説明

流動焼却炉

【課題】NOの発生量を「高温焼却法」と同等レベルまで抑制することができ、しかも補助燃料の使用量を「高温焼却法」に比べて大幅に低下させることができ、しかも炉体内径が7m以上の大型炉とした場合にもNOを十分に分解できる流動焼却炉を提供する。
【解決手段】汚泥が投入される炉体1の内部を高さ方向に分割し、下方部分を空気比が1.1以下の流動用空気を燃料とともに供給して燃焼させ、汚泥を流動させつつ熱分解する熱分解ゾーン3とし、その直上部分を空気比が0.1〜0.3の燃焼用空気のみを供給することにより、局所高温場を形成してNOを分解する層上燃焼ゾーン4とし、炉体の最上部を未燃分を完全燃焼させる完全燃焼ゾーンと5とする。また層上燃焼ゾーンにおける二次燃焼用空気の供給位置を上下2段に分割し、その供給速度を70m/s以上の高速として、大型炉に対応可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温暖化ガスであるNOの発生を抑制しながらN分を含む汚泥を焼却することができる大型の流動焼却炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥に代表される汚泥中には蛋白質に由来する多量のN分が含有されているので、焼却により各種の窒素酸化物が生成され、大気中に放出されている。これらの窒素酸化物の中でも特に、NO(亜酸化窒素)はCOに比べて310倍の温暖化効果を示すガスであるため、その削減が特に強く求められている。
【0003】
従来から汚泥の焼却にはダイオキシンを発生させにくい流動焼却炉が広く使用されており、一般的に約800℃で焼却が行われてきた。しかし焼却温度を850℃まで高めるとNOの発生量が約三分の一にまで減少することが分り、これを「高温焼却法」と呼んでNOの抑制に有効な方法と評価されている。
【0004】
ところが、焼却温度を850℃にまで高めるためには補助燃料の使用量を従来の1.4〜1.6倍にまで増加させる必要があり、省エネルギの観点から好ましくない。また燃料コストが上昇している昨今の状況から、ランニングコストの大幅な増加を招くという問題を生ずる。このように「高温焼却法」はNOの抑制には有効であるが、実用上の問題が残されている。
【0005】
このようなNOの抑制という課題は、都市廃棄物を燃料とする流動層燃焼ボイラにおいても発生している。そこで特許文献1には、流動層の空気比を0.9〜1.0としてNO及びNOの発生量を抑制し、その上段で付加燃料とその燃焼用空気を供給して高温燃焼させることによって高温でNOを分解させ、さらに最上段で十分な量の空気を吹き込んで完全燃焼させるという流動層燃焼ボイラの多段燃焼方法が提案されている。
【0006】
しかしこの特許文献1の多段燃焼方法は、流動層の上段に付加燃料とその燃焼用空気を供給し、NOを分解することができる高温場を形成するために多量の補助燃料を必要としている。もっとも特許文献1の多段燃焼方法はボイラに関するものであるから、補助燃料の熱量を回収することができ、補助燃料の使用量はさほど大きな問題ではない。しかしこれをそのまま汚泥焼却炉に適用した場合には、補助燃料の使用量が問題となり、省エネルギの観点から満足できない点があった。
【0007】
また、大都市部の下水処理場においては処理能力が250〜350トン/日の大型の流動焼却炉が用いられているが、その直径は7m以上に達する。このような大型炉においては炉内への空気供給を適切に行わないと炉内での供給空気による混合・拡散が十分に行われず、NOを十分に分解させることが容易ではないという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3059995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、N分を含む汚泥を焼却する際のNOの発生量を「高温焼却法」と同等レベルまで抑制することができ、しかも補助燃料の使用量を「高温焼却法」に比べて大幅に低下させることができ、しかも炉体内径が7m以上の大型炉とした場合にもNOを十分に分解できる流動焼却炉を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するためになされた本発明の汚泥の流動焼却炉は、汚泥を流動焼却する炉体内径が7m以上の大型の流動焼却炉であって、炉体の下方部分を空気比が1.1以下の流動用空気を燃料とともに供給して汚泥を流動させつつ熱分解する熱分解ゾーンとし、その直上部分を空気比が0.1〜0.3の二次燃焼用空気のみを供給することにより局所高温場を形成してNOを分解する層上燃焼ゾーンとし、炉体の最上部を未燃分を完全燃焼させる完全燃焼ゾーンとするとともに、前記層上燃焼ゾーンにおける二次燃焼用空気の供給位置を上下2段に分割し、その供給速度を70m/s以上の高速としたことを特徴とするものである。
【0011】
なお請求項2のように、熱分解ゾーンの空気比を0.7〜1.1、温度を550〜750℃、層上燃焼ゾーンの温度を850〜920℃とすることが好ましい。また請求項3のように、流動空気として供給される一次空気と層状燃焼ゾーンに供給される二次燃焼用空気の合計の空気比を1.0〜1.3とすることが好ましい。また請求項4のように、完全燃焼ゾーンに供給される空気の空気比を0.1〜0.3とし、全体での空気比を1.5以下とすることが好ましい。
【0012】
また請求項5のように、二次燃焼用空気の下段の供給高さを、静止砂層の上面から600〜1000mmとすることが好ましく、さらに請求項7のように、上下2段に二次燃焼用空気を供給することにより、その間にNOの分解温度以上、サーマルNOの発生温度未満の層上燃焼ゾーンを形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、汚泥を流動炉に投入し、空気比が1.1以下の流動用空気が燃料とともに供給される熱分解ゾーンで流動させつつ熱分解する。この熱分解ゾーンでは空気比が1.1以下であって酸素が少ないので、N分の酸化が進みにくくNO、NOの生成が抑制される。それにもかかわらず汚泥は550〜750℃の温度場で流動媒体によって激しく撹拌され、汚泥中の可燃分は十分に熱分解される。
【0014】
また本発明では、その直上位置で熱分解ガスに空気比が0.1〜0.3の燃焼用空気を上下2段に分割して吹き込んでその間に所定高さにわたり850〜920℃の局所高温場を形成し、熱分解ガス中のNOを分解するが、酸素濃度の低い部分に空気のみを吹き込んで熱分解ガスを局所燃焼させるので、層上燃焼ゾーンでは補助燃料を全く必要としない。なお、NOの生成は主として砂層直上部で行われるが、本発明ではこのNOの生成領域に高温場を形成するため、砂層直上部(砂層〜炉高の1/3まで)に二次燃焼用空気が供給される。さらに砂層直上部に二次燃焼用空気を投入することによって放熱が妨げられ、より局所高温場を形成し易くなる。
【0015】
また本発明では、空気比が0.1〜0.3の二次燃焼用空気を上下2段に分割し、ノズル口径を小さくして供給速度を70m/s以上の高速としたため、炉体の内径が7m以上の大型炉においても炉の断面全体に二次燃焼用空気が供給される。従って処理能力が250〜350トン/日の大型の流動焼却炉においても炉内での供給空気による混合・拡散が十分に行われ、NOを十分に分解させることができる。
【0016】
このように本発明によれば、熱分解ゾーンから排出される熱分解ガス量が通常燃焼における燃焼排ガスよりも少量であり加温のための必要熱量が空気のみであることや高温場が局所的であること、さらには流動層部の温度が低いことから、補助燃料の使用量を「高温焼却法」に比べて大幅に低下させることができる。そしてさらに最上部で空気を吹き込んで未燃分を完全燃焼させるので、排ガス中に有害成分は含まれない。
【0017】
なお熱分解ゾーンは空気比を1.1以下として運転されるが、空気比を下げて行くと次第に砂層の温度維持が難しくなるという問題が発生し、汚泥直投による通常の流動式熱分解炉では空気比を0.8よりも下げることは困難である。しかし請求項5のように二次燃焼用空気の下段の供給高さを、静止砂層の上面から600〜1000mmとすると、流動砂層の直上位置で局所高温場を形成することができ、その輻射熱によって砂層の温度維持を図り易くなり、熱分解ゾーンの空気比を0.7程度まで下げることが可能となる。またこれに伴って、流動炉の全体の空気比も下げることが可能となる。ただし熱分解ゾーンの空気比を下げすぎると流動不良となり、シアンや一酸化炭素などの有毒ガスが生成されるおそれがあるので、0.7程度が下限である。
【0018】
また請求項6のように、上下2段に二次燃焼用空気を供給することにより、その間にNOの分解温度以上、サーマルNOの発生温度未満の層上燃焼ゾーンを形成すれば、NOの生成がより確実に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の変形例を示す縦断面図である。
【図3】本発明の変形例を示す水平断面図である。
【図4】炉内温度の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1は本発明の実施形態を示す縦断面図であり、1は流動焼却炉の炉体、2は炉体1の側壁に形成された汚泥の投入口であり、汚泥はこの投入口2から直接炉体1内に投入される。汚泥は下水脱水汚泥である。本発明の対象となるのは炉体内径が7m以上の大型の流動焼却炉であり、最大径は10m程度である。炉体1の内部は高さ方向に3つのゾーンに分割される。炉体1の下方から順に、熱分解ゾーン3、層上燃焼ゾーン4、完全燃焼ゾーン5である。
【0021】
熱分解ゾーン3は炉体1の最も下方部分に形成されるゾーンであり、流動用空気供給管6と燃料供給管7とを備えている。流動用空気供給管6からは一次空気である流動用空気が供給され、公知の流動媒体とともに汚泥を流動させている。また燃料供給管7からは補助燃料が供給され、流動用空気により燃焼されて熱分解ゾーン3の温度を550〜750℃に維持している。投入された汚泥は流動用空気により激しく撹拌されながら加熱される。補助燃料としては都市ガスやプロパンガスのようなガス燃料やA重油のような液体燃料が使用される。
【0022】
本発明では、流動用空気供給管6からの一次空気(流動用空気)の供給量は、補助燃料及び汚泥を燃焼させるために必要な理論空気量を基準として、空気比が1.1以下、好ましくは0.7〜1.1となるように設定されている。このため汚泥は熱分解されるが、空気比が低く酸素量が不十分であるので、通常の流動燃焼を行わせる場合に比較してNOの発生量を抑制することができる。次に説明するように、本発明では熱分解ゾーン3の直上位置に局所高温場を形成するため、その輻射熱によって砂層の温度維持を図り易くなり、熱分解ゾーンの空気比を0.7程度まで下げることが可能となる。なお空気比が0.7未満であると流動層部での部分燃焼による発熱量が、汚泥水分蒸発熱や熱分解熱、放熱などの出熱量よりも少なくなり、流動層部の温度維持が困難となるうえ、シアンや一酸化炭素などの有毒ガスが生成されるおそれがあるので、0.7以上1.1以下とすることが好ましい。
【0023】
熱分解ゾーン3の直上位置には、層上燃焼ゾーン4が形成されている。この層上燃焼ゾーン4は、燃焼用空気供給管8、9から空気比が0.1〜0.3となる量の二次燃焼用空気のみを供給するゾーンである。熱分解ゾーン3から上昇して来る熱分解ガスはこの二次燃焼用空気と接触して燃焼され、温度が850〜920℃の局所高温場を形成する。このため熱分解ガス中に含まれるNOはこの局所高温場において分解され減少する。
【0024】
なお流動用空気供給管6からの一次空気と、燃焼用空気供給管8から供給される空気を合計した空気比が1.1未満では850〜920℃の局所高温場を形成することができず、1.3を越えると燃焼に関与しない余剰空気量が増加し850〜920℃の局所高温場を形成するには補助燃料の供給が必要となるので、一次空気と二次燃焼用空気の合計空気比は1.1〜1.3とすることが必要である。このように本発明では還元雰囲気中に少量の空気のみを吹き込んで局所高温場を形成し、NOを分解する点に一つの特徴があり、熱分解ゾーンの温度維持に必要な量以上の補助燃料を使用する必要がない利点がある。
【0025】
また本発明では、図1に示すように二次燃焼用空気の供給位置を上下2段に分割するとともに、燃焼用空気供給管8、9からの二次燃焼用空気の供給速度を70m/s以上、100m以下の高速とした。このような供給速度を確保することによって、炉の内径が7〜8mの大型炉においても炉の断面全体に二次燃焼用空気をほぼ均一に供給することができる。供給速度がこれよりも低下すると、炉体内径が7m以上の大型の流動焼却炉においては炉内における空気の混合・拡散が十分に行われにくくなり、NOを十分に分解させることができなくなるおそれがある。また、100m/s以上とすると配管内圧力損失が増大するため、空気供給用のブロワ動力を増大させなければならなくなる。
【0026】
なお、図2に示すように下段の燃焼用空気供給管8のみを斜め下向きにし、熱分解ゾーン3から上昇してくる熱分解ガスとの混合・撹拌効率を高めるようにしてもよい。また図3に示すように上下の燃焼用空気供給管8、9をそれぞれ炉体1の接線方向に配置するとともに、その方向を互いに逆向きにしたり、上段の燃焼用空気供給管9の取り付け方向を炉体1の中心方向とするようにしてもよい。
【0027】
このように二次燃焼用空気の供給位置を上下2段に分割したことによって、それらの間に所定高さの層上燃焼ゾーン4が形成される。もし二次燃焼用空気を一段で吹き込んだ場合には、図4のグラフに示すように吹き込み位置において局所的な過昇温による温度ピークが形成される。その温度はNOの分解温度である850〜900℃を越えることは勿論であるが、サーマルNOの発生温度である920℃を越え、NOは分解されてもサーマルNOが発生する危険性がある。これに対して本願発明のように二次燃焼用空気の供給位置を上下2段に分割すれば局所的な過昇温を抑制し、NOの分解温度以上、サーマルNOの発生温度未満の層上燃焼ゾーンを形成し、サーマルNOを発生させることなくNOを分解することが可能となる。
【0028】
なお上下の燃焼用空気供給管8、9の間隔は、200〜600mm程度としておくことが好ましい。これよりも接近させると上記した2段に分割した意味が薄くなり、逆に離れすぎても安定した層上燃焼ゾーンを形成しにくくなるからである。また下段の燃焼用空気供給管8の高さは、静止砂層(流動停止状態における砂層)の上面から600〜1000mmとしておくことが好ましい。このような位置とすれば運転中は流動層の上面付近に位置することとなり、高温の層上燃焼ゾーン4からの輻射熱によって砂層の温度低下を防止できる効果がある。
【0029】
炉体1の最上部は、未燃分を完全燃焼させる完全燃焼ゾーン5である。この完全燃焼ゾーン5には三次空気供給管10が配置され、空気を供給する。その供給量は空気比が0.1〜0.3となる量とする。この完全燃焼ゾーン5の温度は800〜850℃であり、層上燃焼ゾーン4において分解されなかったNOはさらに分解されるとともに、COはCOに酸化され、炉外に排出されて通常の排ガス処理が行われる。
【0030】
なお、上記した流動用空気供給管6と二次燃焼用空気供給管8、9と三次空気供給管10とから供給される空気量の合計は、トータル空気比が1.5以下、好ましくは1.3以下となるように設定する。このように空気比を絞り、かつ補助燃料を熱分解ゾーン3の燃料供給管7のみから供給するようにした結果、補助燃料の使用量をほぼ従来の通常焼却レベルとしながら、NOの発生量を従来よりも大幅(実施例では1/4)に削減することができた。なお本発明によるNOの抑制効果は「高温焼却法」と同様あるいはそれ以上であるが、「高温焼却法」では補助燃料の使用量が従来レベルの1.4〜1.6倍となる。このように本発明によれば、NOの発生量を「高温焼却法」と同等レベル以下まで抑制することができ、しかも補助燃料の使用量を「高温焼却法」に比べて大幅に低下させることが可能となる。
【実施例】
【0031】
炉体内径が7m以上の大型の流動焼却炉を模擬した実験用の流動炉を使用して、条件を変更しながら汚泥の焼却実験を行った。汚泥の投入量は全て80kg/hであり、補助燃料としてはA重油を使用した。実験は従来から行われている通常焼却、焼却温度を高めた高温焼却、本発明の図1に示した方法、本発明の図1に示した方法であるが二次燃焼用空気供給を1段とした方法(比較例)の4種類である。それぞれの焼却方法について、補助燃料使用量(汚泥1kg当たりの補助燃料の発熱量で表示)、フリーボード部最高温度、炉出口温度、NOを含む排ガス成分の濃度、トータル空気比、一次空気比を測定し、表1に示した。
【0032】
【表1】

【0033】
上記のデータから明らかなように、本発明によれば補助燃料の使用量を従来の焼却方法と同等以下に維持しつつ、汚泥焼却時に発生するNOの量を高温焼却よりも大幅に削減することができる利点がある。
【0034】
次に、二次空気の吹き込み段数と流速を表2に示すように変化させて、NOを含む排ガス成分の濃度を測定した。なお、トータル空気比は1.3の一定値とし、一次空気比は1.0の一定値とした。
【0035】
【表2】

【0036】
上記のデータから明らかなように、二次燃焼用空気の供給位置を上下2段とし、その供給速度を70m/s以上とすることにより、CO濃度、NO濃度、NO濃度を低下させることができる。特に二次燃焼用空気の供給位置を上下2段としたことによるCO濃度、NO濃度の低下は顕著であり、また供給速度を高速化したことによるCO濃度の低下が明らかである。
【0037】
次に、二次燃焼用空気の供給位置を上下2段とし、その間の距離がCO濃度、NO濃度、NO濃度に与える影響を評価した。その結果を表3に示す。なお二次空気流速は70m/sの一定とした。
【0038】
【表3】

【0039】
上記のデータから明らかなように、二次燃焼用空気の供給位置を上下2段とし、その間の距離を200〜600mmとした場合に、最も優れた効果が得られることを確認した。
【符号の説明】
【0040】
1 炉体
2 汚泥の投入口
3 熱分解ゾーン
4 層上燃焼ゾーン
5 完全燃焼ゾーン
6 流動用空気供給管
7 燃料供給管
8 燃焼用空気供給管(下段)
9 燃焼用空気供給管(下段)
10 三次空気供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥を流動焼却する炉体内径が7m以上の大型の流動焼却炉であって、炉体の下方部分を空気比が1.1以下の流動用空気を燃料とともに供給して汚泥を流動させつつ熱分解する熱分解ゾーンとし、その直上部分を空気比が0.1〜0.3の二次燃焼用空気のみを供給することにより局所高温場を形成してNOを分解する層上燃焼ゾーンとし、炉体の最上部を未燃分を完全燃焼させる完全燃焼ゾーンとするとともに、前記層上燃焼ゾーンにおける二次燃焼用空気の供給位置を上下2段に分割し、その供給速度を70m/s以上の高速としたことを特徴とする流動焼却炉。
【請求項2】
熱分解ゾーンの空気比を0.7〜1.1、温度を550〜750℃、層上燃焼ゾーンの温度を850〜920℃としたことを特徴とする請求項1記載の流動焼却炉。
【請求項3】
流動空気として供給される一次空気と層上燃焼ゾーンに供給される二次燃焼用空気の合計の空気比を1.0〜1.3としたことを特徴とする請求項1記載の流動焼却炉。
【請求項4】
完全燃焼ゾーンに供給される空気の空気比を0.1〜0.3とし、全体での空気比を1.5以下としたことを特徴とする請求項1記載の流動焼却炉。
【請求項5】
二次燃焼用空気の下段の供給高さを、静止砂層の上面から600〜1000mmとしたことを特徴とする請求項1記載の流動焼却炉。
【請求項6】
上下2段に二次燃焼用空気を供給することにより、その間にNOの分解温度以上、サーマルNOの発生温度未満の層上燃焼ゾーンを形成したことを特徴とする請求項1記載の流動焼却炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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