説明

流体のアリコットサンプルを移動させるための方法および装置

シャトルバルブを用いる、流体のアリコットサンプルを移動させる方法および装置が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、流体のアリコットサンプルを移動させるための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]本業界において、流体のアリコットサンプルを効率的および有効に移動させるための方法への需要がある。また、当業界には、流体のアリコットサンプルを有効に移動させることができる装置への需要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、流体のアリコットサンプルを移動させるための方法および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0003]本発明は、流体のアリコットサンプルを移動させるための方法に関する。開示される方法は、流体のアリコットサンプルを移動させる公知の方法に対して多数の利点を提供する。たとえば、開示される本発明の方法は、チャネルを通る流れのような大きな容積から、流体の非常に小さいサンプル容積またはアリコットを取り除くために用いることができる。また、開示される本発明の方法は、チャネルを通る流れのような流体のより大きな容積から、非常に少量のサンプル容積またはアリコットを取り除き、サンプルを他の流体の容積または容器へ運ぶために用いることができる。
【0005】
[0004]本発明は、流体のアリコットサンプルを移動させるための方法に関する。例示的な一実施形態において、本方法は、流体のアリコットサンプルを移動させる方法は、第1流体を提供するステップと、第2流体を提供するステップと、シャトルバルブを通る第2流体の連続的な流れ経路を維持しながら、第1流体からアリコットを第2流体へ移動さるためにシャトルバルブを用いるステップと、を有する。一実施形態において、第1流体は、シャトルバルブを通る連続的な流れ経路を有し、シャトルバルブは、アリコットが第2流体から取り除かれるときに開放したままである。他の実施形態において、第1流体および第2流体の両方は、シャトルバルブを通る連続的な流れ経路を有し、シャトルバルブは、アリコットサンプルが第1流体から取り除かれるときに開放したままである。
【0006】
[0005]本発明による他の例示的な実施形態において、流体のアリコットサンプルを取り除く方法は、第1流体を提供するステップと、シャトルバルブを通る第1流体の流れ特性に実質的に影響を与えることなく、第1流体からアリコットサンプルを取り除くためにシャトルバルブを使用するステップと、を有する。第1流体流れ経路の少なくとも一部がバルブを通じて実質的に直線であるために、シャトルバルブを通る第1流体の流れの少なくとも1一部は層流となり得る。さらなる例示的な実施形態において、シャトルバルブを通る第1流体の圧力は、実質的に一定であり、および/または、実質的に増加しない。代替実施形態において、アリコットサンプルは、第1流体から第2流体へ移動される。第2流体は、シャトルバルブを通る連続流れ経路を備えることができる。
【0007】
[0006]さらなる例示的な本発明の実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させる方法は、少なくとも2つのチャネルを備える静的本体を提供するステップを有し、各チャネルの少なくとも一部は平行であり、また、静的本体の第1表面を横切る。本方法はさらに、アリコットディンプルを備える動的本体を提供するステップを有し、動的本体の第1表面を横切る。静的本体の第1表面および動的本体は互いに接触する。チャネルおよびアリコットディンプルは、アリコットディンプルが第1位置において1つのチャネルに流体連通し、第2位置において他のチャネルに流体連通するように配置され、前記チャネルの1つを通って第1流体が流れ、前記チャネルの他方を通って第2流体が流れ、アリコットディンプルを第1位置に整合させ、第1流体のサンプル部分がアリコットディンプルに流れることを可能にし、アリコットディンプルを第2位置へ移動させ、それにより、サンプル部分が第2流体へ移動される。
【0008】
[0007]本発明は、流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置に関する。例示的な一実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させる本装置は、流体の非常に少量のサンプル容積またはアリコットを、流体のより大きな容積から取り除くように作動的に構成されるハードウェアを有する。流体のより大きな容積は、たとえばチャネルを通って流れる流れのようなものである。開示される本発明の装置は、流体の非常に小さなサンプル容積またはアリコットを、より大きな流体の容積から取り除き、そのサンプルを流体の他の容積または容器へ移動させるために用いることができる。流体のより大きな容積は、たとえば、チャネルを通る流体の流れのようなものである。
【0009】
[0008]例示的な一実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置は、第1流体と、第2流体と、第2流体のシャトルバルブを通る連続的な流れ経路を維持したまま、第1流体から第2流体へアリコットを移動させることができるシャトルバルブと、を有する。一実施形態において、本装置は、第1流体のシャトルバルブを通る連続的な流れ経路を維持したまま、第1流体からアリコットを取り除くことができる。他の実施形態において、本装置は、第1流体および第2流体の両方の連続流れ経路を維持したまま、第1流体からアリコットを取り除くことができる。
【0010】
[0009]本発明による他の実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置は、第1流体チャネルと、第2流体チャネルと、バルブを通る第1チャネルの流体の流れ特性に実質的に影響を与えることなく、第1チャネルから第2チャネルへ流体のアリコットを移動させることができるシャトルバルブと、を有する。バルブを通る第1チャネルの少なくとも一部は、実質的に直線とすることができる。この実施形態において、シャトルバルブを通る第1チャネル内の流体の圧力は、実質的に増加しない。他の実施形態において、第1チャネルの少なくとも一部は、実質的にアリコットディンプルに平行とすることができ、アリコットディンプルはバルブを通る第1チャネル内の流体の層流を提供する。さらなる実施形態において、バルブを通る第2チャネルの少なくとも一部は、実質的に直線である。この実施形態において、シャトルバルブを通る第2チャネル内の流体の圧力は実質的に増加しない。他の例示的な実施形態において、第2チャネルは、アリコットディンプルに実質的に平行であり、アリコットディンプルは、バルブを通る第2チャネル内の流体の層流を提供する。
【0011】
[0010]本発明のさらなる例示的な実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置は、少なくとも2つのチャネルを備える静的本体を有し、各チャネルの一部は、静的本体の第1表面を横断する。本装置はさらに、アリコットディンプルを備える動的本体を有し、アリコットディンプルは動的本体の第1表面を横断する。静的本体の第1表面および動的本体の第1表面は、互いに隣接し、チャネルおよびアリコットディンプルは、アリコットディンプルが第1位置においてチャネルの1つに流体連通し、第2位置において他のチャネルに流体連通するように配置される。ここで、第1チャネルの少なくとも一部は、静的本体の第1表面に実質的に平行である。代替的な例示的な実施形態において、バルブを通る第1チャネルの少なくとも一部は、実質的に直線とすることができる。例示的な一実施形態において、シャトルバルブを通る第1チャネル内の流体の圧力は、実質的に増加しない。他の例示的な実施形態において、第1チャネルの少なくとも一部は、実質的にアリコットディンプルに平行とすることができる。例示的な実施形態において、バルブを通る第1チャネル内の流体の流れは層流である。さらなる実施形態において、バルブを通る第2チャネルの少なくとも一部は、実質的に直線とすることができる。さらなる実施形態において、シャトルバルブを通る第2チャネル内の流体の圧力は、実質的に増加しない。他の例示的な実施形態において、第2チャネルは実質的にアリコットディンプルに平行とすることができる。一実施形態において、バルブを通る第2チャネル内の流体の流れは、層流とすることができる。
【0012】
[0011]本発明によるさらなる例示的な実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置は、少なくとも2つのチャネルを備える静的本体を有し、各チャネルの一部は、静的本体の第1表面を横断する。本装置はさらに、アリコットディンプルを備える動的本体を有し、アリコットディンプルは動的本体の第1表面を横断する。静的本体の第1表面および動的本体の第1表面は、互いに隣接し、チャネルおよびアリコットディンプルは、アリコットディンプルが第1位置においてチャネルの1つに流体連通し、第2位置において、他のチャネルに流体連通するように配置される。ここで、第2チャネルの少なくとも一部は、静的本体の第1表面に実質的に平行である。
【0013】
[0012]さらなる実施形態において、本発明の装置は、静的本体がアリコットディンプルを含み、動的本体が少なくとも2つのチャネルを含むように構成することができる。さらに、本発明の装置は、動的なものである少なくとも1つの本体を含み、たとえば、静的本体を備えない2つまたはそれ以上の動的本体を含むことができる。
【0014】
[0013]本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、以下において、開示される実施形態の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を参照することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明において使用するのに好適な例示的なシャトルバルブの動作を示す図である。
【図2】本発明において使用するのに好適なシャトルバルブの断面図である。
【図3A】本発明において使用するのに好適なシャトルバルブの例示的な静的本体を示す図である。
【図3B】本発明において使用するのに好適なシャトルバルブの例示的な静的本体を示す図である。
【図3C】本発明において使用するのに好適なシャトルバルブの例示的な静的本体を示す図である。
【図4】本発明において使用するのに好適なシャトルバルブの例示的な動的本体を示す図である。
【図5】本発明において使用するのに好適なシャトルバルブの例示的な動的本体を示す図である。
【図6A】本発明において使用するのに好適な例示的なシャトルバルブの動作を示す断面図である。
【図6B】本発明において使用するのに好適な例示的なシャトルバルブの動作を示す断面図である。
【図7】クロマトグラフィーシステムにおいて使用するのに好適なサンプルアナライザの一部としての例示的なシャトルバルブを示す図である。
【図8】クロマトグラフィーシステムにおいて使用するのに好適なサンプル注入バルブとしての例示的なシャトルバルブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0022]本発明の原理の理解を促進するために、本発明の特定の実施形態の説明がなされ、特定の実施形態を説明するために特定の用語が使用される。しかし、特定の用語の使用により本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。議論される本発明の代替形態、さらなる修正形態、および原理のさらなる応用は、本発明の属する技術分野における当業者に通常に理解されるものと考えられる。
【0017】
[0023]本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数の形態は、文脈から明らかに除外されない限り複数の参照物を含む。したがって、たとえば、「溶媒」というとき、複数の溶媒を含み、「溶媒」との言及は、1つまたはそれ以上の溶媒および当業者に公知のその等価物への言及を含む。
【0018】
[0024]「約」との語は、たとえば、組成物の成分の品質、濃度、容積、プロセス温度、プロセス時間、収率または分留り、流速、等の値および範囲を修飾し、本開示の実施形態を説明するために採用され、数値的な品質の変動が生じ得ることを意味する。たとえば、典型的な測定および処理手順、これらの手順における偶発的な誤差、本方法を実行するために使用される成分の差異、および近似などにより変動が生じ得る。また、「約」との語は、特定の初期濃度または混合物の処方の時間経過による変動の量を包含し、また、特定の初期濃度または混合物の処方の混合または処理により生じる変動の量を包含する。「約」との語に修飾されるかどうかにかかわらず、添付の特許請求の範囲は、それらの質の等価物を含む。
【0019】
[0025]本明細書において、「シャトルバルブ」との語は、流体の1つまたはそれ以上のソースから他の位置への供給を規制する制御バルブを意味する。シャトルバルブは、流れているサンプルを他の位置へ移動させるために、回転運動または直線運動を利用することができ、また、少なくとも1つの本体または部位が動的であるように構成することができる。
【0020】
[0026]本明細書において、「流体」との語は、ガス、液体、および超臨界流体を意味する。
[0027]本明細書において、「層流」との語は、流体の滑らかな規則的な運動を意味し、ここでは乱流が存在せず、任意の副流れが近傍の副流れに概ね平行である。
【0021】
[0028]本明細書において、「実質的に」との語は、合理的な量の範囲内であることを意味し、絶対値の約0%から約50%まで、約0%から約40%まで、約0%から約30%まで、約0%から約20%まで、または約0%から約10%まで、変化する量を含む。
【0022】
[0029]本発明は、流体のアリコットサンプルを移動させる方法に関する。本発明はさらに、流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置に関する。本発明はさらに、流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置または装置要素に使用するのに好適なコンピュータソフトウェアに関する。このコンピュータソフトウェアにより、この装置が、本明細書で説明される1つまたはそれ以上の方法のステップを実行することができるようになる。
【0023】
[0030]流体のアリコットサンプルを移動させる例示的な方法の説明、および流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置の説明が以下に提供される。
I. 流体のアリコットサンプルを移動させる方法
[0031]本発明は、流体のアリコットサンプルを移動させる方法に関する。流体のアリコットサンプルを移動させる本方法は、多数のプロセスステップを含み、これらのいくつかが以下で説明される。
【0024】
[0032]例示的な実施形態において、本発明によるシャトルバルブは、流体のアリコットサンプルの、1つの容器または流れから他へ移動を動的に制御する。本明細書において、「動的に制御する」との文言は、シャトルバルブを通る流れの流体流速の変化が生じるかもしれないが、所定のシャトルバルブが1つの容器または流れから他への流体輸送を制御する能力について言及している。単に流体流れを分割する「受動的」な流れ分離器とは異なり、本発明で使用されるシャトルバルブは、サンプル流れ内の流体流れの生じ得る変動にかかわらず、流体のアリコットサンプルの1つの流れから他への移動を制御する。たとえば、流れ制限、全流速、温度、および/または溶媒組成のような変動である。
【0025】
[0033]流体のアリコットサンプルの1つの流れまたは容器から他への輸送を動的に制御するステップは、たとえば、本発明のシャトルバルブに駆動信号を送るステップを備えることができ、(i)シャトルバルブを活性化させ、(ii)シャトルバルブを非活性化させ、(iii)シャトルバルブの1つまたはそれ以上の流れ設定値および/または圧力設定値を変更し、または(iv)(i)から(iii)までの任意の組み合わせを行う。好適な流れ設定値および圧力設定値は、限定するわけではないが、(i)バルブ位置、(ii)シャトルバルブ圧力、(iii)バルブへの空気圧力、または(iv)(i)から(iii)までの任意の組み合わせ、を含む。典型的には、駆動信号は、たとえば、電気信号、空気信号、またはワイヤレス信号の形態である。
例示的な一実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させる方法は、第1流体を提供するステップと、第2流体を提供するステップと、第2流体のシャトルバルブを通る連続的な流れ経路を維持しながら、アリコットを第1流体から第2流体へ移動させるためにシャトルバルブを使用するステップと、を有する。一実施形態において、第1流体は、シャトルバルブを通る連続的な流れ経路を有し、シャトルバルブは、第1流体からアリコットが取り除かれるときに開放したままである。他の実施形態において、第1流体および第2流体の両方は、シャトルバルブを通る連続的な流れ経路を有し、シャトルバルブは、第1流体からアリコットサンプルが取り除かれるときに開放したままである。
【0026】
[0034]本発明の他の例示的な実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させる方法は、第1流体を提供するステップと、シャトルバルブを通る第1流体の流れ特性に実質的に影響を与えることなく、第1流体からアリコットサンプルを取り除くためにシャトルバルブを使用するステップと、を有する。バルブを通る第1流体の流体経路の少なくとも一部が、実質的に直線であることにより、シャトルバルブを通る第1流体の流れの少なくとも一部は、実質的に層流とすることができる。さらなる例示的な実施形態において、シャトルバルブを通る第1流体の圧力は、実質的に一定であり、および/または、実質的に増加しない。代替実施形態において、アリコットサンプルは、第1流体から第2流体へ移動される。第2流体は、シャトルバルブを通る連続的な流れ経路を有することができる。
【0027】
[0035]本発明によるさらなる例示的な実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させる方法は、少なくとも1つのチャネルを備える静的本体を提供するステップを有し、各チャネルの少なくとも一部は、静的本体の第1表面に平行であり且つこれを横断する。本方法はさらに、アリコットディンプルを備える動的本体を提供するステップを有し、アリコットディンプルは、動的本体の第1表面を横断する。静的本体の第1表面および動的本体は、互いに隣接し、チャネルおよびアリコットディンプルは、アリコットディンプルが第1位置においてチャネルの1つに流体連通し、第2位置でチャネルの他方に流体連通するように配置され、第1流体が前記チャネルの1つを通って流れ、前記チャネルの他方を通って第2流体が流れ、アリコットディンプルが第1位置に整合し、第1流体のサンプル部が、アリコットディンプルへ流れることを可能にし、アリコットディンプルを第2位置へ移動させ、それにより、サンプル部が第2流体へ移動される。
【0028】
[0036]図1−2は、本発明の例示的なシャトルバルブを示し、流体のアリコットサンプルの1つの流体流れから他方への移動させる動作を示す。図1に示されるように、シャトルバルブ100は、第1流れの入口111を有し、これは、サンプル流れまたは容器からシャトルバルブ100へ流体流れを提供する。シャトルバルブ100はさらに、第1流れの入口111を出口114に接続するチャネル117と、動的本体119のディンプル116内の流入サンプルアリコット容積部118と、シャトルバルブ100からサンプル流れまたは容器へ、あるいは異なる流れまたは容器へ流体流れを提供する出口114と、シャトルバルブ100を通る第2流れの流体流れを提供する入口115と、ディンプル116へ流出するサンプルアリコット容積部118と、入口115を出口113に接続するチャネル120と、を有し、出口130は、シャトルバルブ100を通り他の流れまたは容器への流体流れを提供する。
【0029】
[0037]流体が入口111からシャトルバルブ100を通りチャネル117を介して出口114へ流れるとき、ディンプル116内の流入サンプルアリコット容積部118は、流体の特定の容積で満たされ、これは、ここではサンプルアリコット118と言及される(図1の影付きの領域で示される)。所望の時間において、動的本体119のディンプル116を回転させることにより、ディンプル回転経路122を介して、シャトルバルブ100は、ディンプル116内のサンプルアリコット118をチャネル117からチャネル120へ移動させる。サンプルアリコット118がチャネル120に移動されると、入口115からチャネル120を通って流れるガスまたは液体は、サンプルアリコット118を出口113へ輸送する。本発明のシャトルバルブの他の利点は、バルブを通るチャネルの流体設計に関する。バルブを通る背圧を最小化するために、チャネル117、120を通る流れは連続的である。これは、動的本体119が存在する位置にかかわらず、シャトルバルブ100を通る流れが連続的になるように、チャネル117、120を静的本体122内に配置することにより達成される(図2に示される)。図1に示されるように、チャネル117およびチャネル120の少なくとも一部は、実質的に平面とすることができ、および/または直線状とすることができ、これは乱流を減少させ、バルブを通る圧力の上昇を最小化する。さらに、チャネル117およびチャネル120の少なくとも一部は、実質的にディンプル116に平行とすることができ、これはさらに、乱流流れを制限し、バルブ内の圧力の上昇を制限する。たとえば、シャトルバルブを通る「圧力を実質的に上昇させる」との語は、バルブ内の圧力を50psiより増加させない構成、好ましくは30psiより増加せせない構成、より好ましくは、20psiより増加させない構成、さらに好ましくは10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1psiより上昇させない構成を含む。ディンプル116は、動的本体119内に位置し、また、動的本体の面と流体連通し、これは静的本体122に隣接する。それにより、動的本体119が第1位置にあるときに、ディンプル116はチャネル117と流体連通し、第2位置に移動したとき、ディンプル116はチャネル120と流体連通する。ディンプル116は任意の形態およびサイズとすることができるが、図においては半球体の凹部として示されている。例示的な実施形態において、ディンプルは、非常に小さいサイズとすることができるが(たとえば、2000nL未満、好ましくは約500nL未満、より好ましくは約100nL未満、さらに好ましくは約1nL未満)、1nLから2000nLの任意のサイズとすることができ、これにより迅速なサンプリングが可能になる。さらに、小さなディンプル116サイズにより、非常に短いディンプル回転経路121を可能にし、これは動的本体119および静的本体122の表面上での摩擦を有意に減少させ、メンテナンスが必要になる前のシャトルバルブ使用期間を長くさせることができる(たとえば、保守前に一千万サイクル以上が可能である)。
【0030】
[0038]シャトルバルブ100は、所望のサンプリング周波数で、少なくとも1つの検出器へ移動させるために、サンプルアリコット(たとえばサンプルアリコット118)をサンプルから取り除くようにプログラムすることができる。例示的な一実施形態において、サンプリング周波数は10秒ごとに少なくとも1サンプルアリコットである(または、5秒ごとに少なくとも1サンプルアリコット、または、3秒ごとに少なくとも1サンプルアリコット、または、2秒ごとに少なくとも1サンプルアリコット、または0.5秒ごとに少なくとも1サンプルアリコット、または0.1秒ごとに少なくとも1サンプルアリコット)。このシャトルバルブは、米国仮特許出願第61/005590号におけるクロマトグラフィーシステムに関連してさらに説明され、この出願の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
II.流体のサンプルアリコットを移動させる装置
[0039]本発明は、流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置に関する。例示的な一実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させる装置は、流体の非常に小さいサンプル容積またはアリコットを、チャネルを通る流れのような流体のより大きい容積から取り除くように構成されるハードウェアを有する。また、本発明の開示される装置は、流体の非常に小さいサンプル容積またはアリコットを、チャネルを通る流れのようなより大きな流体の容積から取り除き、また、他の流体の容積または容器へ移動させるのに用いることができる。
【0032】
[0040]例示的な一実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置は、第1流体と、第2流体と、第2流体のシャトルバルブを通る連続的な流れ経路を維持したまま、第1流体から第2流体へアリコットを移動させることができるシャトルバルブと、を有する。一実施形態において、本装置は、第1流体のシャトルバルブを通る連続的な流れ経路を維持したまま、第1流体からアリコットを取り除くことができる。他の実施形態において、本装置は、第1流体および第2流体の両方の連続的な流れ経路を維持したまま、第1流体からアリコットを取り除くことができる。
【0033】
[0041]本発明による他の実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置は、第1流体チャネルと、第2流体チャネルと、バルブを通る第1流体チャネル内の流体の流れ特性に実質的に影響を与えることなく、第1チャネルから第2チャネルへ流体のアリコットを移動させることができるシャトルバルブと、を有する。バルブを通る第1チャネルの少なくとも一部は、実質的に直線とすることができる。この実施形態において、シャトルバルブを通る第1チャネル内の流体の圧力は、実質的に増加しない。他の例示的な実施形態において、第1チャネルの少なくとも一部は、アリコットディンプルに実質的に平行であり、これは、バルブを通る第1チャネル内の流体の層流を提供する。さらなる実施形態において、バルブを通る第2チャネルの少なくとも一部は、実質的に直線とすることができる。この実施形態において、シャトルバルブを通る第2チャネル内の流体の圧力は、実質的に増加しない。他の例示的な実施形態において、第2チャネルはアリコットディンプルに実質的に平行とすることができ、これはバルブを通る第2チャネル内の流体の層流を提供する。
【0034】
[0042]本発明のさらなる例示的な実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置は、少なくとも2つのチャネルを備える静的本体を有し、各チャネルの一部は、静的本体の第1表面を横断する。本装置はさらに、アリコットディンプルを備える動的本体を有し、アリコットディンプルは動的本体の第1表面を横断する。静的本体の第1表面および動的本体の第1表面は互いに隣接し、チャネルおよびアリコットディンプルは、アリコットディンプルが第1位置にあるときにチャネルの1つに流体連通し、第2位置にあるときに他のチャネルに流体連通するように配置される。ここで、第1チャネルの少なくとも一部は、静的本体の第1表面に実質的に平行である。代替的な例示的な実施形態において、バルブを通る第1チャネルの少なくとも一部は、実質的に直線とすることができる。例示的な実施形態において、シャトルバルブを通る第1チャネル内の流体の圧力は実質的に増加しない。他の例示的な実施形態において、第1チャネルの少なくとも一部は、アリコットディンプルに実質的に平行である。例示的な実施形態において、バルブを通る第1チャネル内の流体の流れは層流である。さらなる実施形態において、バルブを通る第2チャネル内の流体の圧力は実質的に増加しない。他の例示的な実施形態において、第2チャネルはアリコットディンプルに実質的に平行とすることができる。一実施形態において、バルブを通る第2チャネル内の流体の流れは層流とすることができる。
【0035】
[0043]本発明のさらなる例示的な実施形態において、流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置は、少なくとも2つのチャネルを備える静的本体を有し、各チャネルは静的本体の第1表面を横断する。本装置はさらに、アリコットディンプルを備える動的本体を有し、アリコットディンプルは動的本体の第1表面を横断する。静的本体の第1表面および動的本体の第1表面は互いに隣接し、チャネルおよびアリコットディンプルは、アリコットディンプルが第1位置においてチャネルの1つの流体連通し、第2位置において他のチャネルに流体連通するように配置される。ここで、第2チャネルの少なくとも一部は、静的本体の第1表面に実質的に平行である。
【0036】
[0044]本発明によるさらなる実施形態において、流体アリコットサンプルを移動させることができる装置は、少なくとも2つのチャネルを備える静的本体を有し、各チャネルの一部は静的本体の第1表面を横断する。本装置はさらに、アリコットディンプルを備える動的本体を有し、アリコットディンプルは動的本体の第1表面を横断する。静的本体の第1表面および動的本体の第1表面は互いに隣接し、チャネルおよびアリコットディンプルは、アリコットディンプルが第1位置においてチャネルの1つの流体連通し、第2位置において他のチャネルに流体連通するように配置される。ここでシャトルバルブの寿命は、保守が必要になる前に少なくとも約百万サイクル、2百万サイクル、4百万サイクル、5百万サイクル、6百万サイクル、7百万サイクル、8百万サイクル、9百万サイクル、1千万サイクルである。
【0037】
[0045]上述した図1、2は、本発明による装置の例示的な実施形態の要素を示す。シャトルバルブ内のチャネルの構成は、バルブを通る連続的な流れを提供し、バルブを通る流れにおける実質的な圧力の増加を低減させ、および/またはバルブを通る層流を提供する。
【0038】
[0046]図3A−3Cは、本発明によるバルブの例示的なチャネル構成を示す。バルブ内のチャネルの少なくとも一部は、静的本体の第1表面に実質的に平行である。たとえば、図3Aは、本発明の例示的な一実施形態によるシャトルバルブ100の断面図を示している。静的本体122は、第1表面102に平行な少なくとも2つのチャネル117、120を備える。これは、静的本体の第1表面102の全幅に関して隣接する。代替的な例示的実施形態において、チャネル117、120は平行であり、且つ、静的本体122の第1表面102の少なくとも一部に隣接する(図3B参照)。さらなる例示的な実施形態において、チャネル117、120は表面に平行であり、また、円周方向に延びる(図3C参照)。チャネル117、120の一部は、静的本体122の第1表面102に隣接し、また、サイズおよび形状が異なる。しかし、典型的には動的本体119内のディンプル116のサイズより大きい。たとえば、チャネル117、120は、静的本体122の第1表面102に隣接し、また、矩形、円形、楕円形とすることができ、静的本体の面上で様々な位置に配置することができる。典型的には、これらは、1つのチャネル117から他方のチャネル120へ回転したときに、ディンプル116を横断するように配置される。
【0039】
[0047]他の例示的な実施形態において、動的本体119のディンプル116は、チャネル117からチャネル120へ容易に回転できるように構成することができる。ディンプル116は任意の形状とすることができ、たとえば、矩形、円形、楕円形、四角形、等とすることができる。これは迅速な流体移動または質量輸送を可能にする。図では半球の凹部として示され、任意の形状とすることができる(図4参照)。例示的な実施形態において、ディンプル116は、非常に小さいサイズとすることができ(たとえば、2000nL未満、好ましくは約500nL未満、より好ましくは約100nL未満、より好ましくは約1nL未満)、1nLから2000nLまでの任意のサイズとすることができ、これは迅速なサンプリングを可能にする。さらに、小さなディンプル116のサイズにより、非常に短いディンプルの回転経路121が可能になり、これは、動的本体119と静的本体122との表面上の摩擦を有意に減少させ、シャトルバルブ100の、保守が必要になる前の使用寿命を延ばす(たとえば、保守の前に1千万サイクル以上が可能)。ディンプル116は、動的本体119の第1表面104上に配置され、チャネル117、120を容易に横断する。
【0040】
[0048]代替実施形態において、本発明のシャトルバルブは、2つ以上のチャネルおよび/または1つ以上のディンプルを備えることができ、これは、同時にまたは迅速に連続的に、アリコットサンプルを複数移動させることができ、および/または同時にまたは連続的に複数のサンプルを複数のチャネルへまたは複数のチャネルから輸送することができる。たとえば、動的本体119は、複数のディンプル116を、同一の円周に沿って含むことができ、動的本体119は、一方向にのみ回転する(図5)。
【0041】
[0049]他の実施形態において、本発明のシャトルバルブは、軸の周りを回転するもの以外の構成とすることができる。たとえば、シャトルバルブは、流体のアリコットサンプルを移動させるのに直線運動が用いられるように設計することができる。図6A−Bは、直線運動するシャトルバルブ151の断面図を示し、ここで、動的本体119は、静的本体122の上を直線運動し、ある位置(図6Aに示される)でディンプル118がチャネル117に整合し、他の位置(図6B)でディンプル118がチャネル120に整合する。このようにして、サンプルアリコットは、チャネル117からチャネル120へ輸送される。
【0042】
[0050]さらなる実施形態において、シャトルバルブ100は、動的本体119および静的本体122が、これらの部分で最小の摩擦になるように構成される。たとえば、ディンプル116およびチャネル117、120は、ポート、溝またはチャネル、およびこれらの開口部が占める表面領域の数を最小化するように設計され、これによりシャトルバルブ100の寿命を長くすることを可能にする(たとえば、少なくとも約百万サイクル、好ましくは少なくとも約2百万サイクル、より好ましくは少なくとも約5百万サイクル、より好ましくは少なくとも約一千万サイクル)。さらに、この設計は、増加した動作圧力の使用を可能にし、少なくとも約69kPa(約10psi)、好ましくは少なくとも約690kPa(約100psi)、より好ましくは約6.9MPa(約1000psi)、さらに好ましくは少なくとも約69MPa(約10000psi)(たとえば約138MPa(約20000psi))である。
【0043】
[0051]例示的なさらなる実施形態において、シャトルバルブ100は、バルブの寿命を増加させる材料から形成される。静的本体122および動的本体119は、容易に機械加工でき、適切なシール、低トルク、静的本体122と動的本体119との間の摩擦の抵抗性を提供する材料から形成される。たとえば、そのような材料は有機材料を含み、たとえば、ポリエチレン(たとえば高分子量ポリエチレン)、ポリエーテル(たとえばポリエーテルエーテルケトン)、フルオロポリマー(たとえばポリテトラフルオロエチレン)、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド等を含み、また、これらの混合物を含む。また、セラミック、金属等の無機材料を含む。材料は、これらの材料の混合物および複合材を含むことができ、または、これらの材料で被覆してもよい。例示的な一実施形態において、動的本体119は、超高分子量ポリエチレンから形成され、静的本体122は、天然ポリエーテルエーテルケトンから形成される。
【0044】
IV.応用/使用
[0052]上述の方法および装置は、流体のアリコットサンプルを1つの流体から他方へ移動させるのに用いることができる。上述の方法および装置は、限定するわけではないが、石油産業、製薬産業、分析研究などを含む流体を用いる産業に利用できる。
【0045】
[0053]図7は、与えられた液体クロマトグラフィーシステム内でのシャトルバルブの動作を示す。図7に示されるように、シャトルバルブ100は、クロマトグラフィーカラム入口11を有し、これはクロマトグラフィーカラム(たとえばカラム11)からシャトルバルブ100への流体流れを提供する。さらに、シャトルバルブ100は、ディンプル116内の流入サンプルアリコット容積部118と、画分収集器出口114と、を有する。画分収集器出口114は、シャトルバルブ100から画分収集器(たとえば画分収集器14)への流体流れを提供する。さらに、シャトルバルブ100は、ガスまたは液体入口115を有し、これは、シャトルバルブ100の一部を通じてポンプ140を使用してガス(たとえば空気、窒素等)または液体(たとえばアルコール)の流れを提供する。さらにシャトルバルブ100は、流出サンプルアリコット容積部118と、検出器出口113と、を有する。検出器出口113は、シャトルバルブ100から検出器(たとえば、ELSDのような検出器)への流体流れを提供する。
【0046】
[0054]流体が、シャトルバルブ100を通って、クロマトグラフィーカートリッジから入口111へ流れ、チャネル117を介して画分収集器出口114へ流れるとき、ディンプル116は、流入サンプルアリコット容積部118の特定の容積で満たされる(図7の影付きの領域で示される)。所望の時間において、シャトルバルブ100は、図7に示すように、ディンプル116内の流入サンプルアリコット容積118をディンプル回転経路121を介してチャネル120へ移動させる。サンプルアリコット118がチャネル120へ移動されると、入口115からチャネル120を通って流れるガスまたは液体は、サンプルアリコット118を、検出器出口113を介して検出器131(たとえばELSD)へ輸送する。
【0047】
[0055]他の例示的な実施形態において、シャトルバルブは、第1流体から単一のアリコットを第2流体へ移動させるために用いることができる。たとえば、第1流体は、サンプルディンプル内へ導入することができ、サンプルアリコットを第2流体へ配置する単一の運動が行われる。この構成において、本発明のシャトルバルブは、クロマトグラフィーシステムまたはカラムへの分離のためにサンプルを注入するのに用いることができる。このサンプル導入は、他が注入される前に、カラムまたはシステムを通じて完全に進行される。この注入モードの実施形態は、典型的には、より従来のHPLC用途に用いられ、ここで、単一のサンプルアリコット(1ディンプル容積)は、他のサンプル容積がシステムに注入される前に、完全に解析される。本発明のシャトルバルブの設計は、非常に小さな流体のアリコットサンプルを可能にするので、このバルブは、ミクロ、およびナノのクロマトグラフィーシステムに用いることができる。図8は、そのような設計の例示的な実施形態を示し、ここで、シャトルバルブ151は、サンプル流体11からアリコットを流体113へ注入し、クロマトグラフィーカラム11へ注入するために用いられる。
【0048】
[0056]代替的な例示的な実施形態において、本発明のシャトルバルブは、調薬装置として利用することができる。たとえば、そのようなバルブは、調薬、食品加薬、化学調合、娯楽水場(プールおよびスパ)への化学物質添加、農産物への肥料分配などを含む多くの製造プロセスにおいて使用することができる。例示的な一実施形態において、調薬装置は、2つの流れ経路を含むことができ、各々はそれぞれの流速で流れる。化学物質Aは、所定の流速で主流れ経路に導入される。本発明の他のバルブにより、第2の化学物質Bは、離散的な速度で第2流れ経路に導入することができる。複数のバルブにより、複雑な化学物質の添加を流れ付加することができ、また、流れを複数の製品容器に分配することができる。流れが添加した化学物質を自然に混合するので、混合は化学物質が流れに導入されると同時に達成される。大きな調薬容積スケールにおいて、水のような主キャリア要素とともに多くの消費者製品が製造される。ポンプで分配するのは洗浄およびメンテナンスが必要なのに対して、本発明のバルブはいくつかの用途に簡単な代替方法を提供する。小さなスケールにおいて、調薬装置は、本発明のシャトルバルブを含むことができ、任意の成分濃度で化学物質をルーチン的に混合するのに用いることができる。代替的に、化学物質調合に重力が用いられる場合、本発明のシャトルバルブを利用することができ、それにより調合化学物質の廃棄可能な容器は、一時的にバルブに取り付けられ、所定の間隔で交換される。この実施形態において、ポンプ装置は必要でないことがあり、それゆえ、追加的なハードウェアのコストを節約する。これは、低い消費電力で(たとえばソーラーパワー)いくつかの用途において化学物質を分配することができるので、農業ビジネスのような様々な市場で利益があり、また、家庭での使用にも利益がある。
【実施例】
【0049】
[0057]以下の実施例により本発明が説明される。これらは、いかなる意味でも本発明を限定することを意図するものではない。本明細書を参照することにより、当業者は、本発明の趣旨および/または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態、修正形態、およびそれらの等価形態が可能であることを理解されたい。
【実施例1】
【0050】
[0058]この実施例において、flash REVELERIS(登録商標)システム(Grace Davison Discovery Sciencesより入手可能)が用いられた。ジオクチルフタラート(dioctylphthalate)およびブチルパラベンを含む混合物4mLが、4g GRACERESOLVE(商標) C18フラッシュカートリッジ(Grace Davison Discovery Sciencesより入手可能)に注入され、これがフラッシュシステムに取り付けられた。ALLTECH(登録商標)モデル300LCポンプを用いて、80/20のメタノール/水の可動相がシステムを通じてポンプされた。カラム流出物は、本明細書で説明されたようにシャトルバルブに導かれ、カラム流出部は300uL/minで、ALLTECH(登録商標)3300ELSDに導かれた。流出物の残りはOcean Optics UV検出器を通ってGilson(登録商標)画分収集器へ流れた。
【0051】
[0059]限られた数の実施形態により本発明が説明されてきたが、これらの具体的な実施形態は、特許請求の範囲で画定される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書の例示的な実施形態を参照することにより、当業者にさらなる修正形態、等か形態、変形形態が可能であることが明らかであろう。実施形態におけるあらゆる割合およびパーセンテージは、特に明記しないかぎり重量によるものである。さらに、本明細書および特許請求の範囲に記載された、特定の品質、測定単位、条件、物理状態、パーセンテージなどの数値の範囲は、その範囲にあるあらゆるものを文言的に明示的に含むことを意図しており、また、記載された範囲内の任意の部分集合を含む。たとえば、下限Rおよび上限Rが数値で示される場合、その範囲内に入るあらゆる数値Rが明示的に開示されている。特に、範囲内の以下の数値Rが明示的に開示されている。すなわち、R=R+k(R−R)、ここでkは、1%から100%まで、1%きざみで増加する変数であり、たとえばkは、1%、2%、3%、4%、5%、・・・50%、51%、52、・・・95%、96%、97%、98%、100%である。さらに、上述の式により計算されるRの任意の2つの値で示される任意の数値範囲も明示的に開示されている。本明細書で開示・図示されたものに加えて本発明のあらゆる修正形態は、上述の説明および添付図面から当業者に明らかであろう。そのような修正形態は、特許請求の範囲にあることを意図している。本明細書で言及されたあらゆる出版物は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体のアリコットサンプルを1つの流体から他方へ移動させる方法であって、前記方法は、
(a)第1流体を提供するステップと、
(b)第2流体を提供するステップと、
(c)シャトルバルブを通る前記第2流体の連続的な流れ経路を維持したまま、前記第1流体から前記第2流体へ前記流体のアリコットサンプルを移動させるためにシャトルバルブを使用するステップと、を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記流体のアリコットサンプルが前記第1流体から取り除かれるときに、前記シャトルバルブを通る前記第1流体の連続的な流れ経路が維持される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記第1流体から前記流体のアリコットサンプルが取り除かれるときに、前記シャトルバルブを通る前記第1流体および前記第2流体の連続的な流れ経路が維持される、方法。
【請求項4】
流体のアリコットサンプルを移動させる方法であって、前記方法は、
(a)第1流体を提供するステップと、
(b)シャトルバルブを通る前記第1流体の連続的な流れ経路を維持しながら、前記第1流体から前記流体のアリコットサンプルを移動させるためにシャトルバルブを使用するステップと、を有する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記シャトルバルブを通る前記第1流体の流れは実質的に層流である、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、前記シャトルバルブを通る前記第1流体の圧力は実質的に一定である、方法。
【請求項7】
流体のアリコットサンプルを移動させる方法であって、前記方法は、
(a)少なくとも2つのチャネルを備える静的本体を提供するステップを有し、各チャネルの一部は、前記静的本体の第1表面を横断し、
(b)前記方法は、アリコットディンプルを備える動的本体を提供するステップを有し、前記アリコットディンプルは、前記動的本体の第1表面を横断し、前記静的本体の前記第1表面および前記動的本体は互いに隣接するように構成され、前記チャネルおよび前記アリコットディンプルは、前記アリコットディンプルが第1位置において前記チャネルの1つと流体連通し、第2位置で前記チャネルの他方と流体連通するように配置され、
(c)前記方法は、前記チャネルの1つを通して第1流体を流し、前記チャネルの他方を通して第2流体を流し、前記アリコットディンプルを前記第1位置に整合させ、前記第1流体のサンプル部分が前記アリコットディンプルへ流れることを可能にし、前記アリコットディンプルを前記第2位置へ移動させ、それにより、前記サンプル部分が前記第2流体へ移動される、ステップを有し、
(d)前記少なくとも1つのチャネルの少なくとも一部は、実質的に前記第1表面に平行である、方法。
【請求項8】
流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置であって、前記装置は、
(a)第1流体経路と、
(b)第2流体経路と、
(c)シャトルバルブを通る連続的な第2流体経路を維持しながら、前記第1流体経路から前記第2流体経路へ流体のアリコットサンプルを移動させることができるシャトルバルブと、を有する装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記シャトルバルブは、前記シャトルバルブを通る連続的な第1流体経路を維持したまま、前記流体のアリコットサンプルを前記第1流体経路から取り除くことができる、装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置であって、前記シャトルバルブは、前記シャトルバルブを通る連続的な前記第1流体経路および前記第2流体経路を維持しながら、前記流体のアリコットサンプルを前記第1流体経路から取り除くことができる、装置。
【請求項11】
流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置であって、前記装置は、
(a)第1流体経路と、
(b)第2流体経路と、
(c)シャトルバルブを通る前記第1流体経路内における実質的に一定の流れを維持しながら、前記第1流体経路から前記第2流体経路へ前記流体のアリコットサンプルを移動させることができるシャトルバルブと、を有する装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、前記シャトルバルブを通る前記第1流体経路内の流れは、実質的に層流である、装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置であって、前記シャトルバルブを通る前記第1流体経路内の圧力は実質的一定である、装置。
【請求項14】
流体のアリコットサンプルを移動させることができる装置であって、前記装置は、
(a)少なくとも2つの経路を備える静的本体を有し、各経路の一部は、前記静的本体の第1表面を横断し、
(b)前記装置は、アリコットディンプルを備える動的本体を有し、前記アリコットディンプルは前記動的本体の第1表面を横断し、前記静的本体の前記第1表面および前記動的本体は互いに隣接し、前記経路および前記アリコットディンプルは、前記アリコットディンプルが第1位置において前記経路の1つに流体連通し、第2位置において前記経路の他方に流体連通するように配置され、
(c)前記第1経路の少なくとも1つは、前記アリコットディンプルに実質的に平行である、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、前記第1経路の少なくとも一部は、前記静的本体の前記第1表面に平行である、装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置であって、前記第2経路の少なくとも一部は、前記静的本体の前記第1表面に平行である、装置。
【請求項17】
請求項14に記載の装置であって、前記装置は投与装置を有する、装置。
【請求項18】
請求項14に記載の装置であって、サンプル分析のためのサンプル取り出し装置を有する、装置。
【請求項19】
請求項14に記載の装置であって、クロマトグラフィーシステムのためのサンプル注入装置を有する、装置。
【請求項20】
請求項14に記載の装置であって、少なくとも約5百万サイクルの寿命を備える、装置。
【請求項21】
請求項14に記載の装置であって、前記動的本体は、超高分子量ポリエチレンから形成され、前記静的本体は、天然ポリエーテルエーテルケトンから形成される、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−511698(P2012−511698A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539513(P2011−539513)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/006397
【国際公開番号】WO2010/065138
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(508270602)オールテック・アソシエイツ・インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】