説明

活魚の輸送販売方法およびそのための容器

【構成】活魚と、水と、空気または酸素とを密封収納し、活魚を生きたまま輸送し、そのまま店舗にて販売することを含んでなる活魚の輸送販売方法。
【効果】用いられる容器は、構造が簡単であり、その結果、低コストで活魚を輸送することができる。また容器は、活魚を収納したまま、店舗においてそのまま販売することがで、よって、販売に際し、処理、加工する作業が不要で、かつ魚を生きたまま店頭にて販売するための水槽等を別途用意する必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活魚の輸送販売方法およびそのための容器に関する。
【発明の背景】
【0002】
我が国の消費者の魚離れが叫ばれて久しいが、一方で、市場ではその鮮度に大きな関心が寄せられている。鮮度の高い、例えば活魚が、そのまま店頭で販売できれば魚離れしている消費者の関心を引くことも期待できる。
【0003】
活魚を生きたまま輸送するための工夫もされている。例えば、生け簀を備えた活魚輸送車による輸送が行われているが、この方法は高コストである。また、活魚を生きたまま輸送する小型の装置も提案されている。例えば、特開2000−60356号公報(特許文献1)、特開2004−173584号公報(特許文献2)には、活魚を輸送する装置が開示されている。しかし、活魚を輸送する装置は一般的に複雑かつ重くなる。また、店頭で販売するために、活魚を装置から出して、販売に適する形態に処理、加工するなど、何らかの作業が必要となることは明らかであり、また、運んだ活魚を生きたまま販売するためには、水槽等を店舗に用意し、活魚を移す必要がある。また、生け簀の使用は、一旦伝染病が発生するとその中の全ての活魚に伝染する可能性が有り、その際の経済的損失は小さくない。
【特許文献1】特開2000−60356号
【特許文献2】特開2004−173584号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、活魚を生きたまま輸送し、さらにそのままの形態で店舗にて販売する活魚の輸送販売方法およびそのための容器の提供をその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そして、本発明による活魚の輸送販売方法は、活魚と、水と、空気または酸素とを容器に密封収納し、活魚を生きたまま輸送し、そしてそのまま店舗にて販売することを含んでなるものである。
また、本発明による容器は、活魚と、水と、空気または酸素とを密封収納し、活魚を生きたまま輸送し、そのまま店舗にて販売される、活魚入り容器である。
【発明の効果】
【0006】
本発明において用いられる容器の構造は簡単でよく、その結果、低コストで活魚を輸送することができる。また、本発明にあっては、容器に活魚を収納したまま、店舗において販売される。よって、販売に際し、処理、加工する作業が不要で、かつ魚を生きたまま店頭にて販売するための水槽等を別途用意する必要がない点で、極めて有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明による活魚の輸送販売方法において好ましく用いられる容器の具体例を、図面を用いて説明する。
図1は、活魚を収納する前の容器の模式図である。容器1は開口部2が設けられた袋であり、好ましくは底部のマチ部3が設けられる。開口部2より、活魚が入れ、袋を密封する。密封は機密性が確保されるのであれば特に限定されず、例えば、袋が樹脂である場合ヒートシールにより行われてよい。また、図1に示されるように、袋に予め密封手段4、例えばスライド式ジッパーを設け、密封してもよい。活魚の数は特に制限されず、一匹ずつであってもよく、数匹まとめて収納されても良い。後記するように、この容器はそのまま店頭で販売されるため、容器内の活魚の数が店頭での販売単位となるであろう。また、仮に容器内の活魚が伝染病等に感染していても、その被害は同一容器内の活魚に止まり、容器を横断しての感染は防止できるので、この点でも生け簀の利用に比較して有利である。
【0008】
密封の際、袋1には開口部2より、活魚と共に水と入れ、さらに空気、好ましくは酸素を吹き込む。水および空気または酸素の量は、活魚の数、輸送時間および店頭での販売期間を考慮して適宜決定されてよい。例えば、容器への収納、密封から販売まで2〜3日間を想定して、水および空気または酸素の量を決定する。また、好ましい態様によれば、活魚とともに密封する水は、二酸化炭素の除去処理を行ったものであることが好ましい。また、同様に、水のpHを安定化するために、アンモニアの除去処理を行うことも好ましい。
【0009】
また、容器に予め注入する水の量を示す目盛りあるいは印を付しておき、その箇所まで水を注入することで活魚の密封操作を容易におこなうことが出来る。また、活魚の収納、水、空気または酸素の注入、そして密封の操作を全て機械的に自動化することも可能である。
【0010】
袋1の材質も適宜決定されてよいが、透明な樹脂により作成されたものであることが好ましい。その厚さも適宜決定されてよく、例えば100μm程度の厚さのものが取り扱い上好ましいであろう。袋の形態も収納する活魚によって変更することが出来る。例えば、ヒラメなどの平面型の場合、水、空気または酸素を入れた際に、底面積が大きくなる形態が好ましく、アジ、アイナメなどの流線形魚の場合、その体型にあう細長い形態とし、またエビ、イイダコなどの場合、袋全体の大きさを比較的小さなものとする。
【0011】
好ましい態様によれば、活魚を密封する際、pH調整剤、酸素剤、海水濃度調整剤、硫酸マグネシウム、および二酸化炭素吸収剤からなる群から選択される少なくとも一つをその中に入れる。これにより、輸送および販売中の容器内の環境を活魚が生存するのに適するものとすることができる。これらは、例えばシート形状として、袋の内側に貼付される。これらの利用により、輸送期間および販売可能期間を長くすることができる。
【0012】
本発明において、容器は、活魚の密封収納後、図2のように、膨らんだ形態となり、この状態で輸送される。図中で、3は底部のマチが膨らんだ状態であり、4は密封された箇所であり、袋の中に水5とともに、活魚6が収納されている。輸送中活魚6は、容器の中で、生きた状態で保たれる。活魚を生きたまま輸送するために、輸送の際には、活魚にストレスを与えないよう、音、光、温度について考慮または制御することが望ましい。
【0013】
本発明において、容器は、輸送後、そのまま店頭に置かれる。つまり、魚は生きたまま、かつ輸送中と同一容器に収納されて、そのまま店頭にて販売される。本発明にあっては、販売にともない、活魚を輸送容器から取り出し、処理、加工する作業を行わない。よって、活魚を低コストで販売することが可能となる。
【0014】
本発明において、容器には、輸送または販売の際に必要となる情報を表示したラベルを添付することが好ましい。例えば、活魚の種類、生産地、生産者、漁獲値、出荷日、流通経路等の情報を、輸送者、販売者、または消費者に向けて、文字または記号により表示したラベルを添付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】活魚を収納する前の容器の模式図。
【図2】活魚が収納された後の容器の模式図。
【符号の説明】
【0016】
1 容器
2 開口部
3 マチ部
4 密封された箇所
5 水
6 活魚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活魚と、水と、空気または酸素とを容器に密封収納し、活魚を生きたまま輸送し、そしてそのまま店舗にて販売することを含んでなる、活魚の輸送販売方法。
【請求項2】
前記容器が、透明な樹脂からなる袋である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
容器中に活魚とともに、pH調整剤、酸素剤、海水濃度調整剤、硫酸マグネシウム、および二酸化炭素吸収剤からなる群から選択される少なくとも一つを入れて密封する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
活魚の種類、生産地、生産者、漁獲値、出荷日、および流通経路の少なくとも一つの情報を表す文字または記号を表示したラベルを容器に添付する工程をさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
活魚と、水と、空気または酸素とを密封収納し、活魚を生きたまま輸送し、そのまま店舗にて販売される、活魚入り容器。
【請求項6】
前記容器が、透明な樹脂からなる袋である、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
pH調整剤、酸素剤、海水濃度調整剤、硫酸マグネシウム、および二酸化炭素吸収剤からなる群から選択される少なくとも一つをその中に含んでなる、請求項5または6に記載の容器。
【請求項8】
活魚の種類、生産地、生産者、漁獲値、出荷日、および流通経路の少なくとも一つの情報を表す文字または記号を表示したラベルが添付された、請求項5〜7のいずれか一項に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−11774(P2008−11774A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185949(P2006−185949)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(505231800)有限会社フューチャープランニングシステムズ (2)
【Fターム(参考)】