説明

活性光線硬化型樹脂組成物及びこれを用いた電子材料

【課題】電気絶縁性や耐ハンダ性、繰り返し屈曲性に優れ、スクリーン印刷やスピンコート加工が可能である材料を得ること。
【解決手段】少なくとも不飽和基を有するポリアミドイミド樹脂および分子中に水酸基を含有する不飽和化合物を含有することを特徴とする活性光線硬化型樹脂組成物。好ましくはイソホロン環とアクリロニトリルーブタジエンやポリエステル、ポリアルキレングリコール、ダイマー酸などの柔軟成分が共重合された不飽和基含有ポリアミドイミド樹脂に水酸基含有不飽和化合物と好ましくは2官能以上の不飽和基を含有する化合物を配合することを特徴とする組成物およびそれを用いた活性光線硬化型樹脂インキ、プリント回路板、半導体素子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路板やTAB、半導体素子の絶縁コート剤に関する。特に、ハンダ耐熱性、電気特性に優れるうえに硬化収縮が小さく柔軟な皮膜を形成するためにカールが発生せず、繰り返し屈曲に耐える絶縁コート剤に関する。
また、本発明の活性光線硬化型樹脂組成物は透明性に優れるため、液晶デイスプレイのカラーフィルター及びその表面保護コート剤にも応用できる。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント回路板やTAB、半導体などの絶縁被服材としては接着剤付のポリイミドフィルム(カバーレイフィルム)と絶縁コート剤が用いられてきた。接着剤付のポリイミドフィルムの場合、電気絶縁性や耐ハンダ性、繰り返し屈曲性など絶縁被覆材として優れた性能を発揮するが、材料価格が高いこと、接着剤を半硬化状態にする必要があるために低温保管が必要であること、加工工程が通常、型抜き、プレスラミネーション、エージング処理が必要なため加工コストが高いことなどの欠点があった。
【0003】
また、従来の絶縁コート剤には通常、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系などの熱硬化型または紫外線硬化型のインキが用いられてきた。これらのインキは電気絶縁性や耐ハンダ性に優れ、スクリーン印刷で加工できるために加工コストも安価であるという利点があった。しかし、硬化系であるがゆえに塗膜が脆いために繰りかえし屈曲特性が著しく劣るとともに、硬化収縮に伴いカールが発生しやすいという欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような状況に鑑みて、本発明の目的は接着剤付ポリイミドフィルムの性能を持ち、絶縁コート剤の加工性を併せ持つ材料、具体的には電気絶縁性や耐ハンダ性、繰り返し屈曲性に優れ、スクリーン印刷やスピンコート加工が可能な安価な材料及びこれを用いたプリント回路板やTAB、半導体素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は鋭意研究の結果本発明に到達した。即ち本発明は、以下のとおりである。
(1)少なくとも不飽和基を有するポリアミドイミド樹脂および分子中に水酸基を有する不飽和化合物を含有することを特徴とする活性光線硬化型樹脂組成物。
(2)不飽和基を有するポリアミドイミド樹脂を構成するジアミンまたはジイソシアネート成分にイソホロン残基が含有されている前記(1)記載の活性光線硬化型樹脂組成物。
(3)不飽和基を有するポリアミドイミド樹脂を構成する酸成分の一部がカルボキシル基、水酸基、アミノ基のいずれかを有し、分子量が1000以上のアクリロニトリル−ブタジエンポリマー、ポリエステル、ポリアルキレングリコール、ダイマー酸から選ばれる1種または2種以上である前記(1)または(2)記載の活性光線硬化型樹脂組成物。
(4)分子中に水酸基を有する不飽和化合物が分子中に少なくとも2個以上の不飽和基を含有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の活性光線硬化型樹脂組成物。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の活性光線硬化型樹脂組成物がγ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルアセテート、シクロヘキサノンから選ばれる1種または2種以上の溶剤に溶解していることを特徴とする活性光線硬化型樹脂溶液。
(6)前記(1)〜(4)に記載の活性光線硬化型樹脂組成物がヒドロキシエチルアクリレート及び/またはヒドロキシエチルメタクリレートに溶解していることを特徴とする無溶剤型活性光線硬化型樹脂溶液。
(7)活性光線を用いて硬化させた後の皮膜の破断伸度が10%以上である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の活性光線硬化型樹脂組成物。
(8)前記(5)または(6)に記載の溶液に無機フィラー、泡消剤、レベリング剤、着色剤のいずれかを配合した活性光線硬化型樹脂インキ。
(9)前記(5)、(6)、(8)のいずれかに記載の活性光線硬化型樹脂溶液またはインキをスクリーン印刷またはスピンコートした後、直接または乾燥した後活性光線を照射することにより絶縁被覆したことを特徴とするプリント回路板。
(10)前記(5)、(6)、(8)のいずれかに記載の活性光線硬化型樹脂溶液またはインキをスクリーン印刷またはスピンコートした後、直接または乾燥した後活性光線を照射することにより絶縁被覆したことを特徴とする半導体素子。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、電気絶縁性や耐ハンダ性、繰り返し屈曲性に優れ、スクリーン印刷やスピンコート加工が可能な安価な材料を提供することができ、産業界に寄与すること大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の内容について、以下に更に詳細に説明する。
本発明の不飽和基を含有するポリアミドイミド樹脂は、トリメリット酸無水物などの酸成分とジアミン(ジイソシアネート)成分及びこれらと反応する官能基を有する不飽和基含有化合物とから合成される。
本発明で、トリメリット酸無水物以外の酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、蓚酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環族ジカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸などのテトラカルボン酸及びこれらの無水物などが挙げられ、これらの中では耐熱性、溶解性の点からイソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などが好ましい。
【0008】
ジアミンまたはジイソシアネート成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、4,4’−シクロヘキシルジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミンなどの脂環族ジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチルー4,4’−ジアミノビフェニル、ナフタレンジアミンなどの芳香族ジアミンまたはこれらに相当するジイソシアネートが挙げられ、これらの中では耐熱性、溶解性の点から4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(ジイソシアネート)やイソホロンジアミン(イソホロンジイソシアネート)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(ジイソシアネート)が好ましい。
【0009】
本発明に用いられる反応性官能基を有する不飽和化合物としては、本発明に用いられる酸成分やジアミン、ジイソシアネート成分と反応するものであれば特に限定されない。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、イタコン酸、グリシジルメタクリレート、フマール酸、マレイン酸、イソシアネート基含有アクリレート等が挙げられ、これらの不飽和化合物はポリアミドイミド合成の初期に添加しても良いし、反応の途中あるいはポリアミドイミドの合成が終了した後に添加し反応させるなどいずれの段階で添加、反応させても構わない。
【0010】
本発明のポリアミドイミド樹脂には更に銅やアルミニウム、ステンレスなどの金属やポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリイミドなどのフィルムへの密着性や柔軟性を改良する目的で、ポリアミドイミドの合成に用いられる酸成分の一部をカルボキシル基やアミノ基、ヒドロキシル基を含有するブタジエン、アクリロニトリルーブタジエン、ポリエステル、ポリアルキレングリコール、ダイマー酸のうちの1種または2種以上で置き換えることができる。
【0011】
本発明で用いられるブタジエン、アクリロニトリルーブタジエン、ポリエステル、ポリアルキレングリコールはその分子量が1000以上、好ましくは1500以上、更に好ましくは2000以上であり、上限は特にないが、ポリアミドイミドとの反応性や溶解性の点から20000以下が好ましい。これらの分子量が1000以下では目的とする柔軟性や密着性が十分改良されない場合がある。
また、これらの共重合量や変性量は重量で1%以上、好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上で上限は特に制限はないが耐熱性の点から80%以下、好ましくは70%以下である。共重合量や変性量が1%以下では柔軟性や密着性が十分に改良されない。
【0012】
また、本発明の目的のひとつは繰り返し屈曲に耐える絶縁カバーコート剤を提供することにある。そのためには、活性光線硬化型樹脂組成物が紫外線などの活性光線の照射を受け硬化した後の塗膜の伸度が10%以上とするのが好ましい。これを達成するには前記ポリアミドイミド樹脂の対数粘度は高いほうが好ましいが、高すぎると作業性が低下する。好ましい対数粘度は0.1〜2.0dl/g、更に好ましくは0.2〜1.5dl/g、最も好ましくは0.3〜1.0dl/gである。
【0013】
本発明の不飽和基含有ポリアミドイミド樹脂はそれ自身が活性光線で硬化することが可能であるが、他の不飽和基含有化合物を配合することによってより硬化性が良くなり高温半田に耐える優れた塗膜を形成することができる。不飽和基含有ポリアミドイミド樹脂に配合する不飽和化合物としては分子中に水酸基を含有する不飽和化合物が相溶性の点から好ましい。
【0014】
代表的な化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの2価以上の多価アルコール類のモノ(メタ)アクリル酸エステル化物などが挙げられる。これらの化合物は単独にまたは2種以上併用して使用することができる。
【0015】
これらのなかでは、特に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが溶解性の点から好ましく、これらに多官能アクリル化合物を適宜配合することでより硬化性を高めることが好ましい。
【0016】
また、上記の水酸基含有不飽和化合物の一部を水酸基を含まない不飽和化合物で置き換えることで塗膜の密着性や柔軟性、耐熱性を改良することができる。
【0017】
これらの不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸系化合物類や次の一般式(I)で表されるカルボキシル基含有化合物がある。
【化1】

(式中、Rは水素またはメチル基を示し、RおよびRは各々脂肪族、芳香族、脂環族の残基を示し、mおよびnは各々1〜3の正の整数を示す。)
【0018】
一般式(I)において、Rは炭素原子数2〜10である2〜4価の炭化水素基Rは炭素原子数2〜10である2〜4価の脂肪族多塩基酸残基、炭素原子数6〜15である2〜4価の芳香族多塩基酸残基または炭素原子数6〜10である2〜4価の脂環族多塩基酸残基であることが好ましい。
【0019】
一般式(I)で表される化合物としては、例えば次のような化合物がある。
m=1、n=1の化合物としては、例えば、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、(アクリロイルオキシエチルエステルおよびメタクリロイルオキシエチルエステルを示す。以下同様に略記する。)フタル酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、マレイン酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、テトラハイドロフタル酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ヘキサハイドロフタル酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、エンド−ビシクロ(2・2・1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸モノ(メタ)アクリロイルオキエチルエステル、テトラハイドロフタル酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−(フェノキシメチル)エチルエステル、フタル酸モノ−2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルエステル、コハク酸モノ−2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルエステルなどが挙げられる。
【0020】
m=1、n=2の化合物としては、例えば、トリメリット酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステルなどがある。m=1、n=3の化合物としては、例えば、ピロメリット酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステルなどが挙げられる。
【0021】
m=2、n=1の化合物としては、例えば、フタル酸モノ−〔2,3−ビス(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル〕エステル、メチルテトラハイドロフタル酸モノ−〔2,3−ビス(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル〕エステル、テトラハイドロフタル酸モノ−〔2,3−ビス(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル〕エステル、コハク酸モノ−〔2,3−ビス(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル〕エステルなどが挙げられる。
【0022】
m=2、n=2の化合物としては、例えば、トリメリット酸モノ−〔4,5−ビス(メタ)アクリロイルオキシネオペンチル〕エステル、トリメリット酸モノ−フタル酸モノ−〔3,4−ビス(メタ)アクリロイルオキシイソブチル〕エステルなどが挙げられる。
【0023】
m=3、n=2の化合物としては、例えば、トリメリット酸モノ−〔3,4,5−トリス(メタ)アクリロイルオキシネオペンチル〕エステルなどが挙げられる。
【0024】
m=3、n=3の化合物としては、例えば、ピロメリット酸モノ−〔3,4,5−トリス(メタ)アクリロイルオキシネオペンチル〕エステルなどが挙げられる。
これらの不飽和基含有化合物も単独にまたは2種以上併用して、または必要に応じて他の不飽和基含有化合物の1種または2種以上と併用して使用される。
【0025】
また、本発明には活性光線重合性オリゴマーを配合することができる。これらの例としてはウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの化合物は、基材への密着性を付与するものである。これらの内、密着性の面よりウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートとは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応物と水酸基を含有する(メタ)アクリレートとの付加反応により得られる。
【0026】
さらに本発明では必要に応じて上記以外の不飽和基含有化合物を用いることができる。これらは分子内に1個以上の光重合性二重結合を有する光重合可能な化合物である。これらを併用することにより樹脂溶液の粘度が調節しやすく、スクリーン印刷等の作業性が良くなる傾向にあり好ましい。
【0027】
分子内に1個の光重合性二重結合を有する光重合可能な化合物としては、例えば、(i)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−およびi−プロピル(メタ)アクリレート、i−,n−ブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリンやイソボニルアクリレートやシクロヘキシルメタクリレートやジシクロペンテニルアクリレートやジシクロペンタニルアクリレートやジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートやテトラヒドロフルフリルアルコールアクリル酸多量体エステルなどの複素環含有(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メタ)アクリレート類、(ii)ビスフェノールAのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物などのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のモノ(メタ)アクリレート類、(iii)ジイソシアネート化合物と1個以上のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物に、さらにアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレート類を反応させて得られる分子内に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン変性モノ(メタ)アクリレート類、(iv)分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシモノ(メタ)アクリレート類、および(v)カルボン酸成分としてアクリル酸またはメタクリル酸および多価カルボン酸とアルコール成分として2価以上の多価アルコールとを反応させて得られるオリゴエステルモノ(メタ)アクリレート類などがある。
【0028】
分子内に2個の光重合性二重結合を有する光重合可能な化合物としては、例えば、(i)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、(ii)ビスフェノールAのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物などのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート類、(iii)ジイソシアネート化合物と2個以上のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物に、さらにアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレート類を反応させて得られる分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン変性ジ(メタ)アクリレート類、(iv)分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル酸または/およびメタクリル酸を反応させて得られるエポキシジ(メタ)アクリレート類、(v)カルボン酸成分としてアクリル酸またはメタクリル酸および多価カルボン酸とアルコール成分として2価以上の多価アルコールとを反応させて得られるオリゴエステルジ(メタ)アクリレート類などがある。
【0029】
分子内に3個以上の光重合性二重結合を有する光重合可能な化合物としては、例えば、(i)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3価以上の脂肪族多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類、(ii)ジイソシアネート化合物と3個以上のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物に、さらにアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる分子内に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン変性ポリ(メタ)アクリレート類、(iii)分子内に3個以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル酸または/およびメタクリル酸を反応させて得られるエポキシポリ(メタ)アクリレート類などがある。
【0030】
本発明で使用する不飽和基含有ポリアミドイミド樹脂(A)と水酸基を有する不飽和基含有化合物(B)と他の不飽和基含有化合物(C)の配合比は、(A)100重量%に対して、(B)+(C)の合計重量%が、10〜500重量%が好ましく、より好ましくは20〜200重量%、最も好ましくは30〜100重量%である。(B)+(C)の配合量が10重量%以下では塗膜の硬化不足で耐熱性や密着性が発揮されない場合があり、500重量%を超えると柔軟性が損なわれ、繰り返し屈曲に耐えなくなる。また、この場合(B)と(C)の配合比は(B)/(C)=100/0〜30/70である。(B)/(C)が30/70以下では相溶性が低下して溶液が不安定になり、塗膜が脆くなる。
【0031】
本発明活性光線硬化型樹脂組成物においては、活性光線照射による硬化後に着色しない光開始剤(D)を配合することが好ましい。本発明で使用する光開始剤としては、例えば、クロロアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル(4−ドデシル)プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、フェニル2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノンなどのアセトフェノン類、ベンジルジメチルケタール(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)などのケタール類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインアルキルエーテル、α−メチルベンゾインなどのベンゾイン類、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、2−ヒドロシ−2−メチルプロピオフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンなどのプロピオフェノン類、ジベンゾスベロンなどのスベロン類などがあげられる。
【0032】
その他に1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、アゾビスイソブチルニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,4,6−トリメチロールベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン、2,2−ジクロロ−p−フェノキシアセトフェノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2(o−エトキシカルボニル)オキシム、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1,4−ジベンゾイルベンゼン、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノンなどもある。これらは、単独にまたは2種以上併用して使用される。
【0033】
光開始剤としては、前述の光開始剤の中で、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)などが硬化性や密着性や透明性の点で好ましい。
【0034】
この光開始剤の配合量は不飽和基含有ポリアミドイミド樹脂(A)と水酸基含有不飽和化合物(B)、水酸基を含有しない不飽和基含有化合物(C)の総量に対して好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。0.05重量%未満だと硬化性が不足して密着性が悪くなる傾向にある。一方20重量%を越えると、硬化性が飽和し経済的でなく、さらには溶液の保存安定性が悪くなったり、厚膜硬化の場合には密着性が悪くなる場合がある。
【0035】
本発明の活性光線硬化型樹脂組成物は溶液状態で塗布または印刷される。この溶液にする場合、溶剤を用いても良いし、用いなくとも良い。
溶剤を用いる場合は上記ポリアミドイミド樹脂や水酸基含有不飽和化合物、水酸基を含有しない不飽和基含有化合物を溶解するものであれば特に制限はないが、例えば本発明の活性光線硬化型樹脂組成物をスクリーン印刷する場合には比較的沸点の高い溶剤を用いるのが好ましい。このような溶剤としてはN−メチルー2−ピロリドン、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチルホルムアミド、γ―ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルアセテート、シクロヘキサノンなどが挙げられるが、これらの中では吸湿性の低いγ―ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノンの1種または2種以上の混合溶剤が好ましい。
【0036】
また、有機溶剤を用いない場合は前述の水酸基含有不飽和化合物の一部を有機溶剤として用いることができ、これらの中では比較的粘度の低いヒドロキシエチルアクリレートやヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
【0037】
本発明の活性光線硬化型樹脂組成物の配合は室温または必要により加温下で攪拌混合することにより容易に製造が可能である。製造時の熱重合や貯蔵中の暗反応を防止するために、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1−ブチル−カテコール、p−ベンゾキノン、2,5−t−ブチル−ハイドロキノン、フェノチアジンなどの公知の熱重合防止剤を添加するのが望ましい。その添加量は本発明に使用する活性光線硬化性成分に対して好ましくは0.001重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下である。0.001重量%未満では効果が得られないことがあり、0.1重量%を越えて配合しても効果が飽和し、経済的でない。
【0038】
本発明の活性光線硬化型樹脂組成物においては、硬化物の特性を損なわない範囲で、有機または無機フィラーやレベリング剤及び/又は消泡剤を配合してもよい。特にスクリーン印刷やスピンコートで塗布する場合、塗膜の平滑性、ピンホールの低減のためにはこれらの配合が有効である。
有機フィラーとしては有機顔料系が、また無機フィラーとしてはシリカ、タルク、ヒュームドシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、マイカ、ベントナイト、硫酸バリウム、カオリンなどが挙げられ、これらの配合量は活性光線硬化成分の総量100重量に対して2〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、更に好ましくは5〜10重量%である。
レベリング剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性メチルアルキルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、アクリル酸、アクリル酸アルキル共重合物、ポリオキシアルキレンモノアルキルまたはアルケニルエーテルのグラフト化共重合物、レシチンなどの公知のものを添加することができる。
【0039】
レベリング剤としては、前述のレベリング剤の中で、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、アクリル酸、アクリル酸アルキル共重合物、ポリオキシアルキレンモノアルキルまたはアルケニルエーテルのグラフト化共重合物、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが表面平滑性の点で好ましい。
【0040】
これらのレベリング剤を配合する場合は、次の添加量にすると良い。レベリング剤(H)の添加量は光線活性硬化性成分総量と光開始剤、無機充填剤の総量に対して好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.07重量%以上、又は好ましくは4.0重量%以下、より好ましくは2.0重量%以下である。0.05重量%未満では効果が得られないことがあり、4重量%を越えて配合しても効果が飽和し、経済的でない。
【0041】
消泡剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。シリコーン樹脂、シリコーン溶液、シリコンを含まない特殊破泡剤、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、アルキルビニルエーテル、アクリル系共重合物、破泡性ポリマー、ポリシロキサン、破泡性ポリシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン、ポレエーテル変性ポリシロキサン、パラフィン系ミネラルオイルなどの公知のものを添加することができる。
【0042】
消泡剤としては、前述の消泡剤の中で、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、アルキルビニルエーテルが好ましい。
【0043】
これらの消泡剤を配合する場合は、次の添加量にすると良い。消泡剤の添加量は活性光線硬化性成分総量と光開始剤と無機充填剤の総量に対して好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.06重量%以上、又は好ましくは4.0重量%以下、より好ましくは2.0重量%以下である。0.05重量%未満では効果が得られないことがあり、4.0重量%を越えて配合しても効果が飽和し、経済的でない。
【0044】
本発明の活性光線硬化型樹脂組成物は、電子線、紫外線などの活性光線を照射して重合反応を誘起させる。紫外線照射に用いる光源としては、太陽光線、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キノセンランプ、メタルハライドランプなどが使用される。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。実施例中、単に部とあるものは重量部を示す。また、各測定項目は以下の方法に従った。
【0046】
・ 対数粘度
ポリアミドイミド樹脂固形品0.5gを100mlのN−メチルー2−ピロリドンに溶解した溶液を30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて測定した。
・ 密着性
活性光線硬化型樹脂組成物を電解銅箔に膜厚が20〜30μmとなるように塗布し、溶剤を含まない場合はそのまま、溶剤を含む場合は100℃で10分、150℃で30分乾燥した後、紫外線照射試験装置を用い、積算光量500mJ/cm2を照射したサンプルをセロテープ(登録商標)クロスカット剥離試験で評価した。
○:90%以上残存 △:50〜89%残存 ×:49%以下残存
・ ハンダ耐熱性
密着性試験に用いた銅箔塗布サンプル2cm□を280℃のハンダ浴に1分間浸漬した後の外観を観察した。評価は下記の通りとした。
○:異常なし △:わずかなフクレあり ×:フクレ、剥離あり
・ 折り曲げ性
密着試験に用いた銅箔塗布サンプル1cm×5cmの短冊を手折りで360度繰り返し折り曲げた。評価は下記の通りとした。
○:10回以上で異常なし
△:3〜9回で塗膜にひび割れまたは破断
×:2回以下で塗膜が破断
・ カール
密着試験に用いた銅箔塗布サンプルを10cm□に切ったサンプルを平坦なガラス板に置いたときに端部が反る状態を観察した。
○:反り高さが10mm以下
△:反り高さが11〜20mm
×:21mm以上
・ 引張り強度、伸度
密着試験に用いた銅箔塗布サンプルの銅箔をエッチング処理して除いた塗膜単独を幅10mm、長さ100mmに切断して、室温下、東洋ボールドウイン社のテンシロンを用い、測定長40mm、幅10mm、引張り速度200mm/分で測定した。
【0047】
不飽和基含有ポリアミドイミド樹脂の合成例−1
冷却管、窒素ガス導入管のついた4ツ口フラスコにトリメリット酸無水物(TMA)0.45モル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)、フマール酸0.1モル、イソホロンジイソシアネート(IPDI)1.02モル、フッ化カリウム0.02モル及びフマール酸に対して1%のフェノチアジンを固形分濃度が50%となるようにγ―ブチロラクトンとともに仕込み、150℃で1.5時間攪拌しながら反応させ、更に190℃に昇温して約3時間反応を継続した。得られたポリアミドイミド樹脂(PAI−1)の対数粘度は0.57dl/g、ガラス転移温度は246℃であった。
【0048】
不飽和基含有ポリアミドイミド樹脂の合成例−2
合成例−1で用いたと同様のフラスコにTMA0.475モル、CHDA0.475モル、両末端カルボキシル基含有アクリロニトリルーブタジエン(宇部興産製CTBN1300×13:分子量3500)0.05モル、IPDI1.02モルとフッ化カリウム0.02モルを固形分濃度が50%となるようにγ―ブチロラクトンとともに仕込み、合成例−1と同じ条件で反応させた。この溶液を冷却しながらシクロヘキサノンで固形分濃度が35%となるように希釈して100℃になった時点でグリシジルメタクリレートを固形分に対して8%添加して約5時間反応させた。得られたポリアミドイミド樹脂(PAI−2)の対数粘度は0.48dl/g、ガラス転移温度は215℃であった。
【0049】
不飽和基含有ポリアミドイミド樹脂の合成例−3
合成例−2において、TMAを0.45モル、CHDAを0.45モル、CTBNに変えて両末端水酸基のポリエステル(ダイセル化学製プラクセル220:分子量2000)を0.1モルとした以外は全て合成例−2と同じ処方、同じ条件でグリシジルメタクリレート変性のポリアミドイミド(PAI−3)を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.51dl/g、ガラス転移温度は178℃であった。
【0050】
不飽和基含有ポリアミドイミド樹脂の合成例−4
合成例−3において、ポリエステルに変えて分子量2000のポリエチレングリコールを用いた以外は全て合成例−3と同じ処方、同じ条件でグリシジルメタクリレート変性ポリアミドイミド(PAI−4)を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂の対数粘度は0.49dl/g、ガラス転移温度は191℃であった。
【0051】
不飽和基含有ポリアミドイミド樹脂の固形化例
合成例−1〜4で得られたポリアミドイミド樹脂溶液100gをそれぞれポリアミドイミド樹脂溶液の500gのアセトン/水等量混合溶液中に攪拌しながら投入して固形のポリアミドイミド樹脂を得た。得られた固形樹脂をフレッシュなアセトン500g中で3回繰り返し洗浄した後50℃で1日乾燥した。それぞれ
PAI−1から得られた固形樹脂はPAI−11
PAI−2から得られた固形樹脂はPAI−12
PAI−3から得られた固形樹脂はPAI−13
PAI−4から得られた固形樹脂はPAI−14
とした。
【0052】
実施例1〜4(活性光線硬化型樹脂の配合−溶剤型)
前記合成例で得られた不飽和基含有ポリアミドイミド樹脂PAI−1、PAI−2、PAI−3、PAI−4に下記の配合処方−1に記載の配合剤をそれぞれ加え、室温で約1時間攪拌させ各々に対応する硬化性樹脂溶液を得た。それぞれを
実施例1:PAI−1から得られた硬化性樹脂溶液はPAI−21
実施例2:PAI−2から得られた硬化性樹脂溶液はPAI−22
実施例3:PAI−3から得られた硬化性樹脂溶液はPAI−23
実施例4:PAI−4から得られた硬化性樹脂溶液はPAI−24
とした。
(配合処方−1)
PAI−1〜4(30%) 100部
ライトアクリレートPE−3A(共栄社化学製) 20
エポキシエステル70PA(共栄社化学製) 10
イルガキュア184 0.6
BYK354(ビックケミー社製) 1.3
BYK054(ビックケミー社製) 1.3
【0053】
実施例5〜8(活性光線硬化型樹脂の配合処方−無溶剤型)
不飽和基含有ポリアミドイミド固形品、PAI−11,PAI−12,PAI−13,PAI−14各々に下記の配合処方−2に記載の配合剤をそれぞれ加え、50℃で1時間攪拌して対応する無用剤型活性光線硬化型樹脂溶液を作成した。それぞれ
実施例5:PAI−11から得られた硬化性樹脂溶液はPAI−31
実施例6:PAI−12から得られた硬化性樹脂溶液はPAI−32
実施例7:PAI−13から得られた硬化性樹脂溶液はPAI−33
実施例8:PAI−14から得られた硬化性樹脂溶液はPAI−34
とした。
(配合処方−2)
PAI−11〜14 100部
ヒドロキシエチルアクリレート 100
ライトアクリレートPA−3A 70
エポキシエステル70PA 30
イルガキュア184 6
BYK354 3
BYK054 3
【0054】
参考例1(印刷及び硬化処理)
活性光線硬化型樹脂組成物PAI−21〜24及び31〜34の溶液を三井金属鉱業製電解銅箔(1/2Oz:18μm)の処理面に150メッシュスクリーンを用い、ベタ刷り印刷を行い、PAI−21〜24までは100℃で10分、150℃で30分の乾燥を行った後紫外線照射装置で積算光量が500mJ/cmとなるように照射した。また、PAI−31〜34までは印刷後直接同じ条件で紫外線を照射した。
【0055】
比較例1
実施例1における配合処方1において不飽和基含有ポリアミドイミド樹脂溶液を除いた配合液を用いた以外は全て実施例1と同じ条件で配合し、参考例1と同様にして、印刷、紫外線照射をおこなった。
【0056】
比較例2
実施例5における配合処方2において不飽和基含有ポリアミドイミド固形樹脂を除いた配合液を実施例5と同じ条件で配合し、参考例1と同様にして、印刷、紫外線照射をおこなった。
【0057】
実施例1〜8および比較例1,2のそれぞれの結果を表1に示す。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明を採用することにより、電気絶縁性や耐ハンダ性、繰り返し屈曲性に優れ、スクリーン印刷やスピンコート加工が可能であるので、絶縁カバーコート剤、レジストインキ及びこれを用いたプリント回路板、TAB、半導体等に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも不飽和基を有するポリアミドイミド樹脂および分子中に水酸基を有する不飽和化合物を含有することを特徴とする活性光線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
不飽和基を有するポリアミドイミド樹脂を構成するジアミンまたはジイソシアネート成分にイソホロン残基が含有されている請求項1記載の活性光線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
不飽和基を有するポリアミドイミド樹脂を構成する酸成分の一部がカルボキシル基、水酸基、アミノ基のいずれかを有し、分子量が1000以上のアクリロニトリル−ブタジエンポリマー、ポリエステル、ポリアルキレングリコール、ダイマー酸から選ばれる1種または2種以上である請求項1または2記載の活性光線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
分子中に水酸基を有する不飽和化合物が分子中に少なくとも2個以上の不飽和基を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の活性光線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の活性光線硬化型樹脂組成物がγ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルアセテート、シクロヘキサノンから選ばれる1種または2種以上の溶剤に溶解していることを特徴とする活性光線硬化型樹脂溶液。
【請求項6】
請求項1〜4に記載の活性光線硬化型樹脂組成物がヒドロキシエチルアクリレート及び/またはヒドロキシエチルメタクリレートに溶解していることを特徴とする無溶剤型活性光線硬化型樹脂溶液。
【請求項7】
活性光線を用いて硬化させた後の皮膜の破断伸度が10%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の活性光線硬化型樹脂組成物。
【請求項8】
請求項5または6に記載の溶液に無機フィラー、泡消剤、レベリング剤、着色剤のいずれかを配合した活性光線硬化型樹脂インキ。
【請求項9】
請求項5,6、8のいずれかに記載の活性光線硬化型樹脂溶液またはインキをスクリーン印刷またはスピンコートした後、直接または乾燥した後活性光線を照射することにより絶縁被覆したことを特徴とするプリント回路板。
【請求項10】
請求項5,6、8のいずれかに記載の活性光線硬化型樹脂溶液またはインキをスクリーン印刷またはスピンコートした後、直接または乾燥した後活性光線を照射することにより絶縁被覆したことを特徴とする半導体素子。

【公開番号】特開2008−120934(P2008−120934A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307619(P2006−307619)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】