説明

流動計

【課題】大きな測定レンジを有しすなわち高粘性の材料にも適していて、それにもかかわらず連続的な測定を実施することができる、流動計に液体を充填することができる押出機を有する、液体の粘度を測定するための流動計を提供する。
【解決手段】流動計を充填するために押出機の回転数を調節することができるようにする。この場合、流動計は押出機の押出機スクリューの出力側かつ押出機ノズルの上流に接続することができる。さらに、押出機の押出機ノズルが流動計を充填するために閉鎖可能であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1前段に記載の液体の粘性を測定するための流動計に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで測定すべき液体としては、例えばゴム混合物およびポリマー溶融物が挙げられる。ポリマー溶融物に対しては例えばクエット原理あるいはテーパ―プレート原理に基づいた回転粘度計を使用することができ、ここで後者の原理は剪断速度が半径にかかわらず一定であるという利点を有する。
【0003】
この種の回転粘度計は共通して、所与の駆動力によって回転体が駆動され、回転に対する液体の抵抗が測定されるものである。それによって液体の剪断抵抗、すなわち粘度が判定される。
【0004】
この測定の前提条件は、液体が流動計の壁部から剥離しないことである。その限りにおいて回転体は“スピン”しないものとなる。
【0005】
スピンを防止するために、例えばムーニ粘度計のように、回転体の壁部にプロファイリングされた表面を設けることが知られている。この解決方式は実用化されているが、内角についての効果には一定の問題がある。液体の成分の変更に際して通常元の液体の残余分が内角部に滞留し、従って不純物が生じる。
【0006】
プロファイリングされた表面を有する流動計によっても、高粘度および高弾力性の混合物においては壁滑りが生じる。通常粘度は例えば100℃等の予め設定された温度で測定され、所定の素材が挿入されそれが加熱される。温度均衡化のために例えば約1分間の待ち時間が見込まれるが、ポリマーが極めて低い熱伝導性のものであるため、通常温度均衡化は完全ではない。
【0007】
他方、流動計の動作によって通常さらなる温度上昇と、材料に負担をもたらす剪断作用が発生する。温度均衡化は通常極めて長い待ち時間の後に達成される。
【0008】
押出機の出力側に流動計を接続することが知られている。この種の解決方式の一例が独国特許第3324842号明細書(特許文献1)に記載されている。この解決方式によれば、特殊に形成された環状間隙を有する捩り管によって液流の不連続性が防止される。この構造は極めて高コストであるにもかかわらず、高粘性の液体においては壁滑りが発生する可能性がある。
【0009】
【特許文献1】独国特許第3324842号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の目的は、大きな測定レンジを有しすなわち高粘性の材料にも適していて、それにもかかわらず連続的な測定を実施することができる請求項1前段に記載の流動計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題は本発明に従って請求項1によって解決される。好適な追加構成が従属請求項によって示されている。
【0012】
本発明によれば、押出機スクリューによって材料あるいは材料の内圧に相関して流動計が充填される。流動計に充填される材料流の調節可能性によって、高粘性の液体における壁滑りの発生傾向を補償することができる。高粘性の液体において、適宜な容積で推進することによって高い圧力が発生する。圧力上昇によって流動計内における壁滑り傾向を低減することができる。
【0013】
他方、押出機、例えば典型的なスクリュー押出機は容積推進器ではない。従って本発明により押出機の回転数を前記の目的に従って高めるか、あるいは流動計の内圧が測定される液体に応じて最適化されるように調節可能にする。
【0014】
この点に関して、圧力センサが液体の内圧を検出し押出機の回転数をそれに相関して調節すれば極めて好適である。
【0015】
本発明の好適な構成によれば、流動計の計測室の領域の温度上昇が検出される。内部摩擦の増加に従って温度上昇の増加が生じる。押出機スクリューの回転数の低減によって材料温度を目標温度に移行させ得ることが好適であり、ここで計測室内の圧力は押出機の駆動機構によって広範な領域で調節することができる。
【0016】
本発明によれば、計測室が完全に充填されている場合にこの計測室の排出口が閉鎖される閉鎖式システムの実現が可能になるが、他方開放式システムの実現も可能である。二番目のケースにおいて、押出機の長スロットノズルが液流抵抗として機能しこれに対抗して圧力が形成される。
【0017】
本発明によれば意外なことに、圧力上昇によって壁滑りを完全に防止することができる。このため本発明によれば、極めて高い計測圧力が押出機によって生成され、それによって極めて大きな摩擦抵抗が壁に対して生じ、それによってその部分における剥離が防止される。
【0018】
本発明の別の利点は、高粘性および弾力性のポリマー溶融物ならびにゴム混合物においても分析時間が短縮されることである。圧力上昇によって良好な混合が可能になりそれによって温度差が縮小され、その結果測定時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のその他の詳細、特徴ならびに利点は、添付図面を参照しながら以下に記述する実施例の説明によって明らかにされる。
【0020】
図1には押出機ケース部材14内に回転可能に取り付けられた押出機スクリュー12を備えた押出機10が示されている。押出機スクリュー12は図示されていない押出機モータによって駆動可能である。その回転数は実質的に押出機によって押し出す材料の推進速度に相関するが、正確な比例は存在しない。
【0021】
押出機10は押出機スクリュー12に接続して押出機ノズル16を備えている。そこには流路18が形成されており、これが押出機スクリューの領域の円形の流動体を長方形の流動体に変形するよう作用する。
【0022】
図示された実施例において押出機ノズル16はノズルスロット22を備えている。このノズルスロット22は流路18の逆側に向かって先細になっており、従って流路18内を通流する材料に対して流動抵抗を形成する。
【0023】
本発明に従って流動計24が設けられており、これは流路18から外側に向かって延在している。流体工学上の関係において流動計24は、押出機スクリュー12とノズルスロット22の間に配置されている。流動計24は回転粘度計として形成され、クエット原理に従って動作する。これは回転体26を備えており、それが既知の方式で駆動されるとともにその回転に際して流動計24内に収容された材料に剪断あるいは押圧力がかけられる。回転体26の回転抵抗によって粘度が示される。
【0024】
本発明によれば、流動計24を充填するために押出機スクリュー12の回転数を調節することができる。高粘性の材料の場合、押出機スクリュー12は比較的高い内圧に対抗して作用し、一方殆ど液体の材料の場合それに従って内圧が小さくなる。多様な粘度に対しても、押出機スクリューの回転数を調節することによって計測に対する目標温度を迅速かつ柔軟に達成することができる。
【0025】
高粘性の材料の場合における圧力上昇によって、さらに流動計24内における壁滑り危険性も排除される。本発明によれば、流動計24内の内圧は滑りを生じさせない程度に高くなる。
【0026】
図2には、流動計24の断面が示されている。図2に示されているように、ノズルスロット22がノズル体28を貫通して形成されており、それによって所要の直径縮小が達成される。流動計24は流路18と流体結合されており、その直近においてセンサ30によって材料の圧力、好適には圧力と温度の両方が測定される。それによって流動計の充填のために押出機スクリューの回転数をさらに最適化する可能性が達成される。
【0027】
変更された構成例においてノズルスロット28は完全に閉鎖されている。この解決方式において押出機スクリュー12は専ら流動計24を充填するために機能するが、これにおいては(図示された実施例とは異なって)連続的な測定は不可能となる。
【0028】
いずれの場合においても流動計24は既知の方式で溢流開口部を備えており、流動計から流出した空気の排出を可能にするものであり、また閉鎖することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る流動計を備えた押出機を概略的に示した構成図である。
【図2】図1の細部を示した断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 押出機
12 押出機スクリュー
14 押出機ケース部材
16 押出機ノズル
18 流路
22,28 ノズルスロット
24 流動計
26 回転体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動計に液体を充填することができる押出機を有する、液体の粘度を測定するための流動計であり、流動計(24)を充填するために押出機(10)の回転数を調節可能であることを特徴とする流動計。
【請求項2】
流動計(24)は押出機(10)の押出機スクリュー(12)の出力側かつ押出機ノズル(16)の上流に接続されることを特徴とする請求項1記載の流動計。
【請求項3】
押出機(10)の押出機ノズル(16)が流動計(24)を充填するために閉鎖可能であることを特徴とする請求項1または2記載の流動計。
【請求項4】
流動計(24)の領域に圧力センサを設け、押出機(10)の回転数を所要の圧力に対応して調節することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の流動計。
【請求項5】
液体の支流が流動計(24)によって誘導されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の流動計。
【請求項6】
流動計(24)が連続的に液体の粘度を測定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の流動計。
【請求項7】
流動計(24)に対して、好適にはさらに圧力センサに対して、さらに好適には少なくとも1つの温度センサに対して評価回路が接続され、それらのセンサを使用して特に流動計(24)上の圧力との比較、ならびにさらにその温度との比較によって液体の粘度を検出し得ることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の流動計。
【請求項8】
押出機(10)が押出機ノズル(16)を備えており、それが特に平型ノズルとして形成さているとともに、押し出された液体がその上で視覚認識され視覚的に判定され得ることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の流動計。
【請求項9】
流動計(24)が振動型粘度計として形成されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の流動計。
【請求項10】
流動計(24)が回転式粘度計として形成されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の流動計。
【請求項11】
流動計(24)が振動を重ね合わせた回転式粘度計として形成されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の流動計。
【請求項12】
流動計(24)内における液体の材料圧が30バール超、特に約100バールに設定されることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の流動計。
【請求項13】
流動計(24)がプロファイリングされていない壁表面を備えていて、測定に際して液体が流動計(24)の壁部に粘着することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の流動計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−32713(P2008−32713A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191489(P2007−191489)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(507248365)ジャド エクストルビジョン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)