流量計測装置
【課題】汎用性があり、精度の高い流量計測を実現することを目的とする。
【解決手段】流体流路1に内設され、同流体流路1を流れる流体の一部が分流する測定流路3と、この測定流路3を流れる流体の流速および/または流量を計測する計測手段4と、前記測定流路3へ流れ込む流体の流量を制御する流体分流手段7,8とを有するものである。したがって、測定流路3へ流れ込む流体量が可変であるところから、広範囲の測定ができることとなる。
【解決手段】流体流路1に内設され、同流体流路1を流れる流体の一部が分流する測定流路3と、この測定流路3を流れる流体の流速および/または流量を計測する計測手段4と、前記測定流路3へ流れ込む流体の流量を制御する流体分流手段7,8とを有するものである。したがって、測定流路3へ流れ込む流体量が可変であるところから、広範囲の測定ができることとなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用してガス、水などの流体の流量を計測する流量計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の超音波式流量計測装置は、図12に示すように、計測流体が流れる主管流路51内に、その流体の一部を計測するための計測流路52を設置した構成であった。
【0003】
この構成においては、計測流路52内に分流された流量を計測し、予め設定された全体流量との分流比おいて、主管流路内に流れる流量を計算により求めるものであり、小流量の計測レンジである測定系でもって、配管全体の流れを測定できる可能性を有している(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−251686号公報
【特許文献2】特開2005−140729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、計測流路52内に流れ込む流量が、その計測流路52で計測できる上限を超えた場合、計測不可能となるため、計測できる範囲はその形状で画一的に制限されてしまうという課題があった。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解消するものであり、広範囲での確実な測定を可能としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために本発明の流量計測装置は、流体流路と、この流体流路を流動する流体の一部が流れ込む測定流路と、この測定流路を流れる流体の流量を計測する計測手段と、測定流路へ流れ込む流体量を制御する流体分流手段とを有する構成である。
【0008】
したがって、測定流路へ流れ込む流体量が可変であるところから、広範囲の測定ができることとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の流量計測装置は、流体分流手段により、測定流路に流れる、所謂、副流の量をコントロールすることが可能となり、流体流路を流れる主流が大流量であっても確実に計測可能となる。さらには、流体分流手段により主流と副流の分流比を最適化できるため、同一の測定流路でもって、主流が流れる流体流路の管径が違う組み合わせでも容易に設計変更できる汎用性も持ち合わせることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態を示す流量計測装置の縦側断面図
【図2】同流量計測装置の横側断面図
【図3】図2のA−A正断面図
【図4】図2のB−B正断面図
【図5】同流量計測装置のシステム構成図
【図6】同流量計測装置における計測手段部の説明図
【図7】同流量計測装置の作用説明図
【図8】同流量計測装置の変形例を示す縦側断面図
【図9】同流量計測装置の変形例における作用説明図
【図10】同流量計測装置の他の変形例を示す縦側断面図
【図11】図10のA−A正断面図
【図12】従来の流量計測装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、流体流路と、前記流体流路に内設され、同流体流路を流れる流体の一部が分流する測定流路と、前記測定流路を流れる流体の流量を計測する計測手段と、前記測定流路へ流れ込む流体の流量を制御する流体分流手段とを具備したもので、流体分流手段を介して測定流路に分流する流体量をコントロールすることで広範囲の流量下での計測を可能にできるものである。
【0012】
前記流体分流手段は可動可能にすることが望ましく、加えて、その構成は流体の流れを邪魔するように設定しておく。
【0013】
また、正流、逆流ともに測定できるように、流体分流手段を測定流路より上、下流側の双方に配置しておくことも考えられる。
【0014】
測定流路を流体流路の内部に支持部材を介して同心的に配置しておけば、外部配管との接続が容易となるとともに、測定流路を中心に支持が容易で、分流するに当たり、副流に対する主流の対象性が確保しやすくなり、安定してより高い測定精度を確保することが可能となる。
【0015】
また、支持部材と測定流路および流体流路を別部材としておけば、流体流路の内径が変更になっても、測定流路が収まる大きさ以上であれば支持部材の変更のみで対処できるものである。
【0016】
この場合、計測流路内の測定流路の開口部を除く、測定流路の流体流れの方向の投影面を少なくとも覆う周辺部の流れを遮断する遮蔽板を設けておけば、計測流路の開口部以外には流体が流れ込まないため、計測流路に対する流れによる破壊等の問題がなくなり、計測装置としての信頼性が上がるとともに、計測流路の外形が如何なる形状であっても流れへの影響を出さないため、安定した計測精度の確保にも貢献する。
【0017】
さらに、流体分流手段と測定流路の間に整流部材を配置しておけば、計測流路に流れ込む流体に多くの偏流があっても安定した測定が可能となり、常に高精度の計測が可能となる。
【0018】
計測手段として、超音波方式とすることで、よりレンジアビリティの広い高精度な計測が可能となるとともに、サンプリング時間が短い計測が可能であるため、瞬時の計測が必要な用途などにも対応が可能となる。また逆流の計測も可能である。
【0019】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、実施の形態が本発明を限定するものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1〜図4に於いて、被計測流体が流れる流体流路1には支持部材2を介して測定流路3が内設してあり、一部流体がこの測定流路3に分流するようにしている。
【0021】
前記流体流路1は断面円形状を、測定流路3は断面矩形状をしており、測定流路3の中心に前記測定流路3が位置するように設定されている。
【0022】
前記測定流路3には計測手段4が配置してある。この計測手段4は測定流路3の上、下流側の対向壁部に設けられた一対の超音波送受信器5,6を有し、測定流路3を流れる流体を超音波が斜めに横切るようにしてある。
【0023】
流体流路1の内部にあって、かつ、測定流路3の上、下流側端部開口から所定距離をおいて流体分流手段7,8が設けられている。
【0024】
上、下流側双方に流体分流手段7,8を配置したのは、流体が流体流路1を図1の左手方向へ流れる、所謂、正流だけでなく、それとは逆の、所謂、逆流でも対応できるようにしたためで、流体流路1を流れる流体が流体分流手段7または8で分流されて測定流路3に分流流体として流れ込むようにしてある。
【0025】
図5に示すように、計測手段4の信号、つまりは、超音波送受信器5,6間の超音波伝搬時間信号は、後述する演算手段9に入力され、測定流路3を流れる流体の流量が演算されるものである。
【0026】
この求めた流量と、予め登録手段10に登録してある補正値により分流比に対応した測定流路3の流量を算出し、表示手段11に示すものであり、この全体の制御を制御手段12が受け持っている。
【0027】
なお、本実施の形態では結果を表示手段により表示するようにしているが、測定結果は数値データとしてデータロガーなどに出力することでもよく、また無線システムまた有線によるデータ転送機能を搭載して他の場所で出力することも可能である。
【0028】
以下、動作について説明する。
【0029】
先ず、計測手段4に関して図6をもとに説明する。
【0030】
前記計測手段4は、超音波送受信器5,6間で交互に超音波を送受信させて流体の流れに対して順方向と逆方向の超音波の伝搬時間の差を一定間隔を置いて計り、伝搬時間差信号として出力する働きを持つ。この伝搬時間差信号を受けて演算手段9により被計測流体の流速、および流量を算出するものである。
【0031】
さらに述べると、図6において、Lを超音波送受信器5,6間の距離、T1を上流からの伝達時間、T2を下流からの伝達時間、Cを音速、φを測定流路3における流体の流動方向に対する超音波伝搬方向のなす角度、流速をVとしたとき、流速Vは以下の式にて算出される。
【0032】
T1=L/(C+Vcosφ) (1)
T2=L/(C−Vcosφ) (2)
T1の逆数からT2の逆数を引き算する式より音速Cを消去して
V=(L/2cosφ)[(1/T1)−(1/T2)] (3)
φおよびLは既知なので,T1およびT2の値より流速Vが算出できる。今、例えば空気の流量を計ることを考え、角度φ=45度、距離L=35mm、音速C=340m/s
、流速V=8m/sを想定すると、T1=2.0×10−4秒、T2=2.1×10−4秒であり、瞬時計測ができる。
【0033】
以上のように構成された流量計測装置について、以下その図7を用いその作用を説明する。
【0034】
図7に示すように、流体流路1に流れ込む計測流体は流体分流手段7により、測定流路3に流れる副流Bとそれ以外の主流Aとに分流される。
【0035】
前述した、超音波による計測方法においては、超音波伝播部の流速が早くなった場合、流れの乱れの影響などで測定限界がある。
【0036】
測定限界は計測部の構成により変わるが、より大流量を測るためには計測部自体の大型化やセンサなどのデバイス部品の見直しが必要となり、測定流量のレンジに対応してそれぞれ計測手段を用意しなければいけなくなる。
【0037】
本実施の形態による分流方式では、測定流路3へ流れる副流Bを流体分流手段7の邪魔板作用により、主流Aから分流し、その分流比によって副流Bの流れを計測手段4の測定限界値以下に抑えることができるため、計測装置としての測定レンジの仕様が変更されても分流比を変えることで計測手段4の仕様見直しは必要なくなる。
【0038】
なお、前記説明では上流側の流体分流手段7について述べたが、流体の流れが逆の場合は、下流側の流体分流手段8が同じ作用を行うものである。
【0039】
また図8、9に示すように、流体分流手段7,8に邪魔板7a,8aを可動的に配備することで、分流比を任意に変えることが可能となり、一つの計測装置で流量の測定レンジを切り替えて、広範囲な測定が可能となる。
【0040】
邪魔板7a,8aの可動はモータ(図示せず)の回転をベルトで伝達して、それらの取付け角を変えることで達成するようにしているが、駆動機構はこれに限ったものではない。
【0041】
また、図2、図4に示すように、測定流路3を支持する支持部材2は、流体流路1に内接し計測手段4の前後を覆う形状のため、流れの遮蔽板となり、測定流路3の開口部(副流Bが流れる部分)以外には流れが生じないため、計測手段4の形状による流れへの影響がなく、また、超音波送受信器5,6などの配線が流れに影響を与えないようにしている。
【0042】
さらに、支持部材2を交換するだけで流体流路1の径が異なるものにも適用でき、互換性に富むものにできる。
【0043】
加えて、邪魔板構成をなす流体分流手段7,8を設けることで、流体流路1内に異物が流れ込んでも測定流路3への流入の割合は減少し、測定手段の寿命・信頼性の向上を図ることができる。
【0044】
なお、図10,11に示すように、流体分流手段7,8と測定流路3の間に整流部材13,14を挿入することで、流れ込む流れが非常に乱れていた場合でも、測定流路3での計測への影響を抑制でき、如何なる配管条件であっても精度の良い測定が可能となる。
【0045】
整流部材13,14は、多孔体、例えばハニカム状多孔体が最適であろう。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明によれば、流体流路の流れる主流が大流量であっても確実な計測を可能とし、流体分流手段により主流と副流の分流比を最適化できるため、同一の測定流路でもって、主流が流れる計測流路の管径が違う組み合わせでも容易に設計変更できる汎用性がある流量計測装置を提供できる。
【符号の説明】
【0047】
1 流体流路
3 測定流路
4 計測手段
5,6 超音波送受信器
2 支持部材
7,8 流体分流手段
7a,8b 邪魔板
13,14 整流部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用してガス、水などの流体の流量を計測する流量計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の超音波式流量計測装置は、図12に示すように、計測流体が流れる主管流路51内に、その流体の一部を計測するための計測流路52を設置した構成であった。
【0003】
この構成においては、計測流路52内に分流された流量を計測し、予め設定された全体流量との分流比おいて、主管流路内に流れる流量を計算により求めるものであり、小流量の計測レンジである測定系でもって、配管全体の流れを測定できる可能性を有している(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−251686号公報
【特許文献2】特開2005−140729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、計測流路52内に流れ込む流量が、その計測流路52で計測できる上限を超えた場合、計測不可能となるため、計測できる範囲はその形状で画一的に制限されてしまうという課題があった。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解消するものであり、広範囲での確実な測定を可能としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために本発明の流量計測装置は、流体流路と、この流体流路を流動する流体の一部が流れ込む測定流路と、この測定流路を流れる流体の流量を計測する計測手段と、測定流路へ流れ込む流体量を制御する流体分流手段とを有する構成である。
【0008】
したがって、測定流路へ流れ込む流体量が可変であるところから、広範囲の測定ができることとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の流量計測装置は、流体分流手段により、測定流路に流れる、所謂、副流の量をコントロールすることが可能となり、流体流路を流れる主流が大流量であっても確実に計測可能となる。さらには、流体分流手段により主流と副流の分流比を最適化できるため、同一の測定流路でもって、主流が流れる流体流路の管径が違う組み合わせでも容易に設計変更できる汎用性も持ち合わせることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態を示す流量計測装置の縦側断面図
【図2】同流量計測装置の横側断面図
【図3】図2のA−A正断面図
【図4】図2のB−B正断面図
【図5】同流量計測装置のシステム構成図
【図6】同流量計測装置における計測手段部の説明図
【図7】同流量計測装置の作用説明図
【図8】同流量計測装置の変形例を示す縦側断面図
【図9】同流量計測装置の変形例における作用説明図
【図10】同流量計測装置の他の変形例を示す縦側断面図
【図11】図10のA−A正断面図
【図12】従来の流量計測装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、流体流路と、前記流体流路に内設され、同流体流路を流れる流体の一部が分流する測定流路と、前記測定流路を流れる流体の流量を計測する計測手段と、前記測定流路へ流れ込む流体の流量を制御する流体分流手段とを具備したもので、流体分流手段を介して測定流路に分流する流体量をコントロールすることで広範囲の流量下での計測を可能にできるものである。
【0012】
前記流体分流手段は可動可能にすることが望ましく、加えて、その構成は流体の流れを邪魔するように設定しておく。
【0013】
また、正流、逆流ともに測定できるように、流体分流手段を測定流路より上、下流側の双方に配置しておくことも考えられる。
【0014】
測定流路を流体流路の内部に支持部材を介して同心的に配置しておけば、外部配管との接続が容易となるとともに、測定流路を中心に支持が容易で、分流するに当たり、副流に対する主流の対象性が確保しやすくなり、安定してより高い測定精度を確保することが可能となる。
【0015】
また、支持部材と測定流路および流体流路を別部材としておけば、流体流路の内径が変更になっても、測定流路が収まる大きさ以上であれば支持部材の変更のみで対処できるものである。
【0016】
この場合、計測流路内の測定流路の開口部を除く、測定流路の流体流れの方向の投影面を少なくとも覆う周辺部の流れを遮断する遮蔽板を設けておけば、計測流路の開口部以外には流体が流れ込まないため、計測流路に対する流れによる破壊等の問題がなくなり、計測装置としての信頼性が上がるとともに、計測流路の外形が如何なる形状であっても流れへの影響を出さないため、安定した計測精度の確保にも貢献する。
【0017】
さらに、流体分流手段と測定流路の間に整流部材を配置しておけば、計測流路に流れ込む流体に多くの偏流があっても安定した測定が可能となり、常に高精度の計測が可能となる。
【0018】
計測手段として、超音波方式とすることで、よりレンジアビリティの広い高精度な計測が可能となるとともに、サンプリング時間が短い計測が可能であるため、瞬時の計測が必要な用途などにも対応が可能となる。また逆流の計測も可能である。
【0019】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、実施の形態が本発明を限定するものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1〜図4に於いて、被計測流体が流れる流体流路1には支持部材2を介して測定流路3が内設してあり、一部流体がこの測定流路3に分流するようにしている。
【0021】
前記流体流路1は断面円形状を、測定流路3は断面矩形状をしており、測定流路3の中心に前記測定流路3が位置するように設定されている。
【0022】
前記測定流路3には計測手段4が配置してある。この計測手段4は測定流路3の上、下流側の対向壁部に設けられた一対の超音波送受信器5,6を有し、測定流路3を流れる流体を超音波が斜めに横切るようにしてある。
【0023】
流体流路1の内部にあって、かつ、測定流路3の上、下流側端部開口から所定距離をおいて流体分流手段7,8が設けられている。
【0024】
上、下流側双方に流体分流手段7,8を配置したのは、流体が流体流路1を図1の左手方向へ流れる、所謂、正流だけでなく、それとは逆の、所謂、逆流でも対応できるようにしたためで、流体流路1を流れる流体が流体分流手段7または8で分流されて測定流路3に分流流体として流れ込むようにしてある。
【0025】
図5に示すように、計測手段4の信号、つまりは、超音波送受信器5,6間の超音波伝搬時間信号は、後述する演算手段9に入力され、測定流路3を流れる流体の流量が演算されるものである。
【0026】
この求めた流量と、予め登録手段10に登録してある補正値により分流比に対応した測定流路3の流量を算出し、表示手段11に示すものであり、この全体の制御を制御手段12が受け持っている。
【0027】
なお、本実施の形態では結果を表示手段により表示するようにしているが、測定結果は数値データとしてデータロガーなどに出力することでもよく、また無線システムまた有線によるデータ転送機能を搭載して他の場所で出力することも可能である。
【0028】
以下、動作について説明する。
【0029】
先ず、計測手段4に関して図6をもとに説明する。
【0030】
前記計測手段4は、超音波送受信器5,6間で交互に超音波を送受信させて流体の流れに対して順方向と逆方向の超音波の伝搬時間の差を一定間隔を置いて計り、伝搬時間差信号として出力する働きを持つ。この伝搬時間差信号を受けて演算手段9により被計測流体の流速、および流量を算出するものである。
【0031】
さらに述べると、図6において、Lを超音波送受信器5,6間の距離、T1を上流からの伝達時間、T2を下流からの伝達時間、Cを音速、φを測定流路3における流体の流動方向に対する超音波伝搬方向のなす角度、流速をVとしたとき、流速Vは以下の式にて算出される。
【0032】
T1=L/(C+Vcosφ) (1)
T2=L/(C−Vcosφ) (2)
T1の逆数からT2の逆数を引き算する式より音速Cを消去して
V=(L/2cosφ)[(1/T1)−(1/T2)] (3)
φおよびLは既知なので,T1およびT2の値より流速Vが算出できる。今、例えば空気の流量を計ることを考え、角度φ=45度、距離L=35mm、音速C=340m/s
、流速V=8m/sを想定すると、T1=2.0×10−4秒、T2=2.1×10−4秒であり、瞬時計測ができる。
【0033】
以上のように構成された流量計測装置について、以下その図7を用いその作用を説明する。
【0034】
図7に示すように、流体流路1に流れ込む計測流体は流体分流手段7により、測定流路3に流れる副流Bとそれ以外の主流Aとに分流される。
【0035】
前述した、超音波による計測方法においては、超音波伝播部の流速が早くなった場合、流れの乱れの影響などで測定限界がある。
【0036】
測定限界は計測部の構成により変わるが、より大流量を測るためには計測部自体の大型化やセンサなどのデバイス部品の見直しが必要となり、測定流量のレンジに対応してそれぞれ計測手段を用意しなければいけなくなる。
【0037】
本実施の形態による分流方式では、測定流路3へ流れる副流Bを流体分流手段7の邪魔板作用により、主流Aから分流し、その分流比によって副流Bの流れを計測手段4の測定限界値以下に抑えることができるため、計測装置としての測定レンジの仕様が変更されても分流比を変えることで計測手段4の仕様見直しは必要なくなる。
【0038】
なお、前記説明では上流側の流体分流手段7について述べたが、流体の流れが逆の場合は、下流側の流体分流手段8が同じ作用を行うものである。
【0039】
また図8、9に示すように、流体分流手段7,8に邪魔板7a,8aを可動的に配備することで、分流比を任意に変えることが可能となり、一つの計測装置で流量の測定レンジを切り替えて、広範囲な測定が可能となる。
【0040】
邪魔板7a,8aの可動はモータ(図示せず)の回転をベルトで伝達して、それらの取付け角を変えることで達成するようにしているが、駆動機構はこれに限ったものではない。
【0041】
また、図2、図4に示すように、測定流路3を支持する支持部材2は、流体流路1に内接し計測手段4の前後を覆う形状のため、流れの遮蔽板となり、測定流路3の開口部(副流Bが流れる部分)以外には流れが生じないため、計測手段4の形状による流れへの影響がなく、また、超音波送受信器5,6などの配線が流れに影響を与えないようにしている。
【0042】
さらに、支持部材2を交換するだけで流体流路1の径が異なるものにも適用でき、互換性に富むものにできる。
【0043】
加えて、邪魔板構成をなす流体分流手段7,8を設けることで、流体流路1内に異物が流れ込んでも測定流路3への流入の割合は減少し、測定手段の寿命・信頼性の向上を図ることができる。
【0044】
なお、図10,11に示すように、流体分流手段7,8と測定流路3の間に整流部材13,14を挿入することで、流れ込む流れが非常に乱れていた場合でも、測定流路3での計測への影響を抑制でき、如何なる配管条件であっても精度の良い測定が可能となる。
【0045】
整流部材13,14は、多孔体、例えばハニカム状多孔体が最適であろう。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明によれば、流体流路の流れる主流が大流量であっても確実な計測を可能とし、流体分流手段により主流と副流の分流比を最適化できるため、同一の測定流路でもって、主流が流れる計測流路の管径が違う組み合わせでも容易に設計変更できる汎用性がある流量計測装置を提供できる。
【符号の説明】
【0047】
1 流体流路
3 測定流路
4 計測手段
5,6 超音波送受信器
2 支持部材
7,8 流体分流手段
7a,8b 邪魔板
13,14 整流部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流路と、前記流体流路に内設され、同流体流路を流れる流体の一部が分流する測定流路と、前記測定流路を流れる流体の流速および/または流量を計測する計測手段と、前記測定流路へ流れ込む流体の流量を制御する流体分流手段とを具備した流体の流れ計測装置。
【請求項2】
流体分流手段は、可動可能である請求項1記載の流体の流れ計測装置。
【請求項3】
流体分流手段は、流体の流れを邪魔するように構成した請求項1または2記載の流体の流れ計測装置。
【請求項4】
流体分流手段は、測定流路より上、下流側の双方に配置した請求項1〜3いずれか1項記載の流体の流れ計測装置。
【請求項5】
流体流路の内部に支持部材を介して測定流路を同心円状に配置した請求項1〜4いずれか1項記載の流体の流れ計測装置。
【請求項6】
支持部材と測定流路および流体流路は別部材とした請求項5記載の流量計測装置。
【請求項7】
流体流路内の測定流路の開口部を除く、測定流路の流体流れの方向の投影面を少なくとも覆う周辺部の流れを遮断する遮蔽板を有する請求項1記載の流量計測装置。
【請求項8】
流体分流手段と測定流路の間に整流部材を配置した請求項1〜7いずれか1項記載の流体の流れ計測装置。
【請求項9】
計測手段は、超音波送受信器を用いた請求項1〜9いずれか1項記載の流体の流れ計測装置。
【請求項1】
流体流路と、前記流体流路に内設され、同流体流路を流れる流体の一部が分流する測定流路と、前記測定流路を流れる流体の流速および/または流量を計測する計測手段と、前記測定流路へ流れ込む流体の流量を制御する流体分流手段とを具備した流体の流れ計測装置。
【請求項2】
流体分流手段は、可動可能である請求項1記載の流体の流れ計測装置。
【請求項3】
流体分流手段は、流体の流れを邪魔するように構成した請求項1または2記載の流体の流れ計測装置。
【請求項4】
流体分流手段は、測定流路より上、下流側の双方に配置した請求項1〜3いずれか1項記載の流体の流れ計測装置。
【請求項5】
流体流路の内部に支持部材を介して測定流路を同心円状に配置した請求項1〜4いずれか1項記載の流体の流れ計測装置。
【請求項6】
支持部材と測定流路および流体流路は別部材とした請求項5記載の流量計測装置。
【請求項7】
流体流路内の測定流路の開口部を除く、測定流路の流体流れの方向の投影面を少なくとも覆う周辺部の流れを遮断する遮蔽板を有する請求項1記載の流量計測装置。
【請求項8】
流体分流手段と測定流路の間に整流部材を配置した請求項1〜7いずれか1項記載の流体の流れ計測装置。
【請求項9】
計測手段は、超音波送受信器を用いた請求項1〜9いずれか1項記載の流体の流れ計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−266345(P2010−266345A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118322(P2009−118322)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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