説明

流れパターン移行管

【課題】不安定な流れパターンを相対的に安定した流れパターンに移行させるため空気搬送システムに使用される流れパターン移行管を提供すること。
【解決手段】空気搬送システムに使用される流れパターン移行管が提供される。流れパターン移行管は、軸方向で内径が漸次的に増大する第1の膨張管セクションと、第1のセクションの最大内径端部から第1のセクションに続いて、第1のセクションから離れて軸方向で内径が漸次的に減少する第2の収縮管セクションと、第2のセクションの最小内径端部から第2のセクションに続いて、第1のセクションの最小内径よりも小さい実質的に同一内径を備えた第3の管セクションと、を備える。第1のセクションの軸方向長さは、第2のセクションの約3〜約5倍である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に、空気搬送システムで使用される流れパターン移行管に関し、より具体的には、不安定な流れパターンを相対的に安定した流れパターンに移行させるため空気搬送システムに使用される流れパターン移行管に関する。
【背景技術】
【0002】
空気搬送システムは、通常、米、セメント、及び灰などの粉末をある場所から別の場所に移送するのに使用され、ここでは搬送能力が最も重要なパラメータである。しかしながら、一部の別の状況では、例えば、搬送システムを用いてガス化システム(例えば、石炭ガス化システム)において固体供給原材料を搬送する場合、不安定な搬送は、ガス化装置に対する過熱などの深刻な問題を生じる可能性があるので、搬送安定性は搬送能力と同程度に重要である。
【0003】
搬送安定性に影響を与える1つの主因は、管路における流れパターンである。濃密相空気搬送において、プラグ流又は浮遊流は不安定な流れパターンをもたらすが、均一流は、安定した流れパターンをもたらす。ガス化システムにおいて、送給ベッセルから排出される固体供給原料はプラグ流を形成する傾向があり、ここでは固体供給原材料が高濃度の部分と低濃度の部分の両方を含み、従って、極めて不安定になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、空気搬送システムにおいて不安定な流れパターンを相対的により安定した流れパターンに移行させる必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様において、本発明の実施形態は、空気搬送システムに使用される流れパターン移行管を提供する。流れパターン移行管は、軸方向で内径が漸次的に増大する第1の膨張管セクションと、第1のセクションの最大内径端部から第1のセクションに続いて、第1のセクションから離れて軸方向で内径が漸次的に減少する第2の収縮管セクションと、第2のセクションの最小内径端部から第2のセクションに続いて、第1のセクションの最小内径よりも小さい実質的に同一内径を備えた第3の管セクションと、を備える。第1のセクションの軸方向長さは、第2のセクションの約3〜約5倍である。
【0006】
別の態様において、本発明の実施形態は、空気搬送システムに使用される流れパターン移行管を提供する。流れパターン移行管は、軸方向で内径が漸次的に増大する第1の膨張管セクションと、第1のセクションの最大内径端部から第1のセクションに続いて、第1のセクションから離れて軸方向で内径が漸次的に減少する第2の収縮管セクションと、第2のセクションの最小内径端部から第2のセクションに続いて、第1のセクションの最小内径よりも小さい実質的に同一内径を備えた第3の管セクションと、を備える。流れパターン移行管がキャリアガスを介して供給原材料を搬送するため空気搬送システムに使用されるときに、第1のセクションの最大内径端部においてソルテーション速度よりも低いキャリアガス速度と、流れパターン移行管は、第2のセクションの最小内径端部においてピックアップ速度よりも高いキャリアガス速度と、を可能にするよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による、例示的な流れパターン移行管の長手方向断面図。
【図2】本発明の一実施形態による、流れパターン移行管を備えた例示的な空気搬送システムを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付図面を参照しながら以下で本開示の実施形態を説明する。以下の説明において、本開示を不必要に詳細にすることで曖昧になるのを避けるために、よく知られた機能又は構造は詳細には説明されない。
【0009】
本開示は、空気搬送システムに使用するための流れパターン移行管を提供する。流れパターン移行管は、軸方向で内径が漸次的に増大する第1の膨張管セクションと、第1のセクションの最大内径端部から第1のセクションに続いて、第1のセクションから離れて軸方向で内径が漸次的に減少する第2の収縮管セクションと、第2のセクションの最小内径端部から第2のセクションに続いて、第1のセクションの最小内径よりも小さい実質的に同一内径を備えた第3の管セクションと、を備える。
【0010】
空気搬送システムの搬送管路に設置されると、流れパターン移行管は、その第1のセクションにより不安定な流量で管路の上流側から送られる固体供給原材料が空塔速度を低減して、浮遊流に変わることが可能となり、次いで、その第2のセクション及び第3のセクションにより、第2のセクションから送られる固体供給原材料が空塔速度を増大させて、均一な流れに変わり、従って、相対的により安定した流れパターンを形成できるようになるので、不安定な搬送流れパターンを相対的により安定した流れパターンに移行させることができる。
【0011】
1つの態様において、第1のセクションの軸方向長さは、固体供給原材料が流れパターン移行管の第1のセクション上に達して浮遊流を形成するのに十分な時間を確保するため、第2のセクションの約3〜約5倍である。
【0012】
1つの態様において、流れパターン移行管は、キャリアガスを介して供給原材料を搬送するために空気搬送システムにおいて水平方向に位置付けられ、第1のセクションの最大内径端部においてソルテーション速度よりも低いキャリアガス速度と、第2のセクションの最小内径端部においてピックアップ速度よりも高いキャリアガス速度と、を可能にするよう構成される。本明細書で使用される「ソルテーション速度」とは、均一固体流の粒子がガスストリームから落下し始める実際のガス速度を指す。本明細書で使用される「ピックアップ速度」とは、静止状態から粒子を取り込むのに必要なガス速度を指す。
【0013】
流れパターン移行管は更に、第2のセクションから離れた第3のセクションの端部から第3のセクションに続いて、第3のセクションから離れて軸方向で内径が漸次的に増大する第4の膨張管セクションを備えることができる。第4のセクションの最大内径は、第1のセクションの最小内径と実質的に等しくすることができ、実質的に同一の内径を有する搬送管の2つのセクションの間に流れパターン移行管を設置し、不安定な搬送流れパターンを相対的により安定した流れパターンに移行させることができるようにする。
【0014】
本発明により提供される流れパターン移行管を備えた空気搬送システムは、石炭、コークス、バイオマス、ビチューメン、石炭含有廃物などの1つ又はそれ以上を含む、石炭粉のような固体供給原材料を搬送するのに好適である。
【0015】
特定の実施形態では、流れパターン移行管は、該流れパターン移行管を通過する供給原材料の流動ゆらぎを10%未満に低減することができる。一実施形態では、流れパターン移行管の上流側の供給原材料の流動ゆらぎは約10%であり、流れパターン移行管の下流側の供給原材料の流動ゆらぎは10%未満である。
【0016】
図1を参照すると、図示の実施例において、空気搬送システム(図示せず)で使用する流れパターン移行管100は、貫流する固体供給原材料300の流れ方向、すなわち移行管100の軸方向に沿って上流側から順に、第1の膨張管セクション102と、第2の収縮管セクション104と、第3の管セクション106と、第4の膨張管セクション108とを備える。一実施形態では、流れパターン移行管100は、実質的に直線的に軸方向に沿って延びる。第1のセクション102は、軸方向で内径が漸次的に増大する。第1のセクション102の最大内径端部から第1のセクション102に続く第2のセクション104は、第1のセクション102から離れる軸方向で内径が漸次的に減少する。第2のセクション104の最小内径端部から第2のセクション104に続く第3のセクション106は、第1のセクション102の最小内径よりも小さい実質的に同一内径を有する。第2のセクション104から離れた第3のセクションの端部から第3のセクション106に続く第4のセクション108は、第3のセクション106から離れる軸方向で内径が漸次的に増大する。第1のセクション102の軸方向長さL1は、第2のセクション104の軸方向長さL2の約3〜約5倍である。キャリアガスを介して供給原材料を搬送するために空気搬送システムにおいて流れパターン移行管100が使用される場合には、流れパターン移行管100は、第1のセクション102の最大内径端部においてソルテーション速度よりも低いキャリアガス速度と、第2のセクションの最小内径端部においてピックアップ速度よりも高いキャリアガス速度と、を可能にするよう構成される。
【0017】
流れパターン移行管100は、固体供給原材料を搬送するための管路において、該管路の2つの管セクション202及び204の間に設置され、不安定な搬送流れパターンを相対的により安定した流れパターンに移行させるようにする。供給原料タンク又はベッセルから排出される固体供給原材料(例えば、粉体供給原材料)がキャリアガスを介して管路を流れるときには、移行管100の上流側の管セクション202の流れパターンは通常プラグ流であり、ここでは固体供給原材料の流れは、高濃度部分302と低濃度部分304とを含む。このような流れパターンでは、固体供給原材料の流量は極めて不安定である。固体供給原材料は、移行管100の第1のセクション102に流入すると、その空塔速度が低下して流れパターンが浮流流に変わり、ここで固体供給原材料が管底部に堆積する。その後、固体供給原材料が、移行管の第2及び第3のセクション104及び106に流れると、空塔速度の増大に起因して、流れパターンが、安定した流れパターンである均一な流れに変わる。
【0018】
一実施形態では、2つの管セクション202及び204は、移行管100によって接続され、従って、移行管100のそれぞれ上流側及び下流側に位置付けられて、実質的に同一内径を有し、移行管100の第1のセクション102の最小内径は、移行管100の第4のセクション108の最大内径と実質的に同じである。代替の実施形態では、移行管100の上流側及び下流側にそれぞれ位置付けられた2つの管セクション202及び204は、異なる内径を有し、移行管100の第1のセクション102の最小内径は、移行管100の第4のセクション108の最大内径と異なる。
【0019】
流れパターン移行管は、設置される管路の配置に応じて、水平、垂直、又は角度位置において空気搬送システムの管路のあらゆる位置で位置付けることができる。例えば、図2に示すように、流れパターン移行管100は、不安定な流量で供給原材料を放出する供給原材料タンク又はベッセル502と、不安的な供給原材料の流量ゆらぎを低減し、これにより不安定な搬送流れパターンを相対的により安定した流れパターンに移行させることにより恩恵を受けることが可能な装置又はシステム504(例えば、石炭ガス化装置)との間のあらゆる位置に設置することができる。その上、特定の実施形態ではは、空気搬送システム内に設置される前述の流れパターン移行管が1つ又はそれ以上存在してもよい。例えば、2つ又はそれ以上の流れパターン移行管を空気搬送システムの同じ管路内に設置することができる。特定の実施形態では、1つ又はそれ以上の流れパターン移行管が実質的に水平位置に位置付けられる。
【0020】
本開示事項は、典型的な実施形態では図示し説明してきたが、本開示の技術的思想から逸脱することなく、種々の修正形態及び置き換えを可能とすることができることから、図示の詳細事項に限定されることを意図するものではない。従って、本明細書で開示された開示事項の更なる修正形態及び均等物は、当業者であれば日常的な経験と同程度のものを用いて想起することができ、全てのこのような修正形態及び均等物は、添付の請求項により定められる開示事項の技術的思想及び範囲内にあるものとみなされる。
【符号の説明】
【0021】
100 流れパターン移行管
102 第1の膨張管セクション
104 第2の収縮管セクション
106 第3の管セクション
108 第4の膨張管セクション
202 移行管100の管セクション
204 移行管100の管セクション
300 固体供給原材料
302 高濃度部分
304 低濃度部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気搬送システムに使用される流れパターン移行管であって、
軸方向で内径が漸次的に増大する第1の膨張管セクションと、
前記第1のセクションの最大内径端部から該第1のセクションに続いて、前記第1のセクションから離れて軸方向で内径が漸次的に減少する第2の収縮管セクションと、
前記第2のセクションの最小内径端部から該第2のセクションに続いて、前記第1のセクションの最小内径よりも小さい実質的に同一内径を有する第3の管セクションと、
を備え、前記第1のセクションの軸方向長さは、前記第2のセクションの約3〜約5倍である、流れパターン移行管。
【請求項2】
前記第2のセクションから離れた前記第3のセクションの端部から該第3のセクションに続いて、前記第3のセクションから離れて軸方向で内径が漸次的に増大する第4の膨張管セクションを更に備える、請求項1記載の流れパターン移行管。
【請求項3】
前記第1のセクションの最小内径は、前記第4のセクションの最大内径と実質的に同じである、請求項2記載の流れパターン移行管。
【請求項4】
前記流れパターン移行管がキャリアガスを介して供給原材料を搬送するため空気搬送システムに使用されるときに、前記流れパターン移行管は、前記第1のセクションの最大内径端部においてソルテーション速度よりも低いキャリアガス速度を可能にするよう構成される、請求項1記載の流れパターン移行管。
【請求項5】
前記流れパターン移行管がキャリアガスを介して供給原材料を搬送するため空気搬送システムに使用されるときに、前記流れパターン移行管は、前記第2のセクションの最小内径端部においてピックアップ速度よりも高いキャリアガス速度を可能にするよう構成される、請求項1記載の流れパターン移行管。
【請求項6】
前記流れパターン移行管は、該流れパターン移行管を流れる供給原材料の流量ゆらぎを10%未満に低減できるように構成される、請求項1記載の流れパターン移行管。
【請求項7】
請求項1記載の少なくとも1つの前記流れパターン移行管を備えた空気搬送システム。
【請求項8】
空気搬送システムに使用される流れパターン移行管であって、
軸方向で内径が漸次的に増大する第1の膨張管セクションと、
前記第1のセクションの最大内径端部から該第1のセクションに続いて、前記第1のセクションから離れて軸方向で内径が漸次的に減少する第2の収縮管セクションと、
前記第2のセクションの最小内径端部から該第2のセクションに続いて、前記第1のセクションの最小内径よりも小さい実質的に同一内径を有する第3の管セクションと、
を備え、
前記流れパターン移行管が、キャリアガスを介して供給原材料を搬送するために前記空気搬送システムに使用されるときに、前記流れパターン移行管は、前記第1のセクションの最大内径端部においてソルテーション速度よりも低いキャリアガス速度と、前記第2のセクションの最小内径端部においてピックアップ速度よりも高いキャリアガス速度と、を可能にするよう構成される、流れパターン移行管。
【請求項9】
前記第2のセクションから離れた前記第3のセクションの端部から該第3のセクションに続いて、前記第3のセクションから離れて軸方向で内径が漸次的に増大する第4の膨張管セクションを更に備える、請求項8記載の流れパターン移行管。
【請求項10】
前記第1のセクションの最小内径は、前記第4のセクションの最大内径と実質的に同じである、請求項9記載の流れパターン移行管。
【請求項11】
前記第1のセクションの軸方向長さが前記第2のセクションの約3〜約5倍である、請求項8記載の流れパターン移行管。
【請求項12】
前記流れパターン移行管は、該流れパターン移行管を流れる供給原材料の流量ゆらぎを10%未満に低減できるように構成される、請求項8記載の流れパターン移行管。
【請求項13】
請求項8記載の少なくとも1つの前記流れパターン移行管を備えた空気搬送システム。

【図1】
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【図2】
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