説明

流体散布器用ポンプ

本明細書の発明は、流体散布器用のポンプ及び弁配置に関する。本明細書のポンプは、投与室と、弾力的アクチュエータと、投与室へ入る及び出る流体の流れを制御するための弁とを備え、並びに上側及び下側ポンプ半分体のそれぞれは、一体の成型品から形成され、少なくとも上側ポンプ半分体は、半剛性の熱可塑性材料を含む。ポンプは、少数の部品から射出成型経由で容易に作製される。流体貯槽とポンプの組合せが、流体散布器を提供し、これは更に、流体が散布器出口から噴出される時に噴霧を形成するための霧化器を含むことも可能である。ポンプ及び弁配置を作製する方法も本発明により提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少数の成型部品から、特に射出成形部品から、容易に作製及び組立が可能なポンプに関する。本発明は更に、ポンプを含む散布器に関し、並びにポンプ及び散布器用の弁配置に関する。該ポンプ及び器具は、鼻及び喉のスプレー、芳香剤、化粧品、洗浄製品などを包含する、薬品類のような流体を散布するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
物質の散布器からの放出、特に注意深く制御された量での放出には、一般に、ある種類のポンプが必要とされ、それは、通常はポンプに関連した1つ以上の弁を有する。そのようなポンプを供給することは、典型的なポンプが多数の別個の部品を含むので、散布器の製造のコストと複雑さを増加するのみならず、それらの全体設計を制限するおそれもある。ポンプの複雑さを軽減するための努力がなされてきている。PCT国際公開特許WO98/08661は、少数の積み重ね可能な部品を有して簡単に製造されるポンプを開示している。しかしながら、そのポンプもまだ、別個に製造及び組立を要する4個の部品を必要とする。PCT国際公開特許WO02/16047は、散布用の可撓性貯槽の内側に組み込まれた別の簡単なダイアフラムポンプを開示するが、これも、4つの部品を含む。
【0003】
米国特許第6,460,781号、米国特許出願2003/0071071、米国特許出願2002/0190081、及びPCT国際公開特許WO00/06464の全ては、貯槽と貯槽からポンプ作用を作り出すための変形可能な弾力的手段とを含む、サンプリング器具として好適で簡単な製品散布器を記載する。
【0004】
米国特許第5,492,252号、欧州特許第641722号、及び欧州特許第442858号のそれぞれは、入口ポートを含む成型前ポンプチャンバへの挿入体として弾力的なアクチュエータを利用するポンプが組み込まれた散布器を記載する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のもの全てにもかかわらず、ポンプが組み込まれた製品散布器を簡単に低コストで製造可能にするために、特に制御された製品投与分を繰り返して信頼性高く放出できるように、製品散布器の更なる改良が必要とされる。関連した課題は、散布器のモジュール構造の方法を簡単にならしめ、これによって、例えば異なる量の投与分を放出する異なる機能のポンプを共通の散布器に組み込み、生産ラインを使用して異なる製品を提供する柔軟性のある方法を可能にすることである。
【0006】
2個という少ない別個の部品から、及び特に、各部品が、射出成形、圧縮成型、又は熱成形などの量産技法により形成可能な別個の部品から製造できる、簡単な構造のポンプが今や開発されている。そのポンプは、より複雑な散布器内の別個の部品として採用可能であり、又は実に、簡単な散布器の中へ一体成型可能である。そのポンプの構造は、ポンプが散布器に採用されるという点で、及びその結果、遥かに自由に散布器を設計できるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の発明は、流体散布器用のポンプ及び弁配置に関する。本発明は更に、ポンプが組み込まれた散布器に関する。本明細書のポンプは、投与室と、弾力的アクチュエータと、投与室へ入る及び出る流体の流れを制御するための弁とを備える。流体貯槽とポンプの組合せが、流体散布器を提供し、これは更に、流体が散布器出口から噴出される時に噴霧を形成するための霧化器を含んでもよい。
【0008】
本発明の第一の態様に従って、流体散布器用のポンプにおいて、
a)上側入口ポート壁及び上側出口ポート壁を含む上側ポンプ半分体と、
b)上側ポンプ半分体と係合し、下側入口ポート壁及び下側出口ポート壁を含む下側ポンプ半分体であって、上側入口ポート壁が下側入口ポート壁と係合して、流体源からポンプへの流体連通を可能にするポンプ入口ポートを画定し、並びに上側出口ポート壁が下側出口ポート壁と係合して、流体がポンプから流出することを可能にするポンプ出口ポートを画定する、下側ポンプ半分体と、
c)上側ポンプ半分体に連結された弾力的アクチュエータと、
d)前記ポンプ入口ポートを通る流体の流れを制御するための、前記ポンプ入口ポートに関連付けられた入口弁と、
e)散布器から放出される前の単一投与分を入れるための、弾力的アクチュエータにより少なくとも部分的に境界を定められた投与室と、
を備え、弾力的アクチュエータの押し下げが、ポンプ出口ポートを通して流体の投与分を散布することに有効であり、並びに上側及び下側ポンプ半分体が、一体の成型品で形成され、及び少なくとも上側ポンプ半分体が、半剛性の熱可塑性材料を含むポンプが提供される。
【0009】
本発明の第二の態様に従って、流体散布器用のポンプを作製する方法が提供され、ポンプは、半剛性の熱可塑性材料を含む上側ポンプ半分体と、下側ポンプ半分体と、投与室と、弾力的アクチュエータと、ポンプ入口ポートと、ポンプ出口ポートと、入口弁と、出口弁とを備え、前記方法が、
a)弾力的アクチュエータ、上側入口ポート壁、及び上側出口ポート壁を含む一体の成型品に、上側ポンプ半分体を形成する工程と、
b)下側入口ポート壁、下側出口ポート壁、及び下側投与室壁を含む一体の成型品に、下側ポンプ半分体を形成する工程と、
c)弾力的アクチュエータ及び下側投与室壁が投与室の境界を定めるように、上側入口ポート壁が下側入口ポート壁と係合して、流体源からポンプへの流体連通を可能にするポンプ入口ポートを画定するように、並びに上側出口ポート壁が下側出口ポート壁と係合して、流体がポンプから流出することを可能にするポンプ出口ポートを画定するように、上側ポンプ半分体を下側ポンプ半分体の上に固定する工程、
とを含む。
【0010】
本発明の第三の態様に従って、流体散布器用のポンプを作製する方法が提供され、ポンプは、半剛性の熱可塑性材料を含む上側ポンプ半分体と、下側ポンプ半分体と、投与室と、弾力的アクチュエータと、ポンプ入口ポートと、ポンプ出口ポートと、入口弁と、出口弁とを備えるものであって、その方法が、
a)上側入口ポート壁及び上側出口ポート壁を含む一体の成型品に、上側ポンプ半分体を形成する工程と、
b)下側入口ポート壁及び下側出口ポート壁を含む一体の成型品に、下側ポンプ半分体を形成する工程と、
c)上側入口ポート壁が下側入口ポート壁と係合して、流体源からポンプへの流体連通を可能にするポンプ入口ポートを画定するように、並びに上側出口ポート壁が下側出口ポート壁と係合して、流体がポンプから流出することを可能にするポンプ出口ポートを画定するように、上側ポンプ半分体を下側ポンプ半分体の上に固定する工程と、
d)弾力的アクチュエータが投与室の境界を定めるように、弾力的アクチュエータを上側ポンプ半分体に取り付ける工程、
とを含む。
【0011】
本発明の第四の態様に従って、流体散布器用のポンプのための弁モジュールが提供され、該弁モジュールが、
a)上側入口ポート壁、上側出口ポート壁、及び上側ポンプ半分体の上面と下面の間に流体連通をもたらす流れチャネル、を含む上側ポンプ半分体と、
b)上側ポンプ半分体と係合する、及び下側入口ポート壁、下側出口ポート壁、及び下側投与室壁を含む下側ポンプ半分体であって、上側入口ポート壁が下側入口ポート壁と係合して、流体源からポンプへの流体連通を可能にするポンプ入口ポートを画定し、上側出口ポート壁が下側出口ポート壁と係合して、流体がポンプから流出することを可能にするポンプ出口ポートを画定する下側ポンプ半分体と、
c)ポンプ入口及び出口ポートをそれぞれ通る流体の流れを制御するための入口弁及び出口弁と、
を備え、
弁モジュールは、位置決め突起物、窪み、非円形外壁区分、及びこれらの組合せから選択される整列手段を含んで、弁モジュールが散布器の中に固定された向きで受け入れられることを可能にするものである。
【0012】
本発明の第五の態様に従って、ポンプ散布器内で使用するのに好適な弁配置が提供され、該弁配置は、半剛性の上側及び下側壁を有する流れチャネルと、流体が流体供給源を通ってそこから配置へ入る流体入口と、流体が弁配置を通ってそこから出る流体出口とを含み、流れチャネルは更に、流れチャネルの内側に取り付けられた入口及び出口のエラストマーのフラップ弁を備え、それぞれの弁は、上側流れチャネル壁に移動不能に固定された表面と下側流れチャネル壁に対して封止するように押し付けられたフラップとを有し、それによってそれぞれの弁は、弁のフラップの上流側の正の流体圧力差がフラップを持ち上げて、これにより流体が弁を流れ過ぎることを可能にするまで、流れチャネルに沿う流体の流れを阻止し、弁は、流れチャネルに沿って同一方向の流体の流れを可能にし、それによって、2つの弁の間の流れチャネル区分内の流体圧力の上昇が、出口弁を開放及び入口弁を閉止のままとし、並びに2つの弁の間の流れチャネルの区分内の流体圧力の低下が、入口弁を開放及び出口弁を閉止のままとする。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、ポンプは、ポンプ入口ポートと流体連通している流体貯槽を更に備える散布器に組み込まれる。好ましくは、貯槽は、ポンプと共成型される。
【0014】
ポンプの弾力的アクチュエータは、好ましくは、一定の単位投与を容易にする作動のために、閾値力を有する。本明細書のポンプ、弁配置、散布器、及びアクチュエータは、組立てに対してモジュール工法になじみやすく、このことが、大量生産環境においてかなりの柔軟性を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明について、本明細書のポンプ、弁モジュール、及び散布器の構成部品に関して、最初に一般的な用語を、及び次に特定の実施形態について、ここから更に詳細に説明する。
【0016】
定義
ポンプ及び散布器は、上側及び下側の半分体を含む。本明細書の用語「半分体」は、対応する部品の表示のみが意図されており、大きさ、構造、又は機能のいかなる等分性も含意する意図は無い。ポンプ又は散布器について、用語「上側」及び「下側」は、2つの半分体を区別することにのみ使用されており、使用に際しての部品のいかなる特定の向きも含意する意図は無い。
【0017】
本明細書で使用する時、「半剛性」は、ASTM D790を用いて測定して、少なくとも約300MPaの、好ましくは少なくとも約500MPaの曲げ弾性率を有する材料について言う。半剛性材料から作製された本明細書のポンプ及び散布器の部品は一般に、自己支持するのに充分な壁の厚さで成型されており、それは自己支持により、その自重では実質的に曲らないことを意味する。しかしながら、可撓性袋といった、本明細書のある種の実施形態の貯槽は、薄い積層体で作製されているために、たとえその積層体が半剛性材料を含むことがあっても、自己支持構造ではない。
【0018】
「一体の成型品」により、単一品内に形成された、又は単一の金型の中で完全に形成された成型品を意味する。これは1つの材料だけを含んでもよいが、用語「一体の成型品」は、異なる材料が共通金型の中へ共射出される又は順次射出される2ショット射出成形などの共通成型作業にて、2つ以上の材料から形成された加工物をも含む。
【0019】
本明細書の「流体」は、流動性の液体又はゲルを指す。
【0020】
「単安定」は、アクチュエータ又はその要素に関して本明細書で使用する時、たわみを増加するために例えば従来型のばねの様に力が当初増加する予備領域と、次に何らかの閾値力において、要素の更なるたわみが付加力の低下と共に生じるような少なくとも1つの変曲点があることを含む、力−たわみ曲線を有することを意味する。そのような曲線が、図26に示される。好ましくは、当初の予備領域のたわみは、可能な限り小さく保たれる。
【0021】
アクチュエータ又はその要素に関する「双安定」は、定義された力閾値を抜けるまで単安定アクチュエータ又は要素のように挙動するが、次に「跳んで」押し下げられた姿勢に永久的に留まる、アクチュエータ又はその要素について言う。
【0022】
投与室
本発明によるポンプは、投与室を含む。投与室は、ポンプが組み立てられる時に、上側ポンプ半分体と下側ポンプ半分体の協働によって形成される。投与室は、散布される流体の単一の投与分を保持し、これは、好ましい実施形態では、投与室と流体連通している貯槽から補給を受けることができる。投与室は、ポンプ入口ポートと流体連通して、そこを通して貯槽から流体を受け入れることができ、及びポンプ出口ポートと流体連通して、これから流体を散布することができる。本明細書に例示されるある種の実施形態では、ポンプ入口及び出口ポートは、投与室の反対側にあり、多数の用途に対してこれが最も適切な配置であるが、本発明はこれに限定されるものではない。入口及び出口ポートは、流体を投与室へ流入及び投与室から流出可能にするという意図された機能を果たす限り、相互に隣接することも、又は相互及び投与室に関していかなる他の位置に置かれることもできる。投与室へ流入及び投与室から流出する流体は、以下で更に詳細に説明される入口弁及び出口弁によって制御される。ポンプは更に、以下でも更に説明される弾力的アクチュエータを備え、これが作動すると、流体の投与分が投与室から散布されるという結果になる。弾力的アクチュエータによるポンプの作動は一般にポンプ内に含まれる流体の全てが散布されるという結果にはならないので、ポンプによって散布される投与分の体積は一般に、ポンプ容積より小さい。本明細書の投与分の体積は、ポンプの寸法及び構造に依存して、数マイクロリットルから数ミリリットルまで変化することができる。投与分の体積は、好ましくは、投与室の寸法によって実質的に予め定められ、計量された投与分である。これを達成する手段は、ユーザーが投与分の体積を変更できることを制限することを含めて、以下の弾力的アクチュエータに関する節で更に説明される。
【0023】
最初の使用の前に、投与室は、散布される流体による呼び水を必要としてもよい。ポンプ容積対投与体積の比が大きければ大きいほど、呼び水前のポンプの内側空気を、貯槽から引き出す流体で置換するのに必要とされる呼び水のストローク回数が増加する。好ましい呼び水のストローク回数は、3回以下である。
【0024】
本発明の好ましい態様では、投与室は下側壁を有し、これが、弾力的アクチュエータのたわみに対する終点を創り出し、及びアクチュエータがそれに当接する時にその動きを停止する。静止姿勢にあるアクチュエータと下側投与室壁との間の距離の変更により、ポンプの投与体積の微調整方法を提供することができ、これにより、計量された投与分が少なくとも部分的に画定される。これは、商業生産環境において、異なる投与体積をコスト効果的な方法で作り出す必要がある時に、有利である。もちろん、投与体積は、アクチュエータの形状及び大きさなどの他のパラメータの変更によっても調整可能である。
【0025】
弾力的アクチュエータ
本明細書のポンプの重要な機構は、アクチュエータである。アクチュエータは、好ましくは弾力性である。アクチュエータは、上側ポンプ半分体に取り付けられる別個製造の一品とすることができるが、好ましくは、投与室に隣接する上側ポンプ半分体の一部をなす弾力的な壁区分である。弾力性は、アクチュエータが作製される材料の選択と、その厚さ及び形状の調整によってもたらされる。アクチュエータに好適な材料として、熱可塑性エラストマー類、シリコーン類、ゴム類、又は軟質等級のポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン若しくはポリプロピレン)がある。アクチュエータに好適な厚さは、ポンプ本体と同一の半剛性材料から製造されるとき、約0.1〜0.8mm、好ましくは約0.3〜0.7mm、より好ましくは約0.4〜0.6mmである。代替実施形態では、弾力性は、2構成要素のシステムによりもたらされてもよく、それによって、ばね又は他の弾力的器具が、作動壁の真下に置かれて、作動に続いて作動壁をその未圧縮姿勢に戻す。
【0026】
投与室の容積を減少し、ひいては流体の投与分をポンプから散布するために、アクチュエータが、ユーザーにより押し下げられる。弾力的アクチュエータの場合、押し下げ力が取り除かれると、その弾力性が、アクチュエータをその元の形状に跳ね戻らせ、投与室内の圧力を低下させて、流体を貯槽から投与室へ引き込む。
【0027】
アクチュエータの設計が、投与分の大きさ及びシステム全体の正確さに影響を及ぼす。多くの用途では、放出される投与分について要求される正確さはそれほど決定的ではなく、+/−20%の投与分の許容度が受容可能である。ボタンの形体の簡単な弾力的アクチュエータが、当該技術分野において周知である。アクチュエータは、上側ポンプ半分体と(米国特許出願2002/074359に示されるガスベローズに類似の方法で)一体に成型、共成型、上重ね成型とすることができ、あるいは別個に成型されて、PCT国際公開特許WO98/08661のポンプでのように機械的スナップ若しくは摩擦嵌めにより組立、又は溶接作業により取り付けることができる。
【0028】
簡単なアクチュエータは、ユーザーが流体を散布している間に付加力を選定することができるため、投与分の量及び質に大きな変化をもたらし得るという不都合を有するおそれがある。付加力とアクチュエータのたわみ程度との間の関係は、線形に近いか、又は少なくとも、より大きなたわみに対して常に連続的に増加する力を必要としてもよい。ユーザーが軽く押すだけの場合には、流体の散布される体積及び圧力が次善のものとなり、例えば不完全若しくは不定の投与、望ましくない噴霧パターン、又は粒径分布の不良という結果になることがある。ある種の用途又は製品に対してはこれでも受容可能なことがあるが、医療器具分野の用途では通常、特に活性な薬剤成分を放出するときに、より厳しい投与分の許容度を必要とする。この特定な不利点を克服するために、本明細書のアクチュエータは、好ましくは、単安定又は双安定の要素を含む。これらの要素は、線形の力−たわみの関係を有さないことを特徴とする。放出装置のためのアクチュエータに単安定又は双安定要素を使用すると、ユーザーの器具操作に追加の制御をもたらす。
【0029】
ボタン又はスナップドーム(snap-dome)の形体の単安定要素を使用することは、入力デバイス(携帯電話、計算機などのキーパッド)及び回路基板スイッチの形体で、電子工業分野で既知である。米国コロラド州ラブランド(Loveland, Colorado 80537, USA)のスナップトロン社(Snaptron Inc.)が、様々な大きさ及び形状の金属スナップドームを販売している。「スナップドーム」の形体の単安定要素は、例えば米国特許第4,933,522号及び同第5,510,584号からのスイッチで既知である。その原理は、米国特許第6,460,781号においても、サンプル型の噴霧散布器での使用のために開示されている。バロイス社(Valois SA)に譲渡されたPCT国際公開特許WO02/016796は、単安定要素としての働きをし、並びに散布貯槽の中で使用可能な二つ葉のばね(two-leaved spring)を記載する。このタイプの作動要素の更なる労作が、米国特許第6,271,487号に記載され、この特許では、触知できるフィードバックと3状態の切り替えを有するスイッチが開示されている。単安定要素は、おもちゃ業界でも使用されている。本明細書で使用する時、単安定要素は、弾力的アクチュエータの下に配置されたスナップドームなどの別個の要素とすることができ、又は米国特許第6,460,781号にて開示されるように、アクチュエータ壁の適切な構成により形成されたアクチュエータの全機構とすることができる。
【0030】
アクチュエータ内の単安定要素について、典型的な力−たわみ曲線は、図26に示されるようなものである。初期たわみは、力の連続的な増加を必要とする。流体で呼び水済みのポンプに取り付けられたアクチュエータに対して小さな力だけがユーザーの指により付加される場合、通常では、付加力がポンプの出口弁を開放するには不充分な圧力しか流体中に発生させないので、流体の放出は全く無い。本アクチュエータは、要素の更なるたわみが付加力の減少と共に生じる閾値点を有しているが、この閾値点を、出口弁を開くために十分な流体圧力を創り出すのに必要とされる力よりやや大きくすべきである。この実際的な効果は、予め定義された閾値点を一旦過ぎると、ユーザーの指の押し下げの運動量がたわみを急激に増加させるいう結果となり、充分な作動を妨げるのが難しくなるこにある。その結果は、散布される流体量の変化がかなり小さく抑えられ、関連付けられるあらゆる噴霧パターンがより良く制御されることである。閾値点を通過するこの過程は、好ましくは、構成要素の正しい操作をユーザーに報せるための、可聴「クリック音」又は触知できるフィードバックを伴う。好ましくは、閾値点を過ぎると、たとえ力Fが(ニュートンで刻まれた軸線で)少なくとも10%減少しても、たわみDが(mmで刻まれた軸線で)少なくとも50%増加し、より好ましくは、たとえ力が少なくとも25%減少しても、たわみが少なくとも75%だけ増加する。原点から第一の閾値点までの曲線の傾きは、好ましくは少なくとも5Nmm−1、より好ましくは少なくとも10Nmm−1である。
【0031】
本発明の別の態様において、散布ポンプと共に使用するためのアクチュエータが提供され、アクチュエータは、第一の平面内にある外側フランジと弾力的にたわみ可能な中央ドームとを含む好ましくはディスクのように形作られたプレートを含み、ドームは、頂点と少なくとも1つの環状トラフとを含んで、これにより、アクチュエータは、その外側フランジにて固定される時、第一の平面に垂直に付加される力に関し、ドームの増加するたわみに対して力が当初増加する予備領域と、付加力の減少と共にドームの更なるたわみが生じるような少なくともひとつの変曲点とを含む、力−たわみ曲線を有する。
【0032】
通常は、アクチュエータの力−たわみ曲線上の閾値点を過ぎたどこかの点で、普通はアクチュエータの何かの材料限界に到達した時に、更なるたわみを達成するのに必要とされる付加力が再び増加する。たわみについての予め定義された終了点は、アクチュエータが何かの停止要素に当接することが原因で達成されてもよく、この場合は当然、たわみのわずかな又はゼロ増加に対して、付加力が急激に増加する。たわみの終了点は、アクチュエータの物理的な寸法によって画定されてもよく、又は下側投与室壁などの更なる停止要素を導入することもできる。
【0033】
弾力的アクチュエータの場合、付加力が取り去られると、アクチュエータは次に、その元のたわむ前の開始点に戻る。押し下げられた姿勢に永久的に留まる双安定アクチュエータは、本明細書で意図されるような弾力性ではない。このタイプのアクチュエータは繰り返し投与には好適でないが、幾つかが1つの散布パッケージに使用される場合、投与計画の制御について利点を有することができる。本発明の更なる態様において、散布されるべき流体を含む貯槽が提供され、その貯槽は境界壁と流体出口とを備え、貯槽の境界壁が複数の双安定アクチュエータを含んで、双安定アクチュエータの各押し下げの結果として、流体の実質的に同一の投与分が流体出口から散布されるようになっている。好ましい双安定アクチュエータは、凸型ドームを貯槽の外部に与え、その閾値を超えて押し下げられた時、永久的に変形して、凹型窪みを貯槽の外部に与える。本発明のこの更なる態様の好ましい実施形態に含まれる貯槽は、貯槽の一面上に規則的配列で配置された複数の外面凸型の変形可能な双安定アクチュエータを有し、ブリスター包装の外観をもたらす。
【0034】
弁及び弁配置
本明細書のポンプの更に重要な機構は、入口弁及び出口弁である。入口弁は、ポンプ入口ポートに関連付けられて入口ポートを通る流体の流れを制御し、出口弁は、ポンプ出口ポートに関連付けられて出口ポートを通る流体の流れを制御する。「関連付けられる」とは、各弁がそれぞれのポート内に、又はそのポートに直接連結された流れチャネル内に配置されることを意味する。ポート内に配置されない場合には、弁は、ポートを通る流体流れを制御するというその意図された機能を実施可能である限り、ポートの上流又は下流とすることができる。入口弁及び出口弁の両方は、逆止め型のものであって、導管又は流れチャネルに沿う一方向の流体移動は許容するが、逆方向の流体流れを阻止することが非常に好ましい。好適な弁として、フラップ弁、ダックビル(duckbill)弁、ボール弁、及びスリット弁が挙げられる。フラップ弁は、その場成型の容易さのために好ましい。好ましい実施形態では、入口弁及び出口弁は、約5〜約90の、より好ましくは約20〜約70のショアA硬度を有するエラストマー材から作製される。好適なエラストマー材として、熱可塑性エラストマー類と、シリコーン類と、ゴム類とが挙げられる。フラップ及びスリット弁は、以下で更に詳細に説明されるように、方形又は三角形又はより複雑な形状などの様々な形状とすることができる。それらの弁は、付属部品として共成型、上重ね成型、挿入成型することができ、あるいは溶接、締まり嵌め、又はスナップ嵌めなどにより別個に組み立てることができる。代替実施形態では、入口及び出口弁は、上側又は下側ポンプ半分体のいずれかと、それらが一体成型されるポンプ半分体と同一の半剛性熱可塑性材料から、一体に成型される。更なる代替実施形態では、入口弁及び出口弁は、2つを連結する材料のブリッジを有する単一品として射出成形されてもよい。別個に製造し、ポンプ本体へ容易に取付けの容易に取り付けることができ、予め定められた方向性配置が可能になる。
【0035】
好ましい弁配置は、流れチャネルの内側に取り付けられたエラストマーの弁を含み、その弁は上面を有し、上面は、好ましくは射出成形によって上側流れチャネル壁に移動不能に固定され、弁は更に、弁フラップを横切る流体圧力に差が無いときに下側流れチャネル壁に対して封止するように押し付けられる下面を有するフラップを備え、フラップの下面に対する流体圧力の増加が、フラップを下側流れチャネル壁から持ち上げて、流体が弁を流れ過ぎることを可能にする。本明細書の実施形態では、上側又は下側ポンプ半分体の一方が、弁配置の上側流れチャネル壁を含み、及び上側又は下側ポンプ半分体の他方は、弁フラップの下面が下側流れチャネル壁に対して封止するように押し付けられている下側流れチャネル壁を含むことが好ましい。弁フラップの下面は、下側流れチャネル壁と概ね同一平面であり、弁フラップは、流れチャネルに沿って流体流れの方向を向く。流体の逆圧が流体を反対方向へ流そうとする場合、流体が、弁フラップの上面に当たって押して、フラップを下側流れチャネル壁に対して封止するように押しつけ、これにより流体の逆流に対する抵抗が増加する。弁フラップの輪郭を変更することにより、並びに/又は上側及び下側ポンプ半分体の設計により、弁作動に対する所望の閾値圧力を設定することができる。弁を横切る圧力差が閾値圧力を超える時だけ、弁が開かれる。常時、閉の弁システムが有益であるが、これにより、ポンプが1回だけ呼び水を要することが確実になり、及び外部からの汚染の危険性が減少するからである。好ましくは、弁についての閾値圧力は、弾力的アクチュエータに付加される力が、弾力的アクチュエータについての閾値作動力の約70%〜約100%、好ましくは約90%〜約100%の範囲である時に、出口弁が開くようなものである。
【0036】
特に好ましい弁配置では、流れチャネルは、これに沿って流れる流体が最初に弁に遭遇する点で制限されており、弁は、下側流れチャネル壁に対して永久的に押し付けられた足元部分を含んで、弁を過ぎる流路が下側流れチャネル壁内の溝に沿うものだけであり、溝が側壁によって側を守られるようになっている。溝は、側壁の高さまで隆起する封止隆起部により橋をかけられ、並びに弁フラップは、封止隆起部及び側壁を横切って置かれて、流体圧力が弁フラップを封止隆起部及び隣接する側壁から持ち上げて離すのに充分に上昇するまで、流体の流れを阻止する。更に詳細には、2つのそのような弁の配置が、好ましくは、縦一列に使用されて、各配置の弁が相互から離され、及び投与室が2つの弁の中間の流体流路上に配置されて、弁が投与室に対する入口弁及び出口弁としての働きをするようになっている。
【0037】
弾力的アクチュエータの無い本明細書のポンプは、異なる大きさ又は形状のアクチュエータと組み合わされて、異なる投与体積などの異なる特性を有するポンプをもたらすことができるので、弁モジュールとして使用可能であり、及びそれ自体で有用である。本明細書のポンプ及び弁モジュールは当然、弁が上側又は下側ポンプ半分体のいずれにでも固定されるように設計できる。
【0038】
霧化器
本明細書のある種の実施形態では、ポンプ又は散布器は、散布される流体を噴霧に分散するために、出口流れチャネルに関連付けられた霧化器を含む。出口流れチャネルは、上側及び下側ポンプ半分体と好ましくは一体に成型された、上側及び下側出口流れチャネル半分から形成できる。
【0039】
米国特許第6,059,150号は、旋回チャンバ形状を組み入れた噴霧オリフィスを含む中空のノズルアダプターを使用する、鼻スプレー用途の典型的な霧化器を説明する。
【0040】
あるいは、噴霧オリフィス及び旋回チャンバ形状を含むカップ形状の構成要素が別個にノズルアダプターに組み込まれた霧化器が既知であり、そのような構成要素の例に、米国特許第5,738,282号にて開示されるノズルキャップがある。
【0041】
これらのタイプの霧化器は通常、ポンプに対して別個のユニットであり、ポンプユニットへの組立が後で必要になる。これは通常、摩擦又はスナップ嵌めなどの機械的連結によってなされており、流体の漏れの無い封止を達成するために、正確な成型及び組立の努力が必要とされる。このことは必然的に、放出システムの全体設計に幾つかの制限を課す。
【0042】
はるかに融通の効く霧化器設計についての解決策が、PCT国際公開特許WO01/89958にて開示されており、そこでは、エアゾール噴霧器用の霧化器が、特定の流体の霧化を可能にするように誂え製作された形状で単純射出成形された構成要素の2つの半分体により形成される。そのような方法によって、噴霧放出器具を自由に設計することが可能になり、流れチャネル形状を好適なやり方で形作ることによって、広範な製品に対して噴霧特性を制御するより大きな手段が提案される。
【0043】
小さな粒子に分散して噴霧を形成することができない非常に粘調な流体には、簡素な散布オリフィスで充分である。そのオリフィスは、上側又は下側出口流れチャネル半分のいずれかの中で完全に、あるいは両方の半分の部分成型部の組合せから、形成することができる。円形オリフィスが必要な場合には、上側又は下側出口流れチャネル半分のそれぞれに半円形チャネルを成型することによって実施できる。小さな寸法及び許容度のために、上側及び下側半分の縁を正確に合わせることが困難な場合がある。この特定の問題点を避けるために、オリフィスは、1つの側を平らにして形成することができ、従って、組立における位置決めの小さな変化は問題ではなくなる。この原理が、PCT国際公開特許WO01/32317にて説明されている。散布オリフィスは、上側及び下側出口流れチャネル半分のいずれかの中で完全に形成することもできる。
【0044】
散布オリフィスは又、使用されない時にオリフィスを封止するための可動プラグを含むことができる。可動プラグは、オリフィスの閉塞回避を補助することができ、及び又散布器内に残る流体に対して汚染物からのより良い保護を提供する。PCT国際公開特許WO03/078073は、器具を操作すると、ユーザーによる他の介入無しに、プラグ要素が封止位置と非封止位置の間を移動可能である仕組みを開示する。
【0045】
貯槽
本ポンプの目的は、流体源すなわち貯槽からの流体の散布を可能にすることである。流体は、ポンプの構成要素に適合性のある及びポンプ送出されるのに過度に粘性ではない、いかなるものにもすることができ、芳香剤及びローションなどの化粧用製品、医薬品、獣医用製品、液体食品又はソース、及び洗浄用流体などの他の家事製品が挙げられるが、これらに限定されない。ポンプは、貯槽に対して、及び所望により霧化ノズル又はアプリケータに対して、永久的又は取外し可能に連結して完全な散布器を形成することができ、及び/又はハウジング及びハンドルなどの他の部品を備えるより複雑な製品の一部を形成することができる。霧化ノズルは、鼻及び喉の治療などのある種の医療用途に好ましい。その他の処理の場合、流体を基材上に広げるのに好適なアプリケータが好ましいことがある。有用なアプリケータには、ブラシヘッド、エラストマーの塗付けブレード、及び使い捨ての布地から選択される拡大手段が含まれる。ポンプは、貯槽に直接連結することができ、又はポンプと貯槽が互いに遠く離れるのが望ましい場合、例えば中間配管手段によって連結することができる。貯槽に永久的に取り付けるための準備は、例えばウエルドスパウト(weld spout)をポンプ入口ポートと共成型することによって実施することができ、その結果、ポンプは、可撓性の袋に対して流体の漏れない方法で封止可能になる。
【0046】
本明細書で提供されるポンプは、低コストで製造可能であり、及びそれぞれの貯槽にポンプが備えられる用途に対して経済的に適合する。この場合、貯槽とポンプは、好ましくは、熱封着、溶接、金型内、又はスナップ嵌め作業によって永久的に連結される。けれども、特にポンプがより複雑な器具に関連付けられている場合に、取替え用貯槽が同じポンプに取付け可能になるように、貯槽がポンプに対して取外し可能に連結されることが有益であり得る用途がある。取外し可能な連結によって、貯槽を交換しなければならない場合にポンプを捨て去ることが避けられるが、信頼性の高い、流体の漏れのない、再使用可能な連結を提供するために、更なる複雑性が提起される。しかしながら、この目的のために好適な取付け具が、当該技術分野において既知である。代表的な取付け具が、PCT国際公開特許WO99/05446、同WO00/66448、及び同WO03/095322にて開示されている。
【0047】
貯槽そのものは、半剛性又は可撓性にすることができる。貯槽が半剛性である場合には、貯槽内で真空が発達するのを避けるために、例えば空気の進入を可能にする一方向弁の手段によって、貯槽を通気するための手段を設けることが必要な場合があり、真空は、更なる散布を妨げる、又はポンプ出口弁を通り過ぎる吸い戻しを引き起こして、ポンプを再び呼び水する必要が生じる可能性がある。通気手段は又、流体がそれを通過して外部環境へ逃げるのを阻止する、細かいメッシュのフィルターを含むことができる。例えば、吸込み空気から細菌、胞子などを濾過するバイオフィルターであり、このようにして貯槽内の流体を防腐剤無しとすることができる。無菌の濾過バリアを維持可能なバイオフィルターは、米国デラウェア州ニューアーク(Newark, Delaware, USA)のW.L.ゴア&アソーシエイツ社(W. L. Gore & Associates, Inc.)から入手可能な、ゴアテックス(GORE-TEX:登録商標)発泡PTFE積層体から作製できる。本明細書の散布器の好ましい実施形態では、ポンプは、流体を入れた可撓性の袋の形体の貯槽と組み合わされて、その袋は、流体がポンプによって引き出されるにつれてつぶれていく。可撓性の積層体で作製された貯槽は、バリア特性の改良という効果をもたらす。可撓性貯槽は、好ましくは、空気無し充満作業(airless filling operation)によって流体を充填され、その結果、充填された貯槽には空気が入っていない。
【0048】
多くの場合、ポンプは、貯槽に対して外部装備品として製造されるのが便利、且つより簡単である。しかしながら、総空間が問題である場合には、貯槽は、ポンプが貯槽に対して内側になる又はその中に収容されるようにポンプの回りに組み立てることができ、このことは、たとえポンプの部品、特にそのアクチュエータとアクチュエータに反対側の下側ポンプ表面などが貯槽の上側及び下側外壁に隣接することがあるとしても、貯槽の壁がポンプを実質的に包囲することを意味する。本明細書で好ましい実施形態は、貯槽の中に収容されてその一部をなすポンプが付いた貯槽を備える散布器を包含する。あるいは、例えばPCT国際公開特許WO02/16047の器具で示される如くに、ポンプは、可撓性の袋の中に収容して、アクチュエータの上になる袋の壁の部分を押すことによってポンプのアクチュエータが作動可能であるようにすることができる。好ましくは、貯槽の中に収容されたポンプを有する実施形態では、ポンプの上側及び下側半分体は、貯槽の上側及び下側半分と一体に成型される。
【0049】
貯槽が半剛性であろうと可撓性であろうと、使用中の散布器の向きに依存したある向きで、貯槽内の流体の全ての取り出し補助のために、貯槽の内側にディップチューブを含むのが好ましいことがある。ディップチューブは、一般的には貯槽が半剛性であるときに使用され、及び可撓性袋にも有用であり得る。上側及び下側の成型半分体から本明細書のポンプ、貯槽、及び散布器を組み立てる方法は、たとえポンプが組み込まれない場合でも、ディップチューブを有する散布器及び貯槽の組立にも適用可能である。従って、本明細書の更なる発明態様では、上側及び下側半分体を含む散布器が提供され、上側及び下側半分体が協働して流体貯槽と貯槽の第一の端部における散布出口とを形成しており、上側及び下側半分体のそれぞれが一体に成型されたチャネルの区分を含み、その区分が協働して、散布出口と流体連通する及び貯槽の第一の端部から遠い第二の端部近くの入口端において終了する、ディップチューブすなわち流れチャネルを形成することを特徴とする。ディップチューブは、好ましくは、貯槽の長さの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の散布出口端からその入口端までの長さを有する。この散布器の好ましい実施形態では、その上側及び下側半分体の少なくとも1つは、流体を貯槽から散布出口を通ってポンプ移送可能にする、弾力的に変形可能な領域を含む。この弾力的に変形可能な領域は、これを含むポンプ半分体の外部面積のかなりの比率を、例えば少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%を含んでもよい。あるいは、変形可能な領域は、比較的小さくてもよく、及び好ましくは単安定要素を含む本明細書で説明されるような弾力的アクチュエータの形体であってもよい。器具から流体を散布するための更なる機構は、上で更に説明されたような複数の双安定アクチュエータを設けることを含み、各アクチュエータの圧縮が流体の単位投与分を放出するようになっている。本明細書の他の実施形態について言えば、この散布器は又、散布出口と、必要であれば出口弁及び通気弁と、流体連通する霧化ノズルを含むことができる。
【0050】
ポンプの製造
一般に、本明細書のポンプ、散布器、弁、弁モジュール、及びアクチュエータは、射出成形、圧縮成型、及び熱成形などの、低コストで作製される成型技法により作製することができる。射出成形が好ましい。しかしながら、上側及び下側ポンプ半分体の少なくとも1つが圧縮成型又は熱成形されることも可能であり、本発明は、本明細書で説明されたような弁を含む圧縮成型又は熱成形された上側及び/又は下側ポンプ半分体を有するポンプを含む。構成部品の組立は、スナップ若しくは摩擦嵌め、又は溶接によることができる。必要な場所においては、更なる封止が、追加の射出成形封止により、又は超音波封着、レーザー溶接、若しくは熱封着などの当該技術分野において既知の他の技法により、形成可能である。
【0051】
ある実施形態では、上側及び下側のポンプ又は散布器半分体のそれぞれは、好適な半剛性の熱可塑性樹脂材料から1回の単一ショット射出成形作業で形成される。あるいは、上側及び下側のポンプ又は散布器半分体は、成型の後で組立てられてもよい。好適な樹脂として、ASTM D790を用いて測定して、少なくとも300MPa、好ましくは少なくとも500MPa、好ましくは少なくとも1000MPaの曲げ弾性率を有する熱可塑性樹脂が含まれ、並びにポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリスチレン類、及びこれらのブレンドが挙げられる。好ましい材料として、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリエチレンテレフタレートが挙げられ、最も好ましいのはポリプロピレンである。寸法を注意深く選定することにより、フラップ弁は、単一ショットの射出成形プロセスで、上側又は下側ポンプ半分体と一体に成型することができる。あるいは、弁は、より柔軟な材料から2ショット射出成形で共成型することができる。
【0052】
ある種の実施形態では、上側又は下側ポンプ半分体のいずれかの全部又は一部が、熱可塑性エラストマーなどの、より可撓性のある材料で作製されるのが適切なことがある。例えば、上側ポンプ半分体は、2ショット射出成形作業にて、半剛性材料で大体が構成されて、その弾力的アクチュエータが熱可塑性エラストマーから形成されてもよい。特に、入口及び出口弁は、2ショット射出成形作業にて、上側及び下側ポンプ半分体の材料のいずれかと共成型される第二の樹脂材料から形成可能であり、及び好ましくは形成される。便利なことに、これは、第一の工程に採用されたものと同一の金型又は冶具内で実施することができる。第二の樹脂材料は、好ましくは、ASTM D2240を用いて測定して5〜90の、好ましくは20〜70のショアA硬度を有するエラストマー材である。
【0053】
上側ポンプ半分体及び下側ポンプ半分体は、次に、互いの上に組み立てられる。フラップ弁が使用される場合、それらの圧縮はこの段階で生じる。2つのポンプ半分体が組み立てられると、封止要素は、追加の樹脂を射出して上側及び下側半分体にこれを結合させることにより形成することができ、このようにして、これらを共に保持して流体の漏れのない封止を創り出す。上側及び下側半分体を共に封止するための代わりの選択は、高周波封着などの溶接作業の使用である。上側及び下側半分体を組み立てるための第三の選択は、片方又は両方の半分体にスナップ機構を組み込むことであり、これによって、上側及び下側半分体は、一旦共に合されると組み立てられた姿勢を保持することができる。この場合、十分な封止をもたらすために、Oリング又はガスケットの使用が必要とされてもよい。代替実施形態では、共成型されたTPE封止が使用されてもよい。
【0054】
好ましい実施形態では、前述の工程は全て、1つの射出成形冶具を使用する単一の射出成形プロセスに集約されるが、それぞれが別個の専用射出成形冶具で実施されてもよいことを理解されるであろう。
【0055】
弾力的アクチュエータがポンプ上側半分体と一体に成型されなかった場合には、別個の作業で作製及び組み立てて、例えば金型内封止作業によって完成ポンプに形成することができる。
【0056】
ここから、好ましい特定の実施形態を参照して、本発明を更に詳細に説明する。
【0057】
好ましい実施形態の説明
図1〜11は、本発明によるポンプの第一の実施形態と、その操作モードを示す。図1は、組み立てられたポンプ101を斜視図で示す。ポンプ1は、延長されたノズルと、ウエルドスパウトの形体のコネクタ125を備え、これによって、ポンプが流体貯槽(図示せず)に連結可能になる。ポンプは、結合要素104によって共に封着される、上側ポンプ半分体102と、下側ポンプ半分体103とを含む。図2及び3はそれぞれ、下側及び上側ポンプ半分体を更に詳細に示す。コネクタ125は、これらの図には示されていない。上側及び下側ポンプ半分体は協働して、投与室114と、入口流れチャネル116と、出口流れチャネル117を形成し、投与室及び流れチャネルは、相互に及び貯槽と流体連通している。結合要素104は、成型ショットによって追加され、ポンプの上側半分体と下側半分体を共に封着して、更なる動きに対して両部品を固定し、及び流体がポンプを通過する時に漏れのない流路を流体のために創り出す。代替実施形態では、上側及び下側ポンプ半分体は、スナップ嵌め、溶接、又は接着作用によって共に直接取付けが可能であって、封止要素104の必要性が無くなる。
【0058】
図2及び3を更に詳細に参照して、下側ポンプ半分体103の形状は、下側ポンプ半分体103を受け止めるための対向する、封止隆起部129を含む上側ポンプ半分体102に対応する形状を有する。封止隆起部129は、上側入口ポート壁115aと、上側投与室壁130と、上側出口ポート壁115bとを含む。下側入口ポート壁110aが、上側入口ポート壁115aの内側に受け入れられて、入口流れチャネル116及びポンプ入口ポート112を画定する。入口封止隆起部108が、下側入口ポート壁に橋をかける。下側投与室壁122が、上側投与室壁130の内側に受け入れられて、弾力的アクチュエータ105によって閉止される投与室114の境界を定める。この実施形態での下側投与室壁は、投与室の幅を横切って延びる流れチャネルにより分割された、実質的に中実のブロックである。これが、弾力的アクチュエータ105の移動を限定し、これにより投与体積の画定を補助する。これは又、ポンプ容積を減少し、その結果、必要とされる呼び水ストロークがより少ないという効果を有する。下側ポンプ半分体上の下側出口ポート壁110bが、上側ポンプ半分体上の上側出口ポート壁115bの内側に受け入れられて、ポンプ出口ポート113を画定する。出口封止隆起部109が、下側出口ポート壁に橋をかける。下側ポンプ半分体103上の出口流れチャネル壁111が、上側ポンプ半分体の封止隆起部129の内側に受け入れられて、ポンプ出口ポート113から出口オリフィス118へ導く出口流れチャネル117を形成する。出口流れチャネル117は更に、上側ポンプ半分体102上の出口流れチャネル上側壁121により境界を定められる。出口流れチャネル壁111は、流れチャネル117の一端において集中して、図7及び8で更に明瞭に示されるように、出口流れチャネル上側壁121と協働して出口オリフィス118を形成する。入口及び出口位置決め突起物123及び124が、上側ポンプ半分体102上に設けられ、投与室壁122の外側リムの対応する窪みに受け入れられて、ポンプ組立中の位置決め及び封止を助ける。
【0059】
上側ポンプ半分体102が、図6にて別々に示される入口フラップ弁106及び出口フラップ弁107を備えているのが示される。好ましい実施形態では、その弁は、同一成型作業又は別成型作業(「上重ね成型」)のいずれかにて、上側ポンプ半分体102上に共成型される。別の方法としては、弁は、独立して成型されて、例えば摩擦嵌めにより、及び/又は熱封着若しくは接着により、又は上側及び下側ポンプ半分体の間で締め付けられて、上側ポンプ半分体に組込み可能である。入口弁は、投与室114から貯槽への流体の逆流を阻止する。上側及び下側ポンプ半分体が組み立てられた時、入口弁106のフラップが、入口封止隆起部108及び下側入口ポート壁110aに対して押し付けられる。同様に、出口弁107のフラップは、出口封止隆起部109及び下側出口ポート壁110bと協働して、ポンプ出口ポート113における逆止め出口弁を形成する。出口弁は、出口流れチャネル117から投与室への流体の逆流を阻止する。出口弁は又、空気又はその他の可能性のある外部汚染源により投与室内の流体が汚染するのを阻止することができる。ポンプの出口オリフィス118により近くて動きのある出口弁107と対応する出口封止隆起部109は、出口流れチャネル内の流体が乾き切るのを防ぐ、及びある種の製品が閉塞する可能性を回避する助けをする、並びに汚染を避ける助けをすることができる。しかしながら、これは、ポンプ容積を増加するという影響も有する。
【0060】
上側ポンプ半分体は、投与室114の境界を定める場所で、上側ポンプ半分体の薄壁区分である弾力的アクチュエータ105を含む。図5は、弾力的アクチュエータ105と下側投与室壁122の間の投与室114の構造を、断面により更に明瞭に示す。結合要素104が、上側及び下側ポンプ半分体を共に封着する助けをする。ユーザーの指によるアクチュエータ105上への圧力が、投与室114の容積を減少させて、流体を投与室からポンプ出口ポート113を通り及び出口流れチャネル117に沿って出口オリフィス118へ向けて流出させる。本発明による別の実施形態では、アクチュエータは、弁が形成される時に同一の加工工程で共射出可能な、上側ポンプ半分体のものとは異なる材料から作製できる。アクチュエータは又、特定の用途に対して有利であるとき、材料の組合せにより形成できることを理解されるであろう。
【0061】
ここで、図9〜11を参照して、ポンプ101の操作モードを更に明瞭に示す。図9は、ユーザーが最初に力Fを弾力的アクチュエータ105に付加する時の状態を示す。ポンプが呼び水されていて、投与室114には、散布される流体の投与分が入っている。この段階では、アクチュエータは感知可能に変形されていなく、並びに入口弁及び出口弁106及び107はまだ、入口及び出口封止隆起部108及び109に対して押し付けられた標準モードにあって、ポンプ入口及び出口ポート112及び113は閉止されている。
【0062】
図10に示されるように、付加力がアクチュエータの閾値力Fまで増加されると、アクチュエータは、急速に変形して、投与室114の内側の容積を著しく減少させ、及び入れられた流体の圧力を上昇させる。圧力の上昇は、入口弁106の上面に更なる圧力を付加して、これにより入口ポート112を閉止したまま保持するという効果を有する。しかし同時に、出口弁107のフラップの下側の圧力が上昇し、これを持ち上げて、ポンプ出口ポート113を開放し、これにより、流体が、矢印で示されるように、投与室から出口流れチャネル117に沿って流出し、最後に出口オリフィス118を通って散布可能になる。
【0063】
図11は、流体の投与分が散布され、ユーザーがアクチュエータに付加した力を除去した後の状態を示す。ここで、アクチュエータの弾力性が、力Fで、アクチュエータをその開始位置に引き戻す。このことの影響は、投与室114の内側の容積の増加であり、その内部圧を低下させる。圧力の低下は、出口弁フラップの上面の上の大気圧と合わさるその自然弾力性により、出口弁107がもう一度閉止するという結果になる。同時に、入口弁106のフラップ上の圧力が低下し、その結果、貯槽からの流体圧力が、フラップを封止隆起部108から離して持ち上げ、これによりポンプ入口ポート112を開放して、投与室が貯槽から再充填可能になる。この方法が効果的に機能するためには、好ましくは、貯槽は、つぶれ型であるか、又は通気が必要であることを理解されるであろう。
【0064】
図12及び13は、霧化出口体119の断面図を示し、これは、2つの半分体で成型可能、及び本発明による第一の実施形態の設計のノズルに一体に成型可能である。旋回チャンバ形状が、金型冶具上の側動作を必要とせずに、出口オリフィス118回りで上側及び下側半分体に組み入れられている。この形状が、ノズルの上側及び下側半分体のそれぞれにやはり成型されたバッフル(図示せず)と組み合わさって、旋回チャンバを通して流体を流出させる。
【0065】
図14〜16は、本発明による第二の実施形態を示し、これは、図1のものと本質的に同じ構成を有するポンプを備える散布器250であるが、ノズルに変更が加わる。可撓性の積層体の貯槽220が、ウエルドスパウト・コネクタ225に結合されている。貯槽に何らかの保護をもたらしてより美的魅力のあるパッケージを提供するために、例えば折畳み板紙又はプラスチックで作製できるスリーブ260が貯槽を包み込む。スリーブにある穴が、弾力的アクチュエータ205へのアクセスを可能にする。スリーブが可撓性である場合には、もちろん、穴無しで提供可能であって、アクチュエータは、スリーブを通じて押し下げることができる。この場合、スリーブの上にしるしを設けて、ユーザーが押す必要のある場所を表示することができる。ノズル266に対する変更は、スリーブ260と、ノズルを覆ってこれをきれいに保持するために設けられたキャップ255とに支持を与えるショルダー265を提供する。ショルダー265は、ポンプ及びノズルと共に2つの半分体に一体成型可能であり、又は別の方法として、ここで、クリップ/スナップ又は摩擦嵌めにより組み立てられる別個の部品とすることができる。
【0066】
本発明による散布器について非常に異なる解決策が、本発明の第三の実施形態を表す図17〜20に示される。この実施形態では、貯槽320を含む散布器350の全体が、ポンプ301と共に2つの半分体に一体成型される。この方法に従うことの利点は、制御された多数の投与分の散布器全体が、最小限の部品及び成型/組立作業で取得可能なことである。図14〜16に示される散布器250と比較して、この解決策は、ポンプが貯槽の内側になるように貯槽をポンプの回りに組み立てることによって、そうでなければ使用されない空間を利用するので、保有する同一量の流体に対してよりコンパクトな散布器を提供する。成型される貯槽に対する必要性が、貯槽のために使用できる材料に関して幾つかの制限を課しており、例えば、積層体は一般に好適でないが、このことは多数の用途について致命的ではないことがある。この設計は又、2つの領域を封止する方法:出口流れチャネル317を含むポンプの構成要素を貯槽320から隔離する第一の内側封止と、貯槽320を外気から封止する外側周辺における第二の外側封止とを必要とする。この設計が原因で、内側封止はもはや、図1のポンプでのように、射出成形された結合要素によって創り出すことができない。封止は、その代わりに、上側ポンプ/散布器半分体302が下側半分体303に組み立てられる時に、スナップ嵌め、溶接、又は接着方法により創り出される。外側封止は、前述の結合要素又は金型内封止の使用によるなどの他の方法を使用して、形成することができる。散布器は更に、霧化器319を備えて、流体が出口流れチャネル317を出る時に、散布される流体から噴霧を生成する。入口流れチャネル316は、霧化器319の反対側に位置する散布器端部に近い点において貯槽320に対して開放されて入口点を提供し、それによって流体が貯槽から流れチャネルの中へ引き込み可能になる。入口点を散布器の端部近くに有することによって、通常の使用で、流体の大部分を貯槽から散布可能にすることが確実になる。入口及び出口流れチャネルとポンプ301は共に、流体が散布器を通ってそこから散布される出口端と流体が貯槽を通ってそこから引き込まれる入り口端を有してディップチューブのような働きをする、連続する貯槽流路を形成し、流路は、その入口端を除いて、その長さに沿って貯槽から隔離されている。貯槽からの流体引込みを最適化するために、貯槽流路は、出口端から入口端までの長さの少なくとも90%の長さ、好ましくは散布器の長さの少なくとも95%の長さを有する。
【0067】
貯槽320は、ポンプ301と入口及び出口流れチャネル316及び317とに関して対称に配置された区画の形体である。入口及び出口弁は図に示されていないが、図9〜11に関連する前述の説明と同じ方法で操作されて、流体の投与分が投与室314から散布された後で、流体が、貯槽から入口流れチャネル316経由で引き込まれて、投与室を再充填するようになっている。図に示されていないが、貯槽を大気圧に保つために、貯槽が通気膜フィルターを備えることも非常に好ましい。当初の製造中に、上側及び下側半分体302及び303が組み立てられた後で、貯槽が充満ポート381経由で流体を充満され、そのポートは次に、上側又は下側半分体302及び303のいずれかと一体に成型されてもよい充満ポートプラグ380で封止される。散布器350は、特定の用途に適合する様々な形状及び厚さ及び大きさにできることを理解されるであろう。散布器は又、保護キャップを受け止めるためのショルダー付きで成型することができる。薬剤散布器の好ましい実施形態では、散布器は、約20〜約100mm、より好ましくは約40〜約70mmの長さと、約15〜約80mm、より好ましくは約20〜約55mmの幅と、約5〜約10mmの深さとを有する。その貯槽は、好ましくは、約0.5〜約40mlの容積を有する。もちろん他の用途に対しては、より大きな貯槽が適切なこともある。
【0068】
散布器350は、第一の実施形態で説明したように、上側半分体302の一部として一体に成型されたアクチュエータを組込み可能ではあるが、図21〜23は、第三の実施形態で使用される、複数の要素で構成された弾力的アクチュエータ305を更に詳細に示す。そのアクチュエータは、弾力的アクチュエータを形成する柔軟なエラストマー材によって上面及び下面を覆われた、別個の単安定ボタン340を含む。別個の単安定要素は、様々な材料で作製可能であるが、この実施形態では、スナップトロン社(Snaptron Inc)から購入可能な金属スナップドームである。そのアクチュエータは、上側ポンプ半分体302に挿入成型されて、位置決め突起物341の手段によって位置決め及び固定される。
【0069】
図24は、本発明の第四の実施形態を示し、含まれる散布器450は、図17〜20に示されるものと類似の構成であって、統一体の一部をなすポンプの回りに成型された貯槽420を含み、全体が2つの半分体である。貯槽420は、充満ポートプラグ480を備えて、製造中に貯槽に流体を充填することがそれを通して可能になる、充満ポートを封止する。この実施形態では、投与室414と流体連通している出口流れチャネル417は、上側半分体402上の円筒形突出部と同じほどにも遠くまで走り、突出部は、下側半分体403のボスに形成された対応する窪みと噛み合い、その窪みは、出口オリフィス418によって外部へ開放されている。円筒形突出部及び出口オリフィス418は下側半分体403を垂直に貫くように示されているが、もちろんこれらは下側半分体に対して斜角で形成可能であり、その結果例えば、散布される流体は、貯槽の平面に対してある角度で出てくる。
【0070】
この実施形態の弾力的アクチュエータ405は、熱成形されたポリプロピレンディスクであって、上側半分体402上の対応する窪みに挿入成型されている。アクチュエータは、その形状がより良く認識されるように、図25において断面で示される。アクチュエータは、中央ドーム487と、アクチュエータをポンプに固定するためのフランジ486と、環状トラフ485とを含む。環状トラフの機能は、中央ドームを、変形が阻止されることなく逆になるまで、固定し支持するフランジによって充分に変形可能にすることである。アクチュエータは、第一の実施形態でのように、上側半分体402の一体に成型された薄壁区分としても提供可能である。
【0071】
図27は、本発明による第五の実施形態である、散布器550の断面図を示す。ここで散布器には最小限3個の部品が必要となるので、散布器のこの構成は、部品の追加によって、構成及び組立に幾つかの利点を提供する。この散布器において、下側投与室壁522を含むのは、図28及び29にて上及び下から別々に示される、上側ポンプ半分体502である。下側投与室壁の中央には、ポンプ入口ポート512があり、これが、投与室と入口流れチャネルの間の流体連通をもたらす。この実施形態では、弾力的アクチュエータ505は、図31に示されるように、それから延びる2つの一体に形成されたストリップを有する、別個に射出成形された一品として形成される。上側ポンプ半分体502は更に、外側形状がアクチュエータ及びストリップ成型部に対応するくぼみ部分を有する。この窪み部分は、入口流れチャネル516及び出口流れチャネル517の下側部のかなりの部分を、窪み部分の中央に沿って長手方向に走る溝として有する。これらの流れチャネル部分に対して、出口流れチャネル上側壁521と入口流れチャネル516の上側部分とが、アクチュエータ及びストリップ成型部によって提供される。入口流れチャネル516の一端部における貯槽ポート526が、入口流れチャネルと貯槽520の間の流体連通をもたらす。
【0072】
図27を再び参照して、入口弁506及び出口弁507は、上側ポンプ半分体502の窪みの中に配置された、予め形成されたダックビル弁(duckbill valve)であり、その窪みは、下側ポンプ半分体503と流体連通するための穴を底に有する。これらの穴の1つは、ポンプ出口ポート513として働く。好適なダックビル弁として、オランダ国オルテンツァール(Jaartsveldstraat 5a, 7575 BP Oldenzaal, The Netherlands)のミニバルブインターナショナル(Minivalve International)から入手可能なDU027.001SD弁が挙げられる。スリット弁などの代わりの弁が、上側半分体502、下側半分体503、又は実にアクチュエータと一体に形成されたストリップと、共成型可能である。
【0073】
ここで図30を参照して、下側ポンプ及び散布器半分体503は、簡単な成型品であって、入口流れチャネル516の一部分を画定するダンベル形状壁の一端部に下側入口ポート壁510aを含む。更なるダンベル形状壁が、出口流れチャネル側壁511に連続する下側出口ポート壁510bを提供し、出口流れチャネル側壁511が出口流れチャネル517の短部分を画定する。下側ポンプ及び散布器半分体の周囲を走る隆起した唇部は、上側ポンプ及び散布器半分体502の外側壁の内側にピタリと嵌り込む。2つのダンベル形状壁は、それらの内側空間に、図29に示される上側ポンプ及び散布器半分体502上の対応する形状の突出部を受け入れる。突出部は、上側入口ポート壁515a及び上側出口ポート壁515bを含む。
【0074】
図31にて最も明瞭に示されるように、アクチュエータを組み入れたストリップは、2つのC形状突出部をその下側に有し、これが上側ポンプ半分体502の窪みの内側に置かれて、ダックビル弁を適切な位置に固定する。ストリップの一部分は、出口流れチャネル上側壁521を含み、これが、出口流れチャネル517をその上側で覆う。同様に、アクチュエータの反対側のストリップの一部分が、入口流れチャネル516をその上側で覆う。
【0075】
アクチュエータ505が充分な力で押し下げられる時、投与室下側壁522とアクチュエータ505との間に位置する投与室内の流体が、出口ポート513内に配置された出口弁507を通って送出されて、上側半分体502と下側半分体503との間に形成された出口流れチャネル517の一部に沿って通過する。流体は次に、上側半分体内に形成された連結チャネルを通って、出口流れチャネル上側壁521と上側ポンプ及び散布器半分体との間にある出口流れチャネル517の残区分に沿って流れてから、出口オリフィスを通って散布される。
【0076】
アクチュエータが解放されると、貯槽520からの流体が、上側ポンプ及び散布器半分体502とアクチュエータのストリップ延長部の1つとの間にある、入口流れチャネル516の区分に沿って引き込まれる。流体は次に、入口弁506を通って、及び上側半分体502と下側半分体503の間に形成された入口流れチャネル516の区分に沿って通過し、ここからポンプ入口ポート512を通って投与室の中へと通過する。図には示されていないが、第四の実施形態の散布器のものに類似のこの実施形態の貯槽は更に、貯槽内側の圧力が大気圧に維持されるように、通気弁を含むことができる。通気弁内のマイクロフィルターが、貯槽内の流体の外部汚染を実質的に防ぐことができる。
【0077】
最後に、本発明の第六の実施形態は、図32〜35に示されるような弁モジュールである。弁モジュールは、様々な形状のポンプ又は散布器構造への組み込みのために、別個の品目として製造することができ、これによって、より大きな製造上の柔軟性がもたらされる。弁モジュールは、上側及び下側半分体602及び603を含む。下側半分体603は、中央溝を有する平らな射出成形されたストリップを含み、その溝が、入口及び出口ポート612及び613の基部を形成する。その溝は、入口及び出口封止隆起部608及び609によって中断され、これらに対して入口弁及び出口弁606及び607のフラップが押し付けられて、(出口弁607の場合は散布中に、又は入口弁606の場合は投与室の再充填中に)弁フラップを持ち上げるのに充分な圧力が流体により及ぼされるまで、溝に沿う流体の流れを阻止する。上側半分体602の上面が、下側投与室壁622を提供する。チャネルが、これの中央を貫いて、投与室と入口及び出口ポートとの間の流体連通をもたらす。弾力的アクチュエータ605を含む散布器区分(部分的にのみ示す)に弁モジュールを組み込んで完成ポンプ601を提供することを示す図34及び35に示されるように、下側投与室壁は、アクチュエータを受け止める又は散布器と相互作用するための、隆起した環状境界壁631により境界を定められている。弁モジュールの下側半分体603は、概ね方形の外壁区分で形作られ、これが、一緒に取り付けを意図される散布器の他の部品との弁モジュールの正しい整列を確実にする手段をもたらす。使用可能な代替整列手段として、位置決め突起物と窪みが挙げられる。一つ以上のタイプの整列手段も、当然使用可能である。この実施形態の重要な特徴は、弁が上側半分体602と下側半分体603の間に挟まれていることであり、このようにして、コンパクトな弁モジュールの提供を可能にして、設計にかなりの柔軟性をもたらす。
【0078】
図に示される部品の参照キー
次のリストは、図及び前述の説明で使用された部品番号に対するキーを提供する。同じ部品番号が、本発明の異なる実施形態で参照されることがあり、実施形態の番号を表す数で始められる。従って、下記で「12」とされる「ポンプ入口ポート」番号は、第一の実施形態の部品として参照される時は112として現れるが、第六の実施形態の部品として参照される時は612として現れる。番号付けの一貫性のために、下一桁だけの数字は、実施形態番号が付け加えられる前に、数字の前にゼロを付けて2桁に延ばされる。従って、「弾力的アクチュエータ」(下一桁が5)は、第四の実施形態の部品として説明される時は、405として説明中に現れる。それぞれの実施形態において、全ての部品が、説明されているわけではなく、又は必ずしも使用されていない。
【0079】
1 ポンプ
2 上側ポンプ(及び、所望により散布器)半分体
3 下側ポンプ(及び、所望により散布器)半分体
4 結合要素
5 弾力的アクチュエータ
6 入口弁
7 出口弁
8 入口封止隆起部
9 出口封止隆起部
10a 下側入口ポート壁
10b 下側出口ポート壁
11 出口流れチャネル側壁
12 ポンプ入口ポート
13 ポンプ出口ポート
14 投与室
15a 上側入口ポート壁
15b 上側出口ポート壁
16 入口流れチャネル
17 出口流れチャネル
18 出口オリフィス
19 霧化器
20 貯槽
21 出口流れチャネル上側壁
22 下側投与室壁
23 入口位置決め突起物
24 出口位置決め突起物
25 コネクタ
26 貯槽ポート
29 上側ポンプ半分体封止隆起部
30 上側投与室壁
31 境界壁
40 弾力的アクチュエータで使用するための単安定ボタン
41 単安定ボタン位置決め突起物
50 散布器
55 キャップ
60 スリーブ
65 ショルダー
66 ノズル
80 充満ポートプラグ
81 充満ポート
85 アクチュエータ環状トラフ
86 アクチュエータフランジ
87 アクチュエータドーム
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】関連付けられたノズル及びコネクタと共に示される、本発明によるポンプの斜視図。
【図2】図1のポンプの下側半分体の斜視図。
【図3】図1のポンプの上側半分体の斜視図。
【図4】投与室に対する弁の関係を示す、図1のポンプの部分的な長手方向断面図。
【図5】図1のポンプの横断方向断面図。
【図6a】図1のポンプで使用されるフラップ弁の斜視図。
【図6b】代わりのフラップ弁の形状の斜視図。
【図7】出口オリフィスを示す、図1のポンプの下側半分体の部分的な斜視図。
【図8】上側及び下側ポンプ半分体の部品の線にて出口オリフィスが形成されることを示す、図1のポンプのノズルの部分的な端面図。
【図9】弾力的アクチュエータに付加される初期力を示す、図1のポンプの部分的な長手方向断面図。
【図10】弾力的アクチュエータの変形と流体が散布される時の出口弁の作動とを示す、図1のポンプの更なる断面図。
【図11】開始地点に戻っている弾力的アクチュエータと貯槽(図示せず)からの流体によるポンプの再呼び水とを示す、図1のポンプの更なる断面図。
【図12】本発明による散布器と共に使用するための霧化出口体の斜視図。
【図13】図12に示される霧化出口体の1つの半分体の斜視図。
【図14】散布器を形成する貯槽が組み込まれている、本発明によるポンプの第二の実施形態の斜視図。
【図15】その保護スリーブ無しで示される、図14の散布器の斜視図。
【図16】保護キャップ付きである、図14の散布器の斜視図。
【図17】本発明による散布器の第三の実施形態の斜視図。
【図18】図17の散布器の、ポンプを貫く断面図。
【図19】図17の散布器の下側半分体の斜視図。
【図20】図17の散布器の上側半分体の斜視図。
【図21】図17の散布器で使用するための弾力的アクチュエータを示す。
【図22】図21のアクチュエータに組み込まれる単安定要素の平面図。
【図23】単安定要素が組み込まれた図21のアクチュエータの構造及び使用を更に明瞭に示す、図17のポンプの更なる断面図。
【図24】本発明による散布器の第四の実施形態の断面図。
【図25】図24の散布器の単安定弾力的アクチュエータを貫く断面図。
【図26】単安定要素の特性を示す、力(F)対たわみ(D)の曲線。
【図27】本発明による散布器の第五の実施形態の断面図。
【図28】図27の散布器の上側半分体の上からの斜視図。
【図29】図27の散布器の上側半分体の下からの斜視図。
【図30】図27の散布器の下側半分体の上からの斜視図。
【図31】図27の散布器のアクチュエータストリップの斜視図。
【図32】ポンプ用の弁モジュールの斜視図。
【図33】図31の弁モジュールを貫く断面図。
【図34】上側ポンプ半分体に組み入れられた、図31の弁モジュールを示す断面図。
【図35】図31の弁モジュールを含んで組み立てられたポンプの断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体散布器用のポンプ(101、201、301)であって、
a)上側入口ポート壁(115a、515a)及び上側出口ポート壁(115b、515b)を含む上側ポンプ半分体(102、302)と、
b)前記上側ポンプ半分体(102)と係合し、下側入口ポート壁(110a、510a)及び下側出口ポート壁(110b、510b)を含む下側ポンプ半分体(103)であって、前記上側入口ポート壁(115a、515a)が前記下側入口ポート壁(110a、510a)と係合して、流体源から前記ポンプへの流体連通を可能にするポンプ入口ポート(112、512)を画定し、及び前記上側出口ポート壁(115b、515b)が前記下側出口ポート壁(110b、510b)と係合して、流体が前記ポンプから流出することを可能にするポンプ出口ポート(113、513)を画定する、下側ポンプ半分体(103)と、
c)前記上側ポンプ半分体に連結された弾力的アクチュエータ(105、205、305、405、505)と、
d)前記ポンプ入口ポートを通る流体の流れを制御するための、前記ポンプ入口ポート(112、512)に関連付けられた入口弁(106、506)と、
e)前記ポンプ出口ポートを通る流体の流れを制御するための、前記ポンプ出口ポート(113、513)に関連付けられた出口弁(107、507)と、
f)前記散布器から放出される前の単一投与分を入れるための、前記弾力的アクチュエータにより少なくとも部分的に境界を定められた投与室(114、314、414)と、
を備え、
前記弾力的アクチュエータの押下げが、前記ポンプ出口ポートを通して流体の前記投与分を散布することに有効であり、並びに前記上側及び下側ポンプ半分体が一体の成型品から形成され、及び少なくとも前記上側ポンプ半分体が半剛性の熱可塑性材料を含む、ポンプ。
【請求項2】
前記投与室(114,414)が、前記弾力的アクチュエータの動きを限定するように配置された下側投与室壁(122、522)により境界を定められ、これにより、計量された投与分が少なくとも部分的に画定される、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記下側ポンプ半分体(103)が、半剛性の熱可塑性材料を含む一体の成型品から形成される、請求項の1又は2のいずれかに記載のポンプ。
【請求項4】
前記入口及び出口弁の1つ以上が、5〜90のショアA硬度を有するエラストマー材から作製される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項5】
前記入口及び出口弁の1つ以上が、前記上側又は下側ポンプ半分体のいずれかと一体に成型される、請求項4に記載のポンプ。
【請求項6】
前記入口及び出口弁の1つ以上が、前記上側又は下側ポンプ半分体のいずれかと、前記半剛性の熱可塑性材料から一体に成型される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項7】
前記上側及び下側ポンプ半分体の少なくとも1つが熱成形される、請求項1に記載のポンプ。
【請求項8】
前記上側及び下側ポンプ半分体の少なくとも1つが圧縮成型される、請求項1に記載のポンプ。
【請求項9】
前記弾力的アクチュエータが、前記上側ポンプ半分体と一体に成型される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項10】
前記弾力的アクチュエータ(305)が単安定要素(340)を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項11】
前記ポンプが、可撓性の袋に取り付けるためのウエルドスパウト(125)と共成型される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項12】
前記半剛性の熱可塑性材料が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリスチレン類、及びこれらのブレンドから成る群から選択される、好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリエチレンテレフタレートから成る群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項13】
流体散布器用のポンプ(101)を作製する方法において、前記ポンプは、半剛性の熱可塑性材料を含む上側ポンプ半分体(102)と、下側ポンプ半分体(103)と、投与室(114)と、弾力的アクチュエータ(105)と、ポンプ入口ポート(112)と、ポンプ出口ポート(113)と、入口弁(106)と、出口弁(107)とを備え、前記方法が、
a)前記弾力的アクチュエータ(105)、上側入口ポート壁(115a)、及び上側出口ポート壁(115b)を含む一体の成型品に、前記上側ポンプ半分体(102)を形成する工程と、
b)下側入口ポート壁(110a)、下側出口ポート壁(110b)、及び下側投与室壁(122)を含む一体の成型品に、前記下側ポンプ半分体(103)を形成する工程と、
c)前記弾力的アクチュエータ(105)及び前記下側投与室壁(122)が前記投与室(114)の境界を定めるように、前記上側入口ポート壁(115a)が前記下側入口ポート壁(110a)と係合して、流体源から前記ポンプへの流体連通を可能にするポンプ入口ポート(112)を画定するように、並びに前記上側出口ポート壁(115b)が前記下側出口ポート壁(110b)と係合して、流体が前記ポンプから流出することを可能にするポンプ出口ポート(113)を画定するように、前記上側ポンプ半分体(102)を前記下側ポンプ半分体(103)の上に固定する工程、
とを含む方法。
【請求項14】
流体散布器用のポンプ(101)を作製する方法において、前記ポンプは、半剛性の熱可塑性材料を含む上側ポンプ半分体(102)と、下側ポンプ半分体(103)と、投与室(114)と、弾力的アクチュエータ(105)と、ポンプ入口ポート(112)と、ポンプ出口ポート(113)と、入口弁(106)と、出口弁(107)とを備えるものであって、前記方法が、
a)上側入口ポート壁(115a)及び上側出口ポート壁(115b)を含む一体の成型品に、前記上側ポンプ半分体(102)を形成する工程と、
b)下側入口ポート壁(110a)及び下側出口ポート壁(110b)を含む一体の成型品に、前記下側ポンプ半分体(103)を形成する工程と、
c)前記上側入口ポート壁(115a)が前記下側入口ポート壁(110a)と係合して、流体源から前記ポンプへの流体連通を可能にするポンプ入口ポート(112)を画定するように、並びに前記上側出口ポート壁(115b)が前記下側出口ポート壁(110b)と係合して、流体が前記ポンプから流出することを可能にするポンプ出口ポート(113)を画定するように、前記上側ポンプ半分体(102)を前記下側ポンプ半分体(103)の上に固定する工程と、
d)前記弾力的アクチュエータ(105)が前記投与室(114)の境界を定めるように、弾力的アクチュエータ(105)を前記上側ポンプ半分体(102)に取り付ける工程、
とを含む方法。
【請求項15】
前記上側ポンプ半分体(102)を前記下側ポンプ半分体(103)に固定する前に、前記入口弁(106)及び前記出口弁(107)を前記上側ポンプ半分体(2)又は前記下側ポンプ半分体(103)のいずれかに取り付ける工程を更に含み、前記入口及び出口弁がエラストマー材で作製されている、請求項13又は請求項14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記入口弁(106)及び前記出口弁(107)が、前記上側ポンプ半分体(2)又は前記下側ポンプ半分体(103)のいずれかと一体の成型品に形成される、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記上側及び下側ポンプ半分体が、射出成形により形成される、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記入口及び出口弁が射出成形により形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のポンプと、前記ポンプ入口ポート(112)に流体連通している流体貯槽(120)とを備え、それによって前記流体貯槽が前記流体源としての働きをする、散布器。
【請求項20】
前記流体貯槽が、前記上側及び下側ポンプ半分体とそれぞれ一体に成型された上側及び下側半分を含む、請求項19に記載の散布器。
【請求項21】
前記ポンプが前記流体貯槽の内部にある、請求項19又は請求項20のいずれかに記載の散布器。
【請求項22】
前記ポンプ出口ポート(113)に流体連通している霧化器(119)を更に含む、請求項19に記載の散布器。
【請求項23】
前記霧化ノズルが、前記ポンプの前記上側及び下側半分体とそれぞれ一体に成型された上側及び下側半分から形成される、請求項22に記載の散布器。
【請求項24】
前記流体を基材の上に広げるのに好適なアプリケータを更に備える、請求項19に記載の散布器。
【請求項25】
前記アプリケータが、ブラシヘッド、エラストマーの塗付けブレード、及び使い捨ての布地から選択される拡大手段を含む、請求項24に記載の散布器。
【請求項26】
流体が前記散布器を通ってそこから散布される出口端と、流体が前記貯槽を通ってそこから引き出される入口端とを有する貯槽流路を含み、前記流路が、前記入口端での長さを除く長さに沿って前記貯槽から隔離され、前記出口端から前記入口端までの長さの少なくとも90%の長さ、好ましくは前記散布器の長さの少なくとも95%の長さを有する、請求項21に記載の散布器。
【請求項27】
流体散布器用のポンプのための弁モジュールであって、
a)上側入口ポート壁、上側出口ポート壁、及び前記上側ポンプ半分体の上面と下面の間に流体連通をもたらす流れチャネル、を含む上側ポンプ半分体(602)と、
b)前記上側ポンプ半分体(602)と係合する、及び下側入口ポート壁、下側出口ポート壁、及び下側投与室壁(622)を含む下側ポンプ半分体(603)であって、前記上側入口ポート壁が前記下側入口ポート壁と係合して、流体源から前記ポンプへの流体連通を可能にするポンプ入口ポート(612)を画定し、及び前記上側出口ポート壁が前記下側出口ポート壁と係合して、流体が前記ポンプから流出することを可能にするポンプ出口ポート(613)を画定する、下側ポンプ半分体(603)と、
c)前記ポンプ入口ポート及び出口ポートをそれぞれ通る流体の流れを制御するための入口弁(606)及び出口弁(607)と、
を備え、
前記弁モジュールは、位置決め突起物、窪み、非円形外壁区分、及びこれらの組合せから選択される整列手段を含み、前記弁モジュールが固定された向きで散布器に受け入れられることを可能にする、弁モジュール。
【請求項28】
前記下側投与室壁(622)が、前記上側ポンプ半分体の前記上面により提供される、請求項27に記載の弁モジュール。
【請求項29】
前記下側投与室壁が、アクチュエータを受け止める又は散布器と相互作用するための隆起した境界壁(631)により境界を定められる、請求項28に記載の弁モジュール。
【請求項30】
前記入口及び出口弁が、前記上側ポンプ半分体の前記下面に取り付けられる、請求項27〜29のいずれか一項に記載の弁モジュール。
【請求項31】
前記入口及び出口弁が、前記上側ポンプ半分体の上面と下面との間に流体連通をもたらす前記流れチャネルの上流及び下流にそれぞれ配置される、請求項27〜30のいずれか一項に記載の弁モジュール。
【請求項32】
ポンプ散布器の中で使用するのが好適な弁配置であって、半剛性の上側及び下側壁を有する流れチャネルと、流体が流体供給源を通ってそこから前記配置へ入る流体入口と、前記流体が前記弁配置を通ってそこから出る流体出口とを含み、前記流れチャネルは更に、前記流れチャネルの内側に取り付けられた入口及び出口のエラストマーのフラップ弁を備えて、それぞれの弁は、前記上側流れチャネル壁に移動不能に固定された表面と前記下側流れチャネル壁に対して封止するように押し付けられたフラップとを有し、それによってそれぞれの弁は、前記弁の前記フラップの上流側の正の流体圧力差が前記フラップを持ち上げ、これにより流体が前記弁を流れて過ぎることを可能にするまで、前記流れチャネルに沿う流体の流れを阻止し、前記弁は、前記流れチャネルに沿って同一方向の流体の流れを可能にし、それによって、前記2つの弁の間の流れチャネルの区分内の流体圧力の上昇が、前記出口弁を開放及び前記入口弁を閉止のままとし、並びに前記2つの弁の間の流れチャネルの前記区分内の流体圧力の低下が、前記入口弁を開放及び前記出口弁を閉止のままとする、弁配置。
【請求項33】
前記流れチャネルは、前記下側流れチャネル壁上に形成された少なくとも1つの封止隆起部(108、109)を含み、これに対して前記弁の1つの前記弁フラップが押し付けられる、請求項32に記載の弁配置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公表番号】特表2008−500173(P2008−500173A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527547(P2007−527547)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/018071
【国際公開番号】WO2005/113158
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】