説明

流れ抑制機構及び泡制御機構を有する衛生的な蛇口

加圧流体を分与するのに適した、泡制御機構を有する衛生的な蛇口である。この衛生的な蛇口は、弁本体、プランジャ組立体、フローリストリクタ組立体及び調節ねじ組立体を含む。また、この衛生的蛇口にて流体流の圧力を可変的に調節し、泡を形成する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールタッパー及び他の加圧ディスペンサと共に用いるための蛇口に関し、特に、泡制御機構を有して、材料の分与を調整下で行うように構成された衛生的な流れ制御蛇口に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧された容器又は他の加圧された源から材料を分与する様々な用途に、分与蛇口が用いられる。このタイプの分与蛇口は、ビール、ソーダ又は他の飲料を、加圧容器、例えば樽から分与する飲料分与用途に広く用いられている。これらの分与蛇口は、また、薬味又はマスタードなどの調味料を容器から圧力下で分与するためにも時々用いられる。実際、用途は多岐にわたり、様々である。
【0003】
典型的な先行技術の蛇口は、枢動可能なレバーにより動作される弁を含む。詳細には、弁要素が、ボア内を長手方向にスライド可能なプランジャに取り付けられている。レバーがユーザに向かって前方に枢動されて弁要素が開くと、弁要素はボア内を後方に移動し、それにより、分与される材料が弁の入口から出口に流れることを可能にする。分与中は、弁全体が、流れている流体に露出されているが、弁が分与を行っていないときには、濡れた弁要素の大部分が空気に露出される。弁内に滞留している流体と、濡れた弁要素が空気に露出されることにより、不都合な雑菌の繁殖が弁内で生じることがある。幾つかの先行技術は、濡れた弁部品の大部分がいかなる時も空気に露出されないようにプランジャをほぼ蛇口の出口に配置することにより、不都合な雑菌の繁殖を克服した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの蛇口を通して何らかの加圧流体を分与する過程で、起泡(foaming)が生じる。しかし起泡は、流体、例えばビールの味や外観を変えることがある。また、起泡は、流体を分与していないときは望ましくなく、流体が、容器、例えばマグの頭部を飾ることが必要な場合には望ましいであろう。従って、制御された起泡を分与流体に導入し、且つ、蛇口の濡れた部分を雑菌の繁殖する露出させないために、蛇口の設計を改良する必要が生じている。
【0005】
分与可能な流体、例えば、ビールは、密封樽に貯蔵されることがあり、すなわち、圧力の変化を生じ得る状態の下にある。実際、ドラフトビールの充填時に圧力をかけられる樽の多くが、温度が頻繁に変化する部屋に貯蔵される。温度変化は、これらの樽の内部の圧力を変化させる。圧力のバランスを取り戻し、分与中の流体流を制御するために、先行技術の分与蛇口の幾つかは、補償器ユニットを有する。しかし、これらの補償器ユニットは、加圧された分与流体の均衡及び調整の制御に限界がある。これらの流体により加えられる、制御されていない、又は制御が不十分な圧力は、蛇口装置を、最終的により大きく磨耗及び引裂させる。また、補償器を用いて圧力を調整することは効果的でない。なぜなら、これらの調整器は限られた向きに配置され、もたらされる圧力調整が限定されることがあるからである。従って、圧力調整を改良するために蛇口の設計を改良する必要が生じている。
【0006】
伝統的な蛇口は、また、弁本体から弁要素を取り出して別の場所で洗うことを含む、弁要素を掃除するための非常に複雑な方法を必要とする。清潔に保たれるだけでなく、弁を分解せずに効率的に洗浄されることができる弁要素を提供する必要が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、多くの利点を有する衛生的な分与蛇口を提供する。本発明の利点の1つは、通常の使用においては、弁の内部に実質的な量の空気が含まれず、それにより、蛇口内部での雑菌の繁殖が制限されることである。
【0008】
本発明の一実施形態の別の利点は、制御された泡を、必要なときに又は所望のように形成し得るプッシュバック式起泡機構(push−back foam feature)にある。
【0009】
本発明の別の利点は、収容された流体により形成された圧力が、多段階に徐々に変化され、調整され得るように、流れ調節ねじを有するフローリストリクタにある。
本発明のさらに別の利点は、弁を特別に分解せずに弁要素が効率的に掃除され得ることである。
【0010】
概して、本発明の衛生的蛇口は、(a)軸方向に位置合わせされた入口及び出口を有する弁ボアを有する弁本体と;(b)弁本体内の前記入口と出口の間に実質的に配置されたプランジャ組立体と;(c)フローリストリクタ組立体と;(d)調節ねじ組立体とを含む。
【0011】
一実施形態において、フローリストリクタ組立体は、第1のシャンク端部及び第2のシャンク端部を有するシャンクを含む。第1シャンク端部は、弁本体の入口に着脱可能に取り付けられ、第2シャンク端部は分与流体源に着脱可能取り付けられる。フローリストリクタ組立体は、さらに、シャンク内に移動可能に配置されたフローリストリクタ部材を含む。フローリストリクタは、プランジャ組立体と連通する漏斗状のヘッドと、流体源から分与流体が流入することを可能にするための少なくとも1つの溝又はチャネルを有する溝付き尾部とを有する。好ましい実施形態において、調節ねじ組立体は、フローリストリクタ組立体のシャンク内での移動を調整する。
【0012】
本発明の別の態様は、分与液体から泡を減らすための方法を含む。この方法は、最初に分与流体源を弁本体の入口に取付けることにより実行される。次いで、調節ねじ組立体を回転させてフローリストリクタを移動させる。この移動は、弁本体に入る流体が所望の圧力レベルを有するように行われる。そして、所望の圧力の流体がプランジャ組立体に入ることを許容される。最後に、ハンドル組立体を移動させて、弁を、所望のように開閉させる。ハンドル組立体を前方に移動させると、プランジャ組立体は後方に移動する。この移動が、流体のための通路を開くことにより弁を開放する。こうして流体は、溝付き尾部の少なくとも1つの溝又はチャネルを通り、漏斗状ヘッドを越え、プランジャ組立体の周囲を流れ、出口に向かい、次いで、出口に取り付けられた注ぎ口から流れ出る。この方法を用いて分与される流体は、厳密に制御された圧力を有し、従って、流体は、ほとんど泡を有さずに分与されることになる。
【0013】
本発明の方法の態様の別の実施形態は、泡形成能力を有する分与液体、例えばビールから泡を形成するための方法を提供する。この方法に従い、分与流体源を弁本体の入口に取り付ける。流体は、所望の圧力で蛇口に入ることを許容される。次いで、ハンドル組立体を後方に移動させ、これによりプランジャ組立体が前方に移動され、これにより、流体のための閉鎖されている通路が、より大きくなる。次いで、ハンドル組立体を、ばねの力に逆らってさらに後方に移動させる。これは、押えねじの横穴を、弁座を越えて露出させる作用を有する。小さい開口を通って押し出されるビールは泡状になる。
【0014】
本発明のこれら及び他の利点並びに特徴は、詳細な説明及び添付図面から、当業者に明らかになるであろう。しかし、詳細な説明及び添付図面が本発明の好ましい実施形態を示
しても、それらは例として与えられ、限定のために与えられるのではないことが理解されるべきである。多くの変更及び修正が、本発明の範囲内で、本発明の精神から逸脱せずに行われることができ、本発明はこれらの変更の全てを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
加圧された源から材料を分与するために蛇口が選択的に操作される任意のシステムに用いることができるディスペンシング(分与)蛇口を提供する。この蛇口は、例えば、ビール又は他の加圧された液体を樽又は他の加圧容器から分与するために構成された「タッパー」(“tapper”)蛇口に用いることができる。また、この蛇口は、ケチャップ、マスタード又は薬味を容器から分与するように構成された調味料供給コックに用いることができる。本発明を記載するために、非粘性材料及び粘性材料の両方を、例えばビールもホットドッグの調味料も、流体又は液体とみなすものとする。
【0016】
本発明の蛇口は、弁本体、及び、弁本体のボア内に取り付けられた、前記ボア内で往復移動するためのプランジャを含む。ボアは、加圧容器又は他の加圧流体源に連結するように適合された通路に向かって開いている入口と、流体を蛇口から送り出すようになっている分与口に向かって開いている出口とを有する。枢動可能なレバーを有するハンドルの一部が弁本体内に配置され、その終端は、プランジャ内のソケット(ハンドル終端を受けるためにように設けられた)に受けられている。こうして、レバーはプランジャと係合して、プランジャがボア内を長手方向に往復動するようにプランジャを動かす。プランジャ上のプラグ(栓)が弁本体内側の弁座と相互作用して、弁を通る流体の流れを制御する。
【0017】
ここで、図1,2,3及び4を詳細に参照すると、本発明の第1の実施形態に従って構成された蛇口10が、ボア14を内部に有する弁本体12、弁本体12に取り付けられた注ぎ口16、及び、操作者により操作可能なハンドル18を含む。操作者はハンドルを操作してボア14内のプランジャ20を移動させ、これにより蛇口10を開き、流体を、注ぎ口16を通して分与する。
【0018】
弁本体12は、使用により生じる圧力に耐えられ、プランジャ組立体20をスライド可能に受けることができ、且つハンドル18を枢動可能に支持することができる任意の材料から形成され得る。弁本体12は、好ましくは、ステンレス鋼、食品グレードのプラスチック又は他の成形可能な材料から形成される。ボア14は、最も好ましくは円形の断面を有し、弁本体内に軸方向に形成される。本発明の一実施形態において、入口22が、蛇口10を加圧流体容器(図示せず)に連結するための、ボア14の軸方向上流端を含む。出口24が、分与された流体を注ぎ口16に配送するためのボア14の反対側の端部を含む。弁座26が、出口24又はその付近に位置する、ボア14の直径が狭められた部分に配置されている。ボンネットボア28が、ハンドル18を受けるために、ボア14から半径方向に、弁本体12の上面にあるボス30を通って弁本体12の外面まで延在している。
【0019】
ハンドル18の下端が枢動可能なレバー32を形成し、レバー32は、プランジャ組立体20の対応するソケット36と係合する部分的ボール34を含む。レバー32は、ボンネットボア28内にピボットマウントにより枢動可能に取り付けられ、ピボットマウントは、好ましくは、第2ボール38及びボンネットソケット40により形成される。ボール34及びボール38は、両方共、好ましくは、レバー32と一体的に成形される。プランジャソケット36は、好ましくは、プランジャ20内のスロットから形成される。ボンネットソケット40は、ボンネットワッシャ42、上側ベアリングカップ44、下側ベアリングカップ46、及び、少なくとも1つのOリング48から形成される。この組立体は圧縮ボンネット(蓋)47により所定位置に保持され、圧縮ボンネット47は、ボンネットワッシャ42、ベアリングカップ44,46及びOリング48を圧縮ボンネット47の下に、且つボンネットボア28内に捕らえるようにボス30上にねじ締めされる。この構造は
、2002年5月9日に出願された米国特許出願第10/142,751号の明細書に、より詳細に記載されており、この出願の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0020】
プランジャ組立体20は、ボア14内にスライド可能に取り付けられたプランジャ部材60を含む。プランジャ部材60は、概して幾何学的に中実に形成され、ボア14の断面と異なる断面形状を有し、従って、この断面形状の違いが、流体の通過を可能にするための開放部を形成する。プランジャ部材60は、外側周囲面54及び軸方向上流端56,軸方向下流端58を含む。先に記載したスロット又はソケット36は、端部56と58の間でプランジャ20内に半径方向に延在する。プランジャ20全体が、ボア14内に、分与される液体にプランジャ20のほぼ全体が、蛇口10が使用されていないときでも常に浸漬しているように配置される。これは、ボア14内に配置された部品の全てが、常に流体により囲まれ、且つ弁本体12内に閉じ込められていれば、蛇口外部の空気に露出されないため、有利である。
【0021】
この実施形態のプランジャ組立体20は、非粘性流体、例えば、ビール又他の飲料に用いることを意図されている。従って、プランジャ組立体20は、プランジャ組立体が流体の分与中に粒子状物質を残さずに洗い流されるように、流体が、プランジャ組立体、及び、プランジャ部材60とレバー32との相互連結部を通過して流れることを容易にするように構成される。最も好ましくは、プランジャ部材60は、ほぼ矩形の断面を有して形成され、プランジャ部材60と、ボア14の内部の円形断面との間に4つの間隙を形成する。これらの間隙は、流体が流れるための通路の4つのチャネルとして作用する。十分に実質的なチャネルが形成されるならば、他の形状もこれらの要素の両方に用いられ得る。
【0022】
本発明の一実施形態は、泡が望まれる場合のビール分与蛇口に用いるための、泡を制御する機構を有する組立体を含む。泡を制御する機構は泡のみを供給し、これは、例えば、ユーザがほぼ満杯のビールを、多くの泡を盛らずに分与したが、グラスに注がれたビールに魅力的な頭部を設けたい場合などに用いる。この実施形態において、プランジャ組立体20が、反跳システムを有する弁棒60から構成され、反跳システムは、シール62、シール内を通るシール押え(リテーナ)ねじ64、ばねカップ66及びコイルばね68を含む。シール押えねじ64は、軸方向ボス70に、弁棒の、弁本体12内部で弁座26に対面する端部にてねじ込まれる。ボス70は、ボス70内に形成された軸方向穴71を含み、穴71は、押えねじ64内に形成された軸方向穴64aと位置合わせされている。軸方向穴64aは、押えねじ64のねじ付き端部にて開始し、押えねじ64の頭部の直前で終端となっている。横穴64bが押えねじ64の頭部のすぐ下に形成されて、軸方向穴64aと交差し、軸方向穴からの出口をもたらしている。
【0023】
押えねじ64及びシール62は弁閉鎖部として機能する。シール62は、プランジャ部材60の下流端部に、プランジャ部材が、非分与、弁閉鎖位置にあるときに弁本体12上の弁座26に対してシールするために取り付けられている。最も好ましい実施形態において、シール62は、弁座26と嵌合する寸法につくられた、変形可能な弾性のOリング(約70〜90ジュロメータ)である。
【0024】
押えねじ64及びシール62は、食品グレードの任意の材料から製造され得る。好ましい一実施形態において、押えねじ64はステンレス鋼からつくられ、シールは食品グレードのポリマーからつくられる。プランジャの反跳システムは、シール62及び押えねじ64が、ばねカップ66及びコイルばね68を通して、先に述べたように軸方向ボス70に挿入されたときに効力をもたらす。ばね68は、ばねカップ66と弁棒下流端58の間で圧縮及び伸張可能であるように嵌め込まれる。好ましい実施形態において、図4(c)に示されているように、ハンドル18が枢動可能なレバー32によりプランジャ部材60のソケット36内に配置され、分与位置、すなわち前傾位置に移動されたとき、プランジャ
組立体20は弁座26から遠ざかる方向に移動し、透明で泡のない流体が分与されることを可能にする。反対に、図4(b)に示されているように、ハンドル18が後方に非分与位置まで移動されたとき、プランジャ組立体20は前方に移動して弁座26と係合し、蛇口10を実質的に閉鎖し、これにより、流体の流れを防止する。この実施形態において、図4(a)に示されているように、ハンドル18は、さらに後方の位置に配置され得る。ハンドル18がさらに後方の位置に配置されたとき、反跳システムが係合され、ばね68が、ブッシュ66と下流弁端58の間で軸方向に圧縮する。この動作は、図3(a)及び図4(a)に示されているように、押えねじ64の横穴64bを、弁座26を超えて露出させる作用をもたらす。ビールは、穴71,64a及び64bの小さい開口を通して押し出され、泡状になる。こうして、ユーザは、グラスに注いだビールに泡を加えて良好な頭部を飾ることができる。この泡がなければグラスが魅力的にならないであろう。穴71,64a及び64bの各々は、分与される特定のビールのための滑らかな泡を形成する寸法の直径を有する。本発明の発明者の経験において、約0.005インチ(約0.0127cm)〜約0.09インチ(約0.229cm)の直径が最良の機能性をもたらすが、他の直径も有用である。
【0025】
注ぎ口16は、弁本体12の下流端に、好ましくは、弁本体12の下流端から下流に延在するねじ付きボス76上にねじ嵌めすることにより着脱可能に取り付けられる。注ぎ口16は、弁本体12に対して、注ぎ口16の軸方向上流端の溝80に取り付けられたOリング78によりシールされる。この回転関係により、注ぎ口16を取り外せば、流体に露出されているが流体に永久的には浸漬しない蛇口10の全ての部品(すなわち、弁座26、押えねじ64の端部、及びボス76の内部)にアクセス可能であり、これらの部品を、簡単な綿棒又は噴霧器(図示せず)を用いて容易に洗浄できる。
【0026】
本発明の一実施形態において、蛇口10は、さらに、分与される流体の流れを厳密に制御するための流れ制御機構を含む。図1,図3(a)及び3(b)に示されているように、流れ制御機構が流れ制御シャンク82を含み、シャンク82の内部に、ボス85を介して加圧流体容器(図示せず)に連結されることができるシャンクボア84が形成されている。好ましくは、ボス85は加圧容器に、ねじ連結を介して連結される。ボア82の内側は本質的に漏斗形状になっており、幅狭の中実の漏斗形状ヘッド88及び中実の溝付き尾部90を有するフローリストリクタ(制流部)86と実質的に嵌合するように設計されている。シャンク82及びフローリストリクタ86は、両方共、好ましくは、ステンレス鋼からつくられる。フローリストリクタ86のヘッド88は、さらに、少なくとも1つのオリフィス92を含み、オリフィス92は、中実の漏斗形状ヘッド88を通って漏斗形状ヘッド88の中央チャンバ94に通じる開口をもたらす。ヘッド88が、さらに、等間隔に配置された少なくとも4つのオリフィス92を含み、これらの全てが中央チャンバ94と流体連通していることが好ましい。
【0027】
フローリストリクタ86を収容しているシャンク82は、キーパーばね96、キーパーリング102及び口金100を補助として、ボア14に対して入口22の上流端に配置されている。口金100は、好ましくは、任意の適切な着脱可能な連結、例えば、ねじ連結により入口22に連結され、これにより、フローリストリクタ86のヘッドを弁本体12内部に把持する。
【0028】
入口弁22は、さらに、流れ調節ねじ106を受けるための角度付きボア105を含む。ボア105は、ねじ106の端部がフローリストリクタ86のヘッドに接触し得るように配置され、ねじ106は、この配置が可能な寸法につくられる。このようにして、流れ調節ねじ106の回転がフローリストリクタ86の軸方向変位の量を、非常に微細な調節の程度まで制御し、非常に厳密に調整された流れ制御をもたらす。
【0029】
調節ねじ106は、刻み付き頭を有する慣用のタイプのねじであってよく、或いは、軸方向に互いに嵌合された、不正操作防止機能付きの流れ調節ねじ頭108と調節キー112を設けることもできる。調節ねじ106の周りの漏れを減らすためのOリング110も設け得る。好ましくは、ねじ端108及び調節キーはステンレス鋼からつくられ、Oリングはエラストマ材料からつくられる。入口弁22上の角度付きボア105は、入口弁に対して傾斜した角度、好ましくは45度の角度に配置されている。調節キー112又は刻み付き頭を時計回りに回転させると、ねじ端108は、入口弁22のボア14のさらに内側に入る。
【0030】
動作において、図1,3(a)及び3(b)に示した好ましい実施形態に示されているように、フローリストリクタ86を収容しているシャンク82が入口弁22に連結されると、フローリストリクタ86は、弁のボア14の内部に部分的にスライドし得るように配置される。調節キー112を回転させると、調節ねじ106は、角度付きボア105を介して、入口弁22のボア14のさらに内側に入る。ねじ106は、フローリストリクタ86の、ボア14内部への移動を抑制する。図3(a)に示されているように、調節ねじ106を時計回りに徐々に回転させると、フローリストリクタ86の移動が徐々に抑制される。調節ねじ106は少なくとも360度回転でき、それにより、フローリストリクタ86の移動を非常に微細に制御することを可能にする。
【0031】
上流から入口22に流れ込む加圧流体の圧力が所望の圧力よりも高い場合、調節ねじ106を時計周りに回転させてフローリストリクタ86の移動を抑制すると、フローリストリクタ86は流体の流れを抑制する。反対に、流体の圧力が所望の圧力よりも低い場合には、図3(b)に示されているように、単に調節ねじ106を反時計周りに、所望の圧力を有する流体の流れを得るように徐々に回転させることにより、より多くの流体が蛇口10を通って流れることが可能になる。
【0032】
好ましくは、図1及び図4に示されているように、流体がシャンク82に入り、溝付き尾部90に沿って通過し、オリフィス92を介してヘッド88の中央チャンバ94に入り、次いで、ボア14を通過して、プランジャ組立体20の周囲の通路のチャネルに入る。図4(c)に示されているように、プランジャ組立体20が分与位置にあるならば、弁10は開いて、所望の圧力及び透明度を有する流体が分与される。図4(b)に示されているように、プランジャ組立体20が非分与位置にあるならば、流体はボア14を満たし、上記のように部品を含むプランジャ組立体が、空気にも細菌の繁殖にも全く露出されずに流体に浸漬される。さらに、図4(a)に示されているように、シャンク82に入った流体が、部分的に開放された泡形成位置にあるプランジャ組立体20を通して押し出され得る。ハンドル18をプッシュバック(後方に押された)泡発生モードに配置すると、流体、例えばビールの頭部を飾るための泡が形成される。
【0033】
このように、本発明を、最も実際的で好ましい実施形態と考えられる形態で本文に示し、記載してきたが、本発明が、以上に記載した特定の実施形態に限定することを意図されていないことが理解されよう。むしろ、本発明の変更が、当業者により、本発明の精神及び意図から逸脱せずに行われ得る。それゆえ、本発明は、本発明の主題の相応な均等物を全て含むものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に従って構成された蛇口の分解斜視図であり、流れ調節ねじを有するフローリストリクタ、及びプッシュバック泡形成機構を示す。
【図2】図1に示した蛇口の弁本体の断面図である。
【図3a】図1に示した蛇口の上方断面図であり、流れ調節ねじが或る位置にあり、且つ、プッシュバック泡形成機構が作動位置にある様子を示す。
【図3b】図1に示した蛇口の上方断面図であり、流れ調節ねじが図3(a)と異なる位置にあり、且つ蛇口が閉鎖位置にある様子を示す。
【図4a】図1に示した蛇口の断面図であり、図1に示した蛇口が泡発生モードにある様子を示す。
【図4b】図1に示した蛇口の断面図であり、蛇口が閉鎖位置にある様子を示す。
【図4c】図1に示した蛇口の断面図であり、蛇口が開放位置にある様子を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を分与するための衛生的蛇口であって、
(a)弁ボア及び入口を有する弁本体を備え、
(b)弁ボア内に実質的に配置されたプランジャ組立体を備え、
(c)フローリストリクタ組立体を備え、フローリストリクタ組立体が、
(i)弁本体の入口に着脱可能に取り付けられる第1のシャンク端部、及び、分与流体源に着脱可能に取り付けられる第2のシャンク端部を有するシャンクと、
(ii)プランジャ組立体と連通するヘッドを有する、前記シャンク内に配置されたフローリストリクタ部材とを含み、
(d)シャンク内でのフローリストリクタ部材の移動を調整する調節ねじ組立体を備える衛生的蛇口。
【請求項2】
弁ボアが軸方向に向けられており、軸方向に向いた弁ボアと連通している半径方向ボアをさらに含む請求項1に記載の衛生的蛇口。
【請求項3】
蛇口が、さらに、弁本体の前記半径方向ボアにねじ連結されたハンドル組立体を含む請求項1に記載の衛生的蛇口。
【請求項4】
ハンドル組立体が、プランジャ組立体と係合する枢動可能なレバーを含み、それにより、ハンドル組立体が後方に移動されるときにプランジャ組立体が前方に移動し、ハンドル組立体が前方に移動されるときにプランジャ組立体が後方に移動する請求項1に記載の衛生的蛇口。
【請求項5】
プランジャ組立体が、さらに、
(i)ハンドル組立体を受けるためのソケットをその上面に有するプランジャ部材と、
(ii)プランジャ部材の前端にある軸方向穴を有する軸方向ボスと、
(iii)付勢部材と、
(iv)弁棒の軸方向穴に付勢部材を通して取り付けられたシールリテーナとを含む請求項1に記載の衛生的蛇口。
【請求項6】
蛇口が、さらに、弁本体の出口に着脱可能に取り付けられた注ぎ口を含む請求項1に記載の衛生的蛇口。
【請求項7】
調節ねじ組立体が、さらに、
(i)弁ボアと連通する、角度を有して配置された調節ねじボアと、
(ii)少なくとも360度回転できる調節キーとを含む請求項1に記載の衛生的蛇口。
【請求項8】
前記ねじボアと前記弁ボアが成す角度が約45度である請求項7に記載の衛生的蛇口。
【請求項9】
シールリテーナが、さらに、シールリテーナの頭部に隣接して配置された少なくとも1つのオリフィスを含む請求項5に記載の衛生的蛇口。
【請求項10】
前記オリフィスの直径が約0.005インチ(0.0127cm)〜0.09インチ(約0.229cmcm)である請求項9に記載の衛生的蛇口。
【請求項11】
弁本体、プランジャ組立体、フローリストリクタ組立体及びねじ調節組立体、又はそれらの部品がステンレス鋼からつくられる請求項1に記載の衛生的蛇口。
【請求項12】
弁本体、プランジャ組立体、フローリストリクタ組立体及びねじ調節組立体、又はそれらの部品が食品グレードのプラスチックからつくられる請求項1に記載の衛生的蛇口。
【請求項13】
分与流体源の圧力が増大したときに、フローリストリクタの移動を抑制するために調節ねじ組立体が時計回りに回転される請求項1に記載の衛生的蛇口。
【請求項14】
分与流体源の圧力が低減したときに、フローリストリクタの移動の増大を許容するために調節ねじ組立体が反時計回りに回転される請求項1に記載の衛生的蛇口。
【請求項15】
起泡可能な流体を分与する方法であって、
(I)蛇口を設けることを含み、前記蛇口が、
(a)弁ボアを有する弁本体を有し、
(b)弁本体内に実質的に配置されたプランジャ組立体を有し、
(c)フローリストリクタ組立体を有し、フローリストリクタ組立体が、
(i)弁本体の入口に着脱可能に取り付けられる第1のシャンク端部、及び、分与流体源に着脱可能取り付けられる第2のシャンク端部を有するシャンクと、
(ii)プランジャ組立体と連通するヘッドを有する、前記シャンク内に配置されたフローリストリクタ部材とを含み、
(d)フローリストリクタ組立体のシャンク内での移動を調整する調節ねじ組立体を有し、
(II)分与流体源を取り付けて弁本体と流体連通させることを含み、
(III)調節ねじ組立体を回転させてフローリストリクタの移動を調整することを含み、この調整が、弁本体に入る流体が液体の起泡を回避するための十分に低い所望の圧力を有するように行われ、
(IV)所望の圧力の流体が弁本体に入ることを可能にし、それにより、プランジャ組立体を流体に浸漬させることを含み、
(V)ハンドル組立体を前方に移動させることによりプランジャ組立体を後方に移動させ、それにより、流体が前記ヘッドを越え、プランジャ組立体の周囲を通って弁本体から出るための通路を開き、流体が実質的に泡を有さずに分与されることを含む方法。
【請求項16】
分与流体源の圧力が増大したときに、フローリストリクタの移動を抑制するために調節ねじ組立体が時計周りに回転される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
分与流体源の圧力が低減したときに、フローリストリクタの移動の増大を許容するために調節ねじ組立体が反時計周りに回転される請求項15に記載の方法。
【請求項18】
流体を分与する衛生的蛇口のための泡形成の方法であって、
(I)以下の要件を備える蛇口を用いることを含み、
(a)弁ボア及び入口を有する弁本体と、
(b)弁本体内に実質的に配置されたプランジャ組立体とを含み、プランジャ組立体が、
(i)ハンドル組立体を受けるためのソケットをその上面に有するプランジャ部材と、
(ii)プランジャ部材の前端にある軸方向穴を有する軸方向ボスと、
(iii)付勢部材と、
(iv)弁棒の軸方向穴に前記付勢部材を通して連結され、且つ、前記軸方向穴と連通する横穴を有するシールリテーナとを有し、
(II)分与流体源を弁本体の入口に取付けることを含み、
(III)所望の圧力を有する流体にプランジャ組立体を浸漬させることを含み、
(IV)ハンドル組立体を後方に移動させ、それによりプランジャ組立体が前方に移動
され、それにより、流体のための通路の大部分を閉鎖し、それにより、流体を、軸方向穴及びシールリテーナの横穴を通して出口に向かわせ、出口に取り付けられた注ぎ口から押し出し、流体が泡と共に分与されることを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−513099(P2006−513099A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552112(P2004−552112)
【出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/036036
【国際公開番号】WO2004/044339
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(505171643)パーリック コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】PERLICK CORPORATION
【Fターム(参考)】