説明

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物

【課題】
活性エネルギー線に対する硬化感度に優れ、ポリエステルや非極性ポリオレフィン類に対する密着性、可撓性に優れた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
下記(1)〜(3)成分を反応させて得られる数平均分子量が1000〜15000でかつ成分(1)の構成単位数が1.0〜1.8であるポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)、下記(2)及び(3)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)、および光重合性開始剤(C)を含有し、質量比(A)/(B)=100/0〜12/88であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
(1)酸成分において、芳香族ジカルボン酸を40モル%以上含有し、かつ数平均分子量1000〜10000の共重合ポリエステルポリオール。
(2)ポリイソシアネート化合物。
(3)1個以上のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線に対する硬化性に優れ、金属及びプラスチック類に対する密着性、耐沸水性、耐候性に優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、ごく短時間のエネルギー照射により硬化が完了し、硬化プロセスが省エネルギー型であるために、接着剤、インキ、塗料のバインダーなど各種コーティング材料への用途開発が進められている。特にウレタン(メタ)アクリレート樹脂は活性エネルギー線に対する硬化性、硬化後の被膜の強靱性といった優れた性能を有するために、各種分野で検討されている。例えば、特許文献1では、共重合ポリエステルポリオールとジイソシアネート化合物及びヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物からなるウレタン(メタ)アクリレート樹脂が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−286019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この方法では、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得る際、その構成成分中に共重合ポリエステルポリオールを2以上の構成単位数を含有することを特徴としていることから、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂が高分子量化し、高粘度で、しかも活性エネルギー線に対して硬化感度の低いものしか得られなかった。そのため樹脂組成物の粘性を低下させ、硬化感度を上げるために、反応性希釈剤を多量に使用することになるが、硬化後の被膜の強靭性に乏しく、プラスチック類、特にポリエチレンテレフタレートや非極性のポリオレフィン類に対する密着性が不十分なものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、(1)特定範囲の芳香族ジカルボン酸を必須成分とした共重合ポリエステルポリオールと(2)ポリイソシアネート化合物及び(3)1個以上のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物を反応して得られる特定範囲の分子量を有するポリエステルウレタン(メタ)アクリレー(A)と、前記(2)及び(3)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)及び光重合性開始剤(C)とを配合することにより得られる樹脂組成物を使用すると、低エネルギーでの活性エネルギー線に対する硬化感度および密着性、可撓性に優れた前記欠点を克服した活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0006】
下記(1)〜(3)成分を反応させて得られる数平均分子量が1000〜15000でかつ成分(1)の構成単位数が1.0〜1.8であるポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)、下記(2)及び(3)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)、および光重合性開始剤(C)を含有し、質量比(A)/(B)=100/0〜12/88であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
(1)酸成分において、芳香族ジカルボン酸を40モル%以上含有し、かつ数平均分子量1000〜10000の共重合ポリエステルポリオール。
(2)ポリイソシアネート化合物。
(3)1個以上のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂組成物を使用すると、低エネルギーでの活性エネルギー線に対する硬化感度および密着性、可撓性に優れた硬化被膜が得られ、接着剤、インキ、塗料のバインダーなど各種コーティング材料に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以後本発明を詳細に説明する。
【0009】
[(1)共重合ポリエステルポリオール]
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いられる(1)共重合ポリエステルポリオールは、カルボン酸成分とグリコール成分から構成されるが、その酸成分において、芳香族ジカルボン酸を40モル%以上含有し、かつ数平均分子量が1000〜10000である。
【0010】
芳香族ジカルボン酸とは芳香族性を有する基を分子内に有するジカルボン酸であり、例えば、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸などが代表的なものとして挙げられる。中でもテレフタル酸とイソフタル酸が好適に用いられる。芳香族ジカルボン酸は、酸成分において、40モル%以上含有することが必要であり、50モル%以上が好ましい。40モル%未満の場合、活性エネルギー線硬化コーティング被膜が強靭性に乏しく、ポリエチレンテレフタレートやポリオレフィンに対する密着性が不足して好ましくない。また必要により、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などのトリ及びテトラカルボン酸を酸成分において、0.2〜20モル%程度含んでいてもよい。
【0011】
また、芳香族ジカルボン酸以外で共重合可能なジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、エイコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、パーヒドロナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環族ジカルボン酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、シクロブテンジカルボン酸等の不飽和脂環族ジカルボン酸、p−ヒドロキシエチルオキシ安息香酸、ε−カプロラクトン等のオキシ酸が挙げられる。
【0012】
グリコール成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのジオールなどが挙げられる。このうち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好適に用いられる。また必要によりトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのトリオール及びα−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールなどをグリコール成分において、0.2〜20モル%程度含んでいてもよい。
【0013】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いられる(1)共重合ポリエステルポリオールを得るための製造方法としては、直接エステル化法、エステル交換法などの溶融重合法による公知の製造方法によって製造することができる。
【0014】
直接エステル化法での製造方法をさらに詳細に説明すると、本発明の共重合ポリエステル樹脂の原料である多価アルコールと多価カルボン酸及び触媒を一括して反応器に仕込み、系内の空気を排出し、窒素置換する。その後エステル化温度(200〜240℃)になるまで昇温し、攪拌しながら2〜8時間反応を行う。エステル化反応終了後、重合温度(220〜290℃)まで昇温し、さらに系内を減圧にし高真空下で重合反応を行う。反応時間は製造する樹脂種によって異なるが、通常3〜10時間である。重合反応終了後、系内に窒素を封入し減圧を解除し、樹脂を払い出すことで共重合ポリエステル樹脂が得られる。
【0015】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いられる(1)共重合ポリエステルポリオールの数平均分子量は1000〜10000であることが必要である。数平均分子量は1000未満であると、活性エネルギー線硬化コーティング被膜が強靭性に乏しく、ポリエチレンテレフタレートやポリオレフィンに対する密着性が不足して好ましくない。また数平均分子量が10000を超えると高粘度になりすぎてハンドリングが悪く、好ましくない。
【0016】
共重合ポリエステルポリオールの分子量を制御する方法としては、重合時のポリエステル溶融物を所定の粘度で重合を終了する方法や一旦分子量の高いポリエステルを製造したのち解重合剤を添加する方法、さらに単官能アルコール、(例えばセチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコール)や安息香酸などの単官能カルボン酸を予め添加する方法などが挙げられる。本発明の共重合ポリエステル樹脂は上記のいかなる方法によって分子量を制御してもよいが、重合時の共重合ポリエステル樹脂溶融物を所定の粘度で制御する方法が好適に用いられる。また、アルコール性水酸基を増やす場合には、共重合ポリエステル樹脂の分子量を目標以上に重合反応を進めておき、多官能アルコール性水酸基を有する低分子物質にて解重合する方法が好ましい。
【0017】
共重合ポリエステルポリオールを製造する際に使用することができる触媒として、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、テトラブチルチタネ−トなどの有機チタン酸化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の酢酸塩、ヒドロキシブチルスズオキサイドなどの有機錫化合物を挙げることができる。また触媒使用量は、生成する樹脂質量に対し、0.01〜1.0質量%の範囲にあることが好ましい。0.01質量%未満ではポリエステルが所望の分子量に到達しないことがあり、一方1.0質量%を超える場合には樹脂の分子量については実用上問題のない程度まで上昇するが、内容物への溶出が懸念されるため好ましくない。
【0018】
また、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いられる(1)共重合ポリエステルポリオールの酸価は3.0mgKOH/g以下、好ましくは1.0mgKOH/g以下となるように合成することが望ましい。3.0mgKOH/gを超えると後述のポリエステルウレタン(メタ)アクリレート樹脂を合成する際にジイソシアネート化合物との反応における不活性末端が多くなりすぎ、目的とするポリエステルウレタン(メタ)アクリレート樹脂が得られず活性エネルギー線に対する硬化性が低下する。
【0019】
[(2)ポリイソシアネート化合物]
本発明で使用される(2)ポリイソシアネート化合物には、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどが含まれる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4又は2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−トルイジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等のジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、4,4′−ジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等のポリイソシアネートを挙げることができる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート、もしくはその混合物、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼンもしくはその混合物等のジイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン等のポリイソシアネートを挙げることができる。
【0020】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のジイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン等のポリイソシアネートを挙げることができる。
【0021】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等のジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン等のポリイソシアネートを挙げることができる。さらに、これらポリイソシアネートからの誘導体も利用できる。ポリイソシアネートからの誘導体としては、例えば、ダイマー、トリマー、ビュレット、アロファネート、カルボジイミド、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDIまたは、ポリメリックMDIとも云う。)クルードTDI、及びイソシアネート化合物と低分子量ポリオールとの付加体等を挙げることができる。これらポリイソシアネートのうち、ジイソシアネート(例えば、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートまたは、それらの混合物等)が好適に用いられる。さらに耐候性を重視する場合、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが特に好適に用いられ、中でもイソホロンジイソシアネートを用いるのが最も好ましい。
【0022】
[(3)1個以上のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物]
本発明で使用される(3)1個以上のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロイルオキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられ、さらにアルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基含有化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も挙げられる。これらのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートは単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。このうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが好適に用いられる。
【0023】
[(A)ポリエステルウレタン(メタ)アクリレート]
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を構成するポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)は前述の(1)共重合ポリエステルポリオール及び(2)ポリイソシアネート化合物及び(3) 1個以上のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物を反応して合成することができるが、数平均分子量が1000〜15000でかつ成分(1) の構成単位数が1.0〜1.8、好ましくは1.0〜1.6、さらに好ましくは1.0〜1.2でかつあることを特徴とするものである。数平均分子量は1000未満であると、活性エネルギー線硬化コーティング被膜が強靭性に乏しく、ポリエチレンテレフタレートやポリオレフィンに対する密着性が不足して好ましくない。また数平均分子量が15000を超えると高粘度になりすぎてハンドリングが悪く、好ましくない。また、成分(1) の構成単位数が1.8を超えると、(2)ポリイソシアネートによって(1)ポリエステルポリオールが高分子量化されて、ポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)の粘度が高くなり、ハンドリングが悪く好ましくない。前記成分の反応方法は特に制限されるものではないが、(1)共重合ポリエステルポリオールのOH基に対して、過剰の(2)ポリイソシアネートを反応させ、殆んど副反応のないウレタンプレポリマーとなし、ついで(3) 1個以上のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを反応させるのが、比較的低粘度のポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)を得るのに最適である。さらに具体的に説明すると、まず(1)に(2)を反応させてウレタン化させる際には、(2)のNCO当量/(1)のOH当量の比を1.55〜25.0の範囲で、好ましくは1.63〜18.0、さらに好ましくは1.88〜9.0で反応させてNCO末端のポリエステルウレタンプレポリマーとした後に、続いて該プレポリマーのNCO末端に(3)を反応させる際には、(2)のNCO基当量から(1)のOH基当量を減じた残りのNCO基当量と(3)のOH基当量の比が0.9〜1.1、好ましくは0.95〜1.05で反応させることにより合成することが可能である。この際ポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)は、2つの反応工程を経ているが、一つの反応釜で一度に製造できるため、製造工程が簡略化できる。
【0024】
ウレタン化反応に当たっては、通常のウレタン化触媒、即ち、第3級アミン触媒、錫系触媒、鉛系触媒等を使用しても良い。例えば、第3級アミン触媒として、1分子中に3級窒素原子を1個以上有する化合物が挙げられる。窒素原子1個を有する第3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、β−(ジメチルアミノ)プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン等を挙げることができる。窒素原子2個を有する第3級アミン化合物としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(3−ジメチル)−アミノプロピルエーテル、N′−シクロヘキシル−N,N−ジメチルホルムアミジン、N,N′−ジメチルピペラジン、トリメチルピペラジン、1,2−ピペリジノエタン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、N−メチル−N′−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−(N′,N′−ジメチルアミノエチル)モルホリン、ビス(モルホリノエチル)エーテル、ビス−(2,6−ジメチルモルホリノエチル)エーテル、1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、1,4−ジアジン、ジアザビシクロ〔2.2.2〕−オクタン(DABCO)、1,4−ジアザビシクロ〔3.3.0〕オクト−4−エン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−ウンデセ−7−エン(DBU)及びこのフェノール塩、オクチル酸塩等を挙げることができる。窒素原子3個を有する第3級アミン化合物としては、例えば、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン、N−シクロヘキシル−N′,N′,N″,N″−テトラメチルグアニジン、N−メチル−N′−(2−ジメチルアミノ)エチルピペラジン、1,5,7−トリアザビシクロ〔4.4.0〕デセ−5−エン等を挙げることができる。窒素原子4個を有する第3級アミン化合物としては、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルプロピル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。錫系触媒としては、例えば、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫メルカプタイド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫メルカプタイド、ジオクチル錫チオカルボキシレート等を挙げることができる。鉛系触媒としては、例えば、2−エチルヘキサン酸鉛等を挙げることができる。その他のウレタン化触媒としては、例えば、水銀系としてフェニル水銀プロピオン酸塩等を挙げることができる。これらウレタン化触媒の使用量は、ポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)に対して、0.001〜1.0質量%、好ましくは0.005〜0.5質量%、更に好ましくは0.01〜0.2質量%である。
【0025】
[(B)ウレタン(メタ)アクリレート化合物]
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には、前記(2)及び(3)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)を含有することができる。このウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)は反応性希釈剤に相当し、NCO/OH比を調整することにより(B)の含有量の調整が可能である。(B)は、その含有量が増大すると、樹脂組成物は低粘度化し、硬化膜の伸びを損なうことなく高弾性率化させることができ、非常に有用な化合物である。ポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)とウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)の質量比は(A)/(B)=100/0〜12/88であることが必要であり、好ましくは100/0〜24/76、さらに好ましくは100/0〜50/50である。12/88より(A)の比率が小さくなると、活性エネルギー線硬化コーティング被膜が強靭性に乏しく、ポリエチレンテレフタレートやポリオレフィンに対する密着性が不足して好ましくない。
【0026】
[(C)光重合性開始剤]
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に添加される光重合性開始剤(C)としては、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンフェノン系、チオキサントン系、アシルホスフィンオキシド系等の光重合開始剤が挙げられる。アセトフェノン系としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、ダロキュアー1173)、ベンジルジメチルケタール(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー651、BASF社製、ルシリンBDKなど)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー369)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノンのオリゴマー(例えば、ランベルチ社製、エサキュアー KIP)等が挙げられる。ベンゾインエーテル系としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン系としては、例えば、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。チオキサントン系としては、例えば、2−または、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等が挙げられる。また、これら以外にメチルフェニルグリオキシエステル(AKZO社製、バイキュアー55)や3,6−ビス(2−モルホリノイソブチル)−9−ブチルカルバゾール(旭電化社製、A−Cure3)、チタノセン化合物等も挙げることができる。アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF社製、ルシリンTPO)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(BAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)メチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー819)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)n−ブチルホスフィンオキシド等が挙げられる。また、これら光重合開始剤を組み合わせても使用でき、その具体例としては、市販品として、イルガキュアー1700〔ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド/2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパン−1−オン=25/75質量%〕、イルガキュアー1800〔ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド/1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン=25/75質量%〕、イルガキュアー1850〔ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド/1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン=50/50質量%〕(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等を挙げることができる。本発明における光重合開始剤(C)の使用量は、ポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)およびウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)および必要に応じて添加される、後述のエチレン性不飽和化合物の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは、0.5〜5質量部程度の範囲から選択する場合が多い。
【0027】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には、必要に応じて光重合開始剤による光重合反応を促進するため、種々の光重合促進剤、例えば、ジアルキルアミノ安息香酸またはその誘導体(例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステルなど)、ホスフィン系光重合促進剤(トリフェニルホスフィンなどのアリールホスフィン、トリアルキルホスフィンなどのホスフィン系化合物)などを添加してもよい。これらの重合促進剤の添加量は、例えば、ポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)およびウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)および必要に応じて添加される、後述のエチレン性不飽和化合物の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部程度の範囲が選択できる。
【0028】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には、必要に応じて、エチレン性不飽和化合物を含有することができる。本発明に用いられるエチレン性不飽和化合物は、反応性希釈剤として機能し、室温(15〜30℃程度)で液体または固体の重合性化合物が使用できる。このエチレン性不飽和化合物には、単官能性化合物、二官能性化合物および多官能性化合物が含まれる。単官能性化合物(単官能重合性希釈剤)には、例えば、複素環式エチレン性不飽和化合物〔例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルカプロラクタムなどのN−ビニル複素環化合物、モルホリン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレートなど〕、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルフォルムアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート〔例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど〕、N,N′−ジメチルアクリルアミド、アルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート〔例えば、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなど〕、アルキルフェノキシエチル(メタ)アクリレート〔例えば、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなど〕、フェノキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート〔例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなど〕、クミルフェノール(ポリ)アルキレン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート〔例えば、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど〕、シクロアルキル(メタ)アクリレート〔例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなど〕、アラルキル(メタ)アクリレート〔例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど〕、架橋脂環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート〔例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレートなど〕、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート〔例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、3−アクリロイルオキシグリセリン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロイルオキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど〕、ポリε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕アッシドフォスフェート、ハロゲン含有(メタ)アクリレート〔例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレートなど〕などが含まれる。二官能性化合物(2官能重合性希釈剤)には、例えば、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートのジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)製「MANDA」)、(ポリオキシ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなど〕、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなど)の付加物のジ(メタ)アクリレート〔例えば、2,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリレートなど〕、架橋脂環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート〔例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレートなど〕、2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物〔例えば、2,2−ビス(グリシジルオキシフェニル)プロパンの(メタ)アクリル酸付加物など〕などが含まれる。多官能性化合物(多官能重合性希釈剤)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシ)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、トリアリルトリメリット酸、トリアリルイソシアヌレートなどが例示できる。本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物におけるエチレン性不飽和化合物の使用量は、ポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)やウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)の種類、樹脂組成物の所望する粘度や硬化物の要求特性に応じて、例えば、ポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)100質量部に対して、10〜100質量部、好ましくは、20〜80質量部、さらに好ましくは、30〜70質量部程度の範囲から選択できる。
【0029】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には、必要に応じて、安定剤を少量添加することもできる。安定剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが使用できる。ヒンダードフェノール系安定剤としては、t−ブチル基が置換したヒドロキシフェニル基を有する化合物、例えば、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−チオビス(4−メチル−6−t−ブチル)フェノール、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチル)フェノール、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステルなどが挙げられる。ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−4−セバケート)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル重縮合物などが挙げられる。硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3′−チオプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。これらの酸化防止剤の添加量は、ポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)およびウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)および必要に応じて添加される、後述のエチレン性不飽和化合物の総量100質量部に対して、2.0質量%以下であり、水素ガス発生量、硬化速度の兼ね合いから0.1〜1.0質量%が好ましい。本発明の樹脂組成物には、必要に応じて前記成分の他に、例えば、前記以外の酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、可塑剤、有機溶剤、シランカップリン剤、撥水性シラン化合物、変性シリコーンオイル、レベリング剤、界面活性剤、着色顔料、有機または無機微粒子などの種々の添加剤を添加してもよい。
【0030】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には有機溶剤を加えることができる。有機溶剤は揮発性のものに限定され、活性エネルギー線硬化前に加熱乾燥等により大部分もしくは全部が揮発する必要がある。使用可能な溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、またはこれらの混合物等がある。
【実施例】
【0031】
以下に、参考例、実施例および比較例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形及び応用が可能である。
【0032】
[参考例1](共重合ポリエステルポリオールの合成)
温度計、攪拌機、蒸留塔、コンデンサー、減圧装置を具備した反応容器中に、テレフタル酸83.1kg、イソフタル酸49.8kg、アジピン酸29.2kg、エチレングリコール48.4kg、ネオペンチルグリコール67.7kg、トリエチレングリコール15.0kg、さらに触媒としてヒドロキシブチルスズオキサイド42gを反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。仕込み原料を30rpmで撹拌しながら、反応器を0.4MPaに加圧し、240℃で加熱し、内容物を溶融させた。反応器内温度が240℃に到達してから4時間エステル化反応を進行させた。エステル化反応終了後、系内を245℃に上昇させかつ減圧にし、系内が高真空に到達してから7時間重合反応を行なった。重合反応終了後、系内に窒素を封入することで常圧に戻し、生成した樹脂を系外に払い出し、数平均分子量1400、酸価0.2mgKOH/g、水酸基価74.6mgKOH/gの共重合ポリエステルポリオール(P)を得た。
【0033】
以下、Q〜Vの共重合ポリエステルポリオールについても(参考例1)と同様の方法で製造した。得られた共重合ポリエステルポリオールの特性値を下記の方法により分析した結果を表1に示す。
【0034】
(a)共重合ポリエステルポリオールの特性値の分析方法
(1)組成分析
樹脂の組成分析を、日本電子製プロトンNMR、装置名JOEL LAMDBA300WB(300MHz)を用いて行った。
(2)共重合ポリエステルポリオールの数平均分子量
数平均分子量は、移動相をテトラヒドロフランとしたGPC分析装置(島津製作所製LC−10ADvp型及びUV-VIS検出器、検出波長:254nm)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。
(3)共重合ポリエステルポリオールの酸価
共重合ポリエステルポリオール0.5gを25mlのジオキサンに溶解し、クレゾールレッドを指示薬として0.1N−KOHで滴定し、mgKOH/g単位で求めた。
(4)共重合ポリエステルポリオールの水酸基価
共重合ポリエステルポリオール2.0gをピリジン50mlに溶解した後、無水酢酸0.6ml加え、1時間加熱還流攪拌してアセチル化し、続いて、蒸留水5mlを加えて10分間加熱還流攪拌、更にジオキサン50mlを加えて1時間加熱還流攪拌した。一方共重合ポリエステルポリオールを加えずに同様のブランク試験を実施した。冷却後、双方の液にクレゾールレッド・チモールブルーを指示薬として0.5N−KOHで滴定を行い、両者の差からOH基量をmgKOH/g単位で求めた。
【0035】
【表1】

【0036】
[実施例1]
温度計、攪拌機、窒素導入管を具備した反応容器中に、上記(参考例1)で得られ、充分に真空乾燥された共重合ポリエステルポリオール(P)(数平均分子量1400、酸価0.2mgKOH/g、水酸基価74.6mgKOH/g)1000質量部にイソホロンジイイソシアネート593質量部、ジブチルチンジラウレート0.2質量部を加え、窒素雰囲気下、80℃で3時間反応させ、ついで、重合禁止剤ヒドロキノン0.5質量部、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン856質量部を加えてさらに80℃で4時間反応させ、赤外線吸収スペクトル(IR−スペクトル)でイソシアネート基(NCO)に起因する吸収がないことを確認した。この樹脂溶液は、前記GPC分析装置により分析したところ、数平均分子量2300のポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A−1)65質量%及び数平均分子量650のウレタン(メタ)アクリレート化合物(B−1)35質量%の混合物であった。得られたポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A−1)100質量部、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B−1)54質量部に反応性希釈モノマーとしてテトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製ビスコート#150)40質量部及び光重合開始剤イルガキュアー651(チバスペシャルティ・ケミカルズ社製):10質量部を配合し樹脂組成物1を調製した。
【0037】
以下、実施例2〜実施例7及び比較例1〜比較例5についても実施例1同様に行って樹脂組成物を得た。表2には(1)ポリエステルポリオール、(2) ポリイソシアネート化合物及び(3)1個以上のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させてポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)及び/またはウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)を得る際のそれぞれの処方及び得られた前記(A)、(B)を示す。また、表3には(A)、(B)にさらに(C)光重合性開始剤及び反応性希釈モノマーを配合して下記の方法に従って評価した結果を示す。
【0038】
[評価方法]
(碁盤目密着試験)上記実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた樹脂組成物をフィルムアプリケータ(安田精機製、No.542−AB型、)を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(38μm、ユニチカ製)及びポリプロピレン板(日本テストパネル社製、厚み2mm、サイズ:70mm×100mm)、銅板(日本テストパネル社製、厚み0.3mm、サイズ:70mm×100mm)に10μmの厚さに塗布した後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製アイグランデージECS−401GX,メタハライドランプ160W)にて照射量200mJ/cm2(波長350nm)で照射して硬化させた後、JISK5400に準拠して碁盤目密着試験を行なった。測定結果は非剥離碁盤目数/全碁盤目数の分数で示した。分子の数字が大きいほど密着力が良いことを示す。
【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
実施例1〜7についてはいずれも良好な密着力を示したのに対して、比較例1は(1)ポリエステルポリオールの分子量が本発明の請求範囲よりも小さいために全体的に密着力に劣るものとなった。また比較例2は(1)ポリエステルポリオールの分子量が本発明の請求範囲よりも大きく、樹脂組成物を塗布するに際して希釈モノマーを多く必要としたために全体的に密着力に劣るものとなった。また比較例3は(1)ポリエステルポリオールの構成成分が本発明の請求範囲から外れたために、ポリエチレンテレフタレート及びポリプロピレンに対する密着力に劣るものとなった。また比較例4はポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)とウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)の配合比において、(A)の比率が本発明の請求範囲よりも小さいためにポリエチレンテレフタレート及びポリプロピレンに対する密着力に劣るものとなった。また比較例5は繰り返し単位数が本発明の請求範囲よりも大きく、樹脂組成物を塗布するに際して希釈モノマーを多く必要としたために全体的に密着力に劣るものとなった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(3)成分を反応させて得られる数平均分子量が1000〜15000でかつ成分(1)の構成単位数が1.0〜1.8であるポリエステルウレタン(メタ)アクリレート(A)、下記(2)及び(3)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)、および光重合性開始剤(C)を含有し、質量比(A)/(B)=100/0〜12/88であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
(1)酸成分において、芳香族ジカルボン酸を40モル%以上含有し、かつ数平均分子量1000〜10000の共重合ポリエステルポリオール。
(2)ポリイソシアネート化合物。
(3)1個以上のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物。


【公開番号】特開2006−52258(P2006−52258A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233377(P2004−233377)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】