説明

浮遊物捕集装置

【課題】空気中の浮遊物を捕集する捕集装置において、発生したマイナスイオンが空気中のプラスイオンを中和結合し減少や光電子の放出量が減少を抑制することを目的とする。
【解決手段】空気中の浮遊物を捕集する捕集装置において、オゾンを発生しない光源3とTiNで表面を被膜されたイオン発生板4のイオン発生手段をイオン発生風路11に設け、浮遊物を導入する口と捕集手段である電極板8と送風ファン10との導入風路6を分け、イオン発生手段よりマイナスイオンの発生が安定に発生することにより、マイナスイオンの発生量の低下を抑制し、有害なオゾンの発生を低減し、発生したマイナスイオンを効率的さらには安定に浮遊物に荷電し、捕集する浮遊物捕集装置1を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の浮遊物の表面に電荷を与え捕集し、室内へ清浄な空気を供給する捕集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の捕集装置として、コロナ放電を用いて浮遊物に帯電させ、不織布状のフィルタや電気的電界を生み出した電極板に捕集するものが知られている。
【0003】
また、コロナ放電を用いない方法としても、光電効果を用いてマイナスイオンを発生させ、浮遊物をマイナスイオンで帯電し捕集する方法も知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、その捕集装置について図4を参照しながら説明する。
【0005】
図4に示すように、浮遊物を捕集装置100は、紫外線ランプ101からの紫外光を光電子放出材102へ照射し、光電子放出材102からマイナスイオンが発生させる。そして、浮遊物が、光電子放出材102を通る間にマイナスイオンと帯電する。帯電した浮遊物は、荷電粒子捕集材103で捕集される。
【特許文献1】特許第340500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の捕集装置では、光電効果を利用したもので、火花放電の発生を抑制するが、発生したマイナスイオンが空気中のプラスイオンを中和結合し減少する。また、光電放出材の光電子放出部に正孔ができるため、放電された光電子と正孔との間に電気的引力が働き、放出された光電子が光電放出材に戻ろうとし、光電子の放出量が減少し、その結果マイナスイオンの発生量が減少し、浮遊物に荷電するイオン量が低下し、浮遊物が捕集することができなくなる。さらに、紫外線の波長を利用するとオゾンが発生し、人体に対する安全性の問題やオゾンにより構成部品が劣化するという課題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、マイナスイオンの発生量の低下を抑制し、有害なオゾンの発生を低減し、発生したマイナスイオンを効率的さらには安定に浮遊物に荷電し捕集する浮遊物捕集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の浮遊物捕集装置は、上記目的を達成するために、空気中の浮遊物を捕集する装置において、浮遊物を導入する導入風路と前記導入風路内に浮遊物を捕集する捕集手段と、前記捕集手段に送風する送風ファンとを備え、前記送風ファンからの一部の空気を前記捕集手段の風上の前記導入風路へ戻すイオン発生風路と、前記イオン発生風路内にイオン発生手段を設け、前記イオン発生手段として光を照射する光源と、前記光源からの光を受けてイオンを発生するイオン発生板を備えることを特徴とする浮遊物捕集装置である。
【0009】
また、他の手段は、前記イオン発生風路と前記捕集手段の間に所定の間隔を設け、前記浮遊物と前記イオン発生風路からのイオンを混合することを特徴とする浮遊物捕集装置である。
【0010】
また、他の手段は、前記光源の波長を254nmの波長であることを特徴とする浮遊物捕集装置である。
【0011】
また、他の手段は、前記光源と前記イオン発生板を送風方向に対し水平に設置することを特徴とする浮遊物捕集装置である。
【0012】
また、他の手段は、前記導入風路内表面乃至イオン発生風路内表面にイオンが減衰しないような半導体で形成することを特徴とする浮遊物捕集装置である。
【0013】
また、他の手段は、前記捕集手段として、イオンが減衰しない半導体もしくは絶縁体で表面が構成されることを特長する浮遊物捕集装置である。
【0014】
また、他の手段は、前記イオン発生板は表面処理した金属であることを特徴とする浮遊物捕集装置である。
【0015】
また、他の手段は、前記イオン発生板の表面を平滑にすることを特徴とする浮遊物捕集装置である。
【0016】
また、他の手段は、前記金属の表面処理は金(以下、Auと記載)もしくは窒化チタン(以下、TiNと記載)で行うことを特徴とする浮遊物捕集装置である。
【0017】
また、他の手段は、前記導入風路から浮遊物を含む空気が前記イオン発生風路へ流入を抑えることを特徴とする浮遊物捕集装置である。
【0018】
また、他の手段は、前記導入風路に対し、前記イオン発生風路が傾斜状に形成することを特徴とする浮遊物捕集装置である。
【0019】
また、他の手段は、前記導入風路に対し、前記イオン発生風路の開口が狭いことを特徴とする浮遊物捕集装置である。
【0020】
また、他の手段は、浮遊物を空気中に浮遊するオイルミストとすることを特徴とする浮遊物捕集装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、空気中の浮遊物を捕集する装置において、浮遊物を導入する導入風路と前記導入風路内に浮遊物を捕集する捕集手段と、前記捕集手段に送風する送風ファンとを備え、前記送風ファンからの一部の空気を前記捕集手段の風上の前記導入風路へ戻すイオン発生風路と、前記イオン発生風路内にイオン発生手段を設け、前記イオン発生手段として光を照射する光源と、前記光源からの光を受けてイオンを発生するイオン発生板を備えたことにより、イオン発生手段への汚れを防止し、マイナスイオン量の低下を抑制し、さらに安全に安定して浮遊物にマイナスイオンを荷電し、捕集することが可能となるという効果のある浮遊物捕集装置を提供することができる。
【0022】
また、前記イオン発生風路と前記捕集手段の間に所定の間隔を設け、前記浮遊物と前記イオン発生風路からのイオンを混合することにより、荷電する浮遊物の量を高め、捕集効果を高めるという効果のある浮遊物捕集装置を提供することができる。
【0023】
また、前記光源の波長を254nmの波長であることを特徴とすることにより、有害なオゾンの発生を抑制し、作業環境の清浄を確保することが可能となるという効果のある浮遊物捕集装置を提供することができる。
【0024】
また、前記光源と前記イオン発生板を送風方向に対し水平に設置することにより、イオン発生板へのマイナスイオンの戻りを抑制し、イオン発生量を高め、照射する電力量を低減し、省エネで捕集することが可能となるという効果のある浮遊物捕集装置を提供することができる。
【0025】
また、前記導入風路内表面乃至イオン発生風路内表面にイオンが減衰しないような半導体で形成することにより、発生したマイナスイオンの減衰を抑え、浮遊物に効率良くマイナスイオンを荷電し、荷電するスペースをコンパクトにすることが可能となるという効果のある浮遊物捕集装置を提供することができる。
【0026】
また、前記捕集手段として、イオンが減衰しない半導体もしくは絶縁体で表面が構成されることにより、捕集手段内の空間でも浮遊物に効率良くマイナスイオンが荷電し、装置全体をコンパクトにすることが可能となるという効果のある浮遊物捕集装置を提供することができる。
【0027】
また、前記イオン発生手段のイオン発生板は表面処理した金属であることにより、同一素材により、電気的安定でマイナスイオンが安定するという効果のある浮遊物捕集装置を提供することができる。
【0028】
また、前記イオン発生板の表面を平滑にすることにより、さらにイオン発生板からのマイナスイオンがイオン発生板への戻りを抑制し、導入風路へマイナスイオンの発生量が増加し、装置をコンパクトにすることが可能となるという効果のある浮遊物捕集装置を提供することができる。
【0029】
また、前記金属の表面処理はAuもしくはTiNで行うことにより、効率的にイオンが発生し、イオン発生手段をさらにコンパクトにすることが可能となるという効果のある浮遊物捕集装置を提供することができる。
【0030】
また、前記導入風路から浮遊物を含む空気が前記イオン発生風路へ流入を抑えることにより、導入空気からのプラスイオンの流入でのマイナスイオン中和を抑制し、さらにイオン発生手段への防汚をし、マイナスイオンの発生量を維持したまま、長時間、捕集性能を維持ことが可能となるという効果のある浮遊物捕集装置を提供することができる。
【0031】
また、前記導入風路に対し、前記イオン発生風路が傾斜状に形成することにより、導入空気からのプラスイオンの流入でのマイナスイオンの中和によりマイナスイオンの低下やイオン発生手段への防汚をし、さらに長時間、捕集性能を維持ことが可能とあるという効果のなる浮遊物捕集装置を提供することができる。
【0032】
また、前記導入風路に対し、前記イオン発生風路の開口が狭いことにより、導入空気からのプラスイオンの流入でのマイナスイオンの低下やイオン発生手段への防汚や安定してマイナスイオン発生をし、さらにイオン発生手段のメンテナンス期間を長くすることが可能となるという効果のある浮遊物捕集装置を提供することができる。
【0033】
また、浮遊物を空気中に浮遊するオイルミストとすることにより、工作機器や印刷機器が並ぶ工場内にクリーンな環境を提供することが可能となるという効果のある浮遊物捕集装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の請求項1記載の浮遊物捕集装置は、空気中の浮遊物を捕集する装置において、浮遊物を導入する導入風路と前記導入風路内に浮遊物を捕集する捕集手段と、前記捕集手段に送風する送風ファンとを備え、前記送風ファンからの一部の空気を前記捕集手段の風上の前記導入風路へ戻すイオン発生風路と、前記イオン発生風路内にイオン発生手段を設け、前記イオン発生手段として光を照射する光源と、前記光源からの光を受けてイオンを発生するイオン発生板を備えることを特徴とする浮遊物捕集装置としたものであり、イオン発生手段の風路と浮遊物にマイナスイオンを接触させる風路を分けることで、光源から安定した光量が確保され、安定してマイナスイオンを発生させる。また、捕集された清浄な空気でイオン発生板から多量のマイナスイオンが発生させ、浮遊物に荷電し、捕集することが可能になるという作用を有する。
【0035】
また、前記イオン発生風路と前記捕集手段の間に所定の間隔を設け、前記浮遊物と前記イオン発生風路からのイオンを混合することを特徴とする請求項1記載の浮遊物捕集装置としたものであり、マイナスイオンと浮遊物との接触効率を高め、浮遊物に荷電することが可能になるという作用を有する。
【0036】
また、前記光源の波長を254nmの波長であることを特徴とする請求項1記載の浮遊物捕集装置としたものであり、オゾン波長を遮断し、空気中の酸素の酸化反応を抑制することが可能になるという作用を有する。
【0037】
また、前記光源と前記イオン発生板を送風方向に対し水平に設置することを特徴とする請求項1記載の浮遊物捕集装置としたものであり、イオン発生板から発生したマイナスイオンが、再度イオン発生板に戻ることを抑制し、発生したマイナスイオンを安定して供給することが可能になるという作用を有する。
【0038】
また、前記導入風路内表面乃至イオン発生風路内表面にイオンが減衰しないような半導体で形成することを特徴とする請求項1記載の浮遊物捕集装置としたものであり、イオン発生板から発生したマイナスイオンが浮遊物に付着・保持する前に風路内壁面に付着・吸収されることを抑制し、発生したマイナスイオンと浮遊物が効率的に接触することが可能となるという作用を有する。
【0039】
また、前記捕集手段として、イオンが減衰しない半導体もしくは絶縁体で表面が構成されることを特長する請求項1記載の浮遊物捕集装置としたものであり、マイナスイオンが浮遊物に付着・保持する前に捕集手段内でも捕集の材料に付着・吸収されることを抑制し、発生したマイナスイオンと浮遊物が効率的に接触し、捕集することが可能となるという作用を有する。
【0040】
また、前記イオン発生手段のイオン発生板は表面処理した金属であることを特徴とする請求項1記載の浮遊物捕集装置としたものであり、イオン発生板で安定してマイナスイオンを発生するため、イオン発生板の表面の電位差を抑え、発生したマイナスイオンを供給することが可能になるという作用を有する。
【0041】
また、前記イオン発生板の表面を平滑にすることを特徴とする請求項1または7記載の浮遊物捕集装置としたものであり、イオン発生板の凹凸により発生したマイナスイオンが浮遊物に付着・保持する前にイオン発生板に付着・吸収されることを抑制し、発生したマイナスイオンを安定して供給することが可能になるという作用を有する。
【0042】
また、前記金属の表面処理はAuもしくはTiNで行うことを特徴とする請求項1または7記載の浮遊物捕集装置としたものであり、金属の電子の結合エネルギーが高いためマイナスイオン発生量が多くすることが可能となるという作用を有する。
【0043】
また、前記導入風路から浮遊物を含む空気が前記イオン発生風路へ流入を抑えることを特徴とする請求項1記載の浮遊物捕集装置としたものであり、導入風路からの浮遊物やプラスイオンのイオン発生風路への流入を抑制することで、マイナスイオン発生が制御することが可能となり、さらに導入風路内の浮遊物の量によりマイナスイオンの発生を制御することが可能となるという作用を有する。
【0044】
また、前記導入風路に対し、前記イオン発生風路が傾斜状に形成することを特徴とする請求項1または10記載の浮遊物捕集装置としたものであり、さらに導入風路からの浮遊物やプラスイオンのイオン発生風路への流入を抑制することで、マイナスイオン発生が容易に制御することが可能となり、浮遊物の量によりマイナスイオンの発生を精度よく制御することが可能となるという作用を有する。
【0045】
また、前記導入風路に対し、前記イオン発生風路の開口が狭いことを特徴とする請求項1、10または11記載の浮遊物捕集装置としたものであり、導入風路の風力に誘引効果の発生を起すことが可能となり、送風ファンのエネルギーを低減することが可能となるという作用を有する。
【0046】
また、浮遊物を空気中に浮遊するオイルミストとすることを特徴とする請求項1〜11または12記載の浮遊物捕集装置としたものであり、オイルミストに着火しなくオイルミスを高効率の捕集することが可能となるという作用を有する。
【0047】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0048】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における浮遊物捕集装置1の構成図である。
【0049】
図1に示すように、空気中の浮遊物である粉塵やオイルミストを捕集する浮遊物捕集装置1において、躯体2内部にイオン発生手段としてオゾン発生を抑制した波長254nmを照射する光源3と、光源からの光を受けてアースからマイナスの電気を通電するイオン発生板4とイオン発生板4の表面からマイナスイオンを放出する表面処理金属5が設けてある。また、イオン発生手段の光源3とイオン発生板4を送風方向に対し水平に設けられ、イオン発生手段より発生したマイナスイオンは、室内からの空気を吸引する導入風路6に送風される。導入風路6と捕集手段までにマイナスイオンと浮遊物が混合される風路内壁には、半導体で被膜した半導体被膜7が形成されている。さらに捕集手段には電極板8を設け、電極板8は、イオン付着防止フィルム9にて被膜されている。最後に導入風路6より、マイナスイオンと浮遊物を送風する送風ファン10が設けてある。送風ファン10より浮遊物が捕集されたきれいな空気が、室内とイオン発生風路11に送風する。さらにイオン発生風路11の内壁は半導体で被膜した半導体被膜7が形成されている。
【0050】
上記構成により、送風ファン10により導入風路6から室内などに浮遊する浮遊物を含んだ空気が浮遊物捕集装置1内に流入される。そして、イオン発生手段からの発生したマイナスイオンと衝突し、電界を有した捕集手段に送られる。この時、イオン発生手段や導入風路6にて浮遊物にマイナスイオンが保持される。マイナスイオンが保持された浮遊物は、電界の形成された捕集手段の電極板8の表面へは電界の力で流され、電極板8表面のイオン付着防止フィルム9に捕集され、浮遊物を無いクリーンな空気が送風される。
【0051】
また、導入風路6の内壁の半導体被膜7でマイナスイオンの減衰を防止され、浮遊物に荷電しながら、捕集手段へ導入される。捕集手段に導入されたマイナスイオンは、電極板8のイオン付着防止フィルム9により、捕集手段内でも浮遊物に荷電しながら浮遊し、送風ファン10により室内へ放出されることが可能となる。このように、発生したマイナスイオンの減衰を防止することで、空気中に浮遊する浮遊物に荷電し、捕集することが可能となる。
【0052】
また、光源の波長254nmを用いることで、流入する空気中の酸素の酸化反応を抑制することが可能となり、有害なオゾンの発生を抑制し、室内へ清浄空気を供給することが可能となる。
【0053】
また、イオン発生手段の紫外線の光源3とイオン発生板4を送風方向に対し水平に設置することで、イオン発生板4から表面処理金属5に発生したマイナスイオンは、再度、表面処理金属5に吸収されることを防止し、マイナスイオンを安定して導入封路6に供給され、浮遊物に荷電する。
【0054】
また、この時のイオン発生板4の表面に表面処理金属5としてTiNを蒸着し用いていた。TiNは、電気伝導率も高く光電効果としての光電子の多く発生させ、また、硬度の高いため、表面加工後の平滑性の維持に優れている。さらに、室内の浮遊物の中に腐食物も多く含まれるため、耐食性も高いことは言うまでもない。
【0055】
なお、金属で電気伝導率が高いAuの蒸着を用いることも光電子の多く発生させることは、可能となる。
【0056】
また、電極板8には、交互にマイナスの電圧が加かっており、電界が形成されている。マイナスイオンで荷電された浮遊物は、電界により正極側に誘引され、電極板8表面のイオン付着防止フィルム9に付着する。付着した浮遊物は、分子間力や表面張力により、剥離せず捕集することが可能となる。
【0057】
また、電極板8のイオン付着防止フィルム9は、イオン発生手段より発生されたマイナスイオンが、電極板8に導入される前に、誘引されるのを防止するために設けてある。通常のマイナスイオンは浮遊物よりも質量が小さいため、容易に空気中を移動する。そして、マイナスイオンは、電荷が流れやすい金属等に付着するマイナスイオンが消滅する。そのため、浮遊物と衝突するまでにマイナスイオンが減少することがあり、マイナスイオンの低下を防ぐため、電極板8の表面をイオン付着防止フィルム9で覆い、直接マイナスイオンが電極板8に移動しない構成とした。
【0058】
これまで、イオン発生板4の電気的回路構成については、詳細を示していないが、イオン発生板4は、抵抗の低い電線を用いアースに接続されるものとしている。
【0059】
なお、今回、浮遊物を例に説明したが、空気中に浮遊する水滴やダイオキシン等の化学物質等や微生物等もマイナスイオンが荷電できる物質は捕集することが可能となる。
【0060】
また、イオン発生手段に導入する空気が、浮遊物とプラスイオンの存在がないため、効率的にマイナスイオンを発生することができる。
【0061】
また、浮遊物には、粒子の大きさ、材質によりプラス帯電やマイナス帯電を有した物質があり、マイナスイオンの荷電量が不安定であるが、オイルミストのようにある一定の抵抗率を持つ物質は、荷電量が明確に分かり、イオン発生手段からのマイナスイオンの発生を制御し易く、捕集手段にて捕集することが可能となる。
【0062】
このように本発明の実施の形態1の浮遊物捕集装置によれば、安全に浮遊物を捕集することが可能となり、有害なオゾンの発生を抑制し、室内環境の清浄を確保することが可能となる。また、イオン発生板から発生したマイナスイオンが、再度イオン発生板に戻ることを抑制し、発生したマイナスイオンを安定して供給することが可能になる。また、風路内壁面に発生したマイナスイオンが浮遊物に付着・保持する前に付着・吸収されることを抑制し、発生したマイナスイオンと浮遊物が効率的に接触することでコンパクトにすることが可能となる。また、イオン発生手段に導入する空気が、プラスイオンの存在がないため、効率的にマイナスイオンを発生することができる。また、イオン発生手段への汚れを防止し、安定してマイナスイオン発生させるため、導入される浮遊物の量によりマイナスイオンの発生に必要な光源の照射電力量を調整でき、省エネで捕集することが可能となることとなる。また、浮遊物を空気中に浮遊するオイルミストとすることで、マイナスイオンが効率的に付着し、捕集することが可能となる。
【0063】
(実施の形態2)
図2または図3は本発明の実施の形態2における浮遊物捕集装置1の構成図である。
【0064】
図2に示すように、導入風路6とイオン発生手段との間に所定の間隔を設けた構成とする。
【0065】
上記構成により、室内の浮遊物が導入風路6からイオン発生風路11へ流入を防止し、イオン発生手段まで到達を抑制する。
【0066】
なお、導入風路6とイオン発生手段の間に所定の距離を設けたが、図3に示すように、イオン発生手段のイオン発生板4に傾斜を設けて良い。
【0067】
また、イオン発生風路11と導入風路6の接続部の開口部を導入風路6の開口部よりもイオン発生風路11の開口部よりも狭くすることでも、同様な効果が得られる。
【0068】
また、イオン発生風路11と導入風路6の接続部に導入風路6からの風圧が加わらないにように、邪魔板をつける方法を用いても良い。
【0069】
このように本発明の実施の形態2の浮遊物捕集装置によれば、イオン発生風路へ室内からの浮遊物の流入を抑制し、イオン発生板4から発生するマイナスイオンを安定して発生させ、さらには、イオン発生手段の光源3やイオン発生板4を防汚し、メンテナンスの回数を低減し、安定してマイナスイオン発生させるため、導入される浮遊物の量によりマイナスイオンの発生に必要な光源の照射電力量を調整でき、さらに省エネで捕集することが可能となることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の浮遊物捕集装置を用いることによって、コロナ放電で発生する火花放電やオゾンの発生を抑制することができるようになり、室内への清浄な空気を供給することが可能になる。排ガス浄化装置など産業用機器の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態1記載の浮遊物捕集装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態2記載の浮遊物捕集装置の構成図
【図3】本発明の実施の形態2記載の浮遊物捕集装置の構成図
【図4】従来の捕集装置を示す構成図
【符号の説明】
【0072】
1 浮遊物捕集装置
2 躯体
3 光源
4 イオン発生板
5 表面処理金属
6 導入風路
7 半導体被膜
8 電極板
9 イオン付着防止フィルム
10 送風ファン
11 イオン発生風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の浮遊物を捕集する装置において、浮遊物を導入する導入風路と、前記導入風路内に浮遊物を捕集する捕集手段と、前記捕集手段に送風する送風ファンとを備え、前記送風ファンからの一部の空気を前記捕集手段の風上の前記導入風路へ戻すイオン発生風路と、前記イオン発生風路内にイオン発生手段を設け、前記イオン発生手段として光を照射する光源と、前記光源からの光を受けてイオンを発生するイオン発生板を備えることを特徴とする浮遊物捕集装置。
【請求項2】
前記イオン発生風路と前記捕集手段の間に所定の間隔を設け、前記浮遊物と前記イオン発生風路からのイオンを混合することを特徴とする請求項1記載の浮遊物捕集装置。
【請求項3】
前記光源の波長を254nmの波長であることを特徴とする請求項1記載の浮遊物捕集装置。
【請求項4】
前記光源と前記イオン発生板を送風方向に対し水平に設置することを特徴とする請求項1記載の浮遊物捕集装置。
【請求項5】
前記導入風路内表面乃至イオン発生風路内表面にイオンが減衰しないような半導体で形成することを特徴とする請求項1記載の浮遊物捕集装置。
【請求項6】
前記捕集手段として、イオンが減衰しない半導体もしくは絶縁体で表面が構成されることを特長する請求項1記載の浮遊物捕集装置。
【請求項7】
前記イオン発生板は表面処理した金属であることを特徴とする請求項1記載の浮遊物捕集装置。
【請求項8】
前記イオン発生板の表面を平滑にすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の浮遊物捕集装置。
【請求項9】
前記金属の表面処理はAuもしくはTiNで行うことを特徴とする請求項7または8記載の浮遊物捕集装置。
【請求項10】
前記導入風路から浮遊物を含む空気が前記イオン発生風路へ流入を抑えることを特徴とする請求項1記載の浮遊物捕集装置。
【請求項11】
前記導入風路に対し、前記イオン発生風路が傾斜状に形成することを特徴とする請求項10記載の浮遊物捕集装置。
【請求項12】
前記導入風路に対し、前記イオン発生風路の開口が狭いことを特徴とする請求項10または11記載の浮遊物捕集装置。
【請求項13】
浮遊物を空気中に浮遊するオイルミストとすることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の浮遊物捕集装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−165975(P2009−165975A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7710(P2008−7710)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】