説明

活性水素化合物含有組成物及びポリウレタンエラストマーの製造方法

【課題】可使時間と硬化時間が従来の鉛触媒と同等であると共にそのバランスに優れ、低コストであって形成されるポリウレタンに発泡の起こりにくい触媒を使用したポリウレタンエラストマー用の活性水素化合物含有組成物並びに2液硬化型のポリウレタンエラストマーの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリイソシアネート成分と混合、反応させてポリウレタンエラストマーとする活性水素化合物含有組成物であって、活性水素化合物、及び触媒として有機カルボン酸としてナフテン酸を含有する活性水素化合物含有組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリイソシアネート成分と混合してポリウレタンエラストマーを形成する場合の反応硬化性に優れ、鉛などの重金属を含有せず、また金属含量を低減した硬化剤成分である活性水素化合物含有組成物及び該活性水素化合物含有組成物を使用するポリウレタンエラストマーの製造方法に関する。本発明の活性水素化合物含有組成物及びポリウレタンエラストマーの製造方法は、常温硬化のポリウレタン、とりわけコンクリート型材用ポリウレタンに適したものである。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンエラストマーは優れた可とう性と弾性を有し、耐摩耗性、機械的強度、接着性にも優れていることから防水材、床材、シーリング材、弾性舗装材やそのバインダー、コンクリート型材等の建材関連用途に用いられている。係るポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネート成分からなる主剤と活性水素化合物を主成分とする組成物である硬化剤成分とを反応させて得られ、ポリイソシアネート成分としては、平均官能基数が2〜3.5の末端水酸基のポリオール化合物とジイソシアネート化合物をイソシアネート基過剰で反応させた分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーが使用される。
【0003】
上記建材関連用途に利用されている2液硬化型ポリウレタンエラストマー原料の硬化剤中のイソシアネートとの反応成分としては、平均官能基数が2〜3.5のポリオール化合物を主成分としてメチレン−ビス(o−クロルアニリン)(MBOCA)等の芳香族ジアミン、並びに必要に応じて3官能以上のポリオール化合物が使用される。係る硬化剤たる活性水素化合物含有組成物には、特に冬場の低温環境下におけるポリオール化合物と主剤のイソシアネート基との反応を促進して短時間で硬化反応を終了させるために触媒が添加される。このような触媒には、ポリイソシアネート成分と硬化剤を混合した反応性組成物を速く硬化させる作用と反応性組成物を所定の形状の型内に充填させる等の加工に必要な十分な可使時間を持たせる作用とのバランスの良さが求められる。係る触媒として、従来は可使時間と硬化性のバランスに優れた脂肪酸鉛塩が使用されていたが、近年、環境の問題から鉛化合物の使用が排除されることが要請され、ウレタン化触媒として周知の第3級アミンの他に、錫化合物、ビスマス化合物が触媒として検討されている(特許文献1〜3など)。
【0004】
しかし、第3級アミン触媒を使用すると得られるポリウレタンに気泡が入りやすく、特に高温高湿環境で使用して硬化させると発泡が起こりやすいという問題を有する。また、ビスマス化合物はコストが高く、低コスト化の要請に対応することが難しいという問題を有する。
【0005】
2液硬化型ポリウレタン弾性体用の他の触媒に関する技術としては、コンクリートに塗装する防水塗料の触媒として有機カルボン酸を使用する技術(特許文献4)、2液型ポリウレタンシーリング材の硬化触媒として有機カルボン酸金属塩を使用し,該硬化触媒の安定剤として有機カルボン酸を使用する技術(特許文献5)などが公知である。
【0006】
【特許文献1】特開2001−89549号公報
【特許文献2】特開2003−40967号公報
【特許文献3】特開2007−308656号公報
【特許文献4】特許第4326676号公報
【特許文献5】特開2001−64624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コンクリート型材用のポリウレタン弾性樹脂の場合、イソシアネート成分と硬化剤を混合した後15〜24時間後に、引き伸ばして原型を脱型するために、硬化したポリウレタンエラストマーが十分な強度を有している必要があり、また該ポリウレタン樹脂型に生コンクリートを流し込んでコンクリート成形体を製造した場合に該成形体の表面が汚れないことが求められる。しかるに特許文献4,5のような触媒をコンクリート型枠用ポリウレタン樹脂の触媒として使用すると有機酸成分がポリウレタン樹脂製の型枠の表面にブルーミングを発生し、該型枠を使用して成形したコンクリート成形体の表面を汚染するという問題を有することが判明した。
【0008】
本発明は,上記の公知技術の問題点に鑑みて,可使時間と硬化時間が従来の鉛触媒と同等であると共にそのバランスに優れ、低コストであって形成されるポリウレタンに発泡が起こりにくく、表面にブルーミングしない触媒を使用したポリウレタンエラストマー用の活性水素化合物含有組成物並びに2液硬化型のポリウレタンエラストマーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の活性水素化合物含有組成物は、ポリイソシアネート成分と混合、反応させてポリウレタンエラストマーとするものであり、
活性水素化合物、及び触媒を含有し、
前記触媒が金属化合物と有機カルボン酸としてナフテン酸を含有することを特徴とする。
【0010】
上記活性水素化合物含有組成物とポリイソシアネート成分と混合した反応性組成物は可使時間と硬化時間が従来の鉛触媒と同等であると共にそのバランスに優れ、低コストであって、形成されるポリウレタンは発泡が起こりにくく、かつ表面にブルーミングが発生しないものである。
【0011】
本発明のポリウレタンエラストマーの製造方法は、ポリイソシアネート成分と活性水素化合物含有組成物とを混合、反応させる工程を有し、
前記活性水素化合物含有組成物が、活性水素化合物、及び触媒を含有し、
前記触媒が金属化合物と有機カルボン酸としてナフテン酸を含有することを特徴とする。
【0012】
上記構成の製造方法によれば、活性水素化合物含有組成物とポリイソシアネート成分と混合した反応性組成物は可使時間と硬化時間が従来の鉛触媒を使用した場合と同等であると共にそのバランスに優れ、低コストであって、形成されるポリウレタンに発泡が起こりにくく、表面にブルーミングが発生しないポリウレタンを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の活性水素化合物含有組成物及びポリウレタンエラストマーの製造方法は、常温硬化に適したものであり、イソシアネート成分と硬化剤である活性水素化合物含有組成物とを混合した硬化性組成物の常温(25℃)での可使時間は30分以上60分以下、より好ましくは40±10分である。また硬化後のポリウレタン樹脂の原型脱型における強度については、2液混合17〜24時間後に9mm厚さのシートを180度折り曲げても亀裂発生をしないものであり、可使時間と硬化速度のバランスが良好である。
【0014】
硬化触媒成分である金属化合物を構成する金属としては、ビスマス、亜鉛、鉄、錫、コバルト等が例示されるが、亜鉛であることが反応速度、コスト、低毒性の観点より好ましい。金属化合物は有機カルボン酸金属塩であることが好ましく、有機カルボン酸亜鉛であることがより好ましく、硬化後のポリウレタンの物性が優れている点でオクチル酸亜鉛であることが特に好ましい。
【0015】
本発明の活性水素化合物含有組成物は、ナフテン酸に加えてさらに別の有機カルボン酸を含有してもよい。該他の有機カルボン酸としては公知の化合物を使用することができ、具体的には安息香酸、オクチル酸、2−エチルへキサン酸、ネオデカン酸、ナフチル酸、ラウリン酸、リシノレイン酸、シクロヘキサンカルボン酸などが例示され、臭気の観点より高沸点のカルボン酸の使用が好ましく、使用の容易さの観点から常温液状のカルボン酸の使用が好ましい。該他の有機カルボン酸は金属化合物の安定剤として使用されるものであってもよい。
【0016】
触媒を構成する金属化合物の配合量は、活性水素化合物含有組成物100重量部中、0.5〜6重量部であり、1〜5重量部であることがより好ましく、1〜4重量部であることがさらに好ましい。またナフテン酸の配合量は、活性水素化合物含有組成物100重量部中、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部、さらに好ましくは0.5〜4重量部、特に好ましくは1〜3重量部であり、ナフテン酸以外の他の有機カルボン酸の配合量は0.5重量部以下であって含有されていなくてもよい。他の有機カルボン酸は添加すると反応速度は速くなるが、多すぎるとブルーミングを起こす。
【0017】
本発明の活性水素化合物含有組成物は、ポリオール化合物と芳香族ポリアミンを構成主成分とする。活性水素化合物含有組成物は必要に応じて低分子量多価アルコールを含有してもよい。具体的には、低分子量多価アルコールとしては、たとえばエチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、1,3-ブタンジオール(1,3−BD)、1,4-ブタンジオール(1,4−BD)、4,4'-ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4'-ジヒドロキシフェニルメタン等の2価アルコール、グリセリン、1,1,1-トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,5-ヘキサントリオール等の3価アルコール、ペンタエリスリトール等の4価の多価アルコールが挙げられる。
【0018】
ポリオール化合物としては、ポリウレタンの技術分野におけるポリオール化合物を使用することができるが、使用温度、通常は50℃以下において液状のポリオール化合物の使用が好ましく、ポリエーテルポリオールの使用がより好ましい。係るポリエーテルポリオールとしては、低分子量多価アルコールの少なくとも1種を開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の1種または2種以上を付加重合して得られるポリエーテルポリオールおよびテトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)等が挙げられる。これらの中でも特に常温液状で低コストであることから、低分子量多価アルコールを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも1種、好ましくはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加した、いわゆるPPGと称されるポリオール化合物の使用が好ましい。
【0019】
上述のポリオールの平均官能基数は2〜3.5であることが好ましく、数平均分子量は3000〜8000であることが好ましく、3500〜7500であることがより好ましく、4000〜7500であることがさらに好ましい。またPPGにおいては、プロピレンオキサイドのみの重合体又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体であって、末端基がエチレンオキサイド重合単位であって第1級水酸基の重合体であることが好ましい。第1級水酸基末端のPPGにおいては、エチレンオキサイドの比率はポリオール化合物に対して5〜25重量%であることが好ましく、10〜25重量%であることがより好ましい。このような重合体においては末端第1級水酸基の割合は70〜90(当量%)である。
【0020】
上記ポリオール化合物の平均官能基数は2.5〜3.5であることがより好ましい。ポリオール化合物は官能基数の異なる複数のポリオールを混合してもよく、3官能ポリオールを単独で使用してもよい。本発明の活性水素化合物含有組成物中の組成は、ポリオール化合物と芳香族ポリアミン並びに充填剤を構成主成分とすることが好ましく、活性水素化合物含有組成物100重量部中のポリオール化合物の配合量は25〜45重量部であることが好ましい。
【0021】
本発明において使用する芳香族ポリアミンとしては、テトラメチルキシリレンジアミン(TMXDA)、メチレン−ビス(o−クロルアニリン)(MBOCA)等の公知の芳香族ジアミンを使用することができる。これらの中でもMBOCAの使用が好ましい。活性水素化合物含有組成物中の芳香族ジアミンの含有量は、5〜20重量%であることが好ましく、5〜15重量%であることがより好ましい。芳香族ポリアミンの含有率が高くなると可使時間が短くなる場合があり、少なすぎると得られるポリウレタンエラストマーの強度が十分でない場合が発生する。
【0022】
本発明のポリウレタンエラストマーの製造方法を構成するポリイソシアネート成分は、ポリウレタンの技術分野における公知のポリイソシアネート成分を使用することができる。具体的にはトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、カルボジイミド変性液状MDI等のポリイソシアネート化合物、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と上記のポリオール化合物、好ましくは2官能ポリオール化合物とをイソシアネート基過剰で反応させて得られるイソシアネート基末端のプレポリマー、ポリイソシアネート化合物とプレポリマーの混合物などが例示される。
【0023】
イソシアネート基末端プレポリマーは、周知の方法で製造することができる。具体的には、イソシアネート基(NCO)/OH基当量比を1.5〜5.0、好ましくは1.7〜3.0にてポリイソシアネート化合物とポリオール化合物を加熱、反応することにより得られる。イソシアネート基末端プレポリマーとしては、市販品を使用してもよい。
【0024】
イソシアネート基末端プレポリマー構成原料であるポリオールは硬化剤成分に使用するポリオールと基本的に同じであるが、平均官能基数は2〜3.5、分子量は好ましくは1000〜6000、より好ましくは2000〜6000、さらに好ましくは3000〜6000である。
【0025】
本発明のポリウレタンエラストマーの製造方法においては、ポリイソシアネート成分と活性水素化合物含有組成物との混合におけるNCO/H(活性水素基)(当量比)は、0.7〜3.0であり、より好ましくは0.8〜1.5であり、さらに好ましくは0.8〜1.3である。NCO/Hが0.7より小さいと硬化速度が低く、形成されるポリウレタンエラストマーの強度が低くなり、3.0を超えると得られるポリウレタンエラストマーに気泡が入りやすく、引き裂き強度が低下することがある。イソシアネート基末端プレポリマーはイソシアネート基濃度が3〜10重量%であることが好ましく、3〜8重量%であることがより好ましい。
【0026】
本発明の活性水素化合物含有組成物には、充填剤及び可塑剤を添加することが好ましい。充填剤としてはゴムやポリウレタンエラストマーのチップや粒子などの有機充填剤、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、シリカなどの無機充填剤を例示することができる。充填剤の配合量は、硬化後のポリウレタンの硬度により適宜設定されるが、活性水素化合物含有組成物100重量部中、10〜80重量部であることが好ましく、10〜60重量部であることがより好ましく、20〜50重量部であることがさらに好ましい。
【0027】
可塑剤としては、ポリウレタンの技術分野で公知の可塑剤を限定なく使用することができ、ジオクチルフタレート(DOP),ジオクチルセバケート、ジオクチルアジペート,ジイソノニルアジペート等が例示される。可塑剤の配合量は硬化後のポリウレタンの硬度により適宜設定されるが、活性水素化合物含有組成物100重量部中、5〜40重量部であることが好ましく、10〜30重量部であることがより好ましい。
【0028】
硬化剤成分の配合は、上記のほかにイソシアネート成分との混合比率が1:1又は1:2となるように調整することが好ましい。
【0029】
本発明の活性水素化合物含有組成物には、さらに他の公知の添加剤を添加してもよく、係る添加剤としては酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、着色剤などが例示される。
【0030】
本発明の活性水素化合物含有組成物を使用したポリウレタンの硬度は、用途に応じて設定されるが、弾性床材やシーリング材の場合には、JIS A硬度にて30〜50であることが好ましく、コンクリート型材の場合には好ましくは50〜80、より好ましくは50〜70である。硬度は、使用するポリオールの分子量、充填剤配合量、硬化剤中のポリオールと芳香族ジアミンの比率、可塑剤の配合量により調整可能である。
【実施例】
【0031】
(実施例、比較例、参考例)
活性水素化合物含有組成物として表1の上段に記載の成分を含有する組成物を調製し、ポリイソシアネート成分と混合撹拌してポリウレタンエラストマーを製造して評価を行った。イソシアネート成分としては、3官能、数平均分子量5000のポリオールとトルエンジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート濃度が5重量%のイソシアネート基末端のプレポリマーを使用した。活性水素化合物含有組成物とポリイソシアネート成分との混合撹拌、硬化反応は25℃の条件で行なった。使用した原料並びに評価方法は以下のとおりである。触媒は、金属化合物としてオクチル酸亜鉛及びナフテン酸を使用した。硬化剤成分の配合はイソシアネート成分との混合比が1:1、硬化後の硬度がJIS A 硬度にて60となるように調整した。
【0032】
(使用原料)
(a)PPG(1):3官能分子量7000、プロピレンオキサイド86%とエチレンオキサイド14%の共重合体で末端側にエチレンオキサイド重合
(b)PPG(2):3官能分子量7000、プロピレンオキサイド80%とエチレンオキサイド20%の共重合体で末端側にエチレンオキサイド重合
(c)PPG(3):3官能分子量4900、プロピレンオキサイド86%とエチレンオキサイド14%の共重合体で末端側にエチレンオキサイド重合
(d)PPG(4):3官能分子量5000、プロピレンオキサイドの重合体
オクチル酸亜鉛:オクチル酸亜鉛((C15COO)Zn)とミネラルスピリッツ混合液(オクチル酸亜鉛濃度65重量%)
(e)オクチル酸鉛:オクチル酸鉛((C15COO)Pb)/ミネラルスピリッツ混合物(オクチル酸鉛濃度58重量%)
(f)炭酸カルシウム:可塑剤DOP16〜18重量部に対して炭酸カルシウム30〜35重量部となるように混合分散した組成物として添加
【0033】
(評価)
<1>可使時間
活性水素化合物含有組成物とポリイソシアネート成分とを混合した反応性組成物について粘度測定を行い、粘度が100,000mPa・sに到達した時間を可使時間とした。粘度の測定はBH型粘度計・6号ローターを使用して行なった。
<2>折り曲げ試験
反応性組成物を150mm×120mm、厚さ9mmのシート状に成形し、活性水素化合物含有組成物とポリイソシアネート成分との混合から24時間後に硬化したシートを180度折り曲げて30秒間保持し、シートに亀裂が発生するかどうかを目視で評価した。結果は亀裂が発生しなかった場合を○、発生した場合を×として表示した。
<3>硬度
上記の折り曲げ試験と同じシートについて、反応性組成物の混合作製から7日経過後に硬度を測定した。硬度はJIS K 6253に従って,デュロメーターA型を使用して測定した。
<4>ブルーミング
上記<2>で作成した厚さ9mmの硬化後のシートを80℃にて24時間加熱し、表面のブルーミングの有無を目視と指触にて確認した。
【0034】
【表1】

【0035】
表1の結果より、本発明の活性水素化合物含有組成物を使用して製造したポリウレタンエラストマーは、可使時間が従来の鉛触媒を使用した場合(参考例)と同様の40分程度であり、24時間後における折り曲げ試験結果も従来の鉛触媒を使用した場合と変わらず、可使時間と硬化性のバランスに優れたものであり、しかもブルーミングのないものであった。これに対してナフテン酸未添加の比較例1の活性水素化合物含有組成物を使用して製造したポリウレタンエラストマーは、硬化性が不良であり、ナフテン酸に代えてオクチル酸を0.8重量部添加した活性水素化合物含有組成物を使用した場合には、硬化性と可使時間は問題なかったがブルーミングが発生した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート成分と混合、反応させてポリウレタンエラストマーとする活性水素化合物含有組成物であって、
活性水素化合物、及び触媒を含有し、
前記触媒が金属化合物と有機カルボン酸としてナフテン酸を含有することを特徴とする活性水素化合物含有組成物。
【請求項2】
前記金属化合物が亜鉛化合物であることを特徴とする請求項1に記載の活性水素化合物含有組成物。
【請求項3】
ポリイソシアネート成分と活性水素化合物含有組成物とを混合、反応させる工程を有し、前記活性水素化合物含有組成物が、活性水素化合物、及び触媒を含有し、
前記触媒が金属化合物と有機カルボン酸としてナフテン酸を含有することを特徴とするポリウレタンエラストマーの製造方法。
【請求項4】
前記金属化合物が亜鉛化合物であることを特徴とする請求項3に記載のポリウレタンエラストマーの製造方法。

【公開番号】特開2011−202112(P2011−202112A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72944(P2010−72944)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】