説明

流体輸送接続装置、該接続装置を備える回路、および該接続装置の着脱方法

【課題】流体輸送配管のための接続装置を該接続装置の雄の末端具へと接続されるべき雌の末端具へと取り付け、取り外す方法を提供する。
【解決手段】雄の末端具1と、雌の末端具の溝13の周囲に取り付けられて収容されるように構成された接続手段21aを前記溝内のロック位置へと可逆に移動させるロック部材30とを備えている。また前記ロック部材を固定および解放するための手段9A、9Bを備えており、該手段が、前記雄の末端具に堅固に取り付けられ、雌の末端具の入り口端12に接触して曲がることによって弾性変形可能であり、該手段が、雄の末端具が雌の末端具における所定の挿入位置を占めるで、ロック位置への移動を防止し、雄の末端具が挿入位置に達した場合に限り、前記ロック部材を解放して前記雌の末端具への移動を可能にし、該部材への押しによって接続手段を前記ロック位置へと移動させることができるようにするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体輸送配管のための接続装置、該接続装置を備える燃料インジェクタ戻り回路、ならびに該接続装置を該接続装置に含まれる雄の末端具へと接続されるべき管状の雌の末端具へと着脱する方法に関する。本発明は、広くには、そのような流体輸送の末端具の間のあらゆる接続に適用され、特に低圧用の末端具の間の接続に適用され、とりわけ自動車の燃料インジェクタマニホールドに適用される。
【背景技術】
【0002】
一般的に言うと、燃料インジェクタマニホールドにおいて、可撓な接続部材によって管状の雌の末端具または「カニューレ」の内側に密閉の様相ではまり込む管状の雄の末端具を有する接続装置の使用が公知であり、可撓な接続部材が、雄の末端具に取り付けられて固定され、この接続部材の軸方向外側の部分と協働するロック部材の制御のもとで、軸方向内側の端部において雌の末端具の内部の周溝へと固定される。
【0003】
この種の装置を記載している特許文献1を例えば引用することができ、接続部材が、雄の末端具と一体に形成されて軸方向に延びている2つの正反対を向いて位置するアームを備えており、これらのアームが、半径方向に曲げられることによって軸方向の引き出しに抗して雌の末端具の溝へと弾性的に固定される。
【0004】
このような公知の接続装置の主たる欠点は、接続部材が雌の末端具の接続溝に位置していない状態で雄の末端具が雌の末端具へと固定されてしまうと、その後に接続部材を溝へと移動させることがもはや不可能である点にある。
【0005】
本出願の出願人の名義の特許文献2が、雄の末端具の周囲に取り付けられるロック部材を備えており、そのようなロック部材の軸方向内側の端部が、雌の末端具の溝へと接続されるように構成され、半径方向に曲げられるときに弾性変形可能な接続用の突起によって形成されている別の種類の接続装置を記載している。これらの突起の各々が、ロック部材へと加えられる押しにより、これらの突起に組み合わせられた案内およびロックの補助用の斜面(雄の末端具から半径方向に突き出している)に接触して曲がることで、溝に対するロック位置に固定されるように構成されている。
【0006】
この特許文献2に記載の接続装置は、特に燃料インジェクタマニホールドに特有の封止および機械的強度の要件を満たすため、完全に満足できるものである。とりわけ、これらの斜面および関連の突起が、突起を溝へと押し付けるべく斜面によって突起へと加えられる半径方向の圧縮力が、雄の末端具を流れる流体の圧力に比例して増加するおかげで、装置がロック位置にあるときに「自動ロック」の機能をもたらす。これにより、装置が、高い圧力においてもより確実に機能することができる。
【0007】
それでもなお、本出願の出願人は、さらなる安全性または二重ロックの特徴を追加することによってこの装置を改善しようと試みた。上述の装置の欠点は、たとえロック部材の突起が雌の末端具の外に位置していても、ロック部材を雄の末端具の周囲で軸方向の内側へと下降させて、ロック部材の突起を雄の末端具の斜面によって曲げることができてしまう点にあり、突起を雌の末端具の溝に固定するためにいつロック部材を雄の末端具の周囲で下降させればよいかを、作業者が正確に知ることができない点にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許出願公開第2007/042344号明細書
【特許文献2】欧州特許公開第2236894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、流体輸送配管(特に、低圧の配管)のための接続装置であって、
・管状の雄の末端具と、
・前記雄の末端具の周囲に取り付けられ、管状の雌の末端具の半径方向内側の面の接続溝に収容されて該半径方向内側の面によって該雌の末端具に接続されるように構成された接続手段と、
・前記接続手段を前記雌の末端具に固定するために、前記雄の末端具の周囲に取り付けられて前記接続手段を前記溝内のロック位置へと可逆に移動させるように構成されたロック部材と
を備える接続装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明の装置は、前記ロック部材を固定および解放するための手段を備えており、該手段が、前記雄の末端具に堅固に取り付けられ、前記雌の末端具の前記半径方向内側の面の入り口端に接触して曲がることによって弾性変形可能であり、該固定および解放のための手段が、前記雄の末端具が前記雌の末端具における所定の挿入位置を占めるまで、前記接続手段の前記ロック位置への移動を防止し、前記雄の末端具が前記挿入位置に達した場合に限り、前記ロック部材を解放して前記雌の末端具への移動を可能にし、該部材への押しによって前記接続手段を前記ロック位置へと移動させることができるようにするように構成されている。
【0011】
本明細書において、「軸方向の内部」または「軸方向の内側」という表現は、接続された状態における雄および雌の末端具の対称の軸を基準にして、コネクタの内部へと向けられ、すなわち雌の末端具の接続溝に近くなるように向けられた位置を意味する。反対に、「軸方向の外部」または「軸方向の外側」という表現は、前記軸を基準にして前記溝の反対側(すなわち、遠位側)の位置を意味する。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、前記固定および解放のための手段を、前記雌の末端具の前記入り口端との接触にて、レバーアームの様相での弾性的な曲げによって引っ込めることができ、該固定および解放のための手段が、前記ロック部材が半径方向外側へと広がった状態の該手段に軸方向に当接する固定位置と、前記ロック部材が半径方向内側へと引っ込められた該手段の周囲を前記雌の末端具に向かって自由にスライドできる解放位置とを占めるように構成される。
【0013】
前記固定および解放のための手段は、好都合には、前記雄の末端具と一体に形成された1対のアームを備えており、これらのアームが、前記雄の末端具の軸に関して互いに対称に、該雄の末端具の軸方向内側の領域から延びており、前記固定位置においては同じ鋭角にて前記領域の各側に広がり、前記解放位置においては前記雄の末端具の軸に平行になるように曲げられる。
【0014】
本発明の別の特徴によれば、前記ロック部材が、内側の2つのリムまたは段部を備えることができ、該リムまたは段部が、固定位置へと広がった状態にあるときの前記アームの2つの自由端のそれぞれに当接し、前記解放位置にあるときの前記アームの半径方向外側に位置するように構成され、該リムまたは段部が、前記接続手段の軸方向内側の接続端よりも軸方向の外側に形成され、前記ロック位置において前記雌の末端具の軸方向外側に位置するように構成される。
【0015】
本発明のさらなる特徴によれば、例えば長いブレードの形状である前記アームの各々が、前記雄の末端具に対して外側である面を有しており、該面に、前記雄の末端具が前記挿入位置を占めるときに前記雌の末端具の前記入り口端と協働するように構成された少なくとも1つの突き出した隆起部を形成でき、該少なくとも1つの隆起部が、好ましくは該当のアームのほぼ真ん中の高さに形成される。
【0016】
本発明の好都合な実施形態においては、前記アームの各々が、少なくとも2つの前記隆起部を平行な横リブの形態で有しており、該隆起部が、該アームを閉じて前記解放位置に到達させるように構成されるとともに、前記雌の末端具の前記入り口端に接触して摺動することによって、作業者に前記雄の末端具が前記挿入位置に達したことを知らせ、したがって前記接続手段を前記溝に固定することができることを知らせる雑音を生じさせるようにさらに構成される。
【0017】
さらに、前記ロック部材を固定および解放するための前記手段を形成する前記アームが、前記溝に進入するときの前記接続用の突起の中心出しを促進するために、前記雌の末端具における円周の平行移動で前記雄の末端具を案内するようにも機能することに、注意すべきである。
【0018】
本発明のさらなる特徴によれば、前記接続手段を、前記ロック部材と一体に形成でき、該接続手段が、前記ロック部材の軸方向内側の部分を形成でき、該接続手段が、例えば半径方向に弾性変形可能な少なくとも2つの接続用の突起を軸方向内側かつ半径方向外側へと延ばして備えている軸方向内側の接続端を備えることができ、各々の突起の半径方向外側および内側の面を、前記溝ならびに該突起にそれぞれ組み合わせられた前記雄の末端具の該当の案内およびロックの補助用の斜面のうちの1つにそれぞれ当接するように各々の突起を曲げることによって、前記ロック位置において固定することができ、前記固定および解放のための手段が、前記斜面および突起とは無関係に前記ロック部材と協働するように構成される。
【0019】
これら接続用の突起および関連の案内/固定用の斜面が、例えば本出願の出願人の名義である上述の特許文献2に記載のとおりであってよいことに、注意すべきである。ロック部材と一体に形成されるこれらの突起は、他の公知の2部構成の装置と比べて、装置が低コストかつ組み立て容易であるという利点を有し、上述のように装置に引き出しに対して優れた機械的強度をもたらすことにも貢献する。
【0020】
雄の末端具の斜面によって案内されて雌の末端具の溝に固定される接続用の突起を使用する本発明のこの実施形態のさらなる特徴によれば、前記アームが、例えば2つが正反対を向いて位置している前記斜面の間の角度位置に形成され、各々のアームの前記少なくとも1つの隆起部が、各々の斜面の軸方向外側に形成されている。
【0021】
前記突起および斜面を使用する本発明のこの実施形態のさらなる特徴によれば、前記ロック部材が、角度に関して前記接続用の突起の間かつ軸方向に関して該接続用の突起の外側に形成された前記内側のリムまたは段部を有しており、例えば2つ存在する前記突起の各々が、円弧状であってよく、該突起を半径方向の曲げにて充分に変形できるようにするように構成された同数の切り欠きによって互いに接続されている。
【0022】
前記ロック部材は、好都合には、該部材の軸方向外側の端部を形成する保持手段を備え、該保持手段が、作業者の手によって前記雌の末端具に向かって押されるように構成された少なくとも1つの半径方向に広がる板を有することができ、前記部材が、前記接続手段が前記ロック位置に達した旨の視覚的表示をもたらすべく前記雄の末端具と協働することができる。
【0023】
前記保持手段を、例えば前記ロック部材の軸方向外側の好ましくは不連続である縁に着脱可能に取り付けられるただ1つの半径方向に広がる押し板で構成でき、該押し板が、前記ロック位置において、前記雄の末端具の2つの支持面の間を延びている軸方向のロック表示ピンと、該雄の末端具のピンが該押し板の外面と同一面に位置し、該外面が前記2つの支持面の間で該2つの支持面と同じ軸方向の高さに位置するように協働する。
【0024】
代案として、前記ロック部材を保持するための前記手段は、上述の特許文献2に記載の部材のように、前記雄の末端具のただ1つの支持面の両側にそれぞれ位置する2つの半径方向に広がる押し板を備えてもよい。
【0025】
本発明の燃料インジェクタ戻り回路は、管状の雄の末端具を上述のとおりの接続装置によって管状の雌の末端具へと接続して備える。
【0026】
上述のとおりの接続装置を、該装置の雄の末端具へと接続されるべき管状の雌の末端具へとロック位置に取り付け、さらには該雌の末端具から取り外す方法が、
以下の連続する取り付けステップ、すなわち
a)前記接続手段および前記ロック部材を、前記ロック部材が前記固定および解放のための手段に軸方向に当接して、前記接続手段の軸方向内側への移動が防止されるような様相で、前記雄の末端具の周囲に配置するステップと、
b)前記雄の末端具を前記所定の挿入位置において前記雌の末端具へと接続すべく、前記雄の末端具を前記雌の末端具へと挿入することで、前記固定および解放のための手段を前記雌の末端具の前記入り口端に接触させて弾性的に曲げ、該手段に前記ロック部材がもはや当接しないようにして、前記接続手段の軸方向内側への移動を可能にするステップと、
c)前記ロック部材に軸方向内側への押しを作用させ、前記接続手段を前記雌の末端具の前記溝内の前記ロック位置へと移動させるステップと
を含んでおり、
該装置の取り外しにおいては、前記雄の末端具を前記雌の末端具の底部へと保持しつつ前記ロック部材へと軸方向外側への引っ張りを加えることで、前記接続手段が前記雌の末端具から引き出され、その後に前記雄の末端具が前記雌の末端具から引き出される。
【0027】
本発明のさらなる特徴によれば、前記ステップa)において、前記接続手段よりも軸方向外側に形成された前記ロック部材の2つの内側のリムまたは段部が、前記固定および解放のための手段を形成する2つの引っ込めることができるアームのそれぞれの自由端に当接させられ、前記ステップb)において、前記アームを、各々のアームのほぼ真ん中の高さに位置する少なくとも1つの外側の隆起部を前記雌の末端具の前記入り口端の面取り部に対して摺動させることによって、該入り口端に接するまで該当の内側のリムまたは段部の半径方向内側へと曲げによって引っ込めることができる。
【0028】
本発明のさらなる特徴によれば、前記ステップc)の後で得られる前記ロック位置において、前記ロック部材の前記内側のリムまたは段部が、前記雌の末端具の軸方向外側に位置し、前記接続手段を形成する2つの正反対に向かい合う弾性変形可能な接続用の突起を、前記溝ならびに前記アームの各側の角度位置に位置して該突起にそれぞれ組み合わせられる前記雄の末端具の2つの対応する案内およびロックの補助用の斜面に対して曲げることによって固定することができる。
【0029】
本発明の他の特徴、利点、および詳細が、あくまでも本発明を限定するものではない例として添付の図面を参照しつつ提示される本発明の一実施形態についての以下の説明を検討することで、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】雌の末端具(一部分だけが示されている)に取り付けられるように意図された本発明の接続装置の分解斜視図である。
【図2】図1の装置および雌の末端具の正面分解図である。
【図3】図1の線III−IIIに沿って得た前記装置および前記雌の末端具の縦断面の分解図である。
【図4】雌の末端具に受け入れられる前の組み立てられた図3の装置の縦断面の詳細図であり、固定位置にある雄の末端具のアームにロック部材が当接している。
【図5】雄の末端具が図3の雌の末端具へと途中まで挿入された状態の図4の装置の縦断面図であり、雄の末端具のアームは前記固定位置にある。
【図6】雄の末端具が雌の末端具へと完全に挿入された状態の図5の装置の縦断面図であり、雄の末端具のアームがロック部材を解放する位置にある。
【図7】雄の末端具が雌の末端具へと完全に挿入された状態の図6の装置の縦断面図であり、ロック部材が、ロック部材を雌の末端具に向かって摺動させた後で得られるロック位置にある。
【図8】図1の線VIII−VIIIに沿って得た図7の装置の縦断面図であり、ロック位置にあるロック部材の接続端が示されている。
【図9】前記ロック位置にある前記装置の縦断面図であり、ロック装置の左半分が図8の断面にて示されており、右半分が直交する図7の断面にて示されている。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示されている管状の雄の末端具1は、公知の様相で、軸方向外側(すなわち、上側)の端部に、この末端具1に設けられた作業者のための2つの支持面4a、4bの各側に対称に延びる差し込み口の形態の2つの分岐コネクタ2および3を有するとともに、軸方向内側(すなわち、下側)の端部には、周溝5を有しており、周溝5が、この溝5に取り付けられ、あるいはこの溝5に成型されるOリングシール6を受け止めるように意図されている。さらに、2つの斜面7a、7bが、後述されるように案内およびロックの補助の機能を発揮するよう、溝5の上方に位置する雄の末端具1の下部から半径方向に突き出すように形成されている。
【0032】
カニューレ式の標準的な形状の管状の雌の末端具10(特に図3に見て取ることができる)が、基本的には、軸方向外側(すなわち、上側)の入り口端12のすぐ近くにおいて、半径方向内側の面11に、縦断面においてほぼ台形であり、装置の下端に形成された内部接続手段20を軸方向に受け入れるように意図された周状の接続溝13を有している。さらに、雌の末端具10は、軸方向内側の端部のすぐ近くに、シール6を受け止めるように意図された周状のシール領域14を有している。公知の様相で、雌の末端具10の内部は、溝13の軸方向の下方に狭窄部15を有している。
【0033】
より正確には、接続端20が、半径方向の曲げにて弾性変形可能であり、装置のロック部材30に含まれ、ロック部材30の下端を形成している円弧状の2つの突起21a、21b(この実施形態においては、耳たぶ形の2つの突起が存在する)によって形成されている。この部材30は、例えばポリアミドなど、高い機械的強度のプラスチック材料で製造され、この実施形態においては、
・部材30の上端を形成している保持手段31と
・おおむね円筒形の本体33と
を基本的に備えており、
保持手段31は、作業者の手によって雌の末端具10に向かって押されるように意図された半径方向に広がる板で構成され、そのような板が、部材30の本体33の円弧状の2つの上縁部32a、32bに、これらを受け入れる板31の2つの対応する開口31a、31bによって着脱可能に取り付けられ、
本体33の上縁部32a、32bは、この実施形態においては2つの切り欠き35a、35bによって互いに接続された正反対に向かい合う円筒形の円弧34a、34bによって下方へと延びており、2つの円弧34a、34bに、軸方向に延びる2つの補強用の横フィン36aが、半径方向に広がる2つのリム37a、37bによって支持されてそれぞれ設けられ、リム37a、37bの下方に、軸方向に延びる2つの横フィン38aが存在し、本体33は、突起21a、21bを終端にしている。
【0034】
より正確には、保持板31が、開口31a、31bの間の真ん中において保持板31を貫通する開口39を有しており、図7に示されているロック位置に達するように作業者によって矢印Aの方向に雌の末端具に向かって軸方向に押されたときに、保持板31の開口31a、31bが下方の上縁部32a、32bによって占められるだけでなく、雄の末端具1の2つの支持面4a、4bの間を延びている軸方向のロック表示ピン8も、同一面に位置する様相で開口39を通過し、ピン8が板31の外面と同一面において視認されることで、(例えば末端具1の色が板31の色と対照を成すことによって)ロック位置に達したことが示され、次いでこの板31が支持面4a、4bの間に設けられた凹所9を満たし、支持面4a、4bが板31と同じ軸方向の高さになる。
【0035】
接続用の突起21a、21bに関しては、それらが切り欠き35a、35bの下方に位置する本体33のそれぞれの下部半フランジ33a、33bの下方を下方へと延びており、それぞれ案内およびロックの補助用の斜面7a、7bによって曲げられることによって溝13に対してロック位置に固定されるように構成されていることを、図8および図9に見て取ることができる。突起21a、21bおよび関連の斜面7a、7bの細かい説明については、上述の特許文献2を参照し、ここでは、突起21a、21bが突起21a、21bを互いに接続している2つの切り欠き22によって半径方向の曲げにて弾性変形できるようにされていること、および斜面7a、7bが突起21a、21bと同様に同じ軸方向の高さにおいて雄の末端具1上で正反対を向いており、突起21a、21bを軸方向に案内して雌の末端具10へと半径方向に拘束するように構成されていることだけを、指摘しておく。
【0036】
本発明によれば、雄の末端具1は、斜面7a、7bとほぼ同じ軸方向の高さかつ2つの斜面7a、7bの間の90°の角度だけずらされた位置に位置する末端具1の下部領域(すなわち、軸方向内側の領域)から互いに対称に上方へと延びている長いブレード9A、9B(すなわち、平たくて長さに比べて幅が狭い)の形態の2つのアームをさらに備えている(このように末端具1の外周において斜面7a、7bとアーム9A、9Bとが交互に配置されており、アーム9A、9Bが斜面7a、7bと同じ高さに生じていることを、図1、図2、および図9において見て取ることができる)。アーム9A、9Bは、あたかも末端具1とともに三叉の矛を形成するかのようにほぼ軸方向に延びており、以下の位置を占めるように構成されている。
・ロック部材30を固定する位置。この固定位置において、アーム9A、9Bが末端具1の軸Xと鋭角α(図4)を形成するような様相で、アーム9A、9Bのそれぞれの自由端が、半フランジ33a、33bと同じ軸方向の高さにおいて半フランジ33a、33bの間に形成されて接続用の突起21a、21bに対して90°の角度だけずらされた位置に位置している2つの内側の段部33A、33B(図1および図4を参照)を介して、部材30のための軸方向の当接部として機能する。
・部材30を解放する位置、すなわち固定位置に達する前の位置。雄の末端具が雌の末端具10に完全に挿入されたときに限り、この挿入の度合いにおいてのみ生じる各々のアーム9A、9Bに位置するボスと雌の末端具10の上部の入り口端12との間の接触ゆえに、アーム9A、9Bの端部が段部33A、33Bの内側に向かって半径方向に引き込まれ、結果としてこれらのアームの端部が、もはや部材30のための軸方向の当接部を形成しない(アーム9A、9Bが末端具1の軸Xと平行になるように曲げられるこの解放位置が、図6、図7、および図9に示されている)。
【0037】
図4に見て取ることができるとおり、アーム9A、9Bがロック部材30の軸方向の摺動に抗する当接部を形成するこの固定位置の確実性が、内側の段部33A、33Bの各々に各々のアーム9A、9Bの端部の半径方向の広さに少なくとも等しい半径方向の広さを持たせ、半径方向に広がる接触面の当接の面積を最大にすることによって、好都合に補強されることに、注目すべきである。さらに、各々の段部33A、33Bが、軸方向に(すなわち、垂直に)延びる下部のリム33A、33Bを終端としており、リムが半径方向に広がる当接の接触面に対して垂直であり、上述の固定位置において該当のアーム9A、9Bの外面に接触して取り付けられるように構成されている。
【0038】
より正確には、図4〜図6に見て取ることができるとおり、各々のアーム9A、9Bが、その外面(すなわち、末端具1の軸Xから遠ざかる方を向いた面)の真ん中の領域に、本発明のこの実施形態においては2つの隆起部9A、9Bおよび9A、9Bで形成された同じボスを有しており、そのような隆起部が、このアーム9A、9Bを横切る方向の平行なリブまたは歯の形態であり、そのようなリブまたは歯が、アーム9A、9Bの残りの部分に比べてわずかに外方向へと突き出している表面によって互いに接続されている。各々のボスは、雄の末端具1が雌の末端具10に完全に挿入されるときに限り、この末端具10の入り口端12の外側(すなわち、上部)の面取り12aと摺動によって協働するように設計され、とりわけこの実施形態においては最も大きく突き出している上側の各々の隆起部9A、9Bが、面取り12aの斜めの面を摺動するときに、アーム9A、9Bをレバーのように傾けることによって末端具1の軸Xに平行になるように曲げることで、アーム9A、9Bの曲げを最適にする。
【0039】
各々のアーム9A、9Bのボスのこの位置が、入り口の面取り12aとの協働に鑑みて、この面取り12aとの接触後の各々のアーム9A、9Bの曲げに或る程度の遅延を可能にすることに、注目すべきである。
【0040】
アーム9A、9Bの引き込まれた解放位置において、2つの隆起部9A、9Aおよび9B、9Bが、雌の末端具10の入り口端12の入り口の面取り12aおよび出口の面取り12bを囲んで支持することにも、注目すべきである(図6を参照)。
【0041】
雌の末端具10の入り口端12における各々のボスの摺動が、作業者にとって雄の末端具1を雌の末端具10に挿入するための力を大きく増加させるという効果を好都合に有し、この摺動が、作業者が聞き取ることができる「クリック音」をさらに生成してもよく、この力の増加および/またはこのクリック音が、雄の末端具1が雌の末端具10において正しい挿入位置に達したことを知らせ、作業者を、この正確な瞬間においてロック部材30をロック位置に達するように雌の末端具10に向かって押すことによって操作するように誘う。
【0042】
さらに、アーム9A、9Bも、雌の末端具10において平行移動する末端具1について角度の案内を提供し、接続溝13への進入における突起21a、21bの中心出しを容易にすることに、注目すべきである。
【0043】
図5〜図9に示されるとおり、突起21a、21bが、以下のやり方で雌の末端具10の溝13に固定される。
a)部材30の本体33が、雄の末端具1の周囲へと下方から挿入され、その後に保持板31が、突起21a、21bが斜面7aおよび7bに面する角度位置でアーム9A、9Bの各側に位置し、この本体33が内側の段部33A、33Bによってこれらのアーム9A、9Bに軸方向に当接して突起21a、21bの下方への移動を防止するようなやり方で、本体33へと組み付けられる(図5を参照)。
b)雄の末端具1が雌の末端具10へと完全に挿入され、アーム9A、9Bのボスが末端具10の入り口の面取り12aに当接して摺動することで、アーム9A、9Bが弾性変形によって曲がり、結果としてアーム9Aおよび9Bが段部33A、33Bの内側に向かって半径方向に引っ込むことで、部材30がもはやこれらのアーム9A、9Bに当接しなくなり、部材30の下方への摺動が可能になる(図6を参照)。
c)その後に、ロック部材が下方に(すなわち、雌の末端具10に向かって)押されることで、突起21a、21bがこの末端具10の溝13の内側のロック位置へと移動する(図7〜図9を参照)。
【0044】
このロック位置において、部材30の内側の段部33A、33Bが、雌の末端具10の外側に位置しており、2つの突起21a、21bが、溝13ならびに該当の案内およびロックの補助用の斜面7a、7bに対して曲げられることによって固定されていることに、注意すべきである。
【0045】
接続装置を解放して溝13から取り外すためには、最初に雄の末端具1を雌の末端具10の底部に対して保持しつつロック部材30へと上方への引っ張りを加えることで、突起21a、21bが雌の末端具10から引き出され、その後に雄の末端具1が雌の末端具10から引き出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・管状の雄の末端具(1)と、
・前記雄の末端具の周囲に取り付けられ、管状の雌の末端具(10)の接続溝(13)に収容されて該雌の末端具(10)に接続されるように構成された接続手段(20)と、
・前記接続手段を前記雌の末端具に固定するために、前記雄の末端具の周囲に取り付けられて前記接続手段を前記溝内のロック位置へと可逆に移動させるように構成されたロック部材(30)と
を備えている流体輸送配管、特に低圧配管のための接続装置であって、
前記ロック部材を固定および解放するための手段(9A、9B)を備えており、
前記手段が、前記雄の末端具に堅固に取り付けられ、前記雌の末端具の入り口端(12)に接触して曲がることによって弾性変形可能であり、
前記固定および解放のための手段が、前記雄の末端具が前記雌の末端具における所定の挿入位置を占めるまで、前記接続手段の前記ロック位置への移動を防止し、前記雄の末端具が前記挿入位置に達した場合に限り、前記ロック部材を解放して前記雌の末端具への移動を可能にし、前記部材への押し(A)によって前記接続手段を前記ロック位置へと移動させることができるようにするように構成されていることを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記固定および解放のための手段(9A、9B)を、前記雌の末端具(10)の前記入り口端(12)との接触にて、レバーアームの様相での弾性的な曲げによって引っ込めることができ、
前記固定および解放のための手段が、前記ロック部材(30)が半径方向外側へと広がった状態の該手段に軸方向に当接する固定位置と、前記ロック部材(30)が半径方向内側へと引っ込められた該手段の周囲を前記雌の末端具に向かって自由にスライドできる解放位置とを占めるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記固定および解放のための手段(9A、9B)が、前記雄の末端具(1)と一体に形成された1対のアーム(9A、9B)を備えており、
前記アームが、前記雄の末端具の軸(X)に関して互いに対称に、該雄の末端具の軸方向内側の領域から延びており、前記固定位置においては同じ鋭角(α)にて前記領域の各側に広がり、前記解放位置においては前記雄の末端具の軸に平行になるように曲げられることを特徴とする請求項2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記ロック部材(30)が、2つの内側のリムまたは段部(33A、33B)を備えており、
前記リムまたは段部が、固定位置へと広がった状態にあるときの前記アーム(9A、9B)の2つの自由端のそれぞれに当接し、前記解放位置にあるときの前記アームの半径方向外側に位置するように構成され、
前記リムまたは段部は、前記接続手段(20)の軸方向内側の接続端(20)よりも軸方向の外側に形成され、前記ロック位置において前記雌の末端具(10)の軸方向外側に位置するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の接続装置。
【請求項5】
例えば長いブレードの形状である前記アーム(9A、9B)の各々が、前記雄の末端具(1)に対して外側である面を有しており、
前記面に、前記雄の末端具が前記挿入位置を占めるときに前記雌の末端具(10)の前記入り口端(12)と協働するように構成された少なくとも1つの突き出した隆起部(9A、9A、9B、9B)が形成されており、
前記少なくとも1つの隆起部が、好ましくは該当のアームのほぼ真ん中の高さに形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の接続装置。
【請求項6】
前記アーム(9A、9B)の各々が、少なくとも2つの前記隆起部(9A、9A、9B、9B)を平行な横リブの形態で有しており、
前記隆起部が、前記アームを閉じて前記解放位置に到達させるように構成されるとともに、前記雌の末端具(10)の前記入り口端(12)に接触して摺動することによって、作業者に前記雄の末端具(1)が前記挿入位置に達したことを知らせ、したがって前記接続手段(20)を前記溝(13)に固定することができることを知らせる雑音を生じさせるようにさらに構成されていることを特徴とする請求項5に記載の接続装置。
【請求項7】
前記接続手段(20)が、前記ロック部材(30)と一体に形成され、前記ロック部材(30)の軸方向内側の部分を形成し、
前記接続手段が、半径方向に弾性変形可能な少なくとも2つの接続用の突起(21a、21b)を軸方向内側かつ半径方向外側へと延ばして備えている軸方向内側の接続端(20)を備えており、
各々の突起の半径方向外側および内側の面を、前記溝(13)ならびに前記突起にそれぞれ組み合わせられた前記雄の末端具(1)の該当の案内およびロックの補助用の斜面(7a、7b)のうちの1つにそれぞれ当接するように各々の突起を曲げることによって、前記ロック位置において固定することができ、
前記固定および解放のための手段(9A、9B)が、前記斜面および突起とは無関係に前記ロック部材と協働するように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の接続装置。
【請求項8】
前記アーム(9A、9B)が、例えば2つが正反対を向いて位置している前記斜面(7a、7b)の間の角度位置に形成され、
各々のアームの前記少なくとも1つの隆起部(9A、9A、9B、9B)が、各々の斜面の軸方向外側に形成されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の接続装置。
【請求項9】
前記ロック部材(30)が、角度に関して前記接続用の突起(21a、21b)の間かつ軸方向に関して前記接続用の突起(21a、21b)の外側に形成された前記内側のリムまたは段部(33A、33B)を有しており、
例えば2つ存在する前記突起の各々が、円弧状であり、該突起を半径方向の曲げにて充分に変形できるようにするように構成された同数の切り欠き(22)によって互いに接続されていることを特徴とする請求項4または8に記載の接続装置。
【請求項10】
前記ロック部材(30)が、該部材の軸方向外側の端部を形成する保持手段(31)を備えており、
前記保持手段(31)が、作業者の手によって前記雌の末端具(10)に向かって押されるように構成された少なくとも1つの半径方向に広がる板(31)を有しており、
前記部材が、前記接続手段(20)が前記ロック位置に達した旨の視覚的表示をもたらすべく前記雄の末端具(1)と協働することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の接続装置。
【請求項11】
前記保持手段(31)が、前記ロック部材(30)の軸方向外側の縁(32a、32b)に着脱可能に取り付けられるただ1つの半径方向に広がる押し板(31)で構成され、
前記押し板(31)が、前記ロック位置において、前記雄の末端具(1)の2つの支持面(4aおよび4b)の間を延びている軸方向のロック表示ピン(8)と、該雄の末端具のピンが該押し板の外面と同一面に位置し、該外面が前記2つの支持面の間で該2つの支持面と同じ軸方向の高さに位置するように協働することを特徴とする請求項10に記載の接続装置。
【請求項12】
管状の雄の末端具(1)を接続装置によって管状の雌の末端具(10)に接続して備えている燃料インジェクタ戻り回路であって、
前記接続装置が、請求項1〜11のいずれか一項に記載の接続装置であることを特徴とする燃料インジェクタ戻り回路。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の接続装置を、該装置の雄の末端具(1)へと接続されるべき管状の雌の末端具(10)へとロック位置に取り付け、さらには該雌の末端具(10)から取り外す方法であって、
以下の連続する取り付けステップ、すなわち
a)前記接続手段(20)および前記ロック部材(30)を、前記ロック部材が前記固定および解放のための手段に軸方向に当接して、前記接続手段の軸方向内側への移動が防止されるような様相で、前記雄の末端具の周囲に配置するステップと、
b)前記雄の末端具を前記所定の挿入位置において前記雌の末端具へと接続すべく、前記雄の末端具を前記雌の末端具へと挿入することで、前記固定および解放のための手段を前記雌の末端具の前記入り口端(12)に接触させて弾性的に曲げ、該手段に前記ロック部材がもはや当接しないようにして、前記接続手段の軸方向内側への移動を可能にするステップと、
c)前記ロック部材に軸方向内側への押し(A)を作用させ、前記接続手段を前記雌の末端具の前記溝(13)内の前記ロック位置へと移動させるステップと
を含んでおり、
前記装置の取り外しにおいては、前記雄の末端具を前記雌の末端具の底部へと保持しつつ前記ロック部材へと軸方向外側への引っ張りを加えることで、前記接続手段が前記雌の末端具から引き出され、その後に前記雄の末端具が前記雌の末端具から引き出されることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記ステップa)において、前記接続手段(20)よりも軸方向外側に形成された前記ロック部材(30)の2つの内側のリムまたは段部(33A、33B)が、前記固定および解放のための手段(9A、9B)を形成する2つの引っ込めることができるアーム(9A、9B)のそれぞれの自由端に当接させられ、
前記ステップb)において、前記アームが、各々のアームのほぼ真ん中の高さに位置する少なくとも1つの外側の隆起部(9A、9A、9B、9B)が前記雌の末端具(10)の前記入り口端(12)の面取り部(12a)に対して摺動することによって、該入り口端(12)に接するまで該当の内側のリムまたは段部の半径方向内側へと曲げによって引っ込められることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップc)の後で得られる前記ロック位置において、前記ロック部材(30)の前記内側のリムまたは段部(33A、33B)が、前記雌の末端具(10)の軸方向外側に位置し、前記接続手段(20)を形成する2つの正反対に向かい合う弾性変形可能な接続用の突起(21a、21b)が、前記溝(13)ならびに前記アーム(9A、9B)の各側の角度位置に位置して該突起にそれぞれ組み合わせられる前記雄の末端具(1)の2つの対応する案内およびロックの補助用の斜面(7a、7b)に対して曲げられることによって固定されることを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−193848(P2012−193848A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−56686(P2012−56686)
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(591136931)
【氏名又は名称原語表記】HUTCHINSON
【Fターム(参考)】