流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法
【課題】 従来の流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法は、埋設管の施工完了後に、地下水位等による浮力を防止するために、浮力防止材を設置する。しかし、この従来工法では、施工後の浮力を上部に充填した土かぶりで抑えていたため、埋設管の設置する位置が深いデメリットがあった。
【構成】 本発明は、次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法で、第一は対の土留め壁を設置し施工スペースを確保する。第二は土留め壁の下方に埋設管据付け用の板材を設置する。第三は埋設管を捲装する対の浮力防止材を板材に固定する。第四は埋設管を設置する。第五は流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。第五は充填スペースに流動化処理土を充填する。施工の簡易化、低コスト化と、工期の短縮化等が図れる。
【構成】 本発明は、次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法で、第一は対の土留め壁を設置し施工スペースを確保する。第二は土留め壁の下方に埋設管据付け用の板材を設置する。第三は埋設管を捲装する対の浮力防止材を板材に固定する。第四は埋設管を設置する。第五は流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。第五は充填スペースに流動化処理土を充填する。施工の簡易化、低コスト化と、工期の短縮化等が図れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法は、埋設管の施工完了後に、地下水位等による浮力(浮力とする)を防止するために、浮力防止材を設置する。しかし、この従来工法では、施工後の浮力を上部に充填した(打設した)土かぶりで抑えていたため、埋設管の設置する位置(設置とする)が深いデメリットであった。上記に鑑み本発明は、この従来工法のデメリットを解決し、簡易的に浅層に埋設管を設置することができる工法を提供する。即ち、土中に打設した対の土留め壁の下部に板材を固定し、この板材に埋設管を設置し、また当該板材に浮力防止材を定着し、この板材全体で流動化処理土の重量を受け止め、この浮力防止材で埋設管を固定するとともに、この浮力防止材及び/又は板材・対の土留め壁と、この土留め壁にかかる土圧等で埋設管にかかる浮力に対抗可能とすることを意図する。
【0003】
この本発明と関連がある先行文献を挙げると、次の文献(1)〜文献(3)がある。以下、その概要を説明する。
【0004】
文献(1)は、特開平6−249365号の「管路の浮上防止及び管路勾配設定工法」である。その内容は、近時、重量の重い埋設管(埋設用管材)、即ち、ダクタイル管に替り、比重の小さな軽量のFRP管、FRPM管が使用されてきたが、この種のFRP管、FRPM管は、軽量の利点を有する反面、単位長さ当たりの容積に比し自重が小さいので、管埋戻し時に、流動化処理土内での浮力で浮上してしまうという問題があった。この問題点を解決するために、当該文献(1)の発明は、管路を掘削した後、管路に打設した矢板に、予め管路勾配を設定して管路固定具を固定する工程と、この管路固定具上に管を敷設する工程と、この敷設された管の上方から鋏み管浮上防止具をこの管路固定具に固定し、この管を鋏み込み固定する工程と、流動化処理土を管路に投入し管を埋設する工程とからなる構成であって、予め管路勾配を設定して固定された管路固定具により、正確な管路勾配で管が管路に敷設される。またこの管路固定具に固定された管浮上防止具により、管の浮上が防止されること等の特徴がある。
【0005】
文献(2)は、特開平7−317959号の「管埋設工法」である。その内容は、管基床部上に敷設した管の周囲に流動化処理土を投入して管を埋設する流動化処理土による埋設工法である。しかし、この工法は、大量の流動化処理土が必要であり、大量の流動化処理土を作成するプラントも大型のものが必要となり、コスト高となるという問題があった。この問題点を解決するために、当該文献(2)の発明は、予め打設した管基床部上に管を敷設した後、管の周囲に砕石等の塊状物を投入し、塊状物相互間に連続した間隙を生じさせた後、この塊状物相互間の連続した間隙に流動化処理土を投入する構成であって、注入管から流動化処理土を投入しても管が浮上することはなく、注入管から流動化処理土の投入が円滑に行われること、また流動化処理土の使用量が少なくなること等の特徴がある。
【0006】
文献(3)は、特開2004−125100の「管埋設工法」である。その内容は、従来の流動化処理土による埋設工法では、掘削溝を埋設する管の直径に対して少なくとも左右に30cm程度の余裕を持たせて掘削するので、掘削する土砂の量(残土の処分量)が大量になるとともに、埋戻し材料も大量に必要になること、また管と掘削溝の壁面との距離が30cm程度の余裕がある場合、管の周辺部に打設した流動化処理土が固化するまでに2〜4時間と時間がかかり、土砂を転圧するまで待機する必要があり、施工時間が長くなること等の問題があった。この問題点を解決するために、当該文献(3)の発明は、開削工法により地表面下に管を埋設する管埋設工法において、掘削溝を埋設する管の直径に対して左右に最大で10cmの余裕を持たせた極小幅で掘削した後、この掘削溝に管を配設し、この管の直径の1/2を越えない位置まで流動化処理土を充填し、この流動化処理土の上部に直ちに土砂を埋戻して転圧する構成であって、開削工法により地中に管を埋設するときの掘削する土砂量を低減できるとともに、施工時間を大幅に短縮できること、又は埋戻し後の地表面の沈下を確実に防止できること等の特徴がある。
【0007】
【特許文献1】特開平6−249365号
【特許文献2】特開平7−317959号
【特許文献3】特開2004−125100
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
文献(1)は、矢板に管路勾配を設定して管路固定具を固定し、この管路固定具及び/又は鋏み管浮上防止具で管を固定し、流動化処理土を管路に投入し管を埋設する構成である。従って、小径の管の場合には適する反面、大径の管の場合には、不都合と考えられる。また板材の代替として管基床部を打設する従来の工法であり、現場作業の複雑化を招来し、また基材の提供と、その打設作業に手間を要する等の問題点が考えられる。また地盤によっては、その施工に困難性が考えられる。
【0009】
また文献(2)は、管基床部上に管を敷設し、砕石等の塊状物を投入し、塊状物相互間に連続して形成された間隙に流動化処理土を投入する構成である。従って、砕石等の塊状物を投入という作業が必要となり、現場作業の複雑化を招来し、また塊状物の提供と、その投入作業に手間を要する等の問題点が考えられる。また地盤よっては、その施工に困難性が考えられる。さらに流動化処理土(廃棄物処理)の拡充を意図する業界の流れに適しないことが考えられる。
【0010】
さらに文献(3)は、開削工法により掘削溝を埋設する管の直径に対して左右に最大で10cmの余裕を持たせた極小幅で掘削し、この掘削溝に管を配設し、この管の直径の1/2を越えない位置まで流動化処理土を充填し後、土砂を埋戻して転圧する構成である。従って、ガス管等の如く、小径の管の場合には適する反面、大径の管の場合には、不都合と考えられる。またこの工法は、開削工法で穿孔した布堀部の両端に土のうを積み上げる構成であるので、小径の管を浅い土中(地中)に埋設するには適するが、大径の管を所定の土中に埋設するには問題がある。また板材、管基床部に浮上防止材で、地下水位及び/又は流動化処理土の充填等(地下水位等)で発生する浮力を抑制する構成でないので、前述と同様に小径の管を浅い土中に埋設する工事に限定されるものと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、流動化処理土、処理土等の充填材を利用した浅層埋設管の埋戻工法を提案することで、板材に固定した浮力防止材により埋設管と周辺の原料土(建設発生土)と固化材、水を混合した流動化処理土、処理土等の充填材及び/又は地中の土砂との一体が図れ、埋設管に対する地下水位等で発生する浮力による持ち上がりを防止することを意図する。
【0012】
また請求項1の発明では、次のようなことを達成することを意図する。(1) 建設発生土の有効利用が図れる。(2) 掘削及び/又は埋戻断面の縮小を図る。(3) 土留め壁(矢板等の土留め材)の長さが短くなる。(4) 施工完了後、地下水位等による浮力を防止するための浮力防止材を板材に設置する。(5) 管設置位置が深い従来工法に替り、簡易的に浅層に埋設管を設置する。(6) 埋設管下部に設置した板材に浮力防止材を定着させ、土の重量を板材全体で受け止め、浮力防止材にかかる浮力を抑制する。
【0013】
この請求項1では、次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法であって、
第一の工程は、埋設対象地盤を掘削し壁(必要により、例えば、地下水位が高い場合は仮締切りとなる止水性の壁とする)を施工し、少なくとも埋設管両側面に200〜400mm程度の幅の施工スペースを確保し、必要により、前記壁間の適所に切梁を設置する。
第二の工程は、前記壁の下方に埋設管据付の基礎となり得る板材を設置する。
第三の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装し、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材の下端を、この板材に固定する。
第四の工程は、必要により、前記埋設管据付の基礎となり得る埋設管支持部材を、板材の上に設置する。
第五の工程は、この板材及び/又は埋設管支持部材に、埋設管を設置し、この埋設管と前記施工スペースとの間に流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。
第六の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装した前記対の浮力防止材で、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制するとともに、この対の浮力防止材を利用して浮力を板材に伝達する。
第七の工程は、充填材を、前記充填スペースに充填し、前記切梁を取外し、現場発生土砂の埋戻しをする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1と同じ意図であるが、より施工の簡易化、低コスト化と、工期の短縮化等を意図し、切梁及び/又は埋設管支持部材の付設を省略する。
【0015】
この請求項2では、次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法であって、
第一の工程は、埋設対象地盤を掘削し壁(必要により、例えば、地下水位が高い場合は仮締切りとなる止水性の壁とする)を施工し、少なくとも埋設管両側面に200〜400mm程度の施工スペースを確保する。
第二の工程は、前記壁の下方に埋設管据付の基礎となり得る板材を設置する。
第三の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装し、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材の下端を、この板材に固定する。
第四の工程は、この板材に、埋設管を設置し、この埋設管と前記施工スペースとの間に流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。
第五の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装した前記対の浮力防止材で、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制するとともに、この対の浮力防止材を利用して浮力を板材に伝達する。
第六の工程は、充填材を、前記充填スペースに充填し、必要により現場発生土砂の埋戻しをする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な掘削周辺地盤への影響の軽減を意図して対の土留め壁を設置する浅層埋設工法を提供することを意図する。
【0017】
請求項3では、請求項1、請求項2に記載の埋設対象地盤を掘削するに際し、この掘削周辺地盤への影響の軽減を意図して対の土留め壁を設置した後に行う構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な対の浮力防止材の連結(結合)手段を提供することを意図する。
【0019】
この請求項4では、請求項1、請求項2に記載の対の浮力防止材の上部端部を、ターンバックル、溶接、面ファスナー、接着等の物理的な手段で連結する流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な対の土留め壁を提供することを意図する。
【0021】
この請求項5では、請求項1、請求項2に記載の土留め壁を、建屋等の構造物、道路、鉄道等の公共構造物への影響を回避するために、安息角度を確保して設置する流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な埋設管の構造を提供することを意図する。
【0023】
この請求項6では、請求項1、請求項2に記載の埋設管に、重量物を内蔵する流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0024】
請求項7の発明は、請求項1、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な板材の構造を提供することを意図する。
【0025】
この請求項7では、請求項1、請求項2に記載の板材を、壁間に隙間なく設置する構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明は、次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法であって、
第一の工程は、埋設対象地盤を掘削し壁を施工し、少なくとも埋設管両側面に200〜400mm程度の幅の施工スペースを確保し、必要により、壁間の適所に切梁を設置する。
第二の工程は、壁の下方に埋設管据付の基礎となり得る板材を設置する。
第三の工程は、埋設管の略上部の1/2を捲装し、埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材の下端を、板材に固定する。
第四の工程は、必要により、埋設管据付の基礎となり得る埋設管支持部材を、板材の上に設置する。
第五の工程は、板材及び/又は埋設管支持部材に、埋設管を設置し、埋設管と前記施工スペースとの間に流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。
第六の工程は、埋設管の略上部の1/2を捲装した対の浮力防止材で、埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制するとともに、対の浮力防止材を利用して浮力を板材に伝達する。
第七の工程は、充填材を、充填スペースに充填し、切梁を取外し、現場発生土砂の埋戻しをする。
【0027】
従って、請求項1は、流動化処理土、処理土等の充填材を利用した浅層埋設管の埋戻工法を提案することで、板材に固定した浮力防止材により埋設管と周辺の原料土(建設発生土)と固化材、水を混合した流動化処理土、処理土等の充填材及び/又は地中の土砂との一体が図れ、埋設管に対する地下水位等で発生する浮力による持ち上がりを防止できる特徴がある。
【0028】
また請求項1の発明では、次のような内容を達成できる特徴がある。(1) 建設発生土の有効利用が図れる。(2) 掘削及び/又は埋戻断面の縮小が図れる。(3) 土留め壁(矢板等の土留め材)の長さが短くできる。(4) 施工完了後、地下水位等による浮力を防止するための浮力防止材を板材に設置できる。(5) 管設置位置が深い従来工法に替り、簡易的に浅層に埋設管を設置することができる。(6) 埋設管下部に設置した板材に浮力防止材を定着させ、土の重量を板材全体で受け止め、浮力防止材にかかる浮力を抑制できる。
【0029】
請求項2の発明は、次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法であって、
第一の工程は、埋設対象地盤を掘削し壁を施工し、少なくとも埋設管両側面に200〜400mm程度の幅の施工スペースを確保する。
第二の工程は、壁の下方に埋設管据付の基礎となり得る板材を設置する。
第三の工程は、埋設管の略上部の1/2を捲装し、埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材の下端を、板材に固定する。
第四の工程は、板材に、埋設管を設置し、埋設管と前記施工スペースとの間に流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。
第五の工程は、埋設管の略上部の1/2を捲装した対の浮力防止材で、埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制するとともに、対の浮力防止材を利用して浮力を板材に伝達する。
第六の工程は、充填材を、充填スペースに充填し、必要により現場発生土砂の埋戻しをする。
【0030】
従って、請求項2は、請求項1と同じ意図を達成できること、またより施工の簡易化、低コスト化と、工期の短縮化等が図れること、さらに切梁及び/又は埋設管支持部材の付設を省略できることなどの特徴がある。
【0031】
請求項3の発明は、請求項1、請求項2に記載の埋設対象地盤を掘削するに際し、掘削周辺地盤への影響の軽減を意図して対の土留め壁を設置した後に行う流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0032】
従って、請求項3は、請求項1、請求項2の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な掘削周辺地盤への影響の軽減を意図して対の土留め壁を設置する浅層埋設工法を提供できること等の特徴がある。
【0033】
請求項4の発明は、請求項1、請求項2に記載の対の浮力防止材の上部端部を、ターンバックル、溶接、面ファスナー、接着等の物理的な手段で連結する流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0034】
従って、請求項4は、請求項1、請求項2の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な対の浮力防止材の連結(結合)手段を提供できること等の特徴がある。
【0035】
請求項5の発明は、請求項1、請求項2に記載の土留め壁を、建屋等の構造物、道路、鉄道等の公共構造物への影響を回避するために、安息角度を確保して設置する流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0036】
従って、請求項5は、請求項1、請求項2の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な対の土留め壁を提供できること等の特徴がある。
【0037】
請求項6の発明は、請求項1、請求項2に記載の埋設管に、重量物を内蔵する流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0038】
従って、請求項6は、請求項1、請求項2の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な埋設管を提供できること等の特徴がある。
【0039】
請求項7の発明は、請求項1、請求項2に記載の板材を、壁間に隙間なく設置する構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0040】
従って、請求項7は、請求項1、請求項2の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な板材の構造を提供できること等の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の好ましい一実施例を説明する。
【0042】
◎ 先ず土留め壁を打設する埋設工法に関し、「1」〜「8」と分説する。
【0043】
「1」 土留め壁設置と、掘削及び/又は床付けを行う工程を説明する。
【0044】
この工程の目的は、周辺地盤への影響を軽減するため、土留め壁1、1(対の時には単独の数字とする)を設置(圧入、打設等)する。この土留め壁1は、地盤に見合った材料を使用する。例えば、鋼矢板、H鋼+矢板、連続地中壁等とする。そして、この土留め壁1を構築する土木機械としては、クレーン、圧入機、バイブロ、連続壁を施工する機械、トレンチャー、パワーブレンド、TRD(商品名:商標)、SMW(商品名:商標)等が望ましい。
【0045】
この土留め壁1を設置した後、掘削して施工スペース2を確保する。尚、地下水位が高い場合は仮締切り(止水性の壁)を施工する。この掘削の際に、従来工法であれば、埋設管3の両側面に施工スペースを500mm程度設けるが本工法は必要としないために、その分横方向の掘削土量が少なくなる。尚、土留め壁1の設置は、建屋等の構造物、道路、鉄道等の公共構造物Hへの影響を回避するために、安息角度Aを確保して設置する。
【0046】
「2」 仮設材の設置(必要に応じて)及び/又は板材の設置の工程を説明する。
【0047】
この工程の目的は、土留め壁1の崩壊を防ぐためと、崩壊の危険性がある場合、又は安全管理、規則等を考慮し、その状況によって仮設材を順次及び/又は必要とする時に設置する。この例では、腹起し400及び/又は切梁4と、また覆工板401等を設置し、前記崩壊を防止、安全性の確保等を意図する。勿論、この仮設材は、周辺地盤や掘削深さ等を考慮して設計するが、必要としない場合もある。何れにしても、従来工法より掘削幅の縮小により切梁4の長さは短くて済み有効であること、設置の簡便化、低コスト化等が図れること等の特徴がある。
【0048】
その後、前記施工スペース2の底面200にコンクリート板材、鋼板、複合板材等の板材5を設ける。この板材5には対の浮力防止材6を固着(定着)させる。この板材5は、施工スペース2と埋設管3とで形成される空間(充填スペース201)に打設される流動化処理土、処理土等の充填材7及び/又は埋戻し土砂8(現場発生土砂)の重量に耐え得る構造である。またこの板材5は埋設管3にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材6の支持体としての役割を備えており、埋設管3の浮力に耐え得る構造である。また板材5は埋設管3の設置(据付)の基礎になる。またこの板材5は、埋設管3の長さ方向に必要とする面積比を確保できる構造とするので、例えば、土留め壁1(掘削壁1a)の下方の支持及び/又は土圧対抗手段としての機能を備えること、板材5自身の浮上回避、土圧による破壊回避を図ること等を意図する。
【0049】
尚、板材5を、土留め壁1(掘削壁1a)間に隙間なく設置することで、この土留め壁1(掘削壁1a)の補強に役立ち、例えば、当該土留め壁1(掘削壁1a)の転倒防止、崩壊防止と、その補強工事の簡略化等に役立つものと考えられる。
【0050】
この切梁4は、現場に応じ変化するがコンクリート、コンクリート2次製品、鋼製の製品等を使用する。そして、この切梁4の施工には、現場に応じ変化するがクレーン、コンクリート打設に必要な機械等を使用する。
【0051】
「3」 浮力防止材及び/又は埋設管(FRPM管、鋼製管、ヒューム管)等の設置の工程を説明する。
【0052】
この工程の目的は、対の浮力防止材6を介して板材5に埋設管3を緊締して施工完了後において、この埋設管3にかかる浮力を下部の板材5に伝達する役割がある。この浮力とは、板材5に埋設管3を施工完了後において、地下水位等により埋設管3に発生する浮力である。また施工時の浮力対策にもなる。その他の工法としては、例えば、施工時には別途上部から押さえる工法、また管内部に重量物(図示せず)を挿入する等の浮力対策を講じる場合もある。そして、この浮力防止材6を板材5に固着する施工順序は、この板材5を土留め壁1に固着した後にするか、予め板材5に固着した後に、土留め壁1に固着するか、或いは埋設管3を板材5等に設置した後に固着するかは自由である。しかし、望ましい工法は、板材5を固着した後に、浮力防止材6を固着し、この浮力防止材6間に埋設管3を設置し、その後、浮力防止材6の上部端部を連結(結合)し、この埋設管3を緊結する施工順序である。この施工順序が、埋設管3を板材5に設けた浮力防止材6間に設置する容易性と、及び/又は施工スペース2等の狭隘な空間に設置された埋設管3の連結の容易性、確実性等において有益である。
【0053】
この浮力防止材6は、鋼製及び/又は合成樹脂等で加工されているバンド等、鉄筋、丸鋼などが考えられる。また浮力防止材6の緊締(結合)手段は、ターンバックル、溶接、面ファスナー、接着等の物理的な手段が簡便、かつ迅速に対応できて有益である。そして、埋設管3の取扱いは人力作業、荷降ろし機械等を採用して行う。
【0054】
「4」 埋設管支持部材を採用する埋設管の設置の工程を説明する。
【0055】
この工程の目的は、埋設管支持部材10により埋設管3を設置する他の例を示しており、この例では埋設管支持部材10の上面を曲面とし、埋設管3との馴染みを図って安定設置を図る。また埋設管3の位置の修正として利用し、埋設管3を設計の位置に埋設すること、板材5の歪み解消と、板材5の他の問題の解消等に役立てる。この埋設管支持部材10は必要により設ける工程である。
【0056】
この埋設管支持部材10は、コンクリート、コンクリート2次製品、鋼製、木材、充填材等の材料である。またこの埋設管支持部材10に緩衝効果を付与し、施工の安全性と容易化を図ることも可能である(他の例も同じ)。さらにこの埋設管支持部材10は、埋設管3に着脱自在として、自由な使用と、高さの調整と、また埋設位置の調整及び/又は地盤等の変化に対応できる構造が理想である。
【0057】
尚、板材5は板状形状で説明したが、図示しない蛇篭方式も可能であり、この蛇篭は、例えば、イ) 土留め壁1(掘削壁1a)間に略隙間なく設置する板状であって、かつ所定の長手方向(間隔方向に直交する方向)に所定の長さを備えた形状とする例、またロ) 土留め壁1(掘削壁1a)間に分割した二連の棒状であって、かつ所定の長手方向(間隔方向に直交する方向)に所定の長さを備えた形状とする例、等が考えられるが限定されない。そして、この蛇篭方式は、地下水の発生し易い地盤(地中)、軟弱地盤、変形地盤等に適する工法である。
【0058】
「5」 浮力防止材の連結の工程を説明する。
【0059】
この工程の目的は、埋設管3を板材5及び/又は埋設管支持部材10への設置を完了した後、所定の位置に設置された段階で、予め設置されている浮力防止材6を埋設管3の上方で連結する。尚、前述の如く、埋設管3を設置後に浮力防止材6を設置し、前述の作業をすることも場合により可能である。
【0060】
「6」 流動化処理土等による埋戻し工程を説明する。
【0061】
この工程の目的は、流動化処理土・処理土等の充填材7(流動化処理土7とする)は流動性に富んでいるので締固め及び/又は転圧等の作業を必要としない利点があって、例えば、現場作業スペースの省力化、汎用性の向上、又は交通、歩行の障害回避が図れて有益である。さらには埋設作業等において、施工スピードの向上と、施工工期の短縮化、低コスト化に役立つ利点がある。
【0062】
尚、流動化処理土7の他の例としては、これと同等な効果のある材料、又は流動化処理土7と砂や山砂、現場発生土、フライアッシュ等を組合わせて構成した材料(混練材料)の場合も可能である。そして、各種の廃棄物(廃材)を利用することで、産業廃材の有効利用と、その廃棄に基づく弊害の解消と、環境保護、また資源の有効利用が図れる。尚、この流動化処理土7の単独使用に限定されず、例えば、埋設管3の下半分は、流動化処理土7を、他を埋戻し土砂8(現場発生土砂)を使用する。この例では現場で発生する土砂の取扱い(処理)の容易化と、土砂の搬送による問題の解消等を意図する。尚、流動化処理土7の投入(打設)は、施工時のそれぞれの浮力に対応するために2回〜数回に分けて施工することも考えられる。
【0063】
「7」 仮設材撤去及び/又は上部埋戻し工程を説明する。
【0064】
この工程の目的は、必要により設けられた仮設材(腹起し400及び/又は切梁4と、また覆工板401等)を順次従来と同様に撤去し復旧する。そして、周辺の地盤を考慮した場合、土留め壁1及び/又は仮設材を残置する場合も考えられる。この仮設材撤去後の表面付近は、流動化処理土7、砂、山砂、現地発生土等により現況復旧をする。
【0065】
そして、本発明の適用箇所の一例を説明すると、: 管路新設・修理等による交換 : 既設管路(開水路等)の地下化・修理等による交換 : 水路、ガス管、電気等ライフラインの地下化・修理等による交換等が考えられる。
【0066】
「8」 埋設管支持部材を採用しない流動化処理土等による埋戻し工程を説明する。
【0067】
この例では、板材5に直接埋設管3を設置する。勿論、必要により回転防止手段及び/又は緩衝材等を設け、施工の安全性と容易化を図ることは可能である(他の例も同じ)。
【0068】
前述した各施工手順は、好ましい一例であり、地盤、埋設環境、交通量等の状況で変更される。そして、この施工手順が異なっても、本発明の思想の範疇であれば、その実施態様となる。
【0069】
◎ 次にオープンカット工法を説明する。
【0070】
「9」はオープンカット工法であり、この例は、図9〜図11に示してある。この工法は、オープンカットにより掘削壁1aを崩壊しない角度(安息角度A)で掘削して施工スペース2を確保する。この施工スペース2の底面200に前述の例と同様に、板材5を設ける。この板材5には対の浮力防止材6を固着(定着)させる。この板材5は、施工スペース2と埋設管3とで形成される空間(充填スペース201)に打設される流動化処理土7及び/又は埋戻し土砂8(現場発生土砂)の重量に耐え得る構造である。そして、この例では、施工時の浮力対策として、流動化処理土7を一時的に停止(打ち止め)することも可能であり、その一例を矢印イとして示す。具体的には、図示の角度と打ち止め位置が理想である。その後、次の流動化処理土7及び/又は埋戻し土砂8を打設する。図11は流動化処理土7等を充填又は必要時に設けた各部材を撤去した模式図である。そして、その他の各工程、手順等は前述の例に準ずる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】土留め壁設置と、掘削及び/又は床付けを行う工程を説明する模式図
【図2】仮設材の設置(必要に応じて)及び/又は板材の設置の工程を説明する模式図
【図3】浮力防止材の設置の工程を説明する模式図
【図4】埋設管支持部材設置を採用する及び/又は埋設管(FRPM管、鋼製管、ヒューム管)等の設置の工程を説明する模式図
【図5】浮力防止材の連結の工程を説明する模式図
【図6】流動化処理土等による埋戻し工程を説明する模式図
【図7】仮設材撤去及び/又は上部埋戻し工程を説明する模式図
【図8】埋設管支持部材設置を採用しない埋設管の設置の工程を説明する模式図
【図9】オープンカット工法による掘削及び/又は板材・浮力防止材等の設置の工程を説明する模式図
【図10】図9の例における流動化処理土7の打ち止め工程を説明する模式図
【図11】図9の例の埋設管の設置の工程を説明する模式図
【符号の説明】
【0072】
1 土留め壁
1a 掘削壁
2 施工スペース
200 底面
201 充填スペース
3 埋設管
4 切梁
400 腹起し
401 覆工板
5 板材
6 浮力防止材
7 流動化処理土
8 土砂
10 埋設管支持部材
A 安息角度
H 公共構造物
イ 矢印
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法は、埋設管の施工完了後に、地下水位等による浮力(浮力とする)を防止するために、浮力防止材を設置する。しかし、この従来工法では、施工後の浮力を上部に充填した(打設した)土かぶりで抑えていたため、埋設管の設置する位置(設置とする)が深いデメリットであった。上記に鑑み本発明は、この従来工法のデメリットを解決し、簡易的に浅層に埋設管を設置することができる工法を提供する。即ち、土中に打設した対の土留め壁の下部に板材を固定し、この板材に埋設管を設置し、また当該板材に浮力防止材を定着し、この板材全体で流動化処理土の重量を受け止め、この浮力防止材で埋設管を固定するとともに、この浮力防止材及び/又は板材・対の土留め壁と、この土留め壁にかかる土圧等で埋設管にかかる浮力に対抗可能とすることを意図する。
【0003】
この本発明と関連がある先行文献を挙げると、次の文献(1)〜文献(3)がある。以下、その概要を説明する。
【0004】
文献(1)は、特開平6−249365号の「管路の浮上防止及び管路勾配設定工法」である。その内容は、近時、重量の重い埋設管(埋設用管材)、即ち、ダクタイル管に替り、比重の小さな軽量のFRP管、FRPM管が使用されてきたが、この種のFRP管、FRPM管は、軽量の利点を有する反面、単位長さ当たりの容積に比し自重が小さいので、管埋戻し時に、流動化処理土内での浮力で浮上してしまうという問題があった。この問題点を解決するために、当該文献(1)の発明は、管路を掘削した後、管路に打設した矢板に、予め管路勾配を設定して管路固定具を固定する工程と、この管路固定具上に管を敷設する工程と、この敷設された管の上方から鋏み管浮上防止具をこの管路固定具に固定し、この管を鋏み込み固定する工程と、流動化処理土を管路に投入し管を埋設する工程とからなる構成であって、予め管路勾配を設定して固定された管路固定具により、正確な管路勾配で管が管路に敷設される。またこの管路固定具に固定された管浮上防止具により、管の浮上が防止されること等の特徴がある。
【0005】
文献(2)は、特開平7−317959号の「管埋設工法」である。その内容は、管基床部上に敷設した管の周囲に流動化処理土を投入して管を埋設する流動化処理土による埋設工法である。しかし、この工法は、大量の流動化処理土が必要であり、大量の流動化処理土を作成するプラントも大型のものが必要となり、コスト高となるという問題があった。この問題点を解決するために、当該文献(2)の発明は、予め打設した管基床部上に管を敷設した後、管の周囲に砕石等の塊状物を投入し、塊状物相互間に連続した間隙を生じさせた後、この塊状物相互間の連続した間隙に流動化処理土を投入する構成であって、注入管から流動化処理土を投入しても管が浮上することはなく、注入管から流動化処理土の投入が円滑に行われること、また流動化処理土の使用量が少なくなること等の特徴がある。
【0006】
文献(3)は、特開2004−125100の「管埋設工法」である。その内容は、従来の流動化処理土による埋設工法では、掘削溝を埋設する管の直径に対して少なくとも左右に30cm程度の余裕を持たせて掘削するので、掘削する土砂の量(残土の処分量)が大量になるとともに、埋戻し材料も大量に必要になること、また管と掘削溝の壁面との距離が30cm程度の余裕がある場合、管の周辺部に打設した流動化処理土が固化するまでに2〜4時間と時間がかかり、土砂を転圧するまで待機する必要があり、施工時間が長くなること等の問題があった。この問題点を解決するために、当該文献(3)の発明は、開削工法により地表面下に管を埋設する管埋設工法において、掘削溝を埋設する管の直径に対して左右に最大で10cmの余裕を持たせた極小幅で掘削した後、この掘削溝に管を配設し、この管の直径の1/2を越えない位置まで流動化処理土を充填し、この流動化処理土の上部に直ちに土砂を埋戻して転圧する構成であって、開削工法により地中に管を埋設するときの掘削する土砂量を低減できるとともに、施工時間を大幅に短縮できること、又は埋戻し後の地表面の沈下を確実に防止できること等の特徴がある。
【0007】
【特許文献1】特開平6−249365号
【特許文献2】特開平7−317959号
【特許文献3】特開2004−125100
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
文献(1)は、矢板に管路勾配を設定して管路固定具を固定し、この管路固定具及び/又は鋏み管浮上防止具で管を固定し、流動化処理土を管路に投入し管を埋設する構成である。従って、小径の管の場合には適する反面、大径の管の場合には、不都合と考えられる。また板材の代替として管基床部を打設する従来の工法であり、現場作業の複雑化を招来し、また基材の提供と、その打設作業に手間を要する等の問題点が考えられる。また地盤によっては、その施工に困難性が考えられる。
【0009】
また文献(2)は、管基床部上に管を敷設し、砕石等の塊状物を投入し、塊状物相互間に連続して形成された間隙に流動化処理土を投入する構成である。従って、砕石等の塊状物を投入という作業が必要となり、現場作業の複雑化を招来し、また塊状物の提供と、その投入作業に手間を要する等の問題点が考えられる。また地盤よっては、その施工に困難性が考えられる。さらに流動化処理土(廃棄物処理)の拡充を意図する業界の流れに適しないことが考えられる。
【0010】
さらに文献(3)は、開削工法により掘削溝を埋設する管の直径に対して左右に最大で10cmの余裕を持たせた極小幅で掘削し、この掘削溝に管を配設し、この管の直径の1/2を越えない位置まで流動化処理土を充填し後、土砂を埋戻して転圧する構成である。従って、ガス管等の如く、小径の管の場合には適する反面、大径の管の場合には、不都合と考えられる。またこの工法は、開削工法で穿孔した布堀部の両端に土のうを積み上げる構成であるので、小径の管を浅い土中(地中)に埋設するには適するが、大径の管を所定の土中に埋設するには問題がある。また板材、管基床部に浮上防止材で、地下水位及び/又は流動化処理土の充填等(地下水位等)で発生する浮力を抑制する構成でないので、前述と同様に小径の管を浅い土中に埋設する工事に限定されるものと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、流動化処理土、処理土等の充填材を利用した浅層埋設管の埋戻工法を提案することで、板材に固定した浮力防止材により埋設管と周辺の原料土(建設発生土)と固化材、水を混合した流動化処理土、処理土等の充填材及び/又は地中の土砂との一体が図れ、埋設管に対する地下水位等で発生する浮力による持ち上がりを防止することを意図する。
【0012】
また請求項1の発明では、次のようなことを達成することを意図する。(1) 建設発生土の有効利用が図れる。(2) 掘削及び/又は埋戻断面の縮小を図る。(3) 土留め壁(矢板等の土留め材)の長さが短くなる。(4) 施工完了後、地下水位等による浮力を防止するための浮力防止材を板材に設置する。(5) 管設置位置が深い従来工法に替り、簡易的に浅層に埋設管を設置する。(6) 埋設管下部に設置した板材に浮力防止材を定着させ、土の重量を板材全体で受け止め、浮力防止材にかかる浮力を抑制する。
【0013】
この請求項1では、次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法であって、
第一の工程は、埋設対象地盤を掘削し壁(必要により、例えば、地下水位が高い場合は仮締切りとなる止水性の壁とする)を施工し、少なくとも埋設管両側面に200〜400mm程度の幅の施工スペースを確保し、必要により、前記壁間の適所に切梁を設置する。
第二の工程は、前記壁の下方に埋設管据付の基礎となり得る板材を設置する。
第三の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装し、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材の下端を、この板材に固定する。
第四の工程は、必要により、前記埋設管据付の基礎となり得る埋設管支持部材を、板材の上に設置する。
第五の工程は、この板材及び/又は埋設管支持部材に、埋設管を設置し、この埋設管と前記施工スペースとの間に流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。
第六の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装した前記対の浮力防止材で、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制するとともに、この対の浮力防止材を利用して浮力を板材に伝達する。
第七の工程は、充填材を、前記充填スペースに充填し、前記切梁を取外し、現場発生土砂の埋戻しをする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1と同じ意図であるが、より施工の簡易化、低コスト化と、工期の短縮化等を意図し、切梁及び/又は埋設管支持部材の付設を省略する。
【0015】
この請求項2では、次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法であって、
第一の工程は、埋設対象地盤を掘削し壁(必要により、例えば、地下水位が高い場合は仮締切りとなる止水性の壁とする)を施工し、少なくとも埋設管両側面に200〜400mm程度の施工スペースを確保する。
第二の工程は、前記壁の下方に埋設管据付の基礎となり得る板材を設置する。
第三の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装し、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材の下端を、この板材に固定する。
第四の工程は、この板材に、埋設管を設置し、この埋設管と前記施工スペースとの間に流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。
第五の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装した前記対の浮力防止材で、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制するとともに、この対の浮力防止材を利用して浮力を板材に伝達する。
第六の工程は、充填材を、前記充填スペースに充填し、必要により現場発生土砂の埋戻しをする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な掘削周辺地盤への影響の軽減を意図して対の土留め壁を設置する浅層埋設工法を提供することを意図する。
【0017】
請求項3では、請求項1、請求項2に記載の埋設対象地盤を掘削するに際し、この掘削周辺地盤への影響の軽減を意図して対の土留め壁を設置した後に行う構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な対の浮力防止材の連結(結合)手段を提供することを意図する。
【0019】
この請求項4では、請求項1、請求項2に記載の対の浮力防止材の上部端部を、ターンバックル、溶接、面ファスナー、接着等の物理的な手段で連結する流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な対の土留め壁を提供することを意図する。
【0021】
この請求項5では、請求項1、請求項2に記載の土留め壁を、建屋等の構造物、道路、鉄道等の公共構造物への影響を回避するために、安息角度を確保して設置する流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な埋設管の構造を提供することを意図する。
【0023】
この請求項6では、請求項1、請求項2に記載の埋設管に、重量物を内蔵する流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0024】
請求項7の発明は、請求項1、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な板材の構造を提供することを意図する。
【0025】
この請求項7では、請求項1、請求項2に記載の板材を、壁間に隙間なく設置する構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明は、次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法であって、
第一の工程は、埋設対象地盤を掘削し壁を施工し、少なくとも埋設管両側面に200〜400mm程度の幅の施工スペースを確保し、必要により、壁間の適所に切梁を設置する。
第二の工程は、壁の下方に埋設管据付の基礎となり得る板材を設置する。
第三の工程は、埋設管の略上部の1/2を捲装し、埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材の下端を、板材に固定する。
第四の工程は、必要により、埋設管据付の基礎となり得る埋設管支持部材を、板材の上に設置する。
第五の工程は、板材及び/又は埋設管支持部材に、埋設管を設置し、埋設管と前記施工スペースとの間に流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。
第六の工程は、埋設管の略上部の1/2を捲装した対の浮力防止材で、埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制するとともに、対の浮力防止材を利用して浮力を板材に伝達する。
第七の工程は、充填材を、充填スペースに充填し、切梁を取外し、現場発生土砂の埋戻しをする。
【0027】
従って、請求項1は、流動化処理土、処理土等の充填材を利用した浅層埋設管の埋戻工法を提案することで、板材に固定した浮力防止材により埋設管と周辺の原料土(建設発生土)と固化材、水を混合した流動化処理土、処理土等の充填材及び/又は地中の土砂との一体が図れ、埋設管に対する地下水位等で発生する浮力による持ち上がりを防止できる特徴がある。
【0028】
また請求項1の発明では、次のような内容を達成できる特徴がある。(1) 建設発生土の有効利用が図れる。(2) 掘削及び/又は埋戻断面の縮小が図れる。(3) 土留め壁(矢板等の土留め材)の長さが短くできる。(4) 施工完了後、地下水位等による浮力を防止するための浮力防止材を板材に設置できる。(5) 管設置位置が深い従来工法に替り、簡易的に浅層に埋設管を設置することができる。(6) 埋設管下部に設置した板材に浮力防止材を定着させ、土の重量を板材全体で受け止め、浮力防止材にかかる浮力を抑制できる。
【0029】
請求項2の発明は、次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法であって、
第一の工程は、埋設対象地盤を掘削し壁を施工し、少なくとも埋設管両側面に200〜400mm程度の幅の施工スペースを確保する。
第二の工程は、壁の下方に埋設管据付の基礎となり得る板材を設置する。
第三の工程は、埋設管の略上部の1/2を捲装し、埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材の下端を、板材に固定する。
第四の工程は、板材に、埋設管を設置し、埋設管と前記施工スペースとの間に流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。
第五の工程は、埋設管の略上部の1/2を捲装した対の浮力防止材で、埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制するとともに、対の浮力防止材を利用して浮力を板材に伝達する。
第六の工程は、充填材を、充填スペースに充填し、必要により現場発生土砂の埋戻しをする。
【0030】
従って、請求項2は、請求項1と同じ意図を達成できること、またより施工の簡易化、低コスト化と、工期の短縮化等が図れること、さらに切梁及び/又は埋設管支持部材の付設を省略できることなどの特徴がある。
【0031】
請求項3の発明は、請求項1、請求項2に記載の埋設対象地盤を掘削するに際し、掘削周辺地盤への影響の軽減を意図して対の土留め壁を設置した後に行う流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0032】
従って、請求項3は、請求項1、請求項2の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な掘削周辺地盤への影響の軽減を意図して対の土留め壁を設置する浅層埋設工法を提供できること等の特徴がある。
【0033】
請求項4の発明は、請求項1、請求項2に記載の対の浮力防止材の上部端部を、ターンバックル、溶接、面ファスナー、接着等の物理的な手段で連結する流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0034】
従って、請求項4は、請求項1、請求項2の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な対の浮力防止材の連結(結合)手段を提供できること等の特徴がある。
【0035】
請求項5の発明は、請求項1、請求項2に記載の土留め壁を、建屋等の構造物、道路、鉄道等の公共構造物への影響を回避するために、安息角度を確保して設置する流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0036】
従って、請求項5は、請求項1、請求項2の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な対の土留め壁を提供できること等の特徴がある。
【0037】
請求項6の発明は、請求項1、請求項2に記載の埋設管に、重量物を内蔵する流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0038】
従って、請求項6は、請求項1、請求項2の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な埋設管を提供できること等の特徴がある。
【0039】
請求項7の発明は、請求項1、請求項2に記載の板材を、壁間に隙間なく設置する構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法である。
【0040】
従って、請求項7は、請求項1、請求項2の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な板材の構造を提供できること等の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の好ましい一実施例を説明する。
【0042】
◎ 先ず土留め壁を打設する埋設工法に関し、「1」〜「8」と分説する。
【0043】
「1」 土留め壁設置と、掘削及び/又は床付けを行う工程を説明する。
【0044】
この工程の目的は、周辺地盤への影響を軽減するため、土留め壁1、1(対の時には単独の数字とする)を設置(圧入、打設等)する。この土留め壁1は、地盤に見合った材料を使用する。例えば、鋼矢板、H鋼+矢板、連続地中壁等とする。そして、この土留め壁1を構築する土木機械としては、クレーン、圧入機、バイブロ、連続壁を施工する機械、トレンチャー、パワーブレンド、TRD(商品名:商標)、SMW(商品名:商標)等が望ましい。
【0045】
この土留め壁1を設置した後、掘削して施工スペース2を確保する。尚、地下水位が高い場合は仮締切り(止水性の壁)を施工する。この掘削の際に、従来工法であれば、埋設管3の両側面に施工スペースを500mm程度設けるが本工法は必要としないために、その分横方向の掘削土量が少なくなる。尚、土留め壁1の設置は、建屋等の構造物、道路、鉄道等の公共構造物Hへの影響を回避するために、安息角度Aを確保して設置する。
【0046】
「2」 仮設材の設置(必要に応じて)及び/又は板材の設置の工程を説明する。
【0047】
この工程の目的は、土留め壁1の崩壊を防ぐためと、崩壊の危険性がある場合、又は安全管理、規則等を考慮し、その状況によって仮設材を順次及び/又は必要とする時に設置する。この例では、腹起し400及び/又は切梁4と、また覆工板401等を設置し、前記崩壊を防止、安全性の確保等を意図する。勿論、この仮設材は、周辺地盤や掘削深さ等を考慮して設計するが、必要としない場合もある。何れにしても、従来工法より掘削幅の縮小により切梁4の長さは短くて済み有効であること、設置の簡便化、低コスト化等が図れること等の特徴がある。
【0048】
その後、前記施工スペース2の底面200にコンクリート板材、鋼板、複合板材等の板材5を設ける。この板材5には対の浮力防止材6を固着(定着)させる。この板材5は、施工スペース2と埋設管3とで形成される空間(充填スペース201)に打設される流動化処理土、処理土等の充填材7及び/又は埋戻し土砂8(現場発生土砂)の重量に耐え得る構造である。またこの板材5は埋設管3にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材6の支持体としての役割を備えており、埋設管3の浮力に耐え得る構造である。また板材5は埋設管3の設置(据付)の基礎になる。またこの板材5は、埋設管3の長さ方向に必要とする面積比を確保できる構造とするので、例えば、土留め壁1(掘削壁1a)の下方の支持及び/又は土圧対抗手段としての機能を備えること、板材5自身の浮上回避、土圧による破壊回避を図ること等を意図する。
【0049】
尚、板材5を、土留め壁1(掘削壁1a)間に隙間なく設置することで、この土留め壁1(掘削壁1a)の補強に役立ち、例えば、当該土留め壁1(掘削壁1a)の転倒防止、崩壊防止と、その補強工事の簡略化等に役立つものと考えられる。
【0050】
この切梁4は、現場に応じ変化するがコンクリート、コンクリート2次製品、鋼製の製品等を使用する。そして、この切梁4の施工には、現場に応じ変化するがクレーン、コンクリート打設に必要な機械等を使用する。
【0051】
「3」 浮力防止材及び/又は埋設管(FRPM管、鋼製管、ヒューム管)等の設置の工程を説明する。
【0052】
この工程の目的は、対の浮力防止材6を介して板材5に埋設管3を緊締して施工完了後において、この埋設管3にかかる浮力を下部の板材5に伝達する役割がある。この浮力とは、板材5に埋設管3を施工完了後において、地下水位等により埋設管3に発生する浮力である。また施工時の浮力対策にもなる。その他の工法としては、例えば、施工時には別途上部から押さえる工法、また管内部に重量物(図示せず)を挿入する等の浮力対策を講じる場合もある。そして、この浮力防止材6を板材5に固着する施工順序は、この板材5を土留め壁1に固着した後にするか、予め板材5に固着した後に、土留め壁1に固着するか、或いは埋設管3を板材5等に設置した後に固着するかは自由である。しかし、望ましい工法は、板材5を固着した後に、浮力防止材6を固着し、この浮力防止材6間に埋設管3を設置し、その後、浮力防止材6の上部端部を連結(結合)し、この埋設管3を緊結する施工順序である。この施工順序が、埋設管3を板材5に設けた浮力防止材6間に設置する容易性と、及び/又は施工スペース2等の狭隘な空間に設置された埋設管3の連結の容易性、確実性等において有益である。
【0053】
この浮力防止材6は、鋼製及び/又は合成樹脂等で加工されているバンド等、鉄筋、丸鋼などが考えられる。また浮力防止材6の緊締(結合)手段は、ターンバックル、溶接、面ファスナー、接着等の物理的な手段が簡便、かつ迅速に対応できて有益である。そして、埋設管3の取扱いは人力作業、荷降ろし機械等を採用して行う。
【0054】
「4」 埋設管支持部材を採用する埋設管の設置の工程を説明する。
【0055】
この工程の目的は、埋設管支持部材10により埋設管3を設置する他の例を示しており、この例では埋設管支持部材10の上面を曲面とし、埋設管3との馴染みを図って安定設置を図る。また埋設管3の位置の修正として利用し、埋設管3を設計の位置に埋設すること、板材5の歪み解消と、板材5の他の問題の解消等に役立てる。この埋設管支持部材10は必要により設ける工程である。
【0056】
この埋設管支持部材10は、コンクリート、コンクリート2次製品、鋼製、木材、充填材等の材料である。またこの埋設管支持部材10に緩衝効果を付与し、施工の安全性と容易化を図ることも可能である(他の例も同じ)。さらにこの埋設管支持部材10は、埋設管3に着脱自在として、自由な使用と、高さの調整と、また埋設位置の調整及び/又は地盤等の変化に対応できる構造が理想である。
【0057】
尚、板材5は板状形状で説明したが、図示しない蛇篭方式も可能であり、この蛇篭は、例えば、イ) 土留め壁1(掘削壁1a)間に略隙間なく設置する板状であって、かつ所定の長手方向(間隔方向に直交する方向)に所定の長さを備えた形状とする例、またロ) 土留め壁1(掘削壁1a)間に分割した二連の棒状であって、かつ所定の長手方向(間隔方向に直交する方向)に所定の長さを備えた形状とする例、等が考えられるが限定されない。そして、この蛇篭方式は、地下水の発生し易い地盤(地中)、軟弱地盤、変形地盤等に適する工法である。
【0058】
「5」 浮力防止材の連結の工程を説明する。
【0059】
この工程の目的は、埋設管3を板材5及び/又は埋設管支持部材10への設置を完了した後、所定の位置に設置された段階で、予め設置されている浮力防止材6を埋設管3の上方で連結する。尚、前述の如く、埋設管3を設置後に浮力防止材6を設置し、前述の作業をすることも場合により可能である。
【0060】
「6」 流動化処理土等による埋戻し工程を説明する。
【0061】
この工程の目的は、流動化処理土・処理土等の充填材7(流動化処理土7とする)は流動性に富んでいるので締固め及び/又は転圧等の作業を必要としない利点があって、例えば、現場作業スペースの省力化、汎用性の向上、又は交通、歩行の障害回避が図れて有益である。さらには埋設作業等において、施工スピードの向上と、施工工期の短縮化、低コスト化に役立つ利点がある。
【0062】
尚、流動化処理土7の他の例としては、これと同等な効果のある材料、又は流動化処理土7と砂や山砂、現場発生土、フライアッシュ等を組合わせて構成した材料(混練材料)の場合も可能である。そして、各種の廃棄物(廃材)を利用することで、産業廃材の有効利用と、その廃棄に基づく弊害の解消と、環境保護、また資源の有効利用が図れる。尚、この流動化処理土7の単独使用に限定されず、例えば、埋設管3の下半分は、流動化処理土7を、他を埋戻し土砂8(現場発生土砂)を使用する。この例では現場で発生する土砂の取扱い(処理)の容易化と、土砂の搬送による問題の解消等を意図する。尚、流動化処理土7の投入(打設)は、施工時のそれぞれの浮力に対応するために2回〜数回に分けて施工することも考えられる。
【0063】
「7」 仮設材撤去及び/又は上部埋戻し工程を説明する。
【0064】
この工程の目的は、必要により設けられた仮設材(腹起し400及び/又は切梁4と、また覆工板401等)を順次従来と同様に撤去し復旧する。そして、周辺の地盤を考慮した場合、土留め壁1及び/又は仮設材を残置する場合も考えられる。この仮設材撤去後の表面付近は、流動化処理土7、砂、山砂、現地発生土等により現況復旧をする。
【0065】
そして、本発明の適用箇所の一例を説明すると、: 管路新設・修理等による交換 : 既設管路(開水路等)の地下化・修理等による交換 : 水路、ガス管、電気等ライフラインの地下化・修理等による交換等が考えられる。
【0066】
「8」 埋設管支持部材を採用しない流動化処理土等による埋戻し工程を説明する。
【0067】
この例では、板材5に直接埋設管3を設置する。勿論、必要により回転防止手段及び/又は緩衝材等を設け、施工の安全性と容易化を図ることは可能である(他の例も同じ)。
【0068】
前述した各施工手順は、好ましい一例であり、地盤、埋設環境、交通量等の状況で変更される。そして、この施工手順が異なっても、本発明の思想の範疇であれば、その実施態様となる。
【0069】
◎ 次にオープンカット工法を説明する。
【0070】
「9」はオープンカット工法であり、この例は、図9〜図11に示してある。この工法は、オープンカットにより掘削壁1aを崩壊しない角度(安息角度A)で掘削して施工スペース2を確保する。この施工スペース2の底面200に前述の例と同様に、板材5を設ける。この板材5には対の浮力防止材6を固着(定着)させる。この板材5は、施工スペース2と埋設管3とで形成される空間(充填スペース201)に打設される流動化処理土7及び/又は埋戻し土砂8(現場発生土砂)の重量に耐え得る構造である。そして、この例では、施工時の浮力対策として、流動化処理土7を一時的に停止(打ち止め)することも可能であり、その一例を矢印イとして示す。具体的には、図示の角度と打ち止め位置が理想である。その後、次の流動化処理土7及び/又は埋戻し土砂8を打設する。図11は流動化処理土7等を充填又は必要時に設けた各部材を撤去した模式図である。そして、その他の各工程、手順等は前述の例に準ずる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】土留め壁設置と、掘削及び/又は床付けを行う工程を説明する模式図
【図2】仮設材の設置(必要に応じて)及び/又は板材の設置の工程を説明する模式図
【図3】浮力防止材の設置の工程を説明する模式図
【図4】埋設管支持部材設置を採用する及び/又は埋設管(FRPM管、鋼製管、ヒューム管)等の設置の工程を説明する模式図
【図5】浮力防止材の連結の工程を説明する模式図
【図6】流動化処理土等による埋戻し工程を説明する模式図
【図7】仮設材撤去及び/又は上部埋戻し工程を説明する模式図
【図8】埋設管支持部材設置を採用しない埋設管の設置の工程を説明する模式図
【図9】オープンカット工法による掘削及び/又は板材・浮力防止材等の設置の工程を説明する模式図
【図10】図9の例における流動化処理土7の打ち止め工程を説明する模式図
【図11】図9の例の埋設管の設置の工程を説明する模式図
【符号の説明】
【0072】
1 土留め壁
1a 掘削壁
2 施工スペース
200 底面
201 充填スペース
3 埋設管
4 切梁
400 腹起し
401 覆工板
5 板材
6 浮力防止材
7 流動化処理土
8 土砂
10 埋設管支持部材
A 安息角度
H 公共構造物
イ 矢印
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法であって、
第一の工程は、埋設対象地盤を掘削し壁を施工し、少なくとも埋設管両側面に200〜400mm程度の幅の施工スペースを確保し、必要により、前記壁間の適所に切梁を設置する。
第二の工程は、前記壁の下方に埋設管据付の基礎となり得る板材を設置する。
第三の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装し、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材の下端を、この板材に固定する。
第四の工程は、必要により、前記埋設管据付の基礎となり得る埋設管支持部材を、板材の上に設置する。
第五の工程は、この板材及び/又は埋設管支持部材に、埋設管を設置し、この埋設管と前記施工スペースとの間に流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。
第六の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装した前記対の浮力防止材で、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制するとともに、この対の浮力防止材を利用して浮力を板材に伝達する。
第七の工程は、充填材を、前記充填スペースに充填し、前記切梁を取外し、現場発生土砂の埋戻しをする。
【請求項2】
次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法であって、
第一の工程は、埋設対象地盤を掘削し壁を施工し、少なくとも埋設管両側面に200〜400mm程度の幅の施工スペースを確保する。
第二の工程は、前記壁の下方に埋設管据付の基礎となり得る板材を設置する。
第三の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装し、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材の下端を、この板材に固定する。
第四の工程は、この板材に、埋設管を設置し、この埋設管と前記施工スペースとの間に流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。
第五の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装した前記対の浮力防止材で、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制するとともに、この対の浮力防止材を利用して浮力を板材に伝達する。
第六の工程は、充填材を、前記充填スペースに充填し、必要により現場発生土砂の埋戻しをする。
【請求項3】
請求項1、請求項2に記載の埋設対象地盤を掘削するに際し、この掘削周辺地盤への影響の軽減を意図して対の土留め壁を設置した後に行う構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法。
【請求項4】
請求項1、請求項2に記載の対の浮力防止材の上部端部を、ターンバックル、溶接、面ファスナー、接着等の物理的な手段で連結する構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法。
【請求項5】
請求項1、請求項2に記載の土留め壁を、建屋等の構造物、道路、鉄道等の公共構造物への影響を回避するために、安息角度を確保して設置する構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法。
【請求項6】
請求項1、請求項2に記載の埋設管に、重量物を内蔵する構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法。
【請求項7】
請求項1、請求項2に記載の板材を、壁間に隙間なく設置する構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法。
【請求項1】
次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法であって、
第一の工程は、埋設対象地盤を掘削し壁を施工し、少なくとも埋設管両側面に200〜400mm程度の幅の施工スペースを確保し、必要により、前記壁間の適所に切梁を設置する。
第二の工程は、前記壁の下方に埋設管据付の基礎となり得る板材を設置する。
第三の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装し、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材の下端を、この板材に固定する。
第四の工程は、必要により、前記埋設管据付の基礎となり得る埋設管支持部材を、板材の上に設置する。
第五の工程は、この板材及び/又は埋設管支持部材に、埋設管を設置し、この埋設管と前記施工スペースとの間に流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。
第六の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装した前記対の浮力防止材で、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制するとともに、この対の浮力防止材を利用して浮力を板材に伝達する。
第七の工程は、充填材を、前記充填スペースに充填し、前記切梁を取外し、現場発生土砂の埋戻しをする。
【請求項2】
次の工程でなる流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法であって、
第一の工程は、埋設対象地盤を掘削し壁を施工し、少なくとも埋設管両側面に200〜400mm程度の幅の施工スペースを確保する。
第二の工程は、前記壁の下方に埋設管据付の基礎となり得る板材を設置する。
第三の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装し、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制する対の浮力防止材の下端を、この板材に固定する。
第四の工程は、この板材に、埋設管を設置し、この埋設管と前記施工スペースとの間に流動化処理土・処理土等の充填材を充填する充填スペースを形成する。
第五の工程は、この埋設管の略上部の1/2を捲装した前記対の浮力防止材で、この埋設管にかかる地下水位等で発生する浮力を抑制するとともに、この対の浮力防止材を利用して浮力を板材に伝達する。
第六の工程は、充填材を、前記充填スペースに充填し、必要により現場発生土砂の埋戻しをする。
【請求項3】
請求項1、請求項2に記載の埋設対象地盤を掘削するに際し、この掘削周辺地盤への影響の軽減を意図して対の土留め壁を設置した後に行う構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法。
【請求項4】
請求項1、請求項2に記載の対の浮力防止材の上部端部を、ターンバックル、溶接、面ファスナー、接着等の物理的な手段で連結する構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法。
【請求項5】
請求項1、請求項2に記載の土留め壁を、建屋等の構造物、道路、鉄道等の公共構造物への影響を回避するために、安息角度を確保して設置する構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法。
【請求項6】
請求項1、請求項2に記載の埋設管に、重量物を内蔵する構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法。
【請求項7】
請求項1、請求項2に記載の板材を、壁間に隙間なく設置する構成とした流動化処理土・処理土等の充填材による浅層埋設工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−241791(P2006−241791A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57741(P2005−57741)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(596027357)徳倉建設株式会社 (6)
【出願人】(593153406)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(596027357)徳倉建設株式会社 (6)
【出願人】(593153406)
【Fターム(参考)】
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