説明

流量可変ノズル及び燃焼装置

【課題】配管を複雑化することなく、噴射ノズルから噴射される燃料の量を多段階に調整できる流量可変ノズル及び燃焼装置を提供すること。
【解決手段】本発明の流量可変ノズル1は、中空部11を有するノズルボディ10と、チップ本体23の周面から中心穴部24に向かって延びる複数の旋回溝25を有し、中空部11に挿入されてノズルボディ10の先端部に配置されるスワールチップ20と、中心穴部24の径と略同径の棒状に構成されると共に、スワールチップ20が配置された状態で中空部11に挿入されて中心穴部24の内部をチップ本体23の軸方向に進退可能なシャフト40と、シャフトを進退させる駆動機構50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料を多段階で噴射可能な流量可変ノズル、及びこの流量可変ノズルを備える燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラ等の燃焼装置においては、燃焼を多段階に燃焼させる多段階燃焼技術を用いることにより、燃焼の安定化及び効率化を図っている。
【0003】
従来の多段階燃焼技術としては、例えば、複数本の燃料噴射ノズルを燃焼装置に配置するマルチノズル方式(例えば、特許文献1参照)や、余剰燃料を戻すためのリターンラインを燃料噴射ノズルに設置したリターンノズル方式(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−146162号公報
【特許文献2】特開平11−55500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マルチノズル方式においては、燃料を供給するための燃料供給ラインを燃料噴射ノズルの本数分だけ配置しなければならないため、燃焼装置が複雑化するという問題があった。
【0006】
また、リターンノズル方式においては、リターンラインを別個配置しなければならないため、上記と同様、燃焼装置が複雑化するという問題があった。
【0007】
従って、本発明は、配管を複雑化することなく、噴射ノズルから噴射される燃料の量を多段階に調整できる流量可変ノズル及び燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、中空部を有する筒状に形成されると共に先端部及び基端部が開放されたノズルボディと、柱状に形成されるチップ本体、該チップ本体の基端面から先端面側に向かって形成され、該チップ本体の軸方向に延びる中心穴部、及び該チップ本体の周面から前記中心穴部に向かって延びる複数の旋回溝を有し、前記中空部に挿入されて前記ノズルボディの先端部に配置されるスワールチップと、前記中心穴部の径と略同径の棒状に構成されると共に、前記スワールチップが配置された状態で前記中空部に挿入されて前記中心穴部の内部を前記チップ本体の軸方向に進退可能なシャフトと、前記シャフトを進退させる駆動機構と、を備える流量可変ノズルに関する。
【0009】
また、前記旋回溝は、前記チップ本体の周方向に所定の間隔をあけて複数配置されると共に、前記チップ本体の軸方向に所定間隔をあけて複数配置されることが好ましい。
【0010】
また、前記旋回溝は、前記チップ本体の周方向に所定の間隔をあけて複数配置されると共に、該周方向に所定間隔をあけて配置された複数の前記旋回溝それぞれは、前記チップ本体の基端面から先端面側に向かって形成され、該チップ本体の軸方向に延びる切れ込みにより構成されることが好ましい。
【0011】
また、前記スワールチップが配置された状態で前記中空部に挿入されて該スワールチップの基端面に当接し、該スワールチップを前記ノズルボディの先端側に押圧する筒状のスワールチップ押圧部材を更に備え、前記シャフトは、前記スワールチップ押圧部材の内側に配置されることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記の流量可変ノズルと、前記流量可変ノズルに燃料を供給する供給ラインと、前記駆動機構の動作を制御する駆動機構制御部と、を備える燃焼装置に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、配管を複雑化することなく、噴射ノズルから噴射される燃料の量を多段階に調整できる流量可変ノズル及び燃焼装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の燃焼装置を示す概念図である。
【図2】第1実施形態の流量可変ノズルを示す分解斜視図である。
【図3】第1実施形態のスワールチップを示す部分断面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】第1実施形態の流量可変ノズルにおける噴射停止状態を示す縦断面図である。
【図6】第1実施形態の流量可変ノズルにおける低流量噴射状態を示す縦断面図である。
【図7】第1実施形態の流量可変ノズルにおける中流量噴射状態を示す縦断面図である。
【図8】第1実施形態の流量可変ノズルにおける大流量噴射状態を示す縦断面図である。
【図9】第2実施形態のスワールチップを示す部分断面図である。
【図10】第2実施形態の流量可変ノズルにおける噴射停止状態を示す縦断面図である。
【図11】第2実施形態の流量可変ノズルにおける少流量噴射状態を示す縦断面図である。
【図12】第2実施形態の流量可変ノズルにおける中流量噴射状態を示す縦断面図である。
【図13】第2実施形態の流量可変ノズルにおける大流量噴射状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の流量可変ノズル及び燃焼装置の好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、第1実施形態の燃焼装置及び第1実施形態の燃焼装置に用いられる流量可変ノズルにつき、図1〜図8を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1実施形態の燃焼装置を示す概念図である。図2は、第1実施形態の流量可変ノズルを示す分解斜視図である。図3は、第1実施形態のスワールチップを示す部分断面図である。図4は、図3のA−A断面図である。図5は、第1実施形態の流量可変ノズルにおける噴射停止状態を示す縦断面図である。図6は、第1実施形態の流量可変ノズルにおける少流量噴射状態を示す縦断面図である。図7は、第1実施形態の流量可変ノズルにおける中流量噴射状態を示す縦断面図である。図8は、第1実施形態の流量可変ノズルにおける大流量噴射状態を示す縦断面図である。
【0016】
第1実施形態の燃焼装置60は、図1に示すように、液体の燃料を燃焼させる燃焼室を備えるボイラ装置に用いられる。この燃焼装置60は、駆動機構50を有する流量可変ノズル1と、流量可変ノズル1に燃料を供給する供給ライン70と、駆動機構50の動作を制御する駆動機構制御部80と、を備える。
【0017】
第1実施形態の流量可変ノズル1は、図2〜図4に示すように、ノズルボディ10と、スワールチップ20と、スワールチップ押圧部材としてのスワールチップトップ30と、シャフト40と、駆動機構50と、を備える。この流量可変ノズル1は、ボイラ装置に設けられたノズルホルダ100(図5参照)に挿入されて配置される。
【0018】
ノズルボディ10は、図2に示すように、略円筒状に形成されている。このノズルボディ10は、中空部11、先端開口12、基端開口13及び複数の開口部14を有する。
【0019】
中空部11は、ノズルボディ10の軸方向に伸びる円形孔状に形成されている。先端開口12は、図5に示すように、ノズルボディ10の先端部10a側において中空部11の内径よりも小径の円形孔状に形成されており、中空部11を外部に連通させている。また、基端開口13は、ノズルボディ10の基端部10b側において中空部11の内径と略同径の円形孔状に形成されており、中空部11を外部に連通させている。即ち、これら先端開口12及び基端開口13により、中空部11は外部に開放されている。
【0020】
複数の開口部14は、ノズルボディ10の外周壁面15の周方向に沿って、一定間隔をあけて形成されている。これら複数の開口部14は、ノズルボディ10の外周壁面15と中空部11とを連通させる円形孔状に形成されている。第1実施形態の流量可変ノズル1では、これら複数の開口部14を通じて、燃料がノズルボディ10の外部から中空部11に流入可能に構成されている。
【0021】
スワールチップ20は、図2及び図5〜図8に示すように、ノズルボディ10の中空部11に挿入されており、中空部11におけるノズルボディ10の先端部10a側に配置されている。スワールチップ20は、図3及び図4に示すように、チップ本体23と、中心穴部24と、複数の旋回溝25と、オリフィス部26と、を備える。
【0022】
チップ本体23は、略円柱状に形成されている。このチップ本体23は、ノズルボディ10の中空部11の直径よりも小径で、かつ、先端開口12の径よりも大径に構成されている。
中心穴部24は、チップ本体23の基端面22から先端面21側に向かってチップ本体23の軸方向に延びる円形孔状に形成されている。この中心穴部24は、後述のシャフト40の外径と同径に構成されている。
【0023】
旋回溝25は、図4に示すように、チップ本体23の外周壁面27から中心穴部24に向かって延びている。この旋回溝25は、中心穴部24の周面(チップ本体23の内周壁面)の接線方向に沿って延びている。
旋回溝25は、図3に示すように、チップ本体23の周方向に所定の間隔をあけて複数配置されていると共に、チップ本体23の軸方向に所定の間隔をあけて複数配置されている。第1実施形態では、旋回溝25は、チップ本体23の周方向に8個ずつ配置されると共に、チップ本体23の軸方向に3個ずつ配置されている。
【0024】
オリフィス部26は、スワールチップ20の先端面21側に配置されている。このオリフィス部26は、図3に示すように、略円柱状に形成されたオリフィス部本体261と、オリフィス部本体261の軸方向に延びるオリフィス穴部262と、を備える。オリフィス部本体261は、チップ本体23と同軸上に配置され、チップ本体23よりも小径に構成される。オリフィス部本体261の外径は、ノズルボディ10の先端開口12の内径と略等しく構成される。
オリフィス穴部262は、中心穴部24よりも小径に構成された円形孔であり、チップ本体23の内部において中心穴部24に連通している。
【0025】
以上のスワールチップ20は、オリフィス部26がノズルボディ10の先端開口12に挿通され、オリフィス部26とチップ本体23との境界部分に形成される段差部が、中空部11と先端開口12との境界部分に形成される段差部に当接することにより、ノズルボディ10の先端側に位置決めされる。
【0026】
スワールチップトップ30は、図2に示すように、円筒状に形成されている。このスワールチップトップ30は、図5〜図8に示すように、ノズルボディ10と同軸上に配置され、ノズルボディ10の中空部11に挿入される。また、スワールチップトップ30は、スワールチップ20がノズルボディ10の中空部11における先端部10a側に配置された状態でスワールチップ20の基端面22に当接することにより、スワールチップ20をノズルボディの先端側に押圧する。
【0027】
スワールチップトップ30は、筒状本体部31及びシール用鍔部32を有する。
筒状本体部31は、円筒状に構成されており、スワールチップ20の中心穴部24と同径に形成された中空部33を有する。筒状本体部31の先端部34は、スワールチップ20に当接している。筒状本体部31は、ノズルボディ10の中空部11の直径よりも小径に構成されている。そして、中空部11における筒状本体部31の外周壁面36又はチップ本体23の外周壁面27とノズルボディ10の内周壁面16との間に形成される間隙39は、燃料をノズルボディ10の複数の開口部14からスワールチップ20の旋回溝25まで流入させる流路を構成する。
【0028】
シール用鍔部32は、図2に示すように、筒状本体部31の基端部が径方向に鍔状に張り出して形成されている。シール用鍔部32は、図5〜図8に示すように、ノズルボディ10の中空部11の直径と略等しく構成されている。これにより、シール用鍔部32の外周壁面は、直接的に、又はゴム製Oリング等の液体封止部材を介して間接的に、ノズルボディ10の内周壁面16と液密に面接触している。
【0029】
シャフト40は、スワールチップ20の中心穴部24の直径及びスワールチップトップ30の中空部33の直径に対して略同径の丸棒状に構成されている。このシャフト40は、ノズルボディ10の中空部11に挿入されている。また、シャフト40は、スワールチップ20及びスワールチップトップ30がノズルボディ10の中空部11に配置された状態で、スワールチップ20の中心穴部24及びスワールチップトップ30の中空部33をチップ本体23の軸方向に進退可能に構成されている。
【0030】
駆動機構50は、シャフト40をスワールチップ20の軸方向に進退させる駆動源を有している。駆動源としては、ステッピングモータや電子制御サーボモータ等、シャフト40を軸方向に進退させる駆動力を精密に電子制御することが可能なモータが用いられている。
【0031】
駆動機構制御部80は、所定の信号に応じて、駆動機構50の動作を制御する。所定の信号としては、手動入力が可能な燃料制御コントローラからの入力信号、ボイラ装置の燃焼状態を検知するセンサからの信号、所定の制御プログラムからの制御信号等が挙げられる。
【0032】
供給ライン70は、ノズルボディ10の開口部14から流量可変ノズル1に液体燃料を供給する。この供給ライン70は、図1に示すように、供給パイプ71と、流体ポンプ72と、弁73と、を備える。
供給パイプ71は、その内部を液体の燃料が流れる構成になっている。流体ポンプ72は、供給パイプ71を経由して、流量可変ノズル1に燃料を送り出す。弁73は、流体ポンプ72及び流量可変ノズル1の間において供給パイプ71の内部を流れる燃料の開閉を行う。
【0033】
次に、第1実施形態の流量可変ノズル1の流量可変動作について、図5〜図8を参照しながら説明する。
供給ライン70から圧送された燃料は、流量可変動作におけるどの状態においても、ノズルボディ10の開口部14から、スワールチップトップ30の筒状本体部31の外周壁面36又はチップ本体23の外周壁面27とノズルボディ10の中空部11との間に形成される間隙39を通って、スワールチップ20の旋回溝25に流入した状態になっている。また、シャフト40は、駆動機構制御部80の制御に応じて、軸方向に進退する。
【0034】
ここで、燃料の噴射停止状態においては、シャフト40は、図5に示すように、駆動機構制御部80の制御に基づき、スワールチップ20の旋回溝25のすべてを、中心穴部24の内部から塞ぐ位置に配置される。これにより、燃料は、スワールチップ20の中心穴部24に流入できないため、燃料は、流量可変ノズル1から噴射されない。
【0035】
燃料の少流量噴射状態においては、シャフト40は、図6に示すように、駆動機構制御部80の制御に基づき、スワールチップ20の軸方向に所定の間隔をあけて各3個配置された旋回溝25のうち、ノズルボディ10の先端部10a側に配置された各1個の旋回溝25を開放し、残り各2個の旋回溝25を塞ぐ位置に配置される。これにより、燃料は、スワールチップ20の旋回溝25のすべてを開放した状態で中心穴部24に流入する量の1/3倍だけ流入する。よって、燃料は、流量可変ノズル1から少流量で噴射される。
【0036】
燃料の中流量噴射状態においては、シャフト40は、図7に示すように、駆動機構制御部80の制御に基づき、スワールチップ20の軸方向に所定の間隔をあけて各3個配置された旋回溝25のうち、ノズルボディ10の先端部10a側に配置された各2個の旋回溝25を開放し、残り各1個の旋回溝25を塞ぐ位置に配置される。これにより、燃料は、スワールチップ20の旋回溝25のすべてを開放した状態で中心穴部24に流入する量の2/3倍だけ流入する。よって、燃料は、流量可変ノズル1から中流量で噴射される。
【0037】
燃料の大流量噴射状態においては、シャフト40は、図8に示すように、駆動機構制御部80の制御に基づき、スワールチップ20の軸方向に所定の間隔をあけて各3個配置された旋回溝25のすべてを開放する位置に配置される。これにより、燃料は、スワールチップ20の旋回溝25のすべてを開放した状態で中心穴部24に流入する量で流入する。よって、燃料は、流量可変ノズル1から大流量で噴射される。
【0038】
上記で説明した燃料の噴射停止状態、少流量噴射状態、中流量噴射状態及び大流量噴射状態の4つの噴射状態が、駆動機構制御部80の制御に基づき作り出されることにより、流量可変ノズル1から噴射される燃料の量は、多段階に調整される。
【0039】
以上説明した第1実施形態の流量可変ノズル1及び燃焼装置60によれば、以下のような効果を奏する。
【0040】
(1)流量可変ノズル1を、チップ本体23、チップ本体23に形成された中心穴部24、及びチップ本体23の周面から中心穴部24に向かって延びる複数の旋回溝25を備えるスワールチップ20と、中心穴部24に挿入されて軸方向に進退可能なシャフト40と、を含んで構成した。これにより、シャフト40を進退させることで、中心穴部24の一部又は全部を塞いで、旋回溝25の一部又は全部を塞げるので、複数の旋回溝25から中心穴部24に流入する燃料の流量を調整できる。よって、シャフト40を進退させて中心穴部24を塞ぐ程度を調整することで、旋回溝25から中心穴部24に流入する燃料の量を多段階に変更できるので、配管を複雑化することなく、流量可変ノズル1から噴射される燃料の量を多段階に調整できる。
【0041】
(2)スワールチップ20を、旋回溝25をチップ本体23の軸方向に所定間隔をあけて複数配置して構成した。これにより、シャフト40を進退させることで、軸方向に配置された複数の旋回溝25のうちの所定の数の旋回溝25を開放又は閉鎖できる。よって、開放又は閉鎖する旋回溝25の数を調整することで、中心穴部24に流入する燃料の流量を、正確かつ多段階に調整できる。
【0042】
(3)流量可変ノズル1を、スワールチップ20をノズルボディ10の先端側に押圧する筒状のスワールチップトップ30を含んで構成し、シャフト40を、スワールチップトップ30の内側に配置した。これにより、スワールチップ20を安定的にノズルボディ10の先端側に位置させられるので、シャフト40を進退させた場合にスワールチップ20の位置がずれることを防げる。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態に係る流量可変ノズル1A及び燃焼装置60Aについて、図9〜図13を参照しながら説明する。図9は、第2実施形態のスワールチップを示す部分断面図である。図10は、第2実施形態の流量可変ノズルにおける噴射停止状態を示す縦断面図である。図11は、第2実施形態の流量可変ノズルにおける少流量噴射状態を示す縦断面図である。図12は、第2実施形態の流量可変ノズルにおける中流量噴射状態を示す縦断面図である。図13は、第2実施形態の流量可変ノズルにおける大流量噴射状態を示す縦断面図である。
【0044】
第2実施形態の流量可変ノズル1Aは、主として、スワールチップ20Aにおける複数の旋回溝25Aの構成において、第1実施形態と異なる。尚、第2実施形態の説明にあたって、第1実施形態と同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0045】
具体的には、第2実施形態のスワールチップ20Aでは、複数の旋回溝25Aは、チップ本体23の周方向に所定の間隔をあけて配置される。そして、複数の旋回溝25Aは、それぞれ、チップ本体23の基端面22から先端面21側に向かって形成され、チップ本体23の軸方向に延びる切れ込みにより構成される。
【0046】
次に、第2実施形態の流量可変ノズル1Bの流量可変動作について、図10〜図13を参照しながら説明する。
尚、以下では4段階の燃料調整を例に説明するが、スワールチップ20Aの旋回溝25Aの開放量は任意で設定できるため、4段階以外の多段階の燃料調整や無段階の燃料調整も可能である。
【0047】
燃料の噴射停止状態においては、シャフト40は、図10に示すように、駆動機構制御部80の制御に基づき、スワールチップ20Aの旋回溝25Aのすべてを中心穴部24の内部から塞ぐ位置に配置される。これにより、燃料は、スワールチップ20Aの中心穴部24に流入できないため、燃料は、流量可変ノズル1Aから噴射されない。
【0048】
燃料の少流量噴射状態においては、シャフト40は、図11に示すように、駆動機構制御部80の制御に基づき、スワールチップ20Aのチップ本体23の軸方向に延びる切れ込みによる旋回溝25Aのうち、ノズルボディ10の先端部10a側から0%〜33%の切れ込み量だけ開放し、残りの切れ込み量を塞ぐ位置に配置される。これにより、燃料は、スワールチップ20Aの旋回溝25Aのすべてを開放した状態で中心穴部24に流入する量の0%〜33%の量で流入する。よって、燃料は、流量可変ノズル1Aから少流量で噴射される。
【0049】
燃料の中流量噴射状態においては、シャフト40は、図12に示すように、駆動機構制御部80の制御に基づき、スワールチップ20Aのチップ本体23の軸方向に延びる切れ込みによる旋回溝25Aのうち、ノズルボディ10の先端部10a側から34〜66%の切れ込み量だけ開放し、残りの切れ込み量を塞ぐ位置に配置される。これにより、燃料は、スワールチップ20Aの旋回溝25Bのすべてを開放した状態で中心穴部24に流入する量の34%〜66%の量で流入する。よって、燃料は、流量可変ノズル1Aから中流量で噴射される。
【0050】
燃料の大流量噴射状態においては、シャフト40は、図13に示すように、駆動機構制御部80の制御に基づき、スワールチップ20Aのチップ本体23の軸方向に延びる切れ込みによる旋回溝25Aのうち、ノズルボディ10の先端部10a側から67%〜100%の切れ込み量だけ開放し、残りの切れ込み量を塞ぐ位置に配置されている。これにより、燃料は、スワールチップ20Aの旋回溝25Aのすべてを開放した状態で中心穴部24に流入する量の67%〜100%の量で流入する。よって、燃料は、流量可変ノズル1Aから大流量で噴射される。
【0051】
上記で説明した燃料の噴射停止状態、少流量噴射状態、中流量噴射状態及び大流量噴射状態の4つの噴射状態が駆動機構制御部80の制御に基づき作り出されることにより、流量可変ノズル1Aから噴射される燃料の量は、多段階に調整される。
【0052】
以上説明した第2実施形態の流量可変ノズル1A及び燃焼装置60Aによれば、上述した(1)及び(3)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0053】
(4)スワールチップ20Aを、チップ本体23の軸方向に延びる切れ込みにより構成される複数の旋回溝25Aを含んで構成した。これにより、シャフト40を進退させることで、スワールチップ20Aに流入する燃料の量を、多段階又は無段階に変更できる。よって、流量可変ノズル1Aから噴射される燃料の量を、多段階又は無段階に調整できるので、流量可変ノズル1Aにおける燃料の噴射量の調整をより柔軟に行える。
【0054】
以上、本発明の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述した各実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本発明の流量可変ノズルが噴射する流体は、上記実施形態において示した液体燃料に限られない。本発明の流量可変ノズルは、塗装装置に装備されて塗料等の流体を噴射するノズルに応用することができ、また噴射する流体も液体に限られない。
【符号の説明】
【0055】
1、1A 流量可変ノズル
10 ノズルボディ
10a 先端部
10b 基端部
11 中空部
14 開口部
20、20A スワールチップ
21 先端面
22 基端面
24 中心穴部
25、25A 旋回溝
30 スワールチップトップ(スワールチップ押圧部材)
32 シール用鍔部
40 シャフト
50 駆動機構
60、60A 燃焼装置
70 供給ライン
80 駆動機構制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有する筒状に形成されると共に先端部及び基端部が開放されたノズルボディと、
柱状に形成されるチップ本体、該チップ本体の基端面から先端面側に向かって形成され、該チップ本体の軸方向に延びる中心穴部、及び該チップ本体の周面から前記中心穴部に向かって延びる複数の旋回溝を有し、前記中空部に挿入されて前記ノズルボディの先端部に配置されるスワールチップと、
前記中心穴部の径と略同径の棒状に構成されると共に、前記スワールチップが配置された状態で前記中空部に挿入されて前記中心穴部の内部を前記チップ本体の軸方向に進退可能なシャフトと、
前記シャフトを進退させる駆動機構と、を備える流量可変ノズル。
【請求項2】
前記旋回溝は、前記チップ本体の周方向に所定の間隔をあけて複数配置されると共に、前記チップ本体の軸方向に所定間隔をあけて複数配置される請求項1に記載の流量可変ノズル。
【請求項3】
前記旋回溝は、前記チップ本体の周方向に所定の間隔をあけて複数配置されると共に、該周方向に所定間隔をあけて配置された複数の前記旋回溝それぞれは、前記チップ本体の基端面から先端面側に向かって形成され、該チップ本体の軸方向に延びる切れ込みにより構成される請求項1に記載の流量可変ノズル。
【請求項4】
前記スワールチップが配置された状態で前記中空部に挿入されて該スワールチップの基端面に当接し、該スワールチップを前記ノズルボディの先端側に押圧する筒状のスワールチップ押圧部材を更に備え、
前記シャフトは、前記スワールチップ押圧部材の内側に配置される請求項1〜3のいずれかに記載の流量可変ノズル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の流量可変ノズルと、
前記流量可変ノズルに燃料を供給する供給ラインと、
前記駆動機構の動作を制御する駆動機構制御部と、を備える燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−68366(P2013−68366A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207482(P2011−207482)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】