説明

流量制御弁およびこれを備えた血圧情報測定装置

【課題】小型で軽量かつ安価に構成することができ、消費電力が小さく、容易に流体の流量制御が行なえる流量制御弁を提供する。
【解決手段】流量制御弁32Aは、流量制御すべき流体が流入および流出する流入口111aおよび流出口112aが設けられたケーシング101と、ケーシング101の内部の空間を上記流体が流動する流動空間140と作動媒体が存する作動空間150とに区画するダイヤフラム130と、流入口111aに対向する部分のダイヤフラム130に設けられた弁体160とを備える。作動空間150の内圧変化に伴ってダイヤフラム130が変位することで弁体130が移動し、これに伴って弁体160と流入口111aとの間の距離が変化することで流入口111aから流動空間140に流入する上記流体の流量が調節され、これにより流出口112aから流出する上記流体の流量が可変に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を可変に制御可能な流量制御弁およびこれを備えた血圧情報測定装置に関し、より特定的には、圧縮流体の流量を可変に制御可能な流量制御弁および当該流量制御弁を圧迫用流体袋の内圧を減圧させるための排出弁として備えた血圧情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被験者の血圧情報を測定することは、被験者の健康状態を知る上で非常に重要なことである。近年においては、たとえば脳卒中や心不全、心筋梗塞等の心血管系疾患のリスク解析に資する代表的な指標としてその有用性が広く認められている収縮期血圧値、拡張期血圧値を測定することに限られず、被験者の脈波を測定することによって心臓負荷や動脈硬化度を捉える試み等もなされている。
【0003】
血圧情報測定装置は、これら血圧情報を測定するための装置であり、循環器系疾患の早期発見や予防、治療等の分野においてさらなる活用が期待されている。なお、血圧情報には、収縮期血圧値、拡張期血圧値、平均血圧値、脈波、脈拍、動脈硬化度を示す各種指標等、循環器系の種々の情報が広く含まれる。
【0004】
一般に、血圧情報の測定には、血圧情報測定装置用カフ(以下、単にカフとも称する)が利用される。ここで、カフとは、内腔を有する流体袋を含む帯状または環状の構造物であって生体の一部に装着が可能なものを意味し、気体や液体等の流体を上記内腔に注入することによって流体袋を膨張させて動脈を圧迫することで血圧情報の測定に利用されるもののことを指す。
【0005】
通常、血圧情報測定装置には、流体袋の内圧を加減圧するための加減圧機構として、加圧ポンプおよび排出弁が設けられる。このうち、排出弁は、加圧ポンプによって加圧された流体袋の内圧を閉状態において維持し、開状態において減圧するためのものである。当該排出弁としては、流体袋の内圧を減圧する際にその動作が制御されることで排出流量が可変に制御可能な流量制御弁が好適に使用される。
【0006】
従来、この排出弁である流量制御弁としては、たとえば特開平6−47007号公報(特許文献1)や、特開平6−47008号公報(特許文献2)、特開2002−5330号公報(特許文献3)等に開示されるように、弁体を電磁的に駆動する電磁駆動弁が採用されることが一般的であった。
【0007】
ここで、電磁駆動弁は、ハウジングと、先端に弁体が取付けられた駆動軸と、ハウジングおよび駆動軸のいずれか一方に設けられた永久磁石と、ハウジングおよび駆動軸の他方に設けられた電磁コイルとを備えてなるものであり、電磁コイルに通電することによって当該電磁コイルに生じる電磁力とこれを受けて永久磁石に生じる反発力とを利用して駆動軸を軸方向に沿って移動可能に構成したものである。
【0008】
上記特許文献1ないし3に開示の血圧情報測定装置においては、当該電磁駆動弁をカフに内包された流体袋の排出口に対向して配置させ、駆動軸の先端に設けられた弁体がその移動に伴って上記排出口を閉塞したり開放したりすることができるように構成し、これにより流体袋から排出される流体の流量が可変に制御可能となるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−47007号公報
【特許文献2】特開平6−47008号公報
【特許文献3】特開2002−5330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、血圧情報測定装置に具備される排出弁として電磁駆動弁からなる流量制御弁を採用した場合には、以下の問題が生じる。
【0011】
第1に、電磁駆動弁は、上述したように、電磁コイルに生じる電磁力と永久磁石に生じる反発力とを利用して駆動軸を移動させるものであるため、その消費電力が他のアクチュエータに比較して大きいものである。したがって、排出弁として当該電磁駆動弁を利用した場合には、血圧情報測定装置全体としての消費電力も大きいものとなってしまう問題が生じる。
【0012】
第2に、電磁駆動弁は、上述したように、内部に永久磁石や電磁コイル等の種々の構成部品を多く含むものであるため、比較的高価であり、またその構造が非常に複雑でその体積も大きなものである。したがって、排出弁として当該電磁駆動弁を利用した場合には、血圧情報測定装置の製造コストを圧迫してしまうといった問題や、血圧情報測定装置が大型化したり重くなったりしてしまうといった問題が生じる。
【0013】
第3に、電磁駆動弁は、上述したように、電磁コイルに生じる電磁力と永久磁石に生じる反発力とを利用して駆動軸を移動させるものであるため、駆動軸の移動距離を精緻に制御することが比較的困難なものである。したがって、排出弁として当該電磁駆動弁を利用した場合には、流体袋から排出される流体の流量を精緻に制御することが困難になってしまう問題が生じる。
【0014】
このように、従来の血圧情報測定装置およびこれに具備される排出弁としての流量制御弁には、上述した如くの種々の面において、依然として多くの改良の余地がある。
【0015】
したがって、本発明は、小型で軽量かつ安価に構成することができ、消費電力が小さく、容易に流体の流量制御が行なえる流量制御弁および当該流量制御弁を排出弁として備えた血圧情報測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に基づく流量制御弁は、流体の流量を可変に制御可能なものであって、ケーシングと、ダイヤフラムと、弁体とを備えている。上記ケーシングには、上記流体が流入する流入口および上記流体が流出する流出口が設けられている。上記ダイヤフラムは、上記ケーシング内の空間を上記流体が流動する流動空間と作動媒体が存する作動空間とに区画している。上記弁体は、上記流入口に対向する部分の上記ダイヤフラムに設けられている。本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記ダイヤフラムが上記作動空間の内圧変化に伴って変位することで上記弁体が移動することにより、上記弁体と上記流入口との間の距離が変化することで上記流入口から上記流動空間に流入する上記流体の流量が調節され、これにより上記流出口から流出する上記流体の流量が可変に制御可能とされている。
【0017】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記ダイヤフラムの上記作動空間の内圧変化に伴って変位する部分の面積が、上記流入口の開口面積よりも大きいことが好ましい。
【0018】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記弁体が、上記流入口との間の距離がなくなった状態において上記流入口を完全に閉塞する大きさを有していることが好ましい。
【0019】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記弁体が、弾性部材にて構成されていることが好ましい。
【0020】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記弁体が、上記ダイヤフラムよりも硬質の部材にて構成されていることが好ましい。
【0021】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記弁体の上記流入口に対向する主面が、微小凹凸を有していることが好ましい。
【0022】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記作動媒体を導入および導出する開口が、上記ケーシングに設けられていることが好ましい。
【0023】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、当該流量制御弁が、上記開口を介して上記作動媒体を導入および導出することで上記作動空間に内圧変化を生じさせる圧生成手段をさらに備えていることが好ましい。
【0024】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記圧生成手段が、上記作動媒体を吸入して吐出するポンプを含んでいることが好ましい。
【0025】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記ポンプが、当該ポンプの吸入口側から吐出口側に向かう方向を順方向とした場合に、上記吸入口側の圧力が上記吐出口側の圧力よりも低い条件下において当該順方向とは逆方向に上記作動媒体を排出することができるポンプにて構成されていることが好ましい。
【0026】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記ポンプが、圧電素子が組付けられた振動板部が振動することで上記作動媒体を吸入して吐出する圧電ポンプにて構成されていることが好ましい。
【0027】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記ポンプが、当該ポンプの吸入口側からその吐出口側に向かう方向を順方向とした場合に、上記吸入口側の圧力が上記吐出口側の圧力よりも低い条件下において当該順方向とは逆方向に上記作動媒体を排出することができないポンプにて構成されていてもよく、その場合には、上記作動空間に連通するように漏らし弁が設けられていることが好ましい。
【0028】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記ケーシングが上記圧生成手段のハウジングに固定されることにより、上記ケーシングと上記圧生成手段とが一体化されていることが好ましい。
【0029】
上記本発明に基づく流量制御弁にあっては、上記流入口から上記流動空間に流入する上記流体が、大気圧よりも高圧に圧縮された圧縮空気であってもよく、その場合には、上記作動空間に存する上記作動媒体が、上記圧縮空気よりも低圧の空気であることが好ましい。
【0030】
本発明に基づく血圧情報測定装置は、上記本発明に基づく流量制御弁を、生体を圧迫するための圧迫用流体袋の内圧を減圧させるための排出弁として備えている。
【0031】
上記本発明に基づく血圧情報測定装置にあっては、測定時において、上記圧迫用流体袋の内圧が微速減圧されるように上記排出弁としての上記流量制御弁の駆動が制御されることにより、少なくとも収縮期血圧値および拡張期血圧値が減圧測定法に基づいて算出されることが好ましく、また、測定完了後において、上記圧迫用流体袋の内圧が急速減圧されるように上記排出弁としての上記流量制御弁の駆動が制御されることが好ましい。
【0032】
上記本発明に基づく血圧情報測定装置にあっては、測定時において、上記圧迫用流体袋の内圧が微速加圧されるように上記排出弁としての上記流量制御弁の駆動が制御されることにより、少なくとも収縮期血圧値および拡張期血圧値が加圧測定法に基づいて算出されることが好ましく、また、測定完了後において、上記圧迫用流体袋の内圧が急速減圧されるように上記排出弁としての上記流量制御弁の駆動が制御されることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、小型で軽量かつ安価に構成することができ、消費電力が小さく、容易に流体の流量制御が行なえる流量制御弁および当該流量制御弁を排出弁として備えた血圧情報法測定装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1における血圧計の外観構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1における血圧計の機能ブロックの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1における流量制御弁の模式断面図である。
【図4】図3に示す圧電ポンプユニットの動作状況を示す模式断面図である。
【図5】図3に示す弁ユニットの動作状況を示す模式断面図である。
【図6】図3に示す弁ユニットの要部拡大断面図である。
【図7】図3に示す弁ユニットの他の構成例を示す要部拡大断面図である。
【図8】図3に示す弁ユニットのさらに他の構成例を示す要部拡大断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1における血圧計の減圧測定法に基づいた動作フローを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1における血圧計の図9に示す動作フローに従った場合の急速加圧過程における具体的な動作を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1における血圧計の図9に示す動作フローに従った場合の微速減圧過程における具体的な動作を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1における血圧計の図9に示す動作フローに従った場合の急速減圧過程における具体的な動作を示す図である。
【図13】図9に示す動作フローに従った場合の圧迫用空気袋の内圧の経時的な変化を示すグラフである。
【図14】本発明の実施の形態1における血圧計の加圧測定法に基づいた動作フローを示す図である。
【図15】本発明の実施の形態1における血圧計の図14に示す動作フローに従った場合の微速加圧過程における具体的な動作を示す図である。
【図16】図14に示す動作フローに従った場合の圧迫用空気袋の内圧の経時的な変化を示すグラフである。
【図17】本発明の実施の形態1に従った第1変形例に係る流量制御弁の弁ユニットの模式断面図である。
【図18】本発明の実施の形態1に従った第2変形例に係る流量制御弁の弁ユニットの模式断面図である。
【図19】本発明の実施の形態1に従った第3変形例に係る流量制御弁の模式断面図である。
【図20】本発明の実施の形態2における流量制御弁の模式断面図である。
【図21】図20に示すモータポンプユニットの動作状況を示す模式断面図である。
【図22】図20に示す漏らし弁ユニットの構成を示す側面図および動作状況を示す模式断面図である。
【図23】本発明の実施の形態2における血圧計の図9に示す動作フローに従った場合の急速加圧過程における具体的な動作を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態2における血圧計の図9に示す動作フローに従った場合の微速減圧過程における具体的な動作を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態2における血圧計の図9に示す動作フローに従った場合の急速減圧過程における具体的な動作を示す図である。
【図26】本発明の実施の形態2に従った変形例に係る流量制御弁のモータポンプユニットの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、血圧情報測定装置として、被験者の上腕にカフが装着されて使用されることで被験者の収縮期血圧値および拡張期血圧値が測定可能に構成された、いわゆる上腕式血圧計を例示して説明を行なう。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における血圧計の外観構造を示す斜視図であり、図2は、機能ブロックの構成を示す図である。まず、これら図1および図2を参照して、本実施の形態における血圧計1の構成について説明する。
【0037】
図1に示すように、本実施の形態における血圧計1は、本体10と、カフ40と、エア管50とを備えている。本体10は、箱状の筐体を有しており、その上面に表示部21および操作部23を有している。本体10は、測定時においてテーブル等の載置面に載置されて使用される。カフ40は、帯状でかつ袋状の外装カバー41と、当該外装カバー41に内包された圧迫用流体袋としての圧迫用空気袋42とを主として有しており、全体として略環状の形態を有している。カフ40は、測定時において被験者の上腕に巻き付けられて装着されることで使用される。エア管50は、分離して構成された本体10とカフ40とを接続している。
【0038】
図2に示すように、本体10は、上述した表示部21および操作部23に加え、制御部20と、メモリ部22と、電源部24と、加圧ポンプ31と、排出弁としての流量制御弁32と、圧力センサ33と、加圧ポンプ駆動回路34と、流量制御弁駆動回路35と、発振回路36とを有している。加圧ポンプ31、流量制御弁32および圧力センサ33は、血圧計1に具備される圧迫用エア系コンポーネント30に相当し、特に加圧ポンプ31および流量制御弁32は、圧迫用空気袋42の内圧を加減圧するための加減圧機構に相当する。
【0039】
圧迫用空気袋42は、装着状態において上腕を圧迫するためのものであり、その内部に内腔を有している。圧迫用空気袋42は、上述したエア管50を介して上述した圧迫用エア系コンポーネント30である加圧ポンプ31、流量制御弁32および圧力センサ33のそれぞれに接続されている。これにより、圧迫用空気袋42は、加圧ポンプ31が駆動することで加圧されて膨張し、排出弁としての流量制御弁32の駆動が制御されることでその内圧が維持されたり減圧されて収縮したりする。
【0040】
制御部20は、たとえばCPU(Central Processing Unit)にて構成され、血圧計1の全体を制御するための手段である。表示部21は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)にて構成され、測定結果等を表示するための手段である。メモリ部22は、たとえばROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)にて構成され、血圧値測定のための処理手順を制御部20等に実行させるためのプログラムを記憶したり、測定結果等を記憶したりするための手段である。操作部23は、被験者等による操作を受付けてこの外部からの命令を制御部20や電源部24に入力するための手段である。電源部24は、制御部20に電力を供給するための手段である。
【0041】
制御部20は、加圧ポンプ31および流量制御弁32を駆動するための制御信号を加圧ポンプ駆動回路34および流量制御弁駆動回路35にそれぞれ入力したり、測定結果としての血圧値を表示部21やメモリ部22に入力したりする。また、制御部20は、圧力センサ33によって検出された圧力値に基づいて被験者の血圧値を取得する血圧情報取得部(不図示)を含んでおり、この血圧情報測定部によって取得された血圧値が、測定結果として上述した表示部21やメモリ部22に入力される。なお、血圧計1は、測定結果としての血圧値を外部の機器(たとえばPC(Personal Computer)やプリンタ等)に出力する出力部を別途有していてもよい。出力部としては、たとえばシリアル通信回線や各種の記録媒体への書き込み装置等が利用可能である。
【0042】
加圧ポンプ駆動回路34は、制御部20から入力された制御信号に基づいて加圧ポンプ31の動作を制御する。流量制御弁駆動回路35は、制御部20から入力された制御信号に基づいて流量制御弁32の開閉動作を制御する。加圧ポンプ31は、圧迫用空気袋42の内腔に空気を供給することにより圧迫用空気袋42の内圧(以下、「カフ圧」とも称する)を加圧するためのものであり、その動作が上述した加圧ポンプ駆動回路34によって制御される。流量制御弁32は、圧迫用空気袋42の内圧を維持したり、圧迫用空気袋42の内腔を外部に開放してカフ圧を減圧したりするためのものであり、その動作が上述した流量制御弁駆動回路35によって制御される。圧力センサ33は、圧迫用空気袋42の内圧を検知してこれに応じた出力信号を発振回路36に入力する。発振回路36は、圧力センサ33から入力された信号に応じた発振周波数の信号を生成し、生成した信号を制御部20に入力する。
【0043】
ここで、本実施の形態においては、具体的には、流量制御弁32が、後述する弁ユニット100Aおよび圧電ポンプユニット200Aからなる流量制御弁32Aにて構成されており、流量制御弁駆動回路35が、圧電ポンプユニット200Aに具備された圧電素子260の駆動を制御する圧電素子駆動回路35Aにて構成されている(図3、図10ないし図12等参照)。以下、本実施の形態における流量制御弁32Aについて詳説する。
【0044】
図3は、本実施の形態における流量制御弁の模式断面図である。まず、この図3を参照して、本実施の形態における流量制御弁32Aの具体的な構成について説明する。
【0045】
図3に示すように、本実施の形態における流量制御弁32Aは、弁ユニット100Aと圧生成手段としての圧電ポンプユニット200Aとが組み合わされることで構成されている。弁ユニット100Aと圧電ポンプユニット200Aとは、接続管52を介して接続されている。また、流量制御弁32Aは、接続管51を介して上述した圧迫用空気袋42、加圧ポンプ31および圧力センサ33のそれぞれに接続されている。
【0046】
本実施の形態における流量制御弁32Aにあっては、流量制御を行なうべき圧縮空気が、上記接続管51を介して圧迫用空気袋42から弁ユニット100Aに流入可能に構成されており、作動媒体である空気が、上記接続管52を介して弁ユニット100Aに圧電ポンプユニット200Aから導入可能に、かつ上記接続管52を介して弁ユニット100Aから圧電ポンプユニット200Aに導出可能に構成されている。そのため、流量制御弁32Aにおいては、圧電ポンプユニット200Aの駆動を制御することで弁ユニット100Aに存する作動媒体としての空気の圧力に変化を与えることが可能とされており、これにより弁ユニット100Aに流入する圧縮空気の流量が調節されることで弁ユニット100Aから流出する圧縮空気の流量が可変に制御可能に構成されている。
【0047】
図3に示すように、弁ユニット100Aは、ケーシング101と、ダイヤフラム130と、弁体160とを主として備えている。ケーシング101は、全体として偏平な形状を有しており、下端開口の箱状の上ケース110と上端開口の箱状の下ケース120とが組み合わされることで内部に空間を有するように構成されている。
【0048】
ダイヤフラム130は、上ケース110と下ケース120との間に位置しており、その周縁が上ケース110および下ケース120のそれぞれの周縁によって挟持されることでケーシング101に固定されている。これにより、ダイヤフラム130は、上記空間内において図中矢印A方向に撓み変形が可能となるように構成されている。なお、下ケース120の周縁には、たとえばOリング等からなるシール部材125が収容された溝部が設けられており、当該シール部材125がダイヤフラム130に当接することで上記空間の気密性(特に後述する作動空間150の気密性)が確保されている。
【0049】
ケーシング101の内部の空間は、上述したダイヤフラム130によって上ケース110側に位置する空間と下ケース120側に位置する空間とに区画されている。このうち、上ケース110側に位置する空間は、上ケース110とダイヤフラム130とによって規定されており、流量制御される圧縮空気が流動する流動空間140に相当する。一方、下ケース120側に位置する空間は、下ケース120とダイヤフラム130とによって規定されており、作動媒体としての空気が存する作動空間150に相当する。
【0050】
上ケース110の所定位置には、接続管51が接続される流入部111が設けられており、当該流入部111には、圧縮空気が流入する流入口111aが設けられている。また、上ケース110の他の所定位置には、流出部112が設けられており、当該流出部112には、圧縮空気が流出する流出口112aが設けられている。これら流入口111aおよび流出口112aは、いずれも上述した流動空間140に面している。
【0051】
ダイヤフラム130の流動空間140に面する側の主面の所定位置には、弁体160が設けられている。より詳細には、弁体160は、ダイヤフラム130の上記流入口111aに対向する部分に配設されている。
【0052】
ここで、ダイヤフラム130の弁体160が設けられた部分の変位量をより大きく確保するためには、弁体160がダイヤフラム130の中央部に配設されていることが好ましく、したがって上述した流入口111aは、上ケース110のダイヤフラム130の中央部に対面する部分に設けられていることが好ましい。また、ダイヤフラム130の変位量をより大きくするためには、ダイヤフラム130の流動空間140および作動空間150に面する部分の形状を円形状とすることが好ましい。
【0053】
下ケース120の所定位置には、接続管52が接続される接続部121が設けられており、当該接続部121には、作動媒体としての空気を導入または導出する開口121aが設けられている。当該開口121aは、上述した作動空間150に面している。
【0054】
ダイヤフラム130は、可撓性の部材からなり、たとえばステンレス合金やリン青銅に等からなる金属製フィルムまたはシリコーン樹脂やポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂等からなる樹脂製フィルム等の薄膜にて構成される。一方、弁体160は、好適には弾性部材からなり、たとえばシリコーン樹脂等からなる厚膜の部材にて構成される。ここで、弁体160は、好ましくはダイヤフラム130よりも硬質の部材にて構成される。なお、ダイヤフラム130および弁体160を同一の樹脂材料にて形成する場合には、これらを一体の部材にて構成することも可能である。
【0055】
ダイヤフラム130の弁体160が設けられた部分を取り囲む位置には、当該ダイヤフラム130を波状に加工することで形成された易変形部131が設けられている。当該易変形部131は、ダイヤフラム130に撓み変形がより生じ易くなるように設けられた部位であり、当該部位を設けることにより、ダイヤフラム130の弁体160が設けられた部分の変位量をより大きくすることができる。
【0056】
一方、図3に示すように、圧電ポンプユニット200Aは、ハウジング201と、薄板部231と、振動板部232と、圧電素子260とを主として備えている。ハウジング201は、全体として偏平な形状を有しており、下端開口の箱状の上部側ハウジング210と当該上部側ハウジング210の下端開口を閉塞する平板状の下部側ハウジング220とが組み合わされることで内部に空間を有するように構成されている。
【0057】
上部側ハウジング210の内側には、第1支持部材212および第2支持部材213が設けられており、第1支持部材212によって上述した薄板部231が上部側ハウジング210に所定の距離をもって固定されており、第2支持部材213によって上述した振動板部232が薄板部231に所定の距離をもって固定されている。これにより、振動板部232は、上記空間内において図中矢印B方向に撓み変形が可能となるように構成されている。
【0058】
ハウジング201の内部の空間は、上述した薄板部231、振動板部232および第2支持部材213により、これら部材によって取り囲まれることで規定されたポンピング空間(ポンプ室)240と、これら部材と上記ハウジング201とによって規定され、上記ポンピング空間240の外側に位置する周囲空間250とに区画されている。
【0059】
上部側ハウジング210の所定位置には、接続管52が接続される吐出部211が設けられており、当該吐出部211には、作動媒体としての空気が主として吐出される吐出口211aが設けられている。当該吐出口211aは、上述した周囲空間250に面している。
【0060】
薄板部231の所定位置には、微細連通孔231aが設けられている。より詳細には、微細連通孔231aは、薄板部231の上記吐出口211aに対向する部分に配設されている。
【0061】
下部側ハウジング220の所定位置には、作動媒体としての空気が主として吸入される吸入口220aが設けられている。当該吸入口220aは、上述した周囲空間250に面している。
【0062】
振動板部232の周囲空間250に面する側の主面の所定位置には、圧電素子260が設けられている。より詳細には、圧電素子260は、振動板部232の上記吸入口220aに対向する部分に配設されている。なお、圧電素子260は、上述した圧電素子駆動回路35A(図10ないし図12参照)によってその駆動が制御される。
【0063】
ここで、振動板部232の撓み変形による変位量(すなわち振幅)をより大きく確保するためには、圧電素子260が振動板部232の中央部に配設されていることが好ましい。また、振動板部232の変位量をより大きくするためには、振動板部232のポンピング空間240および周囲空間250に面する部分の形状を円形状とすることが好ましい。このように構成することで振動板部232の撓み変形による変位量を大きくすれば、圧電ポンプユニット200Aのポンプ能力をより高めることが可能になる。
【0064】
図4は、上述した圧電ポンプユニットの動作状況を示す模式断面図であり、図5は、上述した弁ユニットの動作状況を示す模式断面図である。次に、これら図4および図5を参照して、圧電ポンプユニット200Aおよび弁ユニット100Aの動作について説明する。なお、図4および図5においては、作動媒体としての空気の流れおよび圧縮空気の流れをそれぞれ矢印にて模式的に示している。
【0065】
図4(A)は、圧電ポンプユニット200Aを動作させた状態を示している。当該動作状態においては、圧電素子260に所定の電圧が印加されることにより、圧電素子260に振動が生じ、これを受けて振動板部232が図3中に示した矢印B方向に沿って振動する。
【0066】
その際、図4(A)に示すように、周囲空間250とポンピング空間240との間に、薄板部231に設けられた微細連通孔231aを介しての空気の流動が生じることになるが、微細連通孔231aが十分に小さく構成されているため、ベンチュリ効果によって周囲空間250の微細連通孔231aに面する部分において陰圧が持続的に発生することになる。また、微細連通孔231aに対向して吐出口211aが配設されているため、当該陰圧によって作動媒体としての空気が吸入口220aから持続的に周囲空間250に吸入され、吸入された作動媒体としての空気が吐出口211aから持続的に吐出されることになる。
【0067】
これにより、動作状態にある圧電ポンプユニット200Aにあっては、図中に示す如くの空気の流れが持続的に発生することになり、作動媒体としての空気を連続的に吐出口211aから吐出するポンプ機能が発揮されることになる。
【0068】
図4(B)は、圧電ポンプユニット200Aを停止させた状態を示している。当該停止状態においては、振動板部232が振動することがないため、上述した如くのポンプ機能は当然に発揮されない。
【0069】
ここで、圧電ポンプユニット200Aの吸入口220a側の圧力(通常は大気圧)が吐出口211a側の圧力(すなわち、吐出部211に接続された弁ユニット100Aの作動空間150の内圧)よりも低い条件下においては、図中に示す如くの空気の流れが発生することになる。すなわち、作動媒体としての空気が吐出口211aから周囲空間250に吸入され、吸入された作動媒体としての空気が吸入口220aから吐出されることになる。すなわち、上記図4(A)に示す空気の流れを順方向とした場合に、これとは逆方向の空気の流れが生じることになる。
【0070】
このように、本実施の形態における圧電ポンプユニット200Aは、動作時において弁ユニット100Aの作動空間150の内圧を昇圧させるポンプ機能を発揮するとともに、停止時において弁ユニット100Aの作動空間150の内圧を降圧させて大気圧に復帰させる漏らし機能を発揮する。
【0071】
一方、図5(A)は、弁ユニット100Aの流入口111a側の圧力(すなわち、流入部111に接続された圧迫用空気袋42の内圧)が大気圧よりも高い圧力であり、かつ圧電ポンプユニット200Aが停止された状態を示している。当該状態においては、圧電ポンプユニット200Aが駆動されていないため、弁ユニット100Aの作動空間150の内圧は大気圧に維持されている。
【0072】
そのため、ダイヤフラム130に流動空間140側に向けての撓み変形は生じておらず、弁体160が流入口111aと所定の距離をもって配置されており、流入口111aが開放されて全開した状態にある。したがって、流入口111aから流動空間140に向けて圧縮空気が流入することになり、流動空間140に流入した圧縮空気が流出口112aを介して外部に流出することになる。
【0073】
図5(B)および図5(C)は、弁ユニット100Aの流入口111a側の圧力(すなわち、流入部111に接続された圧迫用空気袋42の内圧)が大気圧よりも高い圧力であり、かつ圧電ポンプユニット200Aが所定の出力で駆動された状態を示している。
【0074】
図5(B)に示す状態においては、圧電ポンプユニット200Aが十分に高い出力を発揮するように駆動されており、弁ユニット100Aの作動空間150の内圧は大気圧よりも十分に高い圧力に維持されている。そのため、ダイヤフラム130に流動空間140側に向けて十分に大きな撓み変形が生じ、ダイヤフラム130の弁体160が設けられた部分が変位することにより、流入口111aが弁体160によって完全に閉塞されて全閉した状態にある。したがって、流入口111aから流動空間140に向けて圧縮空気が流入することが完全に阻害され、圧迫用空気袋42の内圧が維持されることになる。
【0075】
図5(C)に示す状態においては、圧電ポンプユニット200Aがある程度高い出力(ただし、図5(B)に示す状態における出力よりも小さい出力)を発揮するように駆動されており、弁ユニット100Aの作動空間150の内圧は大気圧よりもある程度高い圧力(すなわち、図5(B)に示す状態における圧力よりも小さい圧力)に維持されている。そのため、ダイヤフラム130に流動空間140側に向けてある程度大きな撓み変形(すなわち、図5(B)に示す状態における撓み変形よりも小さい撓み変形)が生じ、ダイヤフラム130の弁体160が設けられた部分が変位することにより、流入口111aが弁体160によってある程度閉塞された状態にある。したがって、流入口111aから流動空間140に向けて圧縮空気が流入することになり、流入した圧縮空気が流出口112aを介して外部に流出することになるものの、弁体160によって流入口111aから流動空間140に向けて圧縮空気が流入することがある程度阻害されることになり、流動空間140に流入する圧縮空気の流量が絞られることになる。
【0076】
ここで、図5(C)に示す距離L(すなわち、流入口111aの開口面と弁体160の流入口111a側に位置する主面との間の距離)は、圧電ポンプユニット200Aに印加される駆動電圧の大きさを制御することで可変に調節可能である。そのため、当該距離Lを調節することで流入口111aから流動空間140に向けて流入する圧縮空気の流量が可変に調節可能になる。したがって、上記駆動電圧の大きさを適宜制御することにより、流出口112aから流出する圧縮空気の流量が可変に制御可能になる。
【0077】
なお、圧迫用空気袋42の内圧を維持するためには、上述したように圧縮空気が流入口111aから流動空間140に流入することを完全に阻害することが必要である。そのため、図5(B)に示す状態を実現するためには、弁体160が流入口111aよりも大きいことが必須の条件となる。すなわち、弁体160が、上記距離Lがなくなった状態(すなわち、L=0の状態)において流入口111aを完全に閉塞する大きさを有していることが必要になる。
【0078】
図6は、本実施の形態における流量制御弁の弁ユニットの全閉状態における要部拡大断面図である。次に、この図6を参照して、弁体160によって流入口111aを全閉させるために必要な作動空間の圧力を、標準的な血圧計の仕様に照らして説明する。
【0079】
図6を参照して、圧迫用空気袋42の内圧(すなわちカフ圧)に抗して弁体160によって流入口111aを全閉するために必要な推力F0[N]としては、カフ圧P1[mmHg]に対する反力F1[N]と、流入口111aの周囲に押し付けた弾性体からなる弁体160の変形反力F2[N]と、撓み変形したダイヤフラム130の変形反力F3[N]との総和である抗力Fa[N]以上の大きさの力が必要である。そのため、流入口111aの内径をφ1[cm]とすると、以下の式(1)〜(3)が成立する。
【0080】
Fa=F1+F2+F3 ・・・(1)
【0081】
F0>Fa ・・・(2)
【0082】
F1=P1×1.332×10-2×π×φ12/4 ・・・(3)
【0083】
ここで、標準的な血圧計の仕様に照らしてカフ圧P1を400[mmHg]に設定し、また流入口111aの内径φ1をたとえば0.16[cm]に設定すると、上記式(3)より、上記反力F1は、1.09×10-1[N]となる。
【0084】
また、標準的な弁体160およびダイヤフラム130の材料特性に照らし、上記反力F2を2×10-2[N]、上記反力F3を1.32×10-1[N]とすると、上記式(1)より、上記抗力Faは、2.61×10[N]=26.6[g]となる。
【0085】
その結果、上記(2)式に基づいてある程度の余裕を考慮すれば、上述した推力F0[N]として3.0×10-1[N]程度の大きさが必要であると想定される。
【0086】
なお、この3.0×10-1[N]程度の大きさの推力F0を発生させるために必要な作動空間150の内圧P0[mmHg]としては、作動空間150に面する部分のダイヤフラム130の内径をφ0[cm]とした場合に、P0=F0/(1.332×10-2×π×φ02/4)の関係式より算出され、7.2[mmHg]となる。
【0087】
以上の結果より、ダイヤフラム130の作動空間150の内圧変化に伴って変位する部分の面積を流入口111aの開口面積よりも十分に大きくすることにより、流入口111aを弁体160によって全閉させるために必要な圧電ポンプユニット200Aに求められる出力が低くて済むことになり、大幅に低消費電力化を図ることが可能になる。なお、流入口111aの開口面積およびダイヤフラム130の作動空間150の内圧変化に伴って変位する部分の面積は、いずれも種々変更することが可能であり、仕様に応じてその最適化を図ればよい。
【0088】
次に、本実施の形態における流量制御弁32Aにおいて、ダイヤフラム130に弁体160が設けられることによる効果について説明する。
【0089】
圧縮空気の流量が調節できる範囲をより広く確保するためには、作動空間150の内圧変化に応じてより鋭敏にダイヤフラム130の撓み変形量が変化することが必要になる。そのため、ダイヤフラム130は、より撓み変形が生じ易いように上述した如くの薄膜にて構成される。しかしながら、ダイヤフラム130をより薄い膜にて構成すればするほどその剛性も小さくなることになり、そのためダイヤフラム130に局所的な変形が生じ易い状態となってしまう。
【0090】
ここで、仮に弁体160をダイヤフラム130に設けずに直接ダイヤフラム130が当接することで流入口111aが閉塞されるように構成した場合には、圧縮空気の圧力と作動空間150内の圧力との差に基づき、流入口111aに対向する部分のダイヤフラム130に局所的な撓み変形が生じてしまうことになる。その結果、作動空間150の内圧を変化させることで流入口111aとこれに対向する部分のダイヤフラム130との間の距離を精緻に制御することが難しくなる問題が発生する。典型的には、ダイヤフラム130が流入口111aを全閉した状態において作動空間150の内圧を低下させた場合に、上記局所的な変形が生じることで圧縮空気の流量が一気に増加してしまう現象が生じることになり、圧縮空気の流量を微小制御することができなくなってしまう。
【0091】
これに対し、上述した本実施の形態における流量制御弁32Aの如く、ダイヤフラム130よりも硬質の部材からなる弁体160をダイヤフラム130に設けることとすれば、当該弁体160が設けられた部分においてダイヤフラム130の剛性が大きくなり、当該部分において上述した局所的な変形の発生が抑えられることになる。その結果、作動空間150の内圧を変化させることで弁体160と流入口111aとの間の距離(すなわち、上記距離L)を精緻に制御することが可能になる。典型的には、弁体160が流入口111aを全閉した状態において作動空間150の内圧を低下させた場合に、上記局所的な変形が生じることがないため圧縮空気の流量をより微小に増加させることが可能になり、圧縮空気の流量を精緻に微小制御することが可能になる。
【0092】
図7は、本実施の形態における流量制御弁の弁ユニットの他の構成例を示す要部拡大断面図である。図6に示す弁ユニット100Aにおいては、弁体160の流入口111aを閉塞する主面が、流入口111aの開口面と平行に構成された場合を例示したが、図7に示す弁ユニットの如く、当該弁体160の流入口111aを閉塞する主面に傾きをもたせて当該主面を流入口111aの開口面と非平行な傾斜面161にて、これを構成することも可能である。
【0093】
ここで、図6に示す如くの構成を採用した場合には、流入口111aの全閉に要する圧電ポンプユニット200Aの駆動電圧が小さくできる反面、上記駆動電圧の変化に対する圧縮空気の流入量の変化が顕著になる問題が生じ、場合によっては、その精緻な流量制御が困難になる場合がある。しかしながら、図7に示す如くの構成を採用すれば、流入口111aの全閉に要する圧電ポンプユニット200Aの駆動電圧が多少大きくなってしまうものの、上記駆動電圧の変化に対する圧縮空気の流入量の変化は小さくなり、その精緻な流量制御がより容易に行なえるメリットが得られる。
【0094】
これは、当該構成を採用することにより、弁体160が設けられた部分のダイヤフラム130の変位量に応じて、弁体160が流入口111aの周縁に接触することで弁体160が弾性変形して弁体160が当該周縁に密着して流入口111aが全閉された状態と、弁体160が流入口111aの周縁に非接触となって流入口111aと圧縮空間130とが比較的広い面積をもって連通させられた状態と、これらの間の状態であって弁体160が上記周縁に接触しつつも流入口111aが全閉されずに流入口111aと圧縮空間130とが比較的狭い面積をもって連通させられた状態とに精緻に制御可能になるためである。
【0095】
なお、精緻な流量制御を容易に行なうめの構成としては、上述した図7に示す如くの構成の他にも、流入口111aの開口面に傾きをもたせる構成や、ダイヤフラム130を流入口111aの開口面に対して傾きをもたせて配置することで弁体160の移動方向を当該流入口111aの開口面の法線方向と交差させる構成等、種々の構成が考えられる。
【0096】
図8は、本実施の形態における流量制御弁の弁ユニットのさらに他の構成例を示す要部拡大断面図である。図6に示す弁ユニット100Aにおいては、弁体160の流入口111aを閉塞する主面が平坦な面にて構成された場合を例示したが、図8に示す弁ユニットの如く、当該主面に微小凹凸162が設けられることで非平坦面にてこれが構成されていてもよい。このように構成した場合にも、精緻な流量制御を容易に行なうことが可能になる。
【0097】
すなわち、弁体160の流入口111aに対向する主面に微小凹凸を設ける構成とした場合には、弁体160が設けられた部分のダイヤフラム130の変位量に応じて、弁体160が流入口111aの周縁に接触することで弁体160が弾性変形しこれにより微小凹凸のうちの凸部が圧縮変形して弁体160が当該周縁に密着することで流入口111aが全閉された状態と、弁体160が流入口111aの周縁に非接触となって流入口111aと圧縮空間130とが比較的広い面積をもって連通させられた状態と、これらの間の状態であって当該微小凹凸のうちの凸部が上記周縁に接触しつつも流入口111aが全閉されずに流入口111aと圧縮空間130とが比較的狭い面積をもって連通させられた状態とに精緻に制御することが可能になるため、より容易に精緻な流量制御が行なえることになる。
【0098】
図9は、本実施の形態における血圧計の減圧測定法に基づいた動作フローを示す図であり、図10ないし図12は、図9に示す動作フローに従った場合の急速加圧過程、微速減圧過程および急速減圧過程における具体的な血圧計の動作を示す図である。また、図13は、図9に示す動作フローに従った場合の圧迫用空気袋の内圧の経時的な変化を示すグラフである。次に、これら図9ないし図13を参照して、本実施の形態における血圧計1において、減圧測定法に基づいて血圧値を測定する場合の血圧計1の具体的な動作等について説明する。なお、図9に示すフローチャートに従うプログラムは、メモリ部22に予め記憶されており、制御部20がメモリ部22からこのプログラムを読み出して実行することにより、その処理が実行されるものである。
【0099】
減圧測定法に基づいて血圧値を測定するに際しては、被験者は、予めカフ40を上腕に巻き付けて装着し、この状態において本体10に設けられた操作部23を操作して血圧計1の電源をオンにする。これにより、電源部24から制御部20に対して電力が供給されて制御部20が駆動する。図9に示すように、制御部20は、その駆動後において、まず血圧計1の初期化を行なう(ステップS101)。
【0100】
次に、図9に示すように、制御部20は、被験者の測定開始の指示を待ち、被験者が測定開始の指示を操作部23を操作することによって与えた場合に、流量制御弁32Aを全閉させるとともに加圧ポンプ31を駆動させ、圧迫用空気袋42のカフ圧を上昇させる(ステップS102)。
【0101】
具体的には、図10に示すように、制御部20は、加圧ポンプ駆動回路34に所定の制御信号を与えることで加圧ポンプ31を駆動させ、当該加圧ポンプ31から圧迫用空気袋42に向けて圧縮空気を送るとともに、圧電素子駆動回路35Aに所定の制御信号を与えることで圧電ポンプユニット200Aを駆動し、作動媒体としての空気を弁ユニット100Aの作動空間150に導入することでダイヤフラム130を撓み変形させて弁体160を移動させ、これにより弁体160によって流入口111aが全閉されるようにする。このときに圧電素子260に印加される駆動電圧は、弁体160によって流入口111aが全閉できる大きさの電圧とする。
【0102】
当該ステップS102は、圧迫用空気袋42を比較的速い加圧速度で加圧する急速加圧過程に相当する。すなわち、図13に示すように、当該急速加圧過程においては、カフ圧が所定の加圧速度に従って上昇することになり(時刻0からt11参照)、これに伴って圧迫用空気袋42が膨張することで被験者の上腕が圧迫されることになる。
【0103】
次に、図9に示すように、制御部20は、カフ圧が予め定めた所定圧に達したか否かを判断する(ステップS103)。制御部20は、カフ圧が所定圧に達していないと判断した場合(ステップS103においてNOの場合)に引き続き加圧ポンプ31を駆動させ、カフ圧が所定圧に達したと判断した場合(ステップS103においてYESの場合)に、加圧ポンプ31を停止させて流量制御弁32Aによる圧縮空気の排出の流量制御を開始する(ステップS104)。ここで、上記所定圧としては、図13に示すカフ圧P10(時刻t11におけるカフ圧)の如く、一般的な収縮期血圧値よりも大きい圧力とする。
【0104】
具体的には、図11に示すように、制御部20は、加圧ポンプ駆動回路34に所定の制御信号を与えることで加圧ポンプ31を停止させるとともに、圧電素子駆動回路35Aに所定の制御信号を与えることで圧電ポンプユニット200Aを出力を落として引き続き駆動させ、作動空間150の内圧を減じることでダイヤフラム130の撓み変形を低減させて弁体160を移動させ、これにより流入口111aが僅かに開放されるようにする。その結果、圧迫用空気袋42の内部に存する圧縮空気が流量制御弁32Aを経由して徐々に排出されることになる。このときに圧電素子260に印加される駆動電圧は、弁体160によって流入口111aが全閉できる大きさの電圧よりも小さい電圧で、かつ流入口111aから流入する圧縮空気の流量を所定の流量に制限できる範囲の電圧とする。
【0105】
ここで、圧縮空気の排出の流量制御は、圧力センサ33によって検出されるカフ圧の変化に基づいて行なわれる。
【0106】
より詳細には、図9に示すように、制御部20は、カフ圧の加圧速度が予め定めた目標速度に合致しているか否かを圧力センサ33によって検出されたカフ圧の変化に基づいて判断する(ステップS105)。制御部20は、カフ圧の減圧速度が予め定めた目標速度に合致していないと判断した場合(ステップS105においてNOの場合)に、減圧速度が目標速度よりも大きいか否かを判断する(ステップS106)。制御部20は、減圧速度が目標速度よりも大きいと判断した場合(ステップS106においてYESの場合)に、流量制御弁32Aに対する駆動電圧を僅かに上げて弁体160を閉方向に移動させて減圧速度を遅め(ステップS107)、減圧速度が目標速度よりも小さいと判断した場合(ステップS106においてNOの場合)に、流量制御弁32Aに対する駆動電圧を僅かに下げて弁体160を開方向に移動させて減圧速度を速め(ステップS108)、その後いずれの場合にも引き続き圧縮空気の排出の流量制御を行なう(ステップS105に戻る)。
【0107】
また、制御部20は、カフ圧の減圧速度が予め定めた目標速度に合致していると判断した場合(ステップS105においてYESの場合)に、血圧値測定が終了したか否かを判断し(ステップS109)、血圧値測定が終了していないと判断した場合(ステップS109においてNOの場合)に、引き続き圧縮空気の排出の流量制御を行なう(ステップS105に戻る)。なお、上記目標速度としては、好ましくは所定の等速減圧速度が採用される。
【0108】
当該ステップS105ないしS109は、圧迫用空気袋42を徐々に減圧する微速減圧過程に相当する。すなわち、図13に示すように、当該微速減圧過程においては、カフ圧が予め定めた目標速度に従って徐々に下降し(時刻t11から時刻t14参照)、これに伴って圧迫用空気袋42が徐々に収縮する。
【0109】
当該微速減圧過程においては、制御部20は、公知の手順で血圧値を算出する。具体的には、制御部20は、発振回路36から得られる発振周波数に基づき脈波情報を抽出し、抽出した脈波情報に基づいて収縮期血圧値および拡張期血圧値を算出する。これにより、図13に示すように、まず収縮期血圧値(SYS)が、時刻t12におけるカフ圧P11として算出され、次に拡張期血圧値(DIA)が、時刻t13におけるカフ圧P12として算出される。
【0110】
図9に示すように、制御部20は、血圧値測定が終了したと判断した場合(ステップS109においてYESの場合)に、流量制御弁32Aを全開させることで圧縮空気を急速に排出させ、これによりカフ圧を降下させる(ステップS110)。
【0111】
具体的には、図12に示すように、制御部20は、圧電素子駆動回路35Aに所定の制御信号を与えることで圧電ポンプユニット200Aを停止させ、作動媒体としての空気を弁ユニット100Aの作動空間150から導出することでダイヤフラム130の撓み変形を減じて弁体160を移動させ、これにより流入口111aが全開した状態となるようにする。その結果、圧迫用空気袋42の内部に存する圧縮空気が流量制御弁32Aを経由して迅速に排出されることになる。
【0112】
当該ステップS110は、圧迫用空気袋42を急速減圧する急速減圧過程に相当する。すなわち、図13に示すように、当該急速減圧過程においては、カフ圧が所定の減圧速度で急速に大気圧PAにまで下降し(時刻t14から時刻t15参照)、これに伴って圧迫用空気袋42が完全に収縮し、被験者の上腕に対する圧迫が解除されることになる。
【0113】
次に、図9に示すように、制御部20は、測定結果としての血圧値を表示部21に表示するとともに、当該血圧値をメモリ部22に格納する(ステップS111)。その後、制御部20は、被験者の電源オフの指令を待ってその動作を終了する。
【0114】
図14は、本実施の形態における血圧計の加圧測定法に基づいた動作フローを示す図であり、図15は、図14に示す動作フローに従った場合の微速加圧過程における具体的な血圧計の動作を示す図である。また、図16は、図14に示す動作フローに従った場合の圧迫用空気袋の内圧の経時的な変化を示すグラフである。次に、これら図14ないし図16を参照して、本実施の形態における血圧計1において、加圧測定法に基づいて血圧値を測定する場合の血圧計1の具体的な動作等について説明する。なお、図14に示すフローチャートに従うプログラムは、メモリ部22に予め記憶されており、制御部20がメモリ部22からこのプログラムを読み出して実行することにより、その処理が実行されるものである。
【0115】
加圧測定法に基づいて血圧値を測定するに際しては、被験者は、予めカフ40を上腕に巻き付けて装着し、この状態において本体10に設けられた操作部23を操作して血圧計1の電源をオンにする。これにより、電源部24から制御部20に対して電力が供給されて制御部20が駆動する。図14に示すように、制御部20は、その駆動後において、まず血圧計1の初期化を行なう(ステップS201)。
【0116】
次に、図14に示すように、制御部20は、被験者の測定開始の指示を待ち、被験者が測定開始の指示を操作部23を操作することによって与えた場合に、流量制御弁32Aを全閉させるとともに加圧ポンプ31を駆動させ、圧迫用空気袋42のカフ圧を上昇させる(ステップS202)。なお、その際の具体的な血圧計1の動作は、上述した図10に示した動作と同じであるため、ここではその説明は繰り返さない。
【0117】
当該ステップS202は、圧迫用空気袋42比較的速い加圧速度で加圧する急速加圧過程に相当する。すなわち、図16に示すように、当該急速加圧過程においては、カフ圧が所定の加圧速度に従って上昇することになり(時刻0からt21参照)、これに伴って圧迫用空気袋42が膨張することで被験者の上腕が圧迫されることになる。
【0118】
次に、図14に示すように、制御部20は、カフ圧が予め定めた所定圧に達したか否かを判断する(ステップS203)。制御部20は、カフ圧が所定圧に達していないと判断した場合(ステップS203においてNOの場合)に引き続き加圧ポンプ31を駆動させ、カフ圧が所定圧に達したと判断した場合(ステップS203においてYESの場合)に、流量制御弁32Aによる圧縮空気の排出の流量制御を開始する(ステップS204)。ここで、上記所定圧としては、図16に示すカフ圧P20(時刻t21におけるカフ圧)の如く、一般的な拡張期血圧値よりも小さい圧力とする。
【0119】
具体的には、図15に示すように、制御部20は、圧電素子駆動回路35Aに所定の制御信号を与えることで圧電ポンプユニット200Aを出力を落として引き続き駆動させ、作動空間150の内圧を減じることでダイヤフラム130の撓み変形を低減させて弁体160を移動させ、これにより流入口111aが僅かに開放されるようにする。その結果、加圧ポンプ31から圧迫用空気袋42に送られる圧縮空気の一部が流量制御弁32Aを経由して排出されることになる。このときに圧電素子260に印加される駆動電圧は、弁体160によって流入口111aが全閉できる大きさの電圧よりも小さい電圧で、かつ流入口111aから流入する圧縮空気の流量を所定の流量に制限できる範囲の電圧とする。
【0120】
ここで、圧縮空気の排出の流量制御は、圧力センサ33によって検出されるカフ圧の変化に基づいて行なわれる。
【0121】
より詳細には、図14に示すように、制御部20は、カフ圧の減圧速度が予め定めた目標速度に合致しているか否かを圧力センサ33によって検出されたカフ圧の変化に基づいて判断する(ステップS205)。制御部20は、カフ圧の加圧速度が予め定めた目標速度に合致していないと判断した場合(ステップS205においてNOの場合)に、加圧速度が目標速度よりも小さいか否かを判断する(ステップS206)。制御部20は、加圧速度が目標速度よりも小さいと判断した場合(ステップS206においてYESの場合)に、流量制御弁32Aに対する駆動電圧を僅かに上げて弁体160を閉方向に移動させて加圧速度を速め(ステップS207)、加圧速度が目標速度よりも大きいと判断した場合(ステップS206においてNOの場合)に、流量制御弁32Aに対する駆動電圧を僅かに下げて弁体160を開方向に移動させて加圧速度を遅め(ステップS208)、その後いずれの場合にも引き続き圧縮空気の排出の流量制御を行なう(ステップS205に戻る)。
【0122】
また、制御部20は、カフ圧の加圧速度が予め定めた目標速度に合致していると判断した場合(ステップS205においてYESの場合)に、血圧値測定が終了したか否かを判断し(ステップS209)、血圧値測定が終了していないと判断した場合(ステップS209においてNOの場合)に、引き続き圧縮空気の排出の流量制御を行なう(ステップS205に戻る)。なお、上記目標速度としては、好ましくは所定の等速加圧速度が採用される。
【0123】
当該ステップS205ないしS209は、圧迫用空気袋42を徐々に加圧する微速加圧過程に相当する。すなわち、図16に示すように、当該微速加圧過程においては、カフ圧が予め定めた目標速度に従って徐々に上昇し(時刻t21から時刻t24参照)、これに伴って圧迫用空気袋42が徐々に膨張する。
【0124】
当該微速加圧過程においては、制御部20は、公知の手順で血圧値を算出する。具体的には、制御部20は、発振回路36から得られる発振周波数に基づき脈波情報を抽出し、抽出した脈波情報に基づいて収縮期血圧値および拡張期血圧値を算出する。これにより、図16に示すように、まず拡張期血圧値(DIA)が、時刻t22におけるカフ圧P21として算出され、次に収縮期血圧値(SYS)が、時刻t23におけるカフ圧P22として算出される。
【0125】
図14に示すように、制御部20は、血圧値測定が終了したと判断した場合(ステップS209においてYESの場合)に、加圧ポンプ31を停止させて流量制御弁32Aを全開させることで圧縮空気を急速に排出させ、これによりカフ圧を降下させる(ステップS210)。なお、その際の具体的な血圧計1の動作は、上述した図12に示した動作と同じであるため、ここではその説明は繰り返さない。
【0126】
当該ステップS210は、圧迫用空気袋42を急速減圧する急速減圧過程に相当する。すなわち、図16に示すように、当該急速減圧過程においては、カフ圧が所定の減圧速度で急速に大気圧PAにまで下降し(時刻t24から時刻t25参照)、これに伴って圧迫用空気袋42が完全に収縮し、被験者の上腕に対する圧迫が解除されることになる。
【0127】
次に、図14に示すように、制御部20は、測定結果としての血圧値を表示部21に表示するとともに、当該血圧値をメモリ部22に格納する(ステップS211)。その後、制御部20は、被験者の電源オフの指令を待ってその動作を終了する。
【0128】
以上において説明した本実施の形態の如くの構成を採用することにより、小型で軽量かつ安価に構成することができ、消費電力が小さく、容易に流体の流量制御が可能な流量制御弁とすることができるとともに、小型で軽量かつ安価に構成することができ、消費電力が小さく、圧迫用空気袋から排出すべき圧縮空気の流量制御が容易に行なえる血圧計とすることができる。また、本実施の形態の如く圧生成手段として圧電ポンプを利用することとすれば、減圧動作時の騒音が低減された血圧計とすることもできる。
【0129】
図17および図18は、本実施の形態に従った第1および第2変形例に係る流量制御弁の弁ユニットの模式断面図であり、図19は、本実施の形態に従った第3変形例に係る流量制御弁の模式断面図である。次に、これら図17ないし図19を参照して、本実施の形態に従った第1ないし第3変形例に係る流量制御弁について説明する。
【0130】
図17に示すように、第1変形例に係る流量制御弁の弁ユニット100Bは、上述した本実施の形態における流量制御弁32Aの弁ユニット100Aと下ケース120の構成において相違している。具体的には、弁ユニット100Bの下ケース120には、ダイヤフラム130が作動空間150側に向けて撓み変形することを制限する規制部122が設けられている。当該規制部122は、下ケース120の作動空間150に面する部分から上ケース110側に向けて突出して設けられており、ダイヤフラム130に撓み変形が生じていない状態において当該ダイヤフラム130の作動空間150側の主面に当接するように構成されている。
【0131】
このような弁ユニット100Bを具備した流量制御弁とすることにより、流量制御すべき圧縮空気を急速に排出させる場合等にダイヤフラム130が必要以上に撓み変形を起こすことが防止できることになり、ダイヤフラム130の破損が防止できることになる。したがって、上述した効果に加え、さらに高信頼性の流量制御弁とすることができる効果が得られる。
【0132】
図18に示すように、第2変形例に係る流量制御弁の弁ユニット100Cは、上述した本実施の形態における流量制御弁32Aの弁ユニット100Aとダイヤフラム130の構成において相違している。具体的には、弁ユニット100Cに具備されたダイヤフラム130は、平板状の形状を有しており、上述した本実施の形態における流量制御弁32Aの弁ユニット100Aに具備されていた如くの波状に加工することで形成された易変形部131を具備していない。このような平板状のダイヤフラム130を利用した場合にも、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0133】
図19に示すように、第3変形例に係る流量制御弁32A′は、弁ユニット100Dと圧電ポンプユニット200Bとが一体化された構成のものである。具体的には、上述した本実施の形態における流量制御弁32Aにあっては、接続管52を介して弁ユニット100Aと圧電ポンプユニット200Aとが接続されていたが、本変形例に係る流量制御弁32A′にあっては、弁ユニット100Dの下ケース120に凹状の接続部121′を設け、圧電ポンプユニット200Bの上部側ハウジングに凸状の吐出部211を設け、これら接続部121′および吐出部211を嵌合させることで接続管52を不要にし、弁ユニット100Dと圧電ポンプユニット200Bとを一体化している。なお、固定をより強固なものとするためには、上記嵌合に加え、ビス等の締結手段を用いてこれらを固定してもよい。
【0134】
このような構成を採用することにより、上述した効果に加え、さらに小型にかつ安価に流量制御弁を構成することができる効果が得られるとともに、圧電ポンプユニット200Aの吐出口211aと作動空間150との間の連通路の容積を最小化できるため、流量制御の応答性を高めることができる効果が得られる。
【0135】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における血圧計は、上述した本発明の実施の形態1における血圧計1と流量制御弁に具備された圧生成手段が異なる点を除き同様である。本実施の形態においては、具体的には、流量制御弁32が、後述する弁ユニット100Aおよびモータポンプユニット300ならびに漏らし弁ユニット400からなる流量制御弁32Bにて構成されており、流量制御弁駆動回路35が、モータポンプユニット300に具備されたモータ360の駆動を制御するモータ駆動回路35Bにて構成されている(図20、図23ないし図25等参照)。以下、本実施の形態における流量制御弁32Bについて詳説する。
【0136】
図20は、本実施の形態における流量制御弁の模式断面図である。また、図21は、図20に示す流量制御弁のモータポンプユニットの動作状況を示す模式断面図であり、図22は、図20に示す流量制御弁の漏らし弁ユニットの構成を示す側面図および動作状況を示す模式断面図である。次に、これら図20ないし図22を参照して、本実施の形態における流量制御弁32Bの具体的な構成、モータポンプユニット300の動作および漏らし弁ユニット400の動作について説明する。なお、図21および図22においては、作動媒体としての空気の流れをそれぞれ矢印にて模式的に示している。
【0137】
図20に示すように、本実施の形態における流量制御弁32Bは、弁ユニット100Aと圧生成手段としてのモータポンプユニット300と漏らし弁ユニット400とが組み合わされることで構成されている。弁ユニット100Aとモータポンプユニット300と漏らし弁ユニット400とは、互いに接続管53を介して接続されている。また、流量制御弁32Bは、接続管51を介して圧迫用空気袋42、加圧ポンプ31および圧力センサ33のそれぞれに接続されている。
【0138】
本実施の形態における流量制御弁32Bにあっては、流量制御を行なうべき圧縮空気が、上記接続管51を介して圧迫用空気袋42から弁ユニット100Aに流入可能に構成されており、作動媒体である空気が、上記接続管53を介して弁ユニット100Aにモータポンプユニット300から導入可能に構成されており、また作動媒体である空気が、上記接続管53を介して弁ユニット100Aから漏らし弁ユニット400に導出可能に構成されている。そのため、流量制御弁32Bにおいては、モータポンプユニット300の駆動を制御することで弁ユニット100Aに存する作動媒体としての空気の圧力に変化を与えることが可能とされており、これにより弁ユニット100Aに流入する圧縮空気の流量が調節されることで弁ユニット100Aから流出する圧縮空気の流量が可変に制御可能に構成されている。なお、弁ユニット100Aの構成については、上述した本発明の実施の形態1のそれと同様であるため、ここではその説明は繰り返さない。
【0139】
図20に示すように、モータポンプユニット300は、ハウジング301と、第1弁体330と、第2弁体340と、モータ360とを主として備えている。ハウジング301は、第1弁体330が組付けられる平板状の上部側ハウジング310とモータ360が組付けられる下部側ハウジング320とが組み合わせることで構成されており、これら上部側ハウジング310と下部側ハウジング320とによって第2弁体340が挟持されている。
【0140】
上部側ハウジング310の所定位置には、接続管53が接続される吐出部311が設けられており、当該吐出部311には、作動媒体としての空気が吐出される吐出口311aが設けられている。また、下部側ハウジング320の吐出口311aに面する部分には、連通路353が設けられている。
【0141】
上部側ハウジング310の他の所定位置には、当該上部側ハウジング310を貫通するように連通路351が設けられており、上部側ハウジング310の上面側に位置する連通路351の開口端にて作動媒体としての空気が吸入される吸入口312aが構成されている。また、上部側ハウジング310の下面側に位置する連通路351の開口端は、第1弁体330の逆止弁部331によって閉塞可能とされている。
【0142】
第2弁体340は、その内部に中空部を有しており、当該中空部が第1弁体330の逆止弁部331に面するように配設されている。上記中空部を含むとともに、第1弁体330と第2弁体340とによって主として規定される空間は、ポンピング空間(ポンプ室)350に相当する。また、上部側ハウジング310のポンピング空間350に面する部分には、連通路352が設けられている。
【0143】
上述した上部側ハウジング310に設けられた連通路352の一部と、下部側ハウジング320に設けられた連通路353の一部とは、互いに対面するように配置されており、この連通路352と連通路353とが対面する部分において、連通路352が第2弁体340の逆止弁部341によって閉塞可能とされている。
【0144】
図中矢印C方向に回転するモータ360の駆動軸361は、動力伝達部材371〜373を介して第2弁体340の下端に連結されている。これにより、モータ360の駆動軸361に生じる回転運動は、上記動力伝達部材371〜373によって概ね上下方向に沿った往復運動に変換される。その結果、第2弁体340の下端は、上記モータ360によって駆動されて上下動することになり、これにより上述したポンピング空間350に脈動が生じることになる。
【0145】
一方、図20に示すように、漏らし弁ユニット400は、有底筒状の形状を有するハウジング410と、有底筒状の形状を有し、当該ハウジング410に内挿された弁体420とを備えている。ハウジング410の所定位置には、接続部411が設けられており、当該接続部411には、作動媒体としての空気が流入する開口411aが設けられている。
【0146】
図22(A)に示すように、弁体420の開口411aに連通する部分には、スリット状の切れ込み421が入れられることで漏出口421が設けられている。当該漏出口421は、弁体420の中空部422を介して排出口423aに連通している。
【0147】
図21(A)および図21(B)は、いずれもモータポンプユニット300を動作させた状態を示している。当該動作状態においては、モータ360に所定の電圧が印加されることにより、モータ360の駆動軸361に回転運動が生じ、当該回転運動が第2弁体340の下端の上下動に変換されることでポンピング空間350に脈動が生じる。
【0148】
その際、図21(A)に示すように、ポンピング空間350が膨張された状態においては、ポンピング空間350に陰圧が生じ、これに伴って第1弁体330の逆止弁部331が開放されるとともに第2弁体340の逆止弁部341が閉塞されることになる。これにより、作動媒体としての空気が吸入口220aから連通路351を経由してポンピング空間350に吸入される。
【0149】
その後、図21(B)に示すように、ポンピング空間350が圧縮された状態においては、ポンピング空間350に陽圧が生じ、これに伴って第1弁体330の逆止弁部331が閉塞されるとともに第2弁体340の逆止弁部341が開放されることになる。これにより、作動媒体としての空気が連通路352,353を経由にして吐出口311aから吐出されることになる。
【0150】
以上の動作が繰り返されることにより、モータポンプユニット300にあっては、作動媒体としての空気が連続的に連続的に吐出口311aから吐出するポンプ機能が発揮されることになる。
【0151】
ここで、モータポンプユニット300は、上述した圧電ポンプユニット200Aとは異なり、その駆動が停止された状態において漏らし機能を発揮することはない。すなわち、モータポンプユニット300の吸入口312a側の圧力(通常は大気圧)が吐出口311a側の圧力(すなわち、吐出部311に接続された弁ユニット100Aの作動空間150の内圧)よりも低い条件下においても、上述した第1弁体330および第2弁体340の逆止弁機能により、吐出口311a側から吸入口312a側に向けて作動媒体としての空気が流れることはない。
【0152】
そのため、本実施の形態においては、上述した漏らし弁ユニット400を弁ユニット100Aの作動空間150に連通するように接続管53に付設することにより、当該漏らし弁ユニット400によって漏らし機能が発揮されるようにし、これにより弁ユニット100Aの作動空間150の内圧を降圧させることを可能にしている。
【0153】
図22(B)に示すように、漏らし弁ユニット400の排出口423a側の圧力(通常は大気圧)が開口411a側の圧力(すなわち、接続部411に接続された弁ユニット100Aの作動空間150の内圧)よりも十分に低い条件下においては、図中に示す如くの空気の流れが発生することになる。すなわち、作動媒体としての空気が開口411aから漏出口421を経由して弁体420の中空部422に流入して、その後排出口423aから排出されることになる。なお、漏出口421が切れ込みによって形成されているため、当該漏出口421は、相当程度の流動抵抗を有しており、排出口423a側の圧力が開口411a側の圧力よりも十分に低くならない限りは、上述した空気の流れは生じない。
【0154】
このように、本実施の形態における流量制御弁32Bにあっては、モータポンプユニット300が、弁ユニット100Aの作動空間150の内圧を昇圧させるポンプ機能を発揮することになり、漏らし弁ユニット400が、弁ユニット100Aの作動空間150の内圧を降圧させて大気圧に復帰させる漏らし機能を発揮する。
【0155】
図23ないし図25は、本実施の形態における血圧計において、減圧測定法に基づいた動作フローに従って血圧測定を行なった場合の急速加圧過程、微速減圧過程および急速減圧過程における具体的な血圧計の動作を示す図である。次に、これら図23ないし図25を参照して、本実施の形態における血圧計において、減圧測定法に基づいて血圧値を測定する場合の血圧計の具体的な動作について説明する。
【0156】
図23に示すように、本実施の形態における血圧計においては、急速加圧過程において、制御部20は、加圧ポンプ駆動回路34に所定の制御信号を与えることで加圧ポンプ31を駆動させ、当該加圧ポンプ31から圧迫用空気袋42に向けて圧縮空気を送るとともに、モータ駆動回路35Bに所定の制御信号を与えることでモータポンプユニット300を駆動し、作動媒体としての空気を弁ユニット100Aの作動空間150に導入することでダイヤフラム130を撓み変形させて弁体160を移動させ、これにより弁体160によって流入口111aが全閉されるようにする。このときにモータ360に印加される駆動電圧は、弁体160によって流入口111aが全閉できる大きさの電圧とする。なお、当該駆動電圧の決定に際しては、作動媒体としての空気が漏らし弁ユニット400を経由して一部漏出することを考慮に含めることが必要である。
【0157】
図24に示すように、本実施の形態における血圧計においては、微速減圧過程において、制御部20は、加圧ポンプ駆動回路34に所定の制御信号を与えることで加圧ポンプ31を停止させるとともに、モータ駆動回路35Bに所定の制御信号を与えることでモータポンプユニット300を出力を落として引き続き駆動させ、作動空間150の内圧を減じることでダイヤフラム130の撓み変形を低減させて弁体160を移動させ、これにより流入口111aが僅かに開放されるようにする。その結果、圧迫用空気袋42の内部に存する圧縮空気が流量制御弁32Aを経由して徐々に排出されることになる。このときにモータ360に印加される駆動電圧は、弁体160によって流入口111aが全閉できる大きさの電圧よりも小さい電圧で、かつ流入口111aから流入する圧縮空気の流量を所定の流量に制限できる範囲の電圧とする。なお、当該駆動電圧の決定に際しては、作動媒体としての空気が漏らし弁ユニット400を経由して一部漏出することを考慮に含めることが必要である。
【0158】
図25に示すように、本実施の形態における血圧計においては、急速減圧過程において、制御部20は、モータ駆動回路35Bに所定の制御信号を与えることでモータポンプユニット300を停止させ、作動媒体としての空気を弁ユニット100Aの作動空間150から導出することでダイヤフラム130の撓み変形を減じて弁体160を移動させ、これにより流入口111aが全開した状態となるようにする。その結果、圧迫用空気袋42の内部に存する圧縮空気が漏らし弁ユニット400を経由して迅速に排出されることになる。
【0159】
なお、ここでは、その説明を省略するが、本実施の形態における血圧計においても、加圧測定方式に基づいた動作フローに従って血圧値を測定することが可能であり、その動作は、上述した本発明の実施の形態1における血圧計の場合に順ずることになる。
【0160】
以上において説明した本実施の形態の如くの構成を採用した場合にも、上述した本発明の実施の形態1の如くの構成を採用した場合と同様に、小型で軽量かつ安価に構成することができ、消費電力が小さく、容易に流体の流量制御が可能な流量制御弁とすることができるとともに、小型で軽量かつ安価に構成することができ、消費電力が小さく、圧迫用空気袋から排出すべき圧縮空気の流量制御が容易に行なえる血圧計とすることができる。
【0161】
図26は、本実施の形態に従った変形例に係る流量制御弁のモータポンプユニットの要部拡大断面図である。次に、この図26を参照して、本実施の形態に従った変形例に係る流量制御弁のモータポンプユニットについて説明する。
【0162】
図26に示すように、本変形例に係る流量制御弁のモータポンプユニットは、上述した本実施の形態における流量制御弁32Bのモータポンプユニットと第1弁体330および第2弁体340の構成において相違している。具体的には、本変形例に係る流量制御弁のモータポンプユニットにおいては、第1弁体330の逆止弁部331および第2弁体340の逆止弁部341に微小な凹凸332,342が多数付与されることで粗面化されており、これにより逆止弁部331,341のシール性が意図的に低下させられている。したがって、当該逆止弁部331,341が、作動媒体としての空気の漏らし機能を発揮することになる。
【0163】
このように構成することにより、上述した漏らし弁ユニット400を別途設けることが不要になる。したがって、上述した効果に加え、さらに小型で軽量かつ安価に流量制御弁およびこれを備えた血圧計を構成できる効果が得られる。
【0164】
以上において説明した本発明の実施の形態およびその変形例においては、圧生成手段として圧電ポンプまたはモータポンプを利用した場合を例示したが、当然に他のポンプ(ブロワを含む)を利用することも可能である。
【0165】
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、作動空間に外部から作動媒体が導入され、また作動空間から外部に作動媒体が導出されることにより、作動空間に内圧変動が生じるように構成された流量制御弁を例示して説明を行なったが、当該作動空間を密閉することで作動媒体を密封し、密封された作動媒体の容積を変動させること等で作動空間の内圧変動が生じるように流量制御弁を構成することも可能である。
【0166】
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、流量制御される流体が圧縮空気であり、作動媒体として空気を利用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、流量制御される流体が、圧縮空気以外の高圧の気体や圧縮環境下にある液体等であってもよく、また作動媒体としても、空気以外の気体や液体等であってよい。
【0167】
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した特徴的な構成は、必要に応じて相互に組合わせることが当然に可能である。
【0168】
さらに、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、血圧情報測定装置として収縮期血圧値、拡張期血圧値等の血圧値を測定する上腕式血圧計を例示して説明を行なったが、本発明は、この他にも、手首式血圧計や足式血圧計、脈波や脈拍、AI(Augmentation Index)値に代表される動脈硬化度を示す指標、平均血圧値、酸素飽和度等を測定可能にする血圧情報測定装置にもその適用が当然に可能である。
【0169】
このように、今回開示した上記各実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0170】
1 血圧計、10 本体、20 制御部、21 表示部、22 メモリ部、23 操作部、24 電源部、30 圧迫用エア系コンポーネント、31 加圧ポンプ、32,32A,32A′,32B 流量制御弁、33 圧力センサ、34 加圧ポンプ駆動回路、35 流量制御弁駆動回路、35A 圧電素子駆動回路、35B モータ駆動回路、36 発振回路、40 カフ、41 外装カバー、42 圧迫用空気袋、50 エア管、51〜53 接続管、100A〜100D 弁ユニット、101 ケーシング、110 上ケース、111 流入部、111a 流入口、112 流出部、112a 流出口、120 下ケース、121,121′ 接続部、121a 開口、122 規制部、125 シール部材、130 ダイヤフラム、131 易変形部、140 流動空間、150 作動空間、160 弁体、161 傾斜面、162 微小凹凸、200A,200B 圧電ポンプユニット、201 ハウジング、210 上部側ハウジング、211 吐出部、211a 吐出口、212 第1支持部材、213 第2支持部材、220 下部側ハウジング、220a 吸入口、231 薄板部、231a 微細連通孔、232 振動板部、240 ポンピング空間、250 周囲空間、260 圧電素子、300 モータポンプユニット、301 ハウジング、310 上部側ハウジング、311 吐出部、311a 吐出口、312a 吸入口、320 下部側ハウジング、330 第1弁体、331 逆止弁部、332 凹凸、340 第2弁体、341 逆止弁部、342 凹凸、350 ポンピング空間、351〜353 連通路、360 モータ、361 駆動軸、371〜373 動力伝達部材、400 漏らし弁ユニット、410 ハウジング、411 接続部、411a 開口、420 弁体、421 漏出口、422 中空部、423a 排出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流量を可変に制御可能な流量制御弁であって、
前記流体が流入する流入口および前記流体が流出する流出口が設けられたケーシングと、
前記ケーシング内の空間を前記流体が流動する流動空間と作動媒体が存する作動空間とに区画するダイヤフラムと、
前記流入口に対向する部分の前記ダイヤフラムに設けられた弁体とを備え、
前記ダイヤフラムが前記作動空間の内圧変化に伴って変位することで前記弁体が移動することにより、前記弁体と前記流入口との間の距離が変化することで前記流入口から前記流動空間に流入する前記流体の流量が調節され、これにより前記流出口から流出する前記流体の流量が可変に制御可能とされた、流量制御弁。
【請求項2】
前記ダイヤフラムの前記作動空間の内圧変化に伴って変位する部分の面積が、前記流入口の開口面積よりも大きい、請求項1に記載の流量制御弁。
【請求項3】
前記弁体が、前記流入口との間の距離がなくなった状態において前記流入口を完全に閉塞する大きさを有している、請求項1または2に記載の流量制御弁。
【請求項4】
前記弁体が、弾性部材からなる、請求項1から3のいずれかに記載の流量制御弁。
【請求項5】
前記弁体が、前記ダイヤフラムよりも硬質の部材からなる、請求項1から4のいずれかに記載の流量制御弁。
【請求項6】
前記弁体の前記流入口に対向する主面が、微小凹凸を有している、請求項1から5のいずれかに記載の流量制御弁。
【請求項7】
前記作動媒体を導入および導出する開口が、前記ケーシングに設けられている、請求項1から6のいずれかに記載の流量制御弁。
【請求項8】
前記開口を介して前記作動媒体を導入および導出することで前記作動空間に内圧変化を生じさせる圧生成手段をさらに備えた、請求項7に記載の流量制御弁。
【請求項9】
前記圧生成手段が、前記作動媒体を吸入して吐出するポンプを含んでいる、請求項8に記載の流量制御弁。
【請求項10】
前記ポンプが、当該ポンプの吸入口側から吐出口側に向かう方向を順方向とした場合に、前記吸入口側の圧力が前記吐出口側の圧力よりも低い条件下において当該順方向とは逆方向に前記作動媒体を排出することができるポンプからなる、請求項9に記載の流量制御弁。
【請求項11】
前記ポンプが、圧電素子が組付けられた振動板部が振動することで前記作動媒体を吸入して吐出する圧電ポンプである、請求項10に記載の流量制御弁。
【請求項12】
前記ポンプが、当該ポンプの吸入口側からその吐出口側に向かう方向を順方向とした場合に、前記吸入口側の圧力が前記吐出口側の圧力よりも低い条件下において当該順方向とは逆方向に前記作動媒体を排出することができないポンプからなり、
その場合に、前記作動空間に連通するように漏らし弁が設けられている、請求項9に記載の流量制御弁。
【請求項13】
前記ケーシングが前記圧生成手段のハウジングに固定されることにより、前記ケーシングと前記圧生成手段とが一体化されている、請求項10から12のいずれかに記載の流量制御弁。
【請求項14】
前記流入口から前記流動空間に流入する前記流体が、大気圧よりも高圧に圧縮された圧縮空気であり、
前記作動空間に存する前記作動媒体が、前記圧縮空気よりも低圧の空気である、請求項1から13のいずれかに記載の流量制御弁。
【請求項15】
請求項14に記載の流量制御弁を、生体を圧迫するための圧迫用流体袋の内圧を減圧させるための排出弁として備えた、血圧情報測定装置。
【請求項16】
測定時において、前記圧迫用流体袋の内圧が微速減圧されるように前記排出弁としての前記流量制御弁の駆動が制御され、これにより少なくとも収縮期血圧値および拡張期血圧値が減圧測定法に基づいて算出され、
測定完了後において、前記圧迫用流体袋の内圧が急速減圧されるように前記排出弁としての前記流量制御弁の駆動が制御される、請求項15に記載の血圧情報測定装置。
【請求項17】
測定時において、前記圧迫用流体袋の内圧が微速加圧されるように前記排出弁としての前記流量制御弁の駆動が制御され、これにより少なくとも収縮期血圧値および拡張期血圧値が加圧測定法に基づいて算出され、
測定完了後において、前記圧迫用流体袋の内圧が急速減圧されるように前記排出弁としての前記流量制御弁の駆動が制御される、請求項15に記載の血圧情報測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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