説明

浴剤収納容器

【課題】 浴剤収納容器を合成樹脂材で安価に、かつ使い易く形成した。
【解決手段】 上面開口の容器本体と、該容器本体上面を開閉自在に閉塞する蓋体とを合成樹脂材で成形し容器本体の上端部外周にフロート5を付形すると共に該容器本体には多数の湯水出入孔12を穿設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴槽の湯に浮かべ、容器内に収納させた浴剤を湯中に溶解させることが可能とした浴剤収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
頂板下面から下端開口の筒部を垂下するフロートと、上記筒部の下部外面へ螺合させた嵌合筒下端に内向きフランジを付設する連結部材と、浴剤を収納させた通水孔付き容器体の周壁上端に付設した外向きフランジを上記内向きフランジ上面へ載置させ、かつ該内向きフランジのフランジ孔から容器体を下方へ垂下させ、又外向きのフランジ上面をフィルムで閉塞させた容器が知られている。(特許文献1)。
【特許文献1】実公平6−408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記容器は、フロートと連結部材と容器体とで形成するが、これ等は個別に形成するためにコスト高となる欠点があった。
【0004】
本発明は本体と蓋体とを合成樹脂材により一体成形させ、又フロートを容器外周に形成させて浴槽内で容器が常に正立状態を保ち、湯中への浴剤溶解が順調に行えるように設けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段として、上面開口の容器本体と、該容器本体の上面を開閉自在に閉塞する蓋体とからなる浴剤収納容器であって、容器本体上端外周をフロート5とすると共に、容器本体には多数の湯水出入孔12を穿設した。
【0006】
第2の手段として、上記第1の手段を有すると共に上記容器本体の上端外周一部へ、上記蓋体をヒンジ連結させて、合成樹脂材で一体成形させた。
【0007】
第3の手段として、上記第1又は第2の手段を有すると共に上記フロート5を、下面開口の第1浮輪状部6で形成して該第1浮輪状部内外両筒部のいずれかの一方下端から本体周壁4を垂下させて、該本体周壁に湯水出入孔12を穿設した。
【0008】
第4の手段として、上記第3の手段を有すると共に上記本体周壁4を第1浮輪状部6の内筒部10の下端から垂下させ、第1浮輪状部6の上部7を、内外両筒部10、11に設けた上向き段部8、9を介して小内径かつ小外径となし、蓋体は、第1頂板22外周から上記第1浮輪状部6の上部7外面へ嵌合させる蓋体周壁23を垂下させて、該蓋体周壁下端と外方上向き段部9の各外縁一部を肉薄ヒンジ14で連結した第1蓋体21となし、第1蓋体開蓋状態で、同一形状、かつ同一大きさに形成した複数の第1容器1を、下位第1容器の本体周壁4内へ上位第1容器の本体周壁4を嵌合させ、かつ下位第1容器の第1浮輪状部の上部7を上位第1容器の第1浮輪状部の内外両筒部10、11間に挿入させて、積重ね可能に形成した。
【0009】
第5の手段として、上記第2の手段を有すると共に上記フロート5を、上面開口の第2浮輪状部32で形成して、該第2浮輪状部の内筒34下端から本体周壁4を垂下させて、該本体周壁に湯水出入孔12を穿設し、又上記第2浮輪状部32の上端開口面を第2蓋体41の外周部下面で密閉可能に形成した。
【0010】
第6の手段として、上記第5の手段を有するとともに上記本体周壁4を、下部小径のテーパ状とした第2容器本体31を有し、第2蓋体41は、開蓋時にあっては第2容器体31と同一形状かつ同一大きさの上面開口とし、上記肉薄ヒンジ14を中心とする回動で閉蓋された状態にあっては、倒立により下面を開口する第2蓋体の第2浮輪状部32下面が第2容器体31の上面開口第2浮輪上部32の上面を密閉可能となし、又開蓋状態にあっては、同一大きさ、同一形状とした複数第2容器の下位第2容器体および第2蓋体41上へ、上位の第2容器体および第2蓋体を嵌合させて積重ね可能とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の構成とすることで、合成樹脂材による容器の成形が容易で、廉価に形成でき、又容器本体の上端外周をフロートとするから、該フロートは環状に形成されることとなって湯内での浮遊状態において容器の正立状態を保つことが出来、容器本体内へ入れた浴剤溶解を順調に行わせることが出来る。
【0012】
請求項2のようにすることで、容器の成形が更に容易となり、廉価に成形できる。
【0013】
請求項3のようにすることで、フロートの形成が容易である。
【0014】
請求項4のようにすることで、空箱状態での容器輸送を積重ねして行うことが出来る便利がある。
【0015】
請求項5のようにすることでそのフロート形成が容易であり、その上面開口フロートの上面閉塞も容易である。
【0016】
請求項6のようにすることで、容器本体と蓋体との区別をなくすことが出来て容器の使用が便利となり、又上記輸送時の積重ねも出来て輸送のためのコストも廉価とできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず図1から図4が示す第1実施形態について説明すると、1は第1容器、2は第1容器本体で、該第1容器本体は、底板3外周から上部大径のテーパ状本体周壁4を起立し、該本体周壁上端には、下面開口の内外二重筒状のフロート5を付設している。該フロートは下面開口の第1浮輪状部6で形成しており、その第1浮輪状部6は、断面逆U字形状とした上部7の内壁部および外壁部の下端からそれぞれ内外方上向き段部8、9を介して、内壁部下端から内筒部10を、又外壁部下端から外筒部11を、それぞれ垂下させ、かつ内筒部10下端から上記本体周壁4を垂下させている。又その本体周壁4および底板3にはそれぞれ多数の湯水出入孔12を穿設している。
【0018】
又そのフロート5は第1浮輪状部6の内部を空気溜り13として形成するもので、該空気溜り内には相当量の空気を溜め、図4が示すようにフロートとして機能するよう設けておく。
【0019】
上記第1浮輪状部6の外方の上向き段部9外縁の一部には、図2、図4が示すように肉薄ヒンジ14を介して、上記第1容器本体2上面を開閉自在に閉塞する第1蓋体21を付設している。該第1蓋体は、頂板22外周から蓋体周壁23を垂下するもので、上記肉薄ヒンジ14を中心として回動させることで、その蓋体周壁23を上記外壁部外面へ嵌合できるよう設けている。尚上記肉薄ヒンジ14と対向する側の蓋体周壁部分からは閉蓋状態を保持させるためのフック24を垂下させ、又肉薄ヒンジ14と対向する側の第1容器本体外筒部11上端には上記フック係合のための突部25を付設している。
【0020】
上記上部7の外周壁と蓋体周壁23とは気密に嵌合させるとよく、このようにすることで、該第1蓋体21と第1浮輪状部6との各内面を、第1容器蓋体閉蓋時において第2空気溜室26にすることが出来る。
【0021】
上記第1蓋体21付きの第1容器本体2は、図3が示すように、同一形状、同一大きさとした複数の第1容器1を設けて、その下位第1容器の本体周壁4内へ上位第1容器の本体周壁4を嵌合させ、又下位第1容器の第1蓋体21上方へ上位第1容器の第1蓋体21を位置させて積重ね可能に形成することが望ましい。該積重ね状態において各第1浮輪状部の内筒部10上端の内方上向き段部8上へ、上位第1容器の内筒部10下端を載置可能としている。又このとき、各第1浮輪状部6の各上部7は、上位第1容器の内筒部8と外筒部9との間へ挿入できるよう設けている。
【0022】
上記第1容器本体内へは、図4が示すように、浴剤27を収納させる。該浴剤は固形物でも、又、粉末状物でもよく、粉末状物の場合は適宜通水性の袋内へ収納させる。
尚上記第1容器は、適宜合成樹脂材で一体成形している。
【0023】
図5から図7は第2実施形態としての第2容器30を示す。第1実施形態と同一部分については同一符号を付することで説明を省略し、相異部分についてだけ述べると、第2容器体31のフロート5を、上面開口の第2浮輪状部32で形成している。即ち、リング状底板33の内外両周縁から内筒34と、外筒35とを起立させて形成し、その底板と内外両筒とが形成する上面開口の環状空間を第3空気溜り36としている。尚図示例ではその環状空間内へほぼ等間隔に仕切り板37を設けて上記空気溜りを多数の凹部で形成している。
【0024】
上記第2容器本体31と第2蓋体41とは、同一形状、同一大きさに形成しており、それ等は各外筒35の上端外縁の一部を肉薄ヒンジ14を介して連結しており、該肉薄ヒンジを屈折させて倒立された第2蓋体41上面を第2容器体31上面へ重ねることで、第2蓋体41の第2浮輪状部32上面が、第2容器体31の第2浮輪状部32上面ヘ気密に接し、第2容器体31の第3空気溜り36と第2蓋体41の空気溜りとは互いに密封されるよう設けている。該第2実施形態の場合は、第2容器本体と第2蓋体との両第2浮輪状部がフロート5を形成することとなる。
【0025】
該第2実施形態の場合は、同一形状、同一大きさに設けた複数の第2容器30を図6が示すように開蓋状態において下位の第2容器体31内へ上位の第2容器体を、又下位の第2蓋体41内へ上位の第2蓋体41を、それぞれ嵌合させて積重ね可能とする。該積重ね状態で各下位第2浮輪状部上へ下位第2浮輪状部が積み上げされる。
【0026】
該第2実施形態の場合は、図7が示すように閉蓋状態で第2蓋体41内に浴剤27の上部が入るよう設けてもよい。フロート5の大きさによっては第2容器を浴槽の湯中に入れたとき、該第2容器の上部だけが湯面上方へ露出し、フロート5は湯中に位置して浮遊することもある。
【0027】
尚該第2実施形態にあっては、フロート5を、第2容器体31の第2浮輪状部32と第2蓋体41の第2浮輪状部との各上端開口面を重合せ密閉させて形成したが、これ等はその一方ないし双方を別に設けたシート等で密閉して形成することも考えられ、又第1実施形態の場合のように第2浮輪状部の空気溜りを大きく形成すれば上記シートを不要とすることも考えられる。尚既述第1実施形態で示す第1容器1と、第2実施形態が示す、第2容器30はそれぞれ合成樹脂材で一体成形している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態で示す本発明第1容器の半断面図である。
【図2】図1容器本体の平面図である。
【図3】図1容器を開蓋し、かつ複数容器を積重ねた状態で示す断面図である。
【図4】図1容器内へ浴剤を入れ、かつ該容器を湯中に浮かべた状態を示す半断面図である。
【図5】第2実施形態で示す第2容器を開蓋状態で示す斜視図である。
【図6】図5の複数容器を開蓋のまま積重ねた状態を示す断面図である。
【図7】図5容器内へ浴剤を入れ、湯中に浮かべた状態を示す半断面図である。
【符号の説明】
【0029】
2 第1容器本体 4 本体周壁
5 フロート 6 第1浮輪状部
8 内方上向き段部 9 外方上向き段部
10 内筒部 11 外筒部
12 湯水出入孔 21 第1蓋体
27 浴剤 30 第2容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口の容器本体と、該容器本体の上面を開閉自在に閉塞する蓋体とからなる浴剤収納容器であって、容器本体上端外周をフロート5とすると共に、容器本体には多数の湯水出入孔12を穿設した
ことを特徴とする浴剤収納容器。
【請求項2】
上記容器本体の上端外周一部へ、上記蓋体をヒンジ連結させて、合成樹脂材で一体成形させた
ことを特徴とする、請求項1記載の浴剤収納容器。
【請求項3】
上記フロート5を、下面開口の第1浮輪状部6で形成して該第1浮輪状部内外両筒部のいずれかの一方下端から本体周壁4を垂下させて、該本体周壁に湯水出入孔12を穿設した ことを特徴とする請求項1又は2記載の浴剤収納容器。
【請求項4】
上記本体周壁4を第1浮輪状部6の内筒部10の下端から垂下させ、第1浮輪状部6の上部7を、内外両筒部10、11に設けた上向き段部8、9を介して小内径かつ小外径となし、蓋体は、第1頂板22外周から上記第1浮輪状部6の上部7外面へ嵌合させる蓋体周壁23を垂下させて、該蓋体周壁下端と外方上向き段部9の各外縁一部を肉薄ヒンジ14で連結した第1蓋体21となし、第1蓋体開蓋状態で、同一形状、かつ同一大きさに形成した複数の第1容器1を、下位第1容器の本体周壁4内へ上位第1容器の本体周壁4を嵌合させ、かつ下位第1容器の第1浮輪状部の上部7を上位第1容器の第1浮輪状部の内外両筒部10、11間に挿入させて、積重ね可能に形成した
ことを特徴とする請求項3記載の浴剤収納容器。
【請求項5】
上記フロート5を、上面開口の第2浮輪状部32で形成して、該第2浮輪状部の内筒34下端から本体周壁4を垂下させて、該本体周壁に湯水出入孔12を穿設し、又上記第2浮輪状部32の上端開口面を第2蓋体41の外周部下面で密閉可能に形成した
ことを特徴とする、請求項2記載の浴剤収納容器。
【請求項6】
上記本体周壁4を、下部小径のテーパ状とした第2容器本体31を有し、第2蓋体41は、開蓋時にあっては第2容器体31と同一形状かつ同一大きさの上面開口とし、上記肉薄ヒンジ14を中心とする回動で閉蓋された状態にあっては、倒立により下面を開口する第2蓋体の第2浮輪状部32下面が第2容器体31の上面開口第2浮輪上部32の上面を密閉可能となし、又開蓋状態にあっては、同一大きさ、同一形状とした複数第2容器の下位第2容器体および第2蓋体41上へ、上位の第2容器体および第2蓋体を嵌合させて積重ね可能とした
ことを特徴とする請求項5記載の浴剤収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−335669(P2006−335669A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−160692(P2005−160692)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】