津波避難施設及びその構築方法
【課題】 場所を選ばずに簡単に短期間で構築することができ、完成後においても規模の拡縮が容易であり、地震発生時に避難者に伝わる揺れを小さく抑えることが可能であり、更には長期間に亘って快適に避難生活をおくることができるとともに、避難施設として以外にも有効に利用することが可能な津波避難施設を提供すること。
【解決手段】 津波発生時に避難者が避難するために上に乗る避難台と、該避難台を地面から一定高さに支持する脚部と、地面と避難台との間を避難者が昇降するための昇降手段とを備えてなる津波避難施設であって、前記脚部が地盤に打設された複数本の鋼管杭からなり、前記避難台が、互いに平行に所定間隔をあけて配置された複数の管体と、該複数の管体を一体に連結する連結材とから構成されており、前記管体の内部に前記鋼管杭が夫々挿入されている津波避難施設とした。
【解決手段】 津波発生時に避難者が避難するために上に乗る避難台と、該避難台を地面から一定高さに支持する脚部と、地面と避難台との間を避難者が昇降するための昇降手段とを備えてなる津波避難施設であって、前記脚部が地盤に打設された複数本の鋼管杭からなり、前記避難台が、互いに平行に所定間隔をあけて配置された複数の管体と、該複数の管体を一体に連結する連結材とから構成されており、前記管体の内部に前記鋼管杭が夫々挿入されている津波避難施設とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は津波避難施設及びその構築方法に関し、より詳しくは、場所を選ばずに急斜面等であっても簡単に短期間で構築することができるとともに、地震発生時に避難者に伝わる揺れを小さく抑えることが可能な津波避難施設及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は世界でも有数の地震国であり、毎年のように地震によって尊い生命を失う被害者が発生しているのが現実である。
地震による被害者の中には、建物の倒壊など地震そのものに起因して生命をおとす被害者も多いが、北海道の奥尻島沖地震の例に見られるように、地震により発生した津波にのまれて生命を失う被害者も非常に多い。海外ではあるが、スマトラ沖地震では数十万人にも及ぶ犠牲者が出て、津波の危険性を世界中に知らしめることとなった。
【0003】
現在、我が国では、津波が発生したときには、自治体が予め指定した高台にある学校や公民館等の避難施設へと避難するのが一般的である。
しかしながら、津波の進行速度は非常に早いため、避難施設が海岸から遠く離れている場合には、海岸近くの住民の避難が間に合わないおそれがある。
にも拘らず、我が国においては、ごく最近まで海岸近くに津波専用の避難所は殆ど存在していなかった。
上述したような近年の津波災害の多発により、ようやく最近になって海岸近くに津波専用の避難所が作られつつあるが、その数は未だ非常に数が少ないのが現状である。
【0004】
現在建造されている津波避難施設の多くは鉄筋コンクリート造のものである。
しかしながら、10m程度の津波を想定した場合には、鉄筋コンクリート造のものは避難人員あたりのコストが高くなる。また、液状化や地震に対して安全な地盤が必要なことから建築場所が限定されるという問題や、避難施設以外への有効利用が困難であるという問題もある。
【0005】
海岸近くに設置される津波避難のための施設に関する先願技術としては、下記特許文献1に開示されたものが挙げられる。
この特許文献1の開示技術は、金属杭を地中に打ち込んで橋脚状に構成された土台部分と、橋脚状の土台部分の上に金属パネルにより構成された高床の屋内部分を具備する高床式金属建造物であり、津波発生時において海岸近くの住民の迅速な避難を可能とすることができる。
【0006】
しかしながら、この特許文献1に開示された避難施設は、屋内部分の組み立てや屋内部分と土台部分との接合のための溶接作業を現場にて行わなければならないために作業性が悪く、また施工現場が急斜面等の場合には作業が非常に危険で困難であった。
また、避難施設が完成した後に、周辺の人口が増加する等して、収容人数を増加させる必要が生じたとしても、いったん完成した避難施設を拡張することは困難であるため、このような場合には別の避難施設を構築しなければならなかった。
また、地震発生後にはしばらくの間大きな余震が続くことが多いが、特許文献1に開示された避難施設では、余震によって高所にある屋内部分が大きく揺れるため、避難者は余震が収まるまでの間、絶えず不安を感じながら避難生活をおくらなければならない。
さらに、特許文献1に開示された避難施設は、一時的な避難場所としては適しているものの、長期間に亘って避難生活を送るための設備が全く設けられていないため、長期間の避難生活をおくるための場所としては使用できなかった。また、避難施設として使用するとき以外の用途が、公民館や集会所等としての利用に限られていた。
【0007】
【特許文献1】特開平9−184323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、場所を選ばずに簡単に短期間で構築することができるとともに、完成後においても規模の拡縮が容易であり、また地震発生時に避難者に伝わる揺れを小さく抑えることが可能であり、更には長期間に亘って快適に避難生活をおくることができるとともに、避難施設として以外にも有効に利用することが可能な津波避難施設及びその構築方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、津波発生時に避難者が避難するために上に乗る避難台と、該避難台を地面から一定高さに支持する脚部と、地面と避難台との間を避難者が昇降するための昇降手段とを備えてなる津波避難施設であって、前記脚部が地盤に打設された複数本の鋼管杭からなり、前記避難台が、互いに平行に所定間隔をあけて配置された複数の管体と、該複数の管体を一体に連結する連結材とから構成されており、前記管体の内部に前記鋼管杭が夫々挿入されていることを特徴とする津波避難施設に関する。
請求項2に係る発明は、前記管体と前記連結材とが互いにピン接合されており、該連結材が互いにピン接合された複数の単位部材から構成されていることを特徴とする請求項1記載の津波避難施設に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記鋼管杭の上端部に複数枚のゴム板の積層体からなる免震装置が載置固定され、該免震装置を介して前記管体と鋼管杭とが連結されていることを特徴とする請求項1又は2記載の津波避難施設に関する。
請求項4に係る発明は、前記管体の下部において、前記鋼管杭の周囲がコンクリートにより被覆されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の津波避難施設に関する。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記避難台上にソーラーパネルが設置されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の津波避難施設に関する。
請求項6に係る発明は、前記避難台上にラジオ放送用の電波発信施設が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の津波避難施設に関する。
【0012】
請求項7に係る発明は、前記避難台上に飲食物提供施設が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の津波避難施設に関する。
請求項8に係る発明は、互いに平行に所定間隔をあけて配置された複数の管体を連結材により一体に連結した構造を有する避難台を現場に設置し、次いで該避難台の管体内に夫々鋼管杭を挿入して該鋼管杭を地盤に打設し、続いて前記管体を打設された鋼管杭に沿わせつつ前記避難台を吊り上げ、所定高さにおいて該避難台を鋼管杭に固定し、更に地面と避難台との間の昇降のための昇降手段を設けることを特徴とする津波避難施設の構築方法に関する。
【0013】
請求項9に係る発明は、前記連結材と前記管体がピン接合可能とされるとともに、前記連結材が互いにピン接合可能な複数の単位部材から構成され、現場にてこれら単位部材及び管体をピン接合することにより避難台を形成することを特徴とする請求項8記載の津波避難施設の構築方法に関する。
請求項10に係る発明は、前記避難台を吊り上げた後、前記管体の内部において鋼管杭の上端部に複数枚のゴム板の積層体からなる免震装置を載置固定し、次いで該免震装置と前記管体とを連結することにより避難台を鋼管杭に固定することを特徴とする請求項8又は9記載の津波避難施設の構築方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、脚部が地盤に打設された複数本の鋼管杭からなるため、急斜面や軟弱地盤であっても施工が可能であるとともに、避難台が、鋼管杭の夫々に対して外挿される複数の管体と、複数の管体を一体に連結する連結材とから構成されているため、施工時において、避難台の管体内部に沿って鋼管杭を打ち込んだ後、避難台を鋼管杭に沿って吊り上げて固定することができ、場所に関係なく簡単に短期間での構築が可能である。
請求項2に係る発明によれば、管体と連結材とが互いにピン接合されており、連結材が互いにピン接合された複数の単位部材から構成されているため、現場にて避難台を容易に短時間で組み立てることができる。しかも、単位部材の数を容易に増減することが可能であるため、施工完了後においても、必要に応じて避難台の大きさを容易に変更することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、鋼管杭の上端部に複数枚のゴム板の積層体からなる免震装置が載置固定され、該免震装置を介して管体と鋼管杭とが連結されているため、地震発生時に鋼管杭から避難台へと伝わる振動を免震装置にて吸収することが可能となり、避難台の揺れを小さく抑えることができる。
請求項4に係る発明によれば、管体の下部において鋼管杭の周囲がコンクリートにより被覆されているため、鋼管杭の強度がコンクリートによって大きく高められ、津波や地震に対する耐久性に優れた避難施設となる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、避難台上にソーラーパネルが設置されているため、太陽光を利用して自家発電することができ、外部からのエネルギー供給が絶たれた場合でも、長期間に亘って避難生活をおくることが可能となる。
請求項6に係る発明によれば、避難台上にラジオ放送用の電波発信施設が設けられているため、通常時には周辺地域に向けて各種情報を発信するコミュニティFM局として利用し、津波発生時には周辺地域に向けて災害情報や避難情報を発信する基地局として利用することができる。
【0017】
請求項7に係る発明によれば、避難台上に飲食物提供施設が設けられているため、通常時には飲食物提供施設と一体となった催事(屋外コンサート等)を行うことができ、津波発生時には飲食物提供施設において避難者に飲食物を提供することができる。
請求項8に係る発明によれば、鋼管杭を地盤に打設してこれに避難台を固定するため、急斜面や軟弱地盤であっても構築可能であるとともに、現場にて避難台を鋼管杭に沿って吊り上げて鋼管杭に固定するため、作業性に優れており、場所に関係なく簡単に短期間で津波避難施設を構築することが可能となる。
【0018】
請求項9に係る発明によれば、連結材が互いにピン接合可能な複数の単位部材から構成され、現場にてこれら単位部材及び管体をピン接合することにより避難台を形成するため、現場にて避難台を容易に短時間で組み立てることができ、短期間で津波避難所を構築することが可能となる。しかも、単位部材の数を容易に増減することが可能であるため、施工完了後においても、必要に応じて避難台の大きさを容易に変更することができる。
請求項10に係る発明によれば、地震発生時に鋼管杭から避難台へと伝わる振動を免震装置にて吸収することが可能となるため、避難台に生じる揺れを小さく抑えることができ、避難者に不安感を与えることがない津波避難施設を構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る津波避難施設及びその構築方法の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る津波避難施設の実施形態の一例を示す正面図である。
本発明に係る津波避難施設は、津波発生時に避難者が避難するために上に乗る避難台(1)と、該避難台を地面から一定高さに支持する脚部(2)と、地面と避難台との間の昇降のための昇降手段(3)とを備えている。
【0020】
脚部(2)は、地盤に打設された複数本の鋼管杭から構成されており(以下、鋼管杭(2)と表す場合がある)、鋼管杭は一定の間隔を有しながら避難台(1)の長さ方向に沿って2列に並ぶように配置されている。
【0021】
避難台(1)は、鋼管杭(2)の夫々に対して外挿される複数の管体(4)と、これら複数の管体(4)を一体に連結する連結材(5)とから構成されている。
複数の管体(4)は、軸方向を上下方向に向けて互いに平行に且つ間隔をあけて配置されており、管体(4)同士の間隔は鋼管杭(2)同士の間隔と一致するように設定されている。
【0022】
管体(4)は、脚部を構成する鋼管杭(2)の外径よりも大きい内径をもつ短尺の鋼管から形成されている。
管体(4)の内径は、地震による横揺れが生じても鋼管杭(2)が管体(4)に当たらないように、鋼管杭(2)の外径に比べて充分に大きく設定しておくことが好ましい。
具体的には、鋼管杭(2)の外径の2倍以上に設定することが好ましく、より好ましくは2〜2.5倍程度に設定される。例えば、φ600mmの鋼管杭(2)を使用した場合、管体(4)としてはφ1200〜1400mmのものが好適に使用される。
【0023】
連結材(5)は、隣り合う管体(4)の側面同士を連結する部材であって、複数の単位部材を組み合わせて構成されている。
図2は、連結材(5)を構成する単位部材を示す図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図である。
単位部材は、水平方向に延びる互いに平行な上部材(51)及び下部材(52)と、これら上部材と下部材とを繋ぐ中間材(53)とから構成されている。
上部材(51)及び下部材(52)の両端部には、貫通孔を有する平板状の突出片(54)が設けられている。この突出片(54)は、一方の端部(例えば右端部)では1枚の平板からなり(図2(b)参照)、他方の端部(例えば左端部)では2枚の平板が僅かな隙間(平板約1枚分の隙間)をあけて平行に設けられている(図2(c)参照)。
単位部材同士を連結する場合には、ある単位部材の一方の端部(例えば右端部)の突出片(54)を構成する1枚の平板を、別の単位部材の他方の端部(例えば左端部)の突出片(54)を構成する2枚の平板の隙間に挿入し、各突出片の貫通孔を重ね合わせてピン接合することによって、2つの単位部材を現場にて簡単に連結することができる。
【0024】
複数の単位部材の連結によって構成される連結材(5)は、上部材(51)及び下部材(52)がそれぞれ水平方向に連続して繋がった状態となる。
そして、このように繋がった上部材(51)及び下部材(52)の上部にはそれぞれ鋼板等からなる床板が設けられる。これら上下二段に設けられる床板は、それぞれ津波発生時において避難者が上に乗って避難するための場所となる。
このように、本発明に係る津波避難所の避難台(2)は、上部材(51)と下部材(52)の間に形成された1階部分と、上部材(52)の上に形成された2階部分の2階建て構造となっている。
【0025】
図3は鋼管杭(2)と管体(4)との接続部分を示す概略拡大断面図であり、図4は図3のA−A線断面図である。
鋼管杭(2)の上端部には、複数枚のゴム板の積層体を有する免震装置(6)が載置されている。
免震装置(6)は、ゴム板積層体を上下から金属板で挟んだ構造を有しており、その下方の金属板(61)と鋼管杭(2)の上端フランジ(21)とがボルト及びナット(図示略)で締結されることにより、鋼管杭(2)の上端部に免震装置(6)が固定されている。
【0026】
管体(4)の側面には貫通孔を有する平板状の突出片(42)が設けられている。
この突出片(42)は、前述した連結部材(5)の突出片(54)と同様に、一方の側面(例えば右側面)では1枚の平板からなり、もう一方の側面(例えば左側面)では2枚の平板が僅かな隙間(平板約1枚分の隙間)をあけて平行に設けられている。
これらの突出片(42)は、管体(4)の側面に連結材(5)を連結するために用いられる。
具体的には、1枚の平板からなる突出片(42)を、連結材(5)に設けられた2枚の平板からなる突出片(54)の平板同士の隙間に挿入し、両突出片の貫通孔を重ね合わせてピン接合する。また、2枚の平板からなる突出片(42)の平板同士の隙間に、連結材(5)に設けられた1枚の平板からなる突出片(54)を挿入し、両突出片の貫通孔を重ね合わせてピン接合する。
これにより、現場にて簡単に管体(4)の側面に連結材(5)を連結することができる。
【0027】
管体(4)の上端部にはキャップ(7)が載置固定されている。
キャップ(7)は上下が開放された円筒形状であって、その上下端部にはフランジが形成されている。下端フランジ(71)は外方にのみ延出されているが、上端フランジ(72)は内方と外方の両方に延出されている。
キャップ(7)の下端フランジ(71)は、管体(4)の上端フランジ(41)とボルト(B)及びナット(図示略)で締結されており、これによって管体(4)の上端部にキャップ(7)が固定されている。
【0028】
キャップ(7)の上面には円板状の蓋(8)が載置されている。
蓋(8)とキャップ(7)の上端フランジ(72)は、ボルト及びナット(図示略)により締結され、これによって蓋(8)がキャップ(7)の上面に固定されている。
このように、蓋(8)をキャップ(7)の上面に取り付けることによって、キャップ(7)の上方開口部が塞がれ、雨水が管体(4)の内部に浸入することが防がれる。
【0029】
キャップ(7)の内部にはブラケット(9)が溶接等により一体に取り付けられている。
図5は、図3の構造から蓋(8)を外した状態の平面図(上面図)である。
ブラケット(9)は、キャップ(7)の内周面の複数箇所から夫々中心方向に延びる複数枚(図示例では4枚)の板状部材(91)と、板状部材(91)の下部に固定された円板(92)とから構成されている。
【0030】
板状部材(91)はキャップ(7)の内周面に溶接等により固定されており、円板(92)はボルト(B)及びナット(図示略)により免震装置(6)の上方金属板(62)に固定されている。
上述したように、キャップ(7)は管体(4)に固定されており、免震装置(6)は鋼管杭(2)に固定されているため、このようにキャップ(7)と一体となったブラケット(9)が免震装置(6)に固定されることによって、鋼管杭(2)と管体(4)とが免震装置(6)を介して連結されることになる。
【0031】
図6は鋼管杭(2)と管体(4)との接続部分の別の実施形態を示す概略拡大断面図であり、図7はこの実施形態において用いられる蓋(8)の裏面図である。
この実施形態が、図3に示した形態と異なる点は、蓋(8)の裏面(下面)に円環状の突起(81)を設け、この円環状突起(81)内に免震装置(6)の上方金属板(62)を嵌め入れる構造を採用したことにより、キャップ(7)を不要とした点である。
すなわち、この実施形態では、蓋(8)が直接ボルト止め等により管体(4)と一体化され、免震装置(6)が鋼管杭(2)に固定されているため、蓋(8)の円環状突起(81)に免震装置(6)の上方金属板(62)が嵌合されることによって、鋼管杭(2)と管体(4)とが免震装置(6)を介して連結される。
【0032】
以上説明した鋼管杭(2)と管体(4)との免震装置(6)を介した連結形態において、免震装置(6)は複数枚のゴム板の積層体から構成されているため、ゴム板と平行な方向、すなわち水平方向に大きく変形することが可能である。
そのため、地震の振動によって鋼管杭(2)が左右に大きく揺れても、この揺れは免震装置(6)のゴム板積層体の水平方向の変形によって吸収されて管体(4)には殆ど伝わらず、結果として避難台(1)の揺れが大幅に抑制されることとなる。
【0033】
また、本発明に係る津波避難施設においては、後述するように、管体(4)の下部において、鋼管杭(2)の周囲をコンクリートにより被覆することが好ましい。図1では、鋼管杭(2)の周囲が円錐台状のコンクリート(C)により被覆されている。
このような構造をとると、鋼管杭すなわち脚部(2)の強度が大きく高められ、津波の衝撃や地震の揺れに対する耐久性に優れた津波避難施設が得られる。
【0034】
昇降手段(3)は、地面と避難台(1)との間を避難者が上り下りするための手段であって、図示例では避難台(1)の長さ方向の左右端部にそれぞれ設置された2つの階段から構成されている。
これらの階段は、地面と避難台(1)とを連絡するとともに、更に上方に延びて避難台の1階部分と2階部分も連絡している。
【0035】
本発明に係る津波避難施設は、避雷針(10)を備えている(図1参照)。
避雷針(10)は、避難台(1)上に立設してもよいし、脚部(2)上に立設してもよい。また、その本数も特に限定されず、1本でも複数本でもよい。
避雷針(10)は、落雷によって避難者が死傷したり避難施設が破壊されたりすることを防ぐ役割と共に、電波送受信用のアンテナとしての役割も果たすことができる。
【0036】
本発明においては、避難台(1)上にソーラーパネルを設置することができる。
避難台上にソーラーパネルを設置することにより、太陽光を利用して自家発電することができるため、外部からのエネルギー供給が絶たれた場合でも、長期間に亘って快適な避難生活をおくることが可能となる。
【0037】
また、本発明においては、避難台(1)上にラジオ放送用の電波発信施設や飲食物提供施設を設けることができる。
避難台上に設けられた電波発信施設は、通常時には周辺地域に向けて各種情報を発信するコミュニティFM局として利用することができる一方、津波発生時においては周辺地域に向けて災害情報や避難情報を発信する基地局として利用することができる。
また、飲食物提供施設は、通常時には飲食物提供施設と一体となった催事(屋外コンサート等)を行うために利用することができる一方、津波発生時においては飲食物提供施設において避難者に飲食物を提供することができる。
【0038】
以下、本発明に係る津波避難所の構築方法について、図8乃至図12を参照しつつ説明する。
先ず、施工現場にて避難台(1)を組み立てて構築場所に設置する(図8参照)。
避難台(1)は、上述した複数の単位部材をピン接合によって連結して連結材(5)を形成し、管体(4)と連結材(5)とをピン接合によって連結することにより組み立てることが可能であるため、現場にて簡単に短時間で組み立てることができる。また、ピンを外すことで連結を簡単に解除することができるため、完成後においても、必要に応じて単位部材の数を増減して避難台の大きさを容易に変更可能となる。
【0039】
次いで、設置された避難台(1)の複数の管体(4)内に夫々鋼管杭(2)を挿入し、各鋼管杭(2)を地盤に打設して根固めモルタルにより固定する(図9、図10参照)。
鋼管杭(2)の打設は、ダウンザホールハンマ等の掘削機を用いて、岩盤もしくはN値50以上の地層に5m以上打ち込む。これによって、地盤の流動化や地震が生じても倒れることなく安定した状態を維持することができる。
【0040】
続いて、クレーンを用いて、打設された鋼管杭(2)に管体(4)を沿わせながら避難台(1)を吊り上げ、所定高さにおいて避難台(1)と鋼管杭(2)とを固定する(図11参照)。
【0041】
最後に、避難台(1)に床板及び手摺を設置し、地面と避難台(1)との間の昇降のための昇降手段(3)を設け、避雷針(10)を立設することにより、津波避難施設の構築が完了する(図12参照)。
【0042】
図13及び図14は、避難台(1)をクレーンにより吊り上げて、所定高さにおいて鋼管杭(2)と固定する工程をより詳細に説明した図である。尚、図13は図3に示した固定方法を採用した場合、図14は図6に示した固定方法を採用した場合であり、これらの図においては、避難台(1)は管体(4)のみを示し、鋼管杭(2)は上方部分のみを示している。
【0043】
最初に図13に基づいて説明する。
先ず、(a)図に示すように、管体(4)の上端部を鋼管杭(2)の上端部よりも少し上方に位置させる。このとき、管体(4)の直下部において、鋼管杭(2)の周囲に円環状の固定具を取り付けることによって、管体(4)が固定具の取り付け位置よりも下がらないようにしておくことが好ましい。
【0044】
次いで、(b)図に示すように、管体(4)の内部において鋼管杭(2)の上端部に免震装置(6)を載置し、免震装置(6)の下方金属板(61)と鋼管杭(2)の上端フランジ(21)とをボルト等により固定する。
【0045】
続いて、(c)図に示すように、ブラケット(9)付きのキャップ(7)を管体(4)の上端部に載置してキャップ(7)と管体(4)とをボルト等により固定し、更にブラケット(9)の下部に一体に設けられた円板(92)と免震装置(6)の上方金属板(62)とをボルト等により固定する。
最後に、(d)図に示すように、キャップ(7)の上面に蓋(8)を載せて、両者をボルト等により固定することにより、キャップ(7)の開口部を塞ぐ。
【0046】
次に図14に基づいて説明する。
先ず、(a)図に示すように、管体(4)の上端部を鋼管杭(2)の上端部よりも少し上方に位置させる。このとき、管体(4)の直下部において、鋼管杭(2)の周囲に円環状の固定具を取り付けることによって、管体(4)が固定具の取り付け位置よりも下がらないようにしておくことが好ましい。
【0047】
次いで、(b)図に示すように、管体(4)の内部において鋼管杭(2)の上端部に免震装置(6)を載置し、免震装置(6)の下方金属板(61)と鋼管杭(2)の上端フランジ(21)とをボルト等により固定する。
【0048】
最後に、(c)図に示すように、蓋(8)を管体(4)の上端部に載置して、蓋(8)の裏面に形成された円環状突起(81)内に免震装置(6)の上方金属板(62)を嵌め入れた状態で蓋(8)と管体(4)をボルト等により固定することにより、管体(4)の開口部を塞ぐ。
【0049】
図13及び図14に示す一連の作業工程を経ることによって、鋼管杭(2)と管体(4)とが免震装置(6)を介して連結される。これは、避難台(1)と鋼管杭(2)とが免震装置(6)を介して連結されることを意味し、鋼管杭(2)の揺れが避難台(1)に伝わる前に免震装置(6)によって減衰されるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、地震に伴って発生する津波から避難するための避難所として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る津波避難施設の実施形態の一例を示す正面図である。
【図2】連結材を構成する単位部材を示す図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図である。
【図3】鋼管杭と管体との接続部分を示す概略拡大断面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図3の構造から蓋を外した状態の平面図(上面図)である。
【図6】鋼管杭と管体との接続部分の別の実施形態を示す概略拡大断面図である。
【図7】図6の実施形態において用いられる蓋の裏面図である。
【図8】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を示す図である。
【図9】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を示す図である。
【図10】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を示す図である。
【図11】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を示す図である。
【図12】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を示す図である。
【図13】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を更に詳細に示す図である。
【図14】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を更に詳細に示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 避難台
2 脚部(鋼管杭)
3 昇降手段
4 管体
5 連結材
6 免震装置
7 キャップ
8 蓋
9 ブラケット
【技術分野】
【0001】
本発明は津波避難施設及びその構築方法に関し、より詳しくは、場所を選ばずに急斜面等であっても簡単に短期間で構築することができるとともに、地震発生時に避難者に伝わる揺れを小さく抑えることが可能な津波避難施設及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は世界でも有数の地震国であり、毎年のように地震によって尊い生命を失う被害者が発生しているのが現実である。
地震による被害者の中には、建物の倒壊など地震そのものに起因して生命をおとす被害者も多いが、北海道の奥尻島沖地震の例に見られるように、地震により発生した津波にのまれて生命を失う被害者も非常に多い。海外ではあるが、スマトラ沖地震では数十万人にも及ぶ犠牲者が出て、津波の危険性を世界中に知らしめることとなった。
【0003】
現在、我が国では、津波が発生したときには、自治体が予め指定した高台にある学校や公民館等の避難施設へと避難するのが一般的である。
しかしながら、津波の進行速度は非常に早いため、避難施設が海岸から遠く離れている場合には、海岸近くの住民の避難が間に合わないおそれがある。
にも拘らず、我が国においては、ごく最近まで海岸近くに津波専用の避難所は殆ど存在していなかった。
上述したような近年の津波災害の多発により、ようやく最近になって海岸近くに津波専用の避難所が作られつつあるが、その数は未だ非常に数が少ないのが現状である。
【0004】
現在建造されている津波避難施設の多くは鉄筋コンクリート造のものである。
しかしながら、10m程度の津波を想定した場合には、鉄筋コンクリート造のものは避難人員あたりのコストが高くなる。また、液状化や地震に対して安全な地盤が必要なことから建築場所が限定されるという問題や、避難施設以外への有効利用が困難であるという問題もある。
【0005】
海岸近くに設置される津波避難のための施設に関する先願技術としては、下記特許文献1に開示されたものが挙げられる。
この特許文献1の開示技術は、金属杭を地中に打ち込んで橋脚状に構成された土台部分と、橋脚状の土台部分の上に金属パネルにより構成された高床の屋内部分を具備する高床式金属建造物であり、津波発生時において海岸近くの住民の迅速な避難を可能とすることができる。
【0006】
しかしながら、この特許文献1に開示された避難施設は、屋内部分の組み立てや屋内部分と土台部分との接合のための溶接作業を現場にて行わなければならないために作業性が悪く、また施工現場が急斜面等の場合には作業が非常に危険で困難であった。
また、避難施設が完成した後に、周辺の人口が増加する等して、収容人数を増加させる必要が生じたとしても、いったん完成した避難施設を拡張することは困難であるため、このような場合には別の避難施設を構築しなければならなかった。
また、地震発生後にはしばらくの間大きな余震が続くことが多いが、特許文献1に開示された避難施設では、余震によって高所にある屋内部分が大きく揺れるため、避難者は余震が収まるまでの間、絶えず不安を感じながら避難生活をおくらなければならない。
さらに、特許文献1に開示された避難施設は、一時的な避難場所としては適しているものの、長期間に亘って避難生活を送るための設備が全く設けられていないため、長期間の避難生活をおくるための場所としては使用できなかった。また、避難施設として使用するとき以外の用途が、公民館や集会所等としての利用に限られていた。
【0007】
【特許文献1】特開平9−184323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、場所を選ばずに簡単に短期間で構築することができるとともに、完成後においても規模の拡縮が容易であり、また地震発生時に避難者に伝わる揺れを小さく抑えることが可能であり、更には長期間に亘って快適に避難生活をおくることができるとともに、避難施設として以外にも有効に利用することが可能な津波避難施設及びその構築方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、津波発生時に避難者が避難するために上に乗る避難台と、該避難台を地面から一定高さに支持する脚部と、地面と避難台との間を避難者が昇降するための昇降手段とを備えてなる津波避難施設であって、前記脚部が地盤に打設された複数本の鋼管杭からなり、前記避難台が、互いに平行に所定間隔をあけて配置された複数の管体と、該複数の管体を一体に連結する連結材とから構成されており、前記管体の内部に前記鋼管杭が夫々挿入されていることを特徴とする津波避難施設に関する。
請求項2に係る発明は、前記管体と前記連結材とが互いにピン接合されており、該連結材が互いにピン接合された複数の単位部材から構成されていることを特徴とする請求項1記載の津波避難施設に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記鋼管杭の上端部に複数枚のゴム板の積層体からなる免震装置が載置固定され、該免震装置を介して前記管体と鋼管杭とが連結されていることを特徴とする請求項1又は2記載の津波避難施設に関する。
請求項4に係る発明は、前記管体の下部において、前記鋼管杭の周囲がコンクリートにより被覆されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の津波避難施設に関する。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記避難台上にソーラーパネルが設置されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の津波避難施設に関する。
請求項6に係る発明は、前記避難台上にラジオ放送用の電波発信施設が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の津波避難施設に関する。
【0012】
請求項7に係る発明は、前記避難台上に飲食物提供施設が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の津波避難施設に関する。
請求項8に係る発明は、互いに平行に所定間隔をあけて配置された複数の管体を連結材により一体に連結した構造を有する避難台を現場に設置し、次いで該避難台の管体内に夫々鋼管杭を挿入して該鋼管杭を地盤に打設し、続いて前記管体を打設された鋼管杭に沿わせつつ前記避難台を吊り上げ、所定高さにおいて該避難台を鋼管杭に固定し、更に地面と避難台との間の昇降のための昇降手段を設けることを特徴とする津波避難施設の構築方法に関する。
【0013】
請求項9に係る発明は、前記連結材と前記管体がピン接合可能とされるとともに、前記連結材が互いにピン接合可能な複数の単位部材から構成され、現場にてこれら単位部材及び管体をピン接合することにより避難台を形成することを特徴とする請求項8記載の津波避難施設の構築方法に関する。
請求項10に係る発明は、前記避難台を吊り上げた後、前記管体の内部において鋼管杭の上端部に複数枚のゴム板の積層体からなる免震装置を載置固定し、次いで該免震装置と前記管体とを連結することにより避難台を鋼管杭に固定することを特徴とする請求項8又は9記載の津波避難施設の構築方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、脚部が地盤に打設された複数本の鋼管杭からなるため、急斜面や軟弱地盤であっても施工が可能であるとともに、避難台が、鋼管杭の夫々に対して外挿される複数の管体と、複数の管体を一体に連結する連結材とから構成されているため、施工時において、避難台の管体内部に沿って鋼管杭を打ち込んだ後、避難台を鋼管杭に沿って吊り上げて固定することができ、場所に関係なく簡単に短期間での構築が可能である。
請求項2に係る発明によれば、管体と連結材とが互いにピン接合されており、連結材が互いにピン接合された複数の単位部材から構成されているため、現場にて避難台を容易に短時間で組み立てることができる。しかも、単位部材の数を容易に増減することが可能であるため、施工完了後においても、必要に応じて避難台の大きさを容易に変更することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、鋼管杭の上端部に複数枚のゴム板の積層体からなる免震装置が載置固定され、該免震装置を介して管体と鋼管杭とが連結されているため、地震発生時に鋼管杭から避難台へと伝わる振動を免震装置にて吸収することが可能となり、避難台の揺れを小さく抑えることができる。
請求項4に係る発明によれば、管体の下部において鋼管杭の周囲がコンクリートにより被覆されているため、鋼管杭の強度がコンクリートによって大きく高められ、津波や地震に対する耐久性に優れた避難施設となる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、避難台上にソーラーパネルが設置されているため、太陽光を利用して自家発電することができ、外部からのエネルギー供給が絶たれた場合でも、長期間に亘って避難生活をおくることが可能となる。
請求項6に係る発明によれば、避難台上にラジオ放送用の電波発信施設が設けられているため、通常時には周辺地域に向けて各種情報を発信するコミュニティFM局として利用し、津波発生時には周辺地域に向けて災害情報や避難情報を発信する基地局として利用することができる。
【0017】
請求項7に係る発明によれば、避難台上に飲食物提供施設が設けられているため、通常時には飲食物提供施設と一体となった催事(屋外コンサート等)を行うことができ、津波発生時には飲食物提供施設において避難者に飲食物を提供することができる。
請求項8に係る発明によれば、鋼管杭を地盤に打設してこれに避難台を固定するため、急斜面や軟弱地盤であっても構築可能であるとともに、現場にて避難台を鋼管杭に沿って吊り上げて鋼管杭に固定するため、作業性に優れており、場所に関係なく簡単に短期間で津波避難施設を構築することが可能となる。
【0018】
請求項9に係る発明によれば、連結材が互いにピン接合可能な複数の単位部材から構成され、現場にてこれら単位部材及び管体をピン接合することにより避難台を形成するため、現場にて避難台を容易に短時間で組み立てることができ、短期間で津波避難所を構築することが可能となる。しかも、単位部材の数を容易に増減することが可能であるため、施工完了後においても、必要に応じて避難台の大きさを容易に変更することができる。
請求項10に係る発明によれば、地震発生時に鋼管杭から避難台へと伝わる振動を免震装置にて吸収することが可能となるため、避難台に生じる揺れを小さく抑えることができ、避難者に不安感を与えることがない津波避難施設を構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る津波避難施設及びその構築方法の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る津波避難施設の実施形態の一例を示す正面図である。
本発明に係る津波避難施設は、津波発生時に避難者が避難するために上に乗る避難台(1)と、該避難台を地面から一定高さに支持する脚部(2)と、地面と避難台との間の昇降のための昇降手段(3)とを備えている。
【0020】
脚部(2)は、地盤に打設された複数本の鋼管杭から構成されており(以下、鋼管杭(2)と表す場合がある)、鋼管杭は一定の間隔を有しながら避難台(1)の長さ方向に沿って2列に並ぶように配置されている。
【0021】
避難台(1)は、鋼管杭(2)の夫々に対して外挿される複数の管体(4)と、これら複数の管体(4)を一体に連結する連結材(5)とから構成されている。
複数の管体(4)は、軸方向を上下方向に向けて互いに平行に且つ間隔をあけて配置されており、管体(4)同士の間隔は鋼管杭(2)同士の間隔と一致するように設定されている。
【0022】
管体(4)は、脚部を構成する鋼管杭(2)の外径よりも大きい内径をもつ短尺の鋼管から形成されている。
管体(4)の内径は、地震による横揺れが生じても鋼管杭(2)が管体(4)に当たらないように、鋼管杭(2)の外径に比べて充分に大きく設定しておくことが好ましい。
具体的には、鋼管杭(2)の外径の2倍以上に設定することが好ましく、より好ましくは2〜2.5倍程度に設定される。例えば、φ600mmの鋼管杭(2)を使用した場合、管体(4)としてはφ1200〜1400mmのものが好適に使用される。
【0023】
連結材(5)は、隣り合う管体(4)の側面同士を連結する部材であって、複数の単位部材を組み合わせて構成されている。
図2は、連結材(5)を構成する単位部材を示す図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図である。
単位部材は、水平方向に延びる互いに平行な上部材(51)及び下部材(52)と、これら上部材と下部材とを繋ぐ中間材(53)とから構成されている。
上部材(51)及び下部材(52)の両端部には、貫通孔を有する平板状の突出片(54)が設けられている。この突出片(54)は、一方の端部(例えば右端部)では1枚の平板からなり(図2(b)参照)、他方の端部(例えば左端部)では2枚の平板が僅かな隙間(平板約1枚分の隙間)をあけて平行に設けられている(図2(c)参照)。
単位部材同士を連結する場合には、ある単位部材の一方の端部(例えば右端部)の突出片(54)を構成する1枚の平板を、別の単位部材の他方の端部(例えば左端部)の突出片(54)を構成する2枚の平板の隙間に挿入し、各突出片の貫通孔を重ね合わせてピン接合することによって、2つの単位部材を現場にて簡単に連結することができる。
【0024】
複数の単位部材の連結によって構成される連結材(5)は、上部材(51)及び下部材(52)がそれぞれ水平方向に連続して繋がった状態となる。
そして、このように繋がった上部材(51)及び下部材(52)の上部にはそれぞれ鋼板等からなる床板が設けられる。これら上下二段に設けられる床板は、それぞれ津波発生時において避難者が上に乗って避難するための場所となる。
このように、本発明に係る津波避難所の避難台(2)は、上部材(51)と下部材(52)の間に形成された1階部分と、上部材(52)の上に形成された2階部分の2階建て構造となっている。
【0025】
図3は鋼管杭(2)と管体(4)との接続部分を示す概略拡大断面図であり、図4は図3のA−A線断面図である。
鋼管杭(2)の上端部には、複数枚のゴム板の積層体を有する免震装置(6)が載置されている。
免震装置(6)は、ゴム板積層体を上下から金属板で挟んだ構造を有しており、その下方の金属板(61)と鋼管杭(2)の上端フランジ(21)とがボルト及びナット(図示略)で締結されることにより、鋼管杭(2)の上端部に免震装置(6)が固定されている。
【0026】
管体(4)の側面には貫通孔を有する平板状の突出片(42)が設けられている。
この突出片(42)は、前述した連結部材(5)の突出片(54)と同様に、一方の側面(例えば右側面)では1枚の平板からなり、もう一方の側面(例えば左側面)では2枚の平板が僅かな隙間(平板約1枚分の隙間)をあけて平行に設けられている。
これらの突出片(42)は、管体(4)の側面に連結材(5)を連結するために用いられる。
具体的には、1枚の平板からなる突出片(42)を、連結材(5)に設けられた2枚の平板からなる突出片(54)の平板同士の隙間に挿入し、両突出片の貫通孔を重ね合わせてピン接合する。また、2枚の平板からなる突出片(42)の平板同士の隙間に、連結材(5)に設けられた1枚の平板からなる突出片(54)を挿入し、両突出片の貫通孔を重ね合わせてピン接合する。
これにより、現場にて簡単に管体(4)の側面に連結材(5)を連結することができる。
【0027】
管体(4)の上端部にはキャップ(7)が載置固定されている。
キャップ(7)は上下が開放された円筒形状であって、その上下端部にはフランジが形成されている。下端フランジ(71)は外方にのみ延出されているが、上端フランジ(72)は内方と外方の両方に延出されている。
キャップ(7)の下端フランジ(71)は、管体(4)の上端フランジ(41)とボルト(B)及びナット(図示略)で締結されており、これによって管体(4)の上端部にキャップ(7)が固定されている。
【0028】
キャップ(7)の上面には円板状の蓋(8)が載置されている。
蓋(8)とキャップ(7)の上端フランジ(72)は、ボルト及びナット(図示略)により締結され、これによって蓋(8)がキャップ(7)の上面に固定されている。
このように、蓋(8)をキャップ(7)の上面に取り付けることによって、キャップ(7)の上方開口部が塞がれ、雨水が管体(4)の内部に浸入することが防がれる。
【0029】
キャップ(7)の内部にはブラケット(9)が溶接等により一体に取り付けられている。
図5は、図3の構造から蓋(8)を外した状態の平面図(上面図)である。
ブラケット(9)は、キャップ(7)の内周面の複数箇所から夫々中心方向に延びる複数枚(図示例では4枚)の板状部材(91)と、板状部材(91)の下部に固定された円板(92)とから構成されている。
【0030】
板状部材(91)はキャップ(7)の内周面に溶接等により固定されており、円板(92)はボルト(B)及びナット(図示略)により免震装置(6)の上方金属板(62)に固定されている。
上述したように、キャップ(7)は管体(4)に固定されており、免震装置(6)は鋼管杭(2)に固定されているため、このようにキャップ(7)と一体となったブラケット(9)が免震装置(6)に固定されることによって、鋼管杭(2)と管体(4)とが免震装置(6)を介して連結されることになる。
【0031】
図6は鋼管杭(2)と管体(4)との接続部分の別の実施形態を示す概略拡大断面図であり、図7はこの実施形態において用いられる蓋(8)の裏面図である。
この実施形態が、図3に示した形態と異なる点は、蓋(8)の裏面(下面)に円環状の突起(81)を設け、この円環状突起(81)内に免震装置(6)の上方金属板(62)を嵌め入れる構造を採用したことにより、キャップ(7)を不要とした点である。
すなわち、この実施形態では、蓋(8)が直接ボルト止め等により管体(4)と一体化され、免震装置(6)が鋼管杭(2)に固定されているため、蓋(8)の円環状突起(81)に免震装置(6)の上方金属板(62)が嵌合されることによって、鋼管杭(2)と管体(4)とが免震装置(6)を介して連結される。
【0032】
以上説明した鋼管杭(2)と管体(4)との免震装置(6)を介した連結形態において、免震装置(6)は複数枚のゴム板の積層体から構成されているため、ゴム板と平行な方向、すなわち水平方向に大きく変形することが可能である。
そのため、地震の振動によって鋼管杭(2)が左右に大きく揺れても、この揺れは免震装置(6)のゴム板積層体の水平方向の変形によって吸収されて管体(4)には殆ど伝わらず、結果として避難台(1)の揺れが大幅に抑制されることとなる。
【0033】
また、本発明に係る津波避難施設においては、後述するように、管体(4)の下部において、鋼管杭(2)の周囲をコンクリートにより被覆することが好ましい。図1では、鋼管杭(2)の周囲が円錐台状のコンクリート(C)により被覆されている。
このような構造をとると、鋼管杭すなわち脚部(2)の強度が大きく高められ、津波の衝撃や地震の揺れに対する耐久性に優れた津波避難施設が得られる。
【0034】
昇降手段(3)は、地面と避難台(1)との間を避難者が上り下りするための手段であって、図示例では避難台(1)の長さ方向の左右端部にそれぞれ設置された2つの階段から構成されている。
これらの階段は、地面と避難台(1)とを連絡するとともに、更に上方に延びて避難台の1階部分と2階部分も連絡している。
【0035】
本発明に係る津波避難施設は、避雷針(10)を備えている(図1参照)。
避雷針(10)は、避難台(1)上に立設してもよいし、脚部(2)上に立設してもよい。また、その本数も特に限定されず、1本でも複数本でもよい。
避雷針(10)は、落雷によって避難者が死傷したり避難施設が破壊されたりすることを防ぐ役割と共に、電波送受信用のアンテナとしての役割も果たすことができる。
【0036】
本発明においては、避難台(1)上にソーラーパネルを設置することができる。
避難台上にソーラーパネルを設置することにより、太陽光を利用して自家発電することができるため、外部からのエネルギー供給が絶たれた場合でも、長期間に亘って快適な避難生活をおくることが可能となる。
【0037】
また、本発明においては、避難台(1)上にラジオ放送用の電波発信施設や飲食物提供施設を設けることができる。
避難台上に設けられた電波発信施設は、通常時には周辺地域に向けて各種情報を発信するコミュニティFM局として利用することができる一方、津波発生時においては周辺地域に向けて災害情報や避難情報を発信する基地局として利用することができる。
また、飲食物提供施設は、通常時には飲食物提供施設と一体となった催事(屋外コンサート等)を行うために利用することができる一方、津波発生時においては飲食物提供施設において避難者に飲食物を提供することができる。
【0038】
以下、本発明に係る津波避難所の構築方法について、図8乃至図12を参照しつつ説明する。
先ず、施工現場にて避難台(1)を組み立てて構築場所に設置する(図8参照)。
避難台(1)は、上述した複数の単位部材をピン接合によって連結して連結材(5)を形成し、管体(4)と連結材(5)とをピン接合によって連結することにより組み立てることが可能であるため、現場にて簡単に短時間で組み立てることができる。また、ピンを外すことで連結を簡単に解除することができるため、完成後においても、必要に応じて単位部材の数を増減して避難台の大きさを容易に変更可能となる。
【0039】
次いで、設置された避難台(1)の複数の管体(4)内に夫々鋼管杭(2)を挿入し、各鋼管杭(2)を地盤に打設して根固めモルタルにより固定する(図9、図10参照)。
鋼管杭(2)の打設は、ダウンザホールハンマ等の掘削機を用いて、岩盤もしくはN値50以上の地層に5m以上打ち込む。これによって、地盤の流動化や地震が生じても倒れることなく安定した状態を維持することができる。
【0040】
続いて、クレーンを用いて、打設された鋼管杭(2)に管体(4)を沿わせながら避難台(1)を吊り上げ、所定高さにおいて避難台(1)と鋼管杭(2)とを固定する(図11参照)。
【0041】
最後に、避難台(1)に床板及び手摺を設置し、地面と避難台(1)との間の昇降のための昇降手段(3)を設け、避雷針(10)を立設することにより、津波避難施設の構築が完了する(図12参照)。
【0042】
図13及び図14は、避難台(1)をクレーンにより吊り上げて、所定高さにおいて鋼管杭(2)と固定する工程をより詳細に説明した図である。尚、図13は図3に示した固定方法を採用した場合、図14は図6に示した固定方法を採用した場合であり、これらの図においては、避難台(1)は管体(4)のみを示し、鋼管杭(2)は上方部分のみを示している。
【0043】
最初に図13に基づいて説明する。
先ず、(a)図に示すように、管体(4)の上端部を鋼管杭(2)の上端部よりも少し上方に位置させる。このとき、管体(4)の直下部において、鋼管杭(2)の周囲に円環状の固定具を取り付けることによって、管体(4)が固定具の取り付け位置よりも下がらないようにしておくことが好ましい。
【0044】
次いで、(b)図に示すように、管体(4)の内部において鋼管杭(2)の上端部に免震装置(6)を載置し、免震装置(6)の下方金属板(61)と鋼管杭(2)の上端フランジ(21)とをボルト等により固定する。
【0045】
続いて、(c)図に示すように、ブラケット(9)付きのキャップ(7)を管体(4)の上端部に載置してキャップ(7)と管体(4)とをボルト等により固定し、更にブラケット(9)の下部に一体に設けられた円板(92)と免震装置(6)の上方金属板(62)とをボルト等により固定する。
最後に、(d)図に示すように、キャップ(7)の上面に蓋(8)を載せて、両者をボルト等により固定することにより、キャップ(7)の開口部を塞ぐ。
【0046】
次に図14に基づいて説明する。
先ず、(a)図に示すように、管体(4)の上端部を鋼管杭(2)の上端部よりも少し上方に位置させる。このとき、管体(4)の直下部において、鋼管杭(2)の周囲に円環状の固定具を取り付けることによって、管体(4)が固定具の取り付け位置よりも下がらないようにしておくことが好ましい。
【0047】
次いで、(b)図に示すように、管体(4)の内部において鋼管杭(2)の上端部に免震装置(6)を載置し、免震装置(6)の下方金属板(61)と鋼管杭(2)の上端フランジ(21)とをボルト等により固定する。
【0048】
最後に、(c)図に示すように、蓋(8)を管体(4)の上端部に載置して、蓋(8)の裏面に形成された円環状突起(81)内に免震装置(6)の上方金属板(62)を嵌め入れた状態で蓋(8)と管体(4)をボルト等により固定することにより、管体(4)の開口部を塞ぐ。
【0049】
図13及び図14に示す一連の作業工程を経ることによって、鋼管杭(2)と管体(4)とが免震装置(6)を介して連結される。これは、避難台(1)と鋼管杭(2)とが免震装置(6)を介して連結されることを意味し、鋼管杭(2)の揺れが避難台(1)に伝わる前に免震装置(6)によって減衰されるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、地震に伴って発生する津波から避難するための避難所として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る津波避難施設の実施形態の一例を示す正面図である。
【図2】連結材を構成する単位部材を示す図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図である。
【図3】鋼管杭と管体との接続部分を示す概略拡大断面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図3の構造から蓋を外した状態の平面図(上面図)である。
【図6】鋼管杭と管体との接続部分の別の実施形態を示す概略拡大断面図である。
【図7】図6の実施形態において用いられる蓋の裏面図である。
【図8】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を示す図である。
【図9】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を示す図である。
【図10】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を示す図である。
【図11】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を示す図である。
【図12】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を示す図である。
【図13】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を更に詳細に示す図である。
【図14】本発明に係る津波避難所の構築方法の一工程を更に詳細に示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 避難台
2 脚部(鋼管杭)
3 昇降手段
4 管体
5 連結材
6 免震装置
7 キャップ
8 蓋
9 ブラケット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
津波発生時に避難者が避難するために上に乗る避難台と、該避難台を地面から一定高さに支持する脚部と、地面と避難台との間を避難者が昇降するための昇降手段とを備えてなる津波避難施設であって、前記脚部が地盤に打設された複数本の鋼管杭からなり、前記避難台が、互いに平行に所定間隔をあけて配置された複数の管体と、該複数の管体を一体に連結する連結材とから構成されており、前記管体の内部に前記鋼管杭が夫々挿入されていることを特徴とする津波避難施設。
【請求項2】
前記管体と前記連結材とが互いにピン接合されており、該連結材が互いにピン接合された複数の単位部材から構成されていることを特徴とする請求項1記載の津波避難施設。
【請求項3】
前記鋼管杭の上端部に複数枚のゴム板の積層体からなる免震装置が載置固定され、該免震装置を介して前記管体と鋼管杭とが連結されていることを特徴とする請求項1又は2記載の津波避難施設。
【請求項4】
前記管体の下部において、前記鋼管杭の周囲がコンクリートにより被覆されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の津波避難施設。
【請求項5】
前記避難台上にソーラーパネルが設置されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の津波避難施設。
【請求項6】
前記避難台上にラジオ放送用の電波発信施設が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の津波避難施設。
【請求項7】
前記避難台上に飲食物提供施設が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の津波避難施設。
【請求項8】
互いに平行に所定間隔をあけて配置された複数の管体を連結材により一体に連結した構造を有する避難台を現場に設置し、次いで該避難台の管体内に夫々鋼管杭を挿入して該鋼管杭を地盤に打設し、続いて前記管体を打設された鋼管杭に沿わせつつ前記避難台を吊り上げ、所定高さにおいて該避難台を鋼管杭に固定し、更に地面と避難台との間の昇降のための昇降手段を設けることを特徴とする津波避難施設の構築方法。
【請求項9】
前記連結材と前記管体がピン接合可能とされるとともに、前記連結材が互いにピン接合可能な複数の単位部材から構成され、現場にてこれら単位部材及び管体をピン接合することにより避難台を形成することを特徴とする請求項8記載の津波避難施設の構築方法。
【請求項10】
前記避難台を吊り上げた後、前記管体の内部において鋼管杭の上端部に複数枚のゴム板の積層体からなる免震装置を載置固定し、次いで該免震装置と前記管体とを連結することにより避難台を鋼管杭に固定することを特徴とする請求項8又は9記載の津波避難施設の構築方法。
【請求項1】
津波発生時に避難者が避難するために上に乗る避難台と、該避難台を地面から一定高さに支持する脚部と、地面と避難台との間を避難者が昇降するための昇降手段とを備えてなる津波避難施設であって、前記脚部が地盤に打設された複数本の鋼管杭からなり、前記避難台が、互いに平行に所定間隔をあけて配置された複数の管体と、該複数の管体を一体に連結する連結材とから構成されており、前記管体の内部に前記鋼管杭が夫々挿入されていることを特徴とする津波避難施設。
【請求項2】
前記管体と前記連結材とが互いにピン接合されており、該連結材が互いにピン接合された複数の単位部材から構成されていることを特徴とする請求項1記載の津波避難施設。
【請求項3】
前記鋼管杭の上端部に複数枚のゴム板の積層体からなる免震装置が載置固定され、該免震装置を介して前記管体と鋼管杭とが連結されていることを特徴とする請求項1又は2記載の津波避難施設。
【請求項4】
前記管体の下部において、前記鋼管杭の周囲がコンクリートにより被覆されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の津波避難施設。
【請求項5】
前記避難台上にソーラーパネルが設置されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の津波避難施設。
【請求項6】
前記避難台上にラジオ放送用の電波発信施設が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の津波避難施設。
【請求項7】
前記避難台上に飲食物提供施設が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の津波避難施設。
【請求項8】
互いに平行に所定間隔をあけて配置された複数の管体を連結材により一体に連結した構造を有する避難台を現場に設置し、次いで該避難台の管体内に夫々鋼管杭を挿入して該鋼管杭を地盤に打設し、続いて前記管体を打設された鋼管杭に沿わせつつ前記避難台を吊り上げ、所定高さにおいて該避難台を鋼管杭に固定し、更に地面と避難台との間の昇降のための昇降手段を設けることを特徴とする津波避難施設の構築方法。
【請求項9】
前記連結材と前記管体がピン接合可能とされるとともに、前記連結材が互いにピン接合可能な複数の単位部材から構成され、現場にてこれら単位部材及び管体をピン接合することにより避難台を形成することを特徴とする請求項8記載の津波避難施設の構築方法。
【請求項10】
前記避難台を吊り上げた後、前記管体の内部において鋼管杭の上端部に複数枚のゴム板の積層体からなる免震装置を載置固定し、次いで該免震装置と前記管体とを連結することにより避難台を鋼管杭に固定することを特徴とする請求項8又は9記載の津波避難施設の構築方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−138388(P2007−138388A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329379(P2005−329379)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(596109273)株式会社高知丸高 (17)
【出願人】(597154966)学校法人高知工科大学 (141)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(596109273)株式会社高知丸高 (17)
【出願人】(597154966)学校法人高知工科大学 (141)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
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