浮体構造物の動揺低減装置
【課題】 広範囲の波浪に対して横揺れや縦揺れだけでなく、上下揺れなどの動揺を抑えることができるとともに、大量の補強部材を必要とせず、移動も容易に行うことができる浮体構造物の動揺低減装置を提供すること。
【解決手段】 浮体構造物11の下部に連結部材13を介して動揺低減板部材12を海底部Sから僅かな距離ないし着底させる所定距離以内に吊り下げる。
これにより、浮体構造物11の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ等の付加質量に相当するものを飛躍的に増大するようにし、それぞれの動揺の固有周期を長周期側に設定することができるとともに、浮体構造物11の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れの粘性減衰力を増大させて動揺した場合の振幅を小さくするようにしている。
また、吊り下げた動揺低減板部材12を浮体構造物11の底部に巻き上げるようにして抵抗を少なくして移動できるようにする。
【解決手段】 浮体構造物11の下部に連結部材13を介して動揺低減板部材12を海底部Sから僅かな距離ないし着底させる所定距離以内に吊り下げる。
これにより、浮体構造物11の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ等の付加質量に相当するものを飛躍的に増大するようにし、それぞれの動揺の固有周期を長周期側に設定することができるとともに、浮体構造物11の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れの粘性減衰力を増大させて動揺した場合の振幅を小さくするようにしている。
また、吊り下げた動揺低減板部材12を浮体構造物11の底部に巻き上げるようにして抵抗を少なくして移動できるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浮体構造物の動揺低減装置に関し、浮桟橋などの浮体港湾施設、フローティングクレーンなどの海洋工事に用いられる作業船、沿岸域の各種用途に使用される作業用浮体などの浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れを低減できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来から浮体構造物としては種々の形式のものが使用されており、例えば浮体港湾施設である浮桟橋では、乗客や作業者の乗り心地向上、荷揚げや積み込み時の作業性向上や効率化のため、また海洋工事に用いられる作業船などでは、工事稼働率の向上のため、波浪による動揺の低減が大きな課題となっている。
【0003】
このような浮体構造物の動揺低減については、従来から種々の提案がなされており、例えば特許文献1には、図11に示すように、浮体1の本体側面部に鉛直板2を底面から下方に突き出すように取り付けることで動揺を低減するものが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、図12に示すように、浮体1の本体側面部に鉛直板2と水平板3とを組み合わせて取り付けることで動揺を低減するものが開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、図13に示すように、浮体1の底面から棒状の連結部材4を介して水中板5を喫水線と平行に結合することで動揺を低減するものが開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、図14に示すように、浮体1の前後にそれぞれ回動継手6を介して連結部材4および平板5を振り子状に振動するように取り付けることで動揺を低減するものが開示されている。
【0007】
さらに、特許文献5には、図15に示すように、水中に階段状に配置した平板7で消波装置を構成し、この階段状の平板7の上面側に複数の浮体1を設ける一方、平板7の下面側に格子状に組み立てられたフレーム体8を設け、フレーム体8の下面に減揺板9を取り付けることで、メガフロートの動揺を低減するものが開示されている。
【特許文献1】特開2002‐37184号公報
【特許文献2】特開2004‐58691号公報
【特許文献3】特開平8−324484号公報
【特許文献4】特開2003‐212185号公報
【特許文献5】特開2002‐250020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1の構造では、鉛直板2による動揺低減効果が小さく、横揺れと縦揺れにしか効果がでないという問題があるとともに動揺低減効果を大きくするため浮体1下部への鉛直板2の突き出し量を大きくすると、水深が浅い場合には、海底と干渉して浮体1を設置することができないという問題も生じる。
【0009】
また、特許文献2の構造では、浮体1の側方に水平に突き出す水平板3が設けられるため、作業船に適用しようとすると、タグボートなどによる押し船作業ができなくなったり、浮桟橋に適用しようとすると、係船しようとする船体と干渉するという問題がある。さらに、このような鉛直板2と水平板3を組み合わせた場合には、動揺を低減できる波周期が限られ、広範囲の波周期に対応することができないという問題もある。
【0010】
また、特許文献3〜5の構造では、いずれも水中板5や減揺板9を棒状の連結部材4や格子状のフレーム体8を介して浮体1や平板7の下部に取り付けるため、支持強度を確保するためには大幅な補強部材が必要となるという問題がある。さらに、浮体1を移動させる場合には、連結部材4やフレーム体8などが抵抗増加となり、通常の浮体1だけの場合に比べ大きな引き船が必要になるという問題がある。また、これら連結部材4やフレーム体8などの分だけ喫水が深くなり海底面と干渉し、浅海域には適用できず、例えば連結部材4などを伸縮可能とする場合には、そのための装置が大掛かりとなり、特に既存の浮体に適用しようとすると大規模な改修などが必要になるという問題がある。
【0011】
この発明は、かかる従来技術の課題に鑑みてなされたもので、横揺れや縦揺れだけでなく、他の上下揺れなどを抑えることができ、広範囲の波浪に対して動揺を抑えることができるとともに、大量の補強部材を必要とせず、移動も容易に行うことができる浮体構造物の動揺低減装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来技術が有する課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、浮体構造物に板部材を海底部からわずかな空間を開けて吊り下げることで、浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ等の付加質量に相当するものを飛躍的に増大できること、それぞれの動揺の固有周期を長周期側に設定することができること、浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れの粘性減衰力を増大させて動揺した場合の振幅を小さくできること、を見出し、この発明を完成させたものである。
【0013】
すなわち、このような見地に基づく、この発明の請求項1記載の浮体構造物の動揺低減装置は、浮体構造物の下部に連結部材を介して動揺低減板部材を海底部から所定距離以内に吊り下げてなることを特徴とするものである。
【0014】
この浮体構造物の動揺低減装置によれば、浮体構造物の下部に連結部材を介して動揺低減板部材を海底部から僅かな距離ないし着底させる所定距離以内に吊り下げることで、浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ等の付加質量に相当するものを飛躍的に増大でき、それぞれの動揺の固有周期を長周期側に設定することができるとともに、浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れの粘性減衰力を増大させて動揺した場合の振幅を小さくできるようになる。また、吊り下げた動揺低減板部材を浮体構造物の底部に巻き上げるようにして抵抗を少なくして移動できるようになる。
【0015】
さらに、この発明の浮体構造物の動揺低減装置は、上記構成に加え、前記連結部材を、チェーン、ワイヤー、ロープなどの線状部材で構成してこの線状部材により前記動揺低減板部材の位置を調整可能とする巻取り・繰出し手段を設けるようにしたり、前記動揺低減板部材を、前記浮体構造物の水線面積と同一ないしそれ以下の大きさとして1ないし複数に分割して構成したり、動揺低減板部材を、海底部から当該動揺低減板部材の一短辺の総和の1/4以内の距離にして吊り下げるようにしても良い。
【0016】
また、この発明の浮体構造物の動揺低減装置は、上記各構成に加え、前記動揺低減板部材を、海底部に着底させて吊り下げるようにしたり、前記動揺低減板部材に、海底部に貫入する貫入部材を設けるようにしたり、前記動揺低減板部材を、前記浮体構造物の移動時に当該浮体構造物の下面に密着可能に構成しても良い。
【0017】
さらに、この発明の浮体構造物の動揺低減装置は、上記各構成に加え、前記動揺低減板部材に、海底部との距離を検出する距離検出手段を設け、この検出信号に基づき当該動揺低減板部材の吊り下げ位置を設定するようにしたり、 前記距離検出手段の検出信号に基づき前記巻上げ・繰出し手段を制御して吊り下げ位置を自動調整する制御手段を設けたり、前記動揺低減板部材を、複数の浮体構造物に連結部材を介してまたがるように吊り下げるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0018】
この発明の請求項1記載の浮体構造物の動揺低減装置によれば、浮体構造物の下部に連結部材を介して動揺低減板部材を海底部から僅かな距離ないし着底させる所定距離以内に吊り下げるようにしたので、浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ等の付加質量に相当するものを飛躍的に増大することができ、それぞれの動揺の固有周期を長周期側に設定することができるとともに、浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れの粘性減衰力を増大させて動揺した場合の振幅を小さくすることができる。また、吊り下げた動揺低減板部材を浮体構造物の底部に巻き上げるようにして抵抗を少なくして移動することができる。
【0019】
さらに、この発明の請求項2記載の浮体構造物の動揺低減装置によれば、前記連結部材を、チェーン、ワイヤー、ロープなどの線状部材とその巻取り・繰出し手段で構成することで、動揺低減板部材の海底部からの位置を調整することが容易にできるとともに、補強部材などを必要とせずに浮体構造物と連結することができる。また、請求項3記載の発明では、前記動揺低減板部材を、前記浮体構造物の水線面積と同一ないしそれ以下の大きさとして1ないし複数に分割して構成することで、動揺低減効果を動揺低減板部材の面積で調整することができるとともに、海底部の凹凸や傾斜などの形状に容易に対応することができる。さらに、請求項4記載の発明では、動揺低減板部材を、海底部から当該動揺低減板部材の一短辺の総和の1/4以内の距離にして吊り下げるようにしたので、動揺低減板部材が一枚の場合はその一つの短辺の長さ、複数枚の場合は、各動揺低減板部材の一つの短辺を加えた総長さの1/4以内とすることで、付加質量に相当するものを大きくでき、粘性減衰力を増大することができる。
【0020】
また、この発明の請求項5記載の浮体構造物の動揺低減装置によれば、前記動揺低減板部材を、海底部に着底させて吊り下げることで、動揺低減板部材の設置効果を一層高めることができるとともに、連結部材がたるまないよう設置すれば良く海底部への設置も容易に行うことができる。さらに、請求項6記載の発明では、前記動揺低減板部材に、海底部に貫入する貫入部材を設けることで、浮体構造物の水平方向の移動に対して把駐力を持つことになり、係留アンカーとしての機能を持たせることができる。また、請求項7記載の発明では、前記動揺低減板部材を、前記浮体構造物の移動時に当該浮体構造物の下面に密着可能に構成したので、移動の際の抵抗の増大をほとんど招くことなく移動することができる。
【0021】
さらに、この発明の請求項8記載の浮体構造物の動揺低減装置によれば、前記動揺低減板部材に、海底部との距離を検出する距離検出手段を設け、この検出信号に基づき当該動揺低減板部材の吊り下げ位置を設定するようにしたので、距離検出手段の検出信号によって海底部から所定距離以内に動揺低減板部材を設置することができる。また、請求項9記載の発明では、前記距離検出手段の検出信号に基づき前記巻上げ・繰出し手段を制御して吊り下げ位置を自動調整する制御手段を設けたので、自動的に動揺低減板部材を海底部から所定の距離以内に設置することができる。さらに、請求項10記載の発明では、前記動揺低減板部材を、複数の浮体構造物に連結部材を介してまたがるように吊り下げるようにすることもでき、連結部材の本数を減らして装置の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の一実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図4は、この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した一実施の形態にかかり、図1は通常の使用状態の概略構成図、図2は移動状態の概略構成図、図3は傾斜した海底部での使用状態の概略構成図、図4は着底させた使用状態の概略構成図である。
【0023】
この浮体構造物の動揺低減装置10は、浮体構造物として、例えば浮体11の動揺を低減するために用いられ、浮体11から下方に動揺低減板部材として平板状構造物12が連結部材としてのワイヤー13および巻き上げ・繰り出し手段としてのウインチ14を介して吊下げられ、海底部Sから所定の距離L以内の海底部Sに接近ないし、図4に示すように、着底させて設置してある。
【0024】
これにより、浮体11の下部に平板状構造物12を海底部Sとわずかな空間を空けワイヤー13およびウインチ14で吊下げることで、浮体11の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ等の付加質量に相当するものを飛躍的に増大させることができ、それぞれの固有周期を、通常の波浪の周期から離れた長周期側に設定することが可能となり、広範囲の波浪に対して動揺を抑えることができる。
【0025】
特に浮体11の下部に吊り下げる平板状構造物12を海底部Sに着底させてワイヤー13がたるまないように吊下げることで、一層付加質量に相当するものを増大させることができ、動揺低減効果をさらに大きくすることができる。
【0026】
また、この浮体構造物の動揺低減装置10では、平板状構造物12が、浮体11の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れの粘性減衰力を増大させ、浮体11が動揺した場合の揺れ振幅を小さくする。この揺れの振幅を小さくする効果も、平板状構造物12をワイヤー13がたるまないように海底部Sに着底させることで、一層大きくすることができる。
【0027】
このような浮体構造物の動揺低減装置10では、図1に示すように、浮体11の短辺に対して、例えば2つの平板状構造物12、12を吊下げて構成してあるが、動揺低減板部材としての平板状構造物12は、その大きさとして浮体11の水線面積(喫水線での水平断面の面積)と同一ないしそれより小さい総面積を確保できれば良く、2つの平板状構造物12,12で構成する場合に限らず、図5に示すように、1つの平板状構造物12で構成したり、さらに多くの平板状構造物で構成しても良い。
【0028】
また、この平板状構造物12としては、1枚の中実な板で構成したり、板材と補強材とで枠付きの板状としたり、中空の箱状に構成しても良く、必要な強度と耐食性などを確保できれば、金属材料のほか合成樹脂材料などを用いることもできる。さらに、動揺低減板部材としての平板状構造物12は、必ずしも矩形の平板状である必要はなく、横に広い板状であれば、平板状のものに穴をあけたり、凹凸形状やくし型形状などその表面形状は任意の形状であっても良い。
【0029】
このような動揺低減板部材としての平板状構造物12の、海底部Sからの距離Lは、浮体11より吊下げられる各平板状構造物12の一短辺b1,b2を加えた全平板状構造物の幅B(=b1+b2)とした場合に、(L=)B/4以下、すなわち、着底の0から最大でもB/4とすることで、高い動揺低減効果を得ることができる。
【0030】
すなわち、模型を用いた水槽実験で、海底部Sと平板状構造物12であるプレートとの距離Lを、0(着底)、B/32、B/4とした場合と、比較のためプレートなしの場合の浮体の動揺を計測した結果の一例を、上下揺れの場合を図7(横軸がω:角周波数(rad/sec)、縦軸がΖ/ζ:上下揺れの応答値(cm/cm))に、横揺れの場合を図8(横軸がω:角周波数(rad/sec)、縦軸がΦ/ζ:横揺れの応答値(deg/cm))に示した。
【0031】
図7,8から明らかなように、横軸のωが小さい周期の長い場合の平板状構造物であるプレートによる動揺低減効果が大きく、底よりの距離Lが小さくなるほどその効果が大きいことが分かる。
【0032】
また、横揺れでは、図8に示すように、平板状構造物であるプレートが底より大きくはなれている場合(実線と一点鎖線の比較)には、プレートを吊下げたときに固有周期のピークが長周期側にずれることによる動揺低減効果があるが、プレートを海底部Sに近づけるしたがって動揺低減効果の増大とともに、固有周期のピークも小さくなることが分かる。
【0033】
このような実験結果から、動揺低減板部材としての平板状構造物12と海底部Sとの距離Lは、B/4以内の範囲で、浮体11の利用用途などにより要求される動揺条件に応じて設定すれば良い。
【0034】
そして、この浮体構造物の動揺低減装置10では、動揺低減板部材として平板状構造物12をワイヤー13およびウインチ14で吊下げるようにしているので、ウインチ14によりワイヤー13を巻き上げたり、繰り出したりすることができ、これによって平板状構造物12の吊下げ位置を簡単に調整することができる。
【0035】
したがって、図3に示すように、海底部Sが傾斜している場合には、ウインチ14によりワイヤー13の長さを調整することで、傾斜面S1と平行に平板状構造物12を吊下げることが容易となり、動揺低減効果を損ねることなく設置することができる。また、図4に示すように、平板状構造物12を海低部Sに着底させる場合にも、ウインチ14でワイヤー13の長さを調整することで、ワイヤー13をたるませることなく平板状構造物12を設置することができる。
【0036】
さらに、この浮体構造物の動揺低減装置10では、動揺低減板部材である平板状構造物12に海底部Sとの距離Lを検出する距離検出手段としての超音波センサなどの距離センサ15が設けられ、ウインチ14を制御する制御手段としての制御装置16に検出信号が入力され、距離が表示部17で表示されるとともに、ウインチ14を自動制御するようになっている。
【0037】
したがって、距離センサ15の検出結果を表示部17から読み取って手動でウインチ14を操作して平板状構造物12の設置位置を調整することができるとともに、制御装置16でウインチ14を自動制御して平板状構造物12の設置位置を自動調整することもできる。
【0038】
これにより、任意の水深に平板状構造物12を設置することができるだけでなく、潮位変動などに対しても常に所定位置に平板状構造物12を設置することができるとともに、動揺低減量を平板状構造物12の位置を変えることで、調整することができる。
【0039】
また、この浮体構造物の動揺低減装置10では、浮体11を移動しようとする場合に、図2に示すように、動揺低減板部材である平板状構造物12を浮体11の底部に密着するようにウインチ14で巻き上げることで、移動の際の抵抗を大幅に低減することができ、浮体11だけを曳航する場合とほとんど変わらない曳航力で曳航することができる。
【0040】
なお、浮体構造物である浮体11を移動する必要がなく、常時同じ位置に設置する場合には、図6に示すように、平板状構造物12を直接連結部材であるワイヤー13で吊下げるようにし、ウインチ14を省略しても良く、一層構造の簡素化が図れるとともに、コスト低減を図ることもできる。
【0041】
また、この浮体構造物の動揺低減装置10では、浮体11と動揺低減板部材である平板状構造物12とを連結して吊下げる連結部材としてワイヤー13を用いる場合を例に説明したが、ワイヤー13に限らずチェーンやロープなどの紐状のものを用いても良く、あるいは棒状の剛性の高い部材を用いることもできる。
【0042】
このような浮体構造物の動揺低減装置10は、図示省略したが、浮体11を所定の設置海域に曳航した後、浮体11にチェーンなどの係留部材を連結して係留して使用する。
【0043】
このように構成した浮体構造物の動揺低減装置10によれば、動揺低減板部材である平板状構造物12を浮体11から吊下げて海底部Sから所定距離L以内に設置することで、付加質量、粘性減衰力が飛躍的に大きくなり、浮体11の横揺れ、縦揺れ、上下揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れを非常に小さく抑えることができる。
【0044】
また、平板状構造物12を海底部Sに着底させることで、上記動揺低減効果をさらに大きくすることができるとともに、着底させた平板状構造物12によって水平方向の移動に対する把駐力を持つことになり、浮体11を係留するための係留チェーンなどの係留部材を細いもので済ますことが可能となる。
【0045】
さらに、この浮体構造物の動揺低減装置10では、動揺低減板部材である平板状構造物12を浮体11からワイヤー13などで吊下げて海底部Sあるいはその近傍に吊下げる簡便な機構であり、浮体構造物の改造の必要も少なく既存の浮体構造物への適用が簡単にできる。
【0046】
また、浮体11の設置海域の水深が変わっても、動揺低減板部材である平板状構造物12を吊下げるワイヤー13などの長さを調整するだけで簡単に対応することができ、巻き上げ・繰り出し手段であるウインチ14を設ける場合には、一層容易に平板状構造物12の設置位置を調整することができる。
【0047】
さらに、動揺低減板部材である平板状構造物12の海底部Sからの距離Lを調整することで、動揺低減量を調整することができ、浮体11の動揺状態を調整することが可能となる。
【0048】
また、吊下げた動揺低減板部材である平板状構造物12を浮体11の底部に密着するよう吊り上げることで、浮体11を移動する場合の抵抗を小さくすることができ、浮体の曳航が容易となる。
【0049】
さらに、動揺低減板部財である平板状構造物12を複数に分割して設置することで、海底部Sが傾斜している場合や凹凸などがある場合にも海底部Sからの距離Lを所定以内に保持することが容易となり、海底部Sの地形によらず動揺低減効果を確保することができる。
【0050】
また、距離センサ15と制御装置16を設けて平板状構造物12の設置位置を自動的に調整するようにすれば、潮位変化がある場合などでも海底部Sの距離Lを一定に保持することができ、動揺低減効果を一定に保つことができる。
【0051】
このような浮体構造物の動揺低減装置10を設置することで、浮桟橋などの浮体港湾施設、フローティングクレーンなどの海洋工事に用いられる作業船、沿岸域の各種用途に使用される作業用浮体などの浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れを低減することができ、例えば浮体港湾施設である浮桟橋では、乗客や作業者の乗り心地向上、荷揚げや積み込み時の作業性向上や高効率化を図ることができるとともに、海洋工事に用いられる作業船などでは、工事稼働率の向上を図ることもできる。
【0052】
次に、この発明の他の一実施の形態について、図9により説明する。
この浮体構造物の動揺低減装置10Aでは、複数の浮体11,11Aにまたがるように動揺低減板部材である平板状構造物12Aが吊下げられるとともに、各浮体11,11Aにもそれぞれ平板状構造物12が吊下げてある。
【0053】
なお、平板状構造物12Aを複数の浮体11,11Aにまたがるように吊下げるほかの構成は、すでに説明した実施の形態と同様、海底部Sからの距離L,ウインチの使用の有無など種々の対応で構成すようにしても良い。
【0054】
このような浮体構造物の動揺低減低装置10Aによれば、上記実施の形態と同様の動揺低減効果を奏するとともに、複数の浮体11,11Aに対する動揺低減板部材の個数を減少し、構造を簡素化することができる。
【0055】
また、動揺低減板部材である平板状構造物12,12Aを着底させるようにすれば、水平方向の把駐力が発生し、浮体11,11Aを係留する係留チェーンや係留索など係留部材の本数を減らすことも可能となり、配索が容易となる。
【0056】
次に、この発明のさらに他の一実施の形態について、図10により説明する。
この浮体構造物の動揺低減装置10Bでは、浮体11に吊下げられる動揺低減板部材である平板状構造物12にアンカーとしての機能を付加したものであり、それぞれの平板状構造物12の底面に海底部Sに貫入する貫入部材として下方突き出す鋼管などの杭部材18が複数本取り付けてある。
【0057】
なお、平板状構造物12にアンカーとしての機能を付加する貫入部材として杭部材18を取り付けるようにする以外の構成は、すでに説明した上記2つの実施の形態と同様、海底部Sからの距離L,ウインチの使用の有無、あるいは複数の浮体にまたがる平板状構造物など種々の対応として構成するようにしても良い。
【0058】
このような浮体構造物の動揺低減低装置10Bによれば、上記実施の形態と同様の動揺低減効果を奏するとともに、平板状構造物12に取り付けた貫入部材として杭部材18を海底部Sに貫入させるようにすることで、平板状構造物12を着底させた場合に比べ、一層大きな水平方向の把駐力を得ることができ、浮体11を係留する係留チェーンや係留索などの係留部材19を細いものにすることができる。そして、この杭部材18が海底部Sから外れるまでは、その把駐力で浮体11の動揺を抑えることができ、杭部材18が海底から外れた後は、海底部S近傍に設置した平板状構造物12による動揺低減効果を得て浮体11の動揺を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した一実施の形態にかかる通常の使用状態の概略構成図である。
【図2】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した一実施の形態にかかる移動状態の概略構成図である。
【図3】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した一実施の形態にかかる傾斜した海底部での使用状態の概略構成図である。
【図4】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した一実施の形態にかかる着底させた使用状態の概略構成図である。
【図5】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した他の一実施の形態にかかる通常の使用状態の概略構成図である。
【図6】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用したさらに他の一実施の形態にかかる通常の使用状態の概略構成図である。
【図7】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した水槽実験の結果を示す上下揺れ低減のグラフである。
【図8】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した水槽実験の結果を示す横揺れ低減のグラフである。
【図9】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を複数の浮体に適用した一実施の形態にかかる着底させた使用状態の概略構成図である。
【図10】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した他の一実施の形態にかかる通常の使用状態の概略構成図である。
【図11】従来の浮体構造物の動揺低減装置の概略側面図である。
【図12】従来の浮体構造物の動揺低減装置の概略斜視図である。
【図13】従来の浮体構造物の動揺低減装置の概略斜視図である。
【図14】従来の浮体構造物の動揺低減装置の概略斜視図である。
【図15】従来の浮体構造物の動揺低減装置の概略側面図である。
【符号の説明】
【0060】
10,10A、10B 浮体構造物の動揺低減装置
11,11A 浮体(浮体構造物)
12,12A 平板状構造物(動揺低減板部材)
13 ワイヤー(連結部材)
14 ウインチ(巻き上げ・繰り出し手段)
15 距離センサ(距離検出手段)
16 制御装置(制御手段)
17 距離の表示部
18 杭部材(貫入部材)
19 係留索(係留部材)
S 海底部
S1 傾斜面(海底部)
L 海底部から所定の距離
B 全平板状構造物の幅
b1、b2 各平板状構造物の一短辺の幅
【技術分野】
【0001】
この発明は、浮体構造物の動揺低減装置に関し、浮桟橋などの浮体港湾施設、フローティングクレーンなどの海洋工事に用いられる作業船、沿岸域の各種用途に使用される作業用浮体などの浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れを低減できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来から浮体構造物としては種々の形式のものが使用されており、例えば浮体港湾施設である浮桟橋では、乗客や作業者の乗り心地向上、荷揚げや積み込み時の作業性向上や効率化のため、また海洋工事に用いられる作業船などでは、工事稼働率の向上のため、波浪による動揺の低減が大きな課題となっている。
【0003】
このような浮体構造物の動揺低減については、従来から種々の提案がなされており、例えば特許文献1には、図11に示すように、浮体1の本体側面部に鉛直板2を底面から下方に突き出すように取り付けることで動揺を低減するものが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、図12に示すように、浮体1の本体側面部に鉛直板2と水平板3とを組み合わせて取り付けることで動揺を低減するものが開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、図13に示すように、浮体1の底面から棒状の連結部材4を介して水中板5を喫水線と平行に結合することで動揺を低減するものが開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、図14に示すように、浮体1の前後にそれぞれ回動継手6を介して連結部材4および平板5を振り子状に振動するように取り付けることで動揺を低減するものが開示されている。
【0007】
さらに、特許文献5には、図15に示すように、水中に階段状に配置した平板7で消波装置を構成し、この階段状の平板7の上面側に複数の浮体1を設ける一方、平板7の下面側に格子状に組み立てられたフレーム体8を設け、フレーム体8の下面に減揺板9を取り付けることで、メガフロートの動揺を低減するものが開示されている。
【特許文献1】特開2002‐37184号公報
【特許文献2】特開2004‐58691号公報
【特許文献3】特開平8−324484号公報
【特許文献4】特開2003‐212185号公報
【特許文献5】特開2002‐250020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1の構造では、鉛直板2による動揺低減効果が小さく、横揺れと縦揺れにしか効果がでないという問題があるとともに動揺低減効果を大きくするため浮体1下部への鉛直板2の突き出し量を大きくすると、水深が浅い場合には、海底と干渉して浮体1を設置することができないという問題も生じる。
【0009】
また、特許文献2の構造では、浮体1の側方に水平に突き出す水平板3が設けられるため、作業船に適用しようとすると、タグボートなどによる押し船作業ができなくなったり、浮桟橋に適用しようとすると、係船しようとする船体と干渉するという問題がある。さらに、このような鉛直板2と水平板3を組み合わせた場合には、動揺を低減できる波周期が限られ、広範囲の波周期に対応することができないという問題もある。
【0010】
また、特許文献3〜5の構造では、いずれも水中板5や減揺板9を棒状の連結部材4や格子状のフレーム体8を介して浮体1や平板7の下部に取り付けるため、支持強度を確保するためには大幅な補強部材が必要となるという問題がある。さらに、浮体1を移動させる場合には、連結部材4やフレーム体8などが抵抗増加となり、通常の浮体1だけの場合に比べ大きな引き船が必要になるという問題がある。また、これら連結部材4やフレーム体8などの分だけ喫水が深くなり海底面と干渉し、浅海域には適用できず、例えば連結部材4などを伸縮可能とする場合には、そのための装置が大掛かりとなり、特に既存の浮体に適用しようとすると大規模な改修などが必要になるという問題がある。
【0011】
この発明は、かかる従来技術の課題に鑑みてなされたもので、横揺れや縦揺れだけでなく、他の上下揺れなどを抑えることができ、広範囲の波浪に対して動揺を抑えることができるとともに、大量の補強部材を必要とせず、移動も容易に行うことができる浮体構造物の動揺低減装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来技術が有する課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、浮体構造物に板部材を海底部からわずかな空間を開けて吊り下げることで、浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ等の付加質量に相当するものを飛躍的に増大できること、それぞれの動揺の固有周期を長周期側に設定することができること、浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れの粘性減衰力を増大させて動揺した場合の振幅を小さくできること、を見出し、この発明を完成させたものである。
【0013】
すなわち、このような見地に基づく、この発明の請求項1記載の浮体構造物の動揺低減装置は、浮体構造物の下部に連結部材を介して動揺低減板部材を海底部から所定距離以内に吊り下げてなることを特徴とするものである。
【0014】
この浮体構造物の動揺低減装置によれば、浮体構造物の下部に連結部材を介して動揺低減板部材を海底部から僅かな距離ないし着底させる所定距離以内に吊り下げることで、浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ等の付加質量に相当するものを飛躍的に増大でき、それぞれの動揺の固有周期を長周期側に設定することができるとともに、浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れの粘性減衰力を増大させて動揺した場合の振幅を小さくできるようになる。また、吊り下げた動揺低減板部材を浮体構造物の底部に巻き上げるようにして抵抗を少なくして移動できるようになる。
【0015】
さらに、この発明の浮体構造物の動揺低減装置は、上記構成に加え、前記連結部材を、チェーン、ワイヤー、ロープなどの線状部材で構成してこの線状部材により前記動揺低減板部材の位置を調整可能とする巻取り・繰出し手段を設けるようにしたり、前記動揺低減板部材を、前記浮体構造物の水線面積と同一ないしそれ以下の大きさとして1ないし複数に分割して構成したり、動揺低減板部材を、海底部から当該動揺低減板部材の一短辺の総和の1/4以内の距離にして吊り下げるようにしても良い。
【0016】
また、この発明の浮体構造物の動揺低減装置は、上記各構成に加え、前記動揺低減板部材を、海底部に着底させて吊り下げるようにしたり、前記動揺低減板部材に、海底部に貫入する貫入部材を設けるようにしたり、前記動揺低減板部材を、前記浮体構造物の移動時に当該浮体構造物の下面に密着可能に構成しても良い。
【0017】
さらに、この発明の浮体構造物の動揺低減装置は、上記各構成に加え、前記動揺低減板部材に、海底部との距離を検出する距離検出手段を設け、この検出信号に基づき当該動揺低減板部材の吊り下げ位置を設定するようにしたり、 前記距離検出手段の検出信号に基づき前記巻上げ・繰出し手段を制御して吊り下げ位置を自動調整する制御手段を設けたり、前記動揺低減板部材を、複数の浮体構造物に連結部材を介してまたがるように吊り下げるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0018】
この発明の請求項1記載の浮体構造物の動揺低減装置によれば、浮体構造物の下部に連結部材を介して動揺低減板部材を海底部から僅かな距離ないし着底させる所定距離以内に吊り下げるようにしたので、浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ等の付加質量に相当するものを飛躍的に増大することができ、それぞれの動揺の固有周期を長周期側に設定することができるとともに、浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れの粘性減衰力を増大させて動揺した場合の振幅を小さくすることができる。また、吊り下げた動揺低減板部材を浮体構造物の底部に巻き上げるようにして抵抗を少なくして移動することができる。
【0019】
さらに、この発明の請求項2記載の浮体構造物の動揺低減装置によれば、前記連結部材を、チェーン、ワイヤー、ロープなどの線状部材とその巻取り・繰出し手段で構成することで、動揺低減板部材の海底部からの位置を調整することが容易にできるとともに、補強部材などを必要とせずに浮体構造物と連結することができる。また、請求項3記載の発明では、前記動揺低減板部材を、前記浮体構造物の水線面積と同一ないしそれ以下の大きさとして1ないし複数に分割して構成することで、動揺低減効果を動揺低減板部材の面積で調整することができるとともに、海底部の凹凸や傾斜などの形状に容易に対応することができる。さらに、請求項4記載の発明では、動揺低減板部材を、海底部から当該動揺低減板部材の一短辺の総和の1/4以内の距離にして吊り下げるようにしたので、動揺低減板部材が一枚の場合はその一つの短辺の長さ、複数枚の場合は、各動揺低減板部材の一つの短辺を加えた総長さの1/4以内とすることで、付加質量に相当するものを大きくでき、粘性減衰力を増大することができる。
【0020】
また、この発明の請求項5記載の浮体構造物の動揺低減装置によれば、前記動揺低減板部材を、海底部に着底させて吊り下げることで、動揺低減板部材の設置効果を一層高めることができるとともに、連結部材がたるまないよう設置すれば良く海底部への設置も容易に行うことができる。さらに、請求項6記載の発明では、前記動揺低減板部材に、海底部に貫入する貫入部材を設けることで、浮体構造物の水平方向の移動に対して把駐力を持つことになり、係留アンカーとしての機能を持たせることができる。また、請求項7記載の発明では、前記動揺低減板部材を、前記浮体構造物の移動時に当該浮体構造物の下面に密着可能に構成したので、移動の際の抵抗の増大をほとんど招くことなく移動することができる。
【0021】
さらに、この発明の請求項8記載の浮体構造物の動揺低減装置によれば、前記動揺低減板部材に、海底部との距離を検出する距離検出手段を設け、この検出信号に基づき当該動揺低減板部材の吊り下げ位置を設定するようにしたので、距離検出手段の検出信号によって海底部から所定距離以内に動揺低減板部材を設置することができる。また、請求項9記載の発明では、前記距離検出手段の検出信号に基づき前記巻上げ・繰出し手段を制御して吊り下げ位置を自動調整する制御手段を設けたので、自動的に動揺低減板部材を海底部から所定の距離以内に設置することができる。さらに、請求項10記載の発明では、前記動揺低減板部材を、複数の浮体構造物に連結部材を介してまたがるように吊り下げるようにすることもでき、連結部材の本数を減らして装置の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の一実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図4は、この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した一実施の形態にかかり、図1は通常の使用状態の概略構成図、図2は移動状態の概略構成図、図3は傾斜した海底部での使用状態の概略構成図、図4は着底させた使用状態の概略構成図である。
【0023】
この浮体構造物の動揺低減装置10は、浮体構造物として、例えば浮体11の動揺を低減するために用いられ、浮体11から下方に動揺低減板部材として平板状構造物12が連結部材としてのワイヤー13および巻き上げ・繰り出し手段としてのウインチ14を介して吊下げられ、海底部Sから所定の距離L以内の海底部Sに接近ないし、図4に示すように、着底させて設置してある。
【0024】
これにより、浮体11の下部に平板状構造物12を海底部Sとわずかな空間を空けワイヤー13およびウインチ14で吊下げることで、浮体11の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ等の付加質量に相当するものを飛躍的に増大させることができ、それぞれの固有周期を、通常の波浪の周期から離れた長周期側に設定することが可能となり、広範囲の波浪に対して動揺を抑えることができる。
【0025】
特に浮体11の下部に吊り下げる平板状構造物12を海底部Sに着底させてワイヤー13がたるまないように吊下げることで、一層付加質量に相当するものを増大させることができ、動揺低減効果をさらに大きくすることができる。
【0026】
また、この浮体構造物の動揺低減装置10では、平板状構造物12が、浮体11の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れの粘性減衰力を増大させ、浮体11が動揺した場合の揺れ振幅を小さくする。この揺れの振幅を小さくする効果も、平板状構造物12をワイヤー13がたるまないように海底部Sに着底させることで、一層大きくすることができる。
【0027】
このような浮体構造物の動揺低減装置10では、図1に示すように、浮体11の短辺に対して、例えば2つの平板状構造物12、12を吊下げて構成してあるが、動揺低減板部材としての平板状構造物12は、その大きさとして浮体11の水線面積(喫水線での水平断面の面積)と同一ないしそれより小さい総面積を確保できれば良く、2つの平板状構造物12,12で構成する場合に限らず、図5に示すように、1つの平板状構造物12で構成したり、さらに多くの平板状構造物で構成しても良い。
【0028】
また、この平板状構造物12としては、1枚の中実な板で構成したり、板材と補強材とで枠付きの板状としたり、中空の箱状に構成しても良く、必要な強度と耐食性などを確保できれば、金属材料のほか合成樹脂材料などを用いることもできる。さらに、動揺低減板部材としての平板状構造物12は、必ずしも矩形の平板状である必要はなく、横に広い板状であれば、平板状のものに穴をあけたり、凹凸形状やくし型形状などその表面形状は任意の形状であっても良い。
【0029】
このような動揺低減板部材としての平板状構造物12の、海底部Sからの距離Lは、浮体11より吊下げられる各平板状構造物12の一短辺b1,b2を加えた全平板状構造物の幅B(=b1+b2)とした場合に、(L=)B/4以下、すなわち、着底の0から最大でもB/4とすることで、高い動揺低減効果を得ることができる。
【0030】
すなわち、模型を用いた水槽実験で、海底部Sと平板状構造物12であるプレートとの距離Lを、0(着底)、B/32、B/4とした場合と、比較のためプレートなしの場合の浮体の動揺を計測した結果の一例を、上下揺れの場合を図7(横軸がω:角周波数(rad/sec)、縦軸がΖ/ζ:上下揺れの応答値(cm/cm))に、横揺れの場合を図8(横軸がω:角周波数(rad/sec)、縦軸がΦ/ζ:横揺れの応答値(deg/cm))に示した。
【0031】
図7,8から明らかなように、横軸のωが小さい周期の長い場合の平板状構造物であるプレートによる動揺低減効果が大きく、底よりの距離Lが小さくなるほどその効果が大きいことが分かる。
【0032】
また、横揺れでは、図8に示すように、平板状構造物であるプレートが底より大きくはなれている場合(実線と一点鎖線の比較)には、プレートを吊下げたときに固有周期のピークが長周期側にずれることによる動揺低減効果があるが、プレートを海底部Sに近づけるしたがって動揺低減効果の増大とともに、固有周期のピークも小さくなることが分かる。
【0033】
このような実験結果から、動揺低減板部材としての平板状構造物12と海底部Sとの距離Lは、B/4以内の範囲で、浮体11の利用用途などにより要求される動揺条件に応じて設定すれば良い。
【0034】
そして、この浮体構造物の動揺低減装置10では、動揺低減板部材として平板状構造物12をワイヤー13およびウインチ14で吊下げるようにしているので、ウインチ14によりワイヤー13を巻き上げたり、繰り出したりすることができ、これによって平板状構造物12の吊下げ位置を簡単に調整することができる。
【0035】
したがって、図3に示すように、海底部Sが傾斜している場合には、ウインチ14によりワイヤー13の長さを調整することで、傾斜面S1と平行に平板状構造物12を吊下げることが容易となり、動揺低減効果を損ねることなく設置することができる。また、図4に示すように、平板状構造物12を海低部Sに着底させる場合にも、ウインチ14でワイヤー13の長さを調整することで、ワイヤー13をたるませることなく平板状構造物12を設置することができる。
【0036】
さらに、この浮体構造物の動揺低減装置10では、動揺低減板部材である平板状構造物12に海底部Sとの距離Lを検出する距離検出手段としての超音波センサなどの距離センサ15が設けられ、ウインチ14を制御する制御手段としての制御装置16に検出信号が入力され、距離が表示部17で表示されるとともに、ウインチ14を自動制御するようになっている。
【0037】
したがって、距離センサ15の検出結果を表示部17から読み取って手動でウインチ14を操作して平板状構造物12の設置位置を調整することができるとともに、制御装置16でウインチ14を自動制御して平板状構造物12の設置位置を自動調整することもできる。
【0038】
これにより、任意の水深に平板状構造物12を設置することができるだけでなく、潮位変動などに対しても常に所定位置に平板状構造物12を設置することができるとともに、動揺低減量を平板状構造物12の位置を変えることで、調整することができる。
【0039】
また、この浮体構造物の動揺低減装置10では、浮体11を移動しようとする場合に、図2に示すように、動揺低減板部材である平板状構造物12を浮体11の底部に密着するようにウインチ14で巻き上げることで、移動の際の抵抗を大幅に低減することができ、浮体11だけを曳航する場合とほとんど変わらない曳航力で曳航することができる。
【0040】
なお、浮体構造物である浮体11を移動する必要がなく、常時同じ位置に設置する場合には、図6に示すように、平板状構造物12を直接連結部材であるワイヤー13で吊下げるようにし、ウインチ14を省略しても良く、一層構造の簡素化が図れるとともに、コスト低減を図ることもできる。
【0041】
また、この浮体構造物の動揺低減装置10では、浮体11と動揺低減板部材である平板状構造物12とを連結して吊下げる連結部材としてワイヤー13を用いる場合を例に説明したが、ワイヤー13に限らずチェーンやロープなどの紐状のものを用いても良く、あるいは棒状の剛性の高い部材を用いることもできる。
【0042】
このような浮体構造物の動揺低減装置10は、図示省略したが、浮体11を所定の設置海域に曳航した後、浮体11にチェーンなどの係留部材を連結して係留して使用する。
【0043】
このように構成した浮体構造物の動揺低減装置10によれば、動揺低減板部材である平板状構造物12を浮体11から吊下げて海底部Sから所定距離L以内に設置することで、付加質量、粘性減衰力が飛躍的に大きくなり、浮体11の横揺れ、縦揺れ、上下揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れを非常に小さく抑えることができる。
【0044】
また、平板状構造物12を海底部Sに着底させることで、上記動揺低減効果をさらに大きくすることができるとともに、着底させた平板状構造物12によって水平方向の移動に対する把駐力を持つことになり、浮体11を係留するための係留チェーンなどの係留部材を細いもので済ますことが可能となる。
【0045】
さらに、この浮体構造物の動揺低減装置10では、動揺低減板部材である平板状構造物12を浮体11からワイヤー13などで吊下げて海底部Sあるいはその近傍に吊下げる簡便な機構であり、浮体構造物の改造の必要も少なく既存の浮体構造物への適用が簡単にできる。
【0046】
また、浮体11の設置海域の水深が変わっても、動揺低減板部材である平板状構造物12を吊下げるワイヤー13などの長さを調整するだけで簡単に対応することができ、巻き上げ・繰り出し手段であるウインチ14を設ける場合には、一層容易に平板状構造物12の設置位置を調整することができる。
【0047】
さらに、動揺低減板部材である平板状構造物12の海底部Sからの距離Lを調整することで、動揺低減量を調整することができ、浮体11の動揺状態を調整することが可能となる。
【0048】
また、吊下げた動揺低減板部材である平板状構造物12を浮体11の底部に密着するよう吊り上げることで、浮体11を移動する場合の抵抗を小さくすることができ、浮体の曳航が容易となる。
【0049】
さらに、動揺低減板部財である平板状構造物12を複数に分割して設置することで、海底部Sが傾斜している場合や凹凸などがある場合にも海底部Sからの距離Lを所定以内に保持することが容易となり、海底部Sの地形によらず動揺低減効果を確保することができる。
【0050】
また、距離センサ15と制御装置16を設けて平板状構造物12の設置位置を自動的に調整するようにすれば、潮位変化がある場合などでも海底部Sの距離Lを一定に保持することができ、動揺低減効果を一定に保つことができる。
【0051】
このような浮体構造物の動揺低減装置10を設置することで、浮桟橋などの浮体港湾施設、フローティングクレーンなどの海洋工事に用いられる作業船、沿岸域の各種用途に使用される作業用浮体などの浮体構造物の上下揺れ、横揺れ、縦揺れ、前後揺れ、左右揺れ、船首揺れを低減することができ、例えば浮体港湾施設である浮桟橋では、乗客や作業者の乗り心地向上、荷揚げや積み込み時の作業性向上や高効率化を図ることができるとともに、海洋工事に用いられる作業船などでは、工事稼働率の向上を図ることもできる。
【0052】
次に、この発明の他の一実施の形態について、図9により説明する。
この浮体構造物の動揺低減装置10Aでは、複数の浮体11,11Aにまたがるように動揺低減板部材である平板状構造物12Aが吊下げられるとともに、各浮体11,11Aにもそれぞれ平板状構造物12が吊下げてある。
【0053】
なお、平板状構造物12Aを複数の浮体11,11Aにまたがるように吊下げるほかの構成は、すでに説明した実施の形態と同様、海底部Sからの距離L,ウインチの使用の有無など種々の対応で構成すようにしても良い。
【0054】
このような浮体構造物の動揺低減低装置10Aによれば、上記実施の形態と同様の動揺低減効果を奏するとともに、複数の浮体11,11Aに対する動揺低減板部材の個数を減少し、構造を簡素化することができる。
【0055】
また、動揺低減板部材である平板状構造物12,12Aを着底させるようにすれば、水平方向の把駐力が発生し、浮体11,11Aを係留する係留チェーンや係留索など係留部材の本数を減らすことも可能となり、配索が容易となる。
【0056】
次に、この発明のさらに他の一実施の形態について、図10により説明する。
この浮体構造物の動揺低減装置10Bでは、浮体11に吊下げられる動揺低減板部材である平板状構造物12にアンカーとしての機能を付加したものであり、それぞれの平板状構造物12の底面に海底部Sに貫入する貫入部材として下方突き出す鋼管などの杭部材18が複数本取り付けてある。
【0057】
なお、平板状構造物12にアンカーとしての機能を付加する貫入部材として杭部材18を取り付けるようにする以外の構成は、すでに説明した上記2つの実施の形態と同様、海底部Sからの距離L,ウインチの使用の有無、あるいは複数の浮体にまたがる平板状構造物など種々の対応として構成するようにしても良い。
【0058】
このような浮体構造物の動揺低減低装置10Bによれば、上記実施の形態と同様の動揺低減効果を奏するとともに、平板状構造物12に取り付けた貫入部材として杭部材18を海底部Sに貫入させるようにすることで、平板状構造物12を着底させた場合に比べ、一層大きな水平方向の把駐力を得ることができ、浮体11を係留する係留チェーンや係留索などの係留部材19を細いものにすることができる。そして、この杭部材18が海底部Sから外れるまでは、その把駐力で浮体11の動揺を抑えることができ、杭部材18が海底から外れた後は、海底部S近傍に設置した平板状構造物12による動揺低減効果を得て浮体11の動揺を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した一実施の形態にかかる通常の使用状態の概略構成図である。
【図2】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した一実施の形態にかかる移動状態の概略構成図である。
【図3】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した一実施の形態にかかる傾斜した海底部での使用状態の概略構成図である。
【図4】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した一実施の形態にかかる着底させた使用状態の概略構成図である。
【図5】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した他の一実施の形態にかかる通常の使用状態の概略構成図である。
【図6】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用したさらに他の一実施の形態にかかる通常の使用状態の概略構成図である。
【図7】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した水槽実験の結果を示す上下揺れ低減のグラフである。
【図8】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した水槽実験の結果を示す横揺れ低減のグラフである。
【図9】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を複数の浮体に適用した一実施の形態にかかる着底させた使用状態の概略構成図である。
【図10】この発明の浮体構造物の動揺低減装置を浮体に適用した他の一実施の形態にかかる通常の使用状態の概略構成図である。
【図11】従来の浮体構造物の動揺低減装置の概略側面図である。
【図12】従来の浮体構造物の動揺低減装置の概略斜視図である。
【図13】従来の浮体構造物の動揺低減装置の概略斜視図である。
【図14】従来の浮体構造物の動揺低減装置の概略斜視図である。
【図15】従来の浮体構造物の動揺低減装置の概略側面図である。
【符号の説明】
【0060】
10,10A、10B 浮体構造物の動揺低減装置
11,11A 浮体(浮体構造物)
12,12A 平板状構造物(動揺低減板部材)
13 ワイヤー(連結部材)
14 ウインチ(巻き上げ・繰り出し手段)
15 距離センサ(距離検出手段)
16 制御装置(制御手段)
17 距離の表示部
18 杭部材(貫入部材)
19 係留索(係留部材)
S 海底部
S1 傾斜面(海底部)
L 海底部から所定の距離
B 全平板状構造物の幅
b1、b2 各平板状構造物の一短辺の幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体構造物の下部に連結部材を介して動揺低減板部材を海底部から所定距離以内に吊り下げてなることを特徴とする浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項2】
前記連結部材を、チェーン、ワイヤー、ロープなどの線状部材で構成するとともに、この線状部材により前記動揺低減板部材の位置を調整可能とする巻取り・繰出し手段を設けてなることを特徴とする請求項1記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項3】
前記動揺低減板部材を、前記浮体構造物の水線面積と同一ないしそれ以下の大きさとするとともに、1ないし複数に分割して構成したことを特徴とする請求項1または2記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項4】
前記動揺低減板部材を、海底部から当該動揺低減板部材の一短辺の総和の1/4以内の距離にして吊り下げたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項5】
前記動揺低減板部材を、海底部に着底させて吊り下げることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項6】
前記動揺低減板部材に、海底部に貫入する貫入部材を設けたことを特徴とする請求項5記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項7】
前記動揺低減板部材を、前記浮体構造物の移動時に当該浮体構造物の下面に密着可能に構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項8】
前記動揺低減板部材に、海底部との距離を検出する距離検出手段を設け、この検出信号に基づき当該動揺低減板部材の吊り下げ位置を設定することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項9】
前記距離検出手段の検出信号に基づき前記巻上げ・繰出し手段を制御して吊り下げ位置を自動調整する制御手段を設けたことを特徴とする請求項8記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項10】
前記動揺低減板部材を、複数の浮体構造物に連結部材を介してまたがるように吊り下げたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項1】
浮体構造物の下部に連結部材を介して動揺低減板部材を海底部から所定距離以内に吊り下げてなることを特徴とする浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項2】
前記連結部材を、チェーン、ワイヤー、ロープなどの線状部材で構成するとともに、この線状部材により前記動揺低減板部材の位置を調整可能とする巻取り・繰出し手段を設けてなることを特徴とする請求項1記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項3】
前記動揺低減板部材を、前記浮体構造物の水線面積と同一ないしそれ以下の大きさとするとともに、1ないし複数に分割して構成したことを特徴とする請求項1または2記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項4】
前記動揺低減板部材を、海底部から当該動揺低減板部材の一短辺の総和の1/4以内の距離にして吊り下げたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項5】
前記動揺低減板部材を、海底部に着底させて吊り下げることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項6】
前記動揺低減板部材に、海底部に貫入する貫入部材を設けたことを特徴とする請求項5記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項7】
前記動揺低減板部材を、前記浮体構造物の移動時に当該浮体構造物の下面に密着可能に構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項8】
前記動揺低減板部材に、海底部との距離を検出する距離検出手段を設け、この検出信号に基づき当該動揺低減板部材の吊り下げ位置を設定することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項9】
前記距離検出手段の検出信号に基づき前記巻上げ・繰出し手段を制御して吊り下げ位置を自動調整する制御手段を設けたことを特徴とする請求項8記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【請求項10】
前記動揺低減板部材を、複数の浮体構造物に連結部材を介してまたがるように吊り下げたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の浮体構造物の動揺低減装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−103449(P2006−103449A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291091(P2004−291091)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(502422351)株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド (159)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(502422351)株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド (159)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
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