長さとなっている。
【0053】
図示は省略するが、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、円弧状断面を有する洗面ボウルの内周面に排水栓58の周囲のシール部58aが密着することにより、排水口を止水することができる。
【0054】
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、排水栓58は、排水口に装着していない場合には、オーバーフロー孔部6に装着されて保持される。図20は、第4実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部6に排水栓58を装着した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態において、オーバーフロー孔部6に排水栓58を装着する場合には、フランジ部材60の突出部60fが排水栓58の裏面の円柱部58fに形成された嵌合穴58eに挿入されるように、排水栓58を装着する。この際、排水栓58の栓体58bと、フランジ部材60の外フランジ60cとの間に空隙が形成されるが、排水栓58の脚部58dがフランジ部材60の外フランジ60cに当接することにより、排水栓58のぐらつきを防止できる。
【0055】
このように排水栓58をオーバーフロー孔部6に装着した状態において、排水栓58の栓体58bと、フランジ部材60の外フランジ60cとの隙間における排水栓58の脚部58dの間の部分を通り、さらに、フランジ部材60のアーム部60d間を通る通水路が形成され、この通水路を介してオーバーフロー管路9へ水を排出することができる。
【0056】
本実施形態によっても、上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、本実施形態によれば、フランジ部材60の突出部60fに、排水栓58の嵌合穴58eを嵌め込む構成としたため、フランジ部材60の突出部60fが排水栓58の取付け位置の目印となるため、排水栓58の取付けを容易に行うことができる。
【0057】
以下、本発明の第5実施形態による洗面化粧台について説明する。なお、本実施形態において、第1乃至第4実施形態と同様の構成要素については、図中同じ符号を用いて説明を省略する。本実施形態では、排水栓及びフランジ部材として第1乃至第4実施形態と異なるものを用いている。
【0058】
図21及び図22は、それぞれ本発明の第5実施形態による洗面化粧台の排水栓78及びフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
図21に示すように、本実施形態の排水栓78は、周囲にシール部78aを有する円板状の栓体78bと、栓体78bの上面に形成された玉鎖連結部78cと、栓体78bの下面に栓体78bの下方に向けて延びるように形成された脚部78dと、脚部78dの先端に排水栓の中心に向かって形成された爪部78eとを有している。このうち、少なくとも脚部78dは、弾性変形可能な樹脂材料(例えば、軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC))によって形成されている。また、脚部78dは栓体78bの下面に円周状に設けられており、この円周は、後述するオーバーフロー孔部6のフランジ部材80に形成された円形状の上面板80eと略同じ半径を有する。なお、本実施形態では、爪部78eが排水栓78をオーバーフロー孔部6に取り付けられたフランジ部材に装着するための装着部として機能する。
【0059】
図22に示すように、本実施形態のフランジ部材80は、外周面に雄ネジ80aが形成された円筒部80bと、円筒部80bの縁部に形成された外フランジ80cと、外フランジ80cの上面に周方向に間隔をあけて立設された複数の支持部80dと、支持部80dにより外フランジ80cと隙間をあけて支持された円板状の上面板80eとを有する。上面板80eの外周面には全周に亘って係合溝80fが形成されており、この係合溝80fの幅は排水栓78の脚部78dの先端の爪部78eの厚さと略等しい。また、外フランジ80c、支持部80d、及び上面板80eにより囲まれた部分には、円筒部80bの内部と連通する開口80gが画成される。
【0060】
図示は省略するが、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、円弧状断面を有する洗面ボウルの内周面に排水栓78の周囲のシール部78aが密着することにより、排水口を止水することができる。
【0061】
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、排水栓78は、排水口に装着していない場合には、オーバーフロー孔部6に装着されて保持される。図21は、第5実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部6に排水栓を装着した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態において、オーバーフロー孔部6に排水栓78を装着する場合には、排水栓78の脚部78dの先端の爪部78eを、フランジ部材80の上面板80eの外周に形成された係合溝80fに嵌め込めばよい。なお、上記のように脚部78dは、弾性変形可能な樹脂材料により形成されているため、容易に排水栓78の爪部78eをフランジ部材80の係合溝80fに嵌め込むことができる。これにより排水栓78がフランジ部材80に保持される。
【0062】
このように排水栓78をオーバーフロー孔部6に装着した状態において、フランジ部材の上面板80eと外フランジ80cとの間に形成された開口80gを通る通水路が形成され、この通水路を介してオーバーフロー管路9へ水を排出することができる。
本発明によっても、上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
以下、本発明の第6実施形態による洗面化粧台について説明する。なお、本実施形態において、第1乃至第5実施形態と同様の構成要素については、図中同じ符号を用いて説明を省略する。本実施形態では、排水栓及びフランジ部材として第1乃至第5実施形態と異なるものを用いている。
【0064】
図24及び図25は、それぞれ本発明の第6実施形態による洗面化粧台の排水栓及びフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
図24に示すように、本実施形態の排水栓98は、周囲にシール部98aを有する円板状の栓体98bと、栓体98bの上面に形成された玉鎖連結部98cと、栓体98bの下面に栓体98bの下方に向けて延びるように形成された脚部98dと、脚部98dの先端に外側に向かって形成された爪部98eとを有している。このうち、少なくとも脚部98dは、弾性変形可能な樹脂材料(例えば、軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC))によって形成されている。
【0065】
脚部98dは、栓体98bと同心円上に所定間隔をあけて設けられている。この脚部98dが形成される同心円は、後述するオーバーフロー孔部6のフランジ部材10のフランジ面に形成された中心開口と略等しい径を有する。脚部98dは、後述するように、フランジ部材100に排水栓98を装着した際に、フランジ部材100のフランジ面と、排水栓98の栓体98bとの間に水が流通可能な隙間が形成されるような長さを有する。なお、本実施形態では、爪部98eが排水栓98をオーバーフロー孔部6に取り付けられたフランジ部材100に装着するための装着部として機能する。
【0066】
図25に示すように、本実施形態のフランジ部材100は、外周面に雄ネジ100aが形成された円筒部100bと、円筒部100bの一方の端部に接続された円板状のフランジ面100cと、を有する。
フランジ面100cの中央には円形の中心開口100dが形成されており、この中心開口100dの内周面には全周に亘って係合溝100eが形成されている。この係合溝100eは、幅が排水栓98の爪部98eの厚さと略等しくなるように形成されている。また、フランジ面100cの中心開口100dの周囲には、複数の円弧状の周辺開口100fが形成されている。
【0067】
図示は省略するが、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、円弧状断面を有する洗面ボウルの内周面に排水栓98の周囲のシール部98aが密着することにより、排水口を止水することができる。
【0068】
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、排水栓98は、排水口に装着していない場合には、オーバーフロー孔部6に装着されて保持される。
図26は、第6実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部6に排水栓98を装着した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態において、オーバーフロー孔部6に排水栓98を装着する場合には、排水栓98の爪部98eを、フランジ部材100のフランジ面100cの中心開口100dの内周面に形成された係合溝100eに嵌め込めばよい。なお、上記のように脚部98dは、弾性変形可能な樹脂材料により形成されているため、容易に排水栓98の爪部98eをフランジ部材100cの係合溝100eに嵌め込むことができる。これにより排水栓98がフランジ部材100に保持される。
【0069】
このように排水栓98をオーバーフロー孔部6に装着した状態において、フランジ部材100のフランジ面100cと、排水栓98の栓体98bとの間に隙間が形成されているため、この隙間を通り、さらに、フランジ部材100のフランジ面100cに形成された中心開口100d及び周辺開口100eを通る通水路が形成され、この通水路を介して中心開口100dや周辺開口100fからオーバーフロー管路9へ水を排出することができる。
本発明によっても、上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0070】
以下、本発明の第7実施形態による洗面化粧台について説明する。なお、本実施形態において、第1乃至第6実施形態と同様の構成要素については、図中同じ符号を用いて説明を省略する。本実施形態では、排水栓及びフランジ部材として第1乃至第6実施形態と異なるものを用いている。図27及び図28は、それぞれ本発明の第7実施形態による洗面化粧台の排水栓及びフランジ部材を示し、(a)は上方斜視図、(b)は立面図、(c)は下方斜視図である。
【0071】
図27に示すように、本実施形態の排水栓118は、円板状の栓体118aと、栓体118aの上面に形成された玉鎖連結部118bと、栓体118aの下面に下方に向けて延びるように形成された円筒部118cと、円筒部118cの外周に取り付けられた円環状のシール部材118dと、円筒部118cの下面から下方に向けて延びる複数の脚部118eと、脚部118eの先端から中心に向かって突出する爪部118fと、栓体118aの下面の中央に設けられた円筒状の突出部118gと、を有する。このうち、少なくとも脚部8dは、弾性変形可能な樹脂材料(例えば、軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC))によって形成されている。
【0072】
円筒部118cには外周全周に亘って溝が形成されており、シール部材118dは内縁部がこの溝に嵌め込まれることにより、円筒部118cに取り付けられている。
脚部118eは、後述するように、フランジ部材に排水栓118を装着した状態において、円筒部118cの下端の縁と、フランジ部材の外フランジとの間に隙間が形成されるような長さを有する。
なお、本実施形態では、爪部118eが排水栓118をオーバーフロー孔部6に取り付けられたフランジ部材に装着するための装着部として機能する。
【0073】
図28に示すように、本実施形態のフランジ部材は、外周面に雄ネジ120aが形成された円筒部120bと、円筒部120bの一方の端部に接続された外フランジ120cと、外フランジ120cの内周に沿って設けられた小円筒部120dとを有する。
小円筒部120dの外周には全周に亘って係合溝120eが形成されており、この係合溝120eは幅が排水栓118の爪部118fの厚さと略等しくなるように形成されている。
【0074】
図示は省略するが、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、円弧状断面を有する洗面ボウルの内周面に排水栓118のシール部材118dの外周縁が密着することにより、排水口を止水することができる。
【0075】
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、排水栓は、排水口に装着していない場合には、オーバーフロー孔に装着されて保持される。図29は、第7実施形態による洗面化粧台においてオーバーフロー孔部6に排水栓118を装着した様子を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態において、オーバーフロー孔部6に排水栓118を装着する場合には、排水栓118の爪部118fを、フランジ部材120の小円筒部120dの外周面に形成された係合溝120eに嵌め込めばよい。なお、上記のように脚部8dは、弾性変形可能な樹脂材料により形成されているため、容易に排水栓118の爪部118fをフランジ部材120の係合溝120eに嵌め込むことができる。そして、これにより排水栓118がフランジ部材120に保持される。
【0076】
このように排水栓118をオーバーフロー孔部6に装着した状態において、フランジ部材120の外フランジ120cと、排水栓118の円筒部118cの下縁の間に隙間が形成されているため、この間の隙間を通る通水路が形成され、この通水路を介してオーバーフロー管路9へ水を排出することができる。
本発明によっても、上記の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0077】
1 洗面化粧台
2 キャビネット
3 洗面ボウル
3a 排水口
3b ボウル部
3d デッキ部
3e 排水領域
4 水栓
5 ミラーキャビネット
6 オーバーフロー孔部
7 ヘアキャッチャー
8,18,38,58,78,98,118 排水栓
8b,18b,38a,58b,78b,98b,118b 栓体
8d,18d,58d,78d,98d,118d 脚部
8e 装着部(突部)
8f 脚片
9 オーバーフロー管路
10 フランジ部材
10c 外フランジ
10e 係止突起
11 パッキン
12 玉鎖留め金具
13 玉鎖
14 通水路
58e 嵌合穴
58f 突出部
78e、98e、118e 爪部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に形成された排水口と、側面に形成されたオーバーフロー孔部とを有する洗面ボウルと、
前記排水口を止水することが可能な排水栓と、
を備えた洗面化粧台において、
前記排水栓には、当該排水栓を前記オーバーフロー孔部に装着するための装着部が設けられ、
前記排水栓を前記オーバーフロー孔部に装着した場合に、前記洗面ボウルの水を前記オーバーフロー孔部に流出させることが可能な通水路を備えたことを特徴とする洗面化粧台。
【請求項2】
前記排水栓は、前記排水口に栓をする栓体と、前記栓体に対して下方に延びて前記装着部が形成された脚部と、を有し、
前記脚部は、弾性変形可能な複数本の脚片を有し、前記複数本の脚片同士の間を前記通水路とすると共に前記脚片の端部に前記装着部を形成してなり、
前記オーバーフロー孔部は、前記脚片の弾性変形を利用して装着された前記装着部を拘束可能な係止突起を有することを特徴とする請求項1記載の洗面化粧台。
【請求項3】
前記排水栓の複数本の脚片は、前記栓体の下面において同心円上に形成されてなり、
前記オーバーフロー孔部の係止突起は前記同心円とほぼ同径の円形状に形成されたことを特徴とする請求項2記載の洗面化粧台。
【請求項4】
前記排水栓は、前記排水口を封止する栓体を有し、前記装着部は、前記排水栓の栓体の裏側に設けられ、
さらに、前記オーバーフロー孔部は、前記排水栓を前記オーバーフロー孔部に装着した場合に、前記栓体と前記オーバーフロー孔部の隙間に前記通水路が形成されるように、前記装着部を保持する排水栓保持部を有することを特徴とする請求項1記載の洗面化粧台。
【請求項5】
前記排水栓は、前記排水口を封止する栓体と、この栓体に対して垂直方向に延びて前記装着部が形成された脚部と、を有し、
さらに、前記オーバーフロー孔部は、前記通水路が形成された前記装着部を保持する排水栓保持部を有することを特徴とする請求項1記載の洗面化粧台。
【請求項6】
前記オーバーフロー孔部は、前記洗面ボウルの表面側に設けられて、端部に外向きに形成された外フランジを有するフランジ部材を備え、
前記フランジ部材は、前記オーバーフロー孔部の裏側に設けられたオーバーフロー管路に前記洗面ボウルを挟んで螺合されてなり、
一端が前記排水栓に連結された玉鎖の他端が連結されたリング状の玉鎖留め金具を、前記フランジ部材と洗面ボウルの間に挟んで固定したことを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の洗面化粧台。
【請求項1】
底面に形成された排水口と、側面に形成されたオーバーフロー孔部とを有する洗面ボウルと、
前記排水口を止水することが可能な排水栓と、
を備えた洗面化粧台において、
前記排水栓には、当該排水栓を前記オーバーフロー孔部に装着するための装着部が設けられ、
前記排水栓を前記オーバーフロー孔部に装着した場合に、前記洗面ボウルの水を前記オーバーフロー孔部に流出させることが可能な通水路を備えたことを特徴とする洗面化粧台。
【請求項2】
前記排水栓は、前記排水口に栓をする栓体と、前記栓体に対して下方に延びて前記装着部が形成された脚部と、を有し、
前記脚部は、弾性変形可能な複数本の脚片を有し、前記複数本の脚片同士の間を前記通水路とすると共に前記脚片の端部に前記装着部を形成してなり、
前記オーバーフロー孔部は、前記脚片の弾性変形を利用して装着された前記装着部を拘束可能な係止突起を有することを特徴とする請求項1記載の洗面化粧台。
【請求項3】
前記排水栓の複数本の脚片は、前記栓体の下面において同心円上に形成されてなり、
前記オーバーフロー孔部の係止突起は前記同心円とほぼ同径の円形状に形成されたことを特徴とする請求項2記載の洗面化粧台。
【請求項4】
前記排水栓は、前記排水口を封止する栓体を有し、前記装着部は、前記排水栓の栓体の裏側に設けられ、
さらに、前記オーバーフロー孔部は、前記排水栓を前記オーバーフロー孔部に装着した場合に、前記栓体と前記オーバーフロー孔部の隙間に前記通水路が形成されるように、前記装着部を保持する排水栓保持部を有することを特徴とする請求項1記載の洗面化粧台。
【請求項5】
前記排水栓は、前記排水口を封止する栓体と、この栓体に対して垂直方向に延びて前記装着部が形成された脚部と、を有し、
さらに、前記オーバーフロー孔部は、前記通水路が形成された前記装着部を保持する排水栓保持部を有することを特徴とする請求項1記載の洗面化粧台。
【請求項6】
前記オーバーフロー孔部は、前記洗面ボウルの表面側に設けられて、端部に外向きに形成された外フランジを有するフランジ部材を備え、
前記フランジ部材は、前記オーバーフロー孔部の裏側に設けられたオーバーフロー管路に前記洗面ボウルを挟んで螺合されてなり、
一端が前記排水栓に連結された玉鎖の他端が連結されたリング状の玉鎖留め金具を、前記フランジ部材と洗面ボウルの間に挟んで固定したことを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の洗面化粧台。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
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【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図1】
【公開番号】特開2012−187360(P2012−187360A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63635(P2011−63635)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【特許番号】特許第4957975号(P4957975)
【特許公報発行日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【特許番号】特許第4957975号(P4957975)
【特許公報発行日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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