説明

流体貯留機構と流体選択機構が一体になったバイオセンサーカートリッジ及びバイオセンサー搭載システム

本発明の幾つかの実施形態は、環状化照射要素を有するエバネッセント感知測定器械に光学的、機械的、及び/又は流体的に連結されるバイオセンサーカートリッジを備えており、前記バイオセンサーカートリッジ及び測定器械は、限定するわけではないが、血液又は尿中の特定のタンパク質の存在の様な、水媒体内に存在し前記バイオセンサーカートリッジに結合した化学的又は生物学的に活性のある物質の存在を検出するのに用いられる。幾つかの実施形態は、流れチャネルと複数の貯留キャビティを有する一体型バイオセンサーカートリッジを備えており、カートリッジ内の流体の流れは、カートリッジを通過する複数の流体を方向決めするための弁調節機構によって制御され、その様な流体がカートリッジを通過する順序及び量は、外部から制御され、特定の化学的又は生物学的に活性のある物質の検出及び測定にとって必要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、限定するわけではないが、化学的又は生物学的試料の被分析物を含め、被分析物を測定するための装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2007年3月16日出願の米国仮特許出願第60/895,293号からの優先権を主張し、前記仮特許出願の内容全体を本出願に援用する。
【0003】
化学的及び生物学的試料を含め、試料中の関心のある被分析物を迅速に高感度で繰り返し可能に検出及び測定することには以前より関心が寄せられており、関心は益々高まっている。関心の出発点は多様であり、その中には、病原体、化学的及び生物学的プロセスで関心のある分子、医学的診断に関連のある分子、及び自国防衛目的で関心のある被分析物を迅速に選別したいという要望も含まれている。
【0004】
一般的に知られている1つの選別技法は、エバネッセント光ファイバーセンサー技法の使用を伴っている。その様な技法は、しばしば検定面上の関心のある被分析物を選択的に不動化する方法を伴っており、それには当該被分析物の蛍光分析又は他の手段による定性的及び/又は定量的測定が伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国仮特許出願第60/895,293号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当技術では様々なエバネッセント光ファイバーセンサー技法が知られているが、試料の管理及び処理におけるオペレータの時間、労力、又は誤りを低減し、更に、関心のある被分析物を、迅速に高感度で繰り返し可能に検出及び測定できるようにする器械、方法、及びシステムがなお必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態では、本発明は、環状化照射要素を備えたエバネッセント感知測定器械に光学的、機械的、及び/又は流体的に連結されるバイオセンサーカートリッジを備えており、バイオセンサーカートリッジ及び測定器械は、限定するわけではないが、血液又は尿中の特定のタンパク質の存在の様な、水媒体内に存在しバイオセンサーカートリッジに結合した化学的又は生物学的に活性のある物質の存在を検出するのに用いられる。こうして、幾つかの実施形態は、エバネッセント感知測定器械と共に使用される、化学的増感光ファイバー領域を含んでいて且つ測定器械の環状化照射要素に光学的に連結されている流れチャネルを有する、バイオセンサーカートリッジを備えている。別の実施形態では、流れ領域は、1つ又はそれ以上の流体を方向決めしカートリッジを通すための1つ又はそれ以上の弁調節機構を提供するバイオセンサーカートリッジ内に含まれていて、カートリッジを通過するその様な流体の順序及び量は、マイクロプロセッサによって制御され、特定の化学的又は生物学的に活性のある物質の検出及び/又は測定に使用される。
【0008】
本発明の幾つかの実施形態は、環状化照射システムを採用している光学的測定装置と共に使用される化学的増感光ファイバーが収納されていて、前記光学的測定装置と光学的、機械的、及び/又は流体的に連結するための改良された特徴が設けらたバイオセンサーカートリッジを備えている。本発明の幾つかの実施形態は、更に、限定するわけではないが、バイオセンサーカートリッジを用いて測定を行う際に使用される試薬又は試料を含め、流体用の複数の流体貯留キャビティを有するバイオセンサーカートリッジを備えている。他の実施形態は、その様な流体がバイオセンサーカートリッジで使われた後の廃液を保持するための廃液貯留キャビティを備えたバイオセンサーカートリッジ、及び/又は、流体の流れをユーザーが決めた順序で流体貯留液キャビティから送り出し、同キャビティの間で方向決めし、前記バイオセンサーの感知面を通過させ、廃液処理キャビティへ流入させるための複数の弁機構を組み入れたバイオセンサーカートリッジを備えている。
【0009】
本発明の幾つかの実施形態を備えたバイオセンサーカートリッジは、他にもあるが幾つかの点で従来のエバネッセント感知技術に比べ改善されたものになっている。第1に、新規なカートリッジ形状とカートリッジ搭載システムでは、カートリッジを測定計器に挿入すると、光ファイバーセンサーが、最小の損失で外部の環状化照射及び光学的検出システムと光学的、機械的、及び/又は流体的に自動的に整列及び連結され、同時にカートリッジ本体が流体制御サブシステムに流体連結されるようになっている。第2に、各ファイバーセンサー端部の保護シースのおかげで、バイオセンサーファイバーと、バイオセンサーカートリッジの近位端から突き出ている光ファイバーは、同近位端を、最小の信号損失で、外部の環状化照射及び光検出システムに、光学的及び/又は物理的に連結することができる。第3に、バイオセンサーカートリッジは、その端部それぞれの保護シースのおかげで、限定するわけではないが、糊付け又はモールド成形の様な各種方法を使って、追加のバイオセンサーカートリッジ設計内に密封することもできる。第4に、前記保護シースはバイオセンサーファイバーの両端にあるので、バイオセンサーファイバーを、バイオセンサー表面とチャネル壁の間にせいぜい50〜150μm程度の間隙しか無い極めて細いバイオセンサーカートリッジの流れチャネルの中心に、壁に接触することなく正確に位置付けることができる。更に、幾つかの実施形態では、バイオセンサーカートリッジは、廃液及び試薬貯留用の複数のチャンバと、外部からの制御の下で多種多様な異なる測定を行うための複数の弁調節手段と、を備えた一体型装置を提供している。
【0010】
当業者には、図面及び下の詳細な説明を検討した後は、本発明の他の態様が自明になるであろう。
【0011】
添付図面を参照しながら、本発明の特定の実施形態を単に一例として説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の幾つかの実施形態によるエバネッセント感知測定システムの特徴の上面概略図と側面概略図を示している。
【図2】エバネッセント感知測定システムが、試料の媒体内の光ファイバーに適した開口数(「NA」)又はそれに近い開口数の環状化励起ビームを実現できるようにするプロセスを示す上面図と側面図を示している。
【図3】本発明のバイオセンサーカートリッジの或る実施形態に後で連結される光ファイバー内での光ビームの環状化を表現している。
【図4】バイオセンサーカートリッジの或る実施形態を示している。
【図5】毛細管連結機構の正面断面図を示している。
【図6】幾つかの実施形態による、バイオセンサーカートリッジのエバネッセント感知測定器械への迅速な連結を行えるようにしたバイオセンサーカートリッジの図を示している。
【図7】幾つかの実施形態による流体コレットの断面を示している。
【図8】幾つかの実施形態による、バイオセンサーカートリッジの、他の態様のエバネッセント感知測定システムへの搭載及び連結部の断面を示している。
【図9】幾つかの実施形態によるバイオセンサーカートリッジの断面を示している。
【図10】幾つかの実施形態によるバイオセンサーカートリッジの光ファイバーの拡大図である。
【図11】使い捨て可能な試料ホルダー/試薬パックに取り付けたバイオセンサーカートリッジの分解図である。
【図12】エバネッセント感知測定器械に接続されている、バイオセンサーカートリッジと、取り付けられた使い捨て可能な試料ホルダー/試薬パックの分解図である。
【図13】幾つかの実施形態による、複数の流体貯留キャビティと、1つの流体弁調節機構と、を有する一体型バイオセンサーカートリッジを表している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
当業者には、以下の詳細な説明を検討した後は、本発明の他の態様が自明になるであろう。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態を下に説明するが、本発明は、ここに説明する実施形態のみに限定されるものではなく、他のどの様な実施形態をも否定するものではない。
【0015】
或る実施形態は、少なくとも部分的に流れチャネルの中に配置されている光ファイバーであって、光ファイバーの外面と流れチャネルの内面の間にチャンバが形成されている、光ファイバーと;光ファイバーを、環状化照射要素を有するエバネッセント感知測定器械に連結するように構成されている近位端連結領域と;流れチャネルの近位端に接合されている流体フェルールと;光ファイバーの遠位端と流れチャネルの遠位端の内面とに接合されている入口管と、を有するバイオセンサーカートリッジを備えている。光ファイバーは、保護シース内に配置されている低屈折率のクラッディングをそれぞれに備えている近位端支持領域及び遠位端支持領域と、近位端支持領域と遠位端支持領域の間に配置されていて、その様なクラッディングを備えていない化学的増感領域と、を有している。近位端支持領域は、少なくとも部分的に、流体フェルール内に配置されている。入口管は、光ファイバーを流れチャネル内の中心に置くように構成されており、入口管と流体フェルールは、1つ又はそれ以上の液体を、入口管、チャンバ、流体フェルールを通して吸い上げることができるように構成されている。
【0016】
別の実施形態は、中央の開放心部を取り囲む、流体を入れておくための複数のキャビティであって、それぞれが出口ポートを有している複数のキャビティから構成されている円筒形のカートリッジと、入口ポートと出口ポートを有するセレクター弁と、ここに説明されているバイオセンサーカートリッジと、を有するバイオセンサーカートリッジシステムを備えており、バイオセンサーカートリッジの遠位入口管は、概ね円筒形のカートリッジの中央開放心部内に挿入し、セレクター弁の出口ポートに接続するように構成されており、セレクター弁の入力ポートは、更に、その入力ポートを複数のキャビティの出口ポートの何れとも選択的に連通させることができるように構成されている。
【0017】
幾つかの実施形態は、エバネッセント感知測定器械の環状化照射要素に連結するように構成されている光ファイバーの化学的増感領域を含んでいる流れチャネルと、流れチャネルと選択的に流体連通する1つ又はそれ以上の弁調節機構と、前記弁調整機構の1つ又はそれ以上と選択的に流体連通する、流体を入れておくための複数のキャビティと、を備えた一体型バイオセンサーカートリッジを備えている。
【0018】
更に、別の実施形態は、試料の中の被分析物用のシステムであって、環状化照射要素を備えたエバネッセント感知測定器械とバイオセンサーカートリッジとを有しており、バイオセンサーカートリッジは、少なくとも部分的には流れチャネル内に配置されている光ファイバーであって、光ファイバーの外面と流れチャネルの内面の間にチャンバが形成されている、光ファイバーと、光ファイバーを、環状化照射要素を有するエバネッセント感知測定器械に連結するように構成されている近位端連結領域と、流れチャネルの近位端に接合されている第1流体ポートと、光ファイバーの遠位端と流れチャネルの遠位端の内面とに接合されている第2流体ポートと、から構成されており、光ファイバーは、保護シース内に配置されている低屈折率のクラッディングをそれぞれに備えている近位端支持領域及び遠位端支持領域と、近位端支持領域と遠位端支持領域の間に配置されていて、その様なクラッディングが設けられていない化学的増感領域と、を有している、システムを備えている。光ファイバーを流れチャネル内の中心に置くように構成されている近位端支持領域は、少なくとも部分的に第1流体ポートに隣接して配置されており、遠位端支持領域も、光ファイバーを流れチャネル内の中心に置くように構成されている。第1流体ポートと第2流体ポートは、液体を、第1流体ポート、チャンバ、及び第2流体ポートを通して吸い上げることができるように構成されており、1つ又はそれ以上の弁調節機構は、流れチャネルと選択的に流体連通し、流体を入れておくための複数のキャビティは、弁調節機構の1つ又はそれ以上と選択的に流体連通する。1つ又はそれ以上のと流れチャネルとの選択的連通、及び、流体を入れておくための複数のキャビティと前記弁調節機構の1つ又はそれ以上との選択的連通は、マイクロプロセッサにより制御されている。
【0019】
本発明の実施形態は、更に、バイオセンサーカートリッジと、バイオセンサーカートリッジの入口ポートに嵌める試料カップと試薬を組み合わせたパックと、を有する器械、方法、及びシステムを備えている。本発明の実施形態は、更に、使用されている試薬パック及びバイオセンサーを識別し、バイオセンサー入口ポートを通してどの流体を吸い上げるかを選択する、コンピュータ制御付き装置を備えている。幾つかの実施形態は、流体の流れ、タイミング、又は他の制御プロセスの内の1つ又はそれ以上を制御するのに、エバネッセント感知測定器械の制御プログラムによって読み取ることができ使用される識別及び/又は制御情報が印刷されるか又は別に埋め込まれるか又は取り付けられているバイオセンサーカートリッジを備えている。
【0020】
エバネッセントバイオセンサーの重要な特徴は、ファイバー内の全反射と関係付けられたエバネッセント場を利用することにより、測定区域を導波管の表面に限定したことである。これが機能するやり方は、以下の通りである。
【0021】
屈折率Nとn(N>n)の2つの光媒体の間の境界に角度θで入射する光を考察してみよう。sin(θcrit)=n/Nとして、光が、境界に、臨界角度θcritより大きいか又は等しい角度で入射した場合、光は全て表面から反射される。光は、境界を透過せず、屈折率の低い方の媒体に進入するが、電磁理論によれば、エバネッセント電磁場は、境界からの垂直方向の距離に伴って指数的に減衰することが示されている。角度θで入射する波長λの光の場合、この減衰の特性1/e深度は、式
【0022】
【数1】

【0023】
によって与えられる。
【0024】
この距離は、タンパク質及び生物学的に有意なヌクレオチドの寸法と比べて大きい。従って、波長λを持つ光は、プローブ表面近くに付着したタンパク質又はヌクレオチドに関係付けられる蛍光分子と相互に作用し合い、波長λの蛍光が生成される。導波管は、タンパク質又はヌクレオチドの大きさに比べ非常に大きいので、波長λで発光した蛍光の光の大部分は、光ファイバーセンサーと交差すると、全反射によって内部に閉じ込められ、最終的に、測定器械の制御ユニットの固体光検出器に搬送されて戻ってくる。
【0025】
エバネッセント感知計器の初期の設計は、中間の低損失ビーム整形手段を使用すること無く、集束レンズからファイバー感知要素の中へと伝わる自由空間伝播によって、センサーファイバーへの励起光の送達と、センサーファイバーからの蛍光の回収を実現した。例えば、米国特許第4,447,546号を参照されたい。
【0026】
しかしながら、入ってくる励起光を環状ビームに整形することは、米国特許出願第5,854,863号に記載されており、同出願では、臨界角度又はそれに近い角度での環状化光の入射が記載されている。これは、環状化手段を使用してバイオセンサーの中へ光を入射させ、バイオセンサーに入ってゆく光を、バイオセンサー表面に結合していてエバネッセント的に刺激される蛍光タグからの蛍光を最適に刺激できる臨界角度に集結させることによって、以前の装置より高い検出感度を提供している。
【0027】
それでもなお、エバネッセント光ファイバーセンサーを有する多くのカートリッジでは、光は、試料より高い屈折率を有する何れかの接点でファイバーセンサーから失われる。この問題に対処するためになされたこれまでの取り組みを幾つか説明してきたが、それらは不適切であることが証明されている。例えば、米国特許第4,447,546号は、支持ストッパを使って、ファイバーをシロキサンに触れないように所定位置に保持することと、ファイバーの両端を低屈折率のシリコンで被覆することを開示している。しかしながら、シリコンとシロキサンの屈折率は良くても1.367であるために、これは、問題を完全には解決しない。それに比べ、1.33の屈折率を有する水溶液中のファイバーでは、NAは約30.1°になる。よって、シロキサンでは、臨界角度が35.8°に近い光は、失われることになる。NAの不適合による光損失の問題に対処することに努めた別の方法が、米国特許第5,061,857号に開示されている。同特許では、ファイバーの有効NAを変換させることができるように、センサーファイバーは先細になっている。しかしながら、ファイバーは、適正な先細を実現するためにフッ化水素酸でエッチングされるので、製造可能性に関して問題が生じる。米国特許第4,671,938号は、ファイバーが支持体に接触する場所での光の損失を回避するための別の方法を開示している。同特許では、センサーファイバーは、その近位端ではなく遠位端が保持されるようにして、支持構造との接触の問題の回避を図っている。しかしながら、この方法では、センサーファイバーの近位端を、環状化ファイバーを入れた連結用毛細管に挿入することが妨げられるため、環状化光を臨界角度又はそれに近い角度で直接入射させることは達成できない。
【0028】
しかしながら、光損失に伴うその様な問題は、本発明者の内の数人に発行されている米国特許第5,854,863号と第6,251,688号による光学的測定器械及びバイオセンサー製作方法を使用することにより軽減される。それらの特許には、環状化手段を使用してバイオセンサーの中へ光を入射させ、バイオセンサーに入ってゆく光を、バイオセンサー表面に結合していてエバネッセント的に刺激を受ける蛍光タグからの蛍光を最適に刺激できる臨界角度に集結させることによって、以前の装置より高い検出感度を実現することが開示されている。それらには、更に、光ファイバーセンサーを、環状化ファイバーからの光を受け取るために所定位置に保持される間の光の損失を回避できるように搭載することのできる方法が記載されている。これは、搭載用シースがファイバーシリカ面に直接接しているファイバーバイオセンサーのポリマークラッディングを取り囲む層状の支持構造を使って、バイオセンサーを搭載することによりもたらされる光の損失をどのように最小限にするかを教示することによって、より高い測定感度を提供しており、この構造で、低屈折率クラッディングは、バイオセンサーが置かれる水媒体より小さいか又は等しい光屈折率を有している。その様な低屈折率クラッディング材料は、限定するわけではないが、例えば、テトラフルオロエチレンとビス−2,2−トリフルオロメチル−4.5−ジフルオロ−1,2−ジオキソールの非結晶質コポリマー、例えばTEFLON AF(登録商標)であってもよいし、前記材料で被覆されたシリカ光ファイバーを、限定するわけではないが、Polymicro Technologies, Inc., 18019 N, 25th Ave., Phoenix, AZ 85023の様な供給元から入手してもよい。この材料の屈折率は低いので、TeflonAF(登録商標)で被覆されたファイバーの開口数は、水媒体に浸された剥き出しのシリカファイバーの開口数とほぼ同じになる。
【0029】
その様な材料を使ってバイオセンサーを製造するには、先ず、保護シースを各バイオセンサーファイバーの近位側及び遠位側の両端部の、バイオセンサーが外部構造によって支持される位置に被せて収縮させる。Teflon AF(登録商標)クラッディングが保護シースの下に敷かれているので、バイオセンサーは、バイオセンサーファイバーに入ってくるか出てゆくか何れの光をも損失させること無く、保護シースに触れているそれらの外部構造によって保持することができる。その後、バイオセンサーファイバーの中間(遠位シースと近位シースの間)に在るTeflon AF(登録商標)クラッディングを、化学的に除去して、剥き出しのシリカ面を作成し、それを、その後、化学的に洗浄して感受性を高め、1つ又はそれ以上の化学成分又は生体分子を検出するためのバイオセンサー表面が出来上がる。
【0030】
しかしながら、米国特許第6,251,688号以前の説明されている幾つかの方法では、各センサーカートリッジを、バイオセンサーカートリッジが搭載されるx、y、zステージの様な調節機構によるか又は集束レンズを調節することによって、集束レンズからの光と手動で整列させることが必要になる。この要件は、訓練されていない作業者が計器を使用する場合には巧く馴染まない。米国特許第6,251,688号は、センサーファイバーの近位端と環状化ファイバーを、突合せ連結位置に案内する毛細管を提供しているが、この解決法を使っても生じる問題は、突合せ連結作動を繰り返すことで、環状化ファイバーの面に傷が付くことである。
【0031】
本発明の実施形態は、環状化ファイバーに掛かる応力を減らし、同ファイバーの寿命が延びるような方法を提供することによって、これらの問題の解決を図っている。更に、本発明の実施形態は、その様なバイオセンサーファイバーを、バイオセンサーカートリッジに組み込み、環状化照射要素を有する光学測定装置への光学的、機械的、及び/又は流体的連結のための新規な改良された方法を提供することによって、バイオセンサーファイバーが実際に使い易くなるようにしている。幾つかの実施形態は、更に、バイオセンサーカートリッジの中に引き入れるか又は挿入される試料中の化学的及び生物学的化合物の検出及び/又は測定に、バイオセンサーファイバーを使用できるようにするため、複数のキャビティ、流体チャネル、及び弁調節機構を提供している。
【0032】
この様に、幾つかの実施形態では、限定するわけではないが、本発明は、関心のある1つ又はそれ以上の被分析物を測定するための器械、方法、及びシステムを備えている。その様な実施形態の内の幾つかでは、新規で且つ改良されたバイオセンサーカートリッジ及びバイオセンサーカートリッジ搭載システムが提供されており、バイオセンサーカートリッジの中に収納されたエバネッセントセンサーを使って測定を行う、光学器械の一部として使用できる試薬貯留と流体選択を一体化した性能が備わっている。
【0033】
図1に示している様に、幾つかの実施形態によれば、限定するわけではないが、レーザーダイオードの様な光源(21)からの光は、限定するわけではないが、前記光源から伝播する光を衝突させるように設置されている回折格子の様な分散要素(20)に向かわされる。例えば、この分散要素は、リトロー型に近い構成の回折格子であってもよい。光は、分散要素から出ると、光の各構成波長成分が波長の関数として角度的に分散するように伝搬する。分散要素は、(単数又は複数の)望ましくない波長帯を(単数又は複数の)望ましい波長帯から角度的に切り離し、全ての波長を、反射鏡の様な手段(22)に向かわせ、角度的に分散された光が、(単数又は複数の)望ましくない波長帯(25)を(単数又は複数の)望ましい波長帯(24)から空間的に切り離すに十分な長さを有する経路に沿って導かれるようにする。ブロック要素(23)は、望ましくない波長帯(25)だけを遮断する。選択された波長帯(24)は引き続き伝播する。この配置は、励起源によって生成された光と、溶液成分が増感光ファイバーに結合することによって生じる蛍光から生成された光を、より完全に分離させる。結果として、この設計では、センサー(9)から反射され、フィルタ(26)を通り、光検出器(27)により検出されるという、レーザー側帯波の伝播によって生じる背景読み取りが少なくなる。
【0034】
(単数又は複数の)選択された波長帯(24)は、ビームスプリッタ、プリズム、又は部分反射性ミラーの様な手段(28)によって方向決めされ、合焦手段(29)を軸外通過して、細いビームとして、環状化光ファイバー(17)の入力面に、軸外と光軸に対して或る特定の入射角度の両方で進入し、ビームは先ず実質的に環状化光ファイバー(17)内に閉じ込められるやり方で現実のスキューモードとして伝搬されることになる。従って、光は、狭い環状帯へと均一に送られてゆき、環状化光ファイバー(17)内を特定の角度で伝播し、その後、第1環状化ファイバー区間を離れ、バイオセンサーカートリッジ(9)内に含まれている第2ファイバー区間(7)へ入る。このファイバー区間の少なくとも一部は、特定の薬品の存在下でのみ(単数又は複数の)検査及び試薬溶液と実質的に反応するように感受性を高められている。合焦手段は、環状化ファイバー(17)の開口数と一致するほどに高い開口数を保有していなくてはならない。
【0035】
励起光は、バイオセンサーカートリッジ(9)を、臨界角度又はそれに近い角度で通過し、エバネッセント場を作り出し、これによりバイオセンサーファイバーの表面に結合している蛍光分子が励起される。バイオセンサーファイバー面に結合している分子からの蛍光がエバネッセント的に放出され、バイオセンサーファイバーの閉じ込め型伝播モードに戻され、連結用毛細管(15)、環状化ファイバー(17)、そして合焦手段(29)を通って戻ってゆく。励起波長又はそれに近い波長の光は、帯域阻止フィルタ(26)によって遮られ、一方、前記バイオセンサーファイバーの表面に結合している分子の蛍光に対応する波長の光は、帯域阻止フィルタ(26)を通過し、手段(30)によって合焦され、光検出器(27)に入る。
【0036】
環状化ファイバー(17)は、光がセンサーの臨界角度又はそれに近い角度の環状リングの形でファイバーセンサーに提供されるように、励起光を整形する方法及び要素を提供している。バイオセンサーカートリッジ(9)のファイバーアッセンブリ(7)は、連結用毛細管(15)を使用することにより、環状化ファイバー(17)に突合せ連結される。通常、環状化ファイバーは、バイオセンサーファイバーを製作するのに使用されるファイバーとほぼ同じ直径と開口数であり、例えば、環状化ファイバー(17)は、過フルオロ(2,2−ジメチル−1,3ジオキシオル)とテトラフルオロエチレン(例えば、Teflon AF(登録商標))の非結晶質コポリマーで被覆された400μm溶融シリカマルチモードファイバーであってもよい。先行技術では、この連結用毛細管は、位置が固定されていて、突合せ連結動作の緩衝機能は何ら提供していない。本発明は、連結用毛細管を浮動させ、連結動作を緩衝し、これにより環状化ファイバーへの損傷を低減させる搭載方式を提供している。
【0037】
図2は、所望の角分布の環状の励起ビームを作成するやり方を示している。光軸(34)は、入射レンズシステム(29)とレンズシステムの焦点付近に近位端を有する光ファイバー(17)の位置によって確立される。光ビーム(24)は、前記光ファイバーとは反対側の、システムの投光アパーチャ(36)と交差するように伝播する。幾つかの実施形態では、光ビーム(24)は、光軸(34)に実質的に垂直及び斜めの角度で伝播する。光軸に実質的に垂直である方向変更軸(35)が定められており、その周りには、方向変更要素(28)を回転させてもよい。ここでは、方向変更軸は、光軸と交差している。方向変更要素(28)は、光ビーム(24)を遮って光軸に実質的に平行な或る角度で方向変更させるように配置されている。方向変更要素(28)を、同要素が、光ビームをちょうど遮ることができる量だけ投光アパーチャの中へ突き出るように、方向変更軸(35)に沿って並進移動させ、搭載及び操作器械(33)の全てが投光アパーチャの外部になるようにしてもよい。光ビームは、方向変更要素の同時発生的並進運動による遮断を維持しながら、外部手段によって、方向変更軸に垂直に並進移動させ、方向変更後のビーム(32)の光軸に対する垂直距離の変化に影響を与えることで、光ファイバーへの入射角度が影響を受けるようにしてもよい。方向変更要素の実施形態には、限定するわけではないが、ミラー、プリズム、ホログラフィック光学素子(「HOE」)、又はビームを同光ビームの横断角度から光軸に対して適切な平行角度に方向変更させるあらゆる他の要素又は方法が含まれる。
【0038】
図3は、ファイバー(17)に角度θで進入する際の光束の配列の一例である。光束の平行な光線は、焦点距離fの光学要素によって合焦されてから、直径dの光ファイバーの断面に入る。これが行われると、ビームは、高位軸外斜方光線としてファイバーを通って伝搬するように仕向けられ、こうして、ファイバーの出力端で半円錐角θの細い環状の円錐に変換される。広がってゆく円錐に垂直な何れの面内でも、光放射は、環状リングに集光され、その厚さは、集束レンズにより引き起こされる(即ち、その開口数(「NA」)、f/#、又は照射レンズの円錐角によって決まる)入力角度の初期スプレッドと、光ファイバーの断面の前面を通過する合焦ビームによって照射されるファイバー内部の面積とによって決まる。例えば、他の分散プロセスが無ければ、投射ビームの直径と照射対物レンズのNAは小さくなってしまう(例えば、NA<0.05)ので、環の厚さ又は出現する円錐は、徐々に細くなり、結果として、センサーに入射してセンサー内を伝播する光線の角分布は細くなってゆき所望の臨界角度付近で先が尖る。他方、照射対物レンズのNAが大きくなる(例えば、NA=0.3)か、又は入射ビームの直径が大きくなるほど、環は厚くなってゆき、環状化装置から出現する光線角度で所望の臨界角度に近いものがより少なくなるので、エバネッセントファイバーセンサーの感度は低下する。
【0039】
初期のバイオセンサーカートリッジ設計の特徴を説明するため、図4は、環状励起ビームを受け取り、当該ビームを高効率で伝播させて、ビームの長さに沿ってエバネッセント場を作り出し、ファイバーアッセンブリ(7)の表面に結合している分子の蛍光を励起し、エバネッセント的に発光した前記蛍光を受け取ってファイバーアッセンブリ(7)に戻し、前記蛍光を伝播させて環状化ファイバー(図1の17)に戻すように設計されているバイオセンサーカートリッジ(9)を示している。
【0040】
流体フェルール(8)は、それ自身は毛細管寸法の円筒管(9)内に在る光ファイバーアッセンブリ(7)の各端部位置に配置されており、ファイバーアッセンブリ(7)が検査される試料で取り囲まれるようにしている。光ファイバーアッセンブリ(7)が流体フェルール(8)を通過できるようにしている穴は、限定するわけではないが5Minute(登録商標)エポキシの様な、当業者には既知である、試料の漏れを防止するのに適した方法によってシールされる。毛細管寸法の円筒管(9)は、限定するわけではないが、試料の漏れを防止する様式の捕捉されたOリング(5)の様な、当業者には既知の方法で、流体フェルール(8)内に着座している。光ファイバーアッセンブリ(7)と円筒管(9)の整列は、光ファイバーアッセンブリ(7)が円筒管(9)に接触しないように、長手方向軸に沿って、互いに対して十分に中心が合っていなくてはならない。穴(4)は、試料が円筒管(9)を出入りできるようにしている。
【0041】
光ファイバーアッセンブリ(7)を、図4の右側に拡大断面で示している。光ファイバー(7)の中心には光ファイバー(1)があり、同ファイバーは、クラッディングが剥ぎ落され、その表面に疎水性領域網を持てるように処理され、特定の種類の分子が結合するように化学的に増感されている。試料溶液より低い屈折率を有する被覆(2)が、ファイバー(1)の両端の長手方向面に施され、他の成分との接触が起こる領域では、光をファイバー(1)内に拘束するようになっている。保護シース(3)は、光ファイバー(1)の少なくとも一部に配置されており、シース(3)は、限定するわけではないが、ポリイミド管材の様な、被覆(2)の周りに嵌めて被覆(2)の機械的剥離を防止する材料で作られている。
【0042】
図5は、連結用毛細管(15)を設けることによって、バイオセンサーカートリッジ内の光ファイバーアッセンブリ(7)を光学的な励起手段に連結する、これまでの連結手段を示している。連結用毛細管(15)は、環状化ファイバー(17)をバイオセンサーカートリッジ(9)の光ファイバーアッセンブリ(7)に突合せ連結させる機構を提供している。連結点の光損失を最小にするためには、光ファイバー(1)の被覆(2)は、環状化ファイバー(17)のクラッディングの屈折率と本質的に等価の屈折率を有するべきである。光ファイバーアッセンブリ(7)と環状化ファイバー(17)は、入口穴の面取りのおかげで、連結用毛細管(15)に容易に進入する。連結器の内孔の直径は、両ファイバーが、全方向に閉じ込められて、突合せ連結で精密に合わされるような直径である。連結用毛細管(15)の材料は、被覆(2)が、連結用毛細管(15)内に配置される際に光ファイバーアッセンブリ(7)から剥ぎ取られないように、事実上非研磨性である。
【0043】
図4及び図5に示しているバイオセンサーカートリッジと連結用毛細管は、幾つかの欠点を有している。図4のバイオセンサーカートリッジは、精度よく製造するのが難いことが証明されている。第1に、各流体フェルール(8)側に設置されている流体ポート(4)を、これまでに説明した米国特許第6,251,688号のセンサー搭載装置側に設置されている流体移送コネクタと整列させるのは難しいので、液体をバイオセンサーカートリッジに出し入れするのに必要な流体移送システムに接続することは、極めて難しい。第2に、流体フェルール(8)を毛細管に取り付けるためのOリングの使用により、製造コストが増大し、また、フェルールを軸方向に毛細管と中心合わせすること、又はバイオセンサーファイバーを十分な精度で毛細管内の中心に置くことができなくなる。第3に、バイオセンサーファイバーの近位面(1)を環状化ファイバー(17)の面と合わす際に、どの様な緩衝手段も無しに直接手動で突合せ連結すると、環状化ファイバー(17)面が傷つく場合が多い。第4に、フェルールは、シースの無い脆いガラス毛細管(9)に搭載されていたため、その様なバイオセンサーカートリッジを生物学的試料と共に使うと、試料と接触することになり、望ましくない。最後に、米国特許第6,251,688号に教示されているバイオセンサーカートリッジ設計は、測定を行うのに必要な試薬の機載貯留部又は廃液の機載処理部を提供していない。
【0044】
これらの欠点は、本発明の実施形態により解決される。図6に示している様に、幾つかの実施形態では、増感光ファイバー区間(1)がカートリッジ本体(38)内に組み込まれたバイオセンサーカートリッジ(9)が提供されており、同カートリッジ本体は、流体が、入口管(39)に吸い込まれ、光ファイバー1の増感領域を通過し、出口ポート4を通り抜けて、最終的に廃液受口(図6に図示せず)に入ることができるように設計されている。保護シース(3)は、中央の化学的増感領域を有する光ファイバー(1)の外側表面の少なくとも一部の近位端と遠位端に配置されている。光ファイバーは、各端部の部分を介して、一例として、略円筒形の流体フェルール(37)と流体入口(39)内に搭載されており、それらは、光ファイバー(1)を、流れ管(59)内の流れ領域内の厳密に中心となる位置に保持している。近位側保護シース(3)は、ファイバー(1)の近位端が、エバネッセントセンサー測定器械の環状化照射システム(17)と光学的に連結されるように配置されている。遠位保護シース(3)は、バイオセンサーファイバー(1)の遠位面の長さを越えており、超えている量は、光が、バイオセンサーファイバー(1)から、測定中の水溶液の中へ流出して蛍光を刺激するのを防止するのに、又は水溶液が、得られた張り出しによって作り出されるこの密閉したキャビティに進入しバイオセンサーファイバー(1)の遠位面に衝突するのを防止するのに十分な量である。通常、1〜3ミリメートルの張り出しでこの目的には十分であるが、必要に応じて他の寸法を使用してもよい。バイオセンサーファイバーの遠位端が、測定される外側の水溶液と光学的又は物理的に連通しないという、より確実な保証が求められる場合は、限定するわけではないが、ブラックグルーの様な遮光性物質を少量、遠位シースの張り出し部の端の穴に詰めてもよい。
【0045】
限定するわけではないが、糊を使用するやり方、収縮管をガラス毛細管(9)と流体入口管(39)の両方に被さるよう収縮させて設置するやり方、又は、入口管(39)を流れ管(59)内の中心に置くための、当業者には既知の他の手段を含め、各方法によって、流体入口管(39)はガラス毛細管の流れ管(59)の遠位端に固定される。遠位シース(3)を流体入口(39)内にあるセンサーファイバー(1)の全領域を取り囲むように配置することによって、バイオセンサーファイバー面の流体入口(39)の内壁に対する接触が緩和されるよう配慮されている。更に、流体入口(39)の内径をID、バイオセンサーファイバーの遠位端を覆っているシースの外径をODとすると、(ID−OD)/2は、流れ管(59)内のバイオセンサーの最大許容変位量より小さいのが望ましい。
【0046】
限定するわけではないが、生物学的試料を含め、バイオセンサーカートリッジと共に使用される試料の閉じ込めを強化するために、ガラス毛細管の流れ管(59)は、外側シース(38)内に配置されている。幾つかの実施形態では、外側シース(38)は、ガラス毛細管の流れ管(59)の周りに熱収縮管を収縮させることにより形成されたシースを備えていてもよい。バイオセンサーカートリッジをバイオセンサーカートリッジ搭載システムに挿入することもできるように、このシース(38)は、近位流体フェルール(37)とほぼ同じ直径であるのが望ましい。
【0047】
流体フェルール(37)は、望ましいことに、流れ管(59)の周りに密に装着され、これに対してシールを提供している。幾つかの実施形態では、流体フェルール(37)は、流れ管の内部と流体連通している流体ポート(4)から構成されている。図7に示している様に、幾つかの実施形態では、流体ポート(4)は、2つの外部Oリング(40)を備えた流体コレット(39)が、流体フェルール(37)の流体ポート(4)を密閉し、流れ管(59)と流体コレットの流体ポート(41)の間に漏出無しに流体を通すことのできる領域が、流体ポート(4)の近位側と遠位側にできるように、流体フェルール(37)上に配置されている。また、幾つかの実施形態では、流体部分(14)は、エバネッセント感知測定システムの流体制御システムの一部であるか、又はそれに接続されている。
【0048】
バイオセンサーカートリッジの実施形態の光ファイバー1は、適していればどの様な外径でもよいが、外径が約400μmODのシリカファイバーが好適である。同様に、バイオセンサーカートリッジの外形寸法は、適していればどの様な寸法でもよい。限定するわけではないが、単に一例として、バイオセンサーカートリッジの1つの実施形態は、長さ約120mmで遠位端に入口管がある。流体出口を備えた近位側流体フェルールは、単に一例として、アルミニウムから機械加工して、陽極酸化処理してもよいし、何らかの適した材料からモールド成形してもよい。バイオセンサーカートリッジは、IDが1.2mmのガラス毛細管と、3M FP301収縮管の外側プラスチックシースを使用してもよい。限定するわけではないが、例えば、バイオセンサーカートリッジの別の実施形態は、長さ約65mmで、両端に流体フェルールが設けられている。近位側流体フェルール(流体出口)は、アルミニウムから機械加工して陽極酸化処理してもよいし、又は、何らかの適した材料からモールド成形してもよい。この実施形態は、IDが0.7mmのガラス毛細管と、3M FP301収縮管の外側シースを有している。ファイバーの両端の保護シースは、ポリイミドで作られていてもよいし、ポリオレフィンの様な何らかの収縮可能ポリマー管であってもよいし、又は、現場で、重合法によって形成してもよい。
【0049】
先行技術の設計は、流体の漏れ、製造の難しさ、オペレーターが、バイオセンサーカートリッジを正しく搭載し、カートリッジを、固定位置に設置されている外部の連結器装置と合わせることができないこと、及び、頻繁に損なわれる環状化装置、に悩まされていた。例えば、以前の設計では、連結用毛細管は、搭載部本体内の所定の位置(x、y、及びz)に固定されていたし、センサーファイバーは、ファイバーの近位端から突き出ている、より細長い区間を有していた。連結用毛細管の円錐形の穴の目的は、センサーファイバーを、通常は湾曲させることによって、環状化装置と合わせることができる穴の中まで持って来ることであった。カートリッジは、機械的キャリッジに置かれることになっていて、キャリッジ上のファイバーの軸は、ファイバーを正常に働かせるには、機械的に連結器と整列していなければならなかった。センサーファイバーが収納された機械的ステージを、環状化装置が収納された連結用毛細管と接触させるには細心の注意が求められたし、同様に、環状化装置は、しばしば、センサーカートリッジが所定位置に固定された後でしか毛細管に挿入できなかった。機械キャリッジを手で滑らせて所定位置に入れることで、環状化ファイバーの面が損なわれることも頻繁にあり、時間が経過しても25ミクロンの整列公差を維持することは、実現が困難であった。カートリッジの小さい流体ポートを外部流動システム(小管とOリングから成る)に連結することも、オペレーター集約的であり、時間が掛かり、しばしば精度に欠けた。
【0050】
本発明の実施形態は、以前の設計に関するこれらの問題点に取り組んでいる。幾つかの実施形態では、限定するわけではないが、シース付のバイオセンサーカートリッジ(9)は、直径が約2.1mmであり、突き出ているシース付のセンサーファイバー(1)を除いた長さは103mmである。図8に説明している様に、このバイオセンサーカートリッジ(9)は、直径が約2.2mmのバイオセンサークランプ(45)の中央穴を通して、バイオセンサー搭載システムの本体(46)に挿入される。
【0051】
幾つかの実施形態は、バイオセンサーファイバー1を、エバネッセントセンサー測定システムの環状化装置要素に接合するためのバイオセンサー搭載システムを備えている。図8の実施形態に示している様に、限定するわけではないが、バイオセンサー搭載システムは、搭載部本体(46)、連結用毛細管(43)、流体コレット(42)、及びクランプ(45)から構成されている。搭載部本体は、取り外し可能なキャップ(47)と、変化する直径の中央内腔を有している。環状化ファイバー(17)は、キャップ(47)の開口部とばね(44)を通して挿入される。環状化ファイバー(17)は、適した手段によって連結用毛細管(43)に接合される。単なる一例であるが、環状化ファイバー(17)の端部は、少なくとも部分的にはステンレス鋼シース(図示せず)内に配置されており、同シースは、プラスチック製収縮管によって環状化ファイバー(17)の端部に接合され、所定の位置に保持される。その様に挿入された状態で、環状化ファイバー(17)は、ばね(44)を通して連結用毛細管(43)のチャネル(図示せず)に挿入され、適した方法、例えば、係止ねじを環状化ファイバー(17)の端部の鋼シースに押し当てて固定することによって、所定の位置に係止される。
【0052】
この時点で環状化ファイバー(17)に接合されている連結用毛細管(43)は、搭載部本体(46)の内腔のチャンバに挿入され、取り外し可能なキャップ(47)が、一例として、取り外し可能なボルトによって搭載部本体(46)に接合される。幾つかの実施形態では、連結用毛細管(43)と搭載部本体(46)のチャンバの間の側面公差は約1mmであり、連結用毛細管(43)は、連結用毛細管(43)の段状の面から更に搭載部本体(46)の中央内腔の中へと延びているニップル(48)を有している。
【0053】
ここで説明している流体コレット(42)は、流体コレット(42)が中央内腔内で段部(49a)によって止められるまで、搭載部本体(46)の中央内腔の他端の中へ挿入される。幾つかの実施形態では、搭載部本体(46)は、その端部から延びている外側スリット(図示せず)を有しており、そのスリットを通して、流体ポート(41)を備えた流体コレット(42)が挿入される。流体コレット(42)が挿通された搭載部本体(46)の端部は、例えば、クランプ(45)を搭載部本体(46)に対して異なる位置に調整することのできる対応するねじ部(50)によって、中央内腔を有するクランプ(45)と作動可能に接合するように構成されている。次に、バイオセンサー搭載システムは、単に一例として図12に示している様に、作動中にクランプ機構(92)によって所定の位置に固定的に保持される様な適した方法で、エバネッセントセンサー測定システムに取り外し可能に取り付けられている。
【0054】
限定するわけではないが、本発明の実施形態によるバイオセンサーカートリッジ(9)の搭載法の一例として、光ファイバー(7)と流体フェルール(37)を備えたバイオセンサーカートリッジ(9)の近位端は、クランプ(45)の中央内腔と流体コレット(37)を通して、最終的に、流体フェルール(37)が、内腔の直径を流体フェルール(37)の直径に比べて小さくすることで作り出されている搭載部本体(46)の中央内腔内の段部(49b)に接触するまで、挿入される。バイオセンサーカートリッジ(9)が挿入されると、光ファイバー(1)の近位面は、搭載部本体(46)の中を進んで、連結用毛細管(43)の内腔に進入し、最終的に、環状化ファイバー(17)の対応する面に接触する。この操作段階では、連結用毛細管(43)は搭載部本体(46)のチャンバ内で浮動しているので、光ファイバー(1)の近位端面と環状化ファイバー(17)との接触は、連結用毛細管(43)を変位させ、而して、環状化ファイバー(17)を傷つけることになりかねないエネルギーを吸収する。クランプ(45)は、適した方法でクランプ(45)を回転させることによって、搭載部本体(46)に作動可能に締め付けられる。クランプ(45)を内向きに回すと、中央内腔内のクランプ(45)の伸張部(45b)は、力を加えて流体コレット(37)のOリング(40)を圧縮し、流体フェルール(37)と流体コレット(42)の間に漏出の無いシールを作り出すと共に、バイオセンサーカートリッジ(9)を所定の位置に係止する。更に、クランプ(45)が締め付けられると、ばね(44)は、キャップ(47)と連結用毛細管(43)の対応する各表面に接触し、調整追従力を然るべく加えて、光ファイバー(1)と環状化ファイバー(17)を連結する。
【0055】
カートリッジ搭載装置(46)の全体的外形寸法と材料は決定的ではない。それぞれの例として、限定するわけではないが、幾つかの実施形態では、カートリッジ取り付け用装置は、限定するわけではないが、Delrin(登録商標)の様な材料から、又は必要な寸法公差を保持することのできるものであればどの様な他の適切な材料からでも、機械加工又はモールド成形することができる。同様に、搭載部本体(46)の外径は約25.3mmであり、その全長は約86mmである。搭載部本体(46)内に挿入することのできる流体コレット(42)は、限定するわけではないが、アルミニウムの様な材料から製作してもよい。
【0056】
幾つかの実施形態のOリング(40)は、流体シール手段兼クランプ手段として働く。バイオセンサーカートリッジ(9)が挿入された後、クランプ(45)が締め付けられると、流体コレット(42)の上下両方の側でOリング(40)が圧縮され、バイオセンサー搭載システムの本体(46)内にセンサーカートリッジがしっかりと係止され、流体がバイオセンサーカートリッジを通過するための漏出の無い流体経路が提供される。
【0057】
搭載部本体(46)の上半分には、円筒形チャンバが入っており、その内部を連結用毛細管(43)は滑動し、ユーザー指定の公差、限定するわけではなく単に一例としてだが、約1mmだけ、横方向に動くことができる。センサー連結器は質量が小さく、光ファイバーの面が環状化ファイバーの面と接触する際の初期連結衝撃は十分に小さくなるので、ガラスの光学面に傷を付けることはない、ということが保証される。幾つかの実施形態では、限定するわけではないが、連結器(43)は、約1.6グラムの質量を有しているが、この量は、初期連結接触衝撃が何れの光ファイバーの面も傷つけない限り、それより多くても少なくてもよい。幾つかの実施形態では、光ファイバー(1)が連結器(43)に係合すると、連結器(43)は、ばね機構(44)に係合し、これにより、光ファイバー(1)と環状化ファイバー(17)の間の連結力が次第に大きくなり、クランプ(45)を締めつけることによってセンサーカートリッジを所定の位置に係止すると、光ファイバ(1)面が光学的に密に接触した状態に維持される。
【0058】
ここに説明している連結機構は、光ファイバー面をセンサー連結器に係合させる場合を示しているが、幾つかの実施形態では、先ず、光ファイバー(1)を連結器(43)に接触させること無く、バイオセンサーカートリッジ(9)をカートリッジ搭載装置内に完全に係合させ、その後、限定するわけではないが、ダッシュポットの様な機械制御型の係合手段を使って、質量の小さいセンサー連結器(43)を、突き出ている光学センサーファイバー(1)上にゆっくり降ろし、それと係合させることもできる。
【0059】
幾つかの実施形態では、限定するわけではないが、直径が約2.1mmのバイオセンサーカートリッジでは、バイオセンサークランプ(45)と流体コレット(42)の中央穴の内径は、バイオセンサーカートリッジの直径より約0.1mm大きい直径2.2mmである。バイオセンサークランプ(45)の入口から流体コレット(42)を通り抜けるまでの内孔内部の長さのせいで、センサーファイバーの軸方向位置は、センサー連結器(43)の入力穴の約0.1mm内に機械的に拘束される。
【0060】
従って、幾つかの実施形態では、連結用毛細管はx、y、及びz軸方向に「浮動」し、自身を、挿入されているセンサーファイバーに軸方向に機械的に追従させる。搭載部本体内には、近位面に残留流体を拾い上げること無く、バイオセンサーカートリッジセンサーファイバーを流体連結器に挿通させられるように、長い挿入内孔が設けられている。幾つかの実施形態では、長い挿入内孔は、ファイバーが連結用毛細管に進入する際に、約1mmよりも高い精度で巧みにファイバーを中心合わせする。このため、本発明の幾つかの実施形態では、近位端から突き出ているファイバー領域が短い、バイオセンサーカートリッジを備えることができる。
【0061】
更に、連結用毛細管は、x、y、及びz軸方向に「浮動している」ので、環状化装置要素を備えたセンサーファイバーの近位面を中心に、20ミクロン以内の精度で自動的に中心が合う。同様に、質量の小さい連結用毛細管の浮動による「浮動式」収納は、挿入時に、毛細管がセンサーファイバーに接触することによる環状化ファイバーの損傷を低減し、即ち、ばねが係合し、接点に一定の力を加えるのは、ファイバーが連結用毛細管に係合した後である。環状化装置は、質量の小さい連結器内に着座しており、バイオセンサーカートリッジが挿入されると、センサーファイバーは、環状化装置に更に静かに接触し、環状化装置を僅かに動かしてばねに係合させ、追加の調整接触力を加える。従って、所望の光学的連結が実現されることで、漏出の無い流体連結も起こり、センサークランプを係止することにより、バイオセンサーカートリッジは、物理的及び作動的に所定の場所に係止される。その結果、本発明の実施形態では、オペレーターが環状化装置を連結器に出し入れする必要が無く、それにより、環状化器のクラッディングは、頻繁な挿入/取り出しによる破壊から護られる。
【0062】
図8に示している様に、幾つかの実施形態によれば、バイオセンサーカートリッジ(9)は、管状バイオセンサーカートリッジを、測定計器と関係付けられたバイオセンサークランプ(45)の底部の穴に挿通することにより、光学測定器械に迅速に取り付けられる。幾つかの実施形態では、バイオセンサーの流体フェルール(37)と外側シース(38)の直径はほぼ同じになっており、流体フェルール(37)が、搭載部の内孔の中へ挿入されていくと、最終的にその流体ポート(4)が流体コレット(41)内に収まる。この時点で、バイオセンサークランプ(45)は、本体(46)にねじ込まれ、流体コレット(41)のOリング(40)を圧縮し、バイオセンサーカートリッジを搭載部の中へしっかりと係止することができる。これは、限定するわけではなく単に一例として、バイオセンサークランプの側面から伸張するレバー(図示せず)を用いれば、やり易くすることもできる。
【0063】
バイオセンサーカートリッジは、バイオセンサークランプ(45)の底面の穴を通して挿入され、ファイバーカートリッジの直径に近い直径を有する、本体(46)内の円筒形内孔の中へと挿入される。幾何学的形状の配慮により、光ファイバー(1)の、本体(46)の軸に沿った位置が拘束され、バイオセンサーカートリッジから突き出ている光ファイバー(1)の近位面は、流体連結器(42)の内壁又は前記内壁に残っている残留液滴に接触すること無く、流体連結器(42)を通過し、センサー連結器(43)内に収納されている連結用毛細管(15)の底部穴に入る。バイオセンサーカートリッジの挿入を続けてゆくと、ファイバー(1)は、センサー連結器への入口の円錐形の凹部に衝突し、それまでは拘束されていなかった(「浮動していた」)センサー連結器(43)を横方向に押し、その入口穴を光ファイバー(1)の中心に合わせ、するとファイバーは毛細管の穴を通り抜けて、最終的に環状化ファイバー(17)の面と交差する。幾つかの実施形態では、センサー連結器(43)は、最小限の力で垂直方向に自由に動き、而して浮動するように構成されているので、センサー光ファイバーの環状化ファイバーの面に対する初期接触力、従って接触損傷は最小限になる。バイオセンサーが、引き続き本体(46)の中へ挿入されてゆくと、センサー連結器(43)内に保持されている環状化ファイバー(17)の面に接触している光ファイバー(1)面は、センサー連結器(43)を押し、センサー連結器(43)は押し上げられてばね(44)に当たり、バイオセンサーファイバー(1)と環状化ファイバー(17)の間に、安定した再現可能な力が提供される。
【0064】
幾つかの実施形態では、ファイバーを中心に置き、及び/又は流体をチャンバ又は流れチャネルの中へ流すのに、流体フェルール以外に又はそれに追加して、他の方法及び要素が用いられる。限定するわけではなく幾つかの例として、バイオセンサーカートリッジ内のモールド成形されたプラスチックリブでファイバーを支持し、ファイバーを中心に置き、流体がシステム内を流れるようにしてもよい。代わりに、モールド成形されたスパイダーを使用することもできる。
【0065】
図9に示している様に、幾つかの実施形態では、バイオセンサーカートリッジ(9)は、増感光ファイバー部分(49)をカートリッジ本体(59)内に組み込んでおり、流体が入口管(55)の中へ引き込まれ、光ファイバー(49)の増感領域を通過し、出口ポート(57)を通り抜けて、最終的に廃液受口(図9では図示せず)に流入するように設計されている。入口流体ポート(55)は、使用時に液体試料と増感光ファイバー(49)の両方を含有することになる毛細管の様な外側シース(59)に、漏出の無いやり方で取り付けられている。漏出防止シールを提供する方法は、糊、熱収縮管、又は、製造技術の分野の当業者には既知である、入口管(55)を毛細管(59)に対してシールするためのどの様な他の適切な方法を使用しても達成することができる。毛細管(59)は、出口側でも同様に、光ファイバー(49)の出口と流体をカートリッジ(9)を通して引き込むための出口ポート(57)の両方を提供しているフェルール(52)に対してシールされる。このフェルール(52)は、バイオセンサー測定計器のホルダーをバイオセンサーカートリッジ(9)にしっかりと取り付けることと、流体を入口管(55)に吸い込んでバイオセンサーカートリッジ(9)の中に入っている増感光ファイバー(49)を通過させるために負圧を掛けることの両方を行える方法を提供している。
【0066】
幾つかの実施形態では、バイオセンサーカートリッジ(9)の光ファイバー部分は、4つの区別できる領域を有する単一片のTeflon-AF被覆を施された光ファイバー(49)で作られている。図10に示している様に、第1近位領域(61)は、限定するわけではないが、例えば、屈折率がバイオセンサーカートリッジ(9)を通過することになる流体の屈折率と密に一致するDupont社のTeflon AF(登録商標)の様な低屈折率ポリマーで被覆されている。バイオセンサー(9)の近位端は、光学的及び/又は物理的に、バイオセンサー測定計器に接続されている。近位シースに覆われているファイバー部分(49)は、バイオセンサーカートリッジ(9)内の生物学的流体と接触するかもしれないが、生化学的感知面にはなっていない。他の部分は、カートリッジの外側に備わっており、バイオセンサーカートリッジ(9)をエバネッセントセンサー測定器械に取り付けるのに使用される。
【0067】
第1近位領域(61)に隣接する第2領域(63)には、低屈折率のクラッディングを覆う第2クラッディングが組み込まれており、これにより、機械的な強さ、研磨されることからの保護、及びプラグ(65)を用いてセンサーファイバー(49)をセンサーカートリッジフェルール(52)の中へ密封するための手段が提供されている。
【0068】
第2領域(63)に隣接する第3領域(67)は、ポリマークラッディングが実質的に全く無く、蛍光タグを付けた報告手段をファイバーの増感表面に結合させるため化学的に感受性を高められている。つまり、第3領域は、Teflon AF被覆が一切無く、増感面と接触しているバイオセンサーカートリッジを通過する流体中に存在する分子の感知に使用できるように、洗浄され、化学的に調製され、感受性が高められている。感知面は、光学的に透明で、ファイバー内を伝播する光によって、その電場が化学的増感ファイバー面上に存在するタグ付き分子にエバネッセント的に連結するようなやり方で励起される、増感バイオセンサー面の外側に結合している蛍光タグ付き分子によって発せられた光放射(例えば、蛍光)を集める。感知面は、タグ付き分子がその表面に結合する時だけ蛍光信号を提供するように作られてもよいし、又は、化学的増感面には、センサー性能を較正するため、及びバッチ毎のバイオセンサーの変動を補償するために使用される、少数ではあるが但し所定の数の蛍光分子が組み込まれていてもよい。
【0069】
バイオセンサー(9)の入口管(55)端部付近の第4領域(69)は、バイオセンサーファイバー(49)の遠位端から漏れる光が、使用時に、周囲の溶液中の蛍光タグ付き報告分子を励起するのを防止するシースに覆われている。バイオセンサーファイバー(49)の遠位端は、遠位端のTeflon AF被覆を損傷から護るために、そして随意的には、バイオセンサーファイバー(49)をバイオセンサーカートリッジ(9)内の中心に置くための手段、又はバイオセンサーファイバー(49)の遠位端をバイオセンサーカートリッジ(9)内に糊付け及びシールするための手段、の何れかを提供するために、使用される保護シースで覆われている。
【0070】
最後に、強度を増すために、毛細管(59)は、限定するわけではないが、収縮管又はぴったり合ったプラスチックシースの様な何らかの補強手段(図示せず)で取り囲んでもよい。
【0071】
幾つかの実施形態では、データは、以下のやり方で、バイオセンサーから取得される。分子がバイオセンサーの表面に結合していることを表す蛍光信号を生成するのに、レーザー照射が採用されている。レーザーからの光は、実質的にそこにある全ての光が、実質的に「全反射に適した角度」で伝播するように、バイオセンサー内に分配される。この角度は、バイオセンサーファイバーを作るのに使われているガラスの屈折率と、バイオセンサーファイバーを取り囲んでいる溶液の屈折率とによって決まる。
【0072】
幾つかの実施形態では、ユーザーの労力と起こり得るエラーを最小限にしながら、ユーザーが日常的なバイオセンサー測定を容易に行うことができるようにするため、試料、緩衝液、試薬、及び較正物質を、ユーザーがその様な流体が入った容器をバイオセンサーカートリッジの入口ポート(55)に置く必要無しに、順にバイオセンサーカートリッジ(9)に吸い込んで通すことのできるバイオセンサーカートリッジ(9)及び試料送出要素が提供されている。
【0073】
バイオセンサーカートリッジを使った代表的な臨床学的検定を行う場合、様々な流体がバイオセンサーカートリッジに通される。これらの流体には、バイオセンサー表面を整え濡らすための緩衝液、センサーを較正するための1つ又はそれ以上の較正溶液、標識付き試薬の入った生物学的試料又は標識付き試薬を含まない生物学的試料自体、及び1つ又はそれ以上の標識付き試薬、が含まれていてもよい。また、シールされたカートリッジキャビティの中へ入れられた生物学的試料を膜に通して血球を剥き、血液又は血清を緩衝液又は試薬と混合するのが望ましい場合もある。これを達成するために、バイオセンサーカートリッジは、複数の流体チャネルと弁調節機構を有していてもよい。それぞれの数は、カートリッジで検定を行うのに要する流体移送工程の数と順序によって決まる。これは、バイオセンサーカートリッジで実施される特定の検定法の検査に依って異なるであろう。
【0074】
図11に示している様に、幾つかの実施形態では、試料ホルダー/試薬パック(71)が提供されており、それはモールド成形又は機械加工されたマルチウェルカップ(73)で構成されていて、カップ(73)の中央心部領域(77)の周りに設けられた別々の液体保持領域(75)に分割されており、カップの上からバイオセンサーカートリッジ(9)の流体入口ポート(55)が通されている。カップ(73)及び/又は保持領域は、覆われていてもいなくてもよい。カップ(75)の寸法は、背高のセンサーに比べて短くて幅広のパック(73)が作成されるようになっていてもよいし、又は、もっと細くて長く、上向きに伸張してセンサーを取り囲み、平坦で幅広のカップとは対照的に管の様に見えるものでもよい。重要な特徴は、カップの寸法比ではなく、むしろ、試薬をカップからセンサーの中へ向かわせるやり方である。このマルチウェルカップ(73)の心部(77)は、側面に位置する流体入口ポート(81)、及び、上面に位置し、バイオセンサーカートリッジの流体入口ポート(55)と嵌め合わされる流体出口ポート(83)からの流体通路を提供する回転式流体セレクター(79)を囲むように構成されている。バイオセンサーカートリッジユニットは、流体セレクター(79)を、限定するわけではないがステッパモーターの様な回転機構によって回せるように、バイオセンサー計器(図示せず)に嵌め込まれる。前記回転式流体セレクター(79)を回して、流体を入れた何れかのウェル(75)の流体出口穴(図示せず)を回転式流体セレクター(79)の入口穴(81)と整列させると、負圧を使用して、流体を、センサーファイバー(49)へのポートを通してバイオセンサーカートリッジの流体入口ポート(55)の中へ吸い上げ、バイオセンサーカートリッジのチャンバ(53)に通して、選択された流体収容ウェル(75)からの流体を、バイオセンサーカートリッジ(9)内に入っているバイオセンサーファイバー(49)と密に接触させて通過させることができるようになる。負圧を制御し、手動で、又は限定するわけではないがコンピューター制御位置決め手段の様な自動位置決め手段を使用して、の何れかでセレクター弁(79)を位置決めすることによって、異なるウェル(75)からの試料と流体を、順次又は不規則な順序でバイオセンサーカートリッジ(9)の中へに吸い込み、バイオセンサーファイバー(49)の感知面を通過させることができる。
【0075】
試料ホルダー/試薬パック(71)は、測定される試料、並びにバイオセンサー検定を行うのに必要なあらゆる試薬、洗浄溶液、又は較正溶液を保持する1つ又はそれ以上の別々の流体保持領域(75)を備えている。幾つかの区画には、凍結乾燥、冷凍、又は固体の成分が入れられている場合もあり、それらは、バイオセンサー検定が行われる前に液体にしなくてはならない。その様な液化は、区画に冷凍材料が入っている場合は解凍することによって、及び/又は、別のウェルから、限定するわけではないが、水又は検定を行うのに適切な混合溶液の様な液体を加えることによって達成してもよい。
【0076】
回転式流体セレクター(79)は、1つの流体保持領域内の流体が、他の液体保持領域内の流体と混ざり合うのを防止する第1シール手段(85)を備えていてもよい。これは、別体のシール区域を提供する手段を組み込むことによって、又は、回転式流体セレクター(79)(即ち、回転式圧入シール)を作る際に使用される材料の寸法によって、達成される。回転式流体セレクター(79)は、更に、流体が、バイオセンサーカートリッジ流体入口ポート(55)と回転式流体セレクターの出口ポート(83)の間の接続部から漏出するのを防止する第2シール手段(87)を備えていてもよい。当業者には理解頂けるように、その様な手段は、限定するわけではないが、バイオセンサーカートリッジ流体入口ポート(55)と回転式流体セレクター(79)の流体出口ポート(83)の間にOリングシールを使用するか、又は、バイオセンサーカートリッジの流体入口ポート(55)と回転式流体セレクター(79)の流体出口ポート(83)の間に圧入することによって提供される。
【0077】
図12に示している様に、カートリッジ(9)が測定計器(89)の基部上の正しいスロットの中に差し込まれた後、バイオセンサーカートリッジ(9)がセンサーのウェルの中に下ろされ、その際、バイオセンサーカートリッジ(9)の入口管(55)は、その形状が受け手側の試料ホルダー/試薬パック(71)の基部の形状とキー係合するようになっているので、同基部内に収納されている回転式流体セレクターの出口ポート(83)に対してシールされる。バイオセンサーカートリッジ(9)が下ろされる際に、随意的にではあるが、最初はその流体入口(81)が塞がれるように配置されていた回転式流体セレクター(79)をマルチウェルチャンバ(71)から僅かに押し出して、ポート入口穴(81)を、チャンバウェル(75)側の対応する流体出口ポート(図示せず)と整列させると共に、バイオセンサー検定法の各工程でセレクター弁(79)側の入口穴(81)を正しい流体チャンバに位置決めするのに使用されるコンピューター制御ステッピングモーター(93)に接続されている嵌め合いコネクタと係合させるようにしてもよい。
【0078】
各バイオセンサー検定が行われる時、回転式流体セレクター(79)を既知の所望の場所に位置決めするのに、制御機構(図示せず)が提供されている。その様な手段は、限定するわけではないが、試料ホルダー/試薬パックに、試料ホルダー/試薬パック(71)を決まった向きでバイオセンサー測定計器(89)に挿入した時にのみ計器(89)の保持基部(91)と正しく嵌め合わされる、固有の形状を持たせることによって提供してもよい。試料カップ(71)を最初に分かっている向きで挿入することにより、回転式流体セレクター(79)の基部の下方に位置するスロット又は何か他の形状部が、回転式連結機構と係合し、回転式連結機構は、手動又は自動手段の何れかによって、回転式流体セレクター(79)のポートが流体を入れた各区画(75)の底面に位置する流体出口ポートと整列するように、位置決めされることになる。
【0079】
試料と流体の処理、光源の適用、及び試験運用からのデータの収集及び処理は、当業者には既知のシステムと方法によって電子的に制御される。例を挙げると、一体型又は自立型のどちらでもよいが、関係付けられているマイクロプロセッサが、真空源、圧力源、弁調節機構、及び/又は光源に作動可能に連結されており、ユーザーの嗜好に従って制御論理がプログラムされている。その様なシステムでは、ユーザーは、試料の取込、試薬の使用、光、負圧及び圧力の印加、及び/又はユーザー指定の作動サイクル中のデータ収集及び処理、の順序、タイミング、持続時間、及び/又は性質を選択し制御することができる。
【0080】
同様に、作動サイクル中の流体の分配と運動は、本発明の実施形態による代わりのシステム及び方法によって達成してもよい。例を挙げると、流体の運動は、真空源(図示せず)からの負圧を、流体連結器(42)を使って選択的に掛けることにより達成してもよいし;流体の運動は、圧力源(図示せず)からの圧力を試薬ウェル又はキャビティに加えることによって得るようにしてもよいし;流体を、圧力源(図示せず)からの圧力によって入口管(39)に押し込み、流体ポート(4)から押し出してもよいし;又は、ユーザーの嗜好及び当業者に既知の適した方法に従って、上記又は他の方法の何れかの組み合わせによって、これを行わせてもよい。
【0081】
図13に示している様に、幾つかの実施形態では、限定するわけではないが、バイオセンサーファイバー(49)のための流れチャネル(100)と、試料(95)、試薬(97)、及び廃液(99)用の複数のキャビティと、から構成されている一体型バイオセンサーカートリッジ(98)が提供されている。一体型バイオセンサーは、モールド成形又は当業者には既知の他の適した方法によって形成してもよい。流れチャネルは、プラスチック、又は同時モールド成形されたガラス又はプラスチックの毛細管、又は行われる検査、検査される試料の種類、及び使用される試薬の性質に従った他の適切な材料であってもよい。例を挙げると、緩衝液、較正物質、標識付き抗体などの試薬類は、カートリッジ(98)の各キャビティに事前に装填してもよい。ユーザーの嗜好に依って、標識付きの抗体試薬又は較正物質は、液体として、使用前に解凍させなくてはならないカートリッジ内の冷凍液体として、又はカートリッジに入っている水又は緩衝液で戻さなくてはならない凍結乾燥試薬として、事前に装填してもよい。検査される試料、例を挙げると、血液、尿、又は他の生物学的流体は、感知検査を行う直前に各試料キャビティに装填してもよい。カートリッジは、各キャビティを弁調節機構(103)と接続する1つ又はそれ以上の流体チャネル(101)を有していてもよく、弁調節機構は更に自身の流体チャネル(107)によって流れチャネル(100)に接続されているが、但し、幾つかの実施形態では、ユーザーの嗜好と一体型バイオセンサーカートリッジの意図された機能に従って、複数の弁調節機構を使用することもできる。適した弁調節機構は、当業者には既知であり、例を挙げると、回転機構、ピン弁、磁気フラップ弁、及び/又は可撓性を持たせたチャネル構造が含まれる。選択的な流体運動は、圧力源(図示せず)から圧力を加え流体を押して装置を通すことによって(例えば、各試薬キャビティの最上部の圧力接続チャネル(109)を参照)、真空源(図示せず)からの負圧を使用し試薬を引いて装置を通すことによって(廃液チャネルの最上部の負圧印加チャネル(111)を参照)、又は何らかの他の適した方法又はそれらの組み合わせによって達成される。当業者には理解頂けるように、流体運動方法の選択に依っては、システムの構成に対する或る種の調整が必要になるかもしれず、限定ではなく単に一例として、1つ又はそれ以上の試薬圧力ポートに、大気に対して開閉する弁を設けることが考えられる。試料と流体の処理、光源の適用、及び試験運用からのデータの収集及び処理は、ここで先に説明した様に、電子的に制御してもよい。
【実施例】
【0082】
以下の実施例は、本発明の実施形態を下に開示されている実施例のみに限定すること無く、且つ他の何れの実施形態をも否定すること無く、提供されている。
実施例1:心筋トロポニンIのサンドイッチ免疫検定法
カートリッジの表面の試料ウェルの中に血液を数滴垂らし、ウェルのカバーを閉じる。光学連結器、弁を制御するステッパーモーター、及びポンプを正しく合わせた状態で、カートリッジを測定計器の所定の位置に係止する。血液は、ウェルから計測された量の血液が緩衝用の試薬の入った内部ウェルの中に送り込まれるやり方で、内部マイクロチャネルを通ってカートリッジの内部ウェルの1つに流れる。次いで、測定計器は、基準示度を確立するため、計測された量の緩衝液が20〜100μl/分の速度でセンサーを通って流れるように、弁操作セレクターを動かす。センサーから読み出された値は、15〜30秒の間、計器によって記録される。セレクター弁が動き、較正用試薬の入ったウェルからの流体が選択される。当該較正用試薬は、1.5〜3.0分の期間に亘って、20〜100μl/分の流量でセンサーを通して送られ、その間、計器は、蛍光を時間(秒)の関数として記録する。流体は、センサーを通過すると、廃液回収ウェルに溜まる。セレクター弁が動いて緩衝液ウェルと繋がり、ポンプ速度が毎分500〜1000μlに加速され、緩衝液を5〜30秒の間センサーに流して迅速に洗浄を行わせる間、データ収集が継続される。セレクター弁は、血液が入っているウェルがセンサーに繋がるように回転する。この間は、データは取得されない。血液試料が1.5〜3分間流れると、心筋トロポニンIがファイバーの表面に捕捉される。セレクター弁が再度回転して緩衝液ウェルと繋がり、ポンプ速度が毎分500〜1000μlに加速され、緩衝液を5〜30秒間センサーに流して迅速に洗浄を行わせる。速度を落とし、緩衝液が20〜100μl/分の流量でセンサーを流れるようにして、試料の基準示度を確立する。セレクター弁が回り、蛍光標示付き認識試薬の入ったリザーバに繋がる。これを、1.5〜3.0分の期間に亘って20〜100μl/分の流量でセンサーに通し、この間、計器は、蛍光を、時間(秒)の関数として記録する。弁が再度回転し緩衝液ウェルに繋がり、ポンプ速度が毎分500〜1000μlに加速され、緩衝液を5〜30秒の間センサーに流して迅速に洗浄を行わせる間、計器は蛍光を記録し続ける。
【0083】
計器のソフトウェア内には、標準曲線が存在している。曲線は、蛍光増加率と、トロポニンI標準値と較正用試薬の比、との間の相関関係に基づいている。ソフトウェアは計器の示度を処理し、較正物質と試料後の認識試薬の両方について蛍光増加率を生成する。この比を、標準曲線と相関させ、心筋トロポニンIの濃度が、計器のディスプレイ上に報告される。
実施例2:エストロン−3−グルクロニドの競合免疫検定法
尿を試料ウェルに注ぎ込み、カートリッジを先に説明した様に取り付ける。計量された量の尿が、認識試薬の入ったウェルに送り込まれる。ポンプは、拍動的ポンピングにより、尿試料と認識試薬を混ぜ合わせる。次いで、計器は、基準示度を確立するため、計量された量の緩衝液が20〜100μl/分の流量でセンサーを通って流れるように、セレクター弁を回す。センサーから読み出された値は、15〜30秒の間、計器によって記録される。セレクター弁は、認識試薬の入ったウェルまで動く。試薬は、1.5〜3.0分の期間に亘って20〜100μl/分の流量でセンサーを通して送られ、その間、計器は、蛍光を時間(秒)の関数として記録する。セレクター弁が回転し緩衝液ウェルと繋がり、ポンプ速度が毎分500〜1000μlに加速され、緩衝液を5〜30秒の間センサーに流して迅速に洗浄を行わせる間、データ収集が継続される。弁は、尿+蛍光認識試薬の入ったウェルがセンサーに繋がるように回転する。これを、1.5〜3.0分の期間に亘って20〜100μl/分の流量でセンサーに通し、この間、計器は、蛍光を、時間(秒)の関数として記録する。弁が再度回転し緩衝液ウェルと繋がり、ポンプ速度が毎分500〜1000μlに加速され、緩衝液を5〜30秒の間センサーに流して迅速に洗浄を行わせる間、計器は蛍光を記録し続ける。認識試薬+尿で見られた蛍光増加率を、認識試薬のみで見られた蛍光増加率で割る。その比を、内蔵された標準曲線と相関させ、濃度が、計器のディスプレイ上に報告される。
実施例3:何れかの型式の検定法において検定法を行う前に血球を血清から分離しなければならない場合
血液試料を試料ウェルに加え、カートリッジウェルのカバーを閉じる。血液が内部チャネルを流れ、計量された量が、血球の通過を止め血清の通過を許可する媒体(限定しないがCellexなど)が溜められている第2チャネルに送られる。緩衝液の入った第2キャビティに圧力が加えられる。このキャビティは、第2チャネルに接続されているので、圧力によって血清が押され媒体を通って試料ウェルに流れ込む。その後の他の動作は、先に説明した様に続く。
【0084】
本出願は、限定するわけではないが、論文、発表、及び米国特許を含め、著者による様々な刊行物、引用例、及び/又は特許番号に言及する場合もある。これらの参考文献それぞれの開示は、その全体を、参考文献としてここに援用する。
【0085】
以上、本発明を、上記の好適な実施形態及び代替実施形態に関連付けて、具体的に図示し説明してきたが、当業者には理解頂けるように、本発明を実施するに際し、特許請求の範囲に定義されている本発明の精神及び範囲から逸脱すること無く、ここに説明している本発明の実施形態の様々な代替を採用することもできる。本発明の当説明は、ここに説明されている要素の全ての新規且つ明白ではない組み合わせを含むものと理解されるべきであり、請求項は、これらの要素又はあらゆる等価物のあらゆる新規且つ明白ではない組合せに対する本出願又は後の出願の中に提示されてもよい。上記実施形態は、説明を目的としており、どの1つの特徴又は要素も、本出願又は後の出願において特許請求されるであろう全ての可能な組み合わせにとって必須というわけではない。
【符号の説明】
【0086】
1 光ファイバー
2 被覆
3 保護シース
4 流体ポート
5 Oリング
7 光ファイバーアッセンブリ、第2ファイバー区間
8 流体フェルール
9 バイオセンサーカートリッジ、センサー
15 連結用毛細管
17 環状化光ファイバー
20 分散要素
21 光源
22 反射鏡の様な手段
23 ブロック要素
24 望ましい波長帯、光ビーム
25 望ましくない波長帯
26 フィルタ
27 光検出器
28 方向変更要素
29 合焦手段、投射レンズシステム
30 合焦手段
32 方向変更後のビーム
33 搭載及び操作器械
34 光軸
35 方向変更軸
36 投光アパーチャ
37 流体フェルール
38 カートリッジ本体、外側シース
39 入口管、
40 Oリング
41 流体ポート
49 バイオセンサーファイバー、光ファイバー
52 フェルール
55 入口管
57 出口ポート
59 毛細管
61 第1近位領域
63 第2領域
65 プラグ
67 第3領域
69 第4領域
71 試料ホルダー/試薬パック
75 液体保持領域
77 カップの中央心部領域
79 回転式流体セレクター、セレクター弁
81 セレクターの入口穴
83 セレクターの出口ポート
85 第1シール手段
87 第2シール手段
89 測定計器
91 保持基部
93 ステッピングモーター
95 試料
97 試薬
98 一体型バイオセンサーカートリッジ
99 廃液
100 流れチャネル
101 流体チャネル
103 弁調節機構
107 流体チャネル
109 圧力接続チャネル
111 負圧印加チャネル
f 焦点長さ
d 直径
θ 入射角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオセンサーカートリッジであって、
少なくとも部分的に流れチャネル内に配置されている光ファイバーであって、前記光ファイバーの外面と前記流れチャネルの内面の間にチャンバが形成されている、光ファイバーと、
前記光ファイバーを、環状化照射要素を有するエバネッセント感知測定器械に連結するように構成されている近位端連結領域と、
前記流れチャネルの近位端に接合されている流体フェルールと、
前記光ファイバーの遠位端と前記流れチャネルの遠位端の前記内面とに接合されている入口管と、を備えており、
前記光ファイバーは、保護シース内に配置されている低屈折率のクラッディングをそれぞれに備えている近位端支持領域及び遠位端支持領域と、前記近位端支持領域と前記遠位端支持領域の間に配置されていて、その様なクラッディングを備えていない化学的増感領域と、を有しており、
前記近位端支持領域は、少なくとも部分的に、前記流体フェルール内に配置されており、
前記入口管は、前記光ファイバーを前記流れチャネル内の中心に置くように構成されており、前記入口管と前記流体フェルールは、1つ又はそれ以上の液体を、前記入口管、前記チャンバ、及び前記流体フェルールを通して吸い上げることができるように構成されている、バイオセンサーカートリッジ。
【請求項2】
前記エバネッセント感知測定器械は、流体制御システムを備えており、前記カートリッジの前記近位端は、前記エバネッセント感知測定器械の受口に係合し、前記流体フェルールを前記流体制御システムに接続し、前記光ファイバーの前記近位端を前記エバネッセント感知測定器械の前記環状照射要素に連結するように構成されている、請求項1に記載のバイオセンサーカートリッジ。
【請求項3】
前記流れチャネルの少なくとも一部を取り囲んでいる外側シースを更に備えている、請求項1に記載のバイオセンサーカートリッジ。
【請求項4】
前記流れチャネルは、ガラス毛細管である、請求項1に記載のバイオセンサーカートリッジ。
【請求項5】
前記カートリッジの前記近位端は、機械的追従性のある光学的突合せ連結機構を通して、前記環状化照射要素と連結するように構成されている、請求項1に記載のバイオセンサーカートリッジ。
【請求項6】
前記液体のうちの少なくとも1つは生物学的液体である、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項7】
バイオセンサーカートリッジシステムであって、
中央の開放心部を取り囲む、流体を入れておくための複数のキャビティであって、それぞれが出口ポートを有している、複数のキャビティを備えている円筒形カートリッジと、
入口ポートと出口ポートを有しているセレクター弁と、
請求項1に記載のバイオセンサーカートリッジと、を備えており、
前記バイオセンサーカートリッジの遠位入口管は、前記概ね円筒形のカートリッジの前記中央の開放心部内に挿入して、前記セレクター弁の出口ポートに接続するように構成されており、前記セレクター弁の入力ポートは、更に、その入力ポートを前記複数のキャビティの出口ポートの何れとも選択的に連通させることができるように構成されている、バイオセンサーカートリッジシステム。
【請求項8】
前記セレクター弁の前記入口ポートの選択的連通は、マイクロプロセッサによって制御される、請求項7に記載のバイオセンサーカートリッジシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の前記カートリッジの前記近位端は、機械的追従性のある光学的突合せ連結機構を通して、前記環状化照射要素と連結するように構成されている、請求項7に記載のバイオセンサーカートリッジシステム。
【請求項10】
更に、前記流れチャネルの少なくとも一部を取り囲んでいる外側シースから構成されている、請求項7に記載のバイオセンサーカートリッジシステム。
【請求項11】
前記流れチャネルは、ガラス毛細管である、請求項7に記載のバイオセンサーカートリッジシステム。
【請求項12】
前記流体の少なくとも1つは生物学的流体である、請求項7に記載のバイオセンサーカートリッジシステム。
【請求項13】
一体型バイオセンサーカートリッジであって、
エバネッセント感知測定器械の環状化照射要素に連結するように構成されている光ファイバーの化学的増感領域を含んでいる流れチャネルと、
前記流れチャネルと選択的に流体連通する1つ又はそれ以上の弁調節機構と、
前記弁調節機構の1つ又はそれ以上と選択的に流体連通する、流体を入れておくための複数のキャビティと、から構成されている一体型バイオセンサーカートリッジ。
【請求項14】
前記エバネッセント感知測定器械は、流体制御システムを備えており、前記光ファイバーの近位端は、前記エバネッセント感知測定器械の受口に係合し、前記環状照射要素に連結するように構成されている、請求項13に記載の一体型バイオセンサーカートリッジ。
【請求項15】
前記光ファイバーの近位端は、機械的追従性のある光学的突合せ連結機構を通して、前記環状化照射要素と連結するように構成されている、請求項13に記載の一体型バイオセンサーカートリッジ。
【請求項16】
1つ又はそれ以上の弁調節機構と前記流れチャネルとの選択的連通と、流体を入れておくための前記複数のキャビティと前記弁調節機構の1つ又はそれ以上との選択的連通は、マイクロプロセッサによって制御される、請求項13に記載の一体型バイオセンサーカートリッジ。
【請求項17】
前記流体の少なくとも1つは生物学的流体である、請求項13に記載の一体型バイオセンサーカートリッジ。
【請求項18】
試料内の被分析物を測定するためのシステムであって、
環状化照射要素を備えたエバネッセント感知測定器械と、
バイオセンサーカートリッジであって、
少なくとも部分的に流れチャネル内に配置されている光ファイバーであって、前記光ファイバーの外面と前記流れチャネルの内面の間にチャンバが形成されている、光ファイバーと、
前記光ファイバーを、環状化照射要素を有するエバネッセント感知測定器械に連結するように構成されている近位端連結領域と、
前記流れチャネルの近位端に接合されている第1流体ポートと、
前記光ファイバーの遠位端と前記流れチャネルの遠位端の前記内面とに接合されている第2流体ポートと、を備えており、
前記光ファイバーは、保護シース内に配置されている低屈折率のクラッディングをそれぞれに備えている近位端支持領域及び遠位端支持領域と、前記近位端支持領域と前記遠位端支持領域の間に配置されていて、その様なクラッディングを備えていない化学的増感領域と、を有しており、
前記光ファイバーを前記流れチャネル内の中心に置くように構成されている前記近位端支持領域は、少なくとも部分的に前記第1流体ポートに隣接して配置されており、
前記遠位端支持領域も、前記光ファイバーを前記流れチャネル内の中心に置くように構成されており、
前記第1流体ポートと前記第2流体ポートは、液体を、前記第1流体ポート、前記チャンバ、及び前記第2流体ポートを通して吸い上げることができるように構成されている、バイオセンサーカートリッジと、
前記流れチャネルと選択的に流体連通する1つ又はそれ以上の弁調節機構と、
前記弁調節機構の1つ又はそれ以上と選択的に流体連通する、流体を入れておくための複数のキャビティと、を備えており、
1つ又はそれ以上の弁調節機構と前記流れチャネルとの前記選択的連通、及び、流体を入れておくための前記複数のキャビティと前記弁調節機構の1つ又はそれ以上との選択的連通は、マイクロプロセッサにより制御されている、システム。
【請求項19】
前記エバネッセント感知測定器械は、流体制御システムを備えており、前記カートリッジ内の1つ又はそれ以上の流体チャネルに接続されている1つ又はそれ以上の流体ポートは、前記エバネッセント感知測定器械の流体制御システムの流体制御ポートに係合し、前記光ファイバーの前記近位端を前記エバネッセント感知測定器械の前記環状照射要素に連結するように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記バイオセンサーカートリッジは、前記流れチャネルの少なくとも一部を取り囲んでいる外側シースを更に備えている、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記流れチャネルは、ガラス毛細管である、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記バイオセンサーカートリッジの前記近位端は、機械的追従性のある光学的突合せ連結機構を通して、前記環状化照射要素と連結するように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記試料は生物学的試料である、請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
前記バイオセンサーカートリッジの前記近位端は、機械的追従性のある光学的連結機構を通して、前記環状化照射要素と連結するように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
前記バイオセンサーカートリッジは、前記マイクロプロセッサの制御プログラムが読み出すことのできる印刷された、埋め込まれた、又は取り付けられた制御情報を含んでいる、請求項18に記載のシステム。
【請求項26】
前記試料は生物学的試料である、請求項24に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−521679(P2010−521679A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553838(P2009−553838)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/057233
【国際公開番号】WO2008/115871
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(509258522)アイエイ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】