説明

流体の流れから硫化水素を選択的に除去するための吸収剤

流体の流れから酸性ガスを除去するための吸収剤は、a)少なくとも1つのアミン水溶液およびb)少なくとも1つのホスホン酸水溶液を含み、この場合a)に対するb)のモル比は、0.0005〜1.0の範囲内にある。ホスホン酸は、例えば1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸である。この吸収剤は、アミンまたはアミン/促進剤組合せ物をベースとする吸収剤と比較して減少された再生エネルギー需要を示し、この場合には、酸性ガスに対する前記溶液の吸収能が本質的に減少されることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れから酸性ガスを除去するための、殊に流体の流れから硫化水素を選択的に除去するための吸収剤および流体の流れから酸性ガスを除去するための方法に関する。
【0002】
流体の流れ、例えば天然ガス、精油所ガス、合成ガスからの酸性ガス、例えばCO2、H2S、SO2、CS2、HCNまたはメルカプタンの除去は、種々の理由から重要なことである。天然ガスの硫黄化合物の含量は、適当な後処理方法によって直接に天然ガス源で減少させなければならない。それというのも、硫黄化合物は、天然ガラスからしばしば連行される水の中で、腐食作用を有する酸を形成するからである。従って、天然ガスをパイプラインに輸送するため、または天然ガス液化プラントにおける後処理(LNG=Liquified natural Gas)のためには、硫黄含有不純物の所定の限界値が遵守されなければならない。二酸化炭素含量の減少は、しばしば所定の燃焼値への調節が必要とされる。
【0003】
酸性ガスの除去のために、無機または有機塩基の水溶液での洗浄が使用される。酸性ガスを吸収剤中に溶解した場合には、塩基を用いるとイオンが形成する。吸収剤は、低圧への放圧および/またはストリッピングによって再生させることができ、この場合イオン種は、酸性ガスに再反応されおよび/または蒸気により略奪反応される。再生工程の後、吸収剤は、再使用されてよい。
【0004】
全ての酸性ガス、殊にCO2およびH2Sが十分に除去される方法は、"全吸収(Total−Absorption)"とも呼称される。これに対して、一定の場合には、後接続されたクラウス法のプラントのために燃焼値により最適化されたCO2/H2S比を得るために、CO2の前方で有利にH2Sを吸収することは、望ましい。この場合には、"選択的洗浄"と呼称される。不利なCO2/H2S比は、COS/CS2の形成およびクラウス触媒のコークス化、または少なすぎる発熱量によってクラウス法のプラントの出力および効率を損ないうる。
【0005】
第3アミン、例えばメチルジエタノールアミン(MDEA)または立体障害アミンは、CO2に対するH2Sのための動的選択性を示す。このアミンは、CO2と直接には反応せず;むしろ、CO2は、アミンおよび水との緩徐な反応において重炭酸塩に変換される。従って、第3アミンは、CO2およびH2Sを含有するガス混合物からのH2Sの選択的な除去に殊に適している。
【0006】
第3アルカノールアミンの水溶液中でのCO2の吸収率は、活性剤または促進剤と呼称される他の化合物の添加によって上昇させることができる。ガス流からCO2およびH2Sを除去するための最も有効な吸収液体の1つは、メチルジエタノールアミン(MDEA)の水溶液および促進剤としてのピペラジンである。この種の吸収剤は、米国特許第4336233号明細書の記載から公知である。
【0007】
第1アミン、例えばモノエタノールアミン(MEA)および第2アミン、例えばジエタノールアミン(DEA)またはジイソプロパノールアミン(DIPA)は、急速な反応において直接にCO2と反応することができる。このアミンは、明らかに僅かなH2S選択性を示す。このアミンは、酸性ガスに対するアミンの高い親和力のために、低い酸性ガス部分圧を有するガス流の洗浄に使用されてもよい。勿論、高い比再生エネルギーは、酸性ガスに対する高い親和力と相互に関連する。
【0008】
欧州特許出願公開第134948号明細書には、アルカリ物質および6またはそれ未満のpKaを有する酸を含む吸収剤が記載されている。好ましい酸は、燐酸、蟻酸または塩酸である。酸の添加は、殊にH2Sを含有する酸性ガスのストリッピングを有効にする。
【0009】
WO 2007/021531には、ガス状酸性成分およびガス状非酸性成分およびCO2を含有する混合物からのガス状酸性成分の標準条件下での選択的除去のための吸収剤が開示されている。吸収剤は、少なくとも2個の鎖状原子のアルキレン基を介して第二級または第三級の障害アミンのアミン窒素に結合した金属スルホン酸塩、金属硫酸塩、金属スルファミン酸塩、金属ホスホン酸塩、金属燐酸塩、金属ホスホラミダイトまたは金属カルボキシレートを含む。
【0010】
本発明は、酸性ガスに対して溶液の吸収能を本質的に減少させることなく、アミンまたはアミン/促進剤組合せ物をベースとする吸収剤と比較して減少された再生エネルギー需要量を示す、流体の流れから酸性ガスを除去するための方法および吸収剤を規定するという課題に基づく。
【0011】
この課題は、
a)少なくとも1つのアミンの水溶液および
b)少なくとも1つのホスホン酸の水溶液
を含む流体の流れから酸性ガスを除去するための吸収剤によって解決され、この場合a)に対するb)のモル比は、0.0005〜1.0、特に0.0005〜0.1、比較的有利に0.01〜0.1、殊に0.02〜0.09の範囲内にある。
【0012】
更に、特定の実施態様において、水溶液は、
c)少なくとも1つのカルボン酸
を含み、この場合a)に対するc)のモル比は、0.0005〜0.1、特に0.01〜0.1、殊に0.02〜0.09の範囲内にある。
【0013】
本発明による吸収剤は、少なくとも1つの有機ホスホン酸を含有する。
【0014】
例えば、式I
R−PO3H (I)
〔式中、Rは、場合により無関係にカルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシおよびアミノから選択される、4個までの置換基によって置換されているC1〜C18アルキルを表わす〕で示されるホスホン酸が適している。
【0015】
これには、アルキルホスホン酸、例えばメチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、2−メチル−プロピルホスホン酸、第三ブチルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチルブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ヒドロキシアルキルホスホン酸、例えばヒドロキシメチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチルホスホン酸、2−ヒドロキシエチルホスホン酸、アリールホスホン酸、例えばフェニルホスホン酸、トルイルホスホン酸、キシリルホスホン酸、アミノアルキルホスホン酸、例えばアミノメチルホスホン酸、1−アミノエチルホスホン酸、1−ジメチルアミノエチルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸、2−(N−メチルアミノ)エチルホスホン酸、3−アミノプロピルホスホン酸、2−アミノプロピルホスホン酸、1−アミノプロピルホスホン酸、1−アミノプロピル−2−クロロプロピルホスホン酸、2−アミノブチルホスホン酸、3−アミノブチルホスホン酸、1−アミノブチルホスホン酸、4−アミノブチルホスホン酸、2−アミノペンチルホスホン酸、5−アミノペンチルホスホン酸、2−アミノヘキシルホスホン酸、5−アミノヘキシルホスホン酸、2−アミノオクチルホスホン酸、1−アミノオクチルホスホン酸、1−アミノブチルホスホン酸;アミドアルキルホスホン酸、例えば3−ヒドロキシホスホノ酢酸および2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸が含まれる。
【0016】
式II
【化1】

〔式中、R’は、HまたはC1〜C6アルキルを表わし、Qは、H、OHまたはNY2を表わし、およびYは、HまたはCH2PO32を表わす〕で示されるホスホン酸、例えば1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸;
式III
【化2】

〔式中、Zは、C2〜C6アルキレン、シクロアルカンジイル、フェニレン、またはシクロアルカンジイルまたはフェニレンによって中断されたC2〜C6アルキレンを表わし、Yは、CH2PO32を表わし、およびmは、0〜4を表わす〕で示されるホスホン酸、例えばエチレンジアミン−テトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミン−ペンタ(メチレンホスホン酸)およびビス(ヘキサメチレン)トリアミン−ペンタ(メチレンホスホン酸);
式IV
R’’T−NY2 (IV)
〔式中、R’’は、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヒドロキシアルキルまたはYを表わし、およびYは、CH3PO32を表わす〕で示されるホスホン酸、例えばニトリロ−トリス(メチレンホスホン酸)および2−ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)。
【0017】
ホスホン酸の中で、2−ヒドロキシホスホノ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミン−テトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミン−ペンタ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン−ペンタ(メチレンホスホン酸)およびニトリロ−トリス(メチレンホスホン酸)が好ましく、その中で1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸が特に好ましい。
【0018】
勿論、前記ホスホン酸の2つまたはそれ以上の混合物が使用されてもよい。
【0019】
ホスホン酸は、特に遊離酸の形でアミンの溶液に添加される。
【0020】
他の選択可能な方法によれば、ホスホン酸は、非第四級アンモニウムの形で、即ちアンモニウム塩(NH4+塩)または第一級、第二級または第三級のアンモニウムイオンの塩として使用されてよい。吸収剤の再生の条件下で非第四級アンモニウム塩から遊離酸は、遊離されてよい。適したアンモニウム塩は、吸収剤の成分a)として使用される、アミンのプロトン化された種である。
【0021】
更に、特定の実施態様において、本発明による吸収剤は、少なくとも1つのカルボン酸を含有する。一般的に、適したカルボン酸は、1〜12個の炭素原子を有する。
【0022】
適したカルボン酸には、
脂肪族モノカルボン酸、例えばメタン酸(蟻酸)、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、酪酸;
芳香族モノカルボン酸、例えば安息香酸、フェニルエタン酸、サリチル酸;
脂肪族のジカルボン酸およびオリゴカルボン酸、例えばエタン二酸(蓚酸)、プロパン二酸(マロン酸)、ブタン二酸、ペンタン二酸;
芳香族のジカルボン酸およびオリゴカルボン酸、例えば1,2−、1,3−、1,4−ベンゼンジカルボン酸;
アミノカルボン酸、例えばグリシン、N,N−ジメチルグリシン、アラニン、N−メチルアラニン;
ヒドロキシカルボン酸、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸が挙げられる。
【0023】
本発明による吸収剤は、特に本質的に金属塩を含まない。
【0024】
本発明による吸収剤は、少なくとも1つのアミンを含有する。アミンは、酸性基、例えば殊にホスホン酸基、スルホン酸基および/またはカルボン酸基を有しない。適したアミンには、殊に次のものが挙げられる:
1.アルカノールアミン(アミノアルコール)、例えば
2−アミノエタノール(モノエタノールアミン、MEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(ジエタノールアミン、DEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(ジイソプロパノールアミン、DIPA)、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン(トリエタノールアミン、TEA)、トリブタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−メチルアミン(メチルジエタノールアミン、MDEA)、2−ジエチルアミノエタノール(ジエチルエタノールアミン、DEEA)、2−ジメチルアミノエタノール(ジメチルエタノールアミン、DMEA)、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール(N,N−ジメチルプロパノールアミン)、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール(DIEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)メチルアミン(メチルジイソプロパノールアミン、MDIPA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、1−アミノ−2−メチル−プロパン−2−オール、2−アミノ−1−ブタノール(2−AB);
2.アミノエーテル、例えば
2−(2−アミノエトキシ)エタノール(AEE)、2−(2−第三ブチルアミノエトキシ)エタノール(EETB)、3−メトキシプロピルジメチルアミン;
3.環中に少なくとも1個のNH基を有する5、6または7員の飽和ヘテロ環式化合物、これは窒素および酸素の中から選択される、1または2個の他のヘテロ原子を環中に含有していてよく、
例えばピペラジン、2−メチルピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、N−ヒドロキシエチルピペラジン、ホモピペラジン、ピペリジンおよびモルホリン;
4.ポリアミン、例えば
4.1式
2N−R2−NH2
〔式中、R2は、C2〜C6アルキレンを表わす〕で示されるアルキレンジアミン、
例えば、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノプロパン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、
4.2式
1−NH−R2−NH2
〔式中、R1は、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ヒドロキシアルキルを表わし、およびR2は、C2〜C6アルキレンを表わす〕で示されるアルキレンジアミン、
例えば3−メチルアミノプロピルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、
4.3式
(R12N−R2−NH2
〔式中、R1は、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ヒドロキシアルキルを表わし、およびR2は、C2〜C6アルキレンを表わす〕で示されるアルキレンジアミン、
例えば3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン(DMAPA)および3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、
4.4式
1−NH−R2−NH−R1
〔式中、R1は、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6ヒドロキシアルキルを表わし、およびR2は、C2〜C6アルキレンを表わす〕で示されるアルキレンジアミン、
例えばN,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、
4.5ビス第三級ジアミン、例えば
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチル−N’,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン(TMPDA)、N,N,N’,N’−テトラエチル−1,3−プロパンジアミン(TEPDA)、N,N−ジメチル−N’,N’−ジエチルエチレン−ジアミン(DMDEEDA)、1−ジメチルアミノ−2−ジメチルアミノエトキシエタン(ビス[2−(ジメチルアミノ)エチル]エーテル);
4.6ポリアルキレンポリアミン、
例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびテトラエチレンペンタミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、トリス(2−アミノエチル)アミン;
およびこれらの混合物。
【0025】
アルカノールアミン、即ち窒素原子に結合した、少なくとも1個のヒドロキシアルキル基を有するアミンは、一般的に好ましい。
【0026】
1つの好ましい実施態様において、吸収剤は、専ら第三級アミノ基および/または立体障害アミノ基を有するアミンを専ら含む。この実施態様の吸収剤は、特にH2Sを選択的に除去するために適している。
【0027】
"立体障害アミノ基"とは、本発明によれば、
(i)第三級炭素原子に結合した第一級アミノ基、
(ii)第二級または第三級の炭素原子に結合したアミノ基、および
(iii)アミノ基であり、この場合第三級または第四級の炭素原子は、アミノ基に対してβ位に配置されている。
【0028】
専ら第三級アミノ基を有する好ましいアミンは、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン(トリエタノールアミン、TEA)、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(トリイソプロパノール)、トリブタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−メチルアミン(メチルジエタノールアミン、MDEA)、2−ジエチルアミノエタノール(ジエチルエタノールアミン、DEEA)、2−ジメチルアミノエタノール(ジメチルエタノールアミン、DMEA)、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール(DIEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)メチルアミン(メチルジイソプロパノールアミン、MDIPA)である。
【0029】
専ら立体障害アミノ基を有する好ましいアミンは、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)および1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オールである。
【0030】
別の実施態様において、吸収剤は、専ら第三級アミノ基および/または立体障害アミノ基を有する少なくとも1つのアミンおよび少なくとも1つの活性剤を含む。活性剤は、通常、第一級または第二級のアミンであり、カルベメート構造の中間形成によって二酸化炭素の吸収を促進する。この実施態様の吸収剤は、特にエネルギーを節約する、酸性ガスの非選択的除去に適している。全吸収の場合には、2つの成分H2SまたはCO2の少なくとも一方が規定され、この場合には、他方はその平衡に応じて吸収剤の頭部で含量が減少される。2つの酸性ガス成分の一方に対して最大の排出規定が確立されることも起こりうる。
【0031】
専ら第三級アミノ基および/または立体障害アミノ基を有する好ましいアミンの例は、前記したものである。
【0032】
好ましい活性剤の例は、ピペラジン、2−メチルピペラジン、N−メチル−ピペラジン、N−ヒドロキシエチルピペラジン、ホモピペラジン、ピペリジン、モルホリン、3−メチル−アミノプロピルアミンおよび2−(2−アミノエトキシ)エタノールである。
【0033】
別の実施態様において、吸収剤は、少なくとも1つの(非立体障害)第一級アミンおよび/または第二級アミンを含む。この実施態様の吸収剤は、低い酸性ガス部分圧の場合に、特にエネルギーを節約する、酸性ガスの非選択的除去に適している。
【0034】
好ましい第一級アミンおよび/または第二級アミンの例は、2−アミノエタノール(モノエタノールアミン、MEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(ジエタノールアミン、DEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(ジイソプロパノールアミン、DIPA)である。
【0035】
一般的に水溶液は、アミンを2〜5kmol/m3、殊に3.5〜4.5kmol/m3含有する。
【0036】
吸収剤は、添加剤、例えば腐蝕抑制剤、酵素等を含有していてもよい。一般的にこの種の添加剤の量は、吸収剤約0.01〜3質量%の範囲内にある。
【0037】
更に、本発明は、流体の流れを上記に定義された吸収剤と接触させるような、流体の流れから酸性ガスを除去するための方法に関する。
【0038】
一般的に負荷された吸収剤は、
a)加熱、
b)放圧、
c)不活性液体を用いてのストリッピング
または前記方法の2つまたは全ての組合せによって再生される。
【0039】
本発明による方法または本発明による吸収剤は、流体、殊に全ての種類のガス流を処理するのに適している。酸性ガスは、殊にCO2、H2Sであるが、しかし、COSおよびメルカプタンでもある。更に、SO3、SO2、CS2およびHCNが除去されてもよい。酸性ガスを含有する流体は、一面でガス、例えば天然ガス、合成ガス、コークス炉ガス、分解ガス、石炭液化ガス、循環路ガス、貯蔵ガスおよび燃焼ガスであり、他面、吸収剤と本質的に不混和性の液体、例えばLPG(液化石油ガス Liquefied Petroleum Gas)またはNGL(天然ガス液 Natural Gas Liquids)である。本発明による方法または本発明による吸収剤は、特に炭化水素含有流体の流れの処理に適している。含有されている炭化水素は、例えば脂肪族炭化水素、例えばC1〜C4炭化水素、例えばメタン、不飽和炭化水素、例えばエチレンまたはプロピレン、または芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエンまたはキシレンである。本発明による方法または本発明による吸収剤は、特にCO2およびH2Sの除去に適している。
【0040】
好ましい実施態様において、流体の流れは、
(i)水素を含有する流体の流れ、または水素および二酸化炭素を含有する流体の流れ;これには、例えば石炭のガス化または蒸気の改質によって製造可能でありかつ場合によっては水性ガスシフト反応に掛けられる合成ガスが挙げられ;この合成ガスは、例えばアンモニア、メタノール、ホルムアルデヒド、酢酸、尿素の製造、フィッシャー−トロプシュ合成または石炭ガス化複合発電Integrated Gasification Combined Cycle(IGCC)プロセスにおけるエネルギー取得に使用され、
(ii)炭化水素を含有する流体の流れ;これには、天然ガスと共に種々の精油所プロセス、例えばテールガス処理ユニット(TGU)、ビスブレーカー(VDU)、精油所残油接触分解装置(LRCUU/FCC)、水素化分解装置(HCU)、ハイドロトリーター(HDS/HTU)、重質油分解装置(DCU)、常圧蒸留装置(CDU)またはリキッドトリーター(例えば、LPG)が挙げられる。
【0041】
本発明による方法は、CO2と比較して硫化水素を選択的に除去するために適している。"硫化水素の選択的除去"は、次の不等式を満たす。
【0042】
【数1】

【0043】
上記式中、c(H2S)feedは、供給流体中のH2Sの濃度を意味し、c(H2S)treatは、処理された流体中の濃度を意味し、c(CO2feedは、供給流体中のCO2の濃度を意味し、およびc(CO2treatは、処理された流体中のCO2の濃度を意味する。
【0044】
2Sの選択的除去は、例えばa)吸収剤の最大の酸性ガス全負荷量が既に達成された際に所定のH2S規定量を維持するため、およびb)吸収剤の再生の際に遊離されかつ典型的にクラウス装置中に流入される酸性ガス流中の比較的高いH2S/CO2比に調整するために有利である。比較的高いH2S/CO2比を有する酸性ガス流は、比較的高い燃焼値を有し、クラウス触媒の運転時間を損なうCOS(CO2からの)の形成を抑制する。
【0045】
本発明による方法において、酸性ガス成分に富んだ供給流体(粗製ガス)は、吸収装置中での吸収工程において吸収剤と接触され、それによって酸性ガス成分は、少なくとも部分的に洗浄除去される。
【0046】
吸収装置としては、特に通常のガス洗浄法で使用される洗浄装置が機能を果たす。適した洗浄装置は、例えば不規則充填物を有する充填塔、規則充填物を有する充填塔および棚段塔、メンブラン接触器、放射状の流れを有するスクラバー、ジェットスクラバー、ベンチュリ型スクラバーおよびロータリースプレースクラバー、有利に規則充填物を有する充填塔、不規則充填物を有する充填塔および棚段塔、特に有利に棚段塔および不規則充填物を有する充填塔である。この場合、吸収剤を用いての流体の流れの処理は、有利に塔内で向流で行なわれる。この場合、前記流体は、一般的に塔の下部に供給され、吸収剤は、塔の上部に供給される。棚段塔中には、シーブトレイ、バブルキャップトレイまたはバルブトレイが取り付けられており、これらのトレイの上方に液体は流れる。不規則充填物を有する充填塔は、異なる成形体で充填されていてよい。熱交換および物質交換は、多くに場合に約25〜80mmの大きさの成形体に基づく表面積の拡大によって改善される。公知の例は、ラシヒリング(中空シリンダ)、ポールリング、ハイフローリング(Hiflow−Ring)、インタロックスサドル(Intalox−Sattel)および類似物である。充填物は、規則的に塔中に導入されてもよいし、不規則に(堆積物として)塔中に導入されてもよい。材料として、ガラス、セラミック、金属およびプラスチックがこれに該当する。構造化された規則充填体は、順序立った不規則充填物のもう1つの実施態様である。この実施態様は、規則的に形成された構造を有する。それによって、規則充填物の場合には、ガス流の際に圧力損失を減少させることが可能である。規則充填物、例えば織物規則充填物または薄板規則充填物の種々の実施態様が存在する。材料として、金属、プラスチック、ガラスおよびセラミックを使用することができる。
【0047】
吸収剤の温度は、吸収工程で一般に約30〜100℃であり、塔を使用する場合には、例えば塔の頭頂部で30〜70℃であり、塔の塔底部で50〜100℃である。全体の圧力は、吸収工程で一般に約1〜120バール、有利に約10〜100バールである。
【0048】
酸性のガス成分の乏しい、即ちこのガス成分の含量が減少された生成ガス(純粋ガスReingas)および酸性成分が負荷された吸収剤を得ることができる。本発明による方法は、1つ以上の、殊に2つの連続した吸収工程を含むことができる。吸収は、多数の連続した部分工程で実施されてよく、この場合酸性のガス成分を含有する粗製ガスは、全ての部分工程で吸収剤のそれぞれの部分流と接触される。粗製ガスと接触される吸収剤は、既に部分的に酸性ガスで負荷されていてよく、即ちこの吸収剤は、次の吸収工程から第1の吸収工程に返送された吸収剤であるか、または部分的に再生された吸収剤である。2段階の吸収の実施に関連して、刊行物の欧州特許出願公開第0159495号明細書、欧州特許出願公開第0190434号明細書、欧州特許出願公開第0359991号明細書およびWO 00100271が引き合いに出される。
【0049】
1つの好ましい実施態様によれば、本発明による方法は、酸性ガスを含有する流体を第1の吸収工程で吸収剤を用いて40〜100℃、有利に50〜90℃、殊に60〜90℃の温度で処理するようにして実施される。更に、酸性ガスの含量が減少された流体は、第2の吸収工程で吸収剤を用いて30〜90℃、有利に40〜80℃、殊に50〜80℃の温度で処理される。この場合、温度は、5〜20℃だけ第1の吸収工程よりも低い。
【0050】
酸性ガス成分が負荷された吸収剤から、酸性ガス成分は、通常の方法で(以下に引用された刊行物の記載と同様に)再生工程で放出されることができ、この場合には、再生された吸収剤を得ることができる。再生工程で吸収剤の負荷量は、減少され、引続き得られた再生された吸収剤は、特に吸収工程に返送される。
【0051】
一般に再生工程は、吸収工程の実施の際に支配するような高い圧力から低い圧力への負荷された吸収剤の少なくとも1つの放圧を含む。放圧は、例えば絞り弁および/または膨脹タービンを用いて行なうことができる。放圧段階での再生は、例えば米国特許第4537753号明細書および米国特許第4553984号明細書中に記載されている。
【0052】
再生工程での酸性ガス成分は、例えば放圧塔中、例えば垂直方向または水平方向に取り付けられたフラッシュ容器または取り付け物を備えた向流塔中で遊離することができる。
【0053】
再生塔は、同様に不規則充填物を有する充填塔、規則充填物を有する充填塔および棚段塔である。再生塔は、塔底部に加熱装置、例えば循環ポンプを備えた強制循環蒸発器を有する。再生塔は、塔頂部に遊離された酸性ガスのための出口管を有する。連行される吸収剤蒸気は、凝縮器中で凝縮され、および塔内に返送される。
【0054】
異なる圧力で再生されるような多数の放圧塔は、連続して接続されていてよい。例えば、前放圧塔内では、典型的には吸収工程で酸性ガス成分の部分圧力の約1.5バール上方にある高い圧力で再生されてよく、主放圧塔内では、低い圧力、例えば1〜2バール(絶対圧力)で再生されてよい。2つ以上の放圧段階を有する再生は、刊行物の米国特許第4537753号明細書、米国特許第4553984号明細書、欧州特許出願公開第0159495号明細書、欧州特許出願公開第0202600号明細書、欧州特許出願公開第0190434号明細書および欧州特許出願公開第0121109号明細書中に記載されている。
【0055】
第1の低圧放圧段階で部分的に再生される吸収液体が加熱され、および場合によっては少なくとも3バールに放圧されるような中圧放圧段階が第1の低圧放圧段階の前に設けられている、2つの低圧放圧段階(1〜2バール 絶対圧力)を有する変法は、ドイツ連邦共和国特許第10028637号明細書中に記載されている。この場合、負荷された吸収液体は、最初に第1の低圧放圧段階で1〜2バール(絶対圧力)の圧力に放圧される。引続き、部分再生された吸収液体は、熱交換器中で加熱され、次に第2の低圧放圧段階で再び1〜2バール(絶対圧力)の圧力に放圧される。
【0056】
最後の放圧段階は、例えば欧州特許出願公開第0159495号明細書、欧州特許出願公開第0202600号明細書、欧州特許出願公開第0190434号明細書および欧州特許出願公開第0121109号明細書(米国特許第4551158号明細書)中の記載と同様に、水蒸気噴射装置を用いて、場合により機械的な真空発生装置との組合せで発生される真空の下で実施されてもよい。
【0057】
アミン成分に対する最適な含量に調整するために、本発明による吸収剤は、酸性ガスとの高い負荷可能性を有し、この酸性ガスは、簡単に再び脱着されてもよい。それによって、本発明による方法において、エネルギー消費量および溶剤循環量は、著しく減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による方法の実施に適した装置を示す略図である。
【0059】
本発明を図面および次の実施例につき詳細に説明する。
【実施例】
【0060】
図1によれば、供給管1を経て、適当に前処理された、酸性ガスを含有するガスは、吸収装置2中で、吸収剤導管3を介して供給される、再生された吸収剤と向流で接触される。吸収剤は、前記ガスからの吸収によって酸性ガスを除去し;この場合には、排ガス管4を介して、酸性ガスの乏しい純粋ガスが取得される。
【0061】
吸収剤導管5、ポンプ12、酸性ガスで負荷された吸収剤を脱着塔7の塔底部から流出する、再生された吸収剤の熱で加熱する溶剤−溶剤熱交換器11、および絞り弁6を経て、酸性ガスで負荷された吸収剤は、脱着塔7に供給される。脱着塔7の下部で、負荷された吸収剤は、(図示されていない)加熱器により加熱され、そして再生される。この場合に遊離された酸性ガスは、排ガス導管8を経て脱着塔7を離れる。引続き、再生された吸収剤は、ポンプ9を用いて、再生された吸収剤が酸性ガスで負荷された吸収剤を加熱しかつ冷却もする溶剤−溶剤熱交換器11を経て吸収塔2の熱交換器10に再び供給される。
【0062】
比較例1および実施例2
メチルジエタノールアミンの39質量%(32.8モル%)の溶液を製造した。200mlのアリコートにオルトリン酸1質量%(H3PO4)または1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸1.2質量%(HEDP)を添加した。
【0063】
2つの溶液を50℃で常圧で平衡になるまでH2Sで負荷した。H2S平衡負荷量を硝酸銀による電位差滴定によって測定した。
【0064】
引続き、この溶液を再生過程のシミュレーションのために載置された還流冷却器を備えたエルレンマイヤーフラスコ中で油浴中で一定の100℃で煮沸した。この場合、それぞれ窒素ガス10Nl/hを前記液体によって凍結させ、気相と液相との交換を改善し、遊離されたH2Sを冷却器を介して除去した。
【0065】
一定の時間間隔の後、それぞれ20mlの試料を取り出し、H2S含量を再び硝酸銀による電位差滴定によって測定した結果は、次表中に記載されている。
【0066】
【表1】

【0067】
試験結果から、実施例2(HEDPを用いる)における所定の残留負荷量(例えば、2%未満)に対する再生は、比較例1よりも迅速に達成されることは、明らかである。選択された試験装置中でエネルギー投入量は、一定の熱流と時間との積に比例するので、実施例2において必要とされる再生エネルギーは、明らかに僅かである。
【0068】
比較例3および5、ならびに実施例4および6
MDEA37質量%+ピペラジン3質量%の水溶液(全アミン濃度40質量%;33.3モル%)を製造した(いわゆる活性化されたMDEA)。200mlのアリコートに1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸1.2質量%(0.6モル%)(HEDP)を添加した。もう1つのアリコートは、対照として使用した。
【0069】
2つの一連の試験を実施した。第1の一連の試験の場合、溶液を50℃で常圧で、CO2を用いて平衡になるまで負荷し、第2の試験の場合には、70℃で負荷した。CO2の平衡負荷量をKOHでの滴定によって測定した。
【0070】
引続き、この溶液を再生過程のシミュレーションのために載置された還流冷却器を備えたエルレンマイヤーフラスコ中で油浴中で一定の100℃で煮沸した。この場合、それぞれ窒素ガス10Nl/hを前記液体によって凍結させ、気相と液相との交換を改善し、遊離されたCO2を冷却器を介して除去した。
【0071】
一定の時間間隔の後、それぞれ20mlの試料を取り出し、CO2含量を再びKOHでの滴定によって測定した。結果は、次表中に記載されている。
【0072】
【表2】

【0073】
試験結果から、実施例4および6(HEDPを用いる)における所定の残留負荷量(例えば、2%未満)に対する再生は、比較例3および5よりも迅速に達成されることは、明らかである。選択された試験装置中でエネルギー投入量は、一定の熱流と時間との積に比例するので、実施例4および6において必要とされる再生エネルギーは、明らかに僅かである。
【符号の説明】
【0074】
1 供給管、 2 吸収装置、 3、5 吸収剤導管、 4 排ガス管、 6 絞り弁、 7 脱着塔、 8 排ガス導管、 9、12 ポンプ、 10 吸収塔2の熱交換器、 11 溶剤−溶剤熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れから酸性ガスを除去するための吸収剤であって、
a)少なくとも1つのアミンの水溶液および
b)少なくとも1つのホスホン酸の水溶液
を含み、
この場合a)に対するb)のモル比は、0.0005〜1.0の範囲内にある、流体の流れから酸性ガスを除去するための吸収剤。
【請求項2】
a)に対するb)のモル比は、0.0005〜0.1の範囲内にある、請求項1記載の吸収剤。
【請求項3】
ホスホン酸は、式I
R−PO3H (I)
〔式中、Rは、場合により無関係にカルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシおよびアミノから選択される、4個までの置換基によって置換されているC1〜C18アルキルを表わす〕で示されるホスホン酸、
式II
【化1】

〔式中、R’は、HまたはC1〜C6アルキルを表わし、Qは、H、OHまたはNY2を表わし、およびYは、HまたはCH2PO32を表わす〕で示されるホスホン酸、
式III
【化2】

〔式中、Zは、C2〜C6アルキレン、シクロアルカンジイル、フェニレン、またはシクロアルカンジイルまたはフェニレンによって中断されたC2〜C6アルキレンを表わし、Yは、CH2PO32を表わし、およびmは、0〜4を表わす〕で示されるホスホン酸、
式IV
R’’T−NY2 (IV)
〔式中、R’’は、C1〜C6アルキル、C2〜C6ヒドロキシアルキルまたはYを表わし、およびYは、CH3PO32を表わす〕で示されるホスホン酸、またはこれらの2つまたはそれ以上の混合物から選択されている、請求項1または2記載の吸収剤。
【請求項4】
ホスホン酸は、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を含む、請求項4記載の吸収剤。
【請求項5】
前記水溶液がさらに
c)少なくとも1つのカルボン酸
を含み、
この場合a)に対するc)のモル比は、0.0005〜0.1の範囲内にある、請求項1から4までのいずれか1項に記載の吸収剤。
【請求項6】
アミンは、少なくとも1つのアルカノールアミンを含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の吸収剤。
【請求項7】
アミンは、専ら第三級アミノ基および/または立体障害アミノ基を有するアミンを専ら含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の吸収剤。
【請求項8】
アミンは、専ら第三級アミノ基および/または立体障害アミノ基を有する少なくとも1つのアミンおよび少なくとも1つの活性剤を含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の吸収剤。
【請求項9】
専ら第三級アミノ基を有するアミンは、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、トリブタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−メチルアミン、2−ジエチル−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、3−ジエチル−アミノ−1−プロパノール、2−ジイソプロピルアミノエタノールおよびN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)メチルアミンから選択され、および専ら立体障害アミノ基を有するアミンは、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよび1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オールから選択される、請求項7または8記載の吸収剤。
【請求項10】
活性剤は、ピペラジン、2−メチルピペラジン、N−メチル−ピペラジン、ホモピペラジン、ピペリジン、モルホリン、3−メチルアミノプロピルアミンおよび2−(2−アミノエトキシ)エタノールから選択される、請求項8記載の吸収剤。
【請求項11】
アミンは、少なくとも1つの第一級アミンおよび/または第二級アミンを含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の吸収剤。
【請求項12】
第一級アミンおよび/または第二級アミンは、2−アミノエタノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミンおよびN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミンから選択される、請求項11記載の吸収剤。
【請求項13】
前記水溶液は、アミン2〜5kmol/m3を含有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の吸収剤。
【請求項14】
流体の流れから酸性ガスを除去するための方法であって、粒体の流れを請求項1から13までのいずれか1項に記載の吸収剤と接触させる、流体の流れから酸性ガスを除去するための方法。
【請求項15】
硫化水素を選択的に除去するための、請求項14記載の方法。
【請求項16】
流体の流れが炭化水素を含有する、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
負荷された吸収剤を、a)加熱、b)放圧、c)不活性液体を用いてのストリッピング、または前記方法の2つまたは全ての組合せによって再生する、請求項14から16までのいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−526648(P2012−526648A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510293(P2012−510293)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056556
【国際公開番号】WO2010/130787
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】