説明

浄水装置

【課題】浄化に十分な紫外線を水に照射する浄水装置を提供する。
【解決手段】紫外線に対して透明な照射窓41を有し、内部を水が流れる通水路40と、照射窓41を介して、紫外発光ダイオードにより水に紫外線を照射する発光部5と、発光部5から出射され、照射窓41を介して入射する紫外線を受光する受光部6と、受光部6が受光した紫外線の強度に応じて、発光部5が水に照射する紫外線の強度を制御する制御部3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を照射することにより水を浄化する浄水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水に紫外線を照射することにより、水中の細菌を不活化して水を浄化する浄水システムが知られている。このような浄水システムの一種として、紫外線源に紫外発光ダイオード(UVLED)を利用した浄水モジュールが提案されている(特許文献1参照)。UVLEDは、高速で点灯、消灯をすることができるので、水の流れがあるときのみにUVLEDを点灯し、水を浄化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−501059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1に記載の発明は、浄水モジュールの寸法が、UVLEDから最大距離だけ離れて流れる水が少なくとも25mJ/cmのエネルギーを受容するものでなければならない。しかしながら、水中の汚れが発光部の表面に付着して光量が不足する場合、水の浄化が不十分となる虞がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑み、浄化に十分な紫外線を水に照射する浄水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、紫外線に対して透明な照射窓を有し、内部を水が流れる通水路と、前記照射窓を介して、紫外発光ダイオードにより水に紫外線を照射する発光部と、前記発光部から出射され、前記照射窓を介して入射する紫外線を受光する受光部と、前記受光部が受光した紫外線の強度に応じて、前記発光部が水に照射する紫外線の強度を制御する制御部とを備える浄水装置であることを要旨とする。
【0007】
また、本発明の態様に係る浄水装置においては、前記発光部は、パルス駆動されることができる。
【0008】
また、本発明の態様に係る浄水装置においては、前記発光部を複数備え、前記複数の発光部が互いに異なるタイミングでパルス駆動されることができる。
【0009】
また、本発明の態様に係る浄水装置においては、前記制御部は、前記受光部が受光した紫外線の強度が大きいと前記発光部が照射する強度を大きくすることができる。
【0010】
また、本発明の態様に係る浄水装置においては、前記発光部と前記受光部とは、同一の半導体基板上に設けられることができる。
【0011】
また、本発明の態様に係る浄水装置においては、前記受光部は、前記発光部の上面に設けられることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、浄化に十分な紫外線を水に照射する浄水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る浄水装置の基本的な構成を説明する模式的なブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る浄水装置の浄化部を説明する模式的な図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る浄水装置の制御部及び浄化部を説明するブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る浄水装置の浄化部を説明する模式的な図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る浄水装置の動作を説明する図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る浄化装置の浄化部を説明する模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。但し、図面は模式的なものであり、断面図と平面寸法の関係、各層の厚みの比率等は、現実のものとは異なる。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には同一または類似の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0015】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る浄水装置は、図1に示すように、水を貯蔵する貯水部12と、水に紫外線を照射することにより水を浄化する浄化部4と、浄化部4の動作を制御する制御部3と、ポンプ13と、通水路20と、吐水部21とを備える。
貯水部12は、補給部11を介して未だ浄化されない原水を供給され、貯蔵する。補給部11は、例えば水道、ボトル等が接続されることにより、外部からの原水を貯水部12に供給する。ポンプ13は、内蔵するモータにより貯水部12から原水を吸入し、通水路20に流入させる。貯水部12の原水は、ポンプ13により通水路20に流入され、通水路20を介して浄化部4に流入する。
【0016】
吐水部21は、ユーザの操作に応じて、浄化部4において既に浄化された原水である浄水を吐水する。吐水部21は、ユーザにより「開」又は「閉」の操作をされ、「開」の操作がされた場合は吐水し、「閉」の操作がされた場合は吐水を停止する。
【0017】
制御部3は、例えばマイクロプロセッサからなり、浄化部4、ポンプ13等の動作を制御する。制御部3は、吐水部21がユーザに操作されたことを検知し、ポンプ13を駆動する駆動信号をポンプ13に出力する。
【0018】
浄化部4は、図2に示すように、壁面の一部に、紫外線に対して透明な照射窓41を有する通水路40と、紫外線Lを出射する発光部5と、発光部5から出射し、照射窓41を介して入射する紫外線Lを受光する受光部6とを備える。発光部5は、紫外線発光ダイオード(UVLED)からなり、照射窓41を介して、UVLEDにより原水に紫外線を照射する。発光部5のUVLEDの個数は、単数であってもよく、複数であってもよい。
【0019】
浄化部4の通水路40は、ポンプ13を介して貯水部12と接続する通水路20の一部であり、通水路20から流入する原水Wが内部を流れる。原水Wは、発光部5から出射した紫外線Lに照射窓41を介して照射され、水中の細菌が不活化される。原水Wは、通水路40において殺菌されて浄水Wとなり、浄水Wは、吐水部21から吐水される。
【0020】
発光部5から出射された紫外線Lは、原水W中の異物や、照射窓41に付着した原水W中の汚れ等により拡散、反射等して、照射窓41を介して、紫外線Lとして受光部6に入射する。受光部6は、紫外線Lを受光し、受光した紫外線Lの強度を示す信号を制御部3に出力する。受光部6は、例えば、半導体UVセンサ等からなる。
【0021】
通水路40と発光部5及び受光部6とは、照射窓41により隔離されている。発光部5及び受光部6は、例えば半導体基板等からなる同一の基板42上に近接して設けられることができる。例えば、微小電気機械システム(MEMS)技術により、発光部5及び受光部6が同一の半導体基板上に近接して設けられることにより、浄化部4の小型、計量化を図ることができる。また、発光部5及び受光部6が近接することにより照射窓41近傍における拡散、反射等が精度よく測定可能である。
【0022】
制御部3は、例えば、図3に示すように、制御装置30と、パルス信号を発生するパルス発振回路31とを備える。制御装置30は、受光部6が出力した信号に応じた制御信号Sを、パルス発振回路31に出力する。パルス発振回路31は、制御信号Sに応じたパルス信号Pを発光部5に出力することにより、発光部5のUVLEDが出射する紫外線Lの強度を制御する。
【0023】
制御装置30は、吐水部21が「開」の操作をされたことを検知して、パルス発振回路31の駆動を制御する。パルス発振回路31は、制御装置30により発信周波数やデューティ比を設定され、発光部5を設定に応じてパルス駆動させる。パルス発振回路31は、例えば、タイマICを使用して、発信周波数約50Hz程度、デューティ比約50%程度で発光部5を駆動させる。
【0024】
制御部3は、吐水部21が「開」の操作をされると、ポンプ13の駆動を開始するとともに受光部6の駆動を開始する。制御部は、受光部6が受光する紫外線Lの強度に応じて発光部5が出射する紫外線Lの強度を調整することにより、通水路40を流れる原水Wに照射される紫外線の強度が約25mJ/cm程度以上となるように浄化部4を制御している。
【0025】
制御装置30は、例えば、受光部6が受光する紫外線Lの強度が大きい場合、発光部5が出射する紫外線Lの強度が大きくなるように、パルス発振回路31の駆動を制御する。この場合、照射窓41に付着した異物等において、発光部5が出射した紫外線Lが拡散、反射等することにより、紫外線Lの強度が大きく検出されていると考えられる。よって、制御部3は、通水路40を流れる原水Wに照射される紫外線の強度が一定以上となるように、紫外線Lの強度が大きくなるように制御する。
【0026】
同様に、制御装置30は、受光部6が受光する紫外線Lの強度が小さい場合、発光部5が出射する紫外線Lの強度が小さくなるように、パルス発振回路31の駆動を制御することができる。この場合、照射窓41に付着した異物や汚れ等が少なく、受光部6に入射する紫外線Lが少なくなっていると考えられる。よって、原水Wに照射される紫外線の強度が確保されやすいので、制御部3は、紫外線Lの強度が小さくなるように制御する。
【0027】
紫外線Lの強度は、例えば、発光部5のUVLEDに印加する電圧を変化させることや、パルス発振回路31内の可変抵抗の抵抗値を変化させることで、UVLEDに流れる電流を設定することにより調整できる。
【0028】
例えば、受光部6が紫外線Lに応じて出力する信号Bを0〜5Vとし、B=0Vの場合を最小の受光量、B=5Vの場合を最大の受光量とする。B=0〜1Vの場合、発光部5のUVLEDに定格電流を流した際に、通水路40を流れる原水Wに照射される紫外線の強度が約25mJ/cm程度以上となるように設計する。B=1〜2Vの場合、UVLEDに流れる電流が定格電流の1.2倍となるように制御する。同様に、B=2〜3Vの場合、定格電流の1.3倍、B=3〜4Vの場合、定格電流の1.4倍、B=4〜5Vの場合、定格電流の1.5倍になるように制御するようにすればよい。このように、紫外線Lの強度に応じて、例えばUVLEDに流れる電流値を変化させることにより、発光部5が出射する紫外線Lの強度を制御し、通水路40を流れる原水Wに照射される紫外線の強度を調整できる。
【0029】
第1実施形態に係る浄水装置によれば、原水WにUVLEDによる紫外線を照射して殺菌する際に、通水路40において拡散、反射等した紫外線の強度に応じて、発光部5の駆動を調整することにより、浄化に十分な紫外線を照射することができる。
【0030】
また、第1実施形態に係る浄水装置によれば、発光部5のUVLEDをパルス駆動する場合、発光部5の発熱を抑制することができる。また、発光部5は、UVLEDを使用しているので、高速のパルス駆動が可能である。
【0031】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る浄水装置は、図4に示すように、2系統の発光部51,52を備え、互いに異なるタイミングで駆動制御可能な点で、第1実施形態と異なる。第2実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と実質的に同様であるので重複する説明を省略する。
【0032】
第2実施形態に係る浄水装置が備える制御部3aは、図4に示すように、複数の発光部51,52にパルス信号P,Pをそれぞれ出力するパルス発振回路31,32と、パルス発振回路31,32にそれぞれ制御信号S,Sを出力する制御装置30とを備える。
【0033】
第2実施形態に係る浄水装置が備える浄化部4aは、複数の発光部51,52と、複数の発光部51,52にそれぞれ対応する受光部61,62とを備える。すなわち、受光部61は、発光部51から出射された紫外線Lのうち、散乱、反射等して照射窓41を介して受光部61に入射する紫外線Lを受光する。同様に、受光部62は、発光部52から出射された紫外線Lのうち、散乱、反射等して照射窓41を介して受光部62に入射する紫外線Lを受光する。
【0034】
受光部61,62は、それぞれ受光した紫外線Lの強度に応じた信号B,Bを制御部3aの制御装置30に出力する。制御部3aの制御装置30は、信号B,Bにそれぞれ応じた制御信号S,Sを、それぞれパルス発振回路31,32に出力する。
【0035】
パルス発振回路31,32は、制御信号S,Sにそれぞれ応じたパルス信号P,Pを、それぞれ発光部51,52に出力する。それぞれ発光部51,52のUVLEDは、パルス信号P,Pに応じて紫外線Lを出射する。
【0036】
パルス信号P,Pは、例えば、図5に示すように、時間的に交互に発生する矩形波である。それぞれ発光部51,52のUVLEDは、それぞれパルス信号P,Pにより駆動され、時間的に交互にそれぞれ紫外線Lを出射する。
【0037】
例えば、吐水部21が操作された時から0〜1秒後はパルス発振回路31がオン、1〜2秒後はパルス発振回路31がオフ、パルス発振回路32がオン、2〜3秒後はパルス発振回路31がオン、パルス発振回路32がオフとする。このように、パルス発振回路31,32は、それぞれ受光部61,62が受光した紫外線Lの強度に応じて、1秒毎に交互に発光部51,52を駆動できる。
【0038】
第2実施形態に係る浄水装置によれば、原水WにUVLEDによる紫外線を照射して殺菌する際に、通水路40において拡散、反射等した紫外線の強度に応じて、発光部51,52の駆動を調整することにより、浄化に十分な紫外線を照射することができる。
【0039】
また、第2実施形態に係る浄水装置によれば、発光部51,52のUVLEDをパルス駆動する場合、発光部51,52の発熱を抑制することができる。また、発光部51,52は、UVLEDを使用しているので、高速のパルス駆動が可能である。
【0040】
また、第2実施形態に係る浄水装置によれば、配置の異なる複数の発光部51,52が交互に駆動されることにより、原水Wに効率よく紫外線を照射することができ、むらなく浄化することができる。
【0041】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る浄水装置は、発光部5及び受光部6が積層されて一体に形成されている点で第1実施形態と異なる。第3実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と実質的に同様であるので重複する説明を省略する。
【0042】
第3実施形態に係る浄水装置が備える浄化部4bは、図6に示すように、壁面の一部に、紫外線に対して透明な照射窓41を有する通水路40と、紫外線Lを出射する発光部5と、発光部5から出射し、照射窓41を介して入射する紫外線Lを受光する受光部6とを備える。発光部5は、半導体からなる基板42の上面に形成されたUVLED素子である。受光部6は、発光部5の上面に形成された半導体UVセンサ素子である。
【0043】
発光部5の側面側には、UVLED素子の活性層から横方向に向けて出射される紫外線Lを、照射窓41に向けて反射する反射板43が形成されている。反射板43は、横方向に向けて出射された紫外線Lを照射窓41に向けて反射することにより、通水路40を流れる原水Wに紫外線を効率よく照射することができる。
【0044】
第3実施形態に係る浄水装置によれば、原水WにUVLEDによる紫外線を照射して殺菌する際に、通水路40において拡散、反射等した紫外線の強度に応じて、発光部5の駆動を調整することにより、浄化に十分な紫外線を照射することができる。
【0045】
また、第3実施形態に係る浄水装置によれば、発光部51のUVLEDをパルス駆動する場合、発光部51の発熱を抑制することができる。また、発光部5は、UVLEDを使用しているので、高速のパルス駆動が可能である。
【0046】
また、第3実施形態に係る浄水装置によれば、発光部5及び受光部6が、縦方向に積層され、一体に形成されるので、小型、計量化を図ることができる。また、受光部6は、真下に反射する紫外線を受光でき、照射窓41近傍における拡散、反射等が精度よく測定可能であるので、適切に発光部5の駆動制御ができる。
【0047】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0048】
例えば、第1〜第3実施形態において、発光部及び受光部は、通水路40を挟んで対向配置するようにしてもよい。この場合、紫外線に対して透明な窓を通水路40中に対向して設けて、通水路40を透過してくる紫外線の光量に応じて、UVLEDによる紫外線照射量を制御するようにすればよい。
【0049】
また、第2実施形態において、2系統のパルス駆動を行うパルス発振回路、発光部、受光部について説明したが、3系統以上であってもよい。
【0050】
上記の他、第1〜3の実施の形態を応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0051】
3,3a 制御部
4,4a,4b 浄化部
5 発光部
6 受光部
11 補給部
12 貯水部
13 ポンプ
20,40 通水路
21 吐水部
30 制御装置
31,32 パルス発振回路
41 照射窓
42 基板
43 反射板
51,52 発光部
61,62 受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線に対して透明な照射窓を有し、内部を水が流れる通水路と、
前記照射窓を介して、紫外発光ダイオードにより水に紫外線を照射する発光部と、
前記発光部から出射され、前記照射窓を介して入射する紫外線を受光する受光部と、
前記受光部が受光した紫外線の強度に応じて、前記発光部が水に照射する紫外線の強度を制御する制御部と
を備えることを特徴とする浄水装置。
【請求項2】
前記発光部は、パルス駆動されることを特徴とする請求項1に記載の浄水装置。
【請求項3】
前記発光部を複数備え、前記複数の発光部が互いに異なるタイミングでパルス駆動されることを特徴とする請求項1に記載の浄水装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記受光部が受光した紫外線の強度が大きいと前記発光部が照射する強度を大きくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の浄水装置。
【請求項5】
前記発光部と前記受光部とは、同一の半導体基板上に設けられることを特徴とする請求項1に記載の浄水装置。
【請求項6】
前記受光部は、前記発光部の上面に設けられることを特徴とする請求項5に記載の浄水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−63410(P2013−63410A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204740(P2011−204740)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】