説明

活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置

【課題】処理対象水に加える振動の振動数の範囲を広く、振動エネルギーを大きくし、多量水に短時間で広範囲の振動数を有する大きな振動エネルギーを作用させ易くする。
【解決手段】処理対象水3を入れた容器2と、その処理対象水を吸引して高圧水を放出するポンプ4と、ポンプと接続する高圧送水管7の先端に設置して処理対象水中に収容したノズルと、ノズル近傍の処理対象水中に収容し、ノズルから噴射される高圧噴流水の衝突によって発生する広範囲の振動数を有する振動に共鳴して振動する共鳴振動発生器10とを備える。そして、共鳴振動発生器として筒又はコ字状屈曲板を用い、内部にノズルを収容し、筒又はコ字状屈曲板の端部に増幅用共鳴振動発生器11として筒又は板を連結する、或いは外部にノズルを設置した駒用部材付き増幅用共鳴振動発生板又は発生箱を用いると好ましくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を浄化すると共に、その水を生物の生理に適した優れた水に変えることのできる活性水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水は生物にとって不可欠であり、良い水の第1条件は有害成分が含まれていないことである。又、近年では生物の生理に適した優れた水として、クラスター(分子集団)の小さい水が注目されている。そして、クラスターの小さな水を得るため、(1)
電解槽で水を電気分解する、(2)セラミックスから放射される遠赤外線を水に作用させる、(3)超音波を照射して水を振動させる等の方法が行われている。
【0003】
このようなクラスターの小さな水を、水を振動させることにより得る一例として、パイプ水路内を流れる水に高圧噴流水を注入し、更にその水路内を流れる下流側の水に磁場を作用させる方法が提示されている。
【特許文献1】特開2006−181449
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、パイプ水路内を流れる水に高圧噴流水を注入して衝突させ、流水を振動させるだけでは振動エネルギーが小さく不十分であり、多量の水を処理する場合、その多量水に短時間で振動エネルギーを作用させ難くいという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、処理対象水に加える振動の振動数の範囲を広く、振動エネルギーを大きくし、多量の水を処理する場合でも、短時間で広範囲の振動数を有する大きな振動エネルギーを作用させて処理することができる活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置は、処理対象水を蓄えた容器と、その容器から処理対象水を吸引して高圧水を放出するポンプと、そのポンプと接続する高圧送水管の先端に設置して、容器の処理対象水中に収容したノズルと、そのノズル近傍の処理対象水中に収容し、ノズルから噴射される高圧噴流水の衝突によって発生する広範囲の振動数を有する振動に共鳴して振動する共鳴振動発生器とを備える。
【0007】
そして、上記ノズルを1個又は複数個用い、ノズルが1個の場合にはノズルから噴射される高圧噴流水が至近距離で共鳴振動発生器に衝突するように共鳴振動発生器を設置し、ノズルが複数個の場合には各ノズルから噴射される高圧噴流水同士が至近距離で衝突し合うようにノズルを配設して用いると好ましくなる。
【0008】
又、上記共鳴振動発生器として筒又はコ字状屈曲板を用い、その内部空間内にノズルを収容するとよい。
【0009】
又、上記筒の一端部又は両端部に増幅用共鳴振動発生器として筒を連結し、或いはコ字状屈曲板の一端部又は両端部に増幅用共鳴振動発生器として板を連結するとよい。
【0010】
又、上記共鳴振動発生器として駒用部材を用い、更に増幅用共鳴振動発生板を1枚又は2枚以上用いて、増幅用共鳴振動発生板を1枚用いる場合には、その増幅用共鳴振動発生板の片面中央部に駒用部材を突設してなる駒用部材付き増幅用共鳴振動発生板を備え、増幅用共鳴振動発生板を2枚以上用いる場合には、その増幅用共鳴振動発生板を互いに離して重ね合せ、その隣接する2枚の増幅用共鳴振動発生板の各中央部を両板間に介在する魂柱たる柱状体の両端面との夫々当接箇所にし、その両板の縁部を部材を用いて複数箇所結合して増幅用共鳴振動発生箱を形成し、その共鳴振動発生箱の一方の端に位置する増幅用共鳴振動発生板の外面中央部に駒用部材を突設してなる駒用部材付き増幅用共鳴振動発生箱を備えるとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置は、容器に蓄えた処理対象水を吸引し高圧水を放出するポンプにより、処理対象水を循環させ、その容器内の処理対象水をノズルから噴射される高圧噴流水の衝突によって発生する広範囲の振動数を有する振動で振動させると共に、その振動が伝わる共鳴振動発生器の振動により更に振動させることができる。このため、容器内の処理対象水に対し、広範囲の振動数を有する大きな振動エネルギーが作用する。それ故、多量の水を短時間で処理して、有害物質の少ない水に浄化し、更に生物の生理に適した優れた水にすることができる。
【0012】
そして、上記1個又は複数個のノズルと共鳴振動発生器とをいずれも至近距離に配置することにより、1個のノズルから噴射される高圧噴流水を至近距離にある共鳴振動発生器に衝突させ、その衝突により発生する広範囲の振動数を有する振動を共鳴振動発生器に伝えて共鳴振動を良好に発生させことができる。或いは、複数のノズルから噴射される高圧噴流水同士を至近距離で衝突させて、その衝突により広範囲の振動数を有する振動を発生させ、更にその振動を至近距離にある共鳴振動発生器に伝えて共鳴振動を良好に発生させることができる。
【0013】
又、上記共鳴振動発生器として筒又はコ字状屈曲板を用い、その内部空間内にノズルを収容することにより、高圧噴流水の衝突又は高圧噴流水同士の衝突により発生する広範囲の振動数を有する振動を、筒又はコ字状屈曲板に伝えると共に、その内部空間内で反射させて伝え、共鳴振動を発生させて、振動エネルギーを大きくできる。
【0014】
又、上記筒の一端部又は両端部に増幅用共鳴振動発生器として筒を連結し、或いはコ字状屈曲板の一端部又は両端部に増幅用共鳴振動発生器として板を連結することにより、広範囲の振動数を有する共鳴振動を更に連結した増幅用共鳴振動発生器である筒又は板に伝えると共に、筒の内部空間内又は板間の空間内で反射させて伝えて、共鳴振動を増幅し、振動エネルギーを一層大きくできる。
【0015】
又、上記共鳴振動発生器として駒用部材を用い、更に増幅用共鳴振動発生板を1枚又は2枚以上用いて、増幅用共鳴振動発生板を1枚用いる場合には、その増幅用共鳴振動発生板の片面中央部に駒用部材を突設してなる駒用部材付き増幅用共鳴振動発生板を備えることにより、高圧噴流水の衝突によって駒用部材に伝わる共鳴振動を、その駒用部材が結合する増幅用共鳴振動発生板に伝えて共鳴振動を増幅し、振動エネルギーを大きくできる。又、増幅用共鳴振動発生板を2枚以上用いる場合には、その増幅用共鳴振動発生板を互いに離して重ね合せ、その隣接する2枚の増幅用共鳴振動発生板の各中央部を両板間に介在する魂柱たる柱状体の両端面との夫々当接箇所にし、その両板の縁部を部材を用いて複数箇所結合して増幅用共鳴振動発生箱を形成し、その共鳴振動発生箱の一方の端に位置する増幅用共鳴振動発生板の外面中央部に駒用部材を突設してなる駒用部材付き増幅用共鳴振動発生箱を備えることにより、高圧噴流水の衝突によって駒用部材に伝わる共鳴振動を、その駒用部材が結合する一方の増幅用共鳴振動発生板から魂柱たる柱状体を介して他方の増幅用共鳴振動発生板へと順次遠方に伝えると共に、隣接する増幅用共鳴振動発生板間の反射によっても伝えて行き、共鳴振動を増幅して、振動エネルギーを大きくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付の図1〜5を参照して、本発明の実施の最良形態を説明する。
図1は本発明を適用した第1実施形態による活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置の概略構成を示す図である。この活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置1は、容器2として例えば発泡スチロール製の魚箱を用い、そこに処理対象水3として例えば海水を入れる。そして、容器2の外部にポンプ4を設置し、そのポンプ4と容器2内の底壁近傍の端に収容したごみ除去用網付吸水口5とをホース等の吸水管6を介して接続する。すると、ポンプ4により処理対象水3を吸引して高圧水を放出できる。そこで、ポンプ4にホース等を高圧送水管7として接続し、その高圧送水管7の先端に高圧水を複数に分岐するための分岐管8として2分岐管を設置する。
【0017】
そして、図2に示すように2分岐管8の各先端にノズル9(9a、9b)を夫々設置し、その両ノズル9を容器2の処理対象水中央部に収容する。又、その両ノズル9近傍の処理対象水中に、更に各ノズル9から噴射される高圧噴流水同士の衝突により発生する広範囲の振動数を有する振動に共鳴して振動する共鳴振動発生器10として、例えばステンレス等の金属製円筒を収容する。その際、共鳴振動発生円筒10として、例えば長さが39mm、内径が67mm、肉厚が2mmの円筒を用い、その円筒10の周囲壁中央部に相対する貫通穴を夫々設け、その両貫通穴に2分岐管8の両先端部を外側から夫々挿通させて固定し、円筒10の内部空間内中央付近に両ノズル9の先端同士を50mm離し対峙させて設置する。なお、各ノズル9から噴射される高圧噴流水の流量、圧力等の調整は、ポンプ4の放出圧力、ノズル9の穴内部構造、穴開口面積等を変えることによって行なう。
【0018】
又、この本体たる共鳴振動発生円筒10に対し、その両端部に増幅用共鳴振動発生器11(11a、11b)として、例えば長さが235mm、内径が75mm、肉厚が2mmのステンレス製円筒を夫々連結する。その際、共鳴振動発生円筒10の両端部に、増幅用共鳴振動発生円筒11を10mmの長さ分夫々外嵌し、各円筒10、11の周囲壁に沿って4箇所ずつ分散して設けた止め穴12、13にボルト14を夫々止めて固定する。なお、円筒10の止め穴は雌ねじ穴である。
【0019】
このような活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置1は、使用時にポンプ4を作動させると、容器2に蓄えた処理対象水3を吸引し高圧水にして、再び容器2に戻すことにより、処理対象水3を矢印方向に移動し、良好に循環させることができる。その際、容器2内の処理対象水中に、ポンプ4と高圧送水管7、2分岐管8等を介して接続し、高圧噴流水を噴射する2個のノズル9を収容し、その両ノズル9を至近距離離して対峙させておくと、処理対象水を両高圧噴流水同士の衝突等により発生する広範囲の振動数を有する振動により振動させることができる。しかも、両ノズル9は本体たる共鳴振動発生円筒10の内部空間内中央付近に収容されており、更にその共鳴振動発生円筒10の両端部に増幅用共鳴振動発生円筒11が夫々連結されているので、両高圧噴流水同士の衝突により発生した広範囲の振動数を有する振動が、共鳴振動発生円筒10、両増幅用共鳴振動発生円筒11へと伝わると共に内部空間内で反射して伝わり、それ等の円筒10、11から発生する共鳴振動が更に処理対象水を良好に振動させる。このため、容器2内の処理対象水3に対し、広範囲の振動数を有する大きな振動エネルギーが作用する。それ故、多量の水を処理する場合でも、その多量水に短時間で振動数の高い大きな振動エネルギーを作用させ易い。
【0020】
そこで、容器2に駿河湾の由比浜で2度、時間を異ならせて採取した海水を80リットル入れ、その海水をポンプ4で吸引して、5MPaの圧力で高圧水を放出して循環させる場合(実施例1)と、9MPaの圧力で高圧水を放出して循環させる場合(実施例2)につき、海水中に含まれる亜硝酸性窒素(NO)硝酸性窒素(NO)、アンモニア性窒素(NH)等の有害物質量(単位:mg/l)の経時変化を表1、表2に夫々示す。なお、アンモニア性窒素が一番毒性が大きい。
【実施例1】
【0021】
【表1】

なお、NO−N、NH−Nは亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素が夫々単独であることを示す表記方法である。
【実施例2】
【0022】
【表2】

それ故、多量の水を短時間で有害物質の少ない水に浄化することができる。なお、除去した有害物質は容器2の内壁に固形物となって付着し、或いはガスとなって空気中に発散する。
【0023】
次に、容器2に実施例2の方法により浄化した海水を入れ、そこに駿河湾で取れた多数の桜エビを体積にして5リットル分、みかん用網袋に入れ密集した状態にして放し、エビが死ぬまでの時間を調査した。すると、大多数のエビは16時間程生存していた。なお、桜エビを由比浜で採取した処理なしの海水に密集した状態にして放しておくと、通常30分程で全て死んでしまう。この結果、由比浜で採取した少し汚れた海水を装置1を用いて処理すると、多量の海水を短時間で有害物質の少ない水に浄化できるばかりでなく、その処理水に生物の生理に適した優れた水として、生物活性を上げる効果が認められる。
【0024】
このような活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置1を用いると、汚れた海水ばかりでなく、汚れた淡水、汽水等も同様に処理できて活性水にできる。それ故、魚介類養殖用容器を洗剤で洗っても、水に溶けた洗剤の成分を取り除けるので、魚介類の次亜塩素酸中毒をなくすことができる。又、酒、酢、味噌等の製造に用いた醸造樽の清掃にも適している。当然、汚れた水の処理ばかりでなく、清浄水を用いると、その清浄水を一層活性化できる。
【0025】
又、このような装置1の高圧送水管7に、更にバルブ15、16等を介して、純酸素ガス供給管17、エアー又はオゾンガス供給管18、その他のガス供給管等を適宜接続すると、処理水中に酸素、オゾン、その他のガスを適宜溶かして含ませることができる。そして、水中に酸素を多量に含ませると、魚介類の養殖一般に適し、活魚、活エビの保存、輸送等にも適した優れた生理的条件を有する活性水を生成できる。又、オゾンを含ませると、強力な殺菌、消臭、制菌等の作用を有する活性水が得られる。
【0026】
図3は本発明を適用した第2実施形態による活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置の要部構造を示す図である。この装置では、2分岐管8を設置する共鳴振動発生器19として、例えばステンレス製の長さが300mm、幅が50mm、板厚が2mmのコ字状屈曲平板を用いる。そして、その共鳴振動発生屈曲平板19の中央部を構成する長さが200mmの基板20の中央部に、所定距離例えば100mm離して貫通穴を夫々設け、その両貫通穴に2分岐管8の両先端部を外側から夫々挿通させて固定し、その屈曲平板19の内部空間内中央付近に両ノズル9(9a、9b)の先端同士を50mm離して対峙させて設置する。
【0027】
又、この本体たる共鳴振動発生屈曲平板19に対し、その両端部(両端板)21(21a、21b)に増幅用共鳴振動発生平板22(22a、22b)として、例えばステンレス製の長さが150mm、幅が50mm、板厚が2mmの長方形平板を夫々連結する。その際、共鳴振動発生屈曲平板19の両端板21を基板20とほぼ直角方向に屈曲させて突出し、その両端板21の外側に増幅用共鳴振動発生平板22の一端部側を50mmの長さ分夫々重ね合せ、その重ね合せ箇所に5箇所ずつ分散して設けておいた止め穴23、24にボルト(図示なし)を止めて夫々固定する。なお、両端板21に設ける止め穴23は雌ねじ穴である。
【0028】
このようにして、共鳴振動発生屈曲平板19の内部空間内に両ノズル9を対峙させて設置しておくと、使用時にそれ等の両ノズル9、共鳴振動発生屈曲平板19、両増幅用共鳴振動発生平板22等を容器の処理対象水中に収容し、第1実施形態の場合と同様にして装置を作動できる。このため、処理対象水をやはり両高圧噴流水同士の衝突により発生する広範囲の振動数を有する振動により振動させることができる。そして、その振動が、共鳴振動発生屈曲平板19、両増幅用共鳴振動発生平板22に伝わると共に更にその内部空間内で反射して伝わって、それ等の屈曲平板19、平板22から共鳴振動が発生し、その共鳴振動により処理対象水を更に振動させることができる。すると、容器内の処理対象水に対し、広範囲の振動数を有する大きな振動エネルギーが作用する。それ故、多量の水を処理する場合でも、その多量水を短時間で処理し易い。
【0029】
上記実施の形態では高圧送水管7の先端に2分岐管8を接続し、2個のノズル9を対峙させ、高圧噴流水を至近距離離して衝突させる場合について説明したが、分岐管8を用いずに高圧送水管7にノズル9を1個接続して用いてもよい。その際には、1個のノズルから噴射する高圧噴流水を至近距離にある共鳴振動発生器に衝突させて広範囲の振動数を有する振動を発生させ、更にその振動に基づき共鳴振動を発生させる。又、分岐管として3分岐以上の多数分岐管を用い、多数のノズルから噴射される高圧噴流水同士を至近距離で衝突させて広範囲の振動数を有する振動を発生させることもできる。
【0030】
又、上記実施の形態では共鳴振動発生筒10又は共鳴振動発生屈曲平板19の両端部に増幅用共鳴振動発生筒11又は増幅用共鳴振動発生平板22を夫々連結する場合について説明したが、共鳴振動発生筒10又は共鳴振動発生屈曲平板19の一端部のみに増幅用共鳴振動発生筒11又は増幅用共鳴振動発生平板22を連結してもよい。その際、共鳴振動発生屈曲平板19の一端部のみに増幅用共鳴振動発生平板22を連結すると、共鳴振動発生屈曲平板19により発生した共鳴振動が増幅用共鳴振動発生平板22に伝わり増幅される。なお、共鳴振動発生筒10、増幅用共鳴振動発生筒11、共鳴振動発生屈曲平板19、増幅用共鳴振動発生平板22等には、プラスチック、ガラス等、金属以外の材料を使用することもできる。
【0031】
図4は本発明を適用した第3実施形態による活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置の駒用部材付き増幅用共鳴振動発生箱を示す斜視図である。この駒用部材付き増幅用共鳴振動発生箱25を製作する際、共鳴振動発生器26となる駒用部材として、例えば面積の小さな長方形状の共鳴振動発生平板を1枚用いる。又、増幅用共鳴振動発生箱25を形成する部材として、例えばその共鳴振動発生平板より面積の大きな長方形状の増幅用共鳴振動発生平板27を2枚用いる。そして、共鳴振動発生平板26の一方の長側面に、面積の小さな正方形状で、4個のねじ穴を有する固定用平板28を固着する。すると、全体を断面T字状に形成できる。そこで、一枚の増幅用共鳴振動発生平板27aの一方の主面中央部に固定用平板28をねじ29で止めて、共鳴振動発生平板26を突設する。
【0032】
次に、その増幅用共鳴振動発生平板27aの他方の主面側に他の増幅用共鳴振動発生平板29bを重ね合せ、その両増幅用共鳴振動発生平板27間に魂柱たる円柱30を介在し、その両板27の相対する各中央部を円柱30の両端面との夫々当接箇所にして、両板27を円柱30の長さより若干短く離して結合する。その際、両板27の各隅部に設けた貫通穴にねじ棒31(31a、31b)を夫々嵌め、ナット32を用いて結合する。すると、バイオリンの共鳴箱と類似構造を有する箱状で、4側面が開いた駒用部材26付きの増幅用共鳴振動発生箱25が完成する。なお、両増幅用共鳴振動発生平板27の縁部を板材を適宜介在して結合することにより増幅用共鳴振動発生箱を形成し、その箱の側面に1箇所又は複数箇所開口を設けることもできる。使用時、増幅用共鳴振動発生板27aの外面中央部に突設した駒たる共鳴振動発生平板26に対し、1個のノズルから噴射される高圧噴流水を衝突させ、又は複数のノズルから噴射される高圧噴流水同士をその近くで衝突させる。すると、広範囲の振動数を有する振動が発生し、その振動に共鳴して共鳴振動発生平板26が振動する。そして、その共鳴振動が駒たる共鳴振動発生平板26が結合する一方の増幅用共鳴振動発生平板27aから円柱30を介して他方の増幅用共鳴振動発生平板27bへと順次遠方に伝えられると共に、隣接する増幅用共鳴振動発生平板27間の反射によっても伝えられて行く。それ故、広範囲の振動数を有する共鳴振動を増幅して、振動エネルギーを大きくできる。なお、駒用部材として、柱状体、筒状体、櫛状体等を用いることもできる。
【0033】
又、増幅用共鳴振動発生平板27を3枚以上に増設する場合には、図5の一点鎖線で示すように、魂柱たる円柱30、増幅用共鳴振動発生平板27等を必要数増加して、同様の増幅用共鳴振動発生構造を追加する。なお、各ねじ棒31は追加する分の長さを有するものを用いる。すると、3枚以上の増幅用共鳴振動発生平板27を互いに離して全て重ね合せ、その隣接する2枚の増幅用共鳴振動発生平板27間にいずれも魂柱たる円柱30が介在し、駒たる共鳴振動発生平板26が一方の端に位置する増幅用共鳴振動発生板27aの外面中央部から突出した多層構造(図5では3層構造を示している)の増幅用共鳴振動発生箱33を製作できる。なお、駒たる共鳴振動発生板26に対し、魂柱たる柱状体30等は真下より夫々若干位置をずらして配置する。
【0034】
なお、上記の第3実施形態による活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置では、増幅用共鳴振動発生平板27を2枚以上用いる場合について説明したが、増幅用共鳴振動発生平板を1枚用い、その増幅用共鳴振動発生平板の一主面(片面)中央部に駒用部材を突設した駒用部材付き増幅用共鳴振動発生平板を備えることによっても、高圧噴流水の衝突によって駒用部材に伝わる共鳴振動を、その駒用部材が結合する増幅用共鳴振動発生平板に伝えて共鳴振動を増幅し、省エネルギーを大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を適用した第1実施形態による活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置の概略構成を示す図である。
【図2】同活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置の要部構造を示す図である。
【図3】本発明を適用した第2実施形態による活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置の要部構造を示す図である。
【図4】本発明を適用した第3実施形態による活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置に用いる駒用部材付き増幅用共鳴振動発生箱を示す斜視図である。
【図5】同駒用部材付き増幅用共鳴振動発生箱の増設可能性を示す側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1…活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置 2…容器 3…処理対象水 4…ポンプ 5…吸水口 6…吸水管 7…高圧送水管 8…2分岐管 9…ノズル 10…共鳴振動発生円筒 11…増幅用共鳴振動発生円筒 12、13、23、24…ねじ穴 14…ボルト 15、16…バルブ 17、18…供給管 19…共鳴振動発生屈曲平板 20…基板 21…端板 22、27…増幅用共鳴振動発生平板 25、33…増幅用共鳴振動発生箱 26…駒たる共鳴振動発生平板 28…固定用平板 29…ねじ 30…魂柱たる円柱 31…ねじ棒 32…ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象水を蓄えた容器と、その容器から処理対象水を吸引して高圧水を放出するポンプと、そのポンプと接続する高圧送水管の先端に設置して、容器の処理対象水中に収容したノズルと、そのノズル近傍の処理対象水中に収容し、ノズルから噴射される高圧噴流水の衝突により発生する広範囲の振動数を有する振動に共鳴して振動する共鳴振動発生器とを備えることを特徴とする活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置。
【請求項2】
ノズルを1個又は複数個用い、ノズルが1個の場合にはノズルから噴射される高圧噴流水が至近距離で共鳴振動発生器に衝突するように共鳴振動発生器を設置し、ノズルが複数個の場合には各ノズルから噴射される高圧噴流水同士が至近距離で衝突し合うようにノズルを配設することを特徴とする請求項1記載の活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置。
【請求項3】
共鳴振動発生器として筒又はコ字状屈曲板を用い、その内部空間内にノズルを収容することを特徴とする請求項1又は2記載の活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置。
【請求項4】
筒の一端部又は両端部に増幅用共鳴振動発生器として筒を連結し、或いはコ字状屈曲板の一端部又は両端部に増幅用共鳴振動発生器として板を連結することを特徴とする請求項3記載の活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置。
【請求項5】
共鳴振動発生器として駒用部材を用い、更に増幅用共鳴振動発生板を1枚又は2枚以上用いて、増幅用共鳴振動発生板を1枚用いる場合には、その増幅用共鳴振動発生板の片面中央部に駒用部材を突設してなる駒用部材付き増幅用共鳴振動発生板を備え、増幅用共鳴振動発生板を2枚以上用いる場合には、その増幅用共鳴振動発生板を互いに離して重ね合せ、その隣接する2枚の増幅用共鳴振動発生板の各中央部を両板間に介在する魂柱たる柱状体の両端面との夫々当接箇所にし、その両板の縁部を部材を用いて複数箇所結合して増幅用共鳴振動発生箱を形成し、その共鳴振動発生箱の一方の端に位置する増幅用共鳴振動発生板の外面中央部に駒用部材を突設してなる駒用部材付き増幅用共鳴振動発生箱を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の活性水生成用高圧噴流水共鳴振動発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−39670(P2009−39670A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208706(P2007−208706)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(507272533)
【出願人】(500270572)株式会社麻場 (8)
【Fターム(参考)】