説明

流動性物質用吐出装置

【課題】吐出装置を、特に噴霧パターン向上を考慮して改良する。
【解決手段】流動性物質用吐出装置において、物質を吐出するための吐出口(22)をその一端に設けられた吐出スリーブ(20)と、この吐出スリーブ(20)内に設けられる閉鎖ピン(30)とを有する。閉鎖ピンが吐出スリーブ(20)に対して相対的に長手移動可能であり、またこの閉鎖ピンによって吐出口(22)が閉鎖可能である。閉鎖ピン(30)が外方を向く円筒形部分区域(30a)を有し、吐出スリーブ(20)が内方を向く円筒形部分区域(20a)を有し、円筒形部分区域(20a、30a)が止まり嵌めまたは狭い隙間嵌めを形成し、圧力を低下させおよび/または物質流を減らす作用幾何学形状(34)が閉鎖ピン(30)および/または吐出スリーブ(20)の円筒形部分区域(20a、30a)に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性物質用吐出装置であって、物質を吐出するための吐出口をその一端に設けられた吐出スリーブと、この吐出スリーブ内に設けられる閉鎖ピンとを有し、この閉鎖ピンが吐出スリーブに対して相対的に長手移動可能であり、またこの閉鎖ピンによって吐出口が閉鎖可能であるものに関する。
【背景技術】
【0002】
このような造形を有する吐出装置は知られている。それらでは欠点として、大抵の場合、閉鎖ピンが吐出口を開放する前に吐出スリーブの内部に高い物質圧力が加わる。開口時にこの圧力が噴流を生じ、応用目的によってはこの噴流は避けねばならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、技術の現状から知られている吐出装置を、特に噴霧パターン向上を考慮して改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、閉鎖ピンが外方を向く円筒形部分区域を有し、吐出スリーブが内方を向く円筒形部分区域を有し、円筒形部分区域が止まり嵌めまたは狭い隙間嵌めを形成し、圧力を低下させおよび/または物質流を減らす作用幾何学形状が閉鎖ピンおよび/または吐出スリーブの円筒形部分区域に設けられてなる吐出装置によって解決される。
【発明の実施の形態】
【0005】
作用幾何学形状は特に、物質を貫流させねばならない小さな横断面を有する構成によって達成される。これにより作用幾何学形状は液体流を限定する。このことは特に目に投与する物質の場合に重要である。というのも、この応用の場合大量の液体流に起因した強い噴流は望ましくないからである。本発明により設けられる作用幾何学形状は液体流を減らすための有利で設計上簡単な解決である。これは特に、物質圧力に依存してその吐出口が開口される吐出装置において有利である。物質流を減らす幾何学形状にディフューザが続き、高まった圧力がディフューザ内で再び下げられると特別有利である。
【0006】
例えば軸線方向位置変化によってそれらの距離がやはり変化する円錐形部分区域の場合に生じるであろうような閉鎖ピンと吐出スリーブとの相対位置に作用幾何学形状の働きが依存しないことは、円筒形部分区域を有する構成によって達成される。
【0007】
本発明の1展開において閉鎖ピンは、吐出装置のポンプ装置ポンプ室内の物質の液体圧力に依存して長手移動可能であり、かつ物質の液体圧力が確定された限界圧力以下であるとき吐出口を閉鎖する。圧力に依存したこの種の閉鎖ピン制御において本発明による構成は特別有意義である。というのも、閉鎖ピンの相対移動用に必要な高い圧力は問題を孕んだ噴霧パータンの虞を高めるからである。
【0008】
本発明の1展開において、閉鎖ピンおよび/または吐出スリーブの円筒形部分区域に少なくとも1つの物質通路が設けられている。このような物質通路は作用幾何学形状のごく単純な形状である。物質通路は主に閉鎖ピンの円筒形部分区域に設けられている。というのもその場合、製造時の離型は一層容易に実現できるからである。最も単純な場合、物質通路は軸線方向で閉鎖ピンの移動方向と平行に延びている。
【0009】
特別好ましい1実施形態において物質通路は螺旋状に延びている。このように延びていると2つの利点が得られる。一方でこれにより、円筒形部分区域が短いにもかかわらず長い物質通路が実現可能である。他方で、接線方向成分のある流出方向を有する物質通路は流出口の前に続く室と協動して、流出口から流出時に圧力と速度を低下させるディフューザの働きを同時に有する。
【0010】
本発明の好ましい1展開において閉鎖ピンは内部圧力によって操作可能な加圧皿体と作用結合されており、閉鎖ピンは加圧皿体と主に一体に構成されている。このような加圧皿体は、一方で物質圧力が低いときにのみ閉鎖ピンを移動させ、強いばね力で閉鎖ピンに閉鎖方向への力を加えるという相矛盾する目的を達成することを可能にする。加圧皿体はその大きな面積によって、ばね力に対抗する開口力が僅かな圧力によって既に達成されることをもたらす。そのことも、物質吐出の向上に役立つ。この目的のために加圧皿体面積は吐出口の面積に比べて主に少なくとも5倍、主に10倍大きい。
【0011】
特別好ましくは、加圧皿体が少なくとも部分的に弾性材料からなり、主に1kN/mm以下の弾性率、特に0.5kN/mm以下の弾性率を有する材料からなる。この弾性率は、物質圧力の短い圧力ピークが加圧皿体によって受け止められることをもたらす。そのことから、吐出装置の開口挙動向上がもたらされる。特に本発明による作用幾何学形状と弾性加圧皿体との組合せは、有利な噴霧パターンを保証するのにきわめて適していることが実証された。
【0012】
本発明のその他の利点および特徴は特許請求の範囲と、図面に示す本発明の好ましい実施例についての以下の説明とから明らかとなる。
【実施例】
【0013】
図1と図2は本発明による吐出装置の1区域10を部分断面斜視図と部分断面側面図とで示す。
【0014】
この区域10は、図示実施形態において吐出装置の残りは図示されていないハウジングと一体に構成される吐出スリーブ20とこの吐出スリーブ20内に配置される閉鎖ピン30とを含み、一体に成形された加圧皿体40が閉鎖ピンの下端に続いている。
【0015】
吐出スリーブ20がその上端に吐出口22を有し、吐出装置の使用時この吐出口を通して物質は逃げることができる。この吐出口22は、吐出装置非操作状態のとき、閉鎖ピン30の上端に配置される密封区域32によって閉鎖されている。閉鎖力は図示しない弁ばねによって加えられ、この弁ばねは閉鎖ピン30と加圧皿体40とからなるユニットを一緒に上方に方向2に加圧する。
【0016】
詳しくは図示しない手段、特にポンプによって吐出スリーブ20と閉鎖ピン30および加圧皿体40からなるユニットとの間の空隙50内の圧力を高めることによって、吐出過程は引き起こされる。この高められた圧力は部分領域50a内で加圧皿体40に作用し、加圧皿体40の比較的大きな面積のゆえに、僅かに高まった圧力が、方向2とは逆方向でかなりの開口力を既に引き起こす。この開口力は吐出スリーブ20に対して相対的に閉鎖ピン30の相対移動およびそれとともに吐出口22の開口を引き起こす。
【0017】
領域60内に吐出スリーブ20と閉鎖ピン30は互いに適合した円筒形部分区域20a、30aを有する。閉鎖ピン30の円筒形部分区域30aの外径と吐出スリーブ20の円筒形部分区域20aの内径は狭い隙間嵌めを形成する。閉鎖ピン30の円筒形部分区域30aに螺旋状溝34が設けられており、この溝は逃げる物質用の通路34を形成する。狭い隙間嵌めのゆえに、物質にはこの溝34を通してのみ空隙50から吐出口22へと到達することが可能である。
【0018】
吐出装置が操作されると閉鎖ピン30は図1、図2に詳しくは図示しない仕方で、物質の高まった液体圧力によって方向2とは逆に吐出スリーブ20に対して相対的に移動され、吐出口22は閉鎖ピン30の上端で密封区域32から開放される。圧力を受けた物質は次に溝34を通して、開口した吐出口22にまで達し、溝は絞り弁の態様で物質の液体流を減らす。液体流は上端で溝34から空隙52内に逃げ、この空隙がディフューザとして働く。この空隙内で液体圧力が低下し、物質は低下した圧力で吐出口22を通して放出される。
【0019】
図示しない実施形態において溝は、閉鎖ピンの円筒区域にではなく吐出スリーブ側円筒区域に設けられている。さらに、別の造形、最も単純には例えば閉鎖ピンの長手方向を向いた直線状溝も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による吐出装置を部分断面斜視図で示しており、吐出装置のうち発明上重要な部分のみが図示されている。
【図2】本発明による部分断面側面図で示しており、吐出装置のうち発明上重要な部分のみが図示されている。
【符号の説明】
【0021】
20 吐出スリーブ
20a、30a 円筒形部分区域
22 吐出口
30 閉鎖ピン
32 密封区域
34 螺旋状溝
40 加圧皿体
50、52 空隙
50a 部分領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性物質用吐出装置であって、
‐物質を吐出するための吐出口(22)をその一端に設けられた吐出スリーブ(20)と、
‐この吐出スリーブ(20)内に設けられる閉鎖ピン(30)とを有し、この閉鎖ピンが吐出スリーブ(20)に対して相対的に長手移動可能であり、またこの閉鎖ピンによって吐出口(22)が閉鎖可能であり、
閉鎖ピン(30)が外方を向く円筒形部分区域(30a)を有し、吐出スリーブ(20)が内方を向く円筒形部分区域(20a)を有し、円筒形部分区域(20a、30a)が止まり嵌めまたは狭い隙間嵌めを形成し、圧力を低下させおよび/または物質流を減らす作用幾何学形状(34)が閉鎖ピン(30)および/または吐出スリーブ(20)の円筒形部分区域(20a、30a)に設けられていることを特徴とする吐出装置。
【請求項2】
閉鎖ピン(30)は、吐出装置のポンプ装置ポンプ室内の物質の液体圧力に依存して長手移動可能であり、かつ物質の液体圧力が確定された限界圧力以下であるとき吐出口(22)を閉鎖することを特徴とする、請求項1記載の吐出装置。
【請求項3】
閉鎖ピン(30)および/または吐出スリーブ(20)の円筒形部分区域(20a、30a)に少なくとも1つの物質通路(34)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の吐出装置。
【請求項4】
物質通路(34)が螺旋状に延びていることを特徴とする、請求項3記載の吐出装置。
【請求項5】
閉鎖ピン(30)が、内部圧力によって操作可能な加圧皿体(40)と作用結合されており、閉鎖ピン(30)が加圧皿体(40)と主に一体に構成されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の吐出装置。
【請求項6】
加圧皿体(40)の加圧皿体面積が吐出口(22)の面積に比べて少なくとも5倍、主に10倍大きいことを特徴とする、請求項5記載の吐出装置。
【請求項7】
加圧皿体(40)が、少なくとも部分的に、主に1kN/mm以下の弾性率、特に0.5kN/mm以下の弾性率を有する弾性材料からなることを特徴とする、請求項5または6記載の吐出装置。

【図1】
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【図2】
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