説明

浴室ドア枠上壁パネル固定構造

【課題】浴室天井パネルを上方に持ち上げなくとも、浴室内部でドア枠上壁パネルを浴室ドア枠から取り外すことができる浴室ドア枠上壁パネル固定構造を提供すること。
【解決手段】本発明の浴室ドア枠上壁パネル固定構造は、浴室ドア枠1の上端部10に被取付部2を設け、浴室天井パネル3の外端部30に被連結部31を設け、ドア枠上壁パネル4の下端部40に浴室内部から被取付部2に差込自在に取り付けられる取付部41を設けると共に、ドア枠上壁パネル4の上端部42に浴室内部から被連結部31に固着具5で着脱自在に固着される連結部43を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ドア枠と浴室天井パネルとの間にドア枠上壁パネルを固定する浴室ドア枠上壁パネル固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図3に示すような、浴室ドア枠1と浴室天井パネル3との間にドア枠上壁パネル4´を固定する浴室ドア枠上壁パネル固定構造が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
浴室ドア枠1の上端部10には、上方に突出する柱状の突起部6が設けてあって、ドア枠上壁パネル4´の下端部40´には、この突起部6を嵌入させる孔7が上下方向に貫通して設けてある。この突起部6に孔7が嵌入するように浴室ドア枠1に上方からドア枠上壁パネル4´を載置することで、ドア枠上壁パネル4´は浴室ドア枠1に固定される。
【0004】
そして、このドア枠上壁パネル4´の上端部42´の上端面48´に浴室天井パネル3を載せた状態で、この上端部42´と浴室天井パネル3の外端部30から垂下する垂下片32とをねじ等の固着具5で固定する。このようにして、ドア枠上壁パネル4´は、浴室ドア枠1と浴室天井パネル3との間に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−266001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、交換やメンテナンスを行うためにドア枠上壁パネル4´を取り外す必要が生じた場合、固着具5を外して浴室天井パネル3を上方に持ち上げなければ、ドア枠上壁パネル4´は浴室ドア枠1から取り外すことが困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、浴室天井パネルを上方に持ち上げなくとも、浴室内部でドア枠上壁パネルを浴室ドア枠から取り外すことができる浴室ドア枠上壁パネル固定構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の浴室ドア枠上壁パネル固定構造は、浴室ドア枠の上端部に被取付部を設け、浴室天井パネルの外端部に被連結部を設け、ドア枠上壁パネルの下端部に浴室内部から前記被取付部に差込自在に取り付けられる取付部を設けると共に、前記ドア枠上壁パネルの上端部に前記浴室内部から前記被連結部に固着具で着脱自在に固着される連結部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の浴室ドア枠上壁パネル固定構造は、浴室天井パネルを上方に持ち上げなくとも、浴室内部でドア枠上壁パネルを浴室ドア枠から取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態の浴室ドア枠上壁パネル固定構造の分解斜視図を示す。
【図2】同上の浴室ドア枠上壁パネル固定構造の固定状態の斜視図を示す。
【図3】従来の浴室ドア枠上壁パネル固定構造の分解斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態の浴室ドア枠上壁パネル固定構造は、図2に示すような浴室ユニットに適用されるものである。この浴室ユニットは、浴室の出入口部分に設けられる浴室扉8を設置する浴室ドア枠1と、その上方に位置する浴室天井パネル3と、この浴室ドア枠1と浴室天井パネル3との間の壁面をなすドア枠上壁パネル4と、から構成される。以下においては、図2に示す固定状態を基準として、浴室ドア枠1から視て浴室外側(図2に示す方向a)を前方向、浴室内側(図2に示す方向b)を後方向、その前後方向に直交する水平方向(図2に示す方向c,d)を左右方向として説明を行う。
【0013】
浴室ドア枠1は、上下に長い略矩形の環状の枠であって、その内側に折畳み扉等の浴室扉8が設置される。浴室扉8は、浴室の出入口部分を開いた状態において、この浴室ドア枠1の幅方向である左右方向の一端部に寄せられて、浴室ドア枠1の左右方向の他端部との間に出入空間を形成する。また、浴室ドア枠1の前後方向の厚みは、浴室扉8の前後方向の厚みよりも分厚く形成されている。この浴室ドア枠1の後端部分の内側に浴室扉8は設置される。設置されて出入口部分を閉じた状態の浴室扉8の後面は、浴室ドア枠1の後面と略面一となる。この浴室ドア枠1の前端部分の上部には、浴室ユニット形成後、間仕切壁9が取り付けられて、浴室ドア枠1の上方部分は、露出しないものとなる。
【0014】
図1に示すように、浴室ドア枠1の上端部10は、前方に向けて開口する断面略コ字状に形成されている。この上端部10の上端の上端面11には、上方に突出する位置決め突起12が、前後方向に距離をおいて二列設けてある。この二列の位置決め突起12,12は、上端面11の左右方向全域に亘って設けられている。
【0015】
この二列の位置決め突起12,12の間にできる凹所13に、後述する被取付部2となるバネ金具20が嵌め込まれる。
【0016】
この被取付部2となるバネ金具20は、弾性を有し、凹所13に嵌め込まれる平板状の取付板21と、その取付板21から延びる抑え部22とから構成される。平板状の取付板21は、前後方向の幅の異なる矩形状の幅広部分23と矩形状の幅狭部分25とが左右方向に並んだ略L字状のものからなる。
【0017】
取付板21の幅広部分23には、ねじ等の固着具24が差し込まれる挿入孔(図示せず)が上下に貫通するように設けてある。ここでこの幅広部分23の前後方向の幅は、前述の二列の位置決め突起12,12間の前後方向の距離と同じ長さとなっている。
【0018】
また、取付板21の幅狭部分25の後端部からは斜め上方後方に立ち上がった後、斜め下方後方に折れ曲がった断面略へ字状の抑え部22が延びている。この抑え部22は、取付板21の幅狭部分25の後端部の左右方向全域から延びるように形成されている。ここで、この斜め下方後方に折れ曲がった部分を引っ掛け部220とする。抑え部22の引っ掛け部220の後端は、凹所13にバネ金具20が嵌め込まれた状態において、後列側の位置決め突起12よりも後方側の上端面11の上方に位置することとなる。なお、固着具24が差し込まれる挿入孔を設ける部分と、抑え部22を設ける部分と、を左右方向にずらしたことで、バネ金具20は前後方向に短く形成可能となっている。
【0019】
ドア枠上壁パネル4は、上端部42が浴室天井パネル3に固着される連結部43となる。この上端部42は、前方に略水平に延びた後、上方に立ち上がった形状となっている。ここで、この前方に略水平に延びた部分を上端水平部44とし、この上方に立ち上がった部分を立ち上がり部45とする。
【0020】
また、ドア枠上壁パネル4の下端部40は、浴室ドア枠1に取り付けられる取付部41となる。この下端部40は、前方に略水平に延びた後、上方に立ち上がって、そして斜め上方後方に折れ曲がってさらに斜め下方後方に折れ曲がった断面略三角形状をなしている。ここで、この前方に略水平に延びた部分を下端水平部46とし、上方に立ち上がって、そして斜め上方後方に折れ曲がった部分をガイド部410とし、斜め下方後方に折れ曲がった部分を引っ掛かり部411とする。ガイド部410の上端から下端水平部46の下端面までの上下方向の長さは、取付板21が凹所13に嵌め込まれた状態の引っ掛け部220の下端からその下方の上端面11までの上下方向の距離よりも長いものとなっている。また、この下端部40の断面略三角形状の取付部41は、後列側の位置決め突起12と、この位置決め突起12よりも後方の抑え部22と、その下方の上端面11とで囲まれる空間と略同じ大きさとなっている。上述のようにして構成される取付部41は、被取付部2となるバネ金具20に、浴室内部から前後方向に差込自在に取り付けられる。
【0021】
そして、このドア枠上壁パネル4の上端部42と下端部40の間には、平板部47が形成されている。この平板部47は、ドア枠上壁パネル4が浴室ドア枠1に取り付けられた状態で、浴室ドア枠1の後面や閉じた状態の浴室扉8の後面と略面一となる。
【0022】
このドア枠上壁パネル4の上端部42が固着される浴室天井パネル3は、主体が略矩形の平板状に形成されている。そして、この浴室天井パネル3の前端部(外端部30)の左右方向全域からは、ドア枠上壁パネル4に固着される被連結部31となる垂下片32が鉛直方向に垂下して設けられている。ドア枠上壁パネル4の上端部42の連結部43は、この被連結部31に、ねじ等の固着具5によって浴室内部から前後方向に着脱自在に固着される。
【0023】
上述した構成の浴室ユニットの組立方法について説明する。
【0024】
まず、浴室ドア枠1の上端部10の上端面11の凹所13に、被取付部2をなすバネ金具20の取付板21を嵌め込み、さらに、取付板21の挿入孔にねじ等の固着具24を挿入して、浴室ドア枠1にバネ金具20を前後方向及び左右方向に動き難い状態で固定する。なお、この施工は、浴室ドア枠1を立ててからでは高い位置での施工となるので、立てる前に行っておくことが好ましい。また、工場からの出荷時に既に取り付けた状態であっても構わない。
【0025】
次に、ドア枠上壁パネル4の下端部40の取付部41の下端水平部46が浴室ドア枠1の上端面11に沿うように、ドア枠上壁パネル4を浴室内部から前方向に差し込む。すると、引っ掛け部220がガイド部410にガイドされて上方に弾性変形する。引っ掛け部220は、ガイドされてガイド部410の上端を後方向に過ぎると、引っ掛かり部411に引っ掛かって、ドア枠上壁パネル4が後方向に抜けにくい状態となる。この時、ガイド部410の前端部(上方に立ち上がった部分)は後列の位置決め突起12に接触して、ドア枠上壁パネル4がそれ以上前方向に動き難い状態となる。このようにして、ドア枠上壁パネル4は浴室ドア枠1上の前後位置が決まった状態で取り付けられる。また、断面略三角形状の取付部41は、上方から抑え部22でその下方の上端面11に押し付けられた状態となる。このようにして、ドア枠上壁パネル4は、上方に移動することが抑制されるとともに、その上端部42が前後方向に回動することも抑制された取付状態となる。
【0026】
そして、ドア枠上壁パネル4の上端部42の連結部43をなす立ち上がり部45の後方に、浴室天井パネル3の被連結部31をなす垂下片32が重なるように、浴室天井パネル3を、ドア枠上壁パネル4上に載せる。この時、ドア枠上壁パネル4の立ち上がり部45の上端面48は、浴室天井パネル3に上下方向に接触して、浴室天井パネル3を支えた状態となっている。そして、この重なった部分に固着具5を浴室内部から挿入して、立ち上がり部45と垂下片32とを固着させて、ドア枠上壁パネル4と浴室天井パネル3とを固着する。
【0027】
最後に、浴室天井パネル3とドア枠上壁パネル4の上端部42の上端水平部44との間にできる浴室内部側に開口する凹所33に(図2参照)、左右方向全域に亘って目地材34を浴室内部から圧入する。この目地材34によって、浴室天井パネル3とドア枠上壁パネル4の上端部42の間から、浴室内部の水が漏れ出すことが防止される。
【0028】
上述のように組み立てた状態において、浴室ドア枠1の上端面11の後方側の位置決め突起12とガイド部410の前端部(上方に立ち上がった部分)は左右方向全域に亘って隙間なく接触している。そして、その位置決め突起12よりも後方の上端面11とドア枠上壁パネル4の下端部40の下端水平部46は左右方向全域に亘って隙間なく接触している。このようにして、浴室ドア枠1とドア枠上壁パネル4の間から、浴室内部の水が漏れ出すことが防止される。
【0029】
続いて、上述した構成の浴室ユニットの分解方法について説明する。
【0030】
まず、浴室天井パネル3とドア枠上壁パネル4の間の目地材34を浴室内部から取り外す。次に、浴室天井パネル3の垂下片32とドア枠上壁パネル4の立ち上がり部45を固定する固着具5を浴室内部から取り外す。そして、ドア枠上壁パネル4を浴室内部から略水平方向に引っ張って、浴室ドア枠1のバネ金具20からドア枠上壁パネル4の取付部41を外して、浴室ドア枠1からドア枠上壁パネル4を取り外す。
【0031】
以上の分解施工は、浴室天井パネル3を上方に持ち上げなくとも行うことができる。そのため、本実施形態の浴室ドア枠上壁パネル固定構造は分解性の良いものとなっている。なお、浴室ドア枠1の前端部分の上方には、浴室ドア枠1の上方部分の露出を抑える間仕切壁9が取り付けられているが、これらの分解施工は、全て浴室内部で行うことができるので、この間仕切壁9は邪魔にならない。
【0032】
上述した本実施形態の浴室ドア枠上壁パネル固定構造は、浴室ドア枠1の上端部10に被取付部2を設け、浴室天井パネル3の外端部30に被連結部31を設けたものである。そして、ドア枠上壁パネル4の下端部40に浴室内部から被取付部2に差込自在に取り付けられる取付部41を設け、ドア枠上壁パネル4の上端部42に浴室内部から被連結部31に固着具5で着脱自在に固着される連結部43を設けたものである。
【0033】
このような構成とすることで、ドア枠上壁パネル4を浴室天井パネル3と浴室ドア枠1とに浴室内部から固定することができる。また、ドア枠上壁パネル4を取り外す際には、浴室内部から、固着具5を取りはずして浴室天井パネル3からドア枠上壁パネル4を取り外す。そして、ドア枠上壁パネル4を浴室内部から略水平方向に引っ張れば、浴室ドア枠1から取り外すことができる。つまり、浴室天井パネル3を上方に持ち上げなくとも、浴室内部でドア枠上壁パネル4を浴室ドア枠1から取り外すことができる。
【0034】
以上のように、本実施形態の浴室ドア枠上壁パネル固定構造は、組立性及び分解性の良いものとなっている。
【0035】
(変更例)
上記実施形態においては、浴室ドア枠1の上端部10の上端面11に位置決め突起12を設けたが、この位置決め突起12を設けず、固着具24単独で被取付部2をなすバネ金具20を固定するような構成であっても構わない。この場合、浴室ドア枠1上のドア枠上壁パネル4の前後方向及び左右方向は、バネ金具20だけで位置決めできる構造にすればよい。
【0036】
また、浴室ドア枠1の被取付部2とドア枠上壁パネル4の取付部41は、ドア枠上壁パネル4の上方への移動を抑制すると共にドア枠上壁パネル4の回動を抑制し、水平方向への移動も抑制できるような構造であれば、上述の本実施形態の構造に限定されない。
【0037】
また、被取付部2をなす別体のバネ金具20を浴室ドア枠1の上端部10の上端面11に固着具24で取り付けたが、被取付部2は浴室ドア枠1の上端面11と一体成形されるものであっても構わない。
【0038】
また、浴室天井パネル3とドア枠上壁パネル4とは着脱自在に固着できれば、本実施形態の構造に限定されない。
【0039】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 浴室ドア枠
10 上端部
2 被取付部
3 浴室天井パネル
30 外端部
31 被連結部
4 ドア枠上壁パネル
40 下端部
41 取付部
42 上端部
43 連結部
5 固着具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室ドア枠の上端部に被取付部を設け、浴室天井パネルの外端部に被連結部を設け、ドア枠上壁パネルの下端部に浴室内部から前記被取付部に差込自在に取り付けられる取付部を設けると共に、前記ドア枠上壁パネルの上端部に前記浴室内部から前記被連結部に固着具で着脱自在に固着される連結部を設けたことを特徴とする浴室ドア枠上壁パネル固定構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−7416(P2012−7416A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145387(P2010−145387)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】