浄化槽
【課題】担体流動槽における被処理水の処理効率を向上させ易い浄化槽を提供する。
【解決手段】散気部4を備えた担体流動槽Bの内側上部に、担体流動槽で処理された被処理水を濾過する担体濾過槽6と、担体濾過槽で濾過された被処理水を処理する処理槽16とが互いに隣接するように配設され、担体濾過槽の槽底部12が担体流動槽に連通され、担体流動槽の槽底部のうちの処理槽の直下に位置する槽底部分6cに散気部が配設され、担体流動槽のうちの被処理水面WLを形成する上側槽部分8が処理槽に隣り合わせて設けられ、処理槽の底面18が、担体濾過槽の側から上側槽部分の側へ向かうほど高くなる傾斜面18aを備えている。
【解決手段】散気部4を備えた担体流動槽Bの内側上部に、担体流動槽で処理された被処理水を濾過する担体濾過槽6と、担体濾過槽で濾過された被処理水を処理する処理槽16とが互いに隣接するように配設され、担体濾過槽の槽底部12が担体流動槽に連通され、担体流動槽の槽底部のうちの処理槽の直下に位置する槽底部分6cに散気部が配設され、担体流動槽のうちの被処理水面WLを形成する上側槽部分8が処理槽に隣り合わせて設けられ、処理槽の底面18が、担体濾過槽の側から上側槽部分の側へ向かうほど高くなる傾斜面18aを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散気部を備えた担体流動槽の内側上部に、前記担体流動槽で処理された被処理水を濾過する濾過槽と、前記濾過槽で濾過された被処理水を処理する処理槽とが配設されている浄化槽に関する。
【背景技術】
【0002】
上記浄化槽では、従来、担体流動槽のうちの被処理水面を形成する上側槽部分が濾過槽や処理槽に隣り合わせて設けられ、濾過槽や処理槽の担体流動槽の側に面する底面(以下、処理槽等の外底面という)が、水平方向に沿う扁平面に形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−245680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の浄化槽は、担体流動槽の被処理水が、散気部からの気泡供給により上向きに流動した後、処理槽等の水平方向に沿う扁平面に形成された外底面に沿って水平方向に流動し、さらに、担体流動槽の槽壁に沿って下向きに流動する。
このため、処理槽等の外底面に沿って流動した被処理水が、担体流動槽のうちの被処理水面を形成する上側槽部分に流入し難く、この上側槽部分に被処理水と担体が滞留し易い。
また、処理槽等の外底面が、水平方向に沿う扁平面に形成されているので、担体流動槽の担体が処理槽等の外底面にも滞留し易い。
このため、担体流動槽における被処理水の処理効率が低下するおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、担体流動槽における被処理水の処理効率を向上させ易い浄化槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による浄化槽の第1特徴構成は、散気部を備えた担体流動槽の内側上部に、前記担体流動槽で処理された被処理水を濾過する担体濾過槽と、前記担体濾過槽で濾過された被処理水を処理する処理槽とが互いに隣接するように配設され、前記担体濾過槽の槽底部が前記担体流動槽に連通され、前記担体流動槽の槽底部のうちの前記処理槽の直下に位置する槽底部分に前記散気部が配設され、前記担体流動槽のうちの被処理水面を形成する上側槽部分が前記処理槽に隣り合わせて設けられ、前記処理槽の底面が、前記担体濾過槽の側から前記上側槽部分の側へ向かうほど高くなる傾斜面を備えている点にある。
【0006】
本構成の浄化槽は、担体濾過槽の槽底部が担体流動槽に連通され、処理槽の直下に散気部が配設されている。
また、担体流動槽のうちの被処理水面を形成する上側槽部分が処理槽に隣り合わせて設けられ、処理槽の底面(外底面)が、担体濾過槽の側から上側槽部分の側へ向かうほど高くなる傾斜面を備えている。
【0007】
このため、担体流動槽の被処理水を、散気部からの気泡供給により上向きに流動させた後、処理槽の外底面に沿って上側槽部分に流入するように斜め上向きに流動させ、さらに、上側槽部分の槽壁に沿って下向きに流動させ易いので、被処理水と担体が処理槽の外底面及び上側槽部分に滞留し難い。
【0008】
したがって、本構成の浄化槽であれば、担体流動槽の被処理水と担体を処理槽の外底面及び上側槽部分に滞留し難い状態で流動させることができ、被処理水の全体に空気(酸素)を行きわたらせ易いと共に、担体と空気(酸素)及び被処理水との接触効率を高めて、担体流動槽における被処理水の処理効率を向上させ易い。
【0009】
また、散気部からの気泡供給により上向きに流動する被処理水は、処理槽の外底面を担体濾過槽の側とは反対側の方向に向かって流れるので、被処理水が担体濾過槽の底部から担体濾過槽内に流入し難くなる。
したがって、担体濾過槽内の被処理水の流動が抑えられ、濾過性能を向上させ易い。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記担体流動槽の槽上部に被処理水を移流させる移流口が、前記上側槽部分の平面視で前記散気部を挟んで前記担体濾過槽の側とは反対側の位置に臨ませて形成されている点にある。
【0011】
本構成であれば、移流口から担体流動槽の上側槽部分に流入した被処理水は、上側槽部分の処理槽の側から槽壁の側に向かう被処理水の流れに乗り、そして槽壁に沿って下向きに流動し、槽底部の散気部付近から処理槽の外底面へ向かう上向きの流れに乗って処理されるようになる。
したがって、本構成の浄化槽であれば、担体流動槽へ流入した被処理水がすぐに担体濾過槽に流入し難くなるため、被処理水は担体流動槽において充分な生物処理がされるようになる。これに伴い、担体流動槽内の浮遊物質(SS)の発生が少なくなるので、担体濾過槽の負荷も軽減でき、被処理水の処理効率を一層向上させ易い。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記担体濾過槽の槽底部が、当該担体濾過槽に収容された担体の前記担体流動槽への流出を阻止する流出阻止部材を介して前記担体流動槽に連通され、前記流出阻止部材の下面側が、前記処理槽の側ほど高くなる傾斜面を備えている点にある。
【0013】
本構成であれば、担体濾過槽に収容された担体の担体流動槽への流出を防止することができると共に、流出阻止部材の下面側に担体が滞留し難くなり、流出阻止部材の下面側の担体を処理槽の外底面に向けて斜め上向きに流動させて、担体と空気(酸素)及び被処理水との接触効率を一層高め易い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】浄化槽の内部を示す平面図である。
【図2】浄化槽の内部を示す側面図である。
【図3】図1のIII −III 線矢視図である。
【図4】図1のIV−IV線矢視図である。
【図5】図1のV−V線矢視図である。
【図6】第2実施形態における浄化槽の内部を示す、図1のV−V線矢視図に相当する図面である。
【図7】第2実施形態における浄化槽の内部を示す側面図である。
【図8】第3実施形態における浄化槽の内部を示す、図1のV−V線矢視図に相当する図面である。
【図9】第4実施形態における浄化槽の内部を示す、図1のV−V線矢視図に相当する図面である。
【図10】第4実施形態における浄化槽の内部を示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1〜図5は、本発明による浄化槽を示す。
浄化槽は、生活排水(汚水)を被処理水として浄化処理する。
【0016】
浄化槽の槽内は、図1,図2に示すように、被処理水を嫌気処理する嫌気処理槽Aと、被処理水を好気処理する好気処理槽Bとに第1横隔壁1で区画されている。
嫌気処理槽Aは、夾雑物除去槽A1と嫌気濾床槽A2とに第2横隔壁2で更に区画されている。
【0017】
好気処理槽Bは、好気性微生物が担持された多数の流動担体3をばっ気用散気部4から供給される気泡で被処理水と共に流動させて好気処理する担体流動槽で構成されている。
担体流動槽(好気処理槽)Bの内側上部には、浄化槽本体の外周壁5に沿わせて、担体流動槽Bで好気処理された被処理水を処理する担体濾過槽6と処理槽16とが配設されている。
【0018】
担体流動槽Bで好気処理された被処理水を濾過する担体濾過槽6と、担体濾過槽6で濾過された被処理水を処理する処理槽16は、第1横隔壁1に対して間隔を隔てて略平行に対向するように配設され、縦隔壁7で左右に区画されている。
【0019】
散気部4は、担体流動槽Bの槽底部のうちの処理槽16の直下に位置する槽底部分6cに入り込むように配設され、散気部4から出る気泡の一部が処理槽16の底面に向かって噴出されるように設けられている。
【0020】
担体濾過槽6は浄化槽幅方向の一方側に配設され、処理槽16は浄化槽幅方向の中央部に配設され、担体流動槽Bのうちの被処理水面WLを形成する上側槽部分8が、担体濾過槽6と処理槽16に隣り合わせて仕切壁9で仕切られて、平面視で略L字状に設けられている。
【0021】
図5に示すように、担体濾過槽6は、被処理水よりも比重が小さい多数の濾過担体10を被処理水面近くに浮上させた浮上濾過層11を有している。
担体濾過槽6の槽底部12は、担体濾過槽6に収容された濾過担体10の担体流動槽Bへの流出を阻止する網状の流出阻止部材13を介して担体流動槽Bに連通されている。
【0022】
処理槽16は、処理水槽14と、薬剤筒15aなどを備えた消毒槽15とに区画されている。
担体流動槽Bには槽底部近くに吸込部を有する図示しないエアリフトポンプが備えられ、担体流動槽Bの底部から汚泥を吸引して、返送管17を介して夾雑物除去槽A1に返送する。
【0023】
処理槽16の底面(外底面)18が、担体濾過槽6の側から上側槽部分8の側へ向かうほど高くなるように浄化槽幅方向に傾斜する傾斜面18aと、縦隔壁7に沿って帯状に形成された帯幅方向が水平方向に沿う扁平面18bとを備え、流出阻止部材13の下面側が、処理槽16の側ほど高くなるように浄化槽幅方向に傾斜する傾斜面19を備えている。
【0024】
処理槽16の底面18の全面が傾斜面18aを備えているのが望ましいが、底面18の一部が傾斜面18aを備えている場合には、傾斜面18a以外の底面部分は扁平面に形成されているのが望ましく、好ましくはその幅が流動担体3の外径と同等以下であるのがよい。
【0025】
外部からの被処理水(原水)は、流入部20から第1バッフルプレート21に案内されて夾雑物除去槽A1に流入し、被処理水中の浮遊物や固形物がスカムとして槽上部に浮上分離されると共に、槽底部に汚泥として沈澱分離される。
【0026】
夾雑物除去槽A1の被処理水は、図3に示すように第2横隔壁2の被処理水面WLよりも低い箇所に形成された左右の第1移流口22から、第2バッフルプレート23に案内されて嫌気濾床槽A2の底部に流入する。
嫌気濾床槽A2の底部に流入した被処理水は、嫌気濾床24を上向きに通過しながら嫌気処理されると共に浮遊物質(SS)が捕捉される。
【0027】
嫌気濾床24を通過した被処理水は、図1,図4に示すように、担体流動槽Bの上側槽部分8のうちの、平面視で散気部4を挟んで担体濾過槽6の側とは反対側の位置に臨ませて第1横隔壁1に形成した第2移流口25から担体流動槽Bの槽上部に流入する。
【0028】
担体流動槽Bに流入した被処理水は、散気部4から供給される気泡で流動担体3と共に流動して好気処理され、担体濾過槽6に槽底部12から流入する。
担体流動槽Bの被処理水は、散気部4からの気泡供給により上向きに流動した後、処理槽16の外底面18に沿って上側槽部分8に流入するように斜め上向きに流動し、さらに、上側槽部分8の外周壁5に沿って下向きに流動する。
【0029】
これにより、担体流動槽Bに流入した被処理水は、担体流動槽Bの槽底部分6c,散気部4,処理槽16の外底面18,外周壁5の順に沿って循環する流れに乗って処理されるので、担体流動槽Bで充分に生物処理された後に担体濾過槽6に流入する。
【0030】
担体濾過槽6に流入した被処理水は、浮上濾過層11を上向きに通過しながら汚泥などの浮遊物が捕捉された後、処理水槽14に貯留され、消毒槽15に流入して消毒された後、流出部26から外部に放流される。
【0031】
〔第2実施形態〕
図6,図7は、本発明の別実施形態を示す。
本実施形態では、処理槽16の底面(外底面)18が、上側槽部分8の側ほど高くなるように浄化槽幅方向及び浄化槽長手方向の三次元方向に傾斜する傾斜面18aと、縦隔壁7に沿って帯状に形成された帯幅方向が水平方向に沿う扁平面18bとを備え、流出阻止部材13の下面側が、処理槽16の側ほど高くなるように浄化槽幅方向及び浄化槽長手方向の三次元方向に傾斜する傾斜面19を備えている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0032】
〔第3実施形態〕
図8は、本発明の別実施形態を示す。
本実施形態では、担体濾過槽6の槽底部12が、処理槽16の下端位置から水平方向に沿って配設した流出阻止部材13を介して担体流動槽Bに連通されている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0033】
〔第4実施形態〕
図9は、本発明の別実施形態を示す。
本実施形態では、担体濾過槽6の槽底部12に流出阻止部材13が設けられておらず、担体濾過槽6の槽底部12の全体が担体流動槽Bに直に連通されている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0034】
〔第5実施形態〕
図10,図11は、本発明の別実施形態を示す。
本実施形態では、担体流動槽Bの浄化槽幅方向略中央に沿って、担体流動槽Bを第1横隔壁1に対して直交する方向で全長に亘って仕切る仕切壁9を設けて、仕切壁9側で浄化槽幅方向の中央側に配設された処理槽16と、浄化槽幅方向の一方側に配設された担体濾過槽6とに縦隔壁7で左右に区画され、担体流動槽Bのうちの被処理水面WLを形成する上側槽部分8が処理槽16に隣り合わせて浄化槽幅方向の他方側に設けられている。
【0035】
散気部4は、担体流動槽Bの槽底部のうちの処理槽16の直下に位置する槽底部分6cに沿って配設されている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0036】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による浄化槽は、比重が被処理水よりも大きい担体が担体流動槽への流出を阻止する状態で収容された担体濾過槽を有していてもよい。
2.本発明による浄化槽は、処理槽が、処理水槽と消毒槽以外の槽を設けて構成されたものであってもよく、消毒槽だけで構成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
3 担体
4 散気部
6 担体濾過槽
6c 槽底部分
8 上側槽部分
12 担体濾過槽の槽底部
13 流出阻止部材
16 処理槽
18 底面
18c 傾斜面
19 傾斜面
25 移流口
B 担体流動槽
WL 被処理水面
【技術分野】
【0001】
本発明は、散気部を備えた担体流動槽の内側上部に、前記担体流動槽で処理された被処理水を濾過する濾過槽と、前記濾過槽で濾過された被処理水を処理する処理槽とが配設されている浄化槽に関する。
【背景技術】
【0002】
上記浄化槽では、従来、担体流動槽のうちの被処理水面を形成する上側槽部分が濾過槽や処理槽に隣り合わせて設けられ、濾過槽や処理槽の担体流動槽の側に面する底面(以下、処理槽等の外底面という)が、水平方向に沿う扁平面に形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−245680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の浄化槽は、担体流動槽の被処理水が、散気部からの気泡供給により上向きに流動した後、処理槽等の水平方向に沿う扁平面に形成された外底面に沿って水平方向に流動し、さらに、担体流動槽の槽壁に沿って下向きに流動する。
このため、処理槽等の外底面に沿って流動した被処理水が、担体流動槽のうちの被処理水面を形成する上側槽部分に流入し難く、この上側槽部分に被処理水と担体が滞留し易い。
また、処理槽等の外底面が、水平方向に沿う扁平面に形成されているので、担体流動槽の担体が処理槽等の外底面にも滞留し易い。
このため、担体流動槽における被処理水の処理効率が低下するおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、担体流動槽における被処理水の処理効率を向上させ易い浄化槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による浄化槽の第1特徴構成は、散気部を備えた担体流動槽の内側上部に、前記担体流動槽で処理された被処理水を濾過する担体濾過槽と、前記担体濾過槽で濾過された被処理水を処理する処理槽とが互いに隣接するように配設され、前記担体濾過槽の槽底部が前記担体流動槽に連通され、前記担体流動槽の槽底部のうちの前記処理槽の直下に位置する槽底部分に前記散気部が配設され、前記担体流動槽のうちの被処理水面を形成する上側槽部分が前記処理槽に隣り合わせて設けられ、前記処理槽の底面が、前記担体濾過槽の側から前記上側槽部分の側へ向かうほど高くなる傾斜面を備えている点にある。
【0006】
本構成の浄化槽は、担体濾過槽の槽底部が担体流動槽に連通され、処理槽の直下に散気部が配設されている。
また、担体流動槽のうちの被処理水面を形成する上側槽部分が処理槽に隣り合わせて設けられ、処理槽の底面(外底面)が、担体濾過槽の側から上側槽部分の側へ向かうほど高くなる傾斜面を備えている。
【0007】
このため、担体流動槽の被処理水を、散気部からの気泡供給により上向きに流動させた後、処理槽の外底面に沿って上側槽部分に流入するように斜め上向きに流動させ、さらに、上側槽部分の槽壁に沿って下向きに流動させ易いので、被処理水と担体が処理槽の外底面及び上側槽部分に滞留し難い。
【0008】
したがって、本構成の浄化槽であれば、担体流動槽の被処理水と担体を処理槽の外底面及び上側槽部分に滞留し難い状態で流動させることができ、被処理水の全体に空気(酸素)を行きわたらせ易いと共に、担体と空気(酸素)及び被処理水との接触効率を高めて、担体流動槽における被処理水の処理効率を向上させ易い。
【0009】
また、散気部からの気泡供給により上向きに流動する被処理水は、処理槽の外底面を担体濾過槽の側とは反対側の方向に向かって流れるので、被処理水が担体濾過槽の底部から担体濾過槽内に流入し難くなる。
したがって、担体濾過槽内の被処理水の流動が抑えられ、濾過性能を向上させ易い。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記担体流動槽の槽上部に被処理水を移流させる移流口が、前記上側槽部分の平面視で前記散気部を挟んで前記担体濾過槽の側とは反対側の位置に臨ませて形成されている点にある。
【0011】
本構成であれば、移流口から担体流動槽の上側槽部分に流入した被処理水は、上側槽部分の処理槽の側から槽壁の側に向かう被処理水の流れに乗り、そして槽壁に沿って下向きに流動し、槽底部の散気部付近から処理槽の外底面へ向かう上向きの流れに乗って処理されるようになる。
したがって、本構成の浄化槽であれば、担体流動槽へ流入した被処理水がすぐに担体濾過槽に流入し難くなるため、被処理水は担体流動槽において充分な生物処理がされるようになる。これに伴い、担体流動槽内の浮遊物質(SS)の発生が少なくなるので、担体濾過槽の負荷も軽減でき、被処理水の処理効率を一層向上させ易い。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記担体濾過槽の槽底部が、当該担体濾過槽に収容された担体の前記担体流動槽への流出を阻止する流出阻止部材を介して前記担体流動槽に連通され、前記流出阻止部材の下面側が、前記処理槽の側ほど高くなる傾斜面を備えている点にある。
【0013】
本構成であれば、担体濾過槽に収容された担体の担体流動槽への流出を防止することができると共に、流出阻止部材の下面側に担体が滞留し難くなり、流出阻止部材の下面側の担体を処理槽の外底面に向けて斜め上向きに流動させて、担体と空気(酸素)及び被処理水との接触効率を一層高め易い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】浄化槽の内部を示す平面図である。
【図2】浄化槽の内部を示す側面図である。
【図3】図1のIII −III 線矢視図である。
【図4】図1のIV−IV線矢視図である。
【図5】図1のV−V線矢視図である。
【図6】第2実施形態における浄化槽の内部を示す、図1のV−V線矢視図に相当する図面である。
【図7】第2実施形態における浄化槽の内部を示す側面図である。
【図8】第3実施形態における浄化槽の内部を示す、図1のV−V線矢視図に相当する図面である。
【図9】第4実施形態における浄化槽の内部を示す、図1のV−V線矢視図に相当する図面である。
【図10】第4実施形態における浄化槽の内部を示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1〜図5は、本発明による浄化槽を示す。
浄化槽は、生活排水(汚水)を被処理水として浄化処理する。
【0016】
浄化槽の槽内は、図1,図2に示すように、被処理水を嫌気処理する嫌気処理槽Aと、被処理水を好気処理する好気処理槽Bとに第1横隔壁1で区画されている。
嫌気処理槽Aは、夾雑物除去槽A1と嫌気濾床槽A2とに第2横隔壁2で更に区画されている。
【0017】
好気処理槽Bは、好気性微生物が担持された多数の流動担体3をばっ気用散気部4から供給される気泡で被処理水と共に流動させて好気処理する担体流動槽で構成されている。
担体流動槽(好気処理槽)Bの内側上部には、浄化槽本体の外周壁5に沿わせて、担体流動槽Bで好気処理された被処理水を処理する担体濾過槽6と処理槽16とが配設されている。
【0018】
担体流動槽Bで好気処理された被処理水を濾過する担体濾過槽6と、担体濾過槽6で濾過された被処理水を処理する処理槽16は、第1横隔壁1に対して間隔を隔てて略平行に対向するように配設され、縦隔壁7で左右に区画されている。
【0019】
散気部4は、担体流動槽Bの槽底部のうちの処理槽16の直下に位置する槽底部分6cに入り込むように配設され、散気部4から出る気泡の一部が処理槽16の底面に向かって噴出されるように設けられている。
【0020】
担体濾過槽6は浄化槽幅方向の一方側に配設され、処理槽16は浄化槽幅方向の中央部に配設され、担体流動槽Bのうちの被処理水面WLを形成する上側槽部分8が、担体濾過槽6と処理槽16に隣り合わせて仕切壁9で仕切られて、平面視で略L字状に設けられている。
【0021】
図5に示すように、担体濾過槽6は、被処理水よりも比重が小さい多数の濾過担体10を被処理水面近くに浮上させた浮上濾過層11を有している。
担体濾過槽6の槽底部12は、担体濾過槽6に収容された濾過担体10の担体流動槽Bへの流出を阻止する網状の流出阻止部材13を介して担体流動槽Bに連通されている。
【0022】
処理槽16は、処理水槽14と、薬剤筒15aなどを備えた消毒槽15とに区画されている。
担体流動槽Bには槽底部近くに吸込部を有する図示しないエアリフトポンプが備えられ、担体流動槽Bの底部から汚泥を吸引して、返送管17を介して夾雑物除去槽A1に返送する。
【0023】
処理槽16の底面(外底面)18が、担体濾過槽6の側から上側槽部分8の側へ向かうほど高くなるように浄化槽幅方向に傾斜する傾斜面18aと、縦隔壁7に沿って帯状に形成された帯幅方向が水平方向に沿う扁平面18bとを備え、流出阻止部材13の下面側が、処理槽16の側ほど高くなるように浄化槽幅方向に傾斜する傾斜面19を備えている。
【0024】
処理槽16の底面18の全面が傾斜面18aを備えているのが望ましいが、底面18の一部が傾斜面18aを備えている場合には、傾斜面18a以外の底面部分は扁平面に形成されているのが望ましく、好ましくはその幅が流動担体3の外径と同等以下であるのがよい。
【0025】
外部からの被処理水(原水)は、流入部20から第1バッフルプレート21に案内されて夾雑物除去槽A1に流入し、被処理水中の浮遊物や固形物がスカムとして槽上部に浮上分離されると共に、槽底部に汚泥として沈澱分離される。
【0026】
夾雑物除去槽A1の被処理水は、図3に示すように第2横隔壁2の被処理水面WLよりも低い箇所に形成された左右の第1移流口22から、第2バッフルプレート23に案内されて嫌気濾床槽A2の底部に流入する。
嫌気濾床槽A2の底部に流入した被処理水は、嫌気濾床24を上向きに通過しながら嫌気処理されると共に浮遊物質(SS)が捕捉される。
【0027】
嫌気濾床24を通過した被処理水は、図1,図4に示すように、担体流動槽Bの上側槽部分8のうちの、平面視で散気部4を挟んで担体濾過槽6の側とは反対側の位置に臨ませて第1横隔壁1に形成した第2移流口25から担体流動槽Bの槽上部に流入する。
【0028】
担体流動槽Bに流入した被処理水は、散気部4から供給される気泡で流動担体3と共に流動して好気処理され、担体濾過槽6に槽底部12から流入する。
担体流動槽Bの被処理水は、散気部4からの気泡供給により上向きに流動した後、処理槽16の外底面18に沿って上側槽部分8に流入するように斜め上向きに流動し、さらに、上側槽部分8の外周壁5に沿って下向きに流動する。
【0029】
これにより、担体流動槽Bに流入した被処理水は、担体流動槽Bの槽底部分6c,散気部4,処理槽16の外底面18,外周壁5の順に沿って循環する流れに乗って処理されるので、担体流動槽Bで充分に生物処理された後に担体濾過槽6に流入する。
【0030】
担体濾過槽6に流入した被処理水は、浮上濾過層11を上向きに通過しながら汚泥などの浮遊物が捕捉された後、処理水槽14に貯留され、消毒槽15に流入して消毒された後、流出部26から外部に放流される。
【0031】
〔第2実施形態〕
図6,図7は、本発明の別実施形態を示す。
本実施形態では、処理槽16の底面(外底面)18が、上側槽部分8の側ほど高くなるように浄化槽幅方向及び浄化槽長手方向の三次元方向に傾斜する傾斜面18aと、縦隔壁7に沿って帯状に形成された帯幅方向が水平方向に沿う扁平面18bとを備え、流出阻止部材13の下面側が、処理槽16の側ほど高くなるように浄化槽幅方向及び浄化槽長手方向の三次元方向に傾斜する傾斜面19を備えている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0032】
〔第3実施形態〕
図8は、本発明の別実施形態を示す。
本実施形態では、担体濾過槽6の槽底部12が、処理槽16の下端位置から水平方向に沿って配設した流出阻止部材13を介して担体流動槽Bに連通されている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0033】
〔第4実施形態〕
図9は、本発明の別実施形態を示す。
本実施形態では、担体濾過槽6の槽底部12に流出阻止部材13が設けられておらず、担体濾過槽6の槽底部12の全体が担体流動槽Bに直に連通されている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0034】
〔第5実施形態〕
図10,図11は、本発明の別実施形態を示す。
本実施形態では、担体流動槽Bの浄化槽幅方向略中央に沿って、担体流動槽Bを第1横隔壁1に対して直交する方向で全長に亘って仕切る仕切壁9を設けて、仕切壁9側で浄化槽幅方向の中央側に配設された処理槽16と、浄化槽幅方向の一方側に配設された担体濾過槽6とに縦隔壁7で左右に区画され、担体流動槽Bのうちの被処理水面WLを形成する上側槽部分8が処理槽16に隣り合わせて浄化槽幅方向の他方側に設けられている。
【0035】
散気部4は、担体流動槽Bの槽底部のうちの処理槽16の直下に位置する槽底部分6cに沿って配設されている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0036】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による浄化槽は、比重が被処理水よりも大きい担体が担体流動槽への流出を阻止する状態で収容された担体濾過槽を有していてもよい。
2.本発明による浄化槽は、処理槽が、処理水槽と消毒槽以外の槽を設けて構成されたものであってもよく、消毒槽だけで構成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
3 担体
4 散気部
6 担体濾過槽
6c 槽底部分
8 上側槽部分
12 担体濾過槽の槽底部
13 流出阻止部材
16 処理槽
18 底面
18c 傾斜面
19 傾斜面
25 移流口
B 担体流動槽
WL 被処理水面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散気部を備えた担体流動槽の内側上部に、前記担体流動槽で処理された被処理水を濾過する担体濾過槽と、前記担体濾過槽で濾過された被処理水を処理する処理槽とが互いに隣接するように配設され、
前記担体濾過槽の槽底部が前記担体流動槽に連通され、
前記担体流動槽の槽底部のうちの前記処理槽の直下に位置する槽底部分に前記散気部が配設され、
前記担体流動槽のうちの被処理水面を形成する上側槽部分が前記処理槽に隣り合わせて設けられ、
前記処理槽の底面が、前記担体濾過槽の側から前記上側槽部分の側へ向かうほど高くなる傾斜面を備えている浄化槽。
【請求項2】
前記担体流動槽の槽上部に被処理水を移流させる移流口が、前記上側槽部分の平面視で前記散気部を挟んで前記担体濾過槽の側とは反対側の位置に臨ませて形成されている請求項1記載の浄化槽。
【請求項3】
前記担体濾過槽の槽底部が、当該担体濾過槽に収容された担体の前記担体流動槽への流出を阻止する流出阻止部材を介して前記担体流動槽に連通され、
前記流出阻止部材の下面側が、前記処理槽の側ほど高くなる傾斜面を備えている請求項1又は2記載の浄化槽。
【請求項1】
散気部を備えた担体流動槽の内側上部に、前記担体流動槽で処理された被処理水を濾過する担体濾過槽と、前記担体濾過槽で濾過された被処理水を処理する処理槽とが互いに隣接するように配設され、
前記担体濾過槽の槽底部が前記担体流動槽に連通され、
前記担体流動槽の槽底部のうちの前記処理槽の直下に位置する槽底部分に前記散気部が配設され、
前記担体流動槽のうちの被処理水面を形成する上側槽部分が前記処理槽に隣り合わせて設けられ、
前記処理槽の底面が、前記担体濾過槽の側から前記上側槽部分の側へ向かうほど高くなる傾斜面を備えている浄化槽。
【請求項2】
前記担体流動槽の槽上部に被処理水を移流させる移流口が、前記上側槽部分の平面視で前記散気部を挟んで前記担体濾過槽の側とは反対側の位置に臨ませて形成されている請求項1記載の浄化槽。
【請求項3】
前記担体濾過槽の槽底部が、当該担体濾過槽に収容された担体の前記担体流動槽への流出を阻止する流出阻止部材を介して前記担体流動槽に連通され、
前記流出阻止部材の下面側が、前記処理槽の側ほど高くなる傾斜面を備えている請求項1又は2記載の浄化槽。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−213699(P2012−213699A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79963(P2011−79963)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]