説明

洗面台用手指乾燥装置

【課題】洗面台で洗った手を乾燥装置の場所まで移動させる間に雫が洗面所の床へ滴下し汚す虞があり、これの解消として、水道水用蛇口から吐出する水で手を洗う感覚で手指乾燥がシンク内ででき、手指の洗浄と乾燥が殆んど違和感なく行えるものとし、温風を吹き出すものとして電気ヒータをエア吹き出しノズル内に収納し発熱が安全且つ有効に行えるようにする。また電気ヒータをエア吹き出しノズル内に収納する場合の組み立てのし易さ等を考慮したエア吹き出しノズル構成とする。
【解決手段】電動送風装置は洗面台の下側空間に設置、エア吹き出しノズルは、水道水用蛇口の横隣にエア吹き出し方向が水道水用蛇口の水道水と並列にシンク内へ向くように形成され、吹き出しエアを加熱する電気ヒータを中空のエア通路に収納し、中空のエア通路が上側部分と下側部分に分割構成されたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動送風装置からエアダクトを通して送られるエアをエア吹き出しノズルから吹き出すことによって手指を乾燥させる手指乾燥装置に関し、特に、洗面台の水道水用蛇口の隣にエア吹き出しノズルを配置し、洗面台のシンク内において吹き出しエアによって手指を乾燥する構成の手指乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手指乾燥装置として、本体内に送風装置と、この送風装置の吐出側に設けた吹き出し口と、この吹き出し口の吹き出し方向に設けた乾燥室と、この乾燥室に手を入れるための開口部と、乾燥室の壁面に設けた赤外線発光素子と赤外線受光素子からなる手検出部を設けたものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような手指乾燥装置は、吹き出し口と送風装置を含めて、すべて本体内に設けたものであり、洗面台のシンクとは関係ない場所に設置されるのが一般的である。このため、洗面台で洗った手をこの乾燥装置の場所まで移動させる間に、手の雫が洗面所の床やその他の場所へ滴下し、その場所を汚す虞が大である。
【特許文献1】特開平11−318760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて、洗面台で洗った手をそのまま洗面台のシンク内で乾燥できるようにする手指乾燥装置を提供する。特に、水道水用蛇口から吐出する水で手を洗う感覚でもって手指の乾燥ができるようにして、手指の洗浄と乾燥が殆んど違和感なく行えるものとする。また、電気ヒータで加熱した温風を吹き出し口から吹き出して、温風乾燥が効果的に行えるようにするために、電気ヒータをエア吹き出しノズル内に収納して発熱が安全且つ有効に行えるようにする。また、この電気ヒータをエア吹き出しノズル内に収納する場合の組み立てのし易さ等を考慮したエア吹き出しノズル構成とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明の洗面台用手指乾燥装置は、電動送風装置からエアダクトを通して送られるエアをエア吹き出しノズルから吹き出すことによって手指を乾燥させる手指乾燥装置であって、前記電動送風装置は洗面台の下側空間に設置され、前記エア吹き出しノズルは、水道水用蛇口の横隣で前記洗面台の上壁に形成した取り付け孔に中空の取り付け基部が取り付けられ、エア吹き出し方向が前記水道水用蛇口から吐出する水道水と並列に前記洗面台のシンク内へ向くようにエア吹き出し口が形成され、前記取り付け基部から前記エア吹き出し口まで連通した中空のエア通路を備え、吹き出しエアを加熱する電気ヒータが前記中空のエア通路に収納され、前記電動送風装置のON−OFF制御用として前記エア吹き出し口に臨ませた手指の近接と離反を検知する検知センサが前記エア吹き出し口より下方位置で前記中空のエア通路の下側に形成したセンサ収納部に収納された構成である。
【0006】
第2発明の洗面台用手指乾燥装置は、第1発明において、前記エア吹き出しノズルは、前記中空のエア通路が上側部分と下側部分に分割されるように上側本体と下側本体の組み合わせによって形成され、前記センサ収納部が前記下側本体に形成された構成である。
【発明の効果】
【0007】
第1の発明では、洗面台で洗った手をそのまま洗面台のシンク内で乾燥できるようになるため、洗面台から離れた場所にある乾燥装置まで洗った手を移動させることもなく、手の雫が洗面所の床やその他の場所へ滴下してその場所を汚す虞もない。特に、水道水用蛇口から吐出する水で手を洗う感覚でもって手指の乾燥ができるため、手指の洗浄と乾燥が殆んど違和感なく行えるものとなる。また、電気ヒータを電動送風機に内蔵する場合やエアダクト内に収納する場合に比して、電気ヒータをエア吹き出しノズル内に収納することによって、発熱が安全且つ有効に行えるようになる。
【0008】
第2の発明では、第1の発明効果に加えて、エア吹き出しノズルが分割構成であるため、電気ヒータをエア吹き出しノズル内に収納する場合の組み立てや、修理や交換などに際してもその作業がし易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の洗面台用手指乾燥装置は、電動送風装置からエアダクトを通して送られるエアをエア吹き出しノズルから吹き出すことによって手指を乾燥させる手指乾燥装置であって、前記電動送風装置は洗面台の下側空間に設置され、前記エア吹き出しノズルは、水道水用蛇口の横隣で前記洗面台の上壁に形成した取り付け孔に取り付け基部が取り付けられ、エア吹き出し方向が前記水道水用蛇口から吐出する水道水と並列に前記洗面台のシンク内へ向くようにエア吹き出し口が形成され、前記取り付け基部から前記エア吹き出し口まで中空のエア通路が形成され、吹き出しエアを加熱する電気ヒータが前記中空のエア通路に収納され、前記電動送風装置のON−OFF制御用として前記エア吹き出し口に臨ませた手指の近接と離反を検知する検知センサが前記エア吹き出し口より下方位置で前記中空エア通路の下側に形成したセンサ収納部に収納され、前記エア吹き出しノズルは、前記中空のエア通路が上側部分と下側部分に分割されるように上側本体と下側本体の組み合わせによって形成され、前記センサ収納部が前記下側本体に形成された構成であり、本発明の実施例を以下に記載する。
【実施例1】
【0010】
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係るエア吹き出しノズル部分を断面した洗面台用手指乾燥装置の側面図、図2は本発明に係る洗面台用手指乾燥装置を備えた洗面台の上面斜視図、図3は図1のA−A箇所の断面図、図4は本発明に係る電気ヒータの正面図、図5は本発明に係る電気ヒータの側面図、図6は本発明に係る洗面台に水道水用蛇口の横隣にエア吹き出しノズルを配置した状態の斜視図である。
【0011】
本発明の実施形態を図に基づき説明する。1は洗面台であり、家庭用の形態の場合と、会社や公共施設等のように不特定多数の人が利用する業務用の形態の場合のいずれでもよい。洗面台1は手指などを洗うためのシンク3を備え、シンク3に向けて上水道水等を吐出する水道水用蛇口2が、シンク3の奥側の洗面台1の上壁1Aに取り付けられている。4は洗面台1の奥側に略垂直に取り付けたミラーである。5は本発明に係る洗面台用手指乾燥装置であり、電動送風装置6から合成樹脂製の可撓性ホース等で構成されたエアダクト7を通して送られるエア(空気)をエア吹き出しノズル8から吹き出すことによって手指を乾燥させるものである。
【0012】
電動送風装置6は、シロッコファン等のファン6Bとこれを回転駆動する電動機6Dがケーシング6Aに収納され、ファン6Bの空気吸い込み口6Cにエアフィルタを備えている。電動送風装置6は、台座10に取り付けられて洗面台1の下側空間9に設置されている。エア吹き出しノズル8は、水道水用蛇口2の横隣で洗面台1の上壁1Aに形成した取り付け孔11に中空の取り付け基部12が挿入状態で取り付けられる。取り付け基部12が洗面台1の上壁1Aを貫通した部分に螺合する取り付けナット13によって、洗面台1の上壁1Aに固定される。エアダクト7の上端は、取り付け基部12が洗面台1の上壁1Aを貫通した部分に締め付けバンド14等によって取り付けられる。
【0013】
エア吹き出しノズル8は、先端にエア吹き出し口15が形成され、エア吹き出し口15から吹き出すエア吹き出し方向が、水道水用蛇口2から吐出する水道水と並列に洗面台1のシンク3内へ向くように形成されている。エア吹き出しノズル8内には、取り付け基部12内からエア吹き出し口15まで連通した中空のエア通路16が形成され、吹き出しエアを加熱する電気ヒータ17が中空のエア通路16に収納されている。電動送風装置6から送られるエア(空気)は、エアダクト7から中空の取り付け基部12内を通り、電気ヒータ17の周囲で加熱された状態で、中空のエア通路16を通ってエア吹き出し口15からシンク3へ向けて吹き出す。このエア吹き出し方向が、水道水用蛇口2から吐出する水道水の方向と並列であるため、水道水用蛇口2から吐出する水道水で手指を洗う感覚と同様の感覚で手指乾燥ができ、使用者が違和感なく使うことができる。なお、このエア吹き出し方向が、水道水用蛇口2から吐出する水道水の方向と略並行状態であれば、その効果がより一層向上する。
【0014】
中空のエア吹き出しノズル8の製造のし易さと、電気ヒータ17の組み込みのし易さを考慮して、エア吹き出しノズル8は、中空のエア通路16が上側部分と下側部分に分割構成されるように、上側本体8Aと下側本体8Bの組み合わせによって形成されている。上側本体8Aと下側本体8Bは、耐熱性の合成樹脂の成形によって、又は金属の成形によって、取り付け基部12からエア吹き出し口15に向けて流線形状で斜め前方へ湾曲した形状をなす。
【0015】
電動送風装置6のON−OFF制御用として、エア吹き出し口15に臨ませた手指の近接と離反を検知する検知センサ18が、エア吹き出し口15より下方位置で中空エア通路16の下側に形成したセンサ収納部20に収納されている。センサ収納部20の前面開口は赤外線透過壁19で覆われた防水構造である。検知センサ18は、赤外線発光素子と赤外線受光素子を備え、この赤外線発光素子から照射する赤外線が、エア吹き出し口15に翳した手指で反射して赤外線受光素子で検知することによって、電装ボックス21内の制御部22によって電動送風装置6と電気ヒータ17に通電され、温風がエア吹き出し口15からシンク3へ向けて吹き出す。そして、エア吹き出し口15に翳した手指をエア吹き出し口15から離すことによって、赤外線発光素子から照射する赤外線の赤外線受光素子での検知がなくなり、電装ボックス21内の制御部22によって電動送風装置6と電気ヒータ17への通電が遮断される。
【0016】
センサ収納部20は下側本体8Bに形成された構成であり、検知センサ18と制御部22を結ぶリード線24と、電気ヒータ17と制御部22を結ぶリード線25は、中空のエア通路16を通って取り付け基部12内を貫通し、洗面台1の下側空間9に延びている。
電気ヒータ17の取り付け部23は、上側本体8Aと下側本体8Bのいずれでもよいが、図示のものは、上側本体8Aに形成している。センサ収納部20は、図示のような穴ではなく、単純な窪み形状でもよい。電気ヒータ17は、セラミック等の電気絶縁体の基体17Aにニクロム線等の発熱線17Bが巻き付けられた構成であり、基体17Aの窪み部17Cには、異常加熱保護装置26が交換可能に取り付け部17Dに取り付けられている。この異常加熱保護装置26としては、異常高温で発熱線17Bへの通電を遮断する温度ヒューズ、又はバイメタルスイッチのように異常高温で発熱線17Bへの通電を遮断し所定の低下した温度で復帰するサーモスタットのいずれか、又はこの温度ヒューズとサーモスタットの両方を備えた構成である。電気ヒータ17は、ネジ27によって取り付け部23に固定され、その状態で、発熱線17Bは上側本体8Aと下側本体8Bのいずれからも離れた状態である。
【0017】
エア吹き出しノズル8の形状は、水道水用蛇口2と対をなすように、双方の形状を似通った形状とすれば、美観的にも向上したものとなり、図6にはその一つの形態を示している。また、洗面台1の上壁1Aにエア吹き出しノズル8を取り付ける取り付け孔11は、洗面台1の上壁1Aに形成した液体石鹸用容器の取り付け孔をこの取り付け孔11として利用することによって、取り付けがし易くなる。
【0018】
上記の構成において、洗面台1で洗った手指をそのまま洗面台1のシンク3内で乾燥できるようになるため、洗面台1から離れた場所にある乾燥装置まで洗った手指を移動させることもなく、手指の雫が洗面所の床やその他の場所へ滴下して、その場所を汚す虞もない。特に、水道水用蛇口2から吐出する水で手を洗う感覚でもって手指の乾燥ができるため、手指の洗浄と乾燥が殆んど違和感なく行えるものとなる。また、電気ヒータ17を電動送風装置6に内蔵する場合やエアダクト7内に収納する場合に比して、電気ヒータ17をエア吹き出しノズル8内に収納することによって、発熱が安全且つ有効に行えるようになる。また、エア吹き出しノズル8が分割構成であるため、電気ヒータ17をエア吹き出しノズル8内に収納する場合の組み立てや、修理や交換などに際してもその作業がし易くなる特徴がある。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り種々の変更が考えられ、それに係る種種の実施形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るエア吹き出しノズル部分を断面した洗面台用手指乾燥装置の側面図である。(実施例1)
【図2】本発明に係る洗面台用手指乾燥装置を備えた洗面台の上面斜視図である。(実施例1)
【図3】図1のA−A箇所の断面図である。(実施例1)
【図4】本発明に係る電気ヒータの正面図である。(実施例1)
【図5】本発明に係る電気ヒータの側面図である。(実施例1)
【図6】本発明に係る洗面台に水道水用蛇口の横隣にエア吹き出しノズルを配置した状態の斜視図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0021】
1・・・・洗面台
1A・・・洗面台の上壁
2・・・・水道水用蛇口
3・・・・シンク
5・・・・洗面台用手指乾燥装置
6・・・・電動送風装置
7・・・・エアダクト
8・・・・エア吹き出しノズル
8A・・・上側本体
8B・・・下側本体
9・・・・洗面台の下側空間
11・・・洗面台の上壁に形成した取り付け孔
12・・・中空の取り付け基部
13・・・取り付けナット
15・・・エア吹き出し口
16・・・中空のエア通路
17・・・電気ヒータ
18・・・検知センサ
20・・・センサ収納部
21・・・電装ボックス
22・・・制御部
23・・・電気ヒータ7の取り付け部
26・・・異常加熱保護装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風装置からエアダクトを通して送られるエアをエア吹き出しノズルから吹き出すことによって手指を乾燥させる手指乾燥装置であって、前記電動送風装置は洗面台の下側空間に設置され、前記エア吹き出しノズルは、水道水用蛇口の横隣で前記洗面台の上壁に形成した取り付け孔に中空の取り付け基部が取り付けられ、エア吹き出し方向が前記水道水用蛇口から吐出する水道水と並列に前記洗面台のシンク内へ向くようにエア吹き出し口が形成され、前記取り付け基部から前記エア吹き出し口まで連通した中空のエア通路を備え、吹き出しエアを加熱する電気ヒータが前記中空のエア通路に収納され、前記電動送風装置のON−OFF制御用として前記エア吹き出し口に臨ませた手指の近接と離反を検知する検知センサが前記エア吹き出し口より下方位置で前記中空のエア通路の下側に形成したセンサ収納部に収納された構成である洗面台用手指乾燥装置。
【請求項2】
前記エア吹き出しノズルは、前記中空のエア通路が上側部分と下側部分に分割されるように上側本体と下側本体の組み合わせによって形成され、前記センサ収納部が前記下側本体に形成された構成である洗面台用手指乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−209459(P2007−209459A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31042(P2006−31042)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(591028153)株式会社アメニティ (4)
【出願人】(505216689)東京エレクトロン株式会社 (1)
【出願人】(390034153)株式会社バイタル (6)