説明

活性剤の送達のための8−(2−ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩

本発明は、8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩、8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩と1つ以上の活性剤とを含有する組成物、並びに8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩と共に活性剤を投与する方法を提供する。本発明の送達剤は、経口、腸内、肺、及び動物に対する他の投与経路のための、活性剤を含む非共有結合性の混合物を形成するために良く適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年5月28日に出願の米国仮特許出願第60/575,320号及び2004年4月16日に出願の米国仮特許出願第60/563,281号の優先権の利益を享受する。これらの各出願を参照によって本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩、8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩と1つ以上の活性剤とを含む組成物、並びに8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩と共に活性剤を投与する方法を提供する。本発明の送達剤は、経口、腸内、肺、及び動物に対する他の投与経路のための、活性剤との非共有結合性の混合物を形成するために良く適している。
【背景技術】
【0003】
活性剤を送達する従来の方法は、通常、生物学的、化学的、及び物理的な障害によって厳しく制限される。典型的には、これらの障害は送達の起こる環境、送達の標的の環境、及び/または標的自体によって課される。生物学的及び化学的な活性剤はその様な障害に対して特に脆弱性である。
【0004】
生物学的活性及び化学的活性を有する薬理学的及び治療的な剤の動物への投与において、身体によって障害が課せられる。物理的な障害の例は、皮膚、脂質二重層、及び各種の器官の膜であり、これらは特定の活性剤には比較的不透過性であるが、循環系のような標的に到達する前に越える必要がある。化学的な障害は胃腸(GI)管におけるpH変化及び消化酵素を含むが、それらに限らない。
【0005】
これらの障害は経口送達システムの設計において特に重要である。多数の生物学的または化学的な活性剤の経口送達は、生物学的、化学的、及び物理的な障害が存在しない場合に、動物に対する投与のために選択される経路であろう。経口投与に典型的に適さない大多数の活性剤は、例えばカルシトニン及びインスリン;ポリサッカリド、及び特にヘパリンを含むが、それに限らないムコポリサッカリド;へパリノイド;抗生物質;並びに他の有機物質のような生物学的または化学的な活性ペプチドである。これらの剤は酸加水分解及び酵素などによって、胃腸管において急速に効果の無いものにされ、または破壊される可能性がある。更に、高分子である剤のサイズ及び構造が吸収を妨げる可能性がある。
【0006】
脆弱性の薬剤を経口投与するための早期の方法は、アジュバント(例えば、レゾルシノール、並びにポリオキシエチレンオレイルエーテル及びn-ヘキサデシルポリエチレンエーテルのような非イオン性の界面活性剤)と共投与して腸壁の透過性を人工的に増大させること、並びに酵素インヒビター(膵臓トリプシンインヒビター、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DFF)、及びトラジロール)と共投与して酵素分解を阻害することに依存している。リポソームもインスリン及びヘパリンのための薬剤送達システムとして記載されている。しかしながら、その様な薬剤送達システムの広範な使用は以下の理由によって妨げられる:(1)前記システムは毒性を有する量のアジュバントまたはインヒビターを必要とする;(2)適切な低分子量の荷、すなわち活性剤が得られない;(3)前記システムは安定性に乏しく、保存に適さない;(4)前記システムは製造が困難である;(5)前記システムは活性剤(荷)を保護することが不可能である;(6)前記システムは活性剤を不利に変化させる;または(7)前記システムは、活性剤を吸収させること、または活性剤の吸収を促進することが不可能である。
【0007】
プロテイノイドマイクロスフェアが使用されて製薬が送達されている。例えば、米国特許第5,401,516号;第5,443,841号、及びRe. 35862参照。更に、特定の修飾アミノ酸が製薬の送達に使用されている。例えば、米国特許第5,629,020号;第5,643,957号;第5,766,633号;第5,776,888号;及び第5,866,536号参照。
【0008】
最近では、結合基を介して修飾アミノ酸またはその誘導体にポリマーを接合して、ポリマー状の送達剤として提供されている。前記修飾ポリマーは任意のポリマーであって良いが、好ましいポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、及びその誘導体を含むが、それらに限らない。例えば、国際公開番号WO00/40203参照。
【0009】
国際公開番号WO01/32130及びWO01/32596は、送達する活性剤として、特定のフェニルアミンカルボン酸化合物及びフェノキシカルボン酸化合物を開示している。国際公開番号WO00/50386もアミン送達剤を開示している。
【0010】
国際特許出願WO03/045306として公開された2002年11月13日に出願の国際特許出願PCT/US02/36552、並びにその優先権を主張した出願、すなわち2001年11月13日に出願の米国仮特許出願第60/350,488号、及び2002年2月15日に出願の米国仮特許出願第60/357,288号は、活性剤を送達するための、フェノキシアミン化合物及び組成物を開示している。上記の各出願を参照によって本明細書に援用する。
【0011】
最近では、幾つかの文献が各種の悪性疾患を治療するための特定のビスホスホネートの使用を議論している。例えば、Brown, et al., Endocr. Relat. Cancer, 2004 11(2):207-24; Major Oncologist, 2002 7:481-491; Tripathy et al., Ann. Oncol. 2004 (5):743-50; Coleman, Oncologist, 2000 5:463-470; Boissier, et al., Cancer Res., 2000 60:2949-2954; 及びJantunen, Eur J Haematol. 2002 69(5-6):257-64参照、これらの全てを参照によって本明細書に援用する。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/575,320号
【特許文献2】米国仮特許出願第60/563,281号
【特許文献3】米国特許第5,401,516号
【特許文献4】米国特許第5,443,841号
【特許文献5】米国特許第5,629,020号
【特許文献6】米国特許第5,643,957号
【特許文献7】米国特許第5,766,633号
【特許文献8】米国特許第5,776,888号
【特許文献9】米国特許第5,866,536号
【特許文献10】WO00/40203
【特許文献11】WO01/32130
【特許文献12】WO01/32596
【特許文献13】WO00/50386
【特許文献14】WO03/045306
【特許文献15】PCT/US02/36552
【特許文献16】米国仮特許出願第60/350,488
【特許文献17】米国仮特許出願第60/357,288
【非特許文献1】Brown, et al., Endocr. Relat. Cancer, 2004 11(2):207-24
【非特許文献2】Major Oncologist, 2002 5:463-470
【非特許文献3】Tripathy et al., Ann. Oncol. 2004 (5):743-50
【非特許文献4】Coleman, Oncologist, 2000 5:463-470
【非特許文献5】Boissier, et al., Cancer Res., 2000 60:2949-2954
【非特許文献6】Jantunen, Eur J Haematol. 2002 69(5-6):257-64
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、容易に調製され、各種の経路によって広範な活性剤を送達することができる単純で安価な送達システムの必要が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、活性剤の送達を容易にする化合物及び組成物を提供する。本発明の送達剤化合物は以下の化学式を有するもの、及びその塩を含む。好ましい送達剤化合物は化合物Iのメシル酸塩である。
【0014】
【化1】

【0015】
これらの送達剤化合物の混合物が使用されても良い。
【0016】
本発明は、少なくとも1つの上記の化学式の送達剤化合物並びに少なくとも1つの活性剤を含む、製薬組成物のような組成物も提供する。これらの組成物は、送達剤化合物なしで活性剤を投与するのと比較して、活性剤の生物学的利用能が増大または改善して選択された生物学的なシステムに活性剤を送達する。
【0017】
前記組成物を含む単位容量形態も提供する。前記単位用量形態は、液体、または固体、例えば錠剤、カプセル剤、または粉末剤若しくはサッシェを含む粒子剤の形態であって良い。
【0018】
他の実施態様は、少なくとも1つの上述の活性化合物及び活性剤を含む組成物を動物に対して投与することによって、動物、特に活性剤を必要とする動物に活性剤を投与する方法である。好ましい投与の経路は経口及び腸内の経路である。
【0019】
更なる他の実施態様は、有効量の本発明の組成物を投与することによって、動物において疾患を治療する、または望まれる生理学的な作用を達成するための方法である。
【0020】
更なる他の実施態様は、少なくとも1つの上記の化学式の送達剤化合物と少なくとも1つの活性剤とを混合することによって、本発明の組成物を調製する方法である。活性剤の混合はHPODを使用しても良い。
【0021】
更なる他の実施態様は、本発明の送達剤化合物とビスホスホネートとを含む製薬組成物の有効量を投与することによって、必要がある動物(例えば、ヒトまたは他の動物)における骨粗鬆症及び/またはパジェット病の治療方法である。本発明の好ましい送達剤は、化合物Iのメシル酸塩である。好ましいビスホスホネートは、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、リセドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート、EB1053、及びYH529を含むが、それらに限らない。より好ましいビスホスホネートはイバンドロネートである。
【0022】
更なる他の実施態様は、本発明の送達剤化合物とビスホスホネートとを含む製薬組成物の有効量を投与することによって、動物(例えば、ヒトまたは他の動物)における破骨細胞を阻害する方法である。本発明の好ましい送達剤は、化合物Iのメシル酸塩である。好ましいビスホスホネートは、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、リセドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート、EB1053、及びYH529を含むが、それらに限らない。より好ましいビスホスホネートはイバンドロネートである。
【0023】
更なる他の実施態様は、(a)8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩より選択される少なくとも1つの化合物、並びに(b)1つ以上のビスホスホネートを含む製薬組成物の有効量を投与することによって、動物(例えば、ヒトまたは他の動物)における悪性疾患を治療する方法である。前記悪性疾患は、乳ガン、前立腺ガン、精巣ガン、腸ガン、膵臓ガン、子宮内膜ガン、肺の小型細胞ガン及び非小型細胞ガン、卵巣ガン、子宮頚ガン、骨髄性白血病、リンパ性白血病、リンパ腫、肝臓ガン、甲状腺ガン、多発性骨髄腫、並びに黒色腫、網膜芽腫、及び軟組織と骨の肉腫、すなわちビタミンDレセプターを発現する腫瘍より好ましく選択される。1つの実施態様によれば、前記ビスホスホネートはイバンドロネートである。
【0024】
更なる他の実施態様は、(a)8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩より選択される少なくとも1つの化合物、並びに(b)1つ以上のビスホスホネートを含む製薬組成物の有効量を投与することによって、動物(例えば、ヒトまたは他の動物)における悪性疾患のカルシウム過剰血症を治療する方法である。1つの実施態様によれば、前記ビスホスホネートはイバンドロネートである。
【0025】
更なる他の実施態様は、(a)8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩より選択される少なくとも1つの化合物、並びに(b)1つ以上のビスホスホネートを含む製薬組成物の有効量を投与することによって、動物(例えば、ヒトまたは他の動物)における溶骨性骨転移を治療する方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本明細書で使用される用語「HPOD」は(示唆されない限り)、8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩を意味する。
【0027】
本明細書で使用される用語「送達剤」は、その結晶多形を含む、本発明のフェノキシアミン化合物を意味する。
【0028】
「剤の有効量」は、ある一定の時間に亘って投与される生物の状態を治療または防止するために効果的な、例えば、望まれる投与間隔の間に治療上の効果を提供する活性剤(例えば、ヘパリン)の量である。効果的な用量は、当業者によって認識されるように、投与の経路、賦形剤の使用、及び状態を治療する他の剤と共に使用する可能性に依存して変化するであろう。
【0029】
用語「治療」、「治療する」、または「治療された」は、疾患(例えば、病気)、疾患の症状、または疾患に対する素因を治療、治癒、緩和、軽減、変化、救済、回復、改善、または作用するための活性剤の投与を意味する。
【0030】
「送達剤の有効量」は、任意の投与の経路(例えば、この適用において議論されるものは、経口(例えば、胃腸管における生物学的な膜を越える)、鼻、肺、真皮、膣、及び/または眼の経路を含むが、それらに限らない)を介する望まれる量の活性剤の吸収を促進する送達剤の量である。
【0031】
本明細書で使用される「約」は、任意の値の10%内、好ましくは5%内、より好ましくは任意の値の1%内を意味する。代替的に、用語「約」は、任意の値が科学的に許容される誤差範囲内であることが可能であることを意味し、利用可能なツールによって与えられ得る測定がどの程度定性的であるかに依存するであろう。
【0032】
送達剤化合物
前記送達剤化合物は、そのフリーベースまたは塩の形態であって良い。適切な塩は、有機及び無機の塩、例えば、アンモニウム、酢酸塩、クエン酸塩、ハロゲン化物(好ましくは塩化水素)、水酸化物、硫酸塩、リン酸塩、アルコキシ、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、カルボン酸塩、メシル酸塩、フマル酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、及びマレイン酸塩を含むが、それらに限らない。好ましい塩はクエン酸塩及びメシル酸塩を含むが、それらに限らない。前記塩はエタノール溶媒和物、及び水和物を含む溶媒和物であっても良い。
【0033】
本発明の送達剤化合物の塩が当該技術分野において既知の方法によって調製されて良い。例えば、クエン酸塩及びメシル酸塩はエタノール、トルエン、及びクエン酸の中で調製されて良い。
【0034】
前記送達剤化合物は再結晶、または単独若しくは連結した1つ以上の固体のクロマトグラフィー支持体上での分画によって精製されて良い。適切な再結晶溶媒システムは、エタノール、水、ヘプタン、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、メタノール、及びテトラヒドロフラン(THF)、及びそれらの混合物を含むが、それらに限らない。分画は、移動相としてメタノール/n-プロパノール混合物を使用して適切なクロマトグラフィーの支持体、例えばアルミナ上で;移動層としてトリフルオロ酢酸/アセトニトリル混合物を使用して逆相クロマトグラフィー上で;並びに移動層として水または適当なバッファーを使用してイオン交換クロマトグラフィー上で実施して良い。陰イオン交換クロマトグラフィーが実施される際には、好ましくは0から500mMの塩化ナトリウム勾配が使用される。
【0035】
前記送達剤化合物は、例えば国際公開番号WO03/045331(参照によって本明細書に援用する)に記載されているように、送達剤に接合されるポリマーを含有して良い。ポリマー状送達剤がポリペプチド及びポリアミノ酸で無いという条件で、例えば、前記送達剤は、-NHC(O)NH-、-C(O)NH-、-NHC(O)、-OOC-、-COO-、-NHC(O)O-、-OC(O)NH-、-CH2NH-NHCH2-、-CH2NHC(O)O-、-OC(O)NHCH2-、-CH2NHCOCH2O-、-OCH2C(O)NHCH2-、-NHC(O)CH2O-、-OCH2C(O)NH-、-NH-、-O-、及び炭素-炭素結合より選択される結合基によって送達剤に接合するポリマーを含有して良い。前記ポリマーは、哺乳動物における使用にとって安全である、交互コポリマー、ブロックコポリマー、及びランダムコポリマーを含むが、それらに限らない。好ましいポリマーは、ポリエチレン;ポリアクリレート;ポリメタクリレート;ポリ(オキシエチレン);ポリ(プロピレン);ポリプロピレングリコール;ポリエチレングリコール(PEG);及びそれらの誘導体、並びにそれらの組み合わせを含むが、それらに限らない。前記ポリマーの分子量は典型的に約100から約200,000ダルトンの範囲である。前記ポリマーの分子量は好ましくは約200から約10,000ダルトンの範囲である。1つの実施態様では、前記ポリマーの分子量は約200から約600ダルトンの範囲であり、より好ましくは約300から約550ダルトンの範囲である。
【0036】
活性剤
本発明における使用のために適切な活性剤は、殺虫剤、薬剤、及び治療剤を含むが、それらに限らない生物学的な活性剤及び化学的な活性剤を含む。適切な活性剤は、酸加水分解及び酵素などによって、胃腸管でより効果を低くされ、無効にされ、または破壊されるものを含む。適切な活性剤として、経口投与の際に吸収を妨害または妨げるサイズ、構造、または電荷のような生理学的な特性を有する高分子の剤も含まれる。
【0037】
例えば、本発明における使用に適切な生物学的または化学的な活性剤は、タンパク質;ポリペプチド;ペプチドホルモン;ポリサッカリド及び特にムコポリサッカリドの混合物;炭化水素;脂質;極性の小さい有機分子(すなわち、500ダルトン以下の分子量を有する極性有機分子);他の有機化合物;並びに特に、それ自体では胃腸管を通過せず(または、投与量の一部のみ通過する)、及び/または胃腸管において酸及び酵素によって化学的に切断されやすい化合物;またはそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限らない。
【0038】
更なる例は、その合成、天然、または組換え型の供給源を含む、以下のヒト増殖ホルモン(hGH)、組換えヒト増殖ホルモン(rhGH)、ウシ増殖ホルモン、及びブタ増殖ホルモンを含む増殖ホルモン;増殖ホルモン放出ホルモン;増殖ホルモン放出因子;α(例えば、インターフェロンアルファコン-1(Brisbane, CAのInterMune, Inc.よりInfergen(登録商標)として入手可能))、β、及びγを含むインターフェロン;インターロイキン-1;インターロイキン-2;亜鉛、ナトリウム、カルシウム、及びアンモニウムを含む対イオンを任意に有する、ブタ、ウシ、ヒト、及びヒト組換えを含むインスリン;IGF-1を含むインスリン様増殖因子;未分画ヘパリンを含むヘパリン、へパリノイド、デルマタン、コンドロイチン、低分子量ヘパリン、極低分子量ヘパリン、及び超低分子量ヘパリン;サーモン、ウナギ、ブタ、及びヒトを含むカルシトニン;エリスロポイエチン;心房性ナトリウム利尿因子;抗原;モノクローナル抗体;ソマトスタチン;プロテアーゼインヒビター;アドレノコルチコトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン;オキシトシン;黄体化ホルモン放出ホルモン;小胞刺激ホルモン;グルコセレブロシダーゼ;トロンボポイエチン;フィルグラスチム;プロスタグランジン;シクロスポリン;バソプレッシン;クロモリンナトリウム(クロモグリク酸ナトリウムまたは2ナトリウム);バンコマイシン;デスフェリオキサミン(DFO);そのフラグメントを含むパラチロイドホルモン(PTH);BIBN-4096BS及び他のカルシトニン遺伝子関連タンパク質アンタゴニストのような抗偏頭痛剤;グルカゴン様ペプチド1(GLP-1);抗生物質、抗バクテリア剤、及び抗真菌剤を含む抗菌剤;ビタミン;これらの化合物のアナログ、フラグメント、ミメティック、またはポリエチレングリコール(PEG)に修飾された誘導体;またはそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限らない。抗生物質の制限されない例としては、ダプトマイシン及びそのアナログのような、グラム陽性菌に作用する、殺菌性の、リポペプチドの、及び環状ペプチド状の抗生物質が含まれる。
【0039】
更なる活性剤は、アミリン及びアミリンアンタゴニスト、並びにペプチドPYY[3-36]に限らないペプチドPYY及びペプチドPYYアゴニストを含む。
【0040】
本発明の活性剤はビスホスホネートを更に含む。本発明のビスホスホネートは、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、リセドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート、EB1053、及びYH529を含むが、それらに限らない。
【0041】
送達システム
本発明の組成物は、1つ以上の本発明の送達剤化合物及び1つ以上の活性剤を含む。1つの実施態様では、1つ以上の送達剤化合物、またはこれらの化合物の塩、またはこれらの化合物若しくは塩がその単位の1つ以上を形成するポリアミノ酸若しくはペプチドが、投与組成物を形成するために、投与の前に活性剤と混合することによって送達剤として使用されて良い。
【0042】
投与組成物は液体の形態であって良い。溶液媒体は、水(例えば、サーモンカルシトニン、パラチロイドホルモン、及びエリスロポイエチンのため)、25%水性プロピレングリコール(例えば、ヘパリンのため)、並びにリン酸バッファー(例えば、rhGHのため)であって良い。他の投与ビヒクルはポリエチレングリコールを含む。投与溶液は、投与の直前に、活性剤の溶液と送達剤化合物の溶液とを混合することによって調製されて良い。代替的に、送達剤化合物(または活性剤)の溶液を固形の活性剤(または送達剤化合物)と混合して良い。送達剤化合物及び活性剤は乾燥粉末として混合されても良い。送達剤化合物及び活性剤は製造過程の間に混合されても良い。
【0043】
投与溶液は、リン酸バッファー塩、クエン酸、グリコール、または他の分散剤のような添加物を任意に含有して良い。好ましくは約0.1と20%(w/v)の間の範囲の濃度で、安定化添加物が溶液に含まれて良い。
【0044】
投与組成物は、代替的に、錠剤、カプセル剤、または粉末剤若しくはサッシェのような粒子剤のような固形であって良い。固体の剤形は固形の活性剤と固形の化合物とを混合することによって調製されて良い。あるいは、固体は、凍結乾燥(lyophilization)、沈殿、結晶化、及び固体分散体のような当該技術分野において既知の方法によって、化合物と活性剤の溶液より得られて良い。
【0045】
本発明の投与組成物は1つ以上の酵素インヒビターを含んでも良い。その様な酵素インヒビターは、アクチノニンまたはエピアクチノニンのような化合物、及びその誘導体を含むが、それらに限らない。他の酵素インヒビターは、アプロチニン(トラジロール)及びBowman-Birkインヒビターを含むが、それらに限らない。
【0046】
本発明の投与組成物に使用される活性剤の量は、標的の指標について特定の活性剤の目的を達成するために効果的な量である。前記組成物における活性剤の量は、典型的な、薬理学的な、生物学的な、治療上の、または化学的な有効量である。しかしながら、単位容量形態は多量の送達剤化合物/活性剤組成物を含有して良く、または分割した薬理学的な、生物学的な、治療上の、若しくは化学的な有効量を含有して良いため、前記組成物における活性剤の量は、前記組成物が単位容量形態で使用される際には、その量より少なくて良い。有効量全体は、全体で有効量の活性剤を含有する追加的な単位で投与されて良い。
【0047】
使用される活性剤の全体量は当業者に既知の方法で決定されて良い。しかしながら、本発明の組成物は活性剤を単独で含有する組成物よりも効率的に活性剤を送達する可能性があるため、従来の単位容量形態若しくは送達システムで使用されるよりも低い量の生物学的または化学的な活性剤が対象に投与されるが、変わらずに同一の血中レベル及び/または治療効果を達成することが可能である。
【0048】
本発明の送達剤化合物は、特に経口、鼻内、舌下、十二指腸内、皮下、頬、腸内、直腸、膣、粘膜、肺、経皮、皮内、非経口、静脈内、筋肉内、及び眼のシステムにおける、生物学的及び化学的な活性剤の投与を容易にし、血液-能の障害を越える。
【0049】
単位容量形態は、賦形剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、可塑剤、着色剤、香味剤、味隠蔽剤、糖、甘味剤、塩、及び水、1,2-プロパンジオール、エタノール、オリーブオイル、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限らない投与ビヒクル、のいずれか1つまたは組み合わせを含んでも良い。
【0050】
本発明の化合物及び組成物は、ニワトリのような鳥類;げっ歯類、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、霊長類、及び特にヒトを含む哺乳動物;及び虫を含むが、それらに限らない任意の動物に対する生物学的または化学的な活性剤の投与に有用である。
【0051】
前記システムは、活性剤が標的とする領域(すなわち、前記送達組成物の活性剤が放出すべき領域)に達する前に、投与された動物の体内で遭遇する条件によって破壊または効果を低くされるような、化学的または生物学的な活性剤の投与に特に有利である。特に、本発明の化合物及び組成物は活性剤の経口投与、特に通常は経口投与不可能である活性剤の経口投与、または送達の改善が望まれる活性剤の経口投与に有用である。
【0052】
前記化合物及び活性剤を含む組成物は、選択された生物学的なシステムに対する活性剤の送達、及び送達剤なしで活性剤を投与するのと比較した際の活性剤の生物学的利用能の増大または改善において有用性を有する。送達は、長期間に亘る、または特定の期間における活性剤の送達(効果的な即時型若しくは遅延型の送達のような)における、または特定の時間に若しくは長期間に亘る活性剤の送達(持続型の送達のような)における活性剤の送達によって改善されて良い。
【0053】
本発明の他の実施態様は、本発明の組成物を投与することによって、動物における、以下の表に記載のような、疾患の治療若しくは防止のためまたは望まれる生理学的な作用を達成するための方法である。好ましくは、望まれる疾患の治療若しくは防止のため、または望まれる生理学的な作用を達成するための組成物の有効量が投与される。活性剤についての具体的な指示は、参照によって本明細書に援用するPhysicians' Desk Reference(54th Ed., 2000, Medical Economics Company, Inc., Montvale, NJ)及び(58th Ed. 2004, Medical Economics Company, Inc., Montvale NJ)の中で確認できる。活性剤についての具体的な指示は、Fauci, AS, et. al., Harrison's Principles of Internal Medicine (14th Ed., 1998, McGraw-Hill Health Professions Division, New York)の中で確認できる。以下の表の活性剤は、それらのアナログ、フラグメント、ミメティック、及びポリエチレングリコールで修飾された誘導体を含み、HPODと共に投与されて、活性剤を単独で投与するのと比較して活性剤の生物学的利用能を改善することが可能である。
【0054】
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【表1D】

【0055】
例えば、本発明の1つの実施態様は、インスリン及び少なくとも1つの本発明の送達剤化合物を投与することによって、糖尿病を有するまたは発症しやすい患者を治療する方法である。上記の表に制限しない例として記載したものを含む他の活性剤が、本発明の送達剤と組み合わせて使用されて良い。
【0056】
投与に続いて、組成物中または単位容量形態に存在する活性剤は循環に取り込まれる。前記剤の生物学的利用能は、既知の血中の薬理学的な活性、例えばヘパリンに誘導される血液凝固時間における増大、またはカルシトニンに誘導される循環するカルシウム濃度における減少を測定することによって容易に評価されて良い。代替的に、活性剤自体の循環するレベルを直接測定して良い。
【0057】
本発明の1つの実施態様は、1つ以上の本発明の送達剤化合物及び1つ以上のビスホスホネートを含む製薬組成物の有効量を投与することによって、骨粗鬆症(例えば、閉経後の女性における骨粗鬆症)に罹っている、治療を必要とする動物(例えばヒト(男性若しくは女性)または他の動物)を治療する方法である。好ましくは、ビスホスホネートを含有する製薬組成物は経口投与される。適切なビスホスホネートの例は、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、リセドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート、EB1053、及びYH529を含むが、それらに限らない。好ましいビスホスホネートはイバンドロネートである。
【0058】
1つの実施態様によれば、骨粗鬆症を治療するためのビスホスホネートの一日の用量は、1回のまたは分割した用量で約0.5mgから約50mg/日の範囲である。他の実施態様によれば、骨粗鬆症の治療のための一日の用量は、約1mgから約20mg/日または約2.5mgから10mg/日の範囲である。
【0059】
他の実施態様は、胸、前立腺、精巣、若しくは腸のガン、または膵臓ガン、子宮内膜ガン、肺の小型細胞ガン及び非小型細胞ガン(扁平上皮、腺ガン、及び大型細胞のタイプを含む)、頭及び首の扁平上皮細胞、膀胱、卵巣、及び子宮頚のガン、骨髄性及びリンパ性白血病、リンパ腫、肝臓ガン、甲状腺ガン、多発性骨髄腫、黒色腫網膜芽腫、並びに軟組織及び骨の肉腫、すなわちビタミンDレセプターを発現する腫瘍といった他の腫瘍のような悪性疾患に罹っている、治療を必要とする動物(例えば、ヒト(男性若しくは女性)または他の動物)を、上述のビスホスホネートを含有する製薬組成物の有効量を投与することによって治療する方法である。例えば、ビスホスホネートを含有する製薬組成物は、乳ガンまたは前立腺ガンのような悪性疾患を治療するために投与されて良い。
【0060】
更なる他の実施態様は、治療を必要とする動物(例えば、ヒト(男性若しくは女性)または他の動物)における溶骨性HCM(骨転移を伴うHCM)または液性HCM(骨格への関与がないHCM)のいずれかを含む、悪性疾患のカルシウム過剰血症(HCM)を、上述のビスホスホネートを含有する製薬組成物の有効量を前記動物に投与することによって治療する方法である。例えば、前記ビスホスホネートを含有する製薬組成物は、乳ガン及び前立腺ガンを有する患者におけるHCMを治療するために投与されて良い。
【0061】
更なる他の実施態様は、治療を必要とする動物(例えば、ヒト(男性若しくは女性)または他の動物)における溶骨性骨転移を、上述のビスホスホネートを含有する製薬組成物の有効量を投与することによって治療する方法である。例えば、ビスホスホネートを含有する製薬組成物は、乳ガンまたは前立腺ガンを有する患者における溶骨性骨転移を治療するために投与されて良い。
【0062】
更なる他の実施態様は、上述のビスホスホネートを含有する製薬組成物の有効量を投与することによって、治療を必要とする動物(例えば、ヒト(男性若しくは女性)または他の動物)における多発性骨髄腫を治療する方法である。
【0063】
更なる他の実施態様は、上述のビスホスホネートを含有する製薬組成物の有効量を投与することによって、多発性骨髄腫に罹っている動物(例えば、ヒト(男性若しくは女性)または他の動物)における溶骨性病変を治療する方法である。例えば、ビスホスホネートを含有する製薬組成物は、多発性骨髄腫に関連する溶骨性病変の発生を減少させ、それにより患者の痛み及び自然に起こる骨折の発生を減少させるために投与されて良い。
【0064】
上述の疾患のいずれか1つの治療及び/または生理学的な作用のために使用されるビスホスホネートの量は、当業者に既知の方法で決定されて良い。しかしながら、本発明の組成物は、本発明の送達剤化合物を含まない組成物よりも効率的にビスホスホネートを送達する可能性があるため、従来の単位容量形態または送達システムで使用されていた量よりも低い量のビスホスホネートが対象に投与されて良いが、その一方で同一の血中レベル及び/または治療効果を変わらずに達成する。
【0065】
1つの実施態様によれば、上述の悪性疾患のいずれかを治療するため、またはそれに関連する状態(悪性疾患のカルシウム過剰血症及び溶骨性骨転移)を治療するためのビスホスホネートの一日の量は、1回または分割した用量で約1mgから約100mg/日の範囲である。他の実施態様によれば、ビスホスホネートの一日の用量は約5mgから約75mg/日、より好ましくは約10mgから50mg/日の範囲である。
【0066】
上述の方法の全てにおいて、ビスホスホネートを含有する製薬組成物は好ましくは経口投与される。
【0067】
製薬組成物
製薬組成物は好ましくは固形であり、固体の剤形に形成されて良い。固体の剤形はカプセル剤、錠剤、または粉末剤若しくはサッシェのような粒子剤であって良い。前記粉末剤は液体と混合されたサッシェの形態で投与されて良い。前記固体剤形は、軟膏、クリーム、または半固体のような局所的投与システムであっても良い。意図される固体の剤形は、持続する放出または調節された放出システムを含んで良い。好ましくは、前記固体の剤形は経口投与のためである。
【0068】
前記粉末剤はカプセルに封入されて良く、または錠剤にプレスされても良い、粉末剤の形態で使用されても良く、または軟膏、クリーム、若しくは半固体に含まれても良い。固体の剤形を形成する方法は当該技術分野においてよく知られている。
【0069】
前記固体の剤形における送達剤の量は送達有効量であり、当業者に既知の方法で任意の特定の化合物、または生物学的若しくは化学的な活性剤について決定されて良い。1つの実施態様では、HPOD:活性剤の重量比は、約1:5または5:1から約300:1の範囲である。より具体的には、HPOD:活性剤の比は、約10:1から約200:1または50:1から約150:1の範囲であって良い。使用されるHPODの量は、活性剤、及び活性剤の投与に関する特定の指示によって変化するであろう。
【0070】
活性剤がイバンドロネートである実施態様では、HPOD:イバンドロネートの比は約5:1から約300:1、または約10:1から約200:1、または50:1から約150:1の範囲であって良い。
【0071】
投与に続いて、前記剤形中の活性剤は循環に取り込まれる。前記活性剤の生物学的利用能は、既知の血中の薬理学的活性、例えばヘパリンに誘導される血液凝固時間における増大、またはカルシトニンに誘導される循環するカルシウム濃度における減少を測定することによって容易に評価される。代替的に、活性剤自体の循環するレベルを直接測定して良い。
【0072】
前記固体の剤形は、賦形剤、担体、希釈剤、安定剤、可塑剤、バインダー、流動促進剤、崩壊剤、充填剤、潤滑剤、可塑剤、着色剤、皮膜形成剤、香味剤、保存剤、投与ビヒクル、界面活性剤、及び前述のいずれかの任意の組み合わせのような製薬学的に許容される添加物を含んで良い。好ましくは、これらの添加物は、参照によって本明細書に援用されるRemington's The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro, A.R., er., 19th edition, 1995, Mack Pub. Co.)に記載されているもののような製薬学的に許容される添加物である。
【0073】
適切なバインダーは、デンプン、ゼラチン、糖(例えば、スクロース、モラセス、及びラクトース)、第二リン酸カルシウム二水和物、天然及び合成のゴム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、及びワックス)を含むが、それらに限らない。
【0074】
適切な流動促進剤は、タルク及び二酸化ケイ素(シリカ)(例えば、フュームドシリカ及びコロイド状の二酸化ケイ素)を含むが、それらに限らない。
【0075】
適切な崩壊剤は、デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、粘土、セルロース(例えば、精製セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、アルギネート、アルファ化トウモロコシデンプン、及びゴム(寒天、グァー、ロカストビーン、カラヤ、ペクチン、及びトラガカントゴム)を含むが、それらに限らない。好ましい崩壊剤はグリコール酸デンプンナトリウムである。
【0076】
適切な充填剤は、デンプン(例えば、コメデンプン)、微結晶性セルロース、ラクトース(例えば、ラクトース一水和物)、スクロース、デキストロース、マンニトール、硫酸カルシウム、硫酸二カルシウム、及び硫酸三カルシウムを含むが、それらに限らない。
【0077】
適切な潤滑剤は、ステアリン酸、ステアレート(例えば、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム)、タルク、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、水素化綿実、及びヒマシ油を含むが、それらに限らない。
【0078】
適切な界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ヒドロキシル化ダイズレクチン、ポリソルベート、及びプロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックコポリマーを含むが、それらに限らない。
【0079】
以下の実施例は制限すること無く本発明を説明する。他に指示されない限り、いかなる部も重量で与えられる。
【0080】
以下に記載した化合物に関するプロトン核磁気共鳴(1H NMR)分析は、他に指示されない限り、溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO-d6)を使用して、300 MHz Brukerスペクトロメーターにおいて実施した。
【実施例】
【0081】
(実施例1)
化合物の調製
1a:8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミンの遊離酸の調製
以下のように、HPODの遊離酸を調製した。適当な出発物質を使用して、その全体における参照によって本明細書に援用される国際公開番号WO00/59863の実施例1に記載の方法によって、HPOD(すなわち、8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン)の遊離酸を調製した。
【0082】
27.5ml(31.4g、157mmol)の2-ベンジルオキシフェノール、80.0ml(118.82g、434mmol)の1,8-ジブロモオクタン、及び100mlのエタノールの溶液を調製することによって、調製した遊離酸を23.18g(168mmol)の炭酸カリウムで処理し、過熱して5.5時間還流した。冷却した反応混合物を20時間、25℃で攪拌し、濾過して、濃縮した。残留物を100mlの2:1ヘキサン/酢酸エチルで希釈して、炭で脱色した。その溶液を濃縮した。この残留物をクーゲルロール蒸留装置(Kugelrohr distillation)によって精製し、98℃及び0.5mmの圧力で過剰な二臭化物を除去した。
【0083】
上記の単離された臭化物(4.32g、11.0mmol)及び2.80ml(3.07g、29.2mmol)のジエタノールアミンを30mlのテトラヒドロフランに溶解し、5mLのトリエチルアミンを使用して処理した。この溶液を過熱して、3日間還流した。最終的なスラリーを25℃に冷却して、25℃で20時間攪拌し、20mlの2N水酸化ナトリウム水溶液を使用して処理した。この混合液を20mlの酢酸エチルを使用して希釈した。層が分かれた。有機相を水(3×30ml)及び塩水(1×30ml)を使用して洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。
【0084】
3.98gの上記の単離されたベンジルエーテルを20mlのエタノール及び20mlの酢酸エチルに溶解し、炭に接触させて0.22gの10%パラジウムを使用して処理して、Parr shakerにおいて58psigの水素下に置いた。20時間に亘って約20psigの水素を使い切った。Celite pad を通過する濾過によって触媒を除去した。濾過したものを濃縮し、真空条件下に20時間置いた。
【0085】
1b:メシル酸8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミンの調製
適当な出発物質を使用して、その全体における参照によって本明細書に援用される国際公開番号WO00/59863の実施例1に記載の方法によって、HPOD(すなわち、8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン)の遊離酸を調製した。
【0086】
27.5ml(31.4g、157mmol)の2-ベンジルオキシフェノール、80.0ml(118.82g、434mmol)の1,8-ジブロモオクタン、及び100mlのエタノールの溶液を23.18g(168mmol)の炭酸カリウムで処理し、過熱して5.5時間還流した。冷却した反応混合物を20時間、25度で攪拌し、濾過して、濃縮した。残留物を100mlの2:1ヘキサン/酢酸エチルで希釈して、炭で脱色した。その溶液を濃縮した。この残留物をクーゲルロール蒸留装置(Kugelrohr distillation)によって精製し、98℃及び0.5mmの圧力で過剰な二臭化物を除去した。
【0087】
上記の単離された臭化物(4.32g、11.0mmol)及び2.80ml(3.07g、29.2mmol)のジエタノールアミンを30mlのテトラヒドロフランに溶解し、5mLのトリエチルアミンを使用して処理した。この溶液を過熱して、3日間還流した。最終的なスラリーを25℃に冷却して、25℃で20時間攪拌し、20mlの2N水酸化ナトリウム水溶液を使用して処理した。この混合液を20mlの酢酸エチルを使用して希釈した。層が分かれた。有機相を水(3×30ml)及び塩水(1×30ml)を使用して洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。
【0088】
3.98gの上記の単離されたベンジルエーテルを20mlのエタノール及び20mlの酢酸エチルに溶解し、炭に接触させて0.22gの10%パラジウムを使用して処理して、Parr shakerにおいて58psigの水素下に置いた。20時間に亘って約20psigの水素を使い切った。Celite pad を通過する濾過によって触媒を除去した。濾過したものを濃縮し、真空条件下に20時間置いた。
【0089】
8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン(13.38g、41.1mmol、上記のように単離した)の溶液及び40mlのメチルt-ブチルエーテルを2.60mL(3.85g、40.1mmol)のメタンスルホン酸を使用して処理した。結果として得られる固体を濾過によって単離し、14.00gのメシル酸8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミンを得た。Karl Fisher: 1.71 % 水; 燃焼分析 (水を含む): %C: 53.21 (計算値), 52.79 (実測値); %H: 8.42 (計算値), 9.40 (実測値); %N: 3.27 (計算値), 3.02 (実測値). 1H NMR 分析: (d6-DMSO): δ 12.4, bs, IH (COOH); δ 8.88, bs, IH (ArOH); δ 6.82, dd, IH (arylH); δ 6.71, td, IH (arylH); δ 6.66, m, 2H (arylH); δ 4.88, bs, 2H (OH); δ 3.86, t, 2H, (CH2 α to ArO); δ 3.68, t, 4H, (CH2's α to OH); δ 3.17, m, 4H, (CH2's α to N); δ 3.08, m, 2H, (CH2 α to N); δ 2.27, s, 3H, CH3SO3); δ 1.62, m, 2H (鎖中のCH2); δl.25, m, 8H (鎖中のCH2's). 13C NMR (d6- DMSO): 146.88, 146.84, 120.90, 119.12, 115.63, 113.75, 68.20, 55.19, 54.44, 53.06, 28.76, 28.56, 28.46, 25.91, 25.35, 22.77.
【0090】
(実施例2)
イバンドロネートの経口吸収
要約
本発明の送達剤化合物と共投与した際の、ビスホスホネートであるイバンドロネートの送達を評価するために、ラットにおいて経口吸収試験を実施した。単独または送達剤化合物と組み合わせてイバンドロネートをSDラットに強制経口投与した。イバンドロネートの定量のために、投与後16時間まで尿サンプルを回収した。データは、イバンドロネートが単独で経口投与された際よりも実質的に高いイバンドロネートのレベルが、本発明の送達剤化合物との共投与に続いて投与の経口経路を介して達成されたことを示す。HPODのメシル酸塩を含有する製剤は、イバンドロネート単独よりも5倍低い用量で、5.7倍高いイバンドロネートの尿中濃度レベルを生じさせた。
【0091】
原料及び方法
投与及び投与溶液
オスのSDラット(n=12/用量群)において単回経口用量におけるイバンドロネートを送達する能力を評価するために、4つの送達剤、カプリル酸N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]一ナトリウム(「SNAC」)、8-(5-フルオロサリチルオイル)アミノカプリル酸(「FSAA」)、メシル酸8-(2- ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン) (メシル酸「HPOD」)、デカン酸 N- (10-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)一ナトリウム (「SNAD」)をスクリーニングした。動物は一晩(16から24時間)絶食させた。投与の4時間後に2時間の間継続して動物に食餌を戻した。水は適宜与えた。
【0092】
投与溶液は投与の日に新しく作製した。200mg/mlの濃度で滅菌水において担体溶液を調製し、5.5から7.5の範囲にpHを調節した。イバンドロネートはHoffmann-La Roche(Nutley, N.J)より原末として供給されていた。5または15mg/mlの保存濃度でイバンドロネートをリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)において調製し、投与の前に適当な担体溶液に添加した。イバンドロネート単独とイバンドロネート/送達剤溶液の投与容量は1ml/kgであった。
【0093】
群の半分の各々にクロスオーバー設計(cross-over design)を使用して2つの異なる用量を使用して連続して投与した。一日目、1つの群ごとに6匹のラットを低用量で処理して、他の6匹のラットに高用量を受けさせた。3日間の排出期間後、事前に低用量で処理した6匹のラットに高用量を受けさせて、事前に高用量で処理した6匹のラットに低用量を受けさせた。各投与後、尿の回収のために、動物を16時間代謝ケージに収容した。投与計画を以下の表1に記載する。
【0094】
【表2】

【0095】
サンプルの回収
代謝ケージに収容された動物より投与後16時間、尿を回収した。試料容器を回収の間、氷水に入れた状態にした。回収した後に、尿サンプルを-20℃で保存した。
【0096】
生物学的分析法
0-2000ng/mlの標準の較正範囲及び2.5ng/mlの測定限界(LOQ)でGC/MS法を使用して、処理されたラット由来の尿中のイバンドロネートレベルを測定した。品質管理(QC)サンプルを一日毎新しく調製して、処理したラット由来のサンプルを使用して分析した。QCサンプルの濃度は7.5、400、及び1600ng/mlであった。
【0097】
統計分析
尿中に排出されたイバンドロネートの量は用量依存的であり、イバンドロネートの用量に対して直線状にプロットされた(直線的な用量反応関係が推測された)。スチューデントのt試験を使用し、対照製剤(送達剤を含まない)に対して、4つの送達剤を含有するイバンドロネート製剤の相対濃度を計算した。
【0098】
結果及び考察
平均の尿中イバンドロネート濃度データを図1に示す。結果は以下の表2にも記載する。図2は、直線状の用量反応を推定して、イバンドロネートまたはイバンドロネート/送達剤を使用する処理後の予測される尿中のイバンドロネート濃度を反映する。図2にプロットされたデータは、図1の平均のデータより推定した。
【0099】
【表3】

【0100】
本発明は、本明細書に記載されている特定の実施態様によってその範囲が制限されるべきものではない。実際に、本明細書に記載のものに加えて本発明の各種の変形例が、これまでの記載と添付の図面より当業者には明らかになるであろう。その様な変形例は、添付の特許請求の範囲に記載の範囲であることが意図される。
【0101】
特許、特許出願、文献、製品に関する文書、及びプロトコルは本願を通じて記載されており、これらの開示は、いかなる目的のためにも、それらの全体における参照によって本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、単独(-◆-)、または4つの送達剤(SNAC ( -■- ), FSAA (-▲-), メシル酸HPOD (-x-), 及び SNAD (-*-))のいずれか1つと共にイバンドロネートを投与した後の平均の尿中イバンドロネート濃度を示す。
【図2】図2は、単独(-◆-)、または4つの送達剤(SNAC ( -■- ), FSAA (-▲-), メシル酸HPOD (-x-), 及び SNAD (-*-))のいずれか1つと共にイバンドロネートを投与した後の尿中イバンドロネート濃度を推定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩より選択される少なくとも1つの化合物と、(b)1つ以上のビスホスホネートとを含む製薬組成物の有効量を、悪性疾患の治療を必要とするヒトに投与する工程を含む、前記ヒトにおける乳ガン、前立腺ガン、精巣ガン、腸ガン、膵臓ガン、子宮内膜ガン、肺の小型細胞ガン及び非小型細胞ガン、卵巣ガン、子宮頚ガン、骨髄性白血病、リンパ性白血病、リンパ腫、肝臓ガン、甲状腺ガン、多発性骨髄腫、黒色腫、網膜芽腫、並びに軟組織及び骨の肉腫より選択される悪性疾患を治療する方法。
【請求項2】
前記成分(a)における化合物が8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミンのメシル酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビスホスホネートが、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、リセドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート、EB1053、YH529、またはそれらの混合物より選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ビスホスホネートがイバンドロネートである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記悪性疾患が乳ガンまたは前立腺ガンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(a)8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩より選択される少なくとも1つの化合物と、(b)1つ以上のビスホスホネートとを含む製薬組成物の有効量を、悪性疾患のカルシウム過剰血症の治療を必要とするヒトに投与する工程を含む、前記ヒトにおける悪性疾患のカルシウム過剰血症を治療する方法。
【請求項7】
前記成分(a)における化合物が8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミンのメシル酸塩である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ビスホスホネートが、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、リセドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート、EB1053、YH529、またはそれらの混合物より選択される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記ビスホスホネートがイバンドロネートである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
(a)8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン及びその塩より選択される少なくとも1つの化合物と、(b)1つ以上のビスホスホネートとを含む製薬組成物の有効量を、溶骨性骨転移の治療を必要とするヒトに投与する工程を含む、前記ヒトにおける溶骨性骨転移を治療する方法。
【請求項11】
前記成分(a)における化合物が8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミンのメシル酸塩である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ビスホスホネートが、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、リセドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート、EB1053、YH529、またはそれらの混合物より選択される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記ビスホスホネートがイバンドロネートである、請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
【化1】

のメシル酸塩。
【請求項15】
(a)活性剤;及び
(b)請求項14に記載のメシル酸塩
を含む組成物。
【請求項16】
前記活性剤がビスホスホネートである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記ビスホスホネートが、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、リセドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート、EB1053、YH529、またはそれらの混合物より選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
請求項15に記載の組成物を投与する工程を含む、活性剤を投与する方法。
【請求項19】
請求項16に記載の組成物を投与する工程を含む、ビスホスホネートを投与する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−532684(P2007−532684A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508630(P2007−508630)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/013174
【国際公開番号】WO2005/115406
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(500139958)エミスフェアー・テクノロジーズ・インク (28)
【Fターム(参考)】