説明

浴室ユニットの洗い場構造及びその施工方法

【課題】 確実な止水構造が得られる浴室ユニットの洗い場構造。
【解決手段】
洗い場床設置域Aの四辺の下側を構成するように四辺の枠状に形成された支持フレーム2と、支持フレーム2に設置され、四辺の上方載置面部3a、上方載置面部3aより低い位置の四辺の下方載置面部3b、並びに上方載置面部3a及び下方載置面部3bに接合する四辺の起立部3cで、支持フレーム2の四辺に沿って延びる防水性のある環状に形成された載置部材3と、載置部材3に載置された壁パネル4と、支持フレーム2に支持された洗い場床5を備え、載置部材3の下方載置面部3bの四辺と洗い場床5の下面5aの間には、下方載置面部3bの四辺に沿って環状に一体成型または別体部材を水密に接合して環状となし、載置部材3の下方載置面部3bの四辺と洗い場床5の下面の間には、下方載置面部3bの四辺に沿って延びるシール部材6が、両方へ水密状に接するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットの洗い場構造及びその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の浴室ユニットの洗い場構造には、洗い場床設置域の三辺の下側を構成する支持フレームと、支持フレームに設置された壁載置部材と、壁載置部材の上方載置面部に載置された壁パネルと、壁パネルを建て込んだ後に壁載置部材の下方載置面部に載置された洗い場床を備え、載置された洗い場床の周辺立上片と壁パネルの間にパッキンを介在させて、洗い場床の周辺立上片を浴室内側から壁パネルに対してビスで固定されたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−268995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記浴室ユニットの洗い場構造は、載置された洗い場床の周辺立上片と壁パネルの間に隙間なくパッキンを確実に介在させることが難しく、また、洗い場床の周辺立上片を浴室内側から壁パネルに対してネジで固定することにより貫通孔が形成されるため、止水の不安がある。更に、洗い場床の周辺立上片が壁パネルに接近するため、洗い場床を設置するとき壁パネルに傷を付け易い施工態様となる。
【0005】
本発明は、前記問題を解決するために、止水の不安のない確実な止水構造が得られると共に、壁パネルに傷を付け難い施工態様にできる浴室ユニットの洗い場構造及びその施工方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
確実な止水構造が得られると共に、壁パネルに傷を付け難い施工態様にできるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、図1乃至図4に示す如く、支持フレーム2と、支持フレーム2に設置された載置部材3と、載置部材3に載置された壁パネル4と、支持フレーム2に支持された洗い場床5を備えた浴室ユニットの洗い場構造1において、支持フレーム2は、洗い場床設置域Aの四辺の下側を構成するように四辺の枠状に形成され、載置部材3は、四辺の上方載置面部3aと、上方載置面部3aより低い位置の四辺の下方載置面部3bと、上方載置面部3a及び下方載置面部3bに接合する四辺の起立部3cとで、支持フレーム2の四辺に沿って環状に一体成型または別体部材を水密に接合して環状となし、載置部材3の下方載置面部3bの四辺と洗い場床5の下面5aの間には、下方載置面部3bの四辺に沿って延びるシール部材6が、両方へ水密状に接するように配置されていることを特徴とする浴室ユニットの洗い場構造である。なお、載置部材3の下方載置面部3b及び起立部3cとシール部材6で囲まれて、環状水受け空間部Uが形成されることもある。
【0007】
載置部材の下方載置面部及び洗い場床に対するシール部材の確実な水密性を得るために請求項2記載の本発明が採用した手段は、図2及び図3に示す如く、洗い場床下面の脚部5cは、載置部材3を設置する支持フレーム2の設置面部2bに支持され、シール部材6は、載置部材3の下方載置面部3bを介して支持フレーム2の設置面部2bと洗い場床5の下面5aで挟圧されて弾性変形している請求項1記載の浴室ユニットの洗い場構造である。
【0008】
支持フレームの枠部材の内側に載置部材の下方載置面部を隙間バメ嵌合で内嵌させる場合であっても、載置部材を支持フレームに安定良く連結するために請求項3記載の本発明が採用した手段は、図2、図3及び図8に示す如く、支持フレーム2は、四辺を形成する枠部材2aの内側に、載置部材3の下方載置面部3bを内嵌させると共に、枠部材2aの対面する一方の枠部材2a−A1(2a−B1)及び他方の枠部材2a−A2(2a−B2)を備え、載置部材3は、上方載置面部3aから支持フレーム2の一方の枠部材2a−A1(2a−B1)の外側下方へ延びる一方の連結片3dを、一方の枠部材2a−A1(2a−B1)の外側から連結具7で一方の枠部材2a−A1(2a−B1)に連結すると共に、上方載置面部3aから支持フレーム2の他方の枠部材2a−A2(2a−B2)の内側下方へ延びる他方の連結片3eを、載置部材3の内側から連結具7で他方の枠部材2a−A2(2a−B2)に連結する請求項1又は2記載の浴室ユニットの洗い場構造である。
【0009】
確実な止水構造が得られるようにするために請求項4記載の本発明が採用した手段は、図1乃至図4に示す如く、支持フレーム2と、支持フレーム2に設置される載置部材3と、載置部材3の上方載置面部3aに載置される壁パネル4と、支持フレーム2に支持される洗い場床5を用いて浴室ユニットの洗い場構造1を構築する浴室ユニットの洗い場構造の施工方法において、洗い場床設置域Aに、洗い場床設置域Aの四辺の下側を構成するように四辺の枠状に形成された支持フレーム2を洗い場床設置域Aに設置する第1工程と、支持フレーム2に、四辺の上方載置面部3a、上方載置面部3aより低い位置の四辺の下方載置面部3b及び上方載置面部3aと下方載置面部3bを連結する四辺の起立部3cから、支持フレーム2の四辺に沿って環状に一体成型または別体部材を水密に接合して環状となした載置部材3を設置する第2工程と、載置部材3の四辺の下方載置面部3bに、下方載置面部3bの四辺に沿って延びるシール部材6を配置する第3工程と、載置部材3の上方載置面部3aの任意箇所に壁パネル4を載置する第4工程と、載置部材3の四辺の下方載置面部3b及び洗い場床5の下面5aにシール部材6を水密状に当接させるように洗い場床5を支持フレーム2に支持させる第5工程とからなり、上記工程の順番で施工するか、第1工程、第3工程、第2工程、第4工程及び第5工程の順番で施工するか、第1工程、第2工程、第4工程、第3工程及び第5工程の順番で施工するか、または、第1工程、第2工程、第3工程、第5工程及び第4工程の順番で施工することを特徴とする浴室ユニットの洗い場構造の施工方法である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の本発明に係る浴室ユニットの洗い場構造は、洗い場床の縁部から水が漏れ出てしまった場合にも、その水が載置部材の下方載置面部及び起立部並びにシール部材で受け止められ、洗い場床の裏面側へ漏水することなく、確実な止水構造を得ることができると共に、洗い場床を壁パネルに接近させて止水する必要がなくなり、壁パネルに傷を付け難い施工態様にできる。また、洗い場床上に壁パネルが載らないため、後から洗い場床だけを外すことが可能であり、もしもシール部材に不具合が生じた場合にも、洗い場床を外してシール部材を交換することが可能である。
【0011】
請求項2記載の本発明に係る浴室ユニットの洗い場構造は、支持フレームの設置面部に、載置部材を設置させると共に洗い場床下面の脚部を支持させることで、支持フレームの設置面部と洗い場床の下面の間に、下方載置面部と洗い場床の下面で挟圧してシール部材を弾性変形させる一定の寸法が確保されるので、下方載置面部及び洗い場床に対するシール部材6の確実な水密性を得ることができる。
【0012】
請求項3記載の本発明に係る浴室ユニットの洗い場構造は、支持フレームの枠部材の内側に載置部材の下方載置面部を隙間バメ嵌合で内嵌させたとしても、支持フレームの一方の枠部材に対して載置部材の一方の連結片を当接又は接近させると共に、支持フレームの他方の枠部材に対して載置部材の他方の連結片を当接又は接近させるようにして、一方又は他方の少なくとも片方を当接させることができるため、連結具で連結する載置部材の一方の連結片や他方の連結片に大きな残留応力を生じさせることがなく、載置部材を支持フレームに安定良く連結することができる。
【0013】
請求項4記載の本発明に係る浴室ユニットの洗い場構造の施工方法は、支持フレーム上に環状の載置部材を設置する第2工程と、載置部材上にシール部材を配置する第3工程で確実な止水構造を得ることができるため、施工が簡易となり、施工者によるバラツキもない。また、施工手順を変えることが可能なため、現場に応じた施工手順を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る浴室ユニットの洗い場構造(以下、「本発明洗い場構造」と言う。)及びその施工方法(以下、「本発明施工方法」と言う。)の実施の形態を示すものであって、構築された洗い場の一部を破断した平面図である。
【図2】図1のC2−C2線で断面して拡大した中間省略の左側面図である。
【図3】図1のC3−C3線で断面して拡大した中間省略の正面図である。
【図4】同実施の形態における支持フレーム2、載置部材3、シール部材6及び洗い場床5を分離して示す斜視図である。
【図5】同実施の形態における支持フレーム2を示すものであって、図(A)は平面図、図(B)は正面図である。
【図6】同実施の形態における施工の手順を示すものであって、図(A)は支持フレーム2、載置部材3及びシール部材6を分離して示す中間省略の左側面図、図(B)は支持フレーム2に載置部材3を内嵌して設置した状態の中間省略の左側面図、図(C)は支持フレーム2に載置部材3を連結具7で連結した状態の中間省略の左側面図である。
【図7】同実施の形態における施工の手順を示すものであって、図(A)は載置部材3を設置・連結した支持フレーム2に、洗い場床5及び壁パネル4の分離した状態を実線で示す共に設置途中の洗い場床5を二点鎖線で示す中間省略の左側面図、図(B)は構築された洗い場を示す中間省略の左側面図である。
【図8】同実施の形態における支持フレーム2の枠部材2aの内側に載置部材3の下方載置面部3bを内嵌させたときに、枠部材2aと載置部材3の間に隙間Gが生じる嵌め合い状態の場合の施工の手順を示すものであって、図(A)は他方(後方)の枠部材2a−A2と載置部材3の他方の連結片部3eの間に隙間Gが生じる嵌め合い状態を示す中間省略の左側面図、図(B)は一方(前方)の枠部材2a−A1と載置部材3の一方の連結片部3dの間に隙間Gが生じる嵌め合い状態を示す中間省略の左側面図、図(C)は支持フレーム2に載置部材3を連結具7で連結した状態の中間省略の左側面図である。
【図9】支持フレーム2に対して載置部材3を連結具7で連結する別態様を示す中間省略の左側面図である。
【図10】別形態の支持フレーム2を用いた要部を示す左側面図である。
【図11】図1のC11−C11線で断面して拡大した左側面図である。
【図12】図1のC12−C12線で断面して拡大した左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明洗い場構造及び本発明施工方法を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
本発明洗い場構造1は、図1乃至図4に示す如く、洗い場床設置域Aに設置された支持フレーム2と、支持フレーム2に設置された載置部材3と、載置部材3に載置された壁パネル4及び出入り口扉ユニット8と、支持フレーム2に支持された洗い場床5と、載置部材3と洗い場床5の間に配置されたシール部材6を備えている。本例の本発明洗い場構造1は、載置部材3にコーナーポスト10及び平面ポスト11が載置され、各ポスト10,11に壁パネル4及び/又は出入り口扉ユニット8が連結されている。
【0016】
前記支持フレーム2は、亜鉛メッキ角パイプ又は亜鉛メッキ鋼板若しくはステンレス鋼板等の板材を折曲げ加工する等して形成したものを用い、図2乃至図5に示す如く、洗い場床設置域Aの四辺の下側を構成するように四本の枠部材2aを連結して四辺の枠状に構成され、四本の枠部材2aの内側に形成した設置面部2bに、載置部材3の設置と洗い場床5の支持を行うようにしてある。枠部材2aは、前後に対面する前側の一方の枠部材2a−A1及び後側の他方の枠部材2a−A2と、左右に対面する左側の一方の枠部材2a−B1及び右側の他方の枠部材2a−B2とからなり、隣接する枠部材どうしを連結してある。設置面部2bは、図2及び図3に示す如く、各枠部材2aの内側に沿って枠部材2aと別体に形成され、各枠部材2aにビス止め、溶接又は係止する等して連結12する場合と、図10に示す如く、各枠部材2aと一体に形成する場合とがある。枠部材2aは、図4及び図5に示す如く、前側の一方の枠部材2a−A1と後側の他方の枠部材2a−A2を接合部材14,14で接合すると共に、接合部材14と対応する左側の一方の枠部材2a−B1又は右側の他方の枠部材2a−B2を接合部材15で接合してある。隣接する枠部材2a(2a−A1、2a−A1、2a−B1、2a−B1)どうしの連結及び接合部材14(15)と枠部材2a−B1、2a−B2との連結は、現場での連結・分離が可能なようにビス止め若しくは係止する構造、又は工場で溶接して組上げた状態で施工現場へ搬入する構造が選択される。支持フレーム2は、接合部材14,15に高さ調節可能な脚部材2cを備え、洗い場床設置域Aの所定位置に脚部材2cを介して設置される。本例の支持フレーム2は、後方の浴槽設置域Bへ延設した浴槽設置用のフレーム部材16,16を接合してある。フレーム部材16,16は、脚部材2cを備え、浴槽設置域Bの所定位置に脚部材2cを介して設置される。
【0017】
前記載置部材3は、図2乃至図4に示す如く、合成樹脂又は金属等の素材から成形され、四辺の上方載置面部3aと、上方載置面部3aより低い位置の四辺の下方載置面部3bと、上方載置面部3a及び下方載置面部3bに接合する四辺の起立部3cとで漏水のない状態に一体成形され、支持フレーム2の四辺に沿って連なる環状に形成されている。載置部材3は、プレス成型等で環状に一体成型してもよく、または、押し出し成型等で四本の棒状にしたものを水密に接合して環状にしたものであってもよい。本例の下方載置面部3bは、中空状又は中実状(図示略)に嵩上げ形成されて、支持フレーム2の設置面部2bに底面3fを当接させると共に、上面の四辺に沿って環状に連なる嵌着用凹溝3gを設けて、嵌着用凹溝3gに後述するシール部材6を嵌着させてある。下方載置面部3bは、嵩上げ形成することで、後述するシール部材6の厚み寸法と、洗い場床5の脚部5cの高さ寸法との調整を行っている。下方載置面部3bは、図2に示す後側の他方の枠部材2a−A2と対面する領域、及び、図3に示す左側の一方の枠部材2a−B1と対面する領域の各々に、連結具7を取り付けるための挿入部3hを形成してある。載置部材3は、四辺の上方載置面部3aの外側縁部から連続した四辺の水返し部3kを立設してある。
【0018】
前記載置部材3は、図2及び図3に示す如く、支持フレーム2の四辺を形成する枠部材2aの内側に四辺の下方載置面部3bを内嵌させ、上方載置面部3aから支持フレーム2の一方の枠部材2a−A1(2a−B1)の外側下方へ延びる一方の連結片部3dを、一方の枠部材2a−A1(2a−B1)の外側からビス等の連結具7で一方の枠部材2a−A1(2a−B1)に連結すると共に、上方載置面部3aから支持フレーム2の他方の枠部材2a−A2(2a−B2)の内側下方へ延びる他方の連結片3e(本例の場合いには下方載置面部3bの一部で形成されている)を、載置部材3の内側から連結具7で他方の枠部材2a−A2(2a−B2)に連結してある。支持フレーム2の内側に載置部材3の下方載置面部3bを内嵌させる態様としては、図6(B)に示す如く、支持フレーム2の内側に載置部材3の下方載置面部3bを隙間バメ嵌合で内嵌させて、一方の枠部材2a−A1に一方の連結片部3dを隙間無く当接させると共に、他方の枠部材2a−A2に他方の連結片3eを隙間無く当接させる両者当接態様(前者の態様)と、図8(A)(B)に示す如く、支持フレーム2の内側に載置部材3の下方載置面部3bを隙間バメ嵌合で内嵌させて、他方の枠部材2a−A2と他方の連結片3eの間に隙間を形成するか又は一方の枠部材2a−A1と一方の連結片部3dの間に隙間Gを形成する片側当接態様(後者の態様)とが有り得る。本発明洗い場構造1は、仮に後者の態様の場合になったとしても、形成される隙間Gの寸法が小さいため、図8(C)に示す如く、支持フレーム2の一方の枠部材2a−A1に対して載置部材3の一方の連結片3dを当接又は接近させると共に、支持フレーム2の他方の枠部材2a−2に対して載置部材3の他方の連結片3eを当接又は接近させるように連結具7で連結することが可能となり、連結具7の連結力で載置部材3の一方の連結片3dや他方の連結片3eに大きな残留応力を生じさせることがなく、載置部材3を支持フレーム2に安定良く連結することができる。
【0019】
前記載置部材3を支持フレーム2に連結する別態様としては、図9に示す如く、載置部材3の下方載置面部3bの下方から内側へ向かって連結片3mを延設させ、該連結片3mを支持フレーム2の設置面部2bに連結具7で連結することができる。この別態様の連結構造では、支持フレーム2の内側に載置部材3の下方載置面部3bを隙間バメ嵌合で内嵌させることがあったとしても、図8の態様に比べて載置部材3の一方の連結片3dや他方の連結片3eに、連結具7の連結に起因する残留応力が生じないため、載置部材3を支持フレーム2に更に安定良く連結することができる。
【0020】
前記シール部材6は、軟質ゴム又は軟質合成樹脂等の素材から下方載置面部3bの四辺に沿って連なって延びる環状に成形され、載置部材3の環状の嵌着用凹溝3gに嵌着された状態で載置部材3の下方載置面部3bの四辺と洗い場床5の下面5aの間に、両方へ水密状に接するように配置されている。シール部材6は、載置部材3の下方載置面部3bと洗い場床5の下面5aで挟圧されて保持されることで、内部に蓄える反発弾性力で両方へ水密状に圧接するようになっている。なお、シール部材6は、図示は省略したが、押出成形された四本の棒状又は帯板状の部材を水密に接合して四辺を形成した中空状ものとすることもある。
【0021】
前記洗い場床5は、図2乃至図4に示す如く、FRP等の素材から防水性を有するように成形され、載置部材3の四辺の下方載置面部3bの上側で且つ起立部3cの内側に位置する床面部5dと、床面部5dの下面5aに環状又は適宜間隔を開けて設けた脚部5cと、床面部5dの後縁から延設した接合部5eと、床面部5dに設けた排水口部5fを備えている。洗い場床5は、下面5aにリブ(図示略)が設けられ、入浴者の体重が負荷されても撓み難くしてある。洗い場床5は、床面部5dの前寄りに適宜個数の係止片17が取付けられ、図2に示す如く、支持フレーム2に支持された状態で、支持フレーム2の設置面部2bに係止片17を係止片17の弾性力で係合させて、脚部5cと係止片17で設置面部2bを挟み込むようにしてある。洗い場床5は、後側の接合部5eを、載置部材3の上方載置面部3aに載置させると共に、支持フレーム2の他方の枠部材2a−A2にビス等で連結18してある。本例の洗い場床5は、後側の接合部5eの上方に、エプロン19が配置されるようになっている。洗い場床5を設置した後は、洗い場床5と載置部材3の起立部3cとの間の隙間を埋めるため、乾式目地材からなる止水材20を打ち込んである。止水材20は、図10に示すようなシリコンコーキングでもよく、その場合には載置部材3に切欠きを設けてシリコンポケット3nを形成し、止水性を高めるようにしてもよい。
【0022】
前記平面ポスト11は、図11に示す如く、載置部材3の上方載置面部3aに起立した状態で載置され、支持フレーム2の枠部材2aに連結片22及びビス等の連結具7,7を用いて連結してある。前記コーナーポスト10は、図示は省略したが、平面ポスト11と同様に、支持フレーム2の枠部材2aに連結片22及びビス等の連結具7,7を用いて連結してある。
【0023】
前記出入り口扉ユニット8は、図1に示す如く、載置部材3の上方載置面部3aに枠部8aが起立した状態で載置され、枠部8aの起立両側部をコーナーポスト10及び平面ポスト11に連結すると共に、図12に示す如く、枠部8aの底辺部を隣接する部屋の床面23にビス止め等で接合されている。本例の本発明洗い場構造1は、枠部8aの底辺部に接する載置部材3の水返し部3kの部分を、軟質素材で成形して枠部8aの底辺部に沿った上り傾斜状態で折り曲げ変形させることで、枠部8aを設置するときに従来行っていた水返し部3kの切除を省略できるようにしてある。水返し部3kは、全周にわたって軟質素材で成形してもよい。
【0024】
本発明洗い場構造1は、図2及び図3に示す如く、シール部材6、載置部材3の下方載置面部3b及び起立部3cで囲まれた環状水受け空間部Uが形成され、環状水受け空間部Uが洗い場床5の後側を除く三辺の縁部5b及び壁パネル4の表面4aと通じるようなっており、そこを止水材20によって塞いでいる。もし万一止水材20の一部が切れてしまった場合にも、洗い場床5の縁部5bから止水材20の切れた箇所を通過して漏れ出した水を環状水受け空間部Uで受け止めて、洗い場床5の裏面側Dへ漏水させることのない確実な止水構造を得ている。本例において環状水受け空間部Uは、壁パネル4が設けられない後側(浴槽設置域B側)にも設けられている。また、本発明洗い場構造1は、壁パネル4の裏側に水が回ってしまった場合にも、水返し部3k、上方載置面部3a及び壁パネル4で囲まれた空間部Sで水を受けとめることで漏水を防いでいる。この空間部Sは、図2に示す如く、壁パネル4が設けられない後側(浴槽設置域B側)にも設けられ、環状全体にわたって略同一の横断面積となるように形成され、仮に空間部に水が溜まったときに、浴室の振動等で空間部内の水が移動しても、空間部内を分散するように移動することで漏水しないようにしてある。
【0025】
更に、本発明洗い場構造1は、支持フレーム2の設置面部2bに、載置部材3を設置させると共に洗い場床5の脚部5cを支持させることで、支持フレーム2の設置面部2bと洗い場床5の下面5aの間に、下方載置面部3bと洗い場床5の下面5aで挟圧してシール部材6を弾性変形させるだけの一定の寸法を確保して、下方載置面部3b及び洗い場床5に対するシール部材6の確実な水密性を得ることができる。更に、本発明洗い場構造1は、洗い場床5に負荷する荷重の大半が載置部材3を介することなく支持フレーム2へ伝達されるため、洗い場床5の荷重を受けることのない載置部材を支持フレーム2に安定良く設置さることになる。
【0026】
また、本発明洗い場構造1は、載置部材3の下方載置面部3bの四辺と洗い場床5の下面5aの間に、両方へ水密状に接するシール部材6が配置されているため、従来の洗い場床を壁パネルに接近させて止水する構造を採用する必要がなくなり、壁パネルに傷を付け難い施工態様にできる。
【0027】
前記本発明洗い場構造1を得るための本発明施工方法は、以下に説明する第1工程乃至第5工程からなる。
【0028】
第1工程は、施工現場の洗い場床設置域Aに、洗い場床設置域Aの四辺の下側を構成するように四辺の枠状に形成された支持フレーム2を設置することである。
【0029】
第2工程は、支持フレーム2に、四辺の上方載置面部3a、上方載置面部3aより低い位置の四辺の下方載置面部3b及び上方載置面部3aと下方載置面部3bを連結する四辺の起立部3cから、支持フレーム2の四辺に沿って環状に一体成型または別体部材を水密に接合して環状となした載置部材3を設置することである。
【0030】
第3工程は、載置部材3の四辺の下方載置面部3bに、下方載置面部3bの四辺に沿って延びる環状のシール部材6を配置することである。
【0031】
第4工程は、載置部材3の上方載置面部3aの任意箇所に壁パネル4及び出入り口扉ユニット8を載置することである。
【0032】
第5工程は、載置部材3の四辺の下方載置面部3b及び洗い場床5の下面5aにシール部材6を水密状に当接させるように洗い場床5を支持フレーム2に支持させることである。
【0033】
(施工の順番)
順番のその1は、第1工程、第2工程、第3工程、第4工程及び第5工程の順番で施工することである。
順番のその2は、第1工程、第3工程、第2工程、第4工程及び第5工程の順番で施工することである。
順番のその3は、第1工程、第2工程、第4工程、第3工程及び第5工程の順番で施工することである。
順番のその4は、第1工程、第2工程、第3工程、第5工程及び第4工程の順番で施工することである。
【0034】
本発明施工方法は、支持フレーム2上に環状の載置部材3を設置する第2工程と、載置部材3上にシール部材6を配置する第3工程で確実な止水構造の本発明洗い場構造1を得ることができるため、施工が簡易となり、施工者によるバラツキもなく、また、施工手順を変えることが可能なため、現場に応じた施工手順を採用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…本発明洗い場構造、2…支持フレーム、2a…枠部材、2a−A1…一方(前)の枠部材、2a−A2…他方(後)の枠部材、2a−B1…一方(左)の枠部材、2a−B2…他方(右)の枠部材、2b…設置面部、2c…脚部材、3…載置部材、3a…上方載置面部、3b…下方載置面部、3c…起立部、3d…一方の連結片部、3e…他方の連結片部、3f…底面、3g…嵌着用凹溝、3h…挿入部、3k…水返し部、3m…連結片、3n…シリコンポケット、4…壁パネル、4a…表面、5…洗い場床、5a…下面、5b…三辺の縁部、5c…脚部、5d…床面部、5e…浴槽設置域側(後側)の接合部、5f…排水口部、6…シール部材、7…連結具、8…出入り口扉ユニット、8a…枠部、10…コーナーポスト、11…平面ポスト、12…連結、14…接合部材(長尺)、15…接合部材(短尺)、16…フレーム部材、17…係止片、18…連結、19…エプロン、20…止水材、22…連結片、23…床面、A…洗い場床設置域、B…浴槽設置域、D…洗い場床5の裏面側、S…空間部、U…環状水受け空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームと、支持フレームに設置された載置部材と、載置部材に載置された壁パネルと、支持フレームに支持された洗い場床を備えた浴室ユニットの洗い場構造において、支持フレームは、洗い場床設置域の四辺の下側を構成するように四辺の枠状に形成され、載置部材は、四辺の上方載置面部と、上方載置面部より低い位置の四辺の下方載置面部と、上方載置面部及び下方載置面部に接合する四辺の起立部とで、支持フレームの四辺に沿って環状に一体成型または別体部材を水密に接合して環状となし、載置部材の下方載置面部の四辺と洗い場床の下面の間には、下方載置面部の四辺に沿って延びるシール部材が、両方へ水密状に接するように配置されていることを特徴とする浴室ユニットの洗い場構造。
【請求項2】
洗い場床下面の脚部は、載置部材を設置する支持フレームの設置面部に支持され、シール部材は、載置部材の下方載置面部を介して支持フレームの設置面部と洗い場床の下面で挟圧されて弾性変形している請求項1記載の浴室ユニットの洗い場構造。
【請求項3】
支持フレームは、四辺を形成する枠部材の内側に、載置部材の下方載置面部を内嵌させると共に、枠部材の対面する一方の枠部材及び他方の枠部材を備え、載置部材は、上方載置面部から支持フレームの一方の枠部材の外側下方へ延びる一方の連結片を、一方の枠部材の外側から連結具で一方の枠部材に連結すると共に、上方載置面部から支持フレームの他方の枠部材の内側下方へ延びる他方の連結片を、載置部材の内側から連結具で他方の枠部材に連結する請求項1又は2記載の浴室ユニットの洗い場構造。
【請求項4】
支持フレームと、支持フレームに設置される載置部材と、載置部材の上方載置面部に載置される壁パネルと、支持フレームに支持される洗い場床を用いて浴室ユニットの洗い場構造を構築する浴室ユニットの洗い場構造の施工方法において、洗い場床設置域に、洗い場床設置域の四辺の下側を構成するように四辺の枠状に形成された支持フレームを洗い場床設置域に設置する第1工程と、支持フレームに、四辺の上方載置面部、上方載置面部より低い位置の四辺の下方載置面部及び上方載置面部と下方載置面部を連結する四辺の起立部から、支持フレームの四辺に沿って環状に一体成型または別体部材を水密に接合して環状となした載置部材を設置する第2工程と、載置部材の四辺の下方載置面部に、下方載置面部の四辺に沿って延びるシール部材を配置する第3工程と、載置部材の上方載置面部の任意箇所に壁パネルを載置する第4工程と、載置部材の四辺の下方載置面部及び洗い場床の下面にシール部材を水密状に当接させるように洗い場床を支持フレームに支持させる第5工程とからなり、上記工程の順番で施工するか、第1工程、第3工程、第2工程、第4工程及び第5工程の順番で施工するか、第1工程、第2工程、第4工程、第3工程及び第5工程の順番で施工するか、または、第1工程、第2工程、第3工程、第5工程及び第4工程の順番で施工することを特徴とする浴室ユニットの洗い場構造の施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−28947(P2013−28947A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165324(P2011−165324)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】