説明

流体分配装置

本発明は、少量の流体を正確に分配し得る流体分配カートリッジを提供する。本発明によって、複数の取り付け開口部を備える取り付けアセンブリ、およびその取り付けアセンブリ内に配置される複数の流体分配カートリッジを備える流体分配装置が提供される。この取り付け開口部およびカートリッジは、適合する断面プロフィールを備え、この断面プロフィールは、好ましくは対称性を欠く。各流体分配カートリッジは、流体レザバ、少なくとも1つの弁、計量チャンバおよび移動可能な部材を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、医療研究所用の流体分配デバイスおよび関連するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
生物学的な試験を行うときに、液体(例えば、試薬)を組織標本を含む試験スライド上に分配することがしばしば必要である。例えば腫瘍組織を分析する場合、薄くスライスされた組織の切片がスライド上に配置され得、そして所定の量の液体試薬を組織の上に分配する工程を含む、種々の工程を通して処理され得る。自動化された試薬流体分配デバイスは、一連のあらかじめ選ばれた試薬を、試験スライドに正確に適用するために開発されてきた。
【0003】
公知の試薬分配システムの1つの例が、特許文献1に示されている。このシステムにおいて、試薬分配トレーは、複数の試薬容器を受け入れ得、かつ、選択された試薬容器をスライド上に配置し、試薬を受け入れるための手段を備え得る。エアシリンダまたは同等の作動装置は、個々のカートリッジと接触し、ばね付勢された移動部材の動きをもたらし、それは試薬流体をスライド上に適用させる。
【0004】
従来の試薬分配システム(例えば、特許文献1に開示される)に関連する1つの欠点は、試薬の分配を制御する接触作動装置アセンブリの使用に関する。接触作動装置アセンブリを備えるシステムは、カートリッジに対する作動装置アセンブリの正確な取り付けおよび回転的な位置決めを必要とする。この欠点から見て、カートリッジに対する作動装置アセンブリの正確な取り付けおよび回転的な位置決めを必要としない、非接触作動装置アセンブリを備える試薬分配システムに対する必要性が存在する。
【0005】
従来の試薬分配システムに関連するさらなる欠点は、ばね付勢された移動部材またはピストンの抑制されない動きによって引き起こされる、試薬流体の制御されていないか、または不安定な分配に関する。この欠点から見て、ピストンの動きを遅くし、そして試薬流体の制御されていないか、または不安定な分配を防止する、緩衝システムを備える試薬分配システムに対する必要性が存在する。
【0006】
従来の試薬分配システムに関連するさらなる欠点は、取り付けアセンブリの取り付け開口部内の、個々のカートリッジの潜在的な誤配列に関する。この欠点から見て、類似の形状をした取り付け開口部内で自己適合するための形状をしたカートリッジを備える試薬分配システムに対する必要性が存在する。
【特許文献1】米国特許第5,232,664号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、少量の流体を正確に分配し得、そして必要に応じて、複数の流体分配カートリッジを操作する関連する流体分配システム操作と一緒に作動する流体分配カートリッジを提供することによって、公知の流体分配装置の、上記および他の欠点を大幅に解決する。
【0008】
本発明の1つの局面は、流体分配カートリッジに関し、このカートリッジは、流体レザバ、分配アセンブリおよび取り付けアセンブリを備える。1つの実施形態において、この分配アセンブリは、計量構成要素(例えば、第1の弁アセンブリ、第2の弁アセンブリおよびそれらの間の計量チャンバ)を備える。作動装置アセンブリは、この計量構成要素と一緒に作動し、流体レザバから所望の体積の流体を計量し、この計量チャンバに流入させ、次いで、この計量チャンバからの計量した流体をカートリッジの外(例えば、流体槽またはスライドのような所望の標的)に排出する。
【0009】
1つの実施形態において、この計量構成要素は、外部スイッチ(例えば、ソレノイド式スイッチまたは電磁石式スイッチであり、液体分配カートリッジのばね付勢移動部材(「ピストン」ともいわれる)を移動するための永久磁石が含まれる)と連動して操作し、計量チャンバ内の圧力勾配を生じる。この計量チャンバと流体レザバとの間に生じる圧力差は、上記第1の弁が開くのを助け、流体をチャンバ内に流入させる。移動部材は解放されるとその静止位置に戻り、流体を分配チャンバの外に排出し、上記第2の弁を通して分配カートリッジに流入させ、そして外に排出する。必要に応じて、前記分配アセンブリは、緩衝システム(例えば、上記流体レザバと上記ばね付勢移動部材との間の漏洩通路)を備える。
【0010】
この移動部材またはピストンは、好ましくは磁気的に引き付けられる材料から作られる。このスイッチと移動部材との磁性引力は、反対の方向の上記ばね偏向に勝つために、十分に高くなるように選択される。この引力は、上記第1の弁が開き、そしてレザバ中の流体が上記計量チャンバに流入するように、上記ピストンを前方に動かし、上記計量チャンバと流体レザバとの間に圧力差を生じる。ソレノイドまたは電磁石が動力源を断たれた場合、上記ピストンはばね付勢によって推進されるので、第1の位置に戻る。このピストンの戻り運動の間に、流体は上記第2の弁を通して上記計量チャンバの外に排出される。もちろん、例えば、上記ピストンの前端および後端に配置された、2つのソレノイドまたは電磁石アセンブリのような代替の実施形態も可能である。
【0011】
本発明のさらなる局面は、上記ピストンの動きを鈍らせるための流体緩衝システムに関する。この流体緩衝システムは、上記ピストンの前部と上記流体チャンバとの間を連絡する漏洩通路を備え得、これは上記ピストンの動きを遅くすることによって流体の潜在的に不安定な分配を防ぐことを助ける。この漏洩通路のさらなる利点は上記流体レザバ中の圧力変化を等しくすることである。流体レザバ圧の増大は、例えば、大気圧の増大によって引き起こされ得るか、あるいは上記カートリッジの圧縮によって引き起こされ得る。この漏洩通路が無い場合、上記流体レザバ圧の増加は、上記ピストンをその座から押しやり得、流体を不注意に分配させる。
【0012】
本発明の流体分配カートリッジは、必要に応じて、流体分配装置とともに使用され得、この流体分配装置は、流体分配カートリッジが必要に応じて位置決めされる複数のステーションを備える。このステーションは、好ましくは、対応する外部作動スイッチ装置に隣接させて、上記カートリッジを受け入れるための形状である取り付け開口部を備える。上記カートリッジは、その各々の取り付け開口部内に位置するために、重力に依存し得るが、必要に応じて、上記カートリッジは取り付けアセンブリを使用して上記流体分配装置に、解放可能に取り付けられている。取り付けアセンブリの1つの例としては、各カートリッジ上に位置決めされる玉戻り止めスロット、および上記流体分配装置上の上記取り付け開口部内に配置される、対応する受動的あるいはばね付勢玉が挙げられる。もちろん、取り付けアセンブリの任意の他の形状が使用され得、それが上記流体分配カートリッジをその各々の外部スイッチアセンブリに対する所望の物理的関係に保持し得ることが理解されるべきである。各取り付け機構はまた、必要に応じて、玉戻り止めスロットに隣接する玉戻り止めステップおよび玉戻り止め座を備え、ここで、各玉戻り止め座は、対応する玉を解放可能に保持する大きさにされる。
【0013】
本発明のさらなる局面は、流体分配装置に関し、これは類似の形状のカートリッジに自己適合するような形状の取り付け装置を備え、ここで、上記カートリッジおよび開口部は、適合する断面プロフィールを有する。1つの実施形態において、上記カートリッジおよび取り付け開口部は、対称性を欠く適合する断面プロフィールを備える。例としては、この断面プロフィールは、台形または楔形であり得る。
【0014】
本発明のこれらの特徴および他の特徴ならびに利点は、以下の本発明の詳細な説明と付随する図面とを概観することから、理解される。図において、全体にわたって同じ参照数字が同じ部分を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
以下の段落において、本発明は、添付の図面を参照して、例として詳細に記載される。本明細書全体にわたって、示される好ましい実施形態および実施例は、本発明の限定としてではなく、例とみなされるべきである。本明細書中において使用される場合、「本発明」とは、本明細書中に記載される実施形態の任意の1つ、および任意の均等物をいう。さらに、本明細書全体にわたる、「本発明」の種々の特徴に関する言及は、全ての本願実施形態または方法が、参照される特徴を含まなければならないことを意味しない。
【0016】
図1〜3は、本発明による流体分配カートリッジ10の好ましい実施形態を示す。流体分配カートリッジ10は、流体レザバ20、流体レザバ20と連絡する流体分配アセンブリ30、および作動装置アセンブリ40を備える。流体分配アセンブリ30は、流体計量チャンバ50、ピストン60、および弁アセンブリ70、80を備える。必要に応じて、この弁アセンブリは、第1の一方向玉弁70および第2の一方向玉弁80を備える(例えば、ばね付勢された玉90、100を備える)。第1の弁70および第2の弁80は、必要に応じて、一方向玉弁であり得る(例えば、ばね付勢された玉90、100を備える)。
【0017】
好ましい実施形態によれば、流体レザバ20は、折り畳み可能なライナー110(必要に応じて、交換可能な流体ブラダー)を備える。このライナーまたはブラダー110は、実質的に流体不透過性でありかつ可撓性である、任意の適切な材料(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン)から作製され得ることが、理解されるべきである。さらに、折り畳み可能なライナーまたはブラダー110の使用は、周囲空気による汚染を減少させることを補助し、この中に収容される流体の有効保存寿命を延長する。折り畳み可能なライナーまたはブラダー110が使用される実施形態において、実質的に剛性のカバー120を備えることが好ましい。このカバーは、ライナーまたはブラダー110を支持し、そしてまた、取り扱いのための把持表面、およびまた、マーキング表面を提供し得る。他の実施形態によれば、流体レザバ20は、流体ブラダーを備えず、その結果、この流体は、実質的に剛性のカバー120内に単に収容される。剛性のカバー120は、好ましくは、従来の一方向逆止め弁を備えて、流体が出るにつれて空気が吸引されることを可能にすることにより、流体レザバ20内の圧力を安定化させる。
【0018】
好ましい実施形態において、起動アセンブリ40は、ピストン60を所望されるように引きつけ、これによって移動させる、外部スイッチ(例えば、磁気スイッチ(例えば、コイル130および永久磁石140を備える磁性スイッチ)を備える。有利には、非接触起動アセンブリ(例えば、外部スイッチ)の使用は、作動装置アセンブリ40を、カートリッジ10に対して正確に取り付け、そして回転によって位置決めする必要性を、低下させる。ピストン60は、好ましくは、起動される場合に、永久磁石140にひきつけられる磁性材料を備える。必要に応じて、ピストン60は、比較的非腐食性の層で覆われた、金属コアを備える。例として、ピストン60は、テフロン(登録商標)内にコーティングされた、鉄コアまたは鋼コアを備え得る。ピストン60は、好ましくは、ばね付勢されて、磁性スイッチから離れる(すなわち、ピストン60の後端150に向かう)方向に偏向される。
【0019】
図示される実施形態において、ピストンばね160は、ピストン60をピストン座170の方へと偏向するために、使用される。コイル130がエネルギー付与されると、ピストン60と磁石140との間に発生する磁気引力は、一時的に、ピストンばね160の力に打ち勝ち、ピストン60を、(図1に見られるような)座170に押し付けられた静止位置から、(図2に見られるような)壁部分180に押し付けられた移動位置へと、前方に移動させる。コイル130のエネルギーが除かれると、ピストン60は、ピストンばね160のばね付勢によって推進されるので、その元の静止位置まで戻る。もちろん、ピストン60の後端150と前端190との両方の、二重ソレノイドまたは電磁石のような、代替の実施形態が可能である。
【0020】
図2に示されるように、座170から離れるピストン60の動きは、流体計量チャンバ50内に、負の圧力勾配を生じる。計量チャンバ50と流体レザバとの間の圧力差は、弁玉90を座210から引き離すことによって、弁ばね220に抵抗して作用する。弁玉90が、座210から引き離される場合、第1の弁70は、所定の持続時間だけ開き、所定の量の流体を、流体レザバ20から、ノズル230を介して、計量チャンバ50内へと計量させる。計量チャンバ50内への流体の流れは、この負の圧力差を低下させ、弁玉90を、座210内に押し戻す。
【0021】
図3に示されるように、ピストン60が静止位置に戻ることによって、計量チャンバ50内に正の圧力勾配が生じる。この増加した圧力は、一時的に、弁玉100を座240から強制的に離す弁ばね250の力に打ち勝ち、その結果、所定の量の流体が、ノズル260を通して分配される。計量チャンバ50からの流体の流れは、この圧力勾配を低下させ、これによって、弁80を閉じる。
【0022】
本発明の1つの局面によれば、流体分配カートリッジ10は、ピストン60の動きを緩衝するための手段280を備える。緩衝するための手段280は、必要に応じて、所定の直径の漏洩通路290を備え、この通路は、液体で満たされ、ピストン60の動きを遅くし、流体の不安定な分配を防止する。漏洩通路290は、流体レザバ20と、ピストン60の前端190との間に位置する。漏洩通路290の直径は、緩衝手段280によって導入される緩衝の量を低下させるために、増加し得る。逆に、漏洩通路290の直径を減少させることによって、緩衝の量が増加し得る。有利には、緩衝手段280は、カートリッジ10の圧縮に起因して、カートリッジ10が流体を漏出させることを防止するか、または流体レザバ内の圧力変化にもかかわらず、ピストン60のいずれかの端部における圧力を実質的に平衡化させることによって、大気圧を変化させる。
【0023】
図1〜3をさらに参照すると、流体分配アセンブリ30は、好ましくは、流体分配アセンブリ30の輪郭に適合するような形状にされた、ケーシング300内に配置される。必要に応じて、ケーシング300は、タブ310などを使用して、流体レザバ20に解放可能に取り付けられる。図4(ここで、図1〜3の実施形態と類似の要素は、それに従って番号を付けられている)に示されるように、代替の実施形態において、カートリッジ320は、ハウジング330内に配置された流体分配アセンブリ30を備え、このハウジングは、流体分配アセンブリ20の輪郭に従わない。ハウジング330は、必要に応じて、取り外し可能な栓340を備え、この栓は、弁70、80、および修復または交換が必要である場合には、ピストン60へのアクセスを提供する。栓340は、必要に応じて、流体の漏出を防止するためのOリング360のための溝350を備える。
【0024】
図5および図6は、本発明による流体分配システム400の例を示す。システム400の幾何学的形状および機構は、システム400と共に使用するために選択される、流体分配カートリッジの作動に依存して、変更可能である。図5に最もよく見られるように、システム400は、必要に応じて、複数のステーション420を有する取り付けアセンブリ410を備え、これらのステーションにおいて、本発明に従う流体分配カートリッジ10、320が取り付けられ得る。ステーション420は、好ましくは、複数の流体分配カートリッジ10、320を、作動装置アセンブリ40に隣接して選択的に位置決めする、取り付け開口部430を備える。
【0025】
流体分配システム400はまた、必要に応じて、複数の受け入れ部材450を保持する受け入れアセンブリ440を備える。受け入れ部材450は、その上にカートリッジ10、320から流体を分配することが所望される、任意の物品であり得る。適切な受け入れ部材450の例は、スライド、トレー、および混合浴である。好ましい実施形態において、受け入れ部材450は、その上に基体が位置決めされた、顕微鏡用スライドである。適切な基体の例は、組織サンプルの薄いスライスである。必要に応じて、受け入れ部材450は、ばね付勢された加熱パッド460に取り付けられ、このスライドの選択的な加熱を提供し得る。
【0026】
一般的にいえば、受け入れアセンブリ440は、取り付けアセンブリ410のほぼ下に位置決めされ、カートリッジ10、320から分配される流体を送達するために、重力を利用する。好ましくは、取り付けアセンブリ410および受け入れアセンブリ440は、互いに対して移動可能であり、その結果、複数のカートリッジ10、320が、流体を、任意の所望の受け入れ部材450上に分配するように位置決めされ得る。取り付けアセンブリ410と受け入れアセンブリ440との移動性の、任意の組み合わせが選択され得る。例えば、両方が可動であり得るか、または一方のみが可動であり、そして他方は静止し得る。図6に示されるように、受け入れ部材450は、全て、同じ型の物品(例えば、スライド)であり得るか、あるいは、異なる型の物品(例えば、スライドおよび容器)を備え得る。好ましくは、取り付けアセンブリ410は、中心軸の周りで回転可能な回転ラックである。
【0027】
分配システム400の作動の1つの例において、取り付けアセンブリ410は、回転され、その結果、個々のカートリッジ10、320は、作動装置アセンブリ40に隣接して、選択的に位置決めされる。あるいは、作動装置アセンブリ40は、各カートリッジ10、320に隣接して選択的に位置決めされ、その結果、取り付けアセンブリ410の回転は、必要とされない。作動装置アセンブリ40は、カートリッジ10、320が、制御された量の流体を排出することを誘発する、任意の作動デバイスであり得る。
【0028】
好ましくは、この取り付けアセンブリは、受け入れアセンブリ440に対して、並進と回転との両方がなされ得、その結果、個々のカートリッジ10、320は、任意の受け入れ部材450の上方で、選択的に位置決めされ得る。一旦、カートリッジ10、320が受け入れ部材450の上方で位置決めされると、作動装置アセンブリ40が、カートリッジ10、320を、制御された量の流体を受け入れ部材450上へと分配するように誘発する。
【0029】
図5および図6に見られるように、好ましい実施形態において、取り付けアセンブリ410は、支持部材470に回転可能に取り付けられ、その結果、カートリッジ10、320は、作動装置アセンブリ40に対して回転し得る。作動装置アセンブリ40は、支持部材470に固定されて、必要に応じて取り付けアセンブリ410の下方に取り付けられる。好ましくは、支持部材470は、水平に並進され得、その結果、カートリッジ10、320は、受け入れ部材450に対して、回転と並進との両方を行い得る。この様式で、選択されたカートリッジ10、320が、任意の受け入れ部材450の上方で、選択的に位置決めされ得る。
【0030】
図示される実施形態に見られるように、作動装置アセンブリ40は、必要に応じて、3つの作動装置480、490、500を備え得、これらの作動装置は、それぞれ、受け入れ部材の3つの列510、520、530に流体を分配するために使用される。作動において、作動装置480は、流体を、列510における受け入れ部材450に分配するように適合され、作動装置490は、流体を、列520に配置された受け入れ部材450に分配するように適合され、そして作動装置500は、流体を、列530に配置された受け入れ部材450に分配するように適合される。もちろん、当業者によって理解されるように、任意の数の作動装置および/または受け入れ部材が、本発明の範囲から逸脱することなく使用され得る。
【0031】
図5に示されるように、システム400は、必要に応じて、供給容器550、排液容器560、および弁570を備える。供給容器550は、受け入れ部材450を濯ぐための水のような、液体を保持するために使用され得る。弁570は、好ましくは、受け入れ部材450を濯ぐ場合に液体の流れを方向付けるための、スイッチを備える。さらに、弁570は、液体が受け入れ部材450を濯ぐために使用された後に、この液体の流れを廃棄物容器560内へと方向付けるために使用される。
【0032】
ここでカートリッジ10、320の構造を参照すると、カートリッジ10、320の水平断面形状は、対称性を欠くことが好ましい。この様式で、取り付けアセンブリ410内の取り付け開口部430は、挿入が特定の所望の配向でなされることを必要とするように、同様な形状にされる。例えば、所望の配置配向を促進する、実質的に台形の形状が選択され得る。図7および図8は、実質的に台形の断面を有するカートリッジ10、320の例を示す。これらのカートリッジは、(図6に示されるような)実質的に台形の取り付け開口部430内にフィットするように、適合される。他の実施形態において、取り付け開口部430およびカートリッジ10、320は、対称性を欠く、他の類似の配向を有する形状である。
【0033】
必要に応じて、取り付け機構が、カートリッジ10、320を取り付けアセンブリ410の対応する取り付け開口部430内に解放可能に取り付けるために、利用され得る。1つの例において、図1〜3および図7に示されるように、玉戻り止め座580が、カートリッジ10の外側表面に提供される。図6に見られるように、対応する玉590(必要に応じて、ばね付勢される)が、各取り付け開口部430に隣接して、取り付けアセンブリ410に配置される。取り付け開口部430への挿入の前に、カートリッジ10は、カートリッジ10の台形の形状が対応する台形の取り付け開口部430と垂直に整列するように、適切に整列されなければならない。適切な挿入のために、カートリッジ10は、玉590が段600上をスライドして座580内の位置に入るように、十分な力で下方に押されなければならない。カートリッジ10のさらなる下方への移動は、レッジ610によって防止される。
【0034】
別の例において、図4および図8に見られるように、垂直な玉戻り止めスロット620が、カートリッジ320の外側表面に提供される。スロット620は、カートリッジ320が取り付け開口部430に挿入される際に、玉590に対する案内を提供する。玉戻り止め段630および玉戻り止め座640もまた、ロックを促進するために提供され得る。適切な挿入のために、玉590は、スロット620と垂直に整列され、そしてカートリッジ320は、十分な力で下方に押され、その結果、玉590は、段630上をスライドして、座640内の位置に入る。カートリッジ320のさらなる下方への移動は、レッジ650によって防止される。
【0035】
図9を参照すると、作動装置アセンブリ40は、好ましくは、スイッチ670を備えるコントローラー660を使用して、作動される。必要に応じて、コントローラー660は、作動装置アセンブリ40との無線通信リンク680を有するプログラム可能なコンピュータである。あるいは、コントローラー660は、作動装置アセンブリ40が作動されるようにする任意のものであり、そして有線通信リンクおよび/または無線通信リンクを備え得る。一旦、作動されると、作動装置アセンブリ40は、磁気リンク690を利用して、流体ディスペンサ30に、流体700を受け入れ部材450上へと分配させる。
【0036】
従って、流体を分配する試薬カートリッジが提供されると考えられる。当業者は、本発明が、説明の目的で本明細書中に提供されて限定ではない、種々の実施形態および好ましい実施形態以外によって実施され得ること、ならびに本発明は、上記特許請求の範囲のみによって限定されることを理解する。本明細書中に議論された特定の実施形態に対する均等物が、同様に、本発明を実施し得ることが、注目される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明によるアセンブリの1実施形態の断面図である。
【図2】図2は、本発明によるアセンブリの1実施形態の断面図である。
【図3】図3は、本発明によるアセンブリの1実施形態の断面図である。
【図4】図4は、本発明によるアセンブリの1実施形態の断面図である。
【図5】図5は、本発明によるアセンブリの1実施形態の正面図である。
【図6】図6は、本発明によるアセンブリの1実施形態の上面図である。
【図7】図7は、本発明によるアセンブリの1実施形態の斜視図である。
【図8】図8は、本発明によるアセンブリの1実施形態の斜視図である。
【図9】図9は、本発明によるアセンブリの1実施形態のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体分配カートリッジであって、該カートリッジは、以下:
流体レザバ;
分配アセンブリであって、以下:
計量チャンバ;
該流体レザバと該計量チャンバとの間に配置される弁;および
圧力制御部材、
を備える分配アセンブリ、
を備える、流体分配カートリッジ。
【請求項2】
前記圧力制御部材の第1の方向における物理的な移動が、前記計量チャンバと流体レザバとの間に負の圧力勾配を生じ、一定量の流体を、該流体レザバと該計量チャンバとの間に配置される前記弁を通して該計量チャンバに流入させる、請求項1に記載の流体分配カートリッジ。
【請求項3】
前記流体レザバと前記流体分配カートリッジの外部との間に配置される射出弁をさらに備え、ここで、前記圧力制御部材を静止状態に戻すことが、前記流体を該出口弁を通して該計量チャンバから排出させる、請求項2に記載の流体分配カートリッジ。
【請求項4】
前記圧力制御部材が静止状態に偏っている、請求項1に記載の流体分配カートリッジ。
【請求項5】
前記流体レザバが、以下:
実質的に剛性のハウジング;および
該ハウジングに内包されている可撓性の流体ブラダー、
を備える、請求項1に記載の流体分配カートリッジ。
【請求項6】
前記流体ブラダーが交換可能である、請求項5に記載の流体分配カートリッジ。
【請求項7】
水平な断面形状を有する取り付け部分をさらに備える、請求項1に記載の流体分配カートリッジ。
【請求項8】
前記取り付け部分の水平な断面形状が、前記流体分配カートリッジがその上に取り付け可能である、類似の形状である受け入れアセンブリに適合する、請求項7に記載の流体分配カートリッジ。
【請求項9】
前記水平な断面形状が対称性を欠く、請求項7に記載の流体分配カートリッジ。

【請求項10】
前記水平な断面形状および前記類似の形状である受け入れアセンブリが対称性を欠き、前記流体分配カートリッジが特定の方向で該受け入れアセンブリに挿入されることを必要とする、請求項7に記載の流体分配カートリッジ。
【請求項11】
前記受け入れアセンブリが、前記流体分配カートリッジの前記取り付け部分の前記水平な断面形状に関して鏡像形状である、請求項7に記載の流体分配カートリッジ。
【請求項12】
前記水平な断面形状がほぼ台形である、請求項7に記載の流体分配カートリッジ。
【請求項13】
試験システムにおける使用のための流体分配カートリッジであって、該カートリッジは、以下:
流体レザバ;および
該流体レザバの内部の折りたたみ可能なブラダー、
を備える、流体分配カートリッジ。
【請求項14】
試験装置における使用のための流体分配システムであって、該システムは、
複数の流体分配カートリッジ取り付けステーションを有する取り付けアセンブリであって、該取り付けステーションの各々が、対応する流体分配カートリッジの対応する水平な断面形状に適合するための形状にされた開口部または凹部を備える、アセンブリ、
を備える、流体分配システム。
【請求項15】
各開口部または凹部がほぼ台形の形状である、請求項14に記載の流体分配システム。
【請求項16】
前記取り付けアセンブリが、異なる形状の開口部または凹部を有する、少なくとも2つの取り付けステーションを備える、請求項14に記載の流体分配装置。
【請求項17】
前記開口部または凹部が、前記対応する流体分配カートリッジの前記前記水平な断面形状に関して鏡像形状である、請求項14に記載の流体分配装置。
【請求項18】
流体分配システムであって、該システムは、以下:
複数の流体分配カートリッジ取り付けステーションを有する、直線的に移動可能な取り付けアセンブリ;および
該取り付けアセンブリの下に配置される受け入れアセンブリであって、該受け入れアセンブリは、その頂部表面に複数の受け入れ部材位置を備える、受け入れアセンブリ、
を備える、流体分配システム。
【請求項19】
前記移動可能な取り付けアセンブリがまた、直線的に移動可能な回転軸の周りで回転可能である、請求項18に記載の流体分配システム。
【請求項20】
前記流体分配カートリッジ取り付けステーションのそれぞれに支持される、少なくとも1つの流体分配カートリッジをさらに備える、請求項19に記載の流体分配システム。
【請求項21】
前記取り付けステーションの各々が、対応する流体分配カートリッジの対応する水平な断面形状に適合するための形状にされた開口部または凹部を備える、請求項20に記載の流体分配システム。
【請求項22】
前記受け入れ部材位置のそれぞれに、少なくとも1つの受け入れ部材をさらに備える、請求項18に記載の流体分配システム。
【請求項23】
前記受け入れ部材位置のそれぞれに、各々位置される複数の受け入れ部材をさらに備える、請求項18に記載の流体分配システム。
【請求項24】
前記受け入れ部材がトレーである、請求項22に記載の流体分配システム。
【請求項25】
前記受け入れ部材のそれぞれがトレーである、請求項23に記載の流体分配システム。
【請求項26】
前記受け入れ部材が、その上に取り付けられた顕微鏡スライドを有するトレーである、請求項22に記載の流体分配システム。
【請求項27】
前記少なくとも1つのトレーがそれぞれ、顕微鏡スライドを受け入れるのに適した構造を備える、請求項22に記載の流体分配システム。
【請求項28】
前記少なくとも1つのトレーがそれぞれ、流体受け入れ表面を備える、請求項22に記載の流体分配システム。
【請求項29】
前記少なくとも1つのトレーがそれぞれ、流体受け入れ表面を備え、ここで、前記流体分配カートリッジ取り付けステーションのそれぞれが、前記取り付けアセンブリの直線移動によって該流体受け入れ表面上に配置可能である、請求項22に記載の流体分配システム。
【請求項30】
前記少なくとも1つのトレーがそれぞれ、流体受け入れ表面を備え、ここで、前記流体分配カートリッジ取り付けステーションのそれぞれが、前記取り付けアセンブリの直線移動または回転のいずれか、または両方によって、該流体受け入れ表面上に配置可能である、請求項22に記載の流体分配システム。
【請求項31】
前記受け入れ部材位置が、前記受け入れアセンブリの表面上に直線的に並べられる、請求項18に記載の流体分配システム。
【請求項32】
前記受け入れ部材位置が、前記受け入れアセンブリの表面上に少なくとも2列で並べられ、そして前記取り付けアセンブリが該列の上を直線的に移動可能である、請求項18に記載の流体分配システム。
【請求項33】
前記取り付けアセンブリが、その上に移動可能に取り付けられる支持部材をさらに備える、請求項18に記載の流体分配システム。
【請求項34】
前記取り付けアセンブリが、その上に移動可能かつ回転可能に取り付けられる支持部材をさらに備える、請求項18に記載の流体分配システム。
【請求項35】
前記受け入れアセンブリが静止している、請求項18に記載の流体分配システム。
【請求項36】
複数の前記受け入れ部材位置に位置している加熱要素をさらに備える、請求項18に記載の流体分配システム。
【請求項37】
前記加熱要素が、異なる受け入れ部材を加熱するために選択的に制御される、請求項36に記載の流体分配システム。
【請求項38】
前記加熱要素が、ばね付勢された加熱パッドを備える、請求項36に記載の流体分配システム。
【請求項39】
前記受け入れアセンブリの前記頂部表面の下に、少なくとも1つの流体供給容器位置をさらに備える、請求項18に記載の流体分配システム。
【請求項40】
前記少なくとも1つの流体供給容器位置と前記頂部表面とのそれぞれの間に配置される、少なくとも1つの弁をさらに備える、請求項41に記載の流体分配システム。
【請求項41】
前記少なくとも1つの流体供給容器位置の1つに配置される、少なくとも1つの流体供給容器をさらに備える、請求項41に記載の流体分配システム。
【請求項42】
前記受け入れアセンブリの前記頂部表面の下に配置される、少なくとも1つの排出容器をさらに備える、請求項18に記載の流体分配システム。
【請求項43】
前記少なくとも1つの排出容器と前記頂部表面とのそれぞれの間に配置される、少なくとも1つの弁をさらに備える、請求項44に記載の流体分配システム。
【請求項44】
前記少なくとも1つの排出容器位置の1つに配置される、少なくとも1つの排出容器をさらに備える、請求項45に記載の流体分配システム。
【請求項45】
請求項18に記載の流体分配システムであって、該システムは、以下:
前記受け入れアセンブリの前記頂部表面下の、少なくとも1つの流体供給容器位置;および
該受け入れアセンブリの該頂部表面下の、少なくとも1つの排出容器位置、
をさらに備える、流体分配システム。
【請求項46】
前記少なくとも1つの流体供給容器位置と前記頂部表面とのそれぞれの間、ならびに前記少なくとも1つの排出容器位置と該頂部表面とのそれぞれの間に配置される、少なくとも1つの弁をさらに備える、請求項47に記載の流体分配システム。
【請求項47】
前記取り付けステーションのそれぞれが、前記流体分配カートリッジ取り付けステーションのそれぞれに保持アセンブリをさらに備える、請求項18に記載の流体分配システム。
【請求項48】
前記取り付けステーションのそれぞれが、前記流体分配カートリッジ取り付けステーションのそれぞれに保持アセンブリをさらに備え、該保持アセンブリは、取り付け開口部に隣接して配置されるばね付勢された玉を備え、そして該流体分配カートリッジのそれぞれが、該カートリッジの外部表面に配置される、適合する玉戻り止めセットを備える、請求項20に記載の流体分配システム。
【請求項49】
スライドトレーを備える流体分配システムのための受け入れ部材であって、該スライドトレーは、以下:
上面上に配置されるスライド取り付け構造;
下面上に配置される表面取り付け構造;および
該上面上に配置される流体受け入れ表面、
を備える、受け入れ部材。
【請求項50】
前記流体受け入れ表面が、前記上面上の前記スライド取り付け構造と異なる位置に位置される、請求項51に記載のスライドトレー。
【請求項51】
流体分配システムであって、該システムは、以下:
頂部表面および該頂部表面上の複数の受け入れ部材位置を備える、受け入れアセンブリ;
複数の流体分配カートリッジ取り付けステーションをその上に有する、直線的に移動可能な取り付けアセンブリ;
複数の作動装置アセンブリであって、該作動装置アセンブリの少なくとも1つが、該流体分配カートリッジ取り付けステーションのそれぞれに対応する、作動装置アセンブリ;および
該作動装置アセンブリのそれぞれと通信するコントローラーであって、該コントローラーが、該作動装置アセンブリを作動させて、それぞれの該カートリッジ取り付けステーションに取り付けられたカートリッジから流体を分配する、コントローラー、
を備える、流体分配システム。
【請求項52】
流体分配システムであって、該システムは、以下:
複数の流体分配カートリッジ取り付けステーションを有する、可動な取り付けアセンブリ;および
該取り付けアセンブリの下に配置される実質的に静止している受け入れアセンブリであって、該受け入れアセンブリが、その頂部表面に複数の受け入れ部材位置を備える、受け入れアセンブリ、
を備える、流体分配システム。
【請求項53】
顕微鏡スライド上に取り付けられたサンプルに流体を分配する方法であって、該方法は、以下:
複数の顕微鏡スライドを、それぞれのトレー上に各1枚配置する工程;
それぞれの該トレーを、受け入れアセンブリ上に直線的に並べて配置する工程;
流体分配カートリッジを直線的および回転的に移動可能な取り付けアセンブリ上に取り付ける工程;
該取り付けアセンブリを直線的および回転的に移動して、該流体分配カートリッジを選択された該トレーの1つの上に配置する工程;および
流体を分配する工程、
を包含する、方法。
【請求項54】
流体を分配する工程が、作動装置アセンブリを操作する工程を包含する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
複数の顕微鏡スライドが、それぞれのトレー上に配置される、請求項53に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−508525(P2007−508525A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523317(P2006−523317)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/025960
【国際公開番号】WO2005/019092
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(504462571)サクラ ファインテック ユー.エス.エー., インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】