説明

浚渫支援システム

【課題】密閉式グラブバケットを用いて、浚渫対象区域の水底を精度よく容易に一定の厚さで浚渫できるようにする浚渫支援システム提供する。
【解決手段】バックホウ1のアーム4の先端部に軸支される密閉式のグラブバケット5を水平掘り可能な構成にし、複数のセンサ19、20、21やRTK−GPS受信機24等の検知データに基づいて算出した垂直軸に対するグラブバケット5の傾斜データと、グラブバケット5の平面方向位置およびその平面方向位置での最大開口領域を示す平面方向データと、一対のシェル7、7の刃先位置に相当する高さ方向位置を示す高さ方向データとをリアルタイムで操縦室2aのモニターに表示するとともに、既に浚渫した平面方向領域と、浚渫対象区域における予め設定した浚渫深さ位置を示す目標深さデータを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浚渫支援システムに関し、さらに詳しくは、密閉式グラブバケットを用いて、浚渫対象区域の水底を精度よく容易に一定の厚さで浚渫できるようにする浚渫支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
浚渫対象がダイオキシン類等の有害汚染物質を含む土壌の場合は、浚渫する際に水中で有害汚染物質が拡散することを防止するために、密閉式のグラブバケットを使用する必要がある。このような土壌を浚渫した後には、有害汚染物質を含んだ浚渫物(土壌および水分)を適正に処理しなければならない。ここで、例えば、バケットで無害の土壌や水分を余分にすくってしまうと、バケットの中で有害汚染物質と一緒になるため、本来、処理する必要のなかった土壌や水分も処理しなければならなくなり、処理時間および処理費用が増大する。そのため、無駄な土壌や水分をすくうことなく浚渫対象区域の水底を精度よく、一定の厚さで浚渫することが必要となってきた。
【0003】
従来、クレーンに吊設されたグラブバケットの側面方向における刃先位置の移動軌跡を画像表示して、容易に水底を平らに浚渫できるようにした装置および方法が提案されている(特許文献1参照)。この提案の装置および方法によれば、バケットの刃先の移動軌跡がモニターに表示されるので刃先を水平移動させ易くなるが、刃先が水平移動するようにクレーンを操作するには、一定の操縦スキルが必要であった。また、側面方向における刃先位置の移動軌跡の表示では、順次浚渫する領域が、平面方向に隙間をあけないように、或いは、重複しないようにすることは容易ではなかった。
【特許文献1】特開2006−27830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、密閉式グラブバケットを用いて、浚渫対象区域の水底を精度よく容易に一定の厚さで浚渫できるようにする浚渫支援システム提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明の浚渫支援システムは、バックホウのアームの先端部に軸支された密閉式のグラブバケットを用いて浚渫する際に、センサの検知データに基づいて算出したグラブバケットの位置情報を操縦室に設置したモニターに表示するようにした浚渫支援システムであって、前記グラブバケットを、バケット開閉動作の際に一対のシェルの刃先が水平移動する水平掘り可能な構成にし、前記グラブバケットの位置情報を検知する複数のセンサと、該複数のセンサの検知データを送信する送信機と、該送信機が送信した検知データを受信する受信機と、前記検知データに基づいてグラブバケットの位置情報を算出する制御装置と、該制御装置が算出したグラブバケットの位置情報を表示するモニターとを備え、前記グラブバケットの位置情報として、垂直軸に対するグラブバケットの傾斜角度を示す傾斜データと、グラブバケットの平面方向位置およびその平面方向位置での最大開口領域を示す平面方向データと、前記一対のシェルの刃先位置に相当する高さ方向位置を示す高さ方向データとを前記モニターにリアルタイムで表示し、前記平面方向データとともに、既に浚渫した平面方向領域を表示し、前記高さ方向データとともに、浚渫対象区域における予め設定した浚渫深さ位置を示す目標深さデータを表示するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
ここで、前記垂直軸に対するグラブバケットの傾斜角度を示す傾斜データが、予め設定した許容範囲内であるか否かを、前記モニターに表示するようにすることもできる。また、前記既に浚渫した平面方向領域の表示として、一回のバケット開閉動作により浚渫した領域ごとに、予め設定した浚渫深さの許容範囲内であるか否かを、前記モニターに表示することもできる。また、前記複数のセンサが、前記グラブバケットに設置したバケット傾斜センサと、前記シェルに設置したバケット開閉センサと、前記ブームを可動させるブームシリンダの伸縮量を検知するブーム変位センサと、前記アームを可動させるアームシリンダの伸縮量を検知するアーム変位センサと、前記グラブバケットの垂直軸に対する傾斜を変えるバケット傾斜用シリンダの伸縮量を検知するバケット変位センサと、前記バックホウに設置した機体傾斜センサ、旋回角度センサ、RTK−GPS受信機およびGPS方位計またはジャイロコンパスとすることもできる。また、前記バケット開閉センサを、前記一対のシェルのそれぞれに設置することもできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の浚渫支援システムによれば、バックホウのアームの先端部に軸支された密閉式のグラブバケットを水平掘り可能な構成にし、グラブバケットの位置情報を検知する複数のセンサと、該複数のセンサの検知データを送信する送信機と、該送信機が送信した検知データを受信する受信機と、前記検知データに基づいてグラブバケットの位置情報を算出する制御装置と、該制御装置が算出したグラブバケットの位置情報を表示するモニターとを備え、操縦室に設置されたモニターに、垂直軸に対するグラブバケットの傾斜角度を示す傾斜データと、グラブバケットの平面方向位置およびその平面方向位置での最大開口領域を示す平面方向データと、一対のシェルの刃先位置に相当する高さ方向位置を示す高さ方向データとを、リアルタイムで表示し、さらに平面方向データとともに、既に浚渫した平面方向領域を表示し、高さ方向データとともに、浚渫対象区域における予め設定した浚渫深さ位置を示す目標深さデータを表示するので、オペレータは、モニターに表示されたグラブバケットの平面方向および高さ方向の位置情報を確認しながら、浚渫対象区域の水底を精度よく容易に一定の厚さで浚渫することができる。
【0008】
また、水平掘り可能なグラブバケットを用いることにより、シェルの刃先を水平移動させるために難しい操作をする必要がなく、グラブバケットを傾斜させずに垂直軸に対するグラブバケットの傾斜角度をゼロ度の状態にして、バケット開閉動作をするだけで所定の一定厚さで浚渫することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の浚渫支援システムについて図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0010】
図1、2に例示するように、本発明の浚渫支援システムは、バックホウ1のアーム4の先端部に軸支された密閉式のグラブバケット5を用いて浚渫を行なう際に適用されるものである。作業船31に積載されたバックホウ1の上部旋回体2には、ブーム3を可動させるブームシリンダ3aの伸縮量を検知するブーム変位センサ19、アーム4を可動させるアームシリンダ4aの伸縮量を検知するアーム変位センサ20、グラブバケット5の垂直軸に対する傾斜角度を変えるバケット傾斜用シリンダ6の伸縮量を検知するバケット変位センサ21とが設置されている。これらセンサ19、20、21と検知対象となるそれぞれのシリンダ3a、4a、6とは、コントロールワイヤにより接続されている。
【0011】
また、上部旋回体2には、機体傾斜センサ22、上部旋回体2の旋回角度を検知する旋回角度センサ23、バックホウ1の位置を検知するRTK−GPS受信機24、バックホウ1の向き(車台の向き)を検知する2基のGPS方位計25、25が設置されている。2基のGPS方位計25、25に替えてジャイロコンパスを設置することもできる。
【0012】
グラブバケット5には、垂直軸に対するグラブバケット5の傾斜角度を検知するバケット傾斜センサ17が設置され、一対のシェル7、7のそれぞれには、シェル7、7(グラブバケット5)の開閉角度を検知するバケット開閉センサ18、18が設置されている。さらに、上部旋回体2には、上記の各センサ類の検知データが入力される制御装置26が送信機27に接続されて設置されている。
【0013】
操縦室2aには、受信機28およびモニター30に接続された制御装置29が設置されている。受信機28は、送信機27から無線送信された各種センサ類の検知データを受信し、これら検知データに基づいて制御装置29により、グラブバケット5の位置情報が算出される。算出されたグラブバケット5の位置情報は、モニター30にリアルタイムで表示される。送信機27と受信機28とは通信ケーブルで接続してもよい。
【0014】
本発明で用いるグラブバケット5は、図3〜6に例示するように、バケット開閉装置8により一対のシェル7、7を開閉すると、シェル7、7の刃先が水平移動して水平掘りができる構造になっている。その構造を以下に説明する。
【0015】
アーム4の先端部に軸支される対向する一対のカバープレート9、9の間には開閉シリンダ13が設けられ、開閉シリンダ13のシリンダロッドには、スライドブロック14が固定されている。カバープレート9の内側面には、2つのガイド10、10が突設され、互いが平行に配置されている。尚、図3、5、6は、一対のカバープレート9、9のうち、表面側のカバープレート9を省略してグラブバケット5の内部構造を側面で示している。
【0016】
カバープレート9は、支軸16fによりアーム4の先端部に軸支され、支軸16fと左右対称位置にある支軸16gによりバケット傾斜用シリンダ6のシリンダロッドと連結している。したがって、バケット傾斜用シリンダ6のシリンダロッドの進退移動により、支軸16fを中心にしてグラブバケット5が回動、傾斜するようになっている。
【0017】
対向するガイド10、10の間には、ガイド10の長手方向にスライドするスライドベース11が設けられている。このスライドベース11の開口部を通じて、スライドブロック14と開閉シリンダ13のシリンダロッドとが固定されている。スライドベース11の表面には、2つのガイド11a、11aが突設され、互いが平行に配置されている。この対向するガイド11a、11aの間をスライドブロック14が、ガイド11aの長手方向にスライドする。
【0018】
一対のシェル7、7の上面から背面にかけてアームプレート12が接合され、アームプレート12の突出部先端と、カバープレート9のガイド10の外側位置とは、両端を支軸16b、16eにより軸支されたリンク部材15bを介して連結されている。また、アームプレート12の突出部根元と、スライドブロック14とは、両端を支軸16c、16dにより軸支されたリンク部材15aを介して連結されている。さらに、アームプレート12の角部と、スライドプレート11の下端部とは、支軸16aにより連結されている。
【0019】
このように、グラブバケット5は、一対のシェル7、7の対向する当接面の位置を中心軸にして左右対称の構造になっている。また、図4に示すように平面視においても左右対称の構造になっている。
【0020】
図3に例示するように、一対のシェル7、7(グラブバケット5)が開口した状態で、開閉用シリンダ13のシリンダロッドを前進させて伸ばすと、スライドブロック14も前進(図3では下方移動)する。これに連動してリンク部材15a、15bを介して一対のシェル7、7が互いに近接するように支軸16a、16aを中心にして回動するとともに、リンク部材15aを介してスライドブロック14が後退して支軸16a、16aに連結されているスライドベース11も後退(図3では上方移動)することにより、順次、図5、図6に例示するように、一対のシェル7、7の刃先位置は、一定の浚渫深さ位置を示す線分BL上を移動してグラブバケット5が閉口する。
【0021】
即ち、開閉用シリンダ13の軸方向が垂直になるように、グラブバケット5を傾斜させずに垂直軸に対する傾斜角度をゼロ度にして定位置に固定すれば、バケット開閉動作をするだけで、所定の一定厚さで浚渫を行なうことができる。尚、本発明で用いる密閉式のグラブバケット5は、水平掘りができるものであれば、上記説明した構造に限定されるものではない。
【0022】
このグラブバケット5は、左右一対のシェル7、7を有して左右対称の構造になっているので、いずれか1つのシェル7に、バケット開閉センサ18を1つ設置すれば、一対のシェル7、7(グラブバケット5)の開閉角度を検知することができる。しかしながら、例えば、一方のシェル7が正常に開閉し、他方のシェル7が異物に引っ掛かる等により正常に開閉しない場合に、正常に開閉したシェル7のみにバケット開閉センサ18を設置していると、グラブバケット5が閉口していなくても閉口したと誤認する可能性がある。そこで、この実施形態のように、それぞれのシェル7、7にバケット開閉センサ18、18を設けることにより、確実にグラブバケット5の開閉状態を把握することが可能になる。
【0023】
次いで、操縦室2aに設置されたモニター30に表示される内容について説明する。制御装置29により算出されるグラブバケット5の位置情報は、垂直軸に対するグラブバケット5の傾斜角度を示す傾斜データ、グラブバケット5の平面方向位置およびその平面方向位置での最大開口領域を示す平面方向データ、一対のシェル7、7の刃先位置に相当する高さ方向位置を示す高さ方向データである。
【0024】
制御装置29には、予め設定した浚渫深さ位置を示す目標深さデータ、既に浚渫した平面方向領域を示すデータが記憶されている。制御装置29には、さらに、グラブバケット5の傾斜角度が適正か否かの判断基準となる許容範囲データ、既に浚渫した平面方向領域の浚渫深さが適正か否かの判断基準となる許容範囲データを記憶するようにしてもよい。
【0025】
制御装置29により算出されたグラブバケット5の位置情報のうち、平面方向データは、図7に例示するように、既に浚渫した平面方向領域とともに、モニター30に平面視で図画表示される。例えば、現在のグラブバケット5の平面方向位置およびその平面方向位置での最大開口領域は、四角枠Fnで表示され、既に浚渫された平面方向領域は、現在の位置を示す四角枠Fnとは識別できるように、色や枠の太さを等を変えた四角枠Fpで表示される(図7では枠の太さを変えて示している)。グラブバケット5の平面方向中心位置を示す先端座標P1を表示するようにしてもよい。
【0026】
この表示内容を確認しながら浚渫作業をすることにより、容易に、順次浚渫する領域が、平面方向に隙間をあけないように、或いは、重複しないようにすることができる。
【0027】
高さ方向データは、図8に例示するように、浚渫対象区域における予め設定した浚渫深さ位置を示す目標深さデータとともに、モニター30に側面視で図画表示される。この際に、垂直軸に対するグラブバケット5の傾斜角度を示す傾斜データも数値等で表示される。
【0028】
例えば、現在のグラブバケット5の刃先位置に相当する高さ位置が分かるように、グラブバケット5の側面図が図画表示され、目標深さデータとして線分BLが表示される。グラブバケット5の刃先位置に相当する高さ位置として、グラブバケット5を閉じた際の刃先位置である先端座標P2を表示するようにしてもよい。
【0029】
この表示内容を確認しながら、グラブバケット5を傾斜させずに、垂直軸に対するグラブバケット5の傾斜角度がゼロ度(0°)になるようにして、グラブバケット5の刃先位置に相当する高さ位置を線分BLに一致させる。水平掘り可能なグラブバケット5なので、この状態でバケット開閉動作をするだけで、容易に目標どおりの一定厚さで浚渫することができる。
【0030】
このように、本発明によれば、オペレータは、モニター30に表示されたグラブバケット5の平面方向および高さ方向の位置情報を確認しながら、浚渫対象区域の水底を精度よく容易に一定の厚さで浚渫することができる。また、シェル7の刃先を水平移動させるために難しい操作をする必要もなくなる。したがって、浚渫対象がダイオキシン類等の有害汚染物質を含む土壌の場合には、無害な余分な水分や土壌をすくうこともなく、効率的に浚渫をすることができる。
【0031】
既に浚渫した平面方向領域の表示として、一回のバケット開閉動作により浚渫した領域ごとに、予め設定した浚渫深さの許容範囲内であるか否かを表示するようにしてもよい。例えば、図7に例示するように、既に浚渫した平面方向領域が、設定した浚渫深さの許容範囲内と範囲外の場合とで四角枠Fpの内側を異なる色で表示する(図7では四角枠Fpの内部の斜線の向きを変えて異なる色を示している)。これにより、適正な深さで浚渫された領域を一見して把握することができ、一段と容易に高精度の浚渫を行なうことが可能になる。
【0032】
また、垂直軸に対するグラブバケット5の傾斜角度を示す傾斜データが、予め設定した許容範囲内であるか否かを表示するようにしてもよい。例えば、図8に例示した表示において、傾斜データが、設定した許容範囲内と範囲外の場合とで表示されている図画の一部を異なる色で表示する。これにより、グラブバケット5が垂直軸に対して傾斜しているか否かを一見して把握することができ、一段と容易に高精度の浚渫を行なうことが可能になる。
【0033】
モニター30には、図画表示ととも各データを数値で表示することもできる。グラブバケット5の先端位置P1およびP2を、3次元の公共座標で表示してもよい。また、平面方向データと高さ方向データとは、同時にモニター30に表示することもでき、選択的にいずれか一方のデータを表示することもできる。
【0034】
実施形態では、作業船31に載ったバックホウ1によって浚渫作業を行なうようにしているが、本発明は、作業船31を用いることなく岸辺等の陸地から直接、バックホウ1により浚渫作業する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の浚渫支援システムの全体概要を示す説明図である。
【図2】図1の浚渫支援システムが適用されたバックホウを例示する側面図である。
【図3】図2のグラブバケットが開いた状態を例示する側面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】図3のグラブバケットが閉じる過程を例示する側面図である。
【図6】図3のグラブバケットが閉じた状態を例示する側面図である。
【図7】図1のモニターの表示画面を例示する説明図である。
【図8】図1のモニターの表示画面を例示する説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 バックホウ
2 上部旋回体
2a 操縦室
3 ブーム
3a ブームシリンダ
4 アーム
4a アームシリンダ
5 密閉式グラブバケット
6 バケット傾斜用シリンダ
7 シェル
8 バケット開閉装置
9 カバープレート
10 ガイド
11 スライドベース 11a ガイド
12 アームプレート
13 開閉用シリンダ
14 スライドブロック
15a、15b リンク部材
16a、16b、16c、16d、16e、16f、16g 支軸
17 バケット傾斜センサ
18 バケット開閉センサ
19 ブーム変位センサ
20 アーム変位センサ
21 バケット変位センサ
22 機体傾斜センサ
23 旋回角度センサ
24 RTK−GPS受信機
25 GPS方位計
26 制御装置
27 送信機
28 受信機
29 制御装置
30 モニター
31 作業船

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックホウのアームの先端部に軸支された密閉式のグラブバケットを用いて浚渫する際に、センサの検知データに基づいて算出したグラブバケットの位置情報を操縦室に設置したモニターに表示するようにした浚渫支援システムであって、前記グラブバケットを、バケット開閉動作の際に一対のシェルの刃先が水平移動する水平掘り可能な構成にし、前記グラブバケットの位置情報を検知する複数のセンサと、該複数のセンサの検知データを送信する送信機と、該送信機が送信した検知データを受信する受信機と、前記検知データに基づいてグラブバケットの位置情報を算出する制御装置と、該制御装置が算出したグラブバケットの位置情報を表示するモニターとを備え、前記グラブバケットの位置情報として、垂直軸に対するグラブバケットの傾斜角度を示す傾斜データと、グラブバケットの平面方向位置およびその平面方向位置での最大開口領域を示す平面方向データと、前記一対のシェルの刃先位置に相当する高さ方向位置を示す高さ方向データとを前記モニターにリアルタイムで表示し、前記平面方向データとともに、既に浚渫した平面方向領域を表示し、前記高さ方向データとともに、浚渫対象区域における予め設定した浚渫深さ位置を示す目標深さデータを表示するようにした浚渫支援システム。
【請求項2】
前記垂直軸に対するグラブバケットの傾斜角度を示す傾斜データが、予め設定した許容範囲内であるか否かを、前記モニターに表示するようにした請求項1に記載の浚渫支援システム。
【請求項3】
前記既に浚渫した平面方向領域の表示が、一回のバケット開閉動作により浚渫した領域ごとに、予め設定した浚渫深さの許容範囲内であるか否かを、前記モニターに表示するものである請求項1または2に記載の浚渫支援システム。
【請求項4】
前記複数のセンサが、前記グラブバケットに設置したバケット傾斜センサと、前記シェルに設置したバケット開閉センサと、前記ブームを可動させるブームシリンダの伸縮量を検知するブーム変位センサと、前記アームを可動させるアームシリンダの伸縮量を検知するアーム変位センサと、前記グラブバケットの垂直軸に対する傾斜を変えるバケット傾斜用シリンダの伸縮量を検知するバケット変位センサと、前記バックホウに設置した機体傾斜センサ、旋回角度センサ、RTK−GPS受信機およびGPS方位計またはジャイロコンパスである請求項1〜3のいずれかに記載の浚渫支援システム。
【請求項5】
前記バケット開閉センサを、前記一対のシェルのそれぞれに設置した請求項4に記載の浚渫支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−274585(P2008−274585A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117061(P2007−117061)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000219406)東亜建設工業株式会社 (177)
【出願人】(500038891)信幸建設株式会社 (16)
【Fターム(参考)】