説明

浄水器

【課題】ユーザが間違って原水を利用したり、流出口が原水で汚染されたりするのを防ぐことができる浄水器を提供する。
【解決手段】浄水器用カートリッジ101は、第1カートリッジ側接続口103と第2カートリッジ側接続口104とを有する。浄水器本体102は、第1カートリッジ側接続口103が着脱される第1本体側接続口111と、第2カートリッジ側接続口104が着脱される第2本体側接続口112と、原水が流入する流入口113と、原水の浄化時に浄水が流出する流出口114と、浄水器用カートリッジの交換時に原水を排出可能な排水口115とを有する。第1弁体109は、第1カートリッジ側接続口103と第1本体側接続口111との接続または離間に連動して、入口113と第1本体側接続口111との間を開放または閉鎖すると共に、入口113と排水口115との間を閉鎖または開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浄水器としては、特開2008−104902号公報に開示されているように、浄水器本体と、この浄水器本体に着脱可能なカートリッジフィルタと、浄水器本体内の水の流れを制御する弁体と、この弁体を手動で操作するための操作部とを備えたものがある。
【0003】
上記浄水器本体は、原水が流入する流入口と、カートリッジフィルタで生成された浄水が流出する流出口とを有している。上記流入口に流入した原水は、浄水器本体内の第1,第2流路のどちらか一方を流れて流出口に向かうようになっている。この第1流路は、流入口に流入した原水をカートリッジフィルタを通過させて流出口に向かわせる流路である。一方、上記第2流路は、流入口に流入した原水をカートリッジフィルタを通過させずに流出口に向かわせる流路である。
【0004】
上記弁体は、浄水器本体の流入口を第1流路に接続したり、第2流路に接続したりするためのものである。より詳しくは、ユーザは、操作部の手動操作で弁体を駆動することにより、浄水器本体の流入口の接続先を、第1流路から第2流路に切り換えたり、第2流路から第1流路に切り換えたりすることができるようになっている。
【0005】
上記従来の浄水器で原水を浄水にする場合、浄水器本体にカートリッジフィルタを付けた状態、かつ、浄水器本体の流入口を第1流路に接続した状態で、浄水器本体の流入口に原水を供給する。そうすると、上記原水がカートリッジフィルタを通過して浄水となった後、流出口に流れる。したがって、ユーザは流出口から浄水を取り出すことができる。
【0006】
また、上記カートリッジフィルタが劣化した場合、ユーザは、操作部の手動操作で弁体を駆動することにより、浄水器本体の流入口の接続先を第1流路から第2流路に切り換えた後、カートリッジフィルタを交換する。このカートリッジフィルタの交換中に、流入口に原水を供給しても、この原水は第2流路を流れるので、カートリッジフィルタ側に流れずに流出口へ向かう。したがって、原水の給水を停止する必要なく、カートリッジフィルタの交換中の水漏れを防ぐことができる。
【0007】
そして、上記カートリッジフィルタの交換後、ユーザは、操作部の手動操作で弁体を駆動することにより、浄水器本体の流入口の接続先を第2流路から第1流路に切り換えれば、劣化していない新しいカートリッジフィルタで浄水を生成して利用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−104902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記従来の浄水器では、カートリッジフィルタの交換において、ユーザが、劣化した古いカートリッジフィルタを浄水器本体から取り外したが、劣化していない新しいカートリッジフィルタを浄水器本体に付け忘れたまま、浄水器本体の流入口の接続先を第2流路から第1流路に切り換えたとする。この状態で流入口に原水を供給すると、原水は第1流路を流れるが、カートリッジフィルタが無いため、浄水にならずにそのまま流出口に流れてしまう。その結果、ユーザは流出口から取り出した原水を浄水だと勘違いしてしまう。また、ひどい汚れの原水(汚水)が流入口に供給された場合には、その原水の汚れによって流出口が汚染され、その汚れを除去するための捨て水に時間を要する。
【0010】
したがって、上記従来の浄水器には、ユーザが原水を浄水と間違って利用してしまうことがあるという問題と、流出口が原水の汚れに汚染されるという問題とがある。
【0011】
そこで、本発明の課題は、ユーザが間違って原水を利用したり、流出口が原水で汚染されたりするのを防ぐことができる浄水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の浄水器は、
第1カートリッジ側接続口と第2カートリッジ側接続口とを有すると共に、内部に原水を濾過する濾過部材を有する浄水器用カートリッジと、
上記第1カートリッジ側接続口が着脱される第1本体側接続口と、
上記第2カートリッジ側接続口が着脱される第2本体側接続口と、
原水が流入する流入口と、
原水の浄化時に浄水が流出する流出口と、
上記浄水器用カートリッジの交換時に原水を排出可能な排水口と、
上記第1カートリッジ側接続口と上記第1本体側接続口との接続または離間に連動して、上記流入口と上記第1本体側接続口との間を開放または閉鎖すると共に、上記流入口と上記排水口との間を閉鎖または開放する第1の手段と
を備えたことを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、上記原水から浄水を生成する場合、第1,第2本体側接続口に浄水器用カートリッジの第1,第2カートリッジ側接続口を接続する。これにより、上記第1の手段が、流入口と第1本体側接続口との間を開放すると共に、流入口と排水口との間を閉鎖する。その結果、上記流入口に原水を供給すれば、この原水は、第1本体側接続口に流れて、第1カートリッジ側接続口から浄水器用カートリッジ内に入って、濾過部材で濾過されて浄水となった後、第2カートリッジ側接続口から浄水器用カートリッジ外に出て、第2本体側接続口から流出口に流れることができる。したがって、ユーザは流出口から浄水を取り出して利用できる。
【0014】
一方、上記浄水器用カートリッジを交換する場合、第1,第2本体側接続口から浄水器用カートリッジの第1,第2カートリッジ側接続口を離間させる。これにより、上記第1の手段が、流入口と第1本体側接続口との間を閉鎖すると共に、流入口と排水口との間を開放する。その結果、上記流入口に原水を供給しても、この原水は、第1本体側接続口ではなく、排水口に流れるので、流出口に流れない。したがって、上記濾過部材で濾過されていない原水が流出口から流出しないようにすることができる。
【0015】
このように、上記流入口に供給された原水を濾過部材で濾過して浄水にできる場合だけ、流出口から浄水が流出するようにすることができる。したがって、ユーザが間違って原水を利用するのを防ぐことができる。
【0016】
また、上記浄水器用カートリッジの交換中、流入口に原水を供給しても、その原水は排水口から流出するので、流入口と第1本体側接続口との間の水路や、流入口と排水口との間の水路に過大な水圧がかからない。したがって、上記流入口と第1本体側接続口との間の水路や、流入口と排水口との間の水路が原水の水圧で損傷するのを防ぐこともできる。
【0017】
また、上記第1,第2本体側接続口から浄水器用カートリッジの第1,第2カートリッジ側接続口を離間させた状態で、流入口に原水を供給しても、この原水は流出口に流れないので、浄水器用カートリッジの交換時、ユーザが流出口からの水で濡れるのを防ぐことができる。
【0018】
また、上記状態で、仮に、流入口に汚水を供給しても、その汚水が流出口を通過しないので、汚水による流出口の汚染を防ぎ、流出口の清潔さを保つことができる。
【0019】
また、上記汚水による流出口の汚染を防ぐことができるので、流出口を清潔にするためだけに、流出口に浄水を流さなくて済む。すなわち、いわゆる捨て水を無くすことができる。したがって、上記捨て水を流す時間も無くすことができる。
【0020】
一実施形態の浄水器では、
上記第1の手段は、
上記第1本体側接続口を開閉する第1本体側接続口開閉部と、
上記排水口を開閉する排水口開閉部と
を有する。
【0021】
上記実施形態によれば、上記第1の手段は、第1本体側接続口を開閉する第1本体側接続口開閉部を有するので、浄水器用カートリッジの交換時、第1本体側接続口を第1本体側接続口開閉部で閉鎖すれば、原水が第1本体側接続口から流出するのを確実に防ぐことができる。
【0022】
また、上記第1の手段は、排水口を開閉する排水口開閉部を有するので、浄水の生成時、排水口を排水口開閉部で閉鎖すれば、第1本体側接続口へ向かう原水の量が低下するのを確実に防ぐことができる。したがって、上記浄水を効率良く生成することができる。
【0023】
一実施形態の浄水器では、
上記第1本体側接続口と上記第1カートリッジ側接続口との間をシールする第1シール部材を備え、
上記第1の手段は、上記第1シール部材が上記第1本体側接続口と上記第1カートリッジ側接続口との間をシールした状態で、上記流入口と上記第1本体側接続口との間を開放または閉鎖したり、上記流入口と上記排水口との間を閉鎖または開放したりするようになっている。
【0024】
上記実施形態によれば、上記第1の手段は、第1シール部材が第1本体側接続口と第1カートリッジ側接続口との間をシールした状態で、流入口と第1本体側接続口との間を開放または閉鎖するようになっているので、この開閉中に、第1本体側接続口から水漏れするのを防ぐことができる。
【0025】
また、上記第1の手段は、第1シール部材が第1本体側接続口と第1カートリッジ側接続口との間をシールした状態で、流入口と排水口との間を閉鎖または開放するようになっているので、この開閉中に、第1本体側接続口から水漏れするのを防ぐことができる。
【0026】
一実施形態の浄水器は、
上記第2カートリッジ側接続口と上記第2本体側接続口との接続または離間に連動して、上記第2本体側接続口と上記流出口との間を開放または閉鎖する第2の手段を備えている。
【0027】
上記実施形態によれば、上記第2本体側接続口から第2カートリッジ側接続口を離間させたときに、第2の手段が第2本体側接続口と流出口との間を閉鎖するので、流出口から水が流出するのを確実に防ぐことができる。
【0028】
一実施形態の浄水器では、
上記第2本体側接続口と上記第2カートリッジ側接続口との間をシールする第2シール部材を備え、
上記第2の手段は、上記第2シール部材が上記第2本体側接続口と上記第2カートリッジ側接続口との間をシールした状態で、上記第2本体側接続口と上記流出口との間を開放または閉鎖するようになっている。
【0029】
上記実施形態によれば、上記第2の手段は、第2シール部材が第2本体側接続口と第2カートリッジ側接続口との間をシールした状態で、第2本体側接続口と流出口との間を開放または閉鎖するようになっているので、この開閉中に、第2本体側接続口から水漏れするのを防ぐことができる。
【0030】
一実施形態の浄水器では、
上記第2の手段が開閉弁である。
【0031】
上記実施形態によれば、上記第2の手段が開閉弁であるので、第2本体側接続口と流出口との間を開放または閉鎖を適切に行うことができる。
【0032】
一実施形態の浄水器では、
上記第1の手段が切換弁である。
【0033】
上記実施形態によれば、上記第1の手段が切換弁であるので、流入口と第1本体側接続口との間の開放または閉鎖、および、流入口と排水口との間を閉鎖または開放を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の浄水器によれば、第1,第2本体側接続口に浄水器用カートリッジの第1,第2カートリッジ側接続口を接続したときに、第1の手段が、流入口と第1本体側接続口との間を開放すると共に、流入口と排水口との間を閉鎖するので、流入口に供給された原水を、第1本体側接続口から浄水器用カートリッジに送って浄水にした後、流出口に流すことができる。
【0035】
一方、上記第1,第2本体側接続口から浄水器用カートリッジの第1,第2カートリッジ側接続口を離間させたときに、第1の手段が、流入口と第1本体側接続口との間を閉鎖すると共に、流入口と排水口との間を開放するので、流入口に供給された原水を、流出口側ではなく、排水口側に流すことができる。すなわち、上記原水が流出口に流れないようにすることができる。
【0036】
したがって、上記流出口から流出する水を浄水に制限できるので、ユーザが間違って原水を利用するのを防ぐことができる。
【0037】
また、上記流入口と第1本体側接続口との間が閉鎖されている状態で、流入口に原水を供給しても、その原水を排水口から排水できるので、流入口と第1本体側接続口との間の水路や、流入口と排水口との間の水路が原水の水圧で損傷するのを防ぐこともできる。
【0038】
また、上記第1,第2本体側接続口から浄水器用カートリッジの第1,第2カートリッジ側接続口を離間させた状態で、流入口に原水を供給しても、この原水は流出口に流れないので、浄水器用カートリッジの交換時、流出口から流出した水がユーザを濡らす事態が起きないようにすることができる。
【0039】
また、上記状態で、仮に、流入口に汚水が供給されたとしても、その汚水が流出口を通過しないので、汚水による流出口の汚染を防ぎ、流出口の清潔さを保つことができる。
【0040】
また、上記汚水による流出口の汚染を防ぐことができることによって、流出口を清潔にするためだけのいわゆる捨て水を無くすことができるので、捨て水を流す時間も無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は本発明の一実施形態の浄水器の要部の模式断面図である。
【図2】図2は上記浄水器の要部の他の状態の模式断面図である。
【図3】図3は上記実施形態の第1本体側接続口を上方から見た模式図である。
【図4】図4は上記実施形態の第2本体側接続口を上方から見た模式図である。
【図5】図5は上記浄水器が設置されたシステムキッチンの模式斜視図である。
【図6】図6は本発明の他の実施形態の浄水器の要部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の浄水器を図示の実施形態により詳細に説明する。
【0043】
図1に、浄水器用カートリッジ101が浄水器本体102に装着されていない状態の浄水器1の要部の断面を模式的に示す。
【0044】
上記浄水器1は、浄水器用カートリッジ101と、この浄水器用カートリッジ101が着脱される浄水器本体102とを備えている。
【0045】
上記浄水器用カートリッジ101には円筒状の第1カートリッジ側接続口103と円筒状の第2カートリッジ側接続口104とが設けられている。また、上記浄水器用カートリッジ101は濾過部材105を内部に搭載している。この濾過部材105は、原水の一例としての水道水を濾過して浄水にする部材(例えば精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等)であり、例えば0.5mm〜30mm程度の太さで中が空胴の糸状に成型したものであってもよいし、膜状に成型されたものであってもよい。
【0046】
上記第1カートリッジ側接続口103の外周面には、第1シール部材の一例としての樹脂製の第1カートリッジ側Oリング106が取り付けられている。この第1カートリッジ側Oリング106は、後述する第1本体側接続口111と、第1カートリッジ側接続口103との間をシールする。
【0047】
上記第2カートリッジ側接続口104の外周面には、第2シール部材の一例としての樹脂製の第2カートリッジ側Oリング107が取り付けられている。この第2カートリッジ側Oリング107は、後述する第2本体側接続口112と、第2カートリッジ側接続口104との間をシールする。
【0048】
上記浄水器本体102は、ハウジング108と、このハウジング108内に設けられた第1弁体109と、ハウジング108内に設けられた第2弁体110とを有している。このハウジング108には、第1本体側接続口111、第2本体側接続口112、流入口113、流出口114および排水口115が設けられている。この第1本体側接続口111、第2本体側接続口112、流入口113、流出口114および排水口115は全て円柱状であり、第1本体側接続口111が排水口115と同一直線上に位置している。また、上記流入口113には水道管2の一端が接続されていると共に、流出口114には供給管3の一端が接続されている。また、上記排水口115は排水管4の一端が接続されており、この排水管4には逆止弁5が設けられている。この逆止弁5は、浄水器本体102外から排水管4を介して排水口115に水が流入するのを阻止する。なお、上記第1弁体109は第1の手段の一例である
【0049】
上記第1弁体109は、第1カートリッジ側接続口103と第1本体側接続口111との接続または離間に連動して、流入口113と第1本体側接続口111流入口113と第1本体側接続口111との間を開放または閉鎖すると共に、流入口113と排水口115との間を閉鎖または開放する切換弁の弁体である。この第1弁体109は、棒状の第1押し棒116と、第1本体側接続口111を開閉する円板状の第1本体側接続口開閉部117と、排水口115を開閉する円板状の排水口開閉部118とを有している。
【0050】
上記第1押し棒116は、排水口115内に設けられた棒状の支持部119に軸方向に摺動可能に支持されている。上記支持部119と排水口開閉部118との間には第1コイルバネ120が配置されている。この第1コイルバネ120は第1弁体109を第1本体側接続口111側に付勢している。
【0051】
上記第1本体側接続口開閉部117は、排水口開閉部118よりも第1本体側接続口111に近くに位置するように第1押し棒116に固定されている。そして、上記第1本体側接続口開閉部117の周縁部には樹脂製の第1本体側Oリング121が取り付けられている。この第1本体側Oリング121が第1本体側接続口開閉部117と第1本体側接続口111との間をシールする。
【0052】
上記排水口開閉部118は、第1本体側接続口開閉部117よりも排水口115に近くに位置するように第1押し棒116に固定されている。そして、上記排水口開閉部118の周縁部には樹脂製の第3本体側Oリング122が取り付けられている。この第3本体側Oリング122が排水口開閉部118と排水口115との間をシールする。
【0053】
上記第2弁体110が、第2カートリッジ側接続口104と第2本体側接続口112との接続または離間に連動して、第2本体側接続口112と流出口114との間を開放または閉鎖する開閉弁の弁体である。この第2弁体110は、棒状の第2押し棒123と、第2本体側接続口112を開閉する円板状の第2本体側接続口開閉部124とを有する。
【0054】
上記第2押し棒123は、図示しない支持部に軸方向に摺動可能に支持されている。上記第2本体側接続口開閉部124とハウジング108との間には第2コイルバネ125が配置されている。この第2コイルバネ125が第2弁体110を第2本体側接続口112側に付勢している。
【0055】
上記第2本体側接続口開閉部124は第2押し棒123に固定されている。そして、上記第2本体側接続口開閉部124の周縁部には樹脂製の第2本体側Oリング126が取り付けられている。この第2本体側Oリング126が第2本体側接続口開閉部124と第2本体側接続口112との間をシールする。
【0056】
図2に、浄水器用カートリッジ101が浄水器本体102に装着された状態の浄水器1の要部の断面を模式的に示す。
【0057】
上記第1本体側接続口111に第1カートリッジ側接続口103を接続すると、第1弁体109が第1コイルバネ120の付勢力に抗して排水口115側に移動する。これにより、上記第1本体側Oリング121と第1本体側接続口111との間に隙間が生じて、流入口113に流入した水道水は第1本体側接続口111から流出できるようになる。このとき、上記第3本体側Oリング122が排水口開閉部118と排水口115との間をシールするので、流入口113に流入した水道水は排水口115から流出できないようになる。
【0058】
また、上記第2本体側接続口112に第2カートリッジ側接続口104を接続すると、第2弁体110が第2コイルバネ125の付勢力に抗して第2本体側接続口112から遠ざかる方向に移動する。これにより、上記第2本体側Oリング126と第2本体側接続口112との間に隙間が生じて、濾過部材105で生成された浄水が第2本体側接続口112を通過できるようになる。
【0059】
一方、図1に示すように、上記第1本体側接続口111から第1カートリッジ側接続口103を離間させると、第1弁体109が第1コイルバネ120の付勢力で第1本体側接続口111側に移動する。これにより、上記第1本体側Oリング121が第1本体側接続口開閉部117と第1本体側接続口111との間をシールするので、流入口113に流入した水道水は第1本体側接続口111から流出できなくなる。このとき、上記第3本体側Oリング122と排水口115との間には隙間が生じるので、流入口113に流入した水道水は排水口115から流出できるようになる。
【0060】
また、上記第2本体側接続口112から第2カートリッジ側接続口104を離間させると、第2弁体110が第2コイルバネ125の付勢力で第2本体側接続口112側に移動する。これにより、上記第2本体側Oリング126が第2本体側接続口開閉部124と第2本体側接続口112との間をシールする。すなわち、上記第2弁体110が第2本体側接続口112と流出口114との間を閉鎖する。
【0061】
図3に、上記第1本体側接続口111を上方から見た模式図を示す。
【0062】
上記第1本体側接続口111内には第1当接部127が設けられている。上記第1本体側接続口111への第1カートリッジ側接続口103の接続時、第1押し棒116の第1本体側接続口111側の端部が第1当接部127に当接するようになっている。また、上記第1当接部127は、4つの第1当接部用連結部128,129,130,131を介して第1カートリッジ側接続口103の内面に連結されている。また、上記第1当接部127に対する第1押し棒116の第1本体側接続口111側の端部の当接は、第1カートリッジ側Oリング106が第1本体側接続口111と第1カートリッジ側接続口103との間をシールした状態で行われるようになっている。すなわち、上記第1弁体109は、第1カートリッジ側Oリング106が第1本体側接続口111と第1カートリッジ側接続口103との間をシールした状態で、流入口113と第1本体側接続口111との間を開放または閉鎖したり、流入口113と排水口115との間を閉鎖または開放したりするようになっている。
【0063】
図4に、上記第2本体側接続口112を上方から見た模式図を示す。
【0064】
上記第2本体側接続口112内には第2当接部132が設けられている。上記第2本体側接続口112への第2カートリッジ側接続口104の接続時、第2押し棒123の第2本体側接続口112側の端部が第2当接部132に当接するようになっている。また、上記第2当接部132は、4つの第2当接部用連結部133,134,135,136を介して第2カートリッジ側接続口104の内面に連結されている。また、上記第2当接部132に対する第2押し棒123の第2本体側接続口112側の端部の当接は、第2カートリッジ側Oリング107が第2本体側接続口112と第2カートリッジ側接続口104との間をシールした状態で行われるようになっている。すなわち、上記第2弁体110は、第2カートリッジ側Oリング107が第2本体側接続口112と第2カートリッジ側接続口104との間をシールした状態で、第2本体側接続口112と流出口114との間を開放または閉鎖するようになっている。
【0065】
図5に、上記浄水器1が設置されたシステムキッチンを斜め上方から見た模式図を示す。
【0066】
上記シンク6下には浄水器1を設置しており、浄水器本体102の流出口114から流出した浄水は供給管3を流れて蛇口7から流出するようになっている。また、上記浄水器本体102の排水口115から流出した水道水は排水管4を流れてシンク6の側部の開口8から流出するようになっている。
【0067】
また、上記システムキッチンのシンク6近傍には表示部11が設けられている。この表示部11は、供給管3内の浄水の水圧や、排水管4内の水道水の水圧により、表示が変わるようになっている。具体的には、上記蛇口7から浄水が出ているときには、「カートリッジ有り」の文字が表示部11に表示される一方、開口8から水道水が出ているときには、「カートリッジ無し」の文字が表示部11に表示される。
【0068】
また、上記蛇口7にはハンドルレバー9が設けられている。このハンドルレバー9を手動操作することにより、水道水開閉弁10が開閉するようになっている。
【0069】
上記構成の浄水器1で浄水を利用する場合、図2に示すように、第1本体側接続口111に第1カートリッジ側接続口103を接続し、かつ、第2本体側接続口112に第2カートリッジ側接続口104を接続する。そうすると、上記第1弁体109が、流入口113と第1本体側接続口111との間を開放すると共に、流入口113と排水口115との間を閉鎖し、かつ、かつ、第2弁体110が第2本体側接続口112と流出口114との間を開放する。このような状態において、ハンドルレバー9を操作して、水道水開閉弁10を開放すると、水道管2から流入口113に水道水が流入する。この水道水は、点線矢印A11で示すように、第1本体側接続口111および第1カートリッジ側接続口103を通過して、浄水器用カートリッジ101内に入る。そして、上記浄水器用カートリッジ101内に入った水道水は、濾過部材105で濾過されて浄水となった後、点線矢印A12で示すように、第2カートリッジ側接続口104、第2本体側接続口112および流出口114を通過する。その結果、上記浄水が蛇口7から流出するので、ユーザは浄水を料理などに使うことができる。
【0070】
一方、上記浄水器用カートリッジ101を交換する場合、図1に示すように、第1本体側接続口111から第1カートリッジ側接続口103を離間させると共に、第2本体側接続口112から第2カートリッジ側接続口104を離間させる。そうすると、第1弁体109が、流入口113と第1本体側接続口111との間を閉鎖すると共に、流入口113と排水口115との間を開放し、かつ、第2弁体110が第2本体側接続口112と流出口114との間を閉鎖する。このような状態において、ハンドルレバー9を操作して、水道水開閉弁10を開放しても、水道管2から流入口113に流入した水道水は、点線矢印A1で示すように、第1本体側接続口111ではなく、排水口115に流れるので、流出口114に流れない。したがって、上記浄水器本体102から浄水器用カートリッジ101を取り外した状態では、蛇口7から水道水が流出しない。
【0071】
このように、上記蛇口7から水が流出している場合は、その水は必ず浄水であるので、ユーザが水道水を間違って利用するのを防ぐことができる。
【0072】
また、上記浄水器用カートリッジ101の交換時、新しい浄水器用カートリッジ101を浄水器本体102に装着し忘れても、ハンドルレバー9を操作して、水道水開閉弁10を開放すると、シンク6の側部の開口8から水道水が流出するので、ユーザは浄水器用カートリッジ101の未装着に気付くことができる。
【0073】
また、上記シンク6の側部の開口8から水道水が流出する時、表示部11が「カートリッジ無し」の文字を表示するので、ユーザは浄水器用カートリッジ101の未装着に気付き易い。
【0074】
また、上記浄水器用カートリッジ101の交換時、水道管2から流入口113に水道水が流入しても、その水道水は排水口115から流出するので、浄水器本体102のハウジング108に過大な水圧がかからない。したがって、上記水道水の水圧で浄水器本体102が損傷するのを防ぐことができる。
【0075】
また、第1本体側接続口111から第1カートリッジ側接続口103を離間させると共に、第2本体側接続口112から第2カートリッジ側接続口104を離間させた状態で、流入口113に原水を供給しても、この原水は流出口114に流れないので、浄水器用カートリッジの交換時、ユーザが流出口114からの水で濡れるのを防ぐことができる。
【0076】
また、上記状態で、仮に、流入口113に汚水を供給しても、その汚水が流出口114を通過しないので、汚水による流出口114の汚染を防ぎ、流出口114の清潔さを保つことができる。
【0077】
また、上記汚水による流出口114の汚染を防ぐことができるので、流出口114を清潔にするためだけに、流出口114に浄水を流さなくて済む。すなわち、いわゆる捨て水を無くすことができる。したがって、上記捨て水を流す時間も無くすことができる。
【0078】
また、上記排水口115から流出した水道水は排水管4を流れるが、この排水管4に逆止弁5を設けているので、排水管4内の水道水が浄水器本体102に逆流するのを防ぐことができる。
【0079】
また、上記排水管4に逆止弁5を設けているので、シンク6内の汚水が開口8から浄水器本体102に流れるのも防ぐことができる。
【0080】
また、上記浄水器用カートリッジ101の交換時、第1本体側接続口111を第1本体側接続口開閉部117で閉鎖するので、水道水が第1本体側接続口111から流出するのを確実に防ぐことができる。
【0081】
また、上記濾過部材105による浄水の生成時、排水口115を排水口開閉部118で閉鎖するので、第1本体側接続口111へ向かう水道水の量が低下するのを防ぐことができる。したがって、上記浄水を効率良く生成することができる。
【0082】
また、上記第1弁体109は、第1カートリッジ側Oリング106が第1本体側接続口111と第1カートリッジ側接続口103との間をシールした状態で、流入口113と第1本体側接続口111との間を開放または閉鎖するようになっているので、この開閉中に、第1本体側接続口111から水漏れするのを防ぐことができる。
【0083】
また、上記第1弁体109は、第1カートリッジ側Oリング106が第1本体側接続口111と第1カートリッジ側接続口103との間をシールした状態で、流入口113と排水口115との間を開放または閉鎖するようになっているので、この開閉中に、第1本体側接続口111から水漏れするのを防ぐことができる。
【0084】
また、上記第1本体側接続口111から第1カートリッジ側接続口103を離間させると共に、第2本体側接続口112から第2カートリッジ側接続口104を離間させたときに、第2弁体110が第2本体側接続口112と流出口114との間を閉鎖するので、流出口114から水が流出するのを確実に防ぐことができる。
【0085】
また、上記第2弁体110は、第2カートリッジ側Oリング107が第2本体側接続口112と第2カートリッジ側接続口104との間をシールした状態で、第2本体側接続口112と流出口114との間を開放または閉鎖するようになっているので、この開閉中に、第2本体側接続口112から水漏れするのを防ぐことができる。
【0086】
上記実施形態において第2弁体110を設けないようにしたものを本発明の一実施形態としてもよいが、この一実施形態よりも、流出口114から水が流出するのを防ぐためには第2弁体110を設けるのが好ましい。
【0087】
また、上記実施形態のハウジング108に換えて、図6に示すように、第1の手段の一例としての三方弁201と、第2の手段の一例としての二方弁301とを用いてもよい。なお、図6において、図1に示した構成部と同一構成部は、図1における構成部と同一参照番号を付している。
【0088】
上記三方弁201は、流入口の一例としての三方弁側第1ポート202と、第1本体側接続口の一例としての三方弁側第2ポート203と、排水口の一例としての三方弁側第3ポート204とを有している。この三方弁側第2ポート203には第1カートリッジ側接続口103を着脱可能である。また、上記三方弁201は、第1カートリッジ側接続口103と三方弁側第2ポート203との接続または離間に連動して、三方弁側第1ポート202と三方弁側第2ポート203との間を開放または閉鎖すると共に、三方弁側第1ポート202と三方弁側第3ポート204との間を閉鎖または開放するようになっている。
【0089】
上記二方弁301は、第2本体側接続口の一例としての二方弁側第1ポート302と、流出口の一例としての二方弁側第2ポート303とを有している。この二方弁側第1ポート302には第2カートリッジ側接続口104を着脱可能である。また、上記二方弁301は、第2カートリッジ側接続口104と二方弁側第1ポート302との接続または離間に連動して、二方弁側第1ポート302と二方弁側第2ポート303との間を開放または閉鎖するようになっている。
【0090】
したがって、上記三方弁201および二方弁301を用いても、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0091】
上記実施形態のハウジング108に換えて、第1弁体109と第2弁体110とを内部に収容した配管を用いても構わない。
【0092】
上記実施形態の第1弁体109に換えて、例えばバタフライ弁の弁体を設けて、この弁体が第1カートリッジ側接続口103と第1本体側接続口111との接続,離間に連動するようにしてもよい。
【0093】
上記実施形態の第2弁体110に換えて、例えばバタフライ弁の弁体を設けて、この弁体が第2カートリッジ側接続口104と第2本体側接続口112との接続,離間に連動するようにしてもよい。
【0094】
上記実施形態では、ハンドルレバー9を操作することにより、水道水開閉弁10が開閉するようになっていたが、ハンドルレバー9を操作しても、水道水開閉弁10が開閉しないようにしてもよい。この場合、例えば、上記水道管2に設けた操作部で水道水開閉弁10を開閉するようにすると共に、ハンドルレバー9の操作で蛇口7内の浄水の流れを制御するようにしてもよい。
【0095】
上記実施形態では、浄水器本体102の排水口115から流出した水道水は排水管4を流れてシンク6の側部の開口8から流出するようになっていたが、蛇口7とは別に設けた蛇口からシンク6内に向かって流出するようにしてもよい。
【0096】
本発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0097】
1…浄水器
2…水道管
3…供給管
4…排水管
5…逆止弁
6…シンク
7…蛇口
8…開口
101…浄水器用カートリッジ
102…浄水器本体
103…第1カートリッジ側接続口
104…第2カートリッジ側接続口
105…濾過部材
106…第1カートリッジ側Oリング
107…第2カートリッジ側Oリング
108…ハウジング
109…第1弁体
110…第2弁体
111…第1本体側接続口
112…第2本体側接続口
113…流入口
114…流出口
115…排水口
117…第1本体側接続口開閉部
118…排水口開閉部
120…第1コイルバネ
121…第1本体側Oリング
122…第3本体側Oリング
124…第2本体側接続口開閉部
125…第2コイルバネ
126…第2本体側Oリング
201…三方弁
202…三方弁側第1ポート
203…三方弁側第2ポート
204…三方弁側第3ポート
301…二方弁
302…二方弁側第1ポート
303…二方弁側第2ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カートリッジ側接続口と第2カートリッジ側接続口とを有すると共に、内部に原水を濾過する濾過部材を有する浄水器用カートリッジと、
上記第1カートリッジ側接続口が着脱される第1本体側接続口と、
上記第2カートリッジ側接続口が着脱される第2本体側接続口と、
原水が流入する流入口と、
原水の浄化時に浄水が流出する流出口と、
上記浄水器用カートリッジの交換時に原水を排出可能な排水口と、
上記第1カートリッジ側接続口と上記第1本体側接続口との接続または離間に連動して、上記流入口と上記第1本体側接続口との間を開放または閉鎖すると共に、上記流入口と上記排水口との間を閉鎖または開放する第1の手段と
を備えたことを特徴とする浄水器。
【請求項2】
請求項1に記載の浄水器において、
上記第1の手段は、
上記第1本体側接続口を開閉する第1本体側接続口開閉部と、
上記排水口を開閉する排水口開閉部と
を有することを特徴とする浄水器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の浄水器において、
上記第1本体側接続口と上記第1カートリッジ側接続口との間をシールする第1シール部材を備え、
上記第1の手段は、上記第1シール部材が上記第1本体側接続口と上記第1カートリッジ側接続口との間をシールした状態で、上記流入口と上記第1本体側接続口との間を開放または閉鎖したり、上記流入口と上記排水口との間を閉鎖または開放したりするようになっていることを特徴とする浄水器。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の浄水器において、
上記第2カートリッジ側接続口と上記第2本体側接続口との接続または離間に連動して、上記第2本体側接続口と上記流出口との間を開放または閉鎖する第2の手段を備えたことを特徴とする浄水器。
【請求項5】
請求項4に記載の浄水器において、
上記第2本体側接続口と上記第2カートリッジ側接続口との間をシールする第2シール部材を備え、
上記第2の手段は、上記第2シール部材が上記第2本体側接続口と上記第2カートリッジ側接続口との間をシールした状態で、上記第2本体側接続口と上記流出口との間を開放または閉鎖するようになっていることを特徴とする浄水器。
【請求項6】
請求項4または5に記載の浄水器において、
上記第2の手段が開閉弁であることを特徴とする浄水器。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の浄水器において、
上記第1の手段が切換弁であることを特徴とする浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−217979(P2012−217979A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90001(P2011−90001)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】