説明

流体処理ゾーンを備える吸収性物品

トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置されている吸収性コアとを含んでいる吸収性物品。吸収性物品は、第1の横断方向流体移動距離を有している第1の流体処理ゾーンと、第2の横断方向流体移動距離を有している第2の流体処理ゾーンとを備える。第1の横断方向流体移動距離は、第2の横断方向流体移動距離よりも少なくとも約50%大きく、これにより、体液をより良好に処理することができ、かつ消費者の下着への偶発的な体液の漏れの危険性をより良好に低減することができる吸収性物品がもたらされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液の処理を改善するための第1の流体処理ゾーンと第2の流体処理ゾーンとを備える吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、おむつ、成人用失禁製品及び類似品等の吸収性物品は、経血などの体液を吸収するために、着用者の股にごく近接して着用されるように設計される。
【0003】
生理用ナプキンなどの吸収性物品についての消費者の重大な関心事は、体液の漏れの危険性に関する。吸収性物品が体液を効果的に吸収することができない場合、体液が消費者の下着を汚す危険性がある。吸収性物品が経血などの体液を効果的に吸収しているかどうかに関して消費者に知らせることができる、多くの状況が存在する。体液をより良好に処理することができる吸収性物品は、結果として、より小さな染みの大きさ、少ない濡れ、少ない体液流出、及び体液による身体上のより小さな染みを呈する吸収性物品となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの制限を念頭に置いて、体液が吸収性物品によってより効果的に収容され得るように、異なる流体処理特性を有している異なるゾーンを提供するトップシート及び/又は吸収性コアを有する吸収性物品の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアと、を備える吸収性物品に関する。吸収性物品は、トップシートの第1の部分を含んでおり、かつ第1の横断方向流体移動距離を有している第1の流体処理ゾーンを備える。吸収性物品は、トップシートの第2の部分を含んでおり、かつ第2の横断方向流体移動距離を有している第2の流体処理ゾーンを更に備える。トップシートの第1の部分と第2の部分とは、異なる構成体を有している。第1の横断方向流体移動距離は、第2の横断方向流体移動距離よりも少なくとも約50%大きく、これにより、体液をより良好に処理することができ、かつ消費者の下着への偶発的な体液の漏れの危険性をより良好に低減することができる吸収性物品がもたらされる。
【0006】
本発明は、更に、経血と本発明による吸収性物品とを接触させる工程を含む、経血の吸収方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図2で断面1−1として示されている、吸収性物品の断面図。
【図2】第1の部分及び第2の部分を有している吸収性物品の身体に面する表面の平面図。
【図3】第1の部分及び第2の部分を有している吸収性物品の身体に面する表面の平面図。
【図4】第1の部分及び第2の部分を有している吸収性物品の平面図。
【図5】トップシートの一部分の概略図。
【図6】孔を有しているウェブを形成するための装置の概略図。
【図7】切頭の概ね円錐形の孔及び段差の画像。
【図8】房を有しているウェブの概略図。
【図9】図8で切欠17として示されている、房を有しているウェブの切欠断面図。
【図10】図9で断面18−18として示されている、房を有しているウェブの断面図。
【図11A】着色チャネル及び印刷ゾーンを有している吸収性物品の図。
【図11B】図11Aで断面23Bとして示されている断面図。
【図12】流体処理ゾーンを備える吸収性物品の図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用する場合、構成材料に関し、「構造的に変更された」とは、構造的に変更された1つ(又は複数)の構成材料が、無変更の材料と比較したときに、力学的挙動が異なるように、その材料を変更することを意味する。例えば、構造的に変更された材料は、無変更の材料とは異なる形で応力を伝達する(又は変形する)ことができる。材料の構造は、分子レベルで、及び/又材料の一部分の連続性及び/又物理的配列を分裂させることによって、変化させることができる。「構造」は、力学的挙動(例えば、応力は材料を通じてどのように伝達されるか)を左右する構成材料の物理的配列を指す。
【0009】
本明細書で使用する場合、構造的に変更されたゾーンはチャネルではない。本明細書で使用する場合、「チャネル」は、面内幅よりも長い面内長さを有しているくぼみであり、この長さは、そのくぼみ内における最長寸法であり、曲線又は直線であり、面内幅は、くぼみの最短寸法である。本明細書で使用する場合、構造的に変更されたゾーンは、くぼみ、ディンプル、又はエンボス、即ち、吸収性物品の一部を押し付けることによって作られた構造体を含まない。構造的に変更されたゾーンとしては、孔及び房が挙げられるが、これらに限らない。
【0010】
本明細書で使用する場合、「ゾーン」という用語は、周囲又は隣接区域とはっきり区別されるように強調された区域を指す。したがって、例えば、トップシートの表面全体にわたって、等間隔の孔であって、そのそれぞれが同じ大きさである孔を含んでいるトップシートは、孔のゾーンを有しているとみなすことはできない。更には、例えば、等間隔の孔であって、そのそれぞれが同じ大きさである孔を含んでいるトップシートでは、単一の孔及び局所的に取り囲んでいる材料は、周囲又は隣接区域とはっきり区別されていないため、孔のゾーンとみなすことはできない。同様に、例えば、等間隔の要素であって、そのそれぞれが同じ大きさである要素を、トップシートの表面全体にわたって含むトップシートは、要素のゾーンを有しているとみなすことはできない。また、等間隔の要素を含んでいるトップシートでも、例えば、単一の要素及び局所的に取り囲んでいる材料は、ゾーンとみなすことはできない。ゾーン間に類似構造の材料が存在しないように、ゾーンを互いに隔てることができる。1つのゾーンは、吸収性物品の長さの5%と吸収性物品の幅の5%との積のおよそを超える面積を含むことができ、この幅は、それぞれのゾーン(即ち、第1の構造的に変更されたゾーン、第2の構造的に変更されたゾーン、第3の構造的に変更されたゾーン及び第4の構造的に変更されたゾーン)の重心で測定される。
【0011】
本明細書で使用する場合、用語「異なる構成体」とは、一態様において、吸収性物品又はその構成要素の特定の部分を構成するのに使用される材料を指す。例えば、吸収性物品のトップシートは、不織布材料を含んでいるある部分と、熱可塑性フィルム材料を含んでいる別の部分とを含むことができる。そのような例では、トップシートは、「異なる構成体」を有している部分を含んでいる。用語「異なる構成体」とは、更に、別の態様において、吸収性物品又はその構成要素の特定の部分の三次元構造体を指す。例えば、吸収性物品のトップシートは、全体にわたって同じ材料で作製されることができるが、房状構造を備えるように加工されたある部分と、そのように加工されず、したがって房状構造を備えていない別の部分とを含むことができる。そのような例では、トップシートは、「異なる構成体」を有している部分を含んでいる。別の例として、トップシートは、チャネルを形成するように特定部分が圧縮されることができる。そのような例では、トップシートは、「異なる構成体」を有している部分を含んでいる。
【0012】
本明細書で使用する場合、「不織布ウェブ」という用語は、相互に重なり合っているが、不規則に配向された繊維を有していない織布又は編布におけるような反復パターンのものではない、個々の繊維又は糸からなる構造を有しているウェブを指す。不織布ウェブ又は不織布は、例えば、エアレイイングプロセス、メルトブローイングプロセス、スパンボンディングプロセス、水流交絡プロセス、スパンレーシングプロセス、ボンドカードウェブプロセスのような多くの既知のプロセスから形成することができる。また、多数のビームスパンボンドプロセスによって作られたスパンボンド−メルトブローン−スパンボンドウェブなどのような多層ウェブも用いることができる。
【0013】
図1は、着用者の股部の異なる部分に、異なる皮膚の健康上の利益及び異なる流体獲得の利益をもたらす吸収性物品10の一実施形態の断面図である。吸収性物品10は、液体透過性トップシート20と、液体不透過性バックシート30と、トップシート20とバックシート30との間に配置された吸収性コア40とを含むことができる。トップシート20は、層状の関係で相互に係合している上層21と下層22とで構成される複合トップシート20であってよい。トップシート20は、吸収性コア40と向かい合わせの関係にあるものとして記載され得る。
【0014】
吸収性物品10は、本明細書では、当該技術分野において一般に生理用ナプキン、月経用パッド、又は生理用パッドと称されるものに関して論じられている。吸収性物品10は、着用者の股部に近接させて装着するように設計されたいずれの吸収性物品であってもよいことを理解されたい。この吸収性物品は、生理用ナプキン、成人用失禁製品及びおむつからなる群から選択される消費者製品であってよい。
【0015】
吸収性物品10と、その層又は構成要素の各々は、身体に面する表面と衣類に面する表面とを有しているものとして説明することができる。生理用ナプキン、おむつ、失禁製品などのような吸収性物品の最終的な用途について考えることによって理解できるように、身体に面する表面は、使用時に身体に近い方に配置されている層又は構成要素の表面であり、衣類に面する表面は、使用時に着用者の下着に近い方に配置されている表面である。このため、例えば、トップシート20は、身体に面する表面23(実際に身体に接触する表面であってよい)及び下にある2次トップシートに付着し得る衣類に面する表面24を有している。バックシート30の衣類に面する表面24は例えば、使用時に、(使用される場合には位置決め接着剤36を介して)着用者のパンティーの最も近くに位置し、接することができる。
【0016】
吸収性物品10は、側縁部26間で横断方向CDにおいて測定される吸収性物品幅を有している。吸収性物品10は垂直軸Hを有している。吸収性物品10は、z方向において測定される厚みを有している。
【0017】
トップシート20は、第1の部分60及び第2の部分70から構成され、第1の部分60は、第2の部分70と構造において異なる。第2の部分70は、第1の構造的に変更されたゾーン81を含むことができる。第2の部分70は、第4の構造的に変更されたゾーン84を含むことができる。第1の部分60及び第2の部分70は、材料の連続的ウェブから構成されることができる。第1の部分60及び第2の部分70は、1つ又は複数の同じ前駆体材料から構成されることができる。材料の連続的ウェブは、単一の一体型ウェブで構成されることができる。
【0018】
図2に示されているように、トップシート20は、長手方向中心線L及び横断方向中心線Tを有することができる。長手方向中心線Lと横方向中心線Tは、使用前のトップシート20の二次元平面を画定し、図示されている実施形態では、この平面は、生産ラインを使用して物品を作製する技術分野において広く知られているように、機械方向(MD)及び幅方向(CD)と関連付けられている。吸収性物品10は長さを有し、この長さは、長手方向中心線Lと平行に測定した最長寸法である。吸収性物品は幅を有し、この幅は、例えば横断方向中心線Tと平行な、CDで測定した寸法である。横断方向中心線Tは、長手方向中心線Lの長さの中心で長手方向中心線Lと交差する。吸収性物品10の幅は、吸収性物品10の長さに沿って変化するか、又は実質的に一定であってよい。説明する目的上、吸収性物品10は、長手方向中心線L及び横断方向中心線Tに、それぞれ一致するように置かれた、長手方向中心線及び横断方向中心線を備えている。吸収性物品10の実際の長手方向中心線及び横断方向中心線は、トップシート20の長手方向中心線L及び横断方向中心線Tと一致している必要はない。トップシート20は、吸収性物品10の垂直軸Hと一致するように置くことができる垂直軸を有している。トップシート20の区域3は、MD−CD平面内にある。
【0019】
吸収性物品10は、側方伸長部又はフラップとしても知られるウィング28を有することができ、このウィング28は、パンティーの股領域の側部を包み、この側部に取り付けられるように設計されている。吸収性物品10及び/又はウィング28は、感圧性位置決め接着剤36のような取り付け構成要素を含んでいる固定手段を有することができる。吸収性物品10は、バックシート30の衣類に面する表面24の上に、位置決め接着剤36のストリップを有することができる。位置決め接着剤は、H.B.Fuller,Toronto,Ontario,Canadaから市販されているHL−1491 XZPのような、下着材料との一時的な結合を確立することが可能なホットメルト接着剤材料であってよい。
【0020】
第2の部分70は、第1の構造的に変更されたゾーン81及び第2の構造的に変更されたゾーン82を含み得る。第1の構造的に変更されたゾーン81及び第2の構造的に変更されたゾーン82は、長手方向中心線Lの反対側にあってよい。第1の構造的に変更されたゾーン81及び第2の構造的に変更されたゾーン82は、横断方向中心線Tに平行な軸線の反対側にあってよい。即ち、第1の構造的に変更されたゾーン81及び第2の構造的に変更されたゾーンは、トップシート20の四分区間の対角方向に位置決めすることができ、この四分区間は、長手方向中心線Lと横断方向中心線Tに平行な軸線とによって区切られている。第1の構造的に変更されたゾーン81及び第2の構造的に変更されたゾーン82は、互いに離間してもよい。
【0021】
第2の部分70は、長手方向中心線Lの、第1の構造的に変更されたゾーン81と同じ側に配置されている第3の構造的に変更されたゾーン83を含むことができ、第1の構造的に変更されたゾーン81及び第3の構造的に変更されたゾーン83は、横断方向中心線Tに平行な軸線の反対側に配置されている。第1の構造的に変更されたゾーン81、第2の構造的に変更されたゾーン82及び第3の構造的に変更されたゾーン83は、互いに離間してもよい。
【0022】
第2の部分70は、長手方向中心線Lの、第2の構造的に変更されたゾーン82と同じ側に配置されている第4の構造的に変更されたゾーン84を含むことができ、第2の構造的に変更されたゾーン82及び第4の構造的に変更されたゾーン84は、横断方向中心線Tに平行な軸線の反対側に配置されている。第1の構造的に変更されたゾーン81、第2の構造的に変更されたゾーン82、第3の構造的に変更されたゾーン83及び第4の構造的に変更されたゾーン84は、互いに離間してもよい。
【0023】
第2の部分70が、第1の構造的に変更されたゾーン81、第2の構造的に変更されたゾーン82、第3の構造的に変更されたゾーン83及び第4の構造的に変更されたゾーン84を含んでいる実施形態では、これら構造的に変更されたゾーンは、互いに離間してもよく、したがって構造的に変更されたゾーンのそれぞれは、トップシート20の四分区間内に個別に位置決めされる。
【0024】
第1の部分60は、第1の構造的に変更されたゾーン81及び第2の構造的に変更されたゾーン82とは異なる物理的構造を有しているトップシート20の部分を含むことができる。第1の部分60は、第1の構造的に変更されたゾーン81、第2の構造的に変更されたゾーン82、第3の構造的に変更されたゾーン83及び第4の構造的に変更されたゾーン84とは異なる物理的構造を有したトップシート20の部分を含むことができる。第2の部分70は、第1の構造的に変更されたゾーン81及び第2の構造的に変更されたゾーン82を含むことができる。第2の部分70は、第1の構造的に変更されたゾーン81、第2の構造的に変更されたゾーン82、第3の構造的に変更されたゾーン83及び第4の構造的に変更されたゾーン84を含むことができる。即ち、第2の部分70は、トップシート20の第1の部分60ではない部分であり得る。
【0025】
本明細書で使用する場合、第1の構造的に変更されたゾーン81、第2の構造的に変更されたゾーン82、第3の構造的に変更されたゾーン83及び第4の構造的に変更されたゾーン84のうちの、1つ又は複数は、一般に、構造的に変更された(複数の)ゾーンと呼ばれる。構造的に変更されたゾーンは、トップシート20と一体的であってよい。即ち、トップシート20は、第1の構造的に変更されたゾーン81、第2の構造的に変更されたゾーン82、第3の構造的に変更されたゾーン83及び第4の構造的に変更されたゾーン84のうちの、2つ又はそれ以上から構成される。構造的に変更されたゾーン及び第1の部分60は、材料の連続的な1つ又は複数のウェブから構成され得る。構造的に変更されたゾーンのそれぞれは、同じ前駆体材料から構成され得る。構造的に変更されたゾーン及び第1の部分60は、層状の関係で、例えばラミネートとして、互いに係合する2つ又はそれ以上の層から構成され得る。
【0026】
図3に示されるように、構造的に変更されたゾーンは、全てが同じである必要はない。例えば、構造的に変更されたゾーンを画定する機構(例えば、第2の孔100又は本明細書で想到される他の構造的機構)は、異なる寸法を有して、及び/又は異なるパターンで配置して、快適性などの、異なる性能上の利益を、身体の異なる部分にもたらすことができる。
【0027】
一実施形態では、第1の構造的に変更されたゾーン81、第2の構造的に変更されたゾーン82、第3の構造的に変更されたゾーン83及び第4の構造的に変更されたゾーン84は、最も大きい構造的に変更されたゾーンの(長手方向中心線L及び横断方向中心線Tにより画定された平面内での)少なくとも最大寸法だけ互いに離隔することができる。
【0028】
第1の構造的に変更されたゾーン81及び第2の構造的に変更されたゾーン82を離間させることによって、皮膚の健康状態及び流体獲得への異なる利益が、着用者の身体の異なる部分を対象とすることができると考えられる。第3の構造的に変更されたゾーン83及び/又は第4の構造的に変更されたゾーン84が存在する場合は、それらの構造的に変更されたゾーンを離間させることによって、同様の利益を獲得することができると考えられる。例えば、着用者の肛門の近位にある、トップシート20の身体に面する表面23は、肛門から離れた着用者の身体部分の近位にある、トップシート20の身体に面する表面23とは異なる質感を有してよい。同様に、着用者の大陰唇の近位にある、トップシート20の身体に面する表面23は、着用者の大腿部及び恥部の間の接合部の近位にある、トップシート20の身体に面する表面23とは異なる質感を有してよい。皮膚の健康状態はまた、吸収性物品の装着に関連した、吸収性物品の異なる領域内及び領域上の水分状態に左右される場合もある。したがって、吸収性物品の流体獲得及び流体貯留は、皮膚の健康状態に影響を及ぼし得る。更にまた、第1の構造的に変更されたゾーン81、第2の構造的に変更されたゾーン82、第3の構造的に変更されたゾーン83及び第4の構造的に変更されたゾーン84を離間させることによって、トップシート20の横縁部並びにトップシート20の前側及び後側に沿った適切なバリア機能を維持すると同時に、トップシート中心部における流体処理の改善をもたらすことが可能となる。第1の構造的に変更されたゾーン81、第2の構造的に変更されたゾーン82、第3の構造的に変更されたゾーン83及び第4の構造的に変更されたゾーン84を、トップシート20の周辺部分付近の快適性の向上をもたらすように配置することができるという更なる利益が生じ得る。
【0029】
構造的に変更されたゾーンは、トップシート面積の約2%超を構成することができ、この面積は、トップシート20の長手方向中心線Lと横断方向中心線Tとの平面内で測定されるものである。構造的に変更されたゾーンは、トップシート面積の約5%超を構成することができる。構造的に変更されたゾーンは、トップシート面積の約10%超を構成することができる。構造的に変更されたゾーンは、トップシート面積の約20%超を構成することができる。構造的に変更されたゾーンは、トップシート面積の約40%超を構成することができる。構造的に変更されたゾーンは、トップシート面積の約60%超を構成することができる。
【0030】
第1の構造的に変更されたゾーン81、第2の構造的に変更されたゾーン82、第3の構造的に変更されたゾーン83及び第4の構造的に変更されたゾーン84は、他の1つ又は複数の構造的に変更されたゾーンと比較して、固有の構造を有し得る。構造的に変更されたゾーンは、それぞれ、同一の構造を有してもよい。
【0031】
構造的に変更されたゾーンは、マクロ機構を含むことができる。マクロ機構は、20/20の視力を有する人の肉眼で、30cmの距離から、標準的な100ワットの白熱電球の照明と少なくとも等しい照明で見ることのできる要素である。マクロ機構は、約0.25mmを超えるMD−CD面内面積を有する要素であってよい。マクロ機構は、約1mmを超えるMD−CD面内面積を有する要素であってよい。マクロ機構は、約2mmを超えるMD−CD面内面積を有する要素であってよい。マクロ機構は、約5mmを超えるMD−CD面内面積を有する要素であってよい。マクロ機構は、中心で約1mm以上互いに離間することができる。
【0032】
例としてかつ限定しないものとして、マクロ機構は、単一の孔、単一の房又はMD−CD面から突出している単一の孔であることができる。房、孔、及びMD−CD面から突出している単一の孔以外のマクロ機構も考えられる。構造的に変更されたゾーンは、複数個の離間したマクロ機構によって画定されることができ、構造的に変更されたゾーンは、図3に示すように、隣り合うマクロ機構間の最大間隔650を超える距離で互いに離間している。
【0033】
構造的に変更されたゾーンは、ミクロ機構を含むことができる。ミクロ機構は、20/20の視力を有する人の肉眼で、30cmの距離から、標準的な100ワットの白熱電球の照明と少なくとも等しい照明で見ることのできない要素である。構造的に変更されたゾーンは、複数個の離間したミクロ機構によって画定されることができ、構造的に変更されたゾーンは、隣り合うミクロ機構間の最大間隔650を超える距離で互いに離間している。ミクロ機構は、マクロ機構よりも小さい。
【0034】
例としてかつ限定しないものとして、ミクロ機構は、単一の孔、単一の房又は、MD−CD面から突出している単一の孔であることができる。房、孔、及びMD−CD面から突出している単一の孔以外のミクロ機構も考えられる。例としてかつ限定しないものとして、構造的に変更されたゾーンは、孔又は房を含むことができる。構造的に変更されたゾーンは、皮膚の健康及び/又は流体獲得の向上をもたらす他の要素又は構造を含むことができる。
【0035】
図3に示されているように、第1の部分60は第1の孔90を有することができ、第2の部分70は第2の孔100を有することができる。第2の孔100は、第1の孔90と例えば構造において異なり得る。例えば、第1の孔90及び第2の孔100は、円形開口部であってよいが、その相違点は、第1の孔90と第2の孔100は、異なる直径を有することである。理論に束縛されるものではないが、異なる孔を有している材料又は構造的に変更されたゾーンは、着用者の皮膚とは異なる相互作用を行ない得ると考えられる。例えば、小さい孔を有しているトップシート20は、大きい孔を有しているトップシート20よりも柔軟な感触を与え、着用者の皮膚に対する研磨性が小さくなり得る。同様に、1つの寸法及び形状の孔を有している材料は、別の寸法及び/又は形状の孔を有している材料とは異なる方法で、流体を獲得し、及び/又は貯留することができ、最終的にこれは、皮膚の健康状態の改善を着用者にもたらすことができると考えられる。個々の第1の孔90及び第2の孔100は、約0.1mm〜約4mmの面積と、約0.1mm刻みの孔間面積を有することができる。個々の第1の孔90及び第2の孔100は、約0.25mm、約1mm又は約2mmの面積を有することができる。個々の第1の孔90及び第2の孔100は、約0.25mmを超える面積を有することができる。
【0036】
個々の第2の孔100の面内寸法は、図3に示すように、個々の第1の孔90の面内寸法とは異なり得る。孔の寸法は、MD−CD面内での孔の最大寸法である(身体に面する表面23は、トップシートの観察者に対して示される)。第1の孔90は、第1の孔90の最大寸法によって画定される第1の寸法91を有し、第2の孔100は、第2の孔100の最大寸法によって画定される第2の寸法101を有している。第2の孔100の第2の寸法101は、第1の孔90の第1の寸法91とは異なり得る。第2の孔100の第2の寸法101は、第1の孔90の第1の寸法91を超えることができる。第2の孔100の第2の寸法は、第1の孔90の第1の寸法91よりも小さくてもよい。
【0037】
個々の第1の孔90の面内幾何学構造は、個々の第2の孔100の面内幾何学構造とは異なり得る。面内幾何学構造とは、MD−CD面が観察者に面するように、トップシート20の身体に面する表面23を見ている観察者に示される物体の形を指す。例えば、図4に示されているように、第1の孔90は、実質的に円形を有することができ、第2の孔100は、実質的に楕円形を有することができる。理論に束縛されるものではないが、材料内の孔の形は、材料がどの程度平滑であると感知されるかに影響を及ぼし得ると考えられる。例えば、楕円形の孔の短軸と、円形の孔の直径がほぼ同じであっても、人が、楕円形の孔の長軸と平行な方向で材料をなでると、楕円形の孔を有している材料は、円形の孔を有している材料よりも滑らかに感じられる場合がある。楕円形を有している孔は、長軸寸法の短軸寸法に対する比が1を超えることができる。楕円形を有している孔は、長軸寸法の短軸寸法に対する比が約1.5を超えることができる。
【0038】
第1の部分60の面外幾何学構造は、第2の部分70の面外幾何学構造とは異なり得る。トップシート20の面内配向は、トップシート20の長手方向中心線L及び横断方向中心線Tによって画定され得る。第1の部分60及び第2の部分70が孔を含んでいる場合、個々の第1の孔90の面外幾何学構造は、個々の第2の孔100の面外幾何学構造とは異なり得る。面外幾何学構造とは、MD−CD面に直交する材料の横断面を見ている観察者に示される形状を指し、ここで第1の部分は第1の部分の面外幾何学構造を有しており、第2の部分は第2の部分の面外幾何学構造を有している。観察者は、面外幾何学構造を視覚的に感じることができる。場合によっては、トップシート20の異なる部分の面外幾何学構造は、異なる触感を提供することができる。即ち、トップシート20の第1の部分60と第2の部分70は、異なる感触を有し得る。人の身体に近接させて装着する衣類の技術分野では、材料又は布地の感触を「手触り」という。
【0039】
トップシート20の一部分が図5に示されている。図5に示されているように、第1の部分60の第1の孔90は、MD−CD面内において実質的に平らであることができる。第2の部分70の第2の孔100は、MD−CD面からz方向に突出することができる。理論に束縛されるものではないが、MD−CD面から突出する孔を有している材料は、その材料の変形性、並びに孔の面外突出部の幾何学構造及び孔のへりの幾何学構造に応じて、面内の孔を有している材料よりも滑らかな感触又は粗い感触を与えることができる。
【0040】
第1の部分は、第1の部分の孔の面密度を有することができ、第2の部分は、第2の部分の孔の面密度を有することができる。第1の部分の孔の面密度は、第2の部分の孔の面密度とは異なり得る。
【0041】
トップシート20は、フィルム、不織布又はラミネートであってよい。ラミネートトップシートは、2つの層のフィルム、2つの層の不織布、又はフィルムを備える1つの層の不織布を含むことができる。孔としては、ミクロ孔とマクロ孔を挙げることができる。マクロ孔は、20/20の視力を有する人の肉眼で、30cmの距離から、標準的な100ワットの白熱電球の照明と少なくとも等しい照明で見ることのできる孔である。マクロ孔は、約0.25mmを超えるMD−CD面内面積を有する要素とすることができる。ミクロ孔は、20/20の視力を有する人の肉眼で、30cmの距離から、標準的な100ワットの白熱電球の照明と少なくとも等しい照明で見ることのできない孔である。ミクロ孔及び/又は他のテクスチャーは、本明細書に記載されているような加工の前に、形成することができる。
【0042】
トップシート20として用いることができる有孔ウェブ1は、図6に示されているように形成することができる。図6に示されているように、ウェブ1は、第1の側面12及び第2の側面14を有している、概ね平面の、二次元の前駆体ウェブ25から形成することができる。前駆体ウェブ25は、例えば、ポリマーフィルム、不織布ウェブ、織布、紙ウェブ、ティッシュペーパーウェブ若しくは編布、又は、これらのいずれかの多層ラミネートであってよい。一般に、「側面」という用語は、本明細書では、紙及びフィルムのような概ね二次元のウェブの2つの主表面を説明する用語の一般的な用法で用いられる。複合又はラミネート構造では、ウェブ1の第1の側面12は、一方の最も外側の層又はプライの第1の側面であり、第2の側面14は、他方の最も外側の層又はプライの第2の側面である。
【0043】
前駆体ウェブ25は、ポリマーフィルムウェブとすることができる。高分子フィルムウェブは、変形可能であることができる。変形可能とは、本明細書で使用する場合、弾性限度を超えて伸長させると、新たに形成された形態を実質的に保持する材料を説明する。このような変形可能な材料は、ホモポリマー及びポリマーブレンドのように、化学的に均質であっても不均質であってもよく、平面シート又はラミネートのように、構造的に均質であっても不均質であってもよく、又は、これらの材料のいずれかの組み合わせであってもよい。
【0044】
用いることのできる変形可能なポリマーフィルムウェブは、材料の固体状態の分子構造の変化が起こる形質転換温度範囲を有することができる。この構造変化としては、結晶構造の変化及び/又は固体状態から溶融状態への変化を挙げることができる。結果として、上記の形質転換温度範囲では、材料の特定の物理的特性が実質的に変化する。熱可塑性フィルムでは、形質転換温度範囲は、そのフィルムの溶融温度範囲であり、この温度より高い場合には、フィルムは、溶融状態にあると共に、熱機械前歴の実質的にすべてを失う。
【0045】
高分子フィルムウェブは、そのポリマーの組成及び温度に左右される特徴的なレオロジー特性を有している熱可塑性ポリマーを含むことができる。このような熱可塑性ポリマーは、そのガラス転移温度よりも低い温度において、硬質、堅固及び/又は脆性であり得る。ガラス転移温度よりも低い温度においては、分子は、固定された一定の位置にある。ガラス転移温度よりも高いが、溶融温度範囲よりも低い温度においては、熱可塑性ポリマーは粘弾性を呈する。この温度範囲では、熱可塑性材料は一般に、ある程度の結晶化度を有し、概ね可撓性であり、力を受けると、ある程度変形可能である。このような熱可塑性物質の変形性は、変形速度、変形量(寸法的な量)、変形する時間の長さ、及び温度によって決まる。一実施形態では、この粘弾温度範囲内にある熱可塑性ポリマー、特に熱可塑性フィルムを含んでいる材料を形成するために、プロセスを用いることができる。
【0046】
高分子フィルムウェブは、特定の量の延性を備えることができる。延性とは、本明細書で使用するとき、材料が破損(破裂、破断、又は分離)する前に、材料を変形させたときに起こる恒久的かつ回復不能な塑性ひずみの量である。本明細書に記載されているように用いることができる材料は、少なくとも約10%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、又は少なくとも約200%の最低延性を有することができる。
【0047】
ポリマーフィルムウェブは、ポリオレフィン、ナイロン、ポリエステルなどのように、フィルムとして標準的に押し出されるか、又はキャストされる材料を含むことができる。このようなフィルムは、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、並びに、これらの材料をかなりの割合で含むコポリマー及びブレンドのような熱可塑性材料であることができる。このようなフィルムを表面改質剤で処理して、ロータス効果を付与するなど、親水性又は疎水性特性を付与することができる。後述されているように、ポリマーフィルムウェブは、非平滑化するか、又は別の方法で、完全に平坦かつ平面的な構成から変えることができる。
【0048】
前駆体ウェブ25は、不織布ウェブであってよい。不織布の前駆体ウェブ25では、前駆体ウェブ25は、非接着繊維、絡合繊維、トウ繊維などを含むことができる。繊維は、延伸性及び/又は弾性であることができ、加工に備えて事前に伸長させてもよい。前駆体ウェブ25の繊維は、スパンボンド法で作られた繊維のように連続的であるか、又はカードプロセスで典型的に用いられる繊維のように、ある長さに切断することができる。繊維は、吸収性であることができ、繊維性吸収ゲル化材料を含むことができる。繊維は、バイコンポーネント、多成分、成形、けん縮、又は、不織布ウェブ及び繊維の技術分野において既知であるその他のいずれかの配合又は構成のものであることができる。
【0049】
不織布の前駆体ウェブ25は、有孔ウェブ1に形成されるほど十分な伸長特性を有しているポリマー繊維を含んでいるいずれかの既知の不織布ウェブであってよい。一般に、ポリマー繊維は、化学的結合(例えば、ラテックス又は接着剤結合)、圧力接着、又は熱接着のいずれかによって結合可能であることができる。下記の結合プロセスで熱接着技術を用いる場合、熱可塑性粉末又は熱可塑性繊維のような熱可塑性材料を特定の割合で用いて、後で更に詳しく論じるように、ウェブ内の繊維部分の熱接着を促進できる。不織布の前駆体ウェブ25は、約100重量%の熱可塑性繊維を含むことができる。不織布の前駆体ウェブ25は、約10重量%ほどの熱可塑性繊維を含むことができる。同様に、不織布の前駆体ウェブ25は、約10%〜約100%の間のいずれかの1%刻みの重量比の熱可塑性繊維を含むことができる。
【0050】
前駆体ウェブ25は、2つ以上の前駆体ウェブの複合体又はラミネートであってよく、2つ以上の不織布ウェブ、又は、ポリマーフィルム、不織布ウェブ、織布、紙ウェブ、ティッシュウェブ、若しくは編布の混合物を含むことができる。前駆体ウェブ25は、供給ロール152(若しくは、複合的なウェブラミネートの場合に必要な複数個の供給ロール)、又は、フェストゥーンウェブのように、当該技術分野において既知の他のいずれかの供給手段から供給することができる。一実施形態では、前駆体ウェブ25は、ポリマーフィルム押出成形機又は不織布作製用製造ラインのようなウェブ作製装置から直接供給することができる。
【0051】
前駆体ウェブ25(ラミネート又は多層の前駆体ウェブ25を含む)の総坪量は、ウェブ1の最終用途に応じて、約8gsm〜約500gsmの範囲とすることができ、約8〜約500gsmの間の1gsm刻みの値で作製することができる。不織布の前駆体ウェブ25の構成繊維は、ポリマー繊維であってよく、モノコンポーネント繊維、バイコンポーネント繊維、及び/又は2成分繊維、中空繊維、非丸形状繊維(例えば、成形(例えば3葉)繊維、又は毛管路繊維)であり得、約0.1〜約500マイクロメートルの範囲の0.1マイクロメートル刻みの主要横断面寸法(例えば、丸形状繊維の直径、楕円形状繊維の長軸、不規則形状の最長直線寸法)を有することができる。
【0052】
前駆体ウェブ25は、例えば、放射加熱、強制空気加熱、対流加熱によるか、又は、油加熱したローラー上で加熱するなど、当該技術分野において既知の手段によって予熱することができる。前駆体ウェブ25は、界面活性剤、ローション、接着剤などのようなコーティングで処理することができる。前駆体ウェブ25の処理は、噴霧、スロットコーティング、押出加工、又は、別の方法で片方又は両方の表面にコーティングを塗布するなど、当該技術分野において既知の手段によって実現することができる。
【0053】
供給ロール152が図6の矢印で示されている方向に回転すると、前駆体ウェブ25は、様々なアイドラーローラー、張力制御ローラーなどのいずれかの上又は周囲を含め、当該技術分野において既知の手段によって、機械方向で、一対の逆回転ロール102及び104からなるニップ116に移動する。ロール102及び104は、形成装置103を含むことができる。一対のロール102及び104は、火山形の構造体8と孔とを前駆体ウェブ25内に形成するように動作することができる。有孔ウェブ1は、巻き取りロール180に巻き取ることができる。
【0054】
ウェブ内に孔を作製するには、様々なアプローチがある。孔を作るために選択される手法に影響を及ぼし得る要因としては、前駆体ウェブ25が不織布であるかポリマーフィルムであるか、孔の所望の幾何学構造、所望の加工速度及び所望されるプロセスの制御の量が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
ポリマーフィルムウェブ及び不織布ウェブ内に孔を形成するための手法は、O’Donnellらの米国特許出願第11/249,618号、及び米国特許出願第12/188,543号(2008年8月8日出願)に開示されているような一対の噛合ロールを使用する。
【0056】
孔の面密度は、約1孔/cm〜約6孔/cm〜約60孔/cm(1孔/cm刻み)と様々であってよい。例えば、少なくとも約10開口/cm、又は少なくとも約25開口/cmであり得る。
【0057】
図7は、前駆体ウェブ25が平らなフィルムではなく、微小な段差2によって事前に非平滑化されたフィルムであった三次元有孔ウェブ1の実施形態を示している。段差2は、突出部、エンボス、穴などであることができる。図示されている実施形態では、段差2は、液圧成形プロセスによって形成された火山形のミクロ孔である。好適な液圧成形プロセスは、1986年9月2日にCurroらに発行された米国特許第4,609,518号に開示されている多相液圧成形プロセスの第1の相である。図7に示されるウェブに使用される液圧成形用スクリーンは、「100メッシュ」のスクリーンであり、フィルムは、Tredegar Film Products,Terre Haute,INから入手した。切頭の概ね円錐形の構造体8のへりによって画定された孔は、形成装置103のロール104の歯110によって形成され得る。切頭の概ね円錐形の構造体のへりが、トップシートの身体に面する表面の上に位置するように、切頭の概ね円錐形の構造体8をトップシート20内で配置することができる。切頭の概ね円錐形の構造体のへりが、トップシート20の衣類に面する表面の上に位置するように、切頭の概ね円錐形の構造体8をトップシート20内で配置することができる。切頭の概ね円錐形の構造体のへりの一部がトップシート20の衣類に面する表面の上に位置し、切頭の概ね円錐形の構造体のへりの一部がトップシート20の身体に面する表面の上に位置するように、切頭の概ね円錐形の構造円錐形の構造体8をトップシート20内で配置することができる。Procter & Gamble Co.,Cincinnati,OHによる商標Always Ultra生理用ナプキンに使用されるようなポリマーウェブ、又は2008年7月22日にStoneらに発行された米国特許第7,402,723号に開示されるようなポリマーウェブが、トップシート20又はその構成要素/部分にとって実用的であり得る。
【0058】
段差2はまた、柔軟性の触感を与える質感を提供するために、非有孔突出部であるか、又は開口近位端と閉鎖遠位端とを有している前駆体ウェブ25と一体の中空微細繊維であってもよい。非有孔突出部及び微細繊維以外の段差2も考えられる。柔軟性は、ウェブ1を使い捨て吸収性物品のトップシートとして用いるときに有益であり得る。柔軟で順応性のある使い捨て吸収性物品用トップシートは、段差2を有している第2の側面14が、物品の身体に面する表面であるように、有孔ウェブ1を用いる場合に実現することができる。いくつかの実施形態では、異なるレベルの快適性又は流体の流動に関わる異なる特性を提供することもできるように、段差2は、トップシートの衣類に面する表面上にあってもよい。
【0059】
トップシート20は、有孔不織布ウェブを含むことができる。米国特許出願第11/249,618、米国特許第5,714,107号、及び米国特許第5,628,097号は、有孔不織布ウェブ、並びに不織布ウェブに孔を形成するための装置及び方法を開示している。
【0060】
不織布の前駆体ウェブ25は、延伸性であっても、弾性であっても、非弾性であってもよい。不織布の前駆体ウェブ25は、スパンボンドウェブであっても、メルトブローンウェブであっても、ボンドカードウェブであってもよい。不織布の前駆体ウェブ25は、メルトブローン繊維のウェブである場合、メルトブローンマイクロファイバーを含んでもよい。不織布の前駆体ウェブ25は、例えばポリオレフィンのような繊維形成ポリマーで作製してよい。代表的なポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー、及びブテンコポリマーの1つ以上が挙げられる。
【0061】
別の実施形態では、不織布の前駆体ウェブ25は、例えば、メルトブローンウェブ、ボンドカードウェブ又はその他の好適な材料の少なくとも1つの層に接合された少なくとも1つのスパンボンドウェブを有している多層材料であってもよい。例えば、不織布の前駆体ウェブ25は、約6.8〜約273.3g/m(約0.2〜約8オンス/平方ヤード)の坪量を有しているスパンボンドポリプロピレンの第1の層と、約6.8〜約136.6g/m(約0.2〜約4オンス/平方ヤード)の坪量を有しているメルトブローンポリプロピレンの層と、約6.8〜約273.3g/m(約0.2〜約8オンス/平方ヤード)の坪量を有しているスパンボンドポリプロピレンの第2の層とを有している多層ウェブであってよい。あるいは、不織布ウェブは、例えば、約6.8〜約341.6g/m(約0.2〜約10オンス/平方ヤード)の坪量を有しているスパンボンドウェブ、又は約6.8〜約273.3g/m(約0.2〜約8オンス/平方ヤード)の坪量を有しているメルトブローンウェブのような、材料の単一層であってもよい。
【0062】
不織布の前駆体ウェブ25をポリマーフィルムに接合して、ラミネートを形成してよい。好適なポリマーフィルム材料としては、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー、及びブテンコポリマー;ナイロン(ポリアミド);メタロセン触媒ポリマー;セルロースエステル;ポリ(メチルメタクリレート);ポリスチレン;ポリ(塩化ビニル);ポリエステル;ポリウレタン;相溶性ポリマー;相溶性コポリマー;これらのブレンド、ラミネート、及び/又は組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
不織布の前駆体ウェブ25は、2つ以上の異なる繊維の混合物、又は繊維と粒子との混合物から構成される複合体であってもよい。このような混合物は、メルトブローン繊維又はスパンボンド繊維を運ぶ気体流に繊維及び/又は粒子を加えることによって形成して、繊維の収集前に、繊維、並びに、例えば、木材パルプ、短繊維及び粒子のようなその他の材料が緊密に絡み合って混合されるようにしてよい。
【0064】
繊維の不織布の前駆体ウェブ25は、固着することによって接合して、凝集性ウェブを形成することができる。好適な結合技法としては、化学的接着、ポイントカレンダー加工のような熱接着、水流交絡及びニードリングが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
漸増式に不織布を伸長させるか、又は不織布に張力を加えるのに適した漸増伸長機構のその他の構造体は、1995年2月9日にChappellらの名で公開された国際公開第95/03765号に記載されている。
【0066】
不織布の有孔ウェブは、巻き取りロールに巻き取って保管することができる。あるいは、使い捨て吸収性物品のトップシートを形成するのに使われる製造ラインに不織布の有孔ウェブを直接供給してもよい。
【0067】
第1の部分60及び/又は第2の部分70は、図8に示す房206を含み得る。房206は、2つ以上の層を含んでおり、その層のうちの1つが他の層の中に押し込まれているか、又は他の層の孔を通過して突出している積層体ウェブ1を含むことができ、このウェブの例は図8に示されている。第1の前駆体ウェブ220及び第2の前駆体ウェブ221のように、これらの層は、本明細書では、概ね平面な二次元前駆体ウェブと称される。いずれかの前駆体ウェブは、フィルム、不織布、又は織布ウェブであることができる。第1の前駆体ウェブ220及び第2の前駆体ウェブ221(並びに、いずれかの追加的なウェブ)は、接着剤、熱接着、超音波接着などによるか、又はこれらによらずに、接合することができる。第1の前駆体ウェブ220及び第2の前駆体ウェブ221は、図1に示されるような、トップシート20の上層21及び下層22にそれぞれ対応し得る。
【0068】
ウェブ1は第1の側面12と第2の側面14を有しており、この「側面」という用語は、概ね平らな状態のときに2つの側面を有している紙及びフィルムのように、概ね平面な二次元ウェブの一般的な用法で用いられる。第1の前駆体ウェブ220は、第1の前駆体ウェブの第1の表面212と、第1の前駆体ウェブの第2の表面214とを有している。第2の前駆体ウェブ221は、第2の前駆体ウェブの第1の表面213と、第2の前駆体ウェブの第2の表面215とを有している。ウェブ1は、ウェブ製造の当該技術分野において既知のような、機械方向(MD)及び幅方向(CD)を有している。第1の前駆体ウェブ220は、実質的に不規則に配向された繊維で構成される不織布ウェブ、ポリマーフィルム、又は織布ウェブであることができる。「実質的に不規則に配向された」は、前駆体ウェブのプロセス条件により、CDよりもMDに又はその逆に、より多くの繊維が配向されてもよいことを意味する。第2の前駆体ウェブ221は、第1の前駆体ウェブ220と同様の不織布ウェブ、又は、ポリエチレンフィルムのようなポリマーフィルム若しくは有孔ポリマーフィルムであることができる。
【0069】
一実施形態では、ウェブ1の第1の側面12は、第2の前駆体ウェブの第1の表面213の露出部分及び1つ以上の個別の房206によって画定され、これは不織布の第1の前駆体ウェブ220の繊維の一体的延長部である。房206は、第2の前駆体ウェブ221の孔を通って突出することができる。図9に示されているように、各房206は、第2の前駆体ウェブ221を通ってかつ第2の前駆体ウェブの第1の表面213から外向きに延びている複数のループ状繊維208を含むことができる。
【0070】
房は、第1の前駆体ウェブ220の個別の局部において繊維をz方向で面外に導くことによって形成することができる。
【0071】
第1の前駆体ウェブ220は、弾性又はエラストマー繊維を含んでいる繊維性織布又は不織布ウェブであることができる。弾性若しくはエラストマー繊維は、少なくとも約50%伸張可能であり、それらの元の寸法の10%以内に復元する。弾性繊維が、その繊維の不織布内での移動性により単にずれる場合、又は弾性繊維が、その弾性限度を超えて伸長して可塑的に変形する場合、房206を弾性繊維から形成することができる。
【0072】
第2の前駆体ウェブ221は、事実上、いずれのウェブ材料であることもでき、唯一の要件は、その材料が、下記のプロセスによってラミネートに形成するのに十分な一体性を有する点、及び、第2の前駆体ウェブ221の方向で面外に導かれる第1の前駆体ウェブ220からの繊維ひずみを経ると、第2の前駆体ウェブ221が、(例えば伸長することによって)面外に導かれるか、又は、(例えば、伸長による破損によって)破断するような、第1の前駆体ウェブ220と比較される伸長特性を有する点である。破裂が生じた場合、IPS開口204が破裂位置で形成され得る(IPSとは自己貫入(Inter-Penetrating Self)を表わす)。第1の前駆体ウェブ220の部分は、第2の前駆体ウェブ221のIPS孔204を通って延びて(即ち、IPS孔204を「押して貫通する」か、又はIPS孔204を通って突出して)、ウェブ1の第1の側面12に房206を形成することができる。一実施形態では、第2の前駆体ウェブ221はポリマーフィルムである。第2の前駆体ウェブ221は、織布地ウェブ、不織布ウェブ、ポリマーフィルム、有孔ポリマーフィルム、紙ウェブ(例えばティッシュペーパー)、金属フォイル(例えばアルミニウム製ラッピングフォイル)、フォーム(例えば、ウレタンフォームシート材)などであることもできる。
【0073】
図8及び図9に示されているように、房206は、第2の前駆体ウェブ221のIPS孔204を通って延びることができる。IPS開口204は、第2の前駆体ウェブ221を局部的に破裂することによって形成することができる。破裂は、IPS開口204が面内(MD−CD)二次元開口になるように、第2の前駆体ウェブ221を単に裂いて開くことを含んでよい。ただし、ポリマーフィルムのような一部の材料では、第2の前駆体ウェブ221の一部を面外(即ち、第2の前駆体ウェブ221の面)に偏向するか又は導いて、フラップ様構造体(本明細書では1つ又は複数のフラップ207と称する)を形成することができる。フラップ207の形状及び構造は、第2の前駆体ウェブ221の材料特性によって決まることがある。フラップ207は、図8及び図9に示されているように、1つ以上のフラップの一般構造を有することができる。別の実施形態では、フラップ207は、房206がフラップ207から噴出するかのように、より火山形の構造を有することができる。
【0074】
房206は、ある意味では、第2の前駆体ウェブ221に「押し通される」(又は第2の前駆体ウェブ221を通って突出する)ことができ、IPS孔204との摩擦係合によって適所に「固定」することができる。これは、房206がIPS孔204を通って引き戻されないように抑制する傾向がある、開口部におけるある量の復元を示す。房及び開口部の摩擦係合は、接着剤又は熱接着なしで形成できる一方の側面上に房を有している積層体ウェブ構造体をもたらすことができる。
【0075】
房206は、第2の前駆体ウェブ221を通って房206が突出する場合に、ウェブ1の第1の側面12を実質的に覆う(例えば、対象の区域、一部分又はゾーンの約85%超を覆う)ように十分に近接して配置することができる。このような実施形態では、ウェブ1の両側は、第1の側面12と第2の側面14とが表面質感の点で異なる不織布に見える。したがって、一実施形態では、ウェブ1は、2つ以上の前駆体ウェブからなる積層体材料と称することができ、この積層体ウェブの両側は、その前駆体ウェブのうちの1つのみの繊維によって実質的に覆われている。
【0076】
図9に示されるように、房206が明白な直線的配向及び長軸LAを有するように、ループ状繊維208を実質的に整列させることができる。房206はまた、MD−CD面内において長軸LAと通常直交する短軸TSを有することができる(MD−CD面は、第1の前駆体ウェブ220及び第2の前駆体ウェブ221並びに房206を包含するものとして考慮することができる)。図9及び図10に示す実施形態では、長軸LAはMDと平行である。房206は、円形又は正方形のような、MD−CD面内における対称形状を有することができる。房206は、1を超えるアスペクト比(最長寸法の最短寸法に対する比。これらの寸法のいずれもMD−CD面内で測定する)を有することができる。一実施形態において、離間する房206は全て、概ね平行な長軸LAを有している。ウェブ1の単位面積当たりの房206の数、即ち房206の面密度は、約1房/cm〜約100房/cmで様々であってよい。少なくとも約10又は少なくとも20房/cmであることができる。
【0077】
別の実施形態では、各房206は、第2の前駆体ウェブの第1の表面213から外向きに延びている複数の非ループ状繊維218(図10に示されているようなもの)を含むことができる。一般に、房206のループ状繊維208又は非ループ状繊維218は、第1の前駆体ウェブ220の繊維と一体的であると共に、第1の前駆体ウェブ220の繊維から延びている繊維を含んでいる。
【0078】
房206を形成するためのプロセス及び装置は、多くの点で、米国特許第5,518,801号、発明の名称「Web Materials Exhibiting Elastic−Like Behavior」(後続の特許文献では「構造弾性様フィルム(Structural Elastic-like Film)」を表す「SELF」ウェブと呼ばれる)に記載されているプロセスと同様である。以下に記載されるように、ロール104の歯110は、前縁部及び後縁部を有する幾何学構造を有しており、この前縁部及び後縁部は、第1の前駆体ウェブ220及び第2の前駆体ウェブ221の平面を歯が本質的に「押して」貫通するのを可能にする。2層積層体ウェブでは、歯110は、第1の前駆体ウェブ220からの繊維を、第2の前駆体ウェブ221の面外かつ面を貫通するように、同時に導く。したがって、ウェブ1の房206は、第2の前駆体ウェブの第1の表面213を貫通して離れるように延びているループ状繊維208の「トンネル様」房であり得、対称的な形状とすることができる。
【0079】
一実施形態では、第2の前駆体ウェブ221は、1%〜5%の範囲の破断伸びを有している。実際に求められる破断伸びは、ウェブ1を形成するために誘発されるひずみによって決まるが、いくつかの実施形態では、第2の前駆体ウェブ221は、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%以上のウェブの破断伸びを呈することがあると認識される。また、実際の破断伸びは、ライン速度の関数であるひずみ速度によって決まり得ることが認識される。ウェブの破断伸びは、Instron、MTS、Thwing−Albertなどによって製造されているものなどのような標準的な引張試験器を用いる標準的な引張試験法など、当該技術分野において既知の手段によって測定することができる。
【0080】
更には、第2の前駆体ウェブ221が、房206の範囲で面外に延びるのではなく、例えば形成装置103の歯110による房206の形成によって生じるひずみ下の張力で破損し得るように、第2の前駆体ウェブ221は、第1の前駆体ウェブ220よりも低い繊維移動性(該当する場合)及び/又は低い破断伸び(即ち、個々の繊維の破断伸び、又はフィルムの場合には、そのフィルムの破断伸び)を有することができる。一実施形態では、IPS孔204のフラップ207が、房206に比べて、仮に面外に延びるとしても、僅かに面外に延びるだけであるように、第2の前駆体ウェブ221は、第1の前駆体ウェブ220に比べて、十分に低い破断伸びを呈する。第2の前駆体ウェブ221は、第1の前駆体ウェブ220よりも少なくとも約10%低いか、又は、第1の前駆体ウェブ220よりも少なくとも約30%、少なくとも約50%、若しくは少なくとも約100%低い破断伸びを有することができる。
【0081】
房206の数、間隔及び大きさは、歯110の数、間隔及び大きさを変えることによって、また必要に応じて対応する寸法的変化をロール104及び/又はロール102に加えることによって変えることができる。第1の前駆体ウェブ220及び第2の前駆体ウェブ221で考え得る変化と共に、この変化によって、国際公開第01/76523号に開示されているようなパーソナルケアアイテムなどの多くの目的に合わせて、多種多様なウェブ1を作ることが可能になる。不織布/フィルムの第1の前駆体ウェブ/第2の前駆体ウェブの組み合わせを含んでいるウェブ1も、使い捨て吸収性物品内の構成要素として用いることができる。
【0082】
房付きウェブ1は、約60gsm〜100gsm(80gsmが実用的である)の坪量を有している不織布の第1の前駆体ウェブ220と、約0.91〜0.94g/cmの密度及び約20gsmの坪量を有しているポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン)の第2の前駆体ウェブ221から形成することができる。
【0083】
房206を有しているウェブ1は、吸収性物品10のトップシート20又はトップシート20の一部分として用いることができる。房206を有しているウェブ1は、優れた流体獲得性及び吸収性コア40への流体分配性と、使用中におけるトップシート20の身体に面する表面の再湿潤を防止する優れた性能との組み合わせにより、吸収性物品用トップシート20として有益であり得る。再湿潤は、少なくとも次の2つの原因の結果であり得る:(1)吸収性物品10に加わる圧力が原因で吸収された流体がしぼり出されること、及び/又は(2)トップシート20の中又は上に封入された湿気。
【0084】
トップシート20の様々な部分の表面質感は、房206を提供することによって作り出すことができる。房206がトップシート20の身体に面する表面23の一部分を含むように、房206を配向することができる。房206をトップシート20の衣類に面する表面上に配向するように、房206を配向することができる。
【0085】
トップシート20は、不織布第1の前駆体ウェブ220、及び流体不透過性、又は流体透過性ポリエチレンフィルム第2の前駆体ウェブ221を使用することによって作製され得る。構成要素のウェブの坪量は、様々であってよいが、一般にコスト及び利点への配慮により、ウェブ1では、約20gsm〜80gsmの総坪量が望ましい場合がある。フィルム/不織布ラミネートとして作製するとき、ウェブ1は、繊維房の柔軟性及び流体毛管性と、流体不透過性ポリマーフィルムの再湿潤防止性とを兼ね備えることができる。
【0086】
第1の部分60は、房206を含むことができる。第2の部分70は、房206を含むことができる。第1の部分60と第2の部分70はどちらも、房206を含むことができ、この場合、第1の部分60の房は、第2の部分70の房とは異なる。房206における違いは、面外次元zにおける房の大きさであってよい。房206における違いは、MD−CD面における大きさ又は形であってよい。房の大きさは、MD−CD面(トップシートの観察者に対して示されている)と平行な平面における房の最大寸法である。房206における違いは、房206が第2の前駆体ウェブ221を貫通して突出しているか、又は第2の前駆体ウェブ221内部に入れ子にされているかに関する、房206の形状であってよい。房206における違いは、房206の色であってよい。房206の色の違いは、吸収性物品10の異なる部分が、異なる機能を果たす場合のあることを着用者が理解することを助け、着用者が吸収性物品10をパンティー内に適切に配置することを助け、心理的な確信をもたらすことができる。
【0087】
1つの例示的実施形態では、第1の前駆体ウェブ220及び第2の前駆体ウェブ221のいずれも、又はいずれのウェブの一部分も、吸収性コア40及びバックシート30の間には存在しないように、吸収性コア40は、第1の前駆体ウェブ220及び第2の前駆体ウェブ221を含んでいる積層体ウェブの間に存在し得る。
【0088】
一実施形態では、図13Aに示されるように、構造的に変更されたゾーンは、境界を有することができ、その境界の少なくとも一部は、チャネル300によって画定される。即ち、1つ以上の構造的に変更されたゾーンに関しては、チャネル300が、構造的に変更されたゾーンを取り囲むか又は部分的に取り囲むことができると共に、その特定の構造的に変更されたゾーンと隣接することができる。チャネル300は、吸収性物品内のチャネルを作るための技術分野において既知のいずれかの手段によって、形成することができる。好適なプロセスとしては、トップシート20と吸収性コア40を圧縮して、吸収性物品の身体に面する表面内にくぼみを残す圧縮成形が挙げられる。理論に束縛されるものではないが、チャネル300の近くの、吸収性コア40の部分の毛管潜在力は、チャネル300から離れた、吸収性コア40の部分の毛管潜在力よりも高い場合があり、このより高い毛管潜在力が、チャネル300を越えて流体が移送されることを防ぐことができると考えられる。同様に、第1の部分60はまた、少なくとも一部がチャネル300によって画定される境界を有することもできる。
【0089】
一実施形態では、トップシート20は、図13Aに示されているように、第3の部分310を含み得る。第3の部分310は、トップシート20の長手方向中心線及び横断方向中心線によって画定される平面内において、第1の部分60及び第2の部分70の双方を少なくとも部分的に画定又は更には完全に画定し得る。第3の部分310は、第1の部分60及び第2の部分70に関して上に開示した構造を有している有孔ウェブであってよい。第3の部分310は、図13Aに示されるように、房206を含み得る。第3の部分310は、第1の部分60と構造において異なり得る。第3の部分310は、第2の部分70と構造において異なり得る。第3の部分310は、第1の部分60及び第2の部分70とは構造において異なり得る。第3の部分310は、第1の部分、第2の部分、並びに、第1の部分及び第2の部分の双方からなる群から選択される1つ又は複数の部分と構造において異なり得る。理論に束縛されるものではないが、第3の部分310をこのように配置することにより、着用者の皮膚に対して快適でありかつ/又は吸収性物品10の表面上若しくは表面付近の流体の流動に対するバリアを提供することができる周辺構造を、トップシート20に提供することができると考えられる。股領域に装着する生理用ナプキンとの関連では、生理用ナプキンの前側及び後側における第3の部分310は、女性があお向け又はうつぶせになる際に、これらの区域での生理用ナプキンからの漏れの可能性を低減することができる。生理用ナプキンの側方に沿った第3の部分310は、生理用ナプキンからの横方向の流出の可能性を低減することができる。第3の部分310は、房206以外の構造を含むことができる。
【0090】
一実施形態では、第3の部分310は、柔軟な不織布ウェブの房206を含むことができる。吸収性物品10の周辺縁部が着用者の股領域の皮膚と擦れ合うとき、房206を含んでいる第3の部分310は、着用時の吸収性物品10の改善された快適性をもたらし得る。トップシート20の第1の部分60及び/又は第2の部分70は、十分な流体獲得特性を有している有孔フィルムであってよく、第3の部分310は、快適性をもたらすための、不織布材で形成される房206を含み得る。こうした手法によって、吸収性物品10の中央付近における適切な流体獲得特性を有している吸収性物品10を提供することができ、かつ吸収性物品10の周辺部付近の快適性を提供することができる。
【0091】
吸収性コア40は、当業者に周知の材料のいずれかから形成することができる。こうした材料の例としては、多プライの捲縮セルロース塊、毛羽立てられたセルロース繊維、エアフェルトとしても既知である木材パルプ繊維、織物繊維、繊維のブレンド、繊維の塊又は芯、繊維のエアレイドウェブ、ポリマー繊維のウェブ及びポリマー繊維のブレンドが挙げられる。
【0092】
一実施形態では、吸収性コア40は、比較的薄く、厚さ約5mm未満、厚さ約3mm未満、又は約1mm未満であってよい。厚さは、当該技術分野において既知のいずれかの手段によって、1.72kPaの均一な圧力下にある間に、パッドの長手方向中心線沿いの中間点の厚さを測定することによって、決めることができる。吸収性コアは、当該技術分野において既知であるような、吸収性ゲル材料(AGM)の繊維を包含する吸収性ゲル材料を含んでもよい。
【0093】
バックシート30は、ポリマーフィルム、及びフィルム/不織布ラミネートのように、バックシート用として当該技術分野において既知の材料のいずれかを含むことができる。吸収性物品10の衣類に面する表面に、ある程度の柔軟性と蒸気透過性を提供するために、バックシート30は、吸収性物品10の衣類に面する表面の蒸気透過性外層とすることができる。バックシート30は、当該技術分野において既知のいずれの蒸気透過性材料からも形成することができる。バックシート30は、ミクロ孔質フィルム、有孔成形フィルム、又は当該技術分野において既知のように、蒸気透過性であるか、若しくは蒸気透過性にされるその他のポリマーフィルムを含むことができる。適した1つの材料は、疎水性であるか又は疎水性にされて、ほぼ液体不透過性である不織布ウェブのような、柔軟で、滑らかで、順応性のある蒸気透過性材料である。
【0094】
吸収性物品10のその他の材料及び構成要素は、1990年8月21日にOsborn IIIに発行された米国特許第4,950,264号及び1995年8月8日にNoelらに発行された同第5,439,458号に開示されているものを含め、本明細書の範囲内であると考えられる。
【0095】
吸収性物品10の構成要素は、例えば、接着剤結合、熱接着、超音波結合など、当該技術分野において既知のいずれかの手段によって接合することができる。接着剤は、例えば、噴霧又はスロットコーティングなど、接着剤の均一な層を配置するための、当該技術分野において既知の手段によって塗布することができる。接着剤は、上記のFindley HX1500−1などの接着剤のような流体透過性接着剤であってよい。
【0096】
吸収性物品の流体処理特性
本発明の吸収性物品は、吸収性物品の流体処理特性をカスタマイズするように設計された流体処理ゾーンを備える。本発明の吸収性物品の流体処理ゾーンは、本明細書に前述した吸収性物品の構造的に変更されたゾーンに対応し得る。流体処理ゾーンは、更に、吸収性物品のチャネルに対応し得る。
【0097】
本発明の吸収性物品の流体処理ゾーンは、後述される試験方法に従ってそれぞれ決定される、横断方向流体移動距離、長手方向流体移動距離、捕捉時間、及び再湿潤値を示す。
【0098】
一実施形態において、本発明の吸収性物品は、吸収性物品のトップシートの第1の部分を含み、かつ第1の横断方向流体移動距離を有している第1の流体処理ゾーンと、トップシートの第2の部分を含み、かつ第2の横断方向流体移動距離を有している第2の流体処理ゾーンとを備える。トップシートの第1の部分は、該トップシートの第2の部分とは異なる構成体を有している。第1の横断方向流体移動距離は、第2の横断方向流体移動距離よりも少なくとも約50%大きい。
【0099】
一実施形態において、第1の横断方向流体移動距離は、第2の横断方向流体移動距離よりも少なくとも5mm大きい。
【0100】
一実施形態において、吸収性物品は、第1の長手方向流体移動距離を有している第1の流体処理ゾーンと、第2の長手方向流体移動距離を有している第2の流体処理ゾーンとを備える。吸収性物品は、トップシートの第3の部分を含み、かつ第3の長手方向流体移動距離を有している第3の流体処理ゾーンを更に備える。第3の長手方向流体移動距離は、第1及び第2の長手方向流体移動距離よりも大きい。
【0101】
一実施形態において、吸収性物品は、トップシートの第1及び第2の部分とは異なる構成体を有している、トップシートの第3の部分を含んでいる第3の流体処理ゾーンを更に備え、該第3の流体処理ゾーンは、好ましくはチャネルであり、第1の流体処理ゾーンと第2の流体処理ゾーンとの間に配置されている。
【0102】
一実施形態において、吸収性物品は、第1の捕捉時間を有している第1の流体処理ゾーンと、第2の捕捉時間を有している第2の流体処理ゾーンと、第3の捕捉時間を有している第3の流体処理ゾーンとを備え、第3の捕捉時間は、第1又は第2の捕捉時間よりも短く、好ましくは少なくとも約50%短い。
【0103】
一実施形態において、吸収性(abosorbent)物品は、第1の再湿潤値を有している第1の流体処理ゾーンと、第2の再湿潤値を有している第2の流体処理ゾーンとを備え、第1の再湿潤値は第2の再湿潤値よりも小さい。
【0104】
一実施形態において、吸収性物品は長手方向中心線を備え、第1の流体処理ゾーンは長手方向中心線と交差しており、第2の流体処理ゾーンは長手方向中心線と交差していない。
【0105】
一実施形態において、吸収性物品は横断方向中心線を備え、第1の流体処理ゾーン及び第2の流体処理ゾーンは共に、横断方向中心線と交差している。
【0106】
一実施形態において、吸収性物品は横断方向中心線を備え、第1の流体処理ゾーンは横断方向中心線と交差しており、第2の流体処理ゾーンは横断方向中心線と交差していない。
【0107】
一実施形態において、第2の流体処理ゾーンは、横断方向中心線の両側に存在し、第2の流体処理ゾーンの幅は、横断方向中心線の位置よりも、横断方向中心線の両側の位置において大きい。
【0108】
一実施形態において、吸収性物品は、吸収性物品の中央に配置されている第1の流体処理ゾーンを備える。
【0109】
一実施形態において、第1の流体処理ゾーンは有孔フィルムを含んでいる。
【0110】
一実施形態において、第2の流体処理ゾーンは、好ましくは房を含んでいる不織布ウェブを含んでいる。
【0111】
一実施形態において、吸収性物品は、吸収性物品の長手方向中心線に対して直角な吸収性コア最大幅を有している吸収性コアを備え、第2の流体処理ゾーンは、長手方向中心線に対して直角な第2の流体処理ゾーン最大幅を有しており、第2の流体処理ゾーン最大幅は、吸収性コア最大幅の約50%未満、好ましくは約25%未満である。
【0112】
一実施形態において、吸収性物品は生理用ナプキンである。
【0113】
図15は、流体処理ゾーンを備える本発明の吸収性物品の一実施形態を示す。この実施形態は、以下の実施例においてより詳細に説明される。
【0114】
試験方法
本発明の吸収性物品の流体処理ゾーンを評価する方法は、以下の通りである。
【0115】
人工月経液模擬物質(「AMFS:ARTIFICIAL MENSTRUAL FLUID SIMULANT」)
この試験で使用された人工月経液模擬物質(以下本明細書では「AMFS」と呼ぶ)は、ヒツジの脱線維素血液70%、及び溶解ゼラチン、アニオン性ポリアクリルアミド凝集剤、及びリン酸緩衝生理食塩水からなる溶液30%で構成される。このようなAMFSは、米国特許第7,659,372号により詳細に記載されている。
【0116】
溶解ゼラチンは、7gの食用グレードの無香料ゼラチンと、85gの滅菌蒸留水とを混合することによって調製される。構成成分を加熱し、溶解するまで撹拌する。溶液を4℃の冷蔵庫の中で一晩凝固させる。リン酸緩衝生理食塩水は、0.138%の水性一塩基性リン酸ナトリウム及び0.85%の塩化ナトリウムを含有する22gの溶液と、0.14%の無水二塩基性リン酸ナトリウム及び0.85%の塩化ナトリウムを含有する70gの溶液とを混合することによって調製される。アニオン性ポリアクリルアミド凝集剤(KemiraからSuperfloc(商標)A−150として入手可能)は、1gの凝集ビーズと1%の塩化ナトリウム溶液とを滅菌蒸留水の中で混合することによって調製される。この溶液を室温で1週間置く。
【0117】
100mLのAMFSを調製するために、7gの固化したゼラチンを21.5gのリン酸緩衝生理食塩水に加え、目で見えるほど溶解するまで35℃のホットプレート上で加熱する。この溶液を25℃まで冷却する。次に、1.5gのアニオン性ポリアクリルアミド凝集剤を加えた後、Cleveland Scientificから入手可能な70gのヒツジの脱線維素血液を加える。構成要素を確実に混合するために、得られたAMFSを10回反転させた後、4℃の冷蔵庫の中に一晩入れる。
【0118】
AMFSの粘度を、TA InstrumentのAR 1500又はAR 2000回転レオメータを使用して、試験への適合性に関してチェックする。AMFSバッチを25℃まで温めた後、剪断速度を0.5から30 1/sまで傾斜的に変化させる、500〜1000マイクロメートルの隙間を有している鋼製の40mmの0°板を使用して、25℃の計器温度でこれを試験する。得られた剪断曲線に直線回帰を適用し、20 1/sの剪断速度の粘度を計算する。20 1/sで17〜23センチポアズのAMFS粘度は、本明細書の試験方法で用いるのに許容可能であると考えられる。
【0119】
サンプルの調製
吸収性物品を広げ、全ての剥離紙/フィルム/テープから取り外した。吸収性物品の接着剤は、衣類側の接着剤領域及び吸収性物品のウィングに手でこすりつけられた小さなコーンスターチフィルムを使用して弱められる。これを達成するためには0.5g以下のコーンスターチが必要である。
【0120】
吸収性物品を、22.8℃+/−2(73°F+/−4)及び50% Rh+/−4に温度と湿度が調節されている実験室で試験する前に、身体側表面を露出させた(即ち、広げられかつそのウィングが開かれた)状態で2時間インキュベートさせる。
【0121】
本明細書に記載される各流体処理方法では、10mLのビーカーを使用してAMFSを吸収性物品に適用する。これは、迅速かつ連続的な流体送達、並びにあらゆる粘度剪断効果からの保護を促進する。試験に先立って、AMFSは、10mLのビーカーに充填された後、捨てられた。この手法により、ビーカーの内部を十分にコーティングして、正確な重量の流体が試験中に適用されるのを可能にする。これは、0.5g+/−0.05のAMFSが同じビーカーに加えられる第2の充填を用いてチェックされる。このAMFSを、天秤で調製される量り皿の中に2秒にわたって注ぎ入れる。この流体の重量は0.45〜0.55gになるはずである。これにより試験中の正確な流体の適用を保証する。
【0122】
流体移動距離法
吸収性物品(剥離紙/フィルム/テープは全て除去されている)を、長手方向(即ち、機械方向つまり「MD」)又は横断方向(即ち、幅方向つまり「CD」)配向のいずれかで、水平に対して15°傾けてセットされた30cm×23cmのプレキシガラスプレートの上に平らに置く。吸収性物品の対象流体処理ゾーン内にAMFSを適用し、完全に吸収されるまで吸収性物品の表面に流し込ませる。吸収性物品が長手方向配向でプレキシガラスプレート上に置かれている場合には、0.5g(+/−0.05g)のAMFSを試験で使用した。吸収性物品が横断方向配向でプレキシガラスプレート上に置かれている場合には、0.25g(+/−0.05g)のAMFSを試験で使用した。これらの量は、吸収性物品上の隣接する流体処理ゾーンへの実質的な侵入なしに、特定の対象流体処理ゾーン内に流体が完全に吸収されるのを確実にする。10mLのビーカーを使用して、方向に応じた量を対象流体処理ゾーン内の対象流体処理ゾーンの最上縁部の最低5mm内側の場所にAMFSを2秒間流し込むことによって、AMFSが適用される。1mmまで測定可能な定規を使用して、吸収性物品がプレキシガラスプレート上に長手方向配向で置かれた場合には、吸収性物品の長手方向軸まで長さ方向に、吸収性物品がプレキシガラスプレート上に横断方向配向で置かれた場合には、吸収性物品の長手方向軸まで幅方向に、AMFSが移動した距離が測定される。測定は、吸収性物品の表面上にAMFSが適用された場所から、完全なAMFSの吸収が生じた終点まで、ミリメート単位で行われる。この測定が、吸収性物品がプレキシガラスプレート上に長手方向配向で置かれたときに行われる場合、測定された距離は、「長手方向流体移動距離」又は「MD流体移動距離」として報告される。この測定が、吸収性物品がプレキシガラスプレート上に横断方向配向で置かれたときに行われる場合、測定された距離は、「横断方向流体移動距離」又は「CD流体移動距離」として報告される。
【0123】
流体捕捉時間法
吸収性物品(剥離紙/フィルム/テープは全て除去されている)を、物品を通して照明するために使用されるライトボックスの最上部(例えば、Hall Productionsから入手可能な、The Back Light Series、型番BL1012、13ワットの電球)の上に平らに置く。ライトボックスは、薄いエアレイドセルロースを基体とする吸収性物品、並びに厚いセルロース起毛パルプを基体とする吸収性物品の両方を通して照明することができる。長さが2.53cm(0.995インチ)であり、4.8cm(0.745平方インチ)の基部と、中心軸の全長にわたって開いている直径0.53cm(0.208インチ)の孔とを有している、50.98gのステンレス鋼製のシリンダを、その基部が、吸収性物品上の対象流体処理ゾーン内に平らに位置するように設置する。シリンダは、その真下にある吸収性物品の流体処理ゾーンに、1.72kPa(0.25psi)を加える。10mLのビーカーを使用して、0.5gのAMFS+/−0.05を、孔の上部を介して吸収性物品に迅速に適用する。0.1秒まで測定可能なストップウォッチを、注がれた流体がステンレス鋼製のシリンダの孔の上部に入るのと同時に起動する。吸収性物品は、ステンレス鋼製のシリンダの孔の上部を通して、上方から直接目視で観察される。ストップウォッチの時間は、ステンレス鋼製のシリンダの孔を通して吸収性物品の表面を視認できた瞬間に止められる。この判断は、AMFSが吸収された時点で吸収性物品の表面を照明するライトボックスによって可能となる。ストップウォッチによって記録された時間は、特定の対象流体処理ゾーンに関する「捕捉時間」として記録される。
【0124】
流体再湿潤法
吸収性物品(剥離紙/フィルム/テープは全て除去されている)を、長手方向(即ち、機械方向つまり「MD」)又は横断方向(即ち、幅方向つまり「CD」)配向のいずれかで、水平に対して15°傾けてセットされた30cm×23cmのプレキシガラスプレートの上に平らに置く。AMFSの用量を吸収性物品に適用し、完全に吸収されるまでその表面に流し込ませる。長手方向配向では、1.0gのAMFS+/−0.05gを使用し、横断方向配向では、0.5gAMFS+/−0.05gを使用する。これらの量は、吸収性物品の隣接する流体処理ゾーンへの実質的な侵入なしに、単一の対象流体処理ゾーン内に流体が完全に吸収されるのを確実にする。10mLのビーカーを使用して、AMFSの方向に応じた量を各対象流体処理ゾーン内の対象流体処理ゾーンの最上縁部の最低5mm内側の場所に2秒間流し込むことによって、AMFSが適用される。チャネルを備える流体処理ゾーンでは、AMFSは、長手方向配向においてチャネルの末端から10cmを超えるチャネル内の任意の場所に適用される。横断方向配向では、AMFSはチャネルの任意の場所に適用される。AMFSの適用から1分後に、化学天秤上でゼロに調整されている、それぞれが0.014g/cm(0.093g/in)の坪量を有している、7枚の12.7cm(5インチ)×12.7cm(5インチ)の型番632のAhlstrom濾紙の積層物を、傾斜を保った状態で吸収性物品上の得られた染みの上でかつこれを中心として定置する。鋼と、硬度0.57psi、引張り強度9psi、及び44.9g/L(2.8lbs./ft)を有しており、かつ厚さ0.04mmのポリエチレンで包まれている厚さ2.5cm(1インチ)のポリウレタンフォームとでできている、社内で作製された、1179g、長さ20.3cm(8インチ)、幅7.6cm(3インチ)、厚さ3.8cm(1.5インチ)のおもりを、濾紙積層物の上にフォーム側を下にして5秒間置いた後、取り除く。濾紙の積層物を取り除き、0.01g単位で測定可能な化学てんびんで計量する。濾紙上に回収されたあらゆる流体の重さは、再湿潤重量であり、「再湿潤値」として記録される。
【実施例】
【0125】
図12は、トップシート20と、このトップシートの下にある2次トップシートと、この2次トップシートの下にある吸収性コア40と、この吸収性コアの下にある液体不透過性バックシートとを含んでいる、本発明の吸収性物品10の実施例を示す。トップシート20は、100メッシュのミクロ孔とマクロ孔とを有しているポリエチレンフィルム(Tredegar Film Productsより入手可能)と、ポリエチレン/ポリプロピレンバイコンポーネント繊維(BBA Nonwovensより入手可能)を含んでいる28gsmのスパンボンド不織布とのラミネートを含んでいる。トップシート20の下にある2次トップシートは、95gsmのエアレイド繊維ウェブ(Rexellより入手可能)である。2次トップシートの下にある吸収性コア40は、195gsmのエアレイド吸収性コア(Concertより入手可能)である。吸収性コアの下にある液体不透過性バックシートは、液体不透過性ポリエチレンフィルムである。
【0126】
吸収性物品10は、トップシート20の第1の部分60を含んでいる第1の流体処理ゾーン400を備える。吸収性物品は、トップシート20第2の部分70を含んでいる第2の流体処理ゾーン410を更に備える。トップシート20の第1の部分60は、マクロ孔とミクロ孔とを含んでいるポリエチレンフィルムを含んでいる。トップシート20の第2の部分70は、房206を含んでいる構造的に変更されたゾーン81を備える。これら房は、米国特許出願第12/415,140号(2009年3月31日出願)に詳細に記載されている。第1の流体処理ゾーン400及び第2の流体処理ゾーン410は、約1.5mm〜約4.2mmの範囲の幅を有しているチャネル300を含んでいる第3の流体処理ゾーン430によって分離されている。
【0127】
この吸収性物品を、流体移動距離法、流体捕捉時間法、及び流体再湿潤法に従って試験する。試験の結果は、次の表に示されている。
【表1】

【0128】
比較例
市販の製品であるALWAYS DRI−LINERS(レギュラー、無香)を、流体移動距離法に従って比較例として試験する。ALWAYS DRI−LINERS(レギュラー、無香)製品は、不織布/フィルム積層体材料で構成される部分と、フィルム材料で構成される第2の部分とを有しているトップシートを含んでいる。試験の結果は、次の表に示されている。
【表2】

【0129】
このデータは、トップシートのフィルム材料部分は、トップシートの不織布/フィルム積層体材料部分よりも低いCD移動距離値を呈することを示している。
【0130】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、それぞれのそのような寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0131】
本発明の発明を実施するための形態の中で引用された全ての文献は、関連部分において、本明細書に参照により組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0132】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。
【図1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートと、
バックシートと、
前記トップシートと前記バックシートと間に配置された吸収性コアと、
前記トップシートの第1の部分を含み、かつ第1の横断方向流体移動距離を有している第1の流体処理ゾーンと、
前記トップシートの第2の部分を含み、かつ第2の横断方向流体移動距離を有している第2の流体処理ゾーンと、
を備え、
前記トップシートの前記第1の部分は、前記トップシートの前記第2の部分と異なる構成体を有しており、
前記第1の横断方向流体移動距離は、前記第2の横断方向流体移動距離よりも少なくとも約50%大きい、吸収性物品。
【請求項2】
前記第1の流体処理ゾーンは、第1の長手方向流体移動距離を有しており、
前記第2の流体処理ゾーンは、第2の長手方向流体移動距離を有しており、
前記吸収性物品は、前記トップシートの第3の部分を含み、かつ第3の長手方向流体移動距離を有している第3の流体処理ゾーンを更に備え、
前記第3の長手方向流体移動距離は、前記第1の長手方向流体移動距離及び前記第2の長手方向流体移動距離よりも大きい、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性物品は、前記トップシートの前記第1の部分及び前記トップシートの前記第2の部分とは異なる構成体を有している前記トップシートの第3の部分を含んでいる第3の流体処理ゾーンを更に備え、
該第3の流体処理ゾーンは、前記第1の流体処理ゾーンと前記第2の流体処理ゾーンとの間に配置されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第3の流体処理ゾーンは、チャネル、ディンプル、エンボス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるくぼみを含んでいる、請求項2又は3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1の流体処理ゾーンは、第1の捕捉時間を有しており、
前記第2の流体処理ゾーンは、第2の捕捉時間を有しており、
前記第3の流体処理ゾーンは、第3の捕捉時間を有しており、
該第3の捕捉時間は、前記第1の捕捉時間又は前記第2の捕捉時間よりも短い、請求項2〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第1の流体処理ゾーンは、第1の再湿潤値を有しており、
前記第2の流体処理ゾーンは、第2の再湿潤値を有しており、
前記第1の再湿潤値は、前記第2の再湿潤値よりも小さい、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品は、長手方向中心線と横断方向中心線とを備え、
前記第1の流体処理ゾーンは、前記長手方向中心線及び前記横断方向中心線と交差しており、
前記第2の流体処理ゾーンは、前記長手方向中心線と交差していない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記第1の流体処理ゾーンは、有孔フィルムを含んでおり、
前記第2の流体処理ゾーンは、不織布ウェブを含んでいる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収性コアは、前記長手方向中心線に対して直角な吸収性コア最大幅を有しており、
前記第2の流体処理ゾーンは、前記長手方向中心線に対して直角な第2の流体処理ゾーン最大幅を有しており、
前記第2の流体処理ゾーン最大幅は、前記吸収性コア最大幅の約50%未満、好ましくは前記吸収性コア最大幅の約25%未満である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記吸収性物品は生理用ナプキンである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−518701(P2013−518701A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552994(P2012−552994)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2011/024336
【国際公開番号】WO2011/100419
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】