説明

流動体供給装置および流動体供給装置を備えた工作機械

【課題】工作機械において、クーラント液冷却装置を用いることなく、加工の開始直後はクーラント液を所定の温度まで短時間のうちに上昇させるとともに、クーラント液の温度が所定温度に到達した後は、クーラント液の温度上昇を抑制する。
【解決手段】旋削加工の開始直後は、オイルタンク41の内部の区画R1の内部のクーラント液Cだけを循環させることでクーラント液Cの循環量を少なくし、温度センサにより検出されたクーラント液Cの温度が所定の温度に到達した後は、温度に応じて区画Rを仕切る仕切り板41dを順次回転変位させることで、クーラント液Cの循環量を変化させ、クーラント液Cの温度上昇を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流動体供給装置および流動体供給装置を備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流動体である潤滑油や冷却液等のクーラント液を工作機械に供給する流動体供給装置が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記流動体供給装置は、工作機械側にクーラント液を供給するポンプ(流動体送出手段)と、このクーラント液を収容するタンク(収容体)と、クーラント液を予め定められた所定温度に維持する温度維持手段とを備え、工作機械側から排出されるクーラント液を回収し、クーラント液を所定温度に維持するように循環させて工作機械側に供給する。
【0004】
この温度維持手段は、加工の開始直後は、クーラント液がクーラント液冷却装置を通らないようにバイパスさせて循環させることで、クーラント液を所定の温度まで短時間のうちに急上昇させ、クーラント液の温度が所定温度に到達した後は、クーラント液がクーラント液冷却装置を通るように循環回路を切り換えることで、クーラント液をクーラント液冷却装置で冷却し、クーラント液の温度上昇を抑制する。
【0005】
これにより、クーラント液の温度を短時間のうちに前記所定温度まで上昇させ、所定温度に到達した後は、温度を一定に保つことができ、クーラント液の循環に伴う温度上昇に起因する工作機械側の熱変位による加工誤差を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3555913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した先行技術文献によって提案されている技術は、クーラント液の温度が上昇した後は、クーラント液冷却装置を用いてクーラント液の温度を低下させる必要があり、クーラント液冷却装置を構成要素として必須で用いることによる構造の複雑化、コストの上昇、クーラント液冷却装置を稼働することによる電力の消費(環境への負荷増大)が発生する、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る流動体供給装置は、工作機械側に流動体を供給する流動体送出手段と、前記流動体を収容する収容体と、前記流動体を予め定められた所定温度に維持する温度維持手段とを備え、工作機械側から排出される前記流動体を回収し、流動体を所定温度に維持するように循環させて工作機械側に供給する流動体供給装置において、前記温度維持手段を、前記流動体の温度に基づいて流動体の循環量を調節する循環量調節手段により構成したことを特徴としている。
【0009】
これにより、流動体の循環量を調節することで、循環する流動体の熱容量を調節して、流動体の温度を略一定に維持させることができる。
【0010】
したがって、例えば循環量調整手段を、供給開始時の循環量を供給開始に伴い流動体が所定温度に急上昇する程度の量に調整し、流動体が所定温度に到達した後の循環量を流動体の温度上昇に伴って増量させる構成とすることによって、流動体の冷却装置等を必須で用いることなく、例えば、工作機械での加工の開始直後は流動体であるクーラント液を所定の温度まで短時間のうちに急上昇させるとともに、クーラント液の温度が所定温度に到達した後は、クーラント液の温度上昇を順次抑制し、クーラント液の温度を維持することができる。
【0011】
なお、循環量調節手段は、収容体の内部を複数の区画に仕切る仕切り体と、複数の区画を連通させるように開く開閉自在な開閉手段とを設け、この開閉手段を、連通させた区画を流路として流動体を循環させるように、流動体の温度に基づき開閉する構成とすることによって、簡単に提供することができる。
【0012】
また、流動体を、予め各区画内に、その表面の高さ位置が同一となるように収容することによって、流動体の循環量を増量させる際に、循環する流動体の表面積を増加させることができ、流動体の温度維持機能を向上させることができる。
【0013】
これにより、本発明に係る流動体供給装置を備えた本発明に係る工作機械は、クーラント液の温度上昇に起因する熱変位による加工誤差等を防止することができる。
【0014】
また、冷却装置を必須で用いる従来例に比較して、構造が簡単になるとともに、コストの上昇を抑制し、さらに、電力の消費(環境への負荷増大)も抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る流動体供給装置によれば、簡単な構造で、工作機械による加工の開始直後は流動体を所定の温度まで短時間のうちに急上昇させるとともに、流動体の温度が所定温度に到達した後は、流動体の温度上昇を抑制して維持することができる。
【0016】
これにより、特に本発明に係る流動体供給装置を備えた本発明に係る工作機械は、流動体をクーラント液とすることによって、クーラント液の温度を急上昇させ、所定の温度で収束(サチレート)させることによって熱変位を安定させ、熱変位に起因する加工誤差の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る流動体供給装置を備えた工作機械である自動旋盤を示す図である。
【図2】流動体供給装置のオイルタンクの内部を示す斜視図である。
【図3】図2における矢視Hによる区画間が非連通状体の平面図である。
【図4】区画間の連通状態を示す平面図であり、(a)は区画R1と区画R5とが連通した状態、(b)は区画R1と区画R4と区画R5とが連通した状態、(c)は区画R1と区画R3と区画R4と区画R5とが連通した状態、(d)は区画R1と区画R2と区画R3と区画R4と区画R5とが連通した状態、をそれぞれ表す。
【図5】旋削加工開始からの経過時間(横軸)と循環に供されているクーラント液Cの温度(縦軸)との関係を示すグラフであり、実線は本実施形態の場合、破線は従来の場合、をそれぞれ示す。
【図6】可動仕切り板の、他の実施形態を示す斜視図であり、(a)は区画を閉じて区画間を非連通とした状態、(b)は区画を開いて区画間を連通させた状態、をそれぞれ表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る流動体供給装置を備えた工作機械の一実施形態としての自動旋盤100を示す。
【0019】
この自動旋盤100は、ワーク200を把持する主軸11と、前記ワーク200を加工する工具20と、この工具20の近傍でワーク200を支持するガイドブッシュ12とを備えている。
【0020】
主軸11は、回転駆動自在に主軸台30に支持されている。この主軸台30は、主軸11の軸心方向にスライド移動自在にベッド上に搭載されている。これにより、自動旋盤100は、ワーク200と工具20とを当接させ、主軸11の回転駆動や主軸台30の移動等を行うことによって、ワーク200を加工することができる。
【0021】
自動旋盤100には、工具20とワーク200との接触部分(加工部分)に、流動体である潤滑油や冷却液等のクーラント液Cを供給するクーラント液供給装置40が、流動体供給装置40として一体的に備えられている。なお本実施形態においてクーラント液Cは、単なる切削油または単なる冷却液等を含む。
【0022】
クーラント液供給装置40は、内部にクーラント液Cが収容されたオイルタンク41(収容体)と、クーラント液Cが流通するオイルパイプ43と、オイルタンク41内のクーラント液Cをオイルパイプ43に送出するオイルポンプ42と、クーラント液Cの温度を検出する温度検出手段である温度センサ45とを備えている。
【0023】
このクーラント液供給装置40は、クーラント液Cを、オイルパイプ43の先端部に取り付けられたノズル44から吐出させ、前記加工部分に流し掛けるように自動旋盤100に供給することによって、加工部分を冷却し、温度が過度に上昇するのを防止するとともに、工具20とワーク200との間の潤滑状態を確保して焼き付きを防止することができる。
【0024】
前記のように自動旋盤100に供給されたクーラント液Cは、加工によって発生する切り粉とともに自動旋盤100から排出され、オイルタンク41の内部に流し落とされ、オイルポンプ42によって汲み上げられ、オイルパイプ43およびノズル44を通じて、上記接触部分に再度供給される。
【0025】
つまり、クーラント液供給装置40は、クーラント液Cを循環させて使用している。
【0026】
なお、オイルタンク41には、クーラント液Cに混在している切り粉を濾過するストレーナが設けられているが、図示は省略している。
【0027】
オイルタンク41は、図2に示すように、天壁が無い中空の略直方体形状の本体部41aからなる。この本体部41aの内部には、図3に表されるように、本体部41aの一側壁に対して略垂直に固定された複数の仕切り板41bと、各仕切り板41bの間に、仕切り板41bと略平行に固定された仕切り板41cと、隣接する仕切り板41bの端部間に配置された仕切り板41dとが設けられている。
【0028】
仕切り板41dは、それぞれ鉛直方向に沿って延びた軸P回りに独立して回転可能に支持される可動仕切り板を構成している。この可動仕切り板41dは、その姿勢が、仕切り板41bの前記端部を閉塞するように両仕切り板41bの端部と当接する閉姿勢と、この閉姿勢の状態から略90度回転して前記端部から離れる開姿勢とに切り換え可能となっている。
【0029】
仕切り板41cは、本体部41aの周壁および閉姿勢の可動仕切り板41dとの間に隙間が形成され、可動仕切り板41d側の端部が、開姿勢の可動仕切り板41dの端部と当接する長さを有する。
【0030】
なお、開姿勢時の可動仕切り板41dの他端は、本体部41aの周壁と当接する。各仕切り板41a,41b,41cと閉姿勢の可動仕切り板41dとによって、本体部41aの内部は、本体部41aの3つの周壁に沿った略逆C字状に形成された区画R1と、区画R1の内側が平行に4つに分割されて直線状に形成された区画R2,R3,R4,R5との5つの区画に仕切られる。
【0031】
クーラント液Cは、各区画R1,R2,R3,R4,R5内に、同一の油面高さとなるように収容されている。可動仕切り板41dの閉姿勢で、各区画R1,R2,R3,R4,R5の各内部に収容されたクーラント液C同士が、互いに混ざり合うことはない。
【0032】
オイルタンク41は、前述のように自動旋盤100から排出されるクーラント液Cが、本体部41aの内部で外周側の区画R1の一端側に流れ落ちるように配置されている。一方、オイルポンプ42は、区画R1の他端側からクーラント液Cを汲み上げるように設けられている。
【0033】
したがって可動仕切り板41dを全て閉姿勢とすると、区画R1だけを流路とし、区画R1内のクーラント液Cのみが循環して使用される。
【0034】
一方、各可動仕切り板41dを開姿勢とすることによって、区画R1と各可動仕切り板41dに対応する区画R2,R3,R4,R5とが1つの流路として連通する。例えば、図4(a)に示すように、区画R1と区画R5とを仕切る可動仕切り板41dを開姿勢とすると、区画R1の内部と区画R5の内部とが連通する。
【0035】
この場合、区画R1内のクーラント液Cと区画R5内のクーラント液Cとが混ざり合い、区画R1内のクーラント液Cに対して区画R5内のクーラント液Cの分だけ増加したクーラント液Cが、区画R1と区画R5とを流路として循環使用される。クーラント液Cは、仕切り板41cによって、区画R5内での滞留が防止され、上流から下流に向かって連続的に流動する。
【0036】
同様に、図4(b),(c),(d)に示すように、区画R1と、区画R4、区画R3または区画R2とを仕切る可動仕切り板41dを開姿勢とすることによって、区画R1と区画R4、区画R3または区画R2とが連通して、区画R4、区画R3または区画R2のクーラント液Cが区画R1のクーラント液Cとともに循環に使用され、区画R4、区画R3または区画R2が区画R1とともに流路として使用される。
【0037】
したがって、各可動仕切り板41dを閉姿勢から開姿勢に切り換えることによって、流路を拡大しながら、循環に供されるクーラント液Cの量を増加させることができる。例えば各仕切り板41dを一つずつ開姿勢に切り換えることによって、クーラント液Cの量および流路を1つの区画分ずつ増加させることができる。
【0038】
なお、可動仕切り板41dの両側端部は、ゴムやポリウレタン樹脂などの可撓性のある材料で形成するのが好ましく、この場合可動仕切り板41dの両側端部は、可動仕切り板41dが接する仕切り板41b,41cや本体部41a側壁(本体部41aの内側の面)との密着性が向上するため、区画間での仕切り性能や、流路の仕切り性能を向上させることができる。
【0039】
また、クーラント液Cは予め各区画に同一の油面高さとなるように収容されているため、上記のように循環するクーラント液Cの容量を増加させると、液面の表面積も増加する。
【0040】
各可動仕切り板41dは、図示しない循環量制御部46によって開閉が制御されるように構成されている。循環量制御部46は、本実施形態の自動旋盤100における加工動作の制御を行う制御盤(図示略)とすることができる。例えば、該循環量制御部46によりモータを駆動部として可動仕切り板41dを回転させることによって、可動仕切り板41dの開閉を行うことができる。
【0041】
また、前述の温度センサ45は、循環しているクーラント液Cの温度を測定することができるように、区画R1内に設置されている。なお、温度センサ45は、循環しているクーラント液Cの温度を測定することができればどこに設置してもよい。
【0042】
循環量制御部46は、旋削加工の開始時からクーラント液Cの温度が予め設定された所定の温度に到達するまでの期間は、区画R1のクーラント液Cだけを、区画R1を流路の一部として循環させるように、全可動仕切り板41dを閉姿勢とし、クーラント液Cが前記所定温度に到達した後は、温度センサ45によって検出された循環するクーラント液Cの温度に応じて、各可動仕切り板41dを一つずつ順次開姿勢に切り換えるように設定されている。
【0043】
これにより、旋削加工の開始直後は、オイルタンク41に収容されているクーラント液Cの全量に比較して少量の区画R1のクーラント液Cだけが、区画R1だけを流路として循環され、循環しているクーラント液Cの温度は短時間のうちに急上昇する。
【0044】
そして、循環するクーラント液Cの温度が前記所定温度に到達すると、例えば区画R1と区画R5とを仕切る可動仕切り板41dが開姿勢に切り換えられ、循環するクーラント液Cの容量が増加し、循環するクーラント液Cが受容しうる熱容量が増加するため、クーラント液Cの循環の際の温度上昇が抑制される。
【0045】
さらに、循環するクーラント液Cの温度上昇に伴い、順次可動仕切り板41dを開姿勢に姿勢切り換えすることによって、前記同様にクーラント液Cの循環の際の温度上昇が抑制され、クーラント液Cの温度が概ね前記所定温度に維持される。
【0046】
なお、自動旋盤100の稼動停止等によるクーラント液Cの温度下降が発生した場合、クーラント液Cの温度に応じて開閉の加減を行い、クーラント液Cの温度維持を行うこともできる。
【0047】
以上のように、本実施形態の自動旋盤100は、各仕切り板41b,41c,41dと循環量制御部46とによって、クーラント液Cの温度に基づきクーラント液Cの循環量を調節する循環量調節手段が構成され、このクーラント液供給装置40は、循環量調節手段の可動仕切り板41dを回転させることで、その姿勢を変化させる簡単な構造によって、図5に示すように、旋削加工の開始時からクーラント液Cの所定温度への温度上昇に要する時間を短くし、クーラント液Cの温度を所定温度に早期に収束させることができる。
【0048】
つまり、前記循環量調節手段によってクーラント液Cを予め定められた所定温度に維持する温度維持手段が構成されている。このため本クーラント液供給装置40を備えた自動旋盤100は、クーラント液Cの温度上昇に伴う熱変位による加工誤差が抑制され、旋削加工の精度を安定させるまでの経過時間を短縮することができる。
【0049】
なお、クーラント液Cの温度上昇に伴い、クーラント液Cの流路長が順次長くなり、また循環するクーラント液Cの液面の表面積も順次増加するため、クーラント液Cの冷却効果が向上し、クーラント液Cの温度低下も促進され、クーラント液Cの温度上昇を抑制する度合いが順次高められ、クーラント液Cの温度収束を安定して行うことができる。
【0050】
そして、本実施形態に係るクーラント液供給装置40は、クーラント液Cの循環量を変化させてクーラント液Cの熱容量を変化させることで、クーラント液Cの温度の変動を抑制するものであるため、クーラント液Cを人工的に冷却するクーラント冷却部を必須に設ける必要が無く、したがって、クーラント冷却部を稼働させるのに要するエネルギの消費を抑えることができる。
【0051】
また、例えば小型自動旋盤による小物ワークの切削加工は、切削加工に要する時間が短いため、この切削加工の期間と、加工完了したワークの搬出および次に加工するワークの供給に要する時間つまり非切削加工の期間とが頻繁に繰り返されることとなり、クーラント液の温度上昇と下降が繰り返されるため、従来であれば、この温度の変動にしたがってクーラント冷却部のON,OFF動作を繰り返す必要があり、これによって電力消費の増大を招くが、本発明を適用したものでは、そのような電力消費の増大を招くことのない構成の流動体供給装置を提供することができる。
【0052】
なお、前記可動仕切り板41dは、例えば、図6に示すように、各仕切り板41dを、軸Pを有するとともに、90度の角度間隔で4本の脚部e1,e2,e3,e4と軸Pの一端を回転自在に軸支する軸受けe5とが形成された仕切り板支持体41eと、2本の脚部e1,e2を固定支持するとともに軸Pの他端を回転自在に支持する補助板41fとを備えた構成とすることもできる。
【0053】
仕切り板支持体41eの各脚部e1,e2,e3,e4は、それぞれ軸受けe5からの半径方向に沿った板面を有する薄板状に形成され、一組の対角同士の脚部e1および脚部e2が、隣接する仕切り板41bの端部に接続するように形成され、他の一組の対角同士の脚部e3および脚部e4のうち脚部e4が、仕切り板41cの端部に接続し、脚部e3が、本体部41aの周壁(内面)に接続するように形成されている。
【0054】
このように形成された仕切り板41dによれば、図6(a)に示すように、仕切り板41dの両端部が脚部e1,e2に接することで区画Rを閉じ、図6(b)に示すように、仕切り板41dの両端部が脚部e3,e4に接することで区画Rを開くことができる。
【0055】
仕切り板支持体41eは、仕切り板41cと一体的に形成することもできる。
【0056】
なお、各区画R2,R3,R4,R5を区画R1と連通させる順序は、区画R5、区画R4、区画R3、区画R2の順序に限定されるものではなく、区画R2、区画R3、区画R4、区画R5の順序で、区画R1の内部と連通させてもよいし、他の順序で連通させてもよい。
【0057】
また、連通させる区画の数は、一つずつ増加させるものでなくてもよく、温度センサ45によって検出されたクーラント液Cの温度上昇の程度等に応じて、二つ以上の区画を同時に連通させて、循環量を急激に増やすようにしてもよい。
【0058】
なお、上記実施形態においては、工作機械として自動旋盤を適用したものであるが、本発明に係る工作機械は、実施形態の自動旋盤に限定されるものではなく、自動機ではない旋盤装置や、他の工作機械、例えば研削装置や孔開け装置などの、クーラント液Cを循環して使用する工作機械全般に適用可能である。
【0059】
また、本実施形態の自動旋盤100は、クーラント液Cの温度とクーラント液Cの循環量とを線形的に対応する(比例する)させたものではなく、クーラント液Cの所定の温度の範囲では循環量を一定とし、温度の範囲が変わるごとに循環量を段階的(離散的)に変化させるものであるが、クーラント液Cの循環量の変化は、クーラント液Cの温度変化に対して連続的あってもよい。
【0060】
なお、上述した実施形態の自動旋盤100の作用は、機械加工におけるクーラント液の供給方法に相当する。
【符号の説明】
【0061】
11 主軸
12 ガイドブッシュ
20 工具
30 主軸(駆動部)
40 クーラント液供給装置
41 オイルタンク(貯留部)
41a 本体部
41b 仕切り板
41c 仕切り板
41d 可動仕切り板(仕切り板)
100 自動旋盤(工作機械)
200 ワーク
C クーラント液
R1,R2,R3,R4,R5 区画

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械側に流動体を送出する流動体送出手段と、前記流動体を収容する収容体と、前記流動体を予め定められた所定温度に維持する温度維持手段とを備え、前記工作機械側から排出される前記流動体を回収し、前記流動体を所定温度に維持するように循環させて前記工作機械側に供給する流動体供給装置において、
前記温度維持手段を、前記流動体の温度に基づいて前記流動体の循環量を調節する循環量調節手段により構成したことを特徴とする流動体供給装置。
【請求項2】
前記循環量調整手段を、前記流動体の供給開始時における循環量を、供給開始後に前記流動体が前記所定温度に急上昇する程度の量に設定し、前記流動体が所定温度に到達した後の循環量を、前記流動体の温度上昇に伴って増加させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の流動体供給装置。
【請求項3】
前記循環量調整手段が、前記収容体の内部を複数の区画に仕切る仕切り体と、前記複数の区画を連通させるように開く開閉自在な開閉手段とを備え、
前記開閉手段が、連通された区画を流路として前記流動体を循環させるように、前記流動体の温度に基づいて開閉することを特徴とする請求項1または2に記載の流動体供給装置。
【請求項4】
前記流動体を、予め前記各区画内に、表面の高さ位置が同一となるように収容したことを特徴とする請求項3に記載の流動体供給装置。
【請求項5】
前記流動体を、工作機械のワークの加工部分に供給されるクーラント液とし、前記収容体を、前記クーラント液を収容するタンクとしたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の流動体供給装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の流動体供給装置を一体的に備えたことを特徴とする工作機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−31329(P2011−31329A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178689(P2009−178689)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(507207203)シチズンマシナリー株式会社 (22)
【Fターム(参考)】